電子機器収納箱
【課題】 機器前面と扉の間の空間を利用可能な空間とすると共に、扉に設けた窓から収納機器を視認し易く、更に、吸い込んだ空気を効果的に収納機器に吸引させることができる電子機器収納箱を提供する。
【解決手段】 床下の外気を吸入する吸気ユニット4を底部に設けると共に、内部の空気を外部へ排出する排気ユニット5を上部に設け、吸気ユニット4により吸入した外気を箱前面に設けた扉2と収納機器前面の間に放出させた。この放出された空気が機器背部に回り込まないように、扉2裏面の左右に、収納機器前面に達する板体6,6を上下に渡り設け、扉2と機器前面の間に送風ダクトとして使用可能な閉塞空間を形成した。
【解決手段】 床下の外気を吸入する吸気ユニット4を底部に設けると共に、内部の空気を外部へ排出する排気ユニット5を上部に設け、吸気ユニット4により吸入した外気を箱前面に設けた扉2と収納機器前面の間に放出させた。この放出された空気が機器背部に回り込まないように、扉2裏面の左右に、収納機器前面に達する板体6,6を上下に渡り設け、扉2と機器前面の間に送風ダクトとして使用可能な閉塞空間を形成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機器や電子機器を収納する電子機器収納箱に関し、特に床下から冷気を吸気して、収容した電子機器を冷却する構造の電子機器収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
サーバ等の通信機器や、コンピュータ等の電子機器は動作中発熱を伴うため、それらを収納する電子機器収納箱は、発生した熱を放出させる換気装置が組み込まれている。このような電子機器収納箱として、例えば特許文献1に記載されたものがある。これは、床下から箱内に冷気を吸入し、その冷気を収納機器前面に供給して収納機器個々に前方から後方に送風して機器内部の冷却に使用し、機器後方に排出された空気を箱上部から排気する構成となっている。このように、床下に冷気を供給し、その冷気を取り入れて機器の発熱を抑える構成が、効率よく機器の発熱を抑制できるので普及が進んでいる。
【特許文献1】特開2004−55883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記特許文献1の構成は、吸い込んだ冷気を上下方向に組み付けた各機器に均等に送風するための縦長のダクトが収納機器前面に対峙するように設けられ、収納機器の前面はダクトで覆われた構成となっていた。そのため、収納箱前面に設けた扉に、内部機器の状態を確認するための窓を設けたとしても、ダクトが邪魔になり確認し辛かった。
また、収納箱内部は吸気・排気が仕切られていないために、ダクトを介して収納機器前面に吹き込んだ空気は、各機器から排出された暖気と機器の左右等に有する隙間を介して混合されてしまい、換気効率が低下していた。
【0004】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、扉に設けた窓から収納機器を視認し易く、また、吸い込んだ空気を効果的に収納機器に供給させることができる電子機器収納箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為に、請求項1に記載の発明は、床下の外気を吸入するための吸気ユニットと、空気を外部へ排出するための排気ユニットとを有し、少なくとも前面に扉を有すると共に周囲が閉塞され、吸入した空気により収納機器を冷却する電子機器収納箱であって、前記吸気ユニットは、吸入した外気を前記扉の背部と収納機器前面の間に放出し、前記扉の裏面左右には、吸入した空気が収納機器の左右に拡散するのを防ぐための拡散防止手段が配置されて成ることを特徴とする。
この構成により、扉と拡散防止手段と収納機器前面とで閉塞した空間を形成でき、その空間を通風ダクトとして使用することで吸入した外気を効果的に収納した各機器に供給できる。その結果、別途通風ダクトを設ける必要がなくなり、機器前面を開放でき、扉に窓を設ければ扉を開ける事無く収納機器を良好に視認し、監視することができる。また、拡散防止手段を設けることで、吸入した空気が各機器の冷却に供される前に、機器が排出した空気と混合されることが無くなり、換気効率を良好に保つことができる。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、拡散防止手段は一対の板体であり、扉裏面の左右に上下に渡り配設され、且つ互いに後方へ向けて拡開するよう扉に取り付けられ、扉の板体取り付け部位間には上下に渡り窓が形成されて成ることを特徴とする。
