説明

電子機器死活監視システム、電子機器死活監視方法および電子機器死活監視プログラム

【課題】遠隔地の各電子機器の死活状態を早期に判別可能とし、かつ、通信料の発生を抑止可能な電子機器死活監視システムを提供する。
【解決手段】メンテナンス者が操作する通信端末の一例の携帯電話機140は、死活監視先の電子機器100のPHS通信装置120向けに発信し(Seq1)、該発信呼が着信したPHS通信装置120は、発信元の携帯電話機140の発信者番号を含む着信通知コマンドを電子機器100に転送するとともに(Seq6)、呼出中信号を発信元の携帯電話機140に送信してリングバックトーンを鳴動させる(Seq7,8,9)。該着信通知コマンドを受け取った電子機器100は、正常動作を示す時間値として定めた確認時間だけ経過した時点で、PHS通信装置120に切断要求コマンドを送信して(Seq11)、発信元の携帯電話機140に切断信号を送信させ、鳴動中のリングバックトーンを停止させる(Seq12,13,14)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器死活監視システム、電子機器死活監視方法および電子機器死活監視プログラムに関する。ここに、電子機器死活監視システムの構成要素となる、死活状態を監視する対象とする電子機器とは、例えば、POS機器、自動販売機、警備監視装置、設備監視装置等が該当し、公衆網を介して通信を行うPHS通信装置、FOMA通信装置等の通信装置とシリアル接続する機能を有する機器のことであり、各電子機器は、遠隔地に点在するものの、公衆網を介して、死活状態の監視を必要とする機器に好適に適用することができる。
【背景技術】
【0002】
近年、POS機器、自動販売機、警備監視装置、設備監視装置等、遠隔地に点在する各種の電子機器には、例えば、特許文献1の特開2000−149114号公報「自動販売機および自動販売機の防犯方法」や特許文献2の特開2009−46289号公報「エレベータの制御装置および制御方法、並びに既設エレベータの改修方法」のように、遠隔監視が可能なように、公衆網を介して通信を行うことが可能な通信機能が付与されるようになってきている。
【0003】
機器管理センタのメンテナンス者は、例えば携帯電話機用の通信端末を用いて、遠隔側の各地に配置されている電子機器に対して公衆網を介して発信して、その応答を監視することによって、該電子機器が異常に遭遇することなく正常に動作しているか否かを監視するようにしている。
【0004】
例えば、電子機器に付与する通信機能として、PHS(Personal Handy-Phone System)用の通信規格に従うPHS通信装置を当該電子機器にシリアル接続するような場合、当該電子機器のメンテナンス者がPHS端末や携帯電話機等の通信端末を使用して、当該電子機器にシリアル接続しているPHS通信装置に対して発信操作を行い、あらかじめ定めた時間内に、当該電子機器からの応答を受信することができるか否かを確認することによって、当該電子機器のヘルスチェックを行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−149114号公報(第3−4頁)
【特許文献2】特開2009−46289号公報(第8−10頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述のように、通信機能を有している現状の電子機器、例えば、PHS通信装置とシリアル接続している現状の電子機器においては、当該電子機器の死活状態を確認する際に、当該電子機器のメンテナンス者が携帯電話機等の通信端末を使用して当該電子機器にシリアル接続しているPHS通信装置に対して発信操作を行い、当該電子機器からの応答を受信することができるか否かを確認するとともに、応答を受信できなかった場合には、電子機器の異常かPHS通信装置の異常かを識別することが必要である。したがって、メンテナンス者にとって当該電子機器の死活状態を確認するための労力と時間とを要し、かつ、公衆網の通信料が発生するという問題があった。
【0007】
(本発明の目的)
本発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、公衆網を介して、遠隔地に点在する各電子機器の死活状態を早期に判別することを可能とするとともに、通信料の発生を抑止することが可能な仕組みを有する電子機器死活監視システム、電子機器死活監視方法および電子機器死活監視プログラムを提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決するため、本発明による電子機器死活監視システム、電子機器死活監視方法および電子機器死活監視プログラムは、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
【0009】
(1)本発明による電子機器死活監視システムは、公衆網を介して通信を行う通信装置を接続した電子機器と、該電子機器を保守するメンテナンス者によって操作される通信端末とからなり、該通信端末を操作して前記公衆網を介して前記通信装置に接続することにより、前記通信装置に接続された前記電子機器の死活状態を監視する電子機器死活監視システムにおいて、メンテナンス者の前記通信端末は、死活監視先の前記電子機器が接続された前記通信装置に対して前記公衆網を介して発信し、前記通信端末からの前記公衆網を介した着信を受け取った前記通信装置は、前記電子機器に対して前記通信端末の発信者番号を含む着信通知コマンドを転送するとともに、前記電子機器に該着信通知コマンドを送信した旨を示す呼出中信号を発信元のメンテナンス者の前記通信端末に対して前記公衆網を介して送信し、該着信通知コマンドを受け取った前記電子機器は、当該電子機器が正常に動作していることを示すための時間値としてあらかじめ定めた確認時間だけ経過した時点で、前記通信装置に対して切断を要求する切断要求コマンドを送信し、該切断要求コマンドを受け取った前記通信装置は、前記公衆網を介して、発信元のメンテナンス者の前記通信端末に対して切断信号を送信することを特徴とする。
【0010】
