電子機器用タッチパッド
【課題】
暗所でも操作容易であり、かつ電子機器の長期使用を可能にする。
【解決手段】
本発明は、電子機器と別体で、当該電子機器を操作するタッチパッド1であって、ハーフミラーとして機能し、表側から面操作可能な操作板20と、当該操作板20の裏側に配置されると共に、外部光源71からの光を導光して当該操作板20に向けて照光可能な導光板30と、当該導光板30の裏側に配置され、操作板20上での面操作によって操作位置を特定可能なタッチセンサ50とを積層して備える電子機器用タッチパッド1に関する。
暗所でも操作容易であり、かつ電子機器の長期使用を可能にする。
【解決手段】
本発明は、電子機器と別体で、当該電子機器を操作するタッチパッド1であって、ハーフミラーとして機能し、表側から面操作可能な操作板20と、当該操作板20の裏側に配置されると共に、外部光源71からの光を導光して当該操作板20に向けて照光可能な導光板30と、当該導光板30の裏側に配置され、操作板20上での面操作によって操作位置を特定可能なタッチセンサ50とを積層して備える電子機器用タッチパッド1に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器との間で有線若しくは無線にてアクセスして操作可能な電子機器用タッチパッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、カーオーディオ、カーナビゲーションシステム等に代表される車載用電子機器は、押釦スイッチ、ダイヤル等の表側に突出する操作部分を備えているが、搭乗者が当該突出する操作部分に手足あるいは顔をぶつけて怪我をする危険性があることから、最近では、安全性を重視して突出部分をできるだけ少なくしたフラットな外観へと変化してきている。また、ホームオーディオ等の電子機器でも、できるだけ突出する部位を排除することにより、幼児が怪我をするのを防止し、あるいは塵や埃が溜まりにくい外観設計が行われている。その一役を担う操作方式の一例に、ディスプレイに直接触れて操作するタッチパネル方式がある。タッチパネル方式の電子機器を操作する場合、操作者は、電子機器の画面に触れて種々の操作を行うことにより、画面に表示される画像の切り替えの他、例えば地図が表示されている場合に当該地図の拡大・縮小を行うことができる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−265544
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タッチパネル式の電子機器の場合、その電源をオンにすると、ディスプレイであるLCDはその裏側からバックライトによって照光されるため、周囲が暗くても、容易にディスプレイに触れて操作できる。
【0005】
しかし、画像を表示するディスプレイに直接タッチして操作することになるため、ディスプレイの表面が汚れ、あるいは操作時に爪により傷が付きやすいという問題がある。特に、ディスプレイの表面に傷が付いてしまうと、高価な電子機器自体を交換する必要が生じる。
【0006】
本発明は、上記問題を解決すること、すなわち、暗所でも操作容易であり、かつ電子機器の長期使用を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決するため、本発明の一形態は、電子機器と別体で、当該電子機器を操作する電子機器用タッチパッドであって、ハーフミラーとして機能し、表側から面操作可能な操作板と、当該操作板の裏側に配置されると共に、外部光源からの光を導光して当該操作板に向けて照光可能な導光板と、当該導光板の裏側に配置され、操作板上での面操作によって操作位置を特定可能なタッチセンサとを積層して備える電子機器用タッチパッドである。
【0008】
本発明の別の形態は、導光板とタッチセンサとの間に、タッチセンサ側への導光を抑制するための導光抑制層を、さらに備える電子機器用タッチパッドである。
【0009】
本発明の別の形態は、さらに、導光板の一部に、操作板の方向に導光しやすい凹凸領域を形成している電子機器用タッチパッドである。
【0010】
本発明の別の形態は、さらに、凹凸領域を、導光板のタッチセンサ側の面に形成している電子機器用タッチパッドである。
【0011】