この構成により、扉の窓から拡散防止手段は見え難く、機器視認の邪魔になることが無い。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、左右の拡散防止手段は、互いの開き角を任意の角度で固定可能に扉に蝶着されてなることを特徴とする。
この構成により、拡散防止手段の先端を収納機器前面に適度な圧で密着させることができ、機器や箱等に余分なストレスが加わるようなことがなく、良好な通風ダクトを形成できる。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかの発明において、拡散防止手段は、奥行き方向の幅を変更可能であることを特徴とする。
この構成により、収納機器の前面位置が変化しても、拡散防止手段の幅を変更することで機器前面の左右に良好に密着させることができ、良好な通風ダクトを形成できる。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1の発明において、拡散防止手段は、蛇腹状に伸縮する一対の伸縮壁であり、扉裏面の左右に上下に渡り設けられ、前後方向に伸縮する一方、収納機器前面近傍の左右には前記折り畳み壁の後端を連結する連結部を備えてなることを特徴とする。
この構成により、機器を固定するマウントアングルの位置の変化、或いは収納機器前面位置の変化に対して、拡散防止手段は容易に追従させることができ、常に扉と収納機器前面との間に通風ダクトを形成できる。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかの発明において、吸気ユニットは、扉側に加えて収納機器背部に対しても吸入した空気を放出することを特徴とする。
この構成により、収納機器の背面側に、下から上へ空気の流れを作ることができ、機器冷却に供したあとの暖気を効率良く排気できる。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1乃至5の何れかの発明において、吸気ユニットは床下に突出するよう設置されることを特徴とする。
この構成により、箱内底部の空間を全て機器の収納或いは配線スペースに活用でき、箱内を隅々まで有効に利用できる。
【発明の効果】
【0012】
このように、本発明によれば、扉と拡散防止手段と収納機器前面とで閉塞した空間を形成でき、その空間を通風ダクトとして使用することで吸入した外気を効果的に収納した各機器に供給できる。その結果、別途通風ダクトを設ける必要がなくなり、機器前面を開放でき、扉に窓を設ければ扉を開ける事無く収納機器を良好に視認し、監視することができる。また、拡散防止手段を設けることで、吸入した空気が冷却に供した空気と混合されることが無くなり、換気効率を良好に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る電子機器収納箱(以下、単に箱と称する。)の斜視図であり、側板を取り外した状態を示している。図において、1は箱本体、2は前面に設けた扉、3は開閉可能に設置された背板、4は箱内に外気を吸入する吸気ユニット、5は箱内の空気を上方に排出する排気ユニット、6は吸入した空気が左右に拡散するのを防ぐための拡散防止手段としての板体であり、扉2は中央部に上下に渡り樹脂板をはめ込んだ窓2aが設けられている。また、吸気ユニット4は箱本体最下部に設置されている。
【0014】
吸気ユニット4は、図2に示すように形成されている。図2(a)は斜視図、図2(b)は下方から見た斜視図を示し、内部にモータ(図示せず)により回転するターボファン7が設けられ、吸気ユニット4の底面全体から吸引した外気を一側面に設けた吹き出し口4aから上方に吹き出すよう構成され、吹き出し口4aを扉2背面に配置し、上方に向けて噴き出すよう設置されている。また、排気ユニット5も同様に図示してはいないがモータにより回転するファンが内蔵され、箱本体1の天板8上に設置されている。
【0015】
板体6は、扉2の高さに近い長さを有し、扉側基部が鋼板6aで形成され、この鋼板6aに挟持されてゴム板6bが先端に向けて設けられて形成されている。そして、図3のA部拡大図に示すように、蝶番10により扉2裏面に取り付けられ、左右に回動可能となっている。但し、蝶番10は任意の角度で固定可能なものが使用され、板体6は、任意の角度で固定できるようになっている。
尚、鋼板6aとゴム板6bを合わせた全体の幅は、扉2から収納された機器までの距離より長く形成されている。また、蝶番10は、左右の板体6、6を互いに近づける方向に付勢するトルクヒンジを使用しても良い。
【0016】