(2)本発明による電子機器死活監視方法は、公衆網を介して通信を行う通信装置を接続した電子機器と、該電子機器を保守するメンテナンス者によって操作される通信端末とからなり、該通信端末を操作して前記公衆網を介して前記通信装置に接続することにより、前記通信装置に接続された前記電子機器の死活状態を監視する電子機器死活監視方法であって、メンテナンス者の前記通信端末は、死活監視先の前記電子機器が接続された前記通信装置に対して前記公衆網を介して発信し、前記通信端末からの前記公衆網を介した着信を受け取った前記通信装置は、前記電子機器に対して前記通信端末の発信者番号を含む着信通知コマンドを転送するとともに、前記電子機器に該着信通知コマンドを送信した旨を示す呼出中信号を発信元のメンテナンス者の前記通信端末に対して前記公衆網を介して送信し、該着信通知コマンドを受け取った前記電子機器は、当該電子機器が正常に動作していることを示すための時間値としてあらかじめ定めた確認時間だけ経過した時点で、前記通信装置に対して切断を要求する切断要求コマンドを送信し、該切断要求コマンドを受け取った前記通信装置は、前記公衆網を介して、発信元のメンテナンス者の前記通信端末に対して切断信号を送信することを特徴とする。
【0011】
(3)本発明による電子機器死活監視プログラムは、公衆網を介して通信を行う通信装置を接続した電子機器と、該電子機器を保守するメンテナンス者によって操作される通信端末とからなり、該通信端末を操作して前記公衆網を介して前記通信装置に接続することにより、前記通信装置に接続された前記電子機器の死活状態を監視する電子機器死活監視方法をコンピュータによって実行可能なプログラムとして実施する前記通信端末における電子機器死活監視プログラムであって、メンテナンス者の前記通信端末は、死活監視先の前記電子機器が接続された前記通信装置に対して前記公衆網を介して発信し、前記公衆網を介して、前記通信装置から、前記電子機器に着信通知コマンドを送信した旨を示す呼出中信号を受信した際に、リングバックトーンを鳴動させ、しかる後、前記公衆網を介して、前記通信装置から、切断信号を受信した際に、先に鳴動させていたリングバックトーンを停止させて、前記通信装置に対して発信した発信呼を終了させることを特徴とする。
(4)本発明による電子機器死活監視プログラムは、公衆網を介して通信を行う通信装置を接続した電子機器と、該電子機器を保守するメンテナンス者によって操作される通信端末とからなり、該通信端末を操作して前記公衆網を介して前記通信装置に接続することにより、前記通信装置に接続された前記電子機器の死活状態を監視する電子機器死活監視方法をコンピュータによって実行可能なプログラムとして実施する前記電子機器における電子機器死活監視プログラムであって、前記電子機器は、当該電子機器を保守するメンテナンス者の前記通信端末の電話番号・サブアドレスを、登録発信者情報としてあらかじめ登録しておき、前記通信装置から着信通知コマンドを受け取った際に、前記着信通知コマンドに含まれている発信者情報とあらかじめ登録している前記登録発信者情報とを照合して一致していた場合に、当該電子機器が正常に動作していることを示すための時間値としてあらかじめ定めた確認時間だけ経過した時点で、前記通信装置に対して前記切断要求コマンドを送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電子機器死活監視システム、電子機器死活監視方法および電子機器死活監視プログラムによれば、以下のような効果を奏することができる。
【0013】
第1に、死活監視先の電子機器の異常を早期に発見することができる。その理由は、メンテナンス者が携帯電話機等の通信端末を操作して、電子機器を呼び出し、そのリングバックトーンが停止するまでの時間を監視するだけで、死活監視先の電子機器が設置されている現場まで出向くことなく、公衆網を介して、遠隔から、電子機器の異常の有無を確認することができるからである。
【0014】
第2に、死活監視先の電子機器の異常か、該電子機器にシリアル接続されているPHS通信装置等の通信装置の異常かを容易に判別することができる。その理由は、電子機器の異常時と通信装置の異常時とで、発信元のメンテナンス者の携帯電話機等の通信端末に対して返送されてくる信号の種類やシーケンスが異なるからである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る電子機器死活監視システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】図1の電子機器死活監視システムにおける電子機器と携帯電話機との間の信号シーケンスの一例を示すシーケンス図である。
【図3】図1の電子機器死活監視システムの携帯電話機における動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】図1の電子機器死活監視システムの電子機器における携帯電話機からの着信時の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明による電子機器死活監視システム、電子機器死活監視方法および電子機器死活監視プログラムの好適な実施形態について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明による電子機器死活監視システムおよび電子機器死活監視方法について説明するが、かかる電子機器死活監視方法をコンピュータにより実行可能な電子機器死活監視プログラムとして実施するようにしても良いし、あるいは、電子機器死活監視プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしても良いことは言うまでもない。
【0017】
(本発明の特徴)
PHS(Personal Handy-Phone System)通信装置、FOMA(Freedom Of Mobile multimedia Access:登録商標)通信装置等の通信装置とシリアル接続することが可能な電子機器について、公衆網を介して、通信料を発生させることなく、当該電子機器の死活状態を監視して異常の発生を迅速に検出することを可能とすることを主要な特徴としている。
【0018】
すなわち、遠隔地に点在する電子機器を保守するメンテナンス者が、携帯電話機等の通信端末を用いて、公衆網を介して、死活監視を行いたい電子機器にシリアル接続したPHS通信装置、FOMA通信装置等の通信装置に対して発信する。該発信呼が着信する着信先のすなわち死活監視先の当該電子機器は、発信者番号通知サービス付きとして契約されており、着信呼を受信したPHS通信装置、FOMA通信装置等の通信装置は、着信呼として通知されてくる発信者番号を含む着信通知をシリアル接続している電子機器に対して転送するとともに、発信元の携帯電話機等の通信端末に対して、死活監視先の電子機器に着信通知を転送した旨を示す呼出中信号を返送する。