本発明の別の形態は、さらに、タッチセンサを静電容量方式のセンサとし、操作板に形成される反射層を、その構成粒子を島状に分散させた層とする電子機器用タッチパッドである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、暗所でも操作容易であり、かつ電子機器の長期使用が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、第一の実施の形態に係る電子機器用タッチパッドと、当該タッチパッドからの操作を受け付けて画像の表示を変える電子機器とを示す概略図である。
【図2】図2は、図1に示すタッチパッドの斜視図である。
【図3】図3は、図1に示すタッチパッドの平面図である。
【図4】図4は、図1に示すタッチパッドの分解斜視図である。
【図5】図5は、図3に示すタッチパッドのA−A線断面図およびタッチセンサの中央部分の拡大断面図である。
【図6】図6は、図5に示す操作板の詳細な構成を示す断面図である。
【図7】図7は、図5に示すタッチセンサの一部分解斜視図である。
【図8】図8は、図7に示すタッチセンサによる操作位置の検出方法を説明するための図である。
【図9】図9は、第二の実施の形態に係るタッチパッドに備えるタッチセンサの分解斜視図である。
【図10】図10は、図9に示すタッチセンサを組み立てた状態の平面図である。
【図11】図11は、図10に示すDの領域のC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の電子機器用タッチパッドの各実施の形態について説明する。
【0015】
1.第一の実施の形態
【0016】
図1は、第一の実施の形態に係る電子機器用タッチパッドと、当該タッチパッドからの操作を受け付けて画像の表示を変える電子機器とを示す概略図である。
【0017】
電子機器用タッチパッド(以後、単に、「タッチパッド」という)1は、有線若しくは無線にて電子機器2に操作信号を送信することができる操作機器であって、電子機器2と別体にて構成されている。例えば、タッチパッド1の操作面上を右斜め上方(Xで示す方向)に操作すると、電子機器2のディスプレイ3に表示されるオブジェクト5は、表示5aの状態(図1にて点線で表示)から、右斜め上方(Xで示す方向)の表示5bへと移動する。このように、電子機器2に表示される画像は、タッチパッド1からの操作を受け付けて、移動、さらには回転、拡大・縮小、選択等も可能である。
【0018】
図2は、図1に示すタッチパッドの斜視図である。図3は、図1に示すタッチパッドの平面図である。図4は、図1に示すタッチパッドの分解斜視図である。
【0019】
タッチパッド1は、上側ハウジング10と下側ハウジング60を、互いの開口面を合わせて形成される空間に、上側ハウジング10側から順に、操作板20、導光板30、導光抑制層40、タッチセンサ50を積層して備える。
【0020】
上側ハウジング10は、好適にはポリプロピレン等の硬質樹脂から構成される薄型で矩形のケースであって、その面内略中央に矩形の貫通孔11を有する。貫通孔11の周囲には、上側ハウジング10の上面から貫通孔11に向かって緩やかに下方傾斜する傾斜部12が形成されている。また、上側ハウジング10の一側面は、小さな貫通孔13を有しており、貫通孔13から内部に光を入れることができるようになっている。下側ハウジング60は、上側ハウジング10とほぼ同じ開口面積を有し、好適にはポリプロピレン等の硬質樹脂から構成される薄型で矩形のケースであって、その面内略中央に矩形の貫通孔61を有する。貫通孔61は、後述のタッチセンサ50と、外部の回路基板や電源等と電気的に接続するための孔である。
【0021】
操作板20は、ハーフミラーとして機能し、タッチパッド1の表側から面操作可能である。操作板20は、後述するように、樹脂製若しくはガラス製の透明板22に膜を形成した多層の板である。操作板20は、その表側から指等でタッチ操作したときに、その操作を内部に伝達可能なレベルに薄く形成されている。例えば、操作板20の好適な厚さは、80〜150μmである。
【0022】