図4は箱の横断面説明図を示している。図において、Bは扉2と収納機器と板体6との間に形成される閉塞空間を示し、Cは機器設置空間を示している。この図に示すように、板体6は、扉2を閉じた状態でハ字状に開いて配置され、収納した機器の前面左右端部に接触する角度で設置されている。その結果、Bに示すような閉塞空間が上下に渡り形成され、通風ダクトとして利用可能な空間が形成され、吸気ユニット4から吸引された空気は、この閉塞空間を通って個々の機器に送られる。
尚、機器設置空間Cにおいて、機器が取り付けられていない空間がある場合は、めくら板を取り付けて閉塞空間を維持すれば良い。また、板体6の上端と箱本体1の天板8下面との間には、閉塞空間Bを維持するように、隙間が殆ど発生しないように構成されている。
【0017】
図5は、吸気ユニット4から吸入し、排気ユニット5から排気するまでの空気の流れを模式的に示した図で、11は収納した機器を示している。床下より吸入した冷気(空気)は全て扉2と機器前面の間に形成された閉塞空間Bに放出され、この空気は、板体6により左右に逃げる事無く上方に送られる。その途中で、個々の機器11に組み込まれた冷却ファン12により前面から吸引され、機器11内部を冷却する。そして、暖められた空気が夫々の機器11の後方に排出される。尚、図5では、機器11に組み込まれた冷却ファンは1つだけ例示している。
こうして機器11の後方に排出された空気は、板体6の作用で、左右から機器11前面に回り込む事がなく、吸気と混合されるようなことがない。そして、天板8に設けられた排気ユニット5から箱外へ排出される。
【0018】
このように、扉と板体と収納機器前面とで閉塞した空間を形成でき、その空間を通風ダクトとして使用することで吸入した外気を効果的に収納した各機器に供給できる。その結果、別途通風ダクトを機器前面に設ける必要がなくなり、機器前面を開放でき、扉を開けることなく扉に設けた窓から収納機器を良好に視認することができる。
また、板体を設けることで、吸入した空気が各機器の冷却に供される前に、機器が排出した空気と混合されることが無くなり、換気効率を良好に保つことができる。
更に、板体をハ字状に配置することで、扉に設けた窓から板体は見え難くなり邪魔になることが無い。
また、先端部をゴム板とすることで機器前面に密着させ易く、気密空間を維持させやすいし、板体を任意角度で固定可能とすることで、板体の先端を収納機器前面に適度な圧で密着させることができ、機器や箱等に余分なストレスが加わるようなことがない。
【0019】
図6は吸気ユニット4の他の例を示し、図7はこの吸気ユニット4を取り付けた箱内の空気の流れを模式的に示している。上記図2の構成とは、機器背部に対しても、吸入した空気を放出するよう構成されている点が異なっている。図6において、4bは機器背部に対して外気を送風するための後方吹き出し口である。
このように前方及び背部から送風することで、機器前面側に送出された空気は、上記図1の構成と同様に、閉塞空間Bにより、効果的に機器11の冷却に寄与する。また、後方に送出された空気は、上方への空気の流れを形成し、各機器11の排気を効果的に上方に移動させて、排気ユニット5から排出させることができ、効率良く換気できる。
【0020】
図8は、板体6の他の例を示している。板体6は、鋼板で形成されて、扉2に蝶着される基板6cと、後部先端部を形成する樹脂板6dから構成されている。樹脂板6dには適宜位置に横長の連結孔14が穿設され、対応する鋼板6cには孔15が穿設されている。この連結孔14及び孔15に対してノブボルト16を挿通し、ナット17に螺入することで双方は連結される。
このように、横長の連結孔14を設けることで、樹脂板6dは幅方向にスライド可能となり、板体の幅を変えることができる。そのため、機器前面と扉の間の距離が変化しても、それに応じて最良の幅を選択でき、上記図1の板体6のようにゴム板6bを使わなくても、常に良好な閉塞空間を形成できる。
また、樹脂板6dを透明にすれば、扉2に設けた窓2aから板体6を介した先まで視認可能となり好ましい。
【0021】
図9は、本発明に係る電子機器収納箱の第2実施形態を示し、以下説明する。上記図1の構成とは、吸気ユニット、拡散防止手段の構成が異なっている。19は吸気ユニット、20は拡散防止手段としての伸縮壁であり、上記図1と同一の構成要素には同一の符号を付与し説明を省略する。
吸気ユニット19は、箱の前面側下面から下方に突出して設けられ、床下に配置されている。吸気ユニット19は、内部にターボファン21が縦置きして収容され、矢印で示すように吸入した空気を上方に噴き出すよう配置されている。
【0022】