【0019】
呼出中信号を受け取った発信元の携帯電話機等の通信端末は、リングバックトーン(例えば、1秒間オン、2秒間オフの断続音)を鳴動させて、死活監視先の電子機器を呼出中である旨を、メンテナンス者に通報する。一方、着信通知を受け取った電子機器は、該着信通知に含まれている発信者番号に基づいて、メンテナンス者の通信端末からの「死活監視用の着信通知」であるか否かを判別する。メンテナンス者の通信端末からの着信通知と判断した場合、当該電子機器が正常に動作している場合には、正常に動作していることを示す経過時間値としてあらかじめ定めた確認時間だけ経過した時点で、当該着信呼の切断を要求する切断要求を、PHS通信装置、FOMA通信装置等の通信装置に返送する。
【0020】
シリアル接続している電子機器からの切断要求を受け取ったPHS通信装置、FOMA通信装置等の通信措置は、発信元のメンテナンス者の携帯電話機等の通信端末に対して切断信号を送信する。切断信号を受信した発信元の携帯電話機等の通信端末は、今まで鳴動させていたリングバックトーンを停止させ、発信先の電子機器すなわち死活監視先の電子機器への発信動作を、通信料が掛からない不完了呼として終了させる。発信元の携帯電話機等の通信端末を操作したメンテナンス者は、正常に動作していることを示す経過時間値としてあらかじめ定めた確認時間だけ経過した時点で、リングバックトーンが自動的に停止したことを確認することにより、発信先の電子機器すなわち死活監視先の電子機器が正常に動作しているものと判断する。
【0021】
かくのごとく、死活監視先の電子機器は、死活監視用の着信呼に対してあらかじめ定めた確認時間だけ経過した時点で自動的に切断信号を通信装置を介して返送し、かつ、メンテナンス者が操作している発信元の携帯電話機等の通信端末にて、自動的に切断信号の返送の有無を確認して鳴動中のリングバックトーンを停止することにより、死活監視先の電子機器の正常性を識別することができる。したがって、メンテナンス者の労力は掛からないし、また、死活監視先の電子機器に対する発信元の携帯電話機等の通信端末からの死活監視のための発信に対して、当該電子機器は、シリアル接続しているPHS通信装置、FOMA通信装置等の通信装置に前記確認時間経過後に切断要求を行うだけで、応答要求を行わないので、公衆網の通信費が発生することもない。
【0022】
なお、前述のように、死活監視先の電子機器には、公衆網を介して通信を行う通信機能として、PHS通信装置、FOMA通信装置等の通信装置がシリアル接続されており、メンテナンス者の携帯電話機等の通信端末からの着信があった際に、PHS通信装置、FOMA通信装置等の通信装置が正常に動作していなかった場合には、前述のような電子機器への着信通知の転送動作や発信元の携帯電話機等の通信端末への呼出中信号の送信動作は実施されないことになるので、メンテナンス者は、リングバックトーンがいつまでも鳴動されないとか、あるいは、リングバックトーンの代わりにビジートーンが鳴動されることによって、PHS通信装置、FOMA通信装置等の通信装置の異常を認識することができる。
【0023】
また、電子機器からPHS通信装置、FOMA通信装置等の通信装置を介して、発信元のメンテナンス者の携帯電話機等の通信端末に切断信号を送信するタイミングとして、正常であることを示す前記確認時間のみに限らず、当該電子機器の動作状態に応じた異なる特有の時間値を一定時間として該認識時間の範囲内であらかじめ適宜設定するようにしても良い。切断時間を送信するタイミングとしてかくのごとき一定時間を電子機器の動作状態それぞれに応じて適宜設定すれば、発信元のメンテナンス者は、該切断信号を受け取った時間経過に応じて、すなわち、リングバックトーンの継続時間に応じて、死活監視先の電子機器の現在の動作状態を把握することができる。
【0024】
また、死活状態の測定用の時間としてあらかじめ定めた測定時間内に(例えば1分の間に)、メンテナンス者の携帯電話機等の通信端末から死活監視先の電子機器に対して、把握しようとする電子機器の動作状態の種類数に応じて、複数回、発信を行うようにしても良い。かかる場合には、電子機器側は、メンテナンス者の携帯電話機等の通信端末からの着信回数に応じてそれぞれで定義した動作状態の種類に関する現在の動作状態を示すタイミングとしてあらかじめ定めた一定時間経過後に切断要求を送信するようにすれば良い。また、かくのごとき着信回数に応じて複数種類の動作状態情報の通知動作を行う場合には、電子機器は、メンテナンス者の携帯電話機等の通信端末からの着信があらかじめ定めた閾値時間を経過してもなかった場合に、今まで計数していた着信回数をクリアするようにすれば良い。
【0025】
複数種類の動作状態を有する一例として、例えば、電子機器が、機器や宅内の状況を監視する警備監視装置の場合であって、「警備状態」と「モード設定状態」との2種類の状態情報を詳細な動作状態を示す情報として把握しようとする場合には、例えば、次のように動作するようにすれば良い。当該電子機器への第1回目の着信は、当該電子機器の第1番目の動作状態の種類として「警備状態」を確認するための着信動作であり、当該電子機器が「警備中」の状態にある場合で、正常に動作している場合には、あらかじめ定めた一定時間として例えば10秒経過後に、電子機器から通信装置を介して発信元の通信端末に対して切断信号を送信し、当該電子機器が「警備解除中」の状態にある場合で、正常に動作している場合には、あらかじめ定めた一定時間として例えば20秒経過後に、切断信号を発信元の通信端末に対して送信する等々…、警備状態に応じて切断信号を発信元の通信端末に送信するタイミングを変更する。
【0026】
また、電子機器への第2回目の着信は、当該電子機器の第2番目の動作状態の種類として「モード設定状態」を確認するための着信動作であり、当該電子機器が「1(昼)」のモード状態に設定されている場合で、正常に動作している場合には、あらかじめ定めた一定時間として例えば10秒経過後に、電子機器から通信装置を介して発信元の通信端末に対して切断信号を送信し、当該電子機器が「2(夜)」のモード状態に設定されている場合で、正常に動作している場合には、あらかじめ定めた一定時間として例えば20秒経過後に、切断信号を発信元の通信端末に対して送信する等々…、モード設定状態に応じて切断信号を送信するタイミングを変更する。
【0027】