導光板30は、操作板20の裏側に配置されると共に、外部光源からの光を導光して操作板20に向けて照光可能な部材である。導光板30は、透明性の高い樹脂、例えば、アクリル樹脂から好適に構成されている。ただし、導光板30をガラスにて構成しても良い。導光板30は、操作板20の方向からの操作を裏側に伝達可能なレベルに薄く形成されている。例えば、導光板30の好適な厚さは、100〜150μmである。導光板30は、その一部に、操作板20の方向に導光しやすく形成される凹凸領域31を備える。凹凸領域31は、この実施の形態では、平面視にて文字「P」の形状に、導光板30の裏側の面に形成されている。ただし、凹凸領域31は、導光板30の表側の面あるいは内部に形成されていても良い。凹凸領域31の凹凸面の粗さは、光源からの光量、導光板30の透明度、操作板20からの距離などにより適宜変更できるが、一例として、凹凸の山谷間にて1〜20μm程度の範囲が好ましい。凹凸領域31は、金型の転写、レーザーエッチング等にて好適に形成できる。導光板30の表側の面の外周には、突状の接着領域32が形成されている。当該接着領域32は、例えば、両面テープなどで好適に形成可能である。接着領域32を形成することにより、操作板20と導光板30との間に空気層を形成することができ、その結果、凹凸領域31にて反射した光を、操作板20から見やすくすることができる。
【0023】
導光抑制層40は、黒色あるいは銀色等の層であって、導光板30の内部を通る光が凹凸領域31にて反射した後、タッチセンサ50側に導光してタッチセンサ50を操作板20側から見えるのを防止する役割を有する。導光抑制層40は、タッチセンサ50の厚さ方向上側に黒色あるいは銀色の層が存在すれば、必ずしも備える必要は無いが、導光抑制層40を導光板30の裏側に配置することにより、タッチセンサ50側への入光を抑制することができる。導光抑制層40は、例えば、カーボンブラック、インジウム等を印刷した樹脂フィルムなどで構成することができる。
【0024】
タッチセンサ50は、操作板20の表側の面からの操作を検知するセンサであって、抵抗膜方式であるか、静電容量方式であるかを問わない。この実施の形態では、タッチセンサ50を、抵抗膜方式のセンサとしている。タッチセンサ50の構成については、後述する。
【0025】
図5は、図3に示すタッチパッドのA−A線断面図およびタッチセンサの中央部分の拡大断面図である。
【0026】
図5に示すように、上側ハウジング10の一側面に形成される貫通孔13は、導光板30の側端面の高さに形成されている。貫通孔13には、外部に配置される回路基板70上に固定される外部光源(この実施の形態では、LED)71が挿入されている。この結果、LED71からの光は、導光板30の側端面から入光し、凹凸領域31にて反射され、操作板20側へと向かうことができる。なお、貫通孔13は、下側ハウジング60側に形成されていても良い。
【0027】
タッチセンサ50は、2枚の絶縁基板51,52を備える。絶縁基板51は、好適には、絶縁性が高く、かつ可撓性に優れた樹脂板から成り、例えば、PET樹脂、アクリル樹脂等から成る。絶縁基板51の厚さは、好適には、10〜40μmである。一方、絶縁基板52は、絶縁性が高ければ、可撓性を必要としないので、樹脂の他、例えば、ガラスやセラミックスにより構成しても良い。また、絶縁基板52の厚さは、絶縁基板51より厚くても良い。
【0028】
絶縁基板51は、その裏側の面に、複数本の電極板55a,55b,55c,55d,55e,55f(総称する場合には、電極板55)を固定する。絶縁基板52は、その表側の面に、複数本の電極板54c等(総称する場合には、電極板54)を、電極板55と直交するように固定する。電極板55,54は、導電性に優れたCuあるいはAg等の金属を、好適には、印刷あるいは蒸着等の方法にて絶縁基板51,52上に形成される。絶縁基板51と絶縁基板52は、電極板55と電極板54とを対向させ、かつ操作板20側から操作しない状態ではこれら電極板55,54を互いに接触させないように、配置されている。非操作時に電極板55と電極板54との誤接触を確実に防止するため、絶縁基板52の各電極板54の間に、絶縁基板51側に向かって突出する絶縁性の突出部53を備えるのが好ましい。突出部53は、例えば、印刷等によって形成可能である。タッチセンサ50のより詳細な構造については、後述する。
【0029】
図6は、図5に示す操作板の詳細な構成を示す断面図である。
【0030】
操作板20は、その表側から順に、ハードコート層21、透明基材22、反射層23、隠蔽層24を積層して構成される。ハードコート層21は、操作時に透明基材22を傷から守るために形成される層であり、例えば、UV硬化型アクリル系樹脂、あるいはメラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂などから好適に形成される。ハードコート層21の好適な厚さは、1〜20μmである。