一方、伸縮壁20は、図10のD部拡大図に示すように複数の縦長の板を横方向に折り畳み可能に連結して形成され、蛇腹状に伸縮可能となっている。そして、扉2側端部、及び箱本体1側端部には、扉2或いは箱本体1のラックアングルに連結するためのボタン状の連結部材22が、上端、中央部、下端部の3箇所づつ取り付けられている。図11はその連結部材22の外観図であり、一方の凸状連結部材22aを他方の凹状連結部材22bに嵌め合わせる簡単な操作で連結可能に構成されている。尚、図9では伸縮壁20は箱本体1に連結しているが、図10は伸縮壁20の箱本体1側は取り付けていない状態を示している。
【0023】
伸縮壁20の取付手順を説明すると、まず扉2裏面の左右の所定箇所に設けられた連結部材22に、伸縮壁20に設けられている連結部材22を連結し、伸縮壁の1辺を扉2に取り付ける(凹状連結部材22bに凸状連結部材22aをはめ込む)。次に、扉2の蝶番2b側に取り付けた右側の伸縮壁20の連結していない自由端を箱本体1に設けられている連結部材(図示せず)に連結する。その後、扉2を閉じる直前の状態で止め、左側の伸縮壁20の自由端を箱本体1に設けた連結部材(図示せず)に連結する。
こうして伸縮壁20を取り付け、扉2を閉じた状態を図12に示している。図12は、扉2を閉じた状態の箱の横断面説明図であり、図5で示すようにBは扉2と収納機器と伸縮壁20の間に形成される閉塞空間、Cは機器設置空間を示している。
【0024】
このように、拡散防止手段を伸縮自在に構成することで、機器を固定するマウントアングルの位置の変化、或いは収納機器前面位置の変化に対して、拡散防止手段は容易に追従でき、常に扉と収納機器前面との間に送風ダクトとして良好に使用できる閉塞空間を形成できる。
また、吸気ユニットを床下に突出させることで、箱内底部の空間を全て機器の収納或いは配線スペースに活用でき、箱内を隅々まで有効に利用できる。
【0025】
尚、床下に配置される吸気ユニットは、図13に示すようなクロスフローファン23を用いても良く、良好に床下の空気を箱内の閉塞空間Bに供給できるし、床下への突出量を小さくでき好ましい。また、床下に配置した吸気ユニットに、図1に示す横置きのロータリーファンを設置することも可能であるし、機器背部にも吸入した外気を放出させても良い。また、逆に第1実施形態に示す拡散防止手段としての板体に代えて図10に示す伸縮壁を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る電子機器収納箱の第1実施形態を示す斜視説明図である。
【図2】図1の吸気ユニットを示し、(a)は斜視図、(b)は底部から見た斜視図である。
【図3】A部拡大図である。
【図4】図1の扉を閉じた状態の横断面説明図である。
【図5】図1の箱内の吸入した空気の流れを示す説明図である。
【図6】吸気ユニットの他の例を示す外観図である。
【図7】図6の吸気ユニットを使用した場合の箱内の空気の流れを示す説明図である。
【図8】拡散防止手段の他の例を示し、(a)は分解説明図、(b)は使用説明図である。
【図9】本発明に係る電子機器収納箱の第2実施形態を示す斜視説明図である。
【図10】図9のD部拡大図である。
【図11】図9の伸縮壁の取付部材の斜視図を示している。
【図12】扉を閉じた状態の図10の横断面説明図である。
【図13】吸気ユニットの他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1・・箱本体、2・・扉、2a・・窓、4・・吸気ユニット、5・・排気ユニット、6・・板体(拡散防止手段)、10・・蝶番、11・・機器、19・・吸気ユニット、20・・伸縮壁、B・・閉塞空間。
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機器や電子機器を収納する電子機器収納箱に関し、特に床下から冷気を吸気して、収容した電子機器を冷却する構造の電子機器収納箱に関する。
【背景技術】
【0002】
サーバ等の通信機器や、コンピュータ等の電子機器は動作中発熱を伴うため、それらを収納する電子機器収納箱は、発生した熱を放出させる換気装置が組み込まれている。このような電子機器収納箱として、例えば特許文献1に記載されたものがある。これは、床下から箱内に冷気を吸入し、その冷気を収納機器前面に供給して収納機器個々に前方から後方に送風して機器内部の冷却に使用し、機器後方に排出された空気を箱上部から排気する構成となっている。このように、床下に冷気を供給し、その冷気を取り入れて機器の発熱を抑える構成が、効率よく機器の発熱を抑制できるので普及が進んでいる。
【特許文献1】特開2004−55883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記特許文献1の構成は、吸い込んだ冷気を上下方向に組み付けた各機器に均等に送風するための縦長のダクトが収納機器前面に対峙するように設けられ、収納機器の前面はダクトで覆われた構成となっていた。そのため、収納箱前面に設けた扉に、内部機器の状態を確認するための窓を設けたとしても、ダクトが邪魔になり確認し辛かった。