また、死活監視先の電子機器の複数の状態を把握する必要はなく、単に、死活監視先の電子機器が正常に動作しているか否かを確認すれば良い場合には、例えば、最初の着信において、前述したように、正常に動作していることを示す経過時間としてあらかじめ定義した前記確認時間例えば30秒(1秒オン、2秒オフの断続音のリングバックトーンの場合には10回鳴動する時間)が経過した時点で切断信号を発信元の通信端末に対して送信すれば良く、発信元の通信端末を操作しているメンテナンス者は、該確認時間例えば30秒の間だけ継続してリングバックトーンが鳴動した後、自動的に停止したことを確認することにより、死活監視先の電子機器が正常に動作していることを把握することができる。
【0028】
(実施形態の構成)
次に、本発明に係る電子機器死活監視システムの実施形態の構成についてその一例を、図1を参照して詳細に説明する。図1は、本発明に係る電子機器死活監視システムのシステム構成の一例を示すシステム構成図であり、死活監視先の電子機器に備える通信装置として、PHS(Personal Handy-Phone System)通信を行うPHS通信装置を電子機器にシリアル接続している場合を例にとって示している。
【0029】
図1に示すように、電子機器死活監視システムは、死活監視先の電子機器100にシリアルケーブル110を介してPHS通信装置120が接続されており、公衆網130を経由して、メンテナンス者150が操作する通信端末である携帯電話機140と通信することができるシステム構成からなっている。
【0030】
ここで、電子機器100にシリアルケーブル110によって接続されるPHS通信装置120は、公衆網130を利用したPHS通信を行う通信機能を有しており、該公衆網130に接続される携帯電話機140との間で通信・通話を行うことができる。PHS通信装置120の動作は、シリアルケーブル110を介して送信されてくる電子機器100からのATコマンド(端末装置向けの制御用のコマンド体系)によって制御される。
【0031】
メンテナンス者150は、電子機器100の死活状態を監視して、保守する要員であり、所持している携帯電話機140を用いて、公衆網130を介して、電子機器100と通信を行うことによって、当該電子機器100の死活状態を確認することができる。
【0032】
なお、図1には、メンテナンス者150が携帯電話機140を用いて電子機器100と通信を行う場合を示しているが、携帯電話機140に限るものではなく、PHS端末であっても良いし、PDA(Personal Digital Assistants:携帯情報端末)であっても良いし、固定電話機であっても良く、公衆網130を介して、電子機器100にシリアル接続されているPHS通信装置120との通信が可能な通信端末であれば、如何なる通信端末であっても構わない。
【0033】
また、図1には、死活監視先の電子機器100を1台のみ示しているが、複数の電子機器からなっていても良いし、また、メンテナンス者150が1人ではなく、複数人存在していても構わない。
【0034】
(実施形態の動作の説明)
次に、図1に示した電子機器死活監視システムの動作の一例について、図2のシーケンス図および図3、図4のフローチャートを用いて説明する。ここで、図2は、図1の電子機器死活監視システムにおける電子機器100と携帯電話機140との間の信号シーケンスの一例を示すシーケンス図であり、図3は、図1の電子機器死活監視システムの携帯電話機140における動作の一例を示すフローチャートである。また、図4は、図1の電子機器死活監視システムの電子機器100における携帯電話機140からの着信時の動作の一例を示すフローチャートである。
【0035】
まず、図2のシーケンス図を用いて、図1の電子機器死活監視システムにおいて、メンテナンス者150が所持している携帯電話機140から死活監視先の電子機器100の状態を確認するために、当該電子機器100にシリアル接続されているPHS通信装置120に対して公衆網130を介して発信した際の信号の送受信シーケンスについて、その一例を説明する。
【0036】
図2において、まず、携帯電話機140から死活監視先の電子機器100のPHS通信装置120を宛先とした発信信号を公衆網130に対して送信すると(シーケンスSeq1)、公衆網130は、該発信信号に含まれている宛先を解釈して、宛先のPHS通信装置120に対して着信信号を送信する(シーケンスSeq2)。着信信号を受信したPHS通信装置120は、着信応答信号を公衆網130に返送するとともに、発信者番号の転送を要求する(シーケンスSeq3)。
【0037】
公衆網130は、PHS通信装置120が発信者番号通知サービスを契約している通信装置であることを確認して、発信元の携帯電話機140の電話番号・サブアドレスを含む呼設定信号をPHS通信装置120に送信する(シーケンスSeq4)。呼設定信号を受信したPHS通信装置120は、呼設定信号を受信した旨を示す呼設定受付信号を公衆網130に返送するとともに(シーケンスSeq5)、電子機器100に対して、発信元の携帯電話機140の電話番号・サブアドレスを含む着信通知コマンドを転送する(シーケンスSeq6)。
【0038】
さらに、PHS通信装置120は、電子機器100に着信した旨を発信元に通知する信号、つまり、呼出中の状態に移行したことを示す呼出中信号を公衆網130に対して送信する(シーケンスSeq7)。呼出中信号を受信した公衆網130は、発信元の携帯電話機140に対して、発信先のPHS通信装置120(すなわち死活監視先の電子機器100)を呼び出していることを示す呼出中信号(リングバックトーン)を送信する(シーケンスSeq8)。その結果、携帯電話機140からはリングバックトーン(例えば1秒オン、2秒オフの断続音)が出力されて、メンテナンス者150に対して、死活監視対象の電子機器100が呼出中の状態に移行していることを通知する(シーケンスSeq9)。
【0039】
一方、PHS通信装置120からの着信通知を受け取った電子機器100は、該着信通知に含まれている電話番号・サブアドレスを、登録発信者情報としてあらかじめ登録したメンテナンス者150の携帯電話機140の電話番号・サブアドレスと照合することにより、当該電子機器100の保守を行うメンテナンス者150が操作する携帯電話機140からの着信か否かを判別する。判別結果として、該着信通知がメンテナンス者150の携帯電話機140からの着信であった場合には、電子機器100は、着信通知を受け取ってからあらかじめ定めた確認時間(すなわち切断要求時間)だけ経過した時点に達した際に、切断要求コマンドを、PHS通信装置120に対して送信する(シーケンスSeq10,11)。該確認時間は、正常に動作していることを示すために着信通知を受け取ってからの経過時間値としてあらかじめ定めた一定の時間であり、例えば、30秒として、携帯電話機140において例えば1秒オン、2秒オフの断続音のリングバックトーンを鳴動させていた場合には、10回連続して鳴動させた時点で、PHS通信装置120からの切断信号が携帯電話機140に送信されてきて、リングバックトーンを自動的に停止させることになる。