【0031】
透明基材22は、好適には、PET系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂とポリエステル系樹脂からなるポリマーアロイ、ABS系樹脂、AS系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、あるいは塩化ビニル系樹脂から成り、特に、PET系樹脂により好適に構成される。透明基材22の好適な厚さは、80〜100μmである。
【0032】
反射層23は、LED71の消灯時において、表側からの光を反射して、透光領域の輪郭が薄く見えることを防ぐ機能を有する。また、反射層23が設けられることにより、使用面を平滑かつ光沢を有する平面に見せることができるため、より好ましい。反射層23には、無機顔料粒子あるいは金属粒子を分散させた樹脂バインダを用いることができる。分散させる材料としては、例えば、インジウムの他、天然若しくは合成雲母に酸化チタンあるいは酸化鉄等の金属酸化物を被覆した顔料(パール顔料)を好適に用いることができる。反射層23の好適な厚さは、0.1〜10μmである。反射層23を構成する無機顔料粒子あるいは金属粒子は、密接状態で存在していても、また島状に分散していても良い。
【0033】
隠蔽層24は、LED71の消灯時において、凹凸領域31の存在を操作面側から視認できないように隠蔽するための層である。隠蔽層24は、所定の光量の光を吸収できるため、光量が少ない場合には光を透過しない。一方、光量が多い場合には、隠蔽層24は、吸収可能な光量を超えた分の光を透過する。すなわち、隠蔽層24は、光半透過機能を有する層である。隠蔽層24は、例えば、全光線透過率が約20%になるよう調整された、黒色あるいは黒色に白色を混合した灰色等のインクによって好適に構成される。なお、内部光源の光の強度に合わせてその黒色の濃度を調整することで、全光線透過率を調整することが望ましい。また、黒色の顔料としては、例えば、カーボンブラックのような微粒子状の炭素材料を用いることができ、その含有量および分散状態の制御により、所望の透過率に調整することができる。隠蔽層24の好適な厚さは、0.1〜10μmである。隠蔽層24も、反射層23と同様、それを、構成粒子を密接状態で存在させても、また島状に分散させても良い。
【0034】
図7は、図5に示すタッチセンサの一部分解斜視図である。図8は、図7に示すタッチセンサによる操作位置の検出方法を説明するための図である。
【0035】
前述のように、絶縁基板51の裏側の面に固定される電極板55a,55b,55c,55d,55e,55fは、絶縁基板52の表側の面に固定される電極板54a,54b,54c,54d,54e,54fと直交している。突出部53は、電極板54の周囲に形成されているが、電極板55の周囲に形成していても良い。電極板55a,55b,55c,55d,55e,55fは、それぞれ、長さ方向の一端に銀ペースト等で形成される端部電極58a,58b,58c,58d,58e,58f(総称する場合には、「端部電極58」という)を有し、それぞれを、配線59a,59b,59c,59d,59e,59f(総称する場合には、「配線59」という)と接続している。同様に、電極板54a,54b,54c,54d,54e,54fも、それぞれ、端部電極56a,56b,56c,56d,56e,56f(総称する場合には、「端部電極56」という)を有し、それぞれを、配線57a,57b,57c,57d,57e,57f(総称する場合には、「配線57」という)と接続している。
【0036】
タッチセンサ50は、上述のように、各電極板55と各電極板54とを互いに直交させ、対向配置している。この結果、タッチパネル50上に、X軸方向に並列配置される複数の電極(X1〜X6)と、Y軸方向に並列配置される複数の電極(Y1〜Y6)とが非接触状態で対向するX−Y座標が形成されていることになる。例えば、図8に示すように、操作者が操作板20から座標(X5,Y3)の位置Bを押したとすると、電極板54eと電極板55cとが導通する。この結果、制御部80(例えば、絶縁基板52上に配置)は、位置Bが操作されたと認識し、この情報を電子機器2側の制御部90へと送信する。制御部90は、この情報に基づいて画像表示を実行する。例えば、操作板20上の操作が連続的に押圧位置を変化させる操作である場合には、座標が刻々と変化するため、電子機器2の制御部90は、タッチパッド1の制御部80から受け取った情報に基づいて、画像を移動するように表示する。なお、タッチパッド1の電源がオンになった後、最初の操作時にLED71を点灯するように設定することもできる。その場合、制御部80は、どの電極板55と電極板54が導通しても、LED71を点灯するようなプログラムに基づき、LED71を点灯する。