また、収納箱内部は吸気・排気が仕切られていないために、ダクトを介して収納機器前面に吹き込んだ空気は、各機器から排出された暖気と機器の左右等に有する隙間を介して混合されてしまい、換気効率が低下していた。
【0004】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、扉に設けた窓から収納機器を視認し易く、また、吸い込んだ空気を効果的に収納機器に供給させることができる電子機器収納箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する為に、請求項1に記載の発明は、床下の外気を吸入するための吸気ユニットと、空気を外部へ排出するための排気ユニットとを有し、少なくとも前面に扉を有すると共に周囲が閉塞され、吸入した空気により収納機器を冷却する電子機器収納箱であって、前記吸気ユニットは、吸入した外気を前記扉の背部と収納機器前面の間に放出し、前記扉の裏面左右には、吸入した空気が収納機器の左右に拡散するのを防ぐための拡散防止手段が配置されて成ることを特徴とする。
この構成により、扉と拡散防止手段と収納機器前面とで閉塞した空間を形成でき、その空間を通風ダクトとして使用することで吸入した外気を効果的に収納した各機器に供給できる。その結果、別途通風ダクトを設ける必要がなくなり、機器前面を開放でき、扉に窓を設ければ扉を開ける事無く収納機器を良好に視認し、監視することができる。また、拡散防止手段を設けることで、吸入した空気が各機器の冷却に供される前に、機器が排出した空気と混合されることが無くなり、換気効率を良好に保つことができる。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、拡散防止手段は一対の板体であり、扉裏面の左右に上下に渡り配設され、且つ互いに後方へ向けて拡開するよう扉に取り付けられ、扉の板体取り付け部位間には上下に渡り窓が形成されて成ることを特徴とする。
この構成により、扉の窓から拡散防止手段は見え難く、機器視認の邪魔になることが無い。
【0007】
請求項3の発明は、請求項2の発明において、左右の拡散防止手段は、互いの開き角を任意の角度で固定可能に扉に蝶着されてなることを特徴とする。
この構成により、拡散防止手段の先端を収納機器前面に適度な圧で密着させることができ、機器や箱等に余分なストレスが加わるようなことがなく、良好な通風ダクトを形成できる。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかの発明において、拡散防止手段は、奥行き方向の幅を変更可能であることを特徴とする。
この構成により、収納機器の前面位置が変化しても、拡散防止手段の幅を変更することで機器前面の左右に良好に密着させることができ、良好な通風ダクトを形成できる。
【0009】
請求項5の発明は、請求項1の発明において、拡散防止手段は、蛇腹状に伸縮する一対の伸縮壁であり、扉裏面の左右に上下に渡り設けられ、前後方向に伸縮する一方、収納機器前面近傍の左右には前記折り畳み壁の後端を連結する連結部を備えてなることを特徴とする。
この構成により、機器を固定するマウントアングルの位置の変化、或いは収納機器前面位置の変化に対して、拡散防止手段は容易に追従させることができ、常に扉と収納機器前面との間に通風ダクトを形成できる。
【0010】
請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかの発明において、吸気ユニットは、扉側に加えて収納機器背部に対しても吸入した空気を放出することを特徴とする。
この構成により、収納機器の背面側に、下から上へ空気の流れを作ることができ、機器冷却に供したあとの暖気を効率良く排気できる。
【0011】
請求項7の発明は、請求項1乃至5の何れかの発明において、吸気ユニットは床下に突出するよう設置されることを特徴とする。
この構成により、箱内底部の空間を全て機器の収納或いは配線スペースに活用でき、箱内を隅々まで有効に利用できる。
【発明の効果】
【0012】