【0040】
ここで、本電子機器死活監視システムにおいては、死活監視先の電子機器100の死活状態のみならず、正常に動作している場合に、如何なる動作状態にあるかを、メンテナンス者150に通知することも可能である。つまり、電子機器100の動作状態(例えば、電子機器100が監視装置であった場合には、監視中の状態にあるか、あるいは、監視していない監視解除中の状態にあるか、等)を示す状態情報を、メンテナンス者150に通知することを可能としている。かくのごとき電子機器100の状態情報をメンテナンス者150に返送する場合には、前記確認時間の範囲内であらかじめ定義した一定時間を、電子機器100の現在の動作状態に応じてあらかじめ定めた異なる時間値として定義する。例えば、電子機器100が監視装置であった場合には、監視中の状態で正常に動作している場合は、前記一定時間を例えば10秒と定義し、監視解除中の状態で正常に動作している場合は、前記一定時間を例えば20秒と定義する。
【0041】
さらに、メンテナンス者150に通知すべき電子機器100の状態情報として、複数種類の動作状態を有している場合には、あらかじめ定めた測定時間内(例えば最初の発信からカウントして1分間以内)に、把握しようとする状態情報の種類数に応じて複数回の発信を電子機器100に対して行うようにしても良い。すなわち、メンテナンス者150の携帯電話機140からの着信通知コマンドが、前記測定時間内における第何番目の着信通知コマンドであるかに応じて、電子機器100は、メンテナンス者150に通知すべき状態情報の種類を設定することを可能としており、着信通知を受け取ってから切断要求を送信するまでの前記一定時間(経過時間)として、着信回数それぞれに該当する状態情報の種類における動作状態を示すための時間値をあらかじめ定義する。
【0042】
例えば、電子機器100が監視装置であった場合、前記測定時間内の最初の(第1番目の)着信時には、当該電子機器100の現在の監視状態(監視中、監視解除中等)を示す状態情報を送信することにして、現在の動作状態が監視中の状態であれば、前記一定時間として例えば10秒後に切断要求を送信し、監視解除中の状態であれば、前記一定時間として例えば20秒後に切断要求を送信する。また、前記測定時間内の第2番目の着信時には、当該電子機器100に現在設定されているモード設定情報例えば昼夜情報(昼の時間帯、夜の時間帯等)を送信することにして、現在のモード設定情報として昼の時間帯が設定されている状態であれば、前記一定時間として例えば10秒後に切断要求を送信し、夜の時間帯が設定されている状態であれば、前記一定時間として例えば20秒後に切断要求を送信する。通知すべき状態情報の種類数の如何に応じて、第3番目以降の着信についても同様である。なお、前記一定時間の値として、前述の例では、異なる状態情報の種類間で、同一の時間値(10秒、20秒)を用いている場合を示したが、状態情報の種類に応じて、異なる時間値を用いるようにしても構わない。
【0043】
電子機器100からの切断要求コマンドを受け取ったPHS通信装置120は、公衆網130に対して切断信号を送信する(シーケンスSeq12)。切断信号を受け取った公衆網130は、発信元の携帯電話機140に対して切断信号を送信する(シーケンスSeq13)。この結果、携帯電話機140からメンテナンス者150に対して出力されていたリングバックトーンが停止することになる(シーケンスSeq14)。したがって、メンテナンス者150は、リングバックトーンの停止の有無により、死活監視先の電子機器100の死活状態や詳細な動作状態を把握することが可能である。つまり、メンテナンス者150は、リングバックトーンがあらかじめ定めた前記確認時間(すなわち切断要求時間)が経過した時点で自動的に停止した場合には、監視対象の電子機器100は正常に動作しているものと判断することができ、一方、前記確認時間が経過しても、リングバックトーンが鳴動している場合は、監視対象の電子機器100は動作していない異常な状態にあるものと判断することができる。さらには、死活監視先の電子機器100が正常に動作している状態においても、前述したように、前記確認時間の範囲内の時間値として定義した一定時間が経過した時点で、電子機器100の状態情報を示すための切断信号を送信することも可能であり、リングバックトーンが鳴動していた継続時間を認識することによって、当該電子機器100が如何なる状態で動作しているかという詳細な動作状態を把握することも可能である。
【0044】
次に、図3のフローチャートを用いて、図1の電子機器死活監視システムにおいて、死活監視先の電子機器100の管理を行うメンテナンス者150が操作する携帯電話機140における動作の一例を、詳細に説明する。
【0045】
まず、メンテナンス者150は、携帯電話機140を操作して、監視対象の電子機器100がシリアル接続されているPHS通信装置120の電話番号・サブアドレスを入力して、PHS通信装置120への発信信号を公衆網130に送信する(ステップS01)。発信元の携帯電話機140からの発信信号を受け取った公衆網130は、該発信信号の宛先となっているPHS通信装置120が、使用中の状態等、着信信号を受信することができない状態になっているか否かを、PHS通信装置120までの通信経路がビジーになっているか否かをも含めて確認して、PHS通信装置120に対して着信信号を送信することができなかった場合には、発信元の携帯電話機140に対して、ビジー信号を返送してくる。したがって、発信信号を送信した携帯電話機140が、公衆網130からビジー信号を受け取った場合には(ステップS02のYES)、監視対象の電子機器100の死活確認動作が失敗したものとして(ステップS10)、当面の確認動作を終了する。
【0046】
一方、携帯電話機140が、公衆網130からビジー信号を受け取らなかった場合は(ステップS02のNO)、次に、公衆網130からの着信信号を受け取ったPHS通信装置120から、公衆網130を介して、呼出中信号を受信したか否かを確認する(ステップS03)。呼出中信号を受信していない場合は(ステップS03のNO)、ステップS02に復帰して、公衆網130からビジー信号を受信したか否かを確認する動作を再度行う。