【0037】
2.第二の実施の形態
第二の実施の形態に係るタッチパッド1は、第一の実施の形態に係るタッチパッド1のタッチセンサ50を抵抗膜方式のものから、投影型静電容量方式のものに変更したものである。タッチセンサ50以外の構成は、第一の実施の形態と共通であるため、重複した説明を省略する。
【0038】
図9は、第二の実施の形態に係るタッチパッドに備えるタッチセンサの分解斜視図である。図10は、図9に示すタッチセンサを組み立てた状態の平面図である。図11は、図10に示すDの領域のC−C線断面図である。
【0039】
図9に示すように、第二の実施の形態に係るタッチパッド1のタッチセンサ50は、絶縁基板151と絶縁基板152との間に絶縁フィルム153を挟んだ構造を有する。絶縁基板151は、その裏側の面に、菱形形状の導電板165,166,167,168,169を各対角線の方向に直列に接続した細長い電極板164a,164b,164c,164d,164e,164f,164g,164h(総称する場合には、「電極板164」という)を、8本並列に固定する。電極板164a,164b,164c,164d,164e,164f,164g,164hの一方には、それぞれ、リード線170a,170b,170c,170d,170e,170f,170g,170hが接続されている。同様に、絶縁基板152は、その表側の面に、菱形形状の導電板155,156,157,158,159,160,161を各対角線の方向に直列に接続した細長い電極板154a,154b,154c,154d(総称する場合には、「電極板154」という)を、4本並列に固定する。電極板154a,154b,154c,154dの一方には、それぞれ、リード線162a,162b,162c,162dが接続されている。
【0040】
図10に示すように、電極板164a,164b,164c,164d,164e,164f,164g,164hおよび電極板154a,154b,154c,154dは、絶縁基板151の上方からの平面視にて、互いの隙間を埋めるように、表裏方向に重ならないように配置されている。この結果、図11に示すように、電極板164を構成する導電板167等の絶縁フィルム153を挟んだ裏側には、電極板154を構成する導電板156,157等が存在せず、また、導電板156,157等の絶縁フィルム153を挟んだ表側にも、導電板166,167等が存在しない。タッチセンサ50において、電極板164と電極板154が上述のように配置されているため、操作者が絶縁基板151の上方から指を近づけた際に、検出できない領域は存在しない。
【0041】
投影型静電容量方式のタッチセンサ50は、絶縁基板151に固定される電極板164と操作者の指との間の静電容量が変化することによってY方向の座標を検知し、絶縁基板152に固定される電極板154と操作者の指との間の静電容量が変化することによってX方向の座標を検知する。この結果、指等で触れている部分の座標を特定できるので、例えば、操作板20上を指によって所定の方向になぞると、タッチセンサ50から信号を受け取った制御部80は、操作位置の座標が変化していることを認識できる。
【0042】
上記のタッチセンサ50は、自己キャパシタンスを測定するタイプの投影型静電容量センサであるが、相互キャパシタンスを測定するタイプの投影型静電容量センサを採用しても良い。相互キャパシタンスを測定するタイプのタッチセンサは、一方向(例えば、X軸方向)の複数の電極板を駆動電極とし、他方向(例えば、Y軸方向)の複数の電極板を受信電極とし、駆動電極と受信電極とを絶縁フィルムを挟んで対向配置することにより、指等で接触した位置の座標が複数存在していても全て特定可能なセンサである。このため、相互キャパシタンスを測定するタイプのタッチセンサは、マルチタッチにも対応可能であって、操作板20上に2本の指が接触し、あるいはその後、指を動かした場合に、2本の指が接触している箇所を検知することができる。したがって、例えば、操作者が2本の指を操作板20上の所定箇所に接触させ、その位置から指を互いに離す方向若しくは近づける方向に動かした場合に、その動きを検知できる。このため、操作者の感覚に近い状態で、画像の拡大若しくは縮小等も行うことができる。