このように、本発明によれば、扉と拡散防止手段と収納機器前面とで閉塞した空間を形成でき、その空間を通風ダクトとして使用することで吸入した外気を効果的に収納した各機器に供給できる。その結果、別途通風ダクトを設ける必要がなくなり、機器前面を開放でき、扉に窓を設ければ扉を開ける事無く収納機器を良好に視認し、監視することができる。また、拡散防止手段を設けることで、吸入した空気が冷却に供した空気と混合されることが無くなり、換気効率を良好に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る電子機器収納箱(以下、単に箱と称する。)の斜視図であり、側板を取り外した状態を示している。図において、1は箱本体、2は前面に設けた扉、3は開閉可能に設置された背板、4は箱内に外気を吸入する吸気ユニット、5は箱内の空気を上方に排出する排気ユニット、6は吸入した空気が左右に拡散するのを防ぐための拡散防止手段としての板体であり、扉2は中央部に上下に渡り樹脂板をはめ込んだ窓2aが設けられている。また、吸気ユニット4は箱本体最下部に設置されている。
【0014】
吸気ユニット4は、図2に示すように形成されている。図2(a)は斜視図、図2(b)は下方から見た斜視図を示し、内部にモータ(図示せず)により回転するターボファン7が設けられ、吸気ユニット4の底面全体から吸引した外気を一側面に設けた吹き出し口4aから上方に吹き出すよう構成され、吹き出し口4aを扉2背面に配置し、上方に向けて噴き出すよう設置されている。また、排気ユニット5も同様に図示してはいないがモータにより回転するファンが内蔵され、箱本体1の天板8上に設置されている。
【0015】
板体6は、扉2の高さに近い長さを有し、扉側基部が鋼板6aで形成され、この鋼板6aに挟持されてゴム板6bが先端に向けて設けられて形成されている。そして、図3のA部拡大図に示すように、蝶番10により扉2裏面に取り付けられ、左右に回動可能となっている。但し、蝶番10は任意の角度で固定可能なものが使用され、板体6は、任意の角度で固定できるようになっている。
尚、鋼板6aとゴム板6bを合わせた全体の幅は、扉2から収納された機器までの距離より長く形成されている。また、蝶番10は、左右の板体6、6を互いに近づける方向に付勢するトルクヒンジを使用しても良い。
【0016】
図4は箱の横断面説明図を示している。図において、Bは扉2と収納機器と板体6との間に形成される閉塞空間を示し、Cは機器設置空間を示している。この図に示すように、板体6は、扉2を閉じた状態でハ字状に開いて配置され、収納した機器の前面左右端部に接触する角度で設置されている。その結果、Bに示すような閉塞空間が上下に渡り形成され、通風ダクトとして利用可能な空間が形成され、吸気ユニット4から吸引された空気は、この閉塞空間を通って個々の機器に送られる。
尚、機器設置空間Cにおいて、機器が取り付けられていない空間がある場合は、めくら板を取り付けて閉塞空間を維持すれば良い。また、板体6の上端と箱本体1の天板8下面との間には、閉塞空間Bを維持するように、隙間が殆ど発生しないように構成されている。
【0017】
図5は、吸気ユニット4から吸入し、排気ユニット5から排気するまでの空気の流れを模式的に示した図で、11は収納した機器を示している。床下より吸入した冷気(空気)は全て扉2と機器前面の間に形成された閉塞空間Bに放出され、この空気は、板体6により左右に逃げる事無く上方に送られる。その途中で、個々の機器11に組み込まれた冷却ファン12により前面から吸引され、機器11内部を冷却する。そして、暖められた空気が夫々の機器11の後方に排出される。尚、図5では、機器11に組み込まれた冷却ファンは1つだけ例示している。
こうして機器11の後方に排出された空気は、板体6の作用で、左右から機器11前面に回り込む事がなく、吸気と混合されるようなことがない。そして、天板8に設けられた排気ユニット5から箱外へ排出される。
【0018】
このように、扉と板体と収納機器前面とで閉塞した空間を形成でき、その空間を通風ダクトとして使用することで吸入した外気を効果的に収納した各機器に供給できる。その結果、別途通風ダクトを機器前面に設ける必要がなくなり、機器前面を開放でき、扉を開けることなく扉に設けた窓から収納機器を良好に視認することができる。
また、板体を設けることで、吸入した空気が各機器の冷却に供される前に、機器が排出した空気と混合されることが無くなり、換気効率を良好に保つことができる。
更に、板体をハ字状に配置することで、扉に設けた窓から板体は見え難くなり邪魔になることが無い。
また、先端部をゴム板とすることで機器前面に密着させ易く、気密空間を維持させやすいし、板体を任意角度で固定可能とすることで、板体の先端を収納機器前面に適度な圧で密着させることができ、機器や箱等に余分なストレスが加わるようなことがない。
【0019】
図6は吸気ユニット4の他の例を示し、図7はこの吸気ユニット4を取り付けた箱内の空気の流れを模式的に示している。上記図2の構成とは、機器背部に対しても、吸入した空気を放出するよう構成されている点が異なっている。図6において、4bは機器背部に対して外気を送風するための後方吹き出し口である。