【0047】
公衆網130から呼出中信号を受信した場合は(ステップS03のYES)、受信した該呼出中信号に基づいてリングバックトーン(例えば1秒オン、2秒オフの断続音)を鳴動させて、メンテナンス者150に通報するとともに、該呼出中信号の送信元のPHS通信装置120から切断信号が送信されるまでの時間を計測するための計測タイマを起動する(ステップS04)。かかる場合は、図2のシーケンス図において説明したように、公衆網130が携帯電話機140からの発信信号の宛先のPHS通信装置120に対して着信信号を正常に送信している状態にあって、かつ、公衆網130からの着信信号を受け取ったPHS通信装置120は、シリアル接続している電子機器100に対して着信通知コマンドを転送した状態にあることを示している。
【0048】
しかる後、携帯電話機140は、起動した計測タイマが、監視対象の電子機器100の死活状態を判別するための確認時間Yとしてあらかじめ定めた時間が経過したか否かを確認する(ステップS05)。ここで、該確認時間Yとは、図2にシーケンス図において"確認時間"として示した時間のことであり、死活監視先の電子機器100が正常に動作していることを示す時間であり、死活監視先の電子機器100が正常に動作している場合には、着信通知コマンドを受信してから該確認時間に相当する時間が経過した時点でシリアル接続したPHS通信装置120に対して切断要求コマンドを送出する。したがって、該確認時間は、携帯電話機140側において、PHS通信装置120から公衆網130を介して送信されてくる切断信号が到着することを監視するための監視時間でもある。つまり、携帯電話機140側においては、呼出中信号を受信してから確認時間Yが経過するまでの間に切断信号を受信した場合には、死活監視先の電子機器100は正常に動作している状態にあり、一方、呼出中信号を受信してから確認時間Yが経過しても、切断信号を受信することができなかった場合には、死活監視先の電子機器100は動作していない異常状態にあるものと判断する。
【0049】
起動した計測タイマが、PHS通信装置120からの切断信号を受信することなく、あらかじめ定めた確認時間Yを経過していた場合には(ステップS05のYES)、電子機器100への着信動作を正常に実施して呼出中信号を返送してきたPHS通信装置120は正常な状態にあったものの、該PHS通信装置120がシリアル接続されている死活監視先の電子機器100は動作していない異常状態にあるものと判断し、当該電子機器100の修理・調整を実施する(ステップS09)。
【0050】
次に、起動した計測タイマが、あらかじめ定めた確認時間Yを経過していなかった場合には(ステップS05のNO)、まず、PHS通信装置120から公衆網130を介して応答信号が送信されてきたか否かを確認する(ステップS06)。これは、電子機器100の死活確認用としては不要である応答信号が誤って公衆網130に送信された場合、課金状態に移行してしまうため、死活確認動作に掛かる通信費をできる限り低減するための措置である。PHS通信装置120から応答信号が送信されてきた場合は(ステップS06のYES)、電子機器100の動作が異常であるものと判断し、当該電子機器100の修理・調整を実施することにする(ステップS09)。
【0051】
一方、PHS通信装置120から応答信号が送信されてきていない場合は(ステップS06のNO)、次に、PHS通信装置120から公衆網130を介して切断信号が送信されてきたか否かを確認する(ステップS07)。PHS通信装置120から切断信号が送信されてきていない場合は(ステップS07のNO)、ステップS05に復帰して、呼出中信号を受信してから確認時間Yが経過したかを確認する動作を繰り返す。なお、公衆網130から応答信号、切断信号以外の信号を受信した場合は、かかる信号を一切無視して、時間監視動作を継続する。
【0052】
PHS通信装置120から切断信号が送信されてきた場合は(ステップS07のYES)、PHS通信装置120とともに死活監視先の電子機器100も正常に動作しているものと判断する(ステップS08)。
【0053】
なお、ここで、メンテナンス者150が、死活監視先の電子機器100が正常に動作していた場合について、その1ないし複数の動作状態をも含めて確認しようとする場合には、図2のシーケンス図において説明したように、あらかじめ定めた測定時間(例えば1分間)内に、当該電子機器100に対して、確認しようとする1ないし複数の状態情報の種類数に応じて1回ないし複数回発信動作を繰り返し、それぞれの発信動作において、切断信号が送信されてくるまでの時間を確認するようにすれば良い。
【0054】
つまり、死活監視先の電子機器100においては、着信通知コマンドを受け取ってから切断要求コマンドを送信するまでの時間としてあらかじめ定めた一定時間X(前記確認時間Yの範囲内の時間値)として、1ないし複数の動作状態に対応する時間を登録しており、測定時間(例えば1分間)内の各発信動作に対応する着信通知コマンドを受け取る都度、それぞれにおいて通知すべき動作状態に該当する一定時間Xだけ経過した時点で、切断要求コマンドをPHS通信装置120に対して送信するように動作するようにすれば良い。
【0055】
次に、図4のフローチャートを用いて、図1の電子機器死活監視システムにおいて、メンテナンス者150が操作する携帯電話機140からの着信信号を受信した場合の死活監視先の電子機器100における動作の一例を、詳細に説明する。ここに、図4のような動作を実行する電子機器100は、動作できなくなる異常状態にあるのではなく、正常に動作する状態にある場合であることは言うまでもない。
【0056】
まず、シリアル接続されているPHS通信装置120から、着信通知コマンドを受け取ると(ステップS11)、該着信通知コマンドに含まれている発信元の通信端末の電話番号・サブアドレスを取り出し、登録発信者情報としてあらかじめ登録している、当該電子機器100を管理するメンテナンス者150が操作する携帯電話機140の電話番号・サブアドレスと照合し、受け取った着信通知コマンドが当該携帯電話機140からの着信であるか否かを確認する(ステップS12)。該着信通知コマンドに含まれている発信元の通信端末の電話番号・サブアドレスが、登録されている携帯電話機140の電話番号・サブアドレスと異なっている場合には(ステップS12のNO)、死活状態の確認のためにメンテナンス者150の携帯電話機140から発信してきている場合ではないので、通常の着信動作としての処理を実施する(ステップS15)。