【0043】
静電容量方式のタッチセンサ50を備えるタッチパッド1の場合、操作板20に形成される反射層23および隠蔽層24の各構成粒子を導電性に富む材料から構成すると、指を操作板20に近づけた際に、その箇所の静電容量の変化を検出しにくくなる可能性がある。反射層23あるいは隠蔽層24の全体が電極として作用し得るからである。このため、反射層23および隠蔽層24の各構成粒子を島状に分散配置し、各粒子若しくは粒子塊が導通しにくいようにする方が好ましい。
【0044】
3.その他の実施の形態
本発明の電子機器用タッチパッドは、上記の各実施の形態に限定されず、例えば、次のような変形実施も可能である。
【0045】
タッチセンサ50は、その裏側から照光しないので、必ずしも透明性に優れた材料から構成することを要しないが、電極板54,55,154,164を、Cu,Ag等の金属以外の材料、例えばITO等の導電性に優れる透明電極としても良い。
【0046】
操作板20を構成する層の一つである隠蔽層24を形成せず、反射層23のみを透明基材22の裏側に形成しても良い。また、ハードコート層21は、透明基材22をガラスにて構成する場合には、必ずしも要しない。
【0047】
タッチセンサ50は、第一の実施の形態では、抵抗膜方式のセンサの一つであるマトリックス抵抗膜方式タッチセンサとして、第二の実施の形態では、自己キャパシタンスまたは相互キャパシタンスを測定する投影型静電容量方式タッチセンサとして説明したが、これらに限定されるものではない。例えば、抵抗膜方式のセンサであっても、4〜8線式アナログ抵抗膜方式のセンサを用いることができる。また、静電容量方式のセンサであっても、先に述べた投影型ではなく、表面型あるいはインナー型のセンサを用いても良い。さらには、タッチセンサ50を、上記の抵抗膜方式あるいは静電容量方式とせず、光学方式あるいは超音波方式のものであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、電子機器の操作を行う操作機器として利用できる。
【符号の説明】
【0049】
1 タッチパッド(電子機器用タッチパッド)
2 電子機器
20 操作板
23 反射層
30 導光板
31 凹凸領域
40 導光抑制層
50 タッチセンサ
71 LED(外部光源)
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器との間で有線若しくは無線にてアクセスして操作可能な電子機器用タッチパッドに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、カーオーディオ、カーナビゲーションシステム等に代表される車載用電子機器は、押釦スイッチ、ダイヤル等の表側に突出する操作部分を備えているが、搭乗者が当該突出する操作部分に手足あるいは顔をぶつけて怪我をする危険性があることから、最近では、安全性を重視して突出部分をできるだけ少なくしたフラットな外観へと変化してきている。また、ホームオーディオ等の電子機器でも、できるだけ突出する部位を排除することにより、幼児が怪我をするのを防止し、あるいは塵や埃が溜まりにくい外観設計が行われている。その一役を担う操作方式の一例に、ディスプレイに直接触れて操作するタッチパネル方式がある。タッチパネル方式の電子機器を操作する場合、操作者は、電子機器の画面に触れて種々の操作を行うことにより、画面に表示される画像の切り替えの他、例えば地図が表示されている場合に当該地図の拡大・縮小を行うことができる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−265544
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タッチパネル式の電子機器の場合、その電源をオンにすると、ディスプレイであるLCDはその裏側からバックライトによって照光されるため、周囲が暗くても、容易にディスプレイに触れて操作できる。
【0005】
しかし、画像を表示するディスプレイに直接タッチして操作することになるため、ディスプレイの表面が汚れ、あるいは操作時に爪により傷が付きやすいという問題がある。特に、ディスプレイの表面に傷が付いてしまうと、高価な電子機器自体を交換する必要が生じる。