このように前方及び背部から送風することで、機器前面側に送出された空気は、上記図1の構成と同様に、閉塞空間Bにより、効果的に機器11の冷却に寄与する。また、後方に送出された空気は、上方への空気の流れを形成し、各機器11の排気を効果的に上方に移動させて、排気ユニット5から排出させることができ、効率良く換気できる。
【0020】
図8は、板体6の他の例を示している。板体6は、鋼板で形成されて、扉2に蝶着される基板6cと、後部先端部を形成する樹脂板6dから構成されている。樹脂板6dには適宜位置に横長の連結孔14が穿設され、対応する鋼板6cには孔15が穿設されている。この連結孔14及び孔15に対してノブボルト16を挿通し、ナット17に螺入することで双方は連結される。
このように、横長の連結孔14を設けることで、樹脂板6dは幅方向にスライド可能となり、板体の幅を変えることができる。そのため、機器前面と扉の間の距離が変化しても、それに応じて最良の幅を選択でき、上記図1の板体6のようにゴム板6bを使わなくても、常に良好な閉塞空間を形成できる。
また、樹脂板6dを透明にすれば、扉2に設けた窓2aから板体6を介した先まで視認可能となり好ましい。
【0021】
図9は、本発明に係る電子機器収納箱の第2実施形態を示し、以下説明する。上記図1の構成とは、吸気ユニット、拡散防止手段の構成が異なっている。19は吸気ユニット、20は拡散防止手段としての伸縮壁であり、上記図1と同一の構成要素には同一の符号を付与し説明を省略する。
吸気ユニット19は、箱の前面側下面から下方に突出して設けられ、床下に配置されている。吸気ユニット19は、内部にターボファン21が縦置きして収容され、矢印で示すように吸入した空気を上方に噴き出すよう配置されている。
【0022】
一方、伸縮壁20は、図10のD部拡大図に示すように複数の縦長の板を横方向に折り畳み可能に連結して形成され、蛇腹状に伸縮可能となっている。そして、扉2側端部、及び箱本体1側端部には、扉2或いは箱本体1のラックアングルに連結するためのボタン状の連結部材22が、上端、中央部、下端部の3箇所づつ取り付けられている。図11はその連結部材22の外観図であり、一方の凸状連結部材22aを他方の凹状連結部材22bに嵌め合わせる簡単な操作で連結可能に構成されている。尚、図9では伸縮壁20は箱本体1に連結しているが、図10は伸縮壁20の箱本体1側は取り付けていない状態を示している。
【0023】
伸縮壁20の取付手順を説明すると、まず扉2裏面の左右の所定箇所に設けられた連結部材22に、伸縮壁20に設けられている連結部材22を連結し、伸縮壁の1辺を扉2に取り付ける(凹状連結部材22bに凸状連結部材22aをはめ込む)。次に、扉2の蝶番2b側に取り付けた右側の伸縮壁20の連結していない自由端を箱本体1に設けられている連結部材(図示せず)に連結する。その後、扉2を閉じる直前の状態で止め、左側の伸縮壁20の自由端を箱本体1に設けた連結部材(図示せず)に連結する。
こうして伸縮壁20を取り付け、扉2を閉じた状態を図12に示している。図12は、扉2を閉じた状態の箱の横断面説明図であり、図5で示すようにBは扉2と収納機器と伸縮壁20の間に形成される閉塞空間、Cは機器設置空間を示している。
【0024】
このように、拡散防止手段を伸縮自在に構成することで、機器を固定するマウントアングルの位置の変化、或いは収納機器前面位置の変化に対して、拡散防止手段は容易に追従でき、常に扉と収納機器前面との間に送風ダクトとして良好に使用できる閉塞空間を形成できる。
また、吸気ユニットを床下に突出させることで、箱内底部の空間を全て機器の収納或いは配線スペースに活用でき、箱内を隅々まで有効に利用できる。
【0025】
尚、床下に配置される吸気ユニットは、図13に示すようなクロスフローファン23を用いても良く、良好に床下の空気を箱内の閉塞空間Bに供給できるし、床下への突出量を小さくでき好ましい。また、床下に配置した吸気ユニットに、図1に示す横置きのロータリーファンを設置することも可能であるし、機器背部にも吸入した外気を放出させても良い。また、逆に第1実施形態に示す拡散防止手段としての板体に代えて図10に示す伸縮壁を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る電子機器収納箱の第1実施形態を示す斜視説明図である。
【図2】図1の吸気ユニットを示し、(a)は斜視図、(b)は底部から見た斜視図である。
【図3】A部拡大図である。
【図4】図1の扉を閉じた状態の横断面説明図である。
【図5】図1の箱内の吸入した空気の流れを示す説明図である。
【図6】吸気ユニットの他の例を示す外観図である。
【図7】図6の吸気ユニットを使用した場合の箱内の空気の流れを示す説明図である。