【0057】
一方、受け取った着信通知コマンドに含まれている発信元の通信端末の電話番号・サブアドレスが、登録されている携帯電話機140の電話番号・サブアドレスと一致していた場合は(ステップS12のYES)、死活状態の確認のためにメンテナンス者150の携帯電話機140から発信してきている場合であるので、着信通知コマンドを受け取ってからあらかじめ定めた切断要求時間Z(図3における確認時間Yの時間値と等しい)が経過したか否かを確認する(ステップS13)。該切断要求時間Zが経過していない場合は(ステップS13のNO)、ステップS13の確認動作を繰り返すことにより、該切断要求時間Zが経過するまで待ち合わせる。
【0058】
着信通知コマンドを受け取ってからあらかじめ定めた切断要求時間Zが経過した場合は(ステップS13のYES)、当該電子機器100は正常に動作している旨を示すために、シリアル接続しているPHS通信装置120に対して、公衆網130を介して発信元の携帯電話機140に切断信号を送信することを要求する切断要求コマンドを送信する(ステップS14)。
【0059】
なお、ここで、メンテナンス者150が、死活監視先の電子機器100が正常に動作していた場合について、その1ないし複数の動作状態をも含めて確認しようとする場合には、図2のシーケンス図において説明したように、あらかじめ定めた測定時間(例えば1分間)内に、当該電子機器100に対して、確認しようとする1ないし複数の状態情報の個数に応じて1回ないし複数回発信動作を繰り返すので、それぞれの発信動作に対応する着信通知コマンドにおいて、確認対象の動作状態に該当する状態情報に応じてあらかじめ定めた一定時間X(切断要求時間Zの範囲内の時間値として定義している)だけ経過した時点で、PHS通信装置120に対して切断要求コマンドを送信するようにすれば良い。
【0060】
以上の説明においては、死活監視先の電子機器100にシリアル接続される通信装置として、PHS通信装置120を用いる場合について説明したが、電子機器100との間で、ATコマンド等の端末制御用コマンドを用いて、着信通知、切断要求を通知することができる通信装置であれば、如何なる種類の通信装置であっても構わなく、FOMA通信装置、DoPa(登録商標、Docomo Packet)通信装置、携帯電話モバイル通信装置等であっても良い。また、メンテナンス者150が操作する通信端末は、携帯電話機140のみに限るものではなく、PHS端末、PDA端末、ノートPC等の携帯端末や卓上型の固定電話機であっても良いし、ISDN網用の電話機やIP網用の電話機であっても良い。
【0061】
(実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本実施形態においては、次のような効果を奏することができる。
【0062】
第1に、死活監視先の電子機器100の異常を早期に発見することができる。その理由は、メンテナンス者150が携帯電話機140等の通信端末を操作して、電子機器100を呼び出し、そのリングバックトーンが停止するまでの時間を監視だけで、死活監視先の電子機器100が設置されている現場まで出向くことなく、公衆網130を介して、遠隔から、電子機器100の異常の有無を確認することができるからである。
【0063】
第2に、死活監視先の電子機器100の異常か、該電子機器100にシリアル接続されているPHS通信装置120の異常かを容易に判別することができる。その理由は、電子機器100の異常時とPHS通信装置120の異常時とで、発信元のメンテナンス者150の携帯電話機140に対して返送されてくる信号の種類やシーケンスが異なるからである。
【0064】
以上、本発明の好適実施例の構成を説明した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。
【符号の説明】
【0065】
100 電子機器
110 シリアルケーブル
120 PHS通信装置
130 公衆網
140 携帯電話機
150 メンテナンス者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公衆網を介して通信を行う通信装置を接続した電子機器と、該電子機器を保守するメンテナンス者によって操作される通信端末とからなり、該通信端末を操作して前記公衆網を介して前記通信装置に接続することにより、前記通信装置に接続された前記電子機器の死活状態を監視する電子機器死活監視システムにおいて、メンテナンス者の前記通信端末は、死活監視先の前記電子機器が接続された前記通信装置に対して前記公衆網を介して発信し、前記通信端末からの前記公衆網を介した着信を受け取った前記通信装置は、前記電子機器に対して前記通信端末の発信者番号を含む着信通知コマンドを転送するとともに、前記電子機器に該着信通知コマンドを送信した旨を示す呼出中信号を発信元のメンテナンス者の前記通信端末に対して前記公衆網を介して送信し、該着信通知コマンドを受け取った前記電子機器は、当該電子機器が正常に動作していることを示すための時間値としてあらかじめ定めた確認時間だけ経過した時点で、前記通信装置に対して切断を要求する切断要求コマンドを送信し、該切断要求コマンドを受け取った前記通信装置は、前記公衆網を介して、発信元のメンテナンス者の前記通信端末に対して切断信号を送信することを特徴とする電子機器死活監視システム。
【請求項2】
前記電子機器は、当該電子機器を保守するメンテナンス者の前記通信端末の電話番号・サブアドレスを、登録発信者情報としてあらかじめ登録しておき、前記通信装置から前記着信通知コマンドを受け取った際に、前記着信通知コマンドに含まれている発信者情報とあらかじめ登録している前記登録発信者情報とを照合して一致していた場合に、前記確認時間だけ経過した時点で、前記通信装置に対して前記切断要求コマンドを送信することを特徴とする請求項1に記載の電子機器死活監視システム。
【請求項3】
メンテナンス者の前記通信端末は、前記公衆網を介して前記通信装置から前記呼出中信号を受信した際に、リングバックトーンを鳴動させ、しかる後、前記公衆網を介して前記通信装置から前記切断信号を受信した際に、先に鳴動させていたリングバックトーンを停止させて、前記通信装置に対して発信した発信呼を終了させることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器死活監視システム。
【請求項4】