【0006】
本発明は、上記問題を解決すること、すなわち、暗所でも操作容易であり、かつ電子機器の長期使用を可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決するため、本発明の一形態は、電子機器と別体で、当該電子機器を操作する電子機器用タッチパッドであって、ハーフミラーとして機能し、表側から面操作可能な操作板と、当該操作板の裏側に配置されると共に、外部光源からの光を導光して当該操作板に向けて照光可能な導光板と、当該導光板の裏側に配置され、操作板上での面操作によって操作位置を特定可能なタッチセンサとを積層して備える電子機器用タッチパッドである。
【0008】
本発明の別の形態は、導光板とタッチセンサとの間に、タッチセンサ側への導光を抑制するための導光抑制層を、さらに備える電子機器用タッチパッドである。
【0009】
本発明の別の形態は、さらに、導光板の一部に、操作板の方向に導光しやすい凹凸領域を形成している電子機器用タッチパッドである。
【0010】
本発明の別の形態は、さらに、凹凸領域を、導光板のタッチセンサ側の面に形成している電子機器用タッチパッドである。
【0011】
本発明の別の形態は、さらに、タッチセンサを静電容量方式のセンサとし、操作板に形成される反射層を、その構成粒子を島状に分散させた層とする電子機器用タッチパッドである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、暗所でも操作容易であり、かつ電子機器の長期使用が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、第一の実施の形態に係る電子機器用タッチパッドと、当該タッチパッドからの操作を受け付けて画像の表示を変える電子機器とを示す概略図である。
【図2】図2は、図1に示すタッチパッドの斜視図である。
【図3】図3は、図1に示すタッチパッドの平面図である。
【図4】図4は、図1に示すタッチパッドの分解斜視図である。
【図5】図5は、図3に示すタッチパッドのA−A線断面図およびタッチセンサの中央部分の拡大断面図である。
【図6】図6は、図5に示す操作板の詳細な構成を示す断面図である。
【図7】図7は、図5に示すタッチセンサの一部分解斜視図である。
【図8】図8は、図7に示すタッチセンサによる操作位置の検出方法を説明するための図である。
【図9】図9は、第二の実施の形態に係るタッチパッドに備えるタッチセンサの分解斜視図である。
【図10】図10は、図9に示すタッチセンサを組み立てた状態の平面図である。
【図11】図11は、図10に示すDの領域のC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の電子機器用タッチパッドの各実施の形態について説明する。
【0015】
1.第一の実施の形態
【0016】
図1は、第一の実施の形態に係る電子機器用タッチパッドと、当該タッチパッドからの操作を受け付けて画像の表示を変える電子機器とを示す概略図である。
【0017】
電子機器用タッチパッド(以後、単に、「タッチパッド」という)1は、有線若しくは無線にて電子機器2に操作信号を送信することができる操作機器であって、電子機器2と別体にて構成されている。例えば、タッチパッド1の操作面上を右斜め上方(Xで示す方向)に操作すると、電子機器2のディスプレイ3に表示されるオブジェクト5は、表示5aの状態(図1にて点線で表示)から、右斜め上方(Xで示す方向)の表示5bへと移動する。このように、電子機器2に表示される画像は、タッチパッド1からの操作を受け付けて、移動、さらには回転、拡大・縮小、選択等も可能である。
【0018】
図2は、図1に示すタッチパッドの斜視図である。図3は、図1に示すタッチパッドの平面図である。図4は、図1に示すタッチパッドの分解斜視図である。
【0019】
タッチパッド1は、上側ハウジング10と下側ハウジング60を、互いの開口面を合わせて形成される空間に、上側ハウジング10側から順に、操作板20、導光板30、導光抑制層40、タッチセンサ50を積層して備える。
【0020】
上側ハウジング10は、好適にはポリプロピレン等の硬質樹脂から構成される薄型で矩形のケースであって、その面内略中央に矩形の貫通孔11を有する。貫通孔11の周囲には、上側ハウジング10の上面から貫通孔11に向かって緩やかに下方傾斜する傾斜部12が形成されている。また、上側ハウジング10の一側面は、小さな貫通孔13を有しており、貫通孔13から内部に光を入れることができるようになっている。下側ハウジング60は、上側ハウジング10とほぼ同じ開口面積を有し、好適にはポリプロピレン等の硬質樹脂から構成される薄型で矩形のケースであって、その面内略中央に矩形の貫通孔61を有する。貫通孔61は、後述のタッチセンサ50と、外部の回路基板や電源等と電気的に接続するための孔である。
【0021】
操作板20は、ハーフミラーとして機能し、タッチパッド1の表側から面操作可能である。操作板20は、後述するように、樹脂製若しくはガラス製の透明板22に膜を形成した多層の板である。操作板20は、その表側から指等でタッチ操作したときに、その操作を内部に伝達可能なレベルに薄く形成されている。例えば、操作板20の好適な厚さは、80〜150μmである。
【0022】
導光板30は、操作板20の裏側に配置されると共に、外部光源からの光を導光して操作板20に向けて照光可能な部材である。導光板30は、透明性の高い樹脂、例えば、アクリル樹脂から好適に構成されている。ただし、導光板30をガラスにて構成しても良い。導光板30は、操作板20の方向からの操作を裏側に伝達可能なレベルに薄く形成されている。例えば、導光板30の好適な厚さは、100〜150μmである。導光板30は、その一部に、操作板20の方向に導光しやすく形成される凹凸領域31を備える。凹凸領域31は、この実施の形態では、平面視にて文字「P」の形状に、導光板30の裏側の面に形成されている。ただし、凹凸領域31は、導光板30の表側の面あるいは内部に形成されていても良い。凹凸領域31の凹凸面の粗さは、光源からの光量、導光板30の透明度、操作板20からの距離などにより適宜変更できるが、一例として、凹凸の山谷間にて1〜20μm程度の範囲が好ましい。凹凸領域31は、金型の転写、レーザーエッチング等にて好適に形成できる。導光板30の表側の面の外周には、突状の接着領域32が形成されている。当該接着領域32は、例えば、両面テープなどで好適に形成可能である。接着領域32を形成することにより、操作板20と導光板30との間に空気層を形成することができ、その結果、凹凸領域31にて反射した光を、操作板20から見やすくすることができる。
【0023】
導光抑制層40は、黒色あるいは銀色等の層であって、導光板30の内部を通る光が凹凸領域31にて反射した後、タッチセンサ50側に導光してタッチセンサ50を操作板20側から見えるのを防止する役割を有する。導光抑制層40は、タッチセンサ50の厚さ方向上側に黒色あるいは銀色の層が存在すれば、必ずしも備える必要は無いが、導光抑制層40を導光板30の裏側に配置することにより、タッチセンサ50側への入光を抑制することができる。導光抑制層40は、例えば、カーボンブラック、インジウム等を印刷した樹脂フィルムなどで構成することができる。
【0024】
タッチセンサ50は、操作板20の表側の面からの操作を検知するセンサであって、抵抗膜方式であるか、静電容量方式であるかを問わない。この実施の形態では、タッチセンサ50を、抵抗膜方式のセンサとしている。タッチセンサ50の構成については、後述する。
【0025】
図5は、図3に示すタッチパッドのA−A線断面図およびタッチセンサの中央部分の拡大断面図である。
【0026】
図5に示すように、上側ハウジング10の一側面に形成される貫通孔13は、導光板30の側端面の高さに形成されている。貫通孔13には、外部に配置される回路基板70上に固定される外部光源(この実施の形態では、LED)71が挿入されている。この結果、LED71からの光は、導光板30の側端面から入光し、凹凸領域31にて反射され、操作板20側へと向かうことができる。なお、貫通孔13は、下側ハウジング60側に形成されていても良い。
【0027】
タッチセンサ50は、2枚の絶縁基板51,52を備える。絶縁基板51は、好適には、絶縁性が高く、かつ可撓性に優れた樹脂板から成り、例えば、PET樹脂、アクリル樹脂等から成る。絶縁基板51の厚さは、好適には、10〜40μmである。一方、絶縁基板52は、絶縁性が高ければ、可撓性を必要としないので、樹脂の他、例えば、ガラスやセラミックスにより構成しても良い。また、絶縁基板52の厚さは、絶縁基板51より厚くても良い。
【0028】
絶縁基板51は、その裏側の面に、複数本の電極板55a,55b,55c,55d,55e,55f(総称する場合には、電極板55)を固定する。絶縁基