【図8】拡散防止手段の他の例を示し、(a)は分解説明図、(b)は使用説明図である。
【図9】本発明に係る電子機器収納箱の第2実施形態を示す斜視説明図である。
【図10】図9のD部拡大図である。
【図11】図9の伸縮壁の取付部材の斜視図を示している。
【図12】扉を閉じた状態の図10の横断面説明図である。
【図13】吸気ユニットの他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1・・箱本体、2・・扉、2a・・窓、4・・吸気ユニット、5・・排気ユニット、6・・板体(拡散防止手段)、10・・蝶番、11・・機器、19・・吸気ユニット、20・・伸縮壁、B・・閉塞空間。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床下の外気を吸入するための吸気ユニットと、空気を外部へ排出するための排気ユニットとを有し、少なくとも前面に扉を有すると共に周囲が閉塞され、吸入した空気により収納機器を冷却する電子機器収納箱であって、
前記吸気ユニットは、吸入した外気を前記扉の背部と収納機器前面の間に放出し、前記扉の裏面左右には、吸入した空気が収納機器の左右に拡散するのを防ぐための拡散防止手段が配置されて成ることを特徴とする電子機器収納箱。
【請求項2】
拡散防止手段は一対の板体であり、扉裏面の左右に上下に渡り配設され、且つ互いに後方へ向けて拡開するよう扉に取り付けられ、扉の板体取り付け部位間には上下に渡り窓が形成されて成る請求項1記載の電子機器収納箱。
【請求項3】
左右の拡散防止手段は、互いの開き角を任意の角度で固定可能に扉に蝶着されてなる請求項2記載の電子機器収納箱。
【請求項4】
拡散防止手段は、奥行き方向の幅を変更可能である請求項1乃至3の何れかに記載の電子機器収納箱。
【請求項5】
拡散防止手段は、蛇腹状に伸縮する一対の伸縮壁であり、扉裏面の左右に上下に渡り設けられ、前後方向に伸縮する一方、収納機器前面近傍の左右には前記折り畳み壁の後端を連結する連結部を備えてなる請求項1記載の電子機器収納箱。
【請求項6】
吸気ユニットは、扉側に加えて収納機器背部に対しても吸入した空気を放出する請求項1乃至5の何れかに記載の電子機器収納箱。
【請求項7】
吸気ユニットは床下に突出するよう設置される請求項1乃至5の何れかに記載の電子機器収納箱。
【請求項1】
床下の外気を吸入するための吸気ユニットと、空気を外部へ排出するための排気ユニットとを有し、少なくとも前面に扉を有すると共に周囲が閉塞され、吸入した空気により収納機器を冷却する電子機器収納箱であって、
前記吸気ユニットは、吸入した外気を前記扉の背部と収納機器前面の間に放出し、前記扉の裏面左右には、吸入した空気が収納機器の左右に拡散するのを防ぐための拡散防止手段が配置されて成ることを特徴とする電子機器収納箱。
【請求項2】
拡散防止手段は一対の板体であり、扉裏面の左右に上下に渡り配設され、且つ互いに後方へ向けて拡開するよう扉に取り付けられ、扉の板体取り付け部位間には上下に渡り窓が形成されて成る請求項1記載の電子機器収納箱。
【請求項3】
左右の拡散防止手段は、互いの開き角を任意の角度で固定可能に扉に蝶着されてなる請求項2記載の電子機器収納箱。
【請求項4】
拡散防止手段は、奥行き方向の幅を変更可能である請求項1乃至3の何れかに記載の電子機器収納箱。
【請求項5】
拡散防止手段は、蛇腹状に伸縮する一対の伸縮壁であり、扉裏面の左右に上下に渡り設けられ、前後方向に伸縮する一方、収納機器前面近傍の左右には前記折り畳み壁の後端を連結する連結部を備えてなる請求項1記載の電子機器収納箱。
【請求項6】
吸気ユニットは、扉側に加えて収納機器背部に対しても吸入した空気を放出する請求項1乃至5の何れかに記載の電子機器収納箱。
【請求項7】
吸気ユニットは床下に突出するよう設置される請求項1乃至5の何れかに記載の電子機器収納箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−13365(P2006−13365A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−191847(P2004−191847)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000124591)河村電器産業株式会社 (857)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000124591)河村電器産業株式会社 (857)
【Fターム(参考)】
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