前記電子機器は、前記確認時間内の時間であって、当該電子機器の複数の動作状態のそれぞれを示す時間値としてあらかじめ定めた一定時間を複数用意し、前記通信装置から前記着信通知コマンドを受け取った際に、前記確認時間だけ経過した時点で前記切断要求コマンドを送信する代わりに、前記電子機器の複数の動作状態のうち当該電子機器の現在の動作状態を示す前記一定時間が経過した時点で、前記通信装置に対して前記切断要求コマンドを送信し、該切断要求コマンドを受け取った前記通信装置は、前記公衆網を介して、発信元のメンテナンス者の前記通信端末に対して切断信号を送信することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電子機器死活監視システム。
【請求項5】
前記電子機器に、前記メンテナンス者に通知すべき当該電子機器の状態情報として複数種類の状態情報が存在している場合、前記一定時間として、前記状態情報の種類それぞれにおける当該電子機器の複数の動作状態のそれぞれを示す時間値を、前記状態情報の種類ごとにあらかじめ定め、発信元のメンテナンス者の前記通信端末は、死活監視先の前記電子機器の死活状態を測定するための時間範囲としてあらかじめ定めた測定時間内に、死活監視先の前記電子機器が接続された前記通信装置に対して、通知させようとする前記電子機器の状態情報の種類数に応じた回数分の発信動作を繰り返し、前記電子機器は、前記通信装置からの前記着信通知コマンドを受け取る都度、前記測定範囲内における前記着信通知コマンドの着信回数に基づいて、前記メンテナンス者に通知すべき当該電子機器の状態情報の種類を識別し、識別した該動作状態の種類に関する当該電子機器の現在の動作状態を示す前記一定時間が経過した時点で、前記通信装置に対して前記切断要求コマンドを送信し、該切断要求コマンドを受け取った前記通信装置は、前記公衆網を介して、発信元のメンテナンス者の前記通信端末に対して切断信号を送信することを特徴とする請求項4に記載の電子機器死活監視システム。
【請求項6】
公衆網を介して通信を行う通信装置を接続した電子機器と、該電子機器を保守するメンテナンス者によって操作される通信端末とからなり、該通信端末を操作して前記公衆網を介して前記通信装置に接続することにより、前記通信装置に接続された前記電子機器の死活状態を監視する電子機器死活監視方法であって、メンテナンス者の前記通信端末は、死活監視先の前記電子機器が接続された前記通信装置に対して前記公衆網を介して発信し、前記通信端末からの前記公衆網を介した着信を受け取った前記通信装置は、前記電子機器に対して前記通信端末の発信者番号を含む着信通知コマンドを転送するとともに、前記電子機器に該着信通知コマンドを送信した旨を示す呼出中信号を発信元のメンテナンス者の前記通信端末に対して前記公衆網を介して送信し、該着信通知コマンドを受け取った前記電子機器は、当該電子機器が正常に動作していることを示すための時間値としてあらかじめ定めた確認時間だけ経過した時点で、前記通信装置に対して切断を要求する切断要求コマンドを送信し、該切断要求コマンドを受け取った前記通信装置は、前記公衆網を介して、発信元のメンテナンス者の前記通信端末に対して切断信号を送信することを特徴とする電子機器死活監視方法。
【請求項7】
前記電子機器は、当該電子機器を保守するメンテナンス者の前記通信端末の電話番号・サブアドレスを、登録発信者情報としてあらかじめ登録しておき、前記通信装置から前記着信通知コマンドを受け取った際に、前記着信通知コマンドに含まれている発信者情報とあらかじめ登録している前記登録発信者情報とを照合して一致していた場合に、前記確認時間だけ経過した時点で、前記通信装置に対して前記切断要求コマンドを送信することを特徴とする請求項6に記載の電子機器死活監視方法。
【請求項8】
メンテナンス者の前記通信端末は、前記公衆網を介して前記通信装置から前記呼出中信号を受信した際に、リングバックトーンを鳴動させ、しかる後、前記公衆網を介して前記通信装置から前記切断信号を受信した際に、先に鳴動させていたリングバックトーンを停止させて、前記通信装置に対して発信した発信呼を終了させることを特徴とする請求項6または7に記載の電子機器死活監視方法。
【請求項9】
公衆網を介して通信を行う通信装置を接続した電子機器と、該電子機器を保守するメンテナンス者によって操作される通信端末とからなり、該通信端末を操作して前記公衆網を介して前記通信装置に接続することにより、前記通信装置に接続された前記電子機器の死活状態を監視する電子機器死活監視方法をコンピュータによって実行可能なプログラムとして実施する前記通信端末における電子機器死活監視プログラムであって、メンテナンス者の前記通信端末は、死活監視先の前記電子機器が接続された前記通信装置に対して前記公衆網を介して発信し、前記公衆網を介して、前記通信装置から、前記電子機器に着信通知コマンドを送信した旨を示す呼出中信号を受信した際に、リングバックトーンを鳴動させ、しかる後、前記公衆網を介して、前記通信装置から、切断信号を受信した際に、先に鳴動させていたリングバックトーンを停止させて、前記通信装置に対して発信した発信呼を終了させることを特徴とする電子機器死活監視プログラム。
【請求項10】
公衆網を介して通信を行う通信装置を接続した電子機器と、該電子機器を保守するメンテナンス者によって操作される通信端末とからなり、該通信端末を操作して前記公衆網を介して前記通信装置に接続することにより、前記通信装置に接続された前記電子機器の死活状態を監視する電子機器死活監視方法をコンピュータによって実行可能なプログラムとして実施する前記電子機器における電子機器死活監視プログラムであって、前記電子機器は、当該電子機器を保守するメンテナンス者の前記通信端末の電話番号・サブアドレスを、登録発信者情報としてあらかじめ登録しておき、前記通信装置から着信通知コマンドを受け取った際に、前記着信通知コマンドに含まれている発信者情報とあらかじめ登録している前記登録発信者情報とを照合して一致していた場合に、当該電子機器が正常に動作していることを示すための時間値としてあらかじめ定めた確認時間だけ経過した時点で、前記通信装置に対して前記切断要求コマンドを送信することを特徴とする電子機器死活監視プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−39208(P2012−39208A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175163(P2010−175163)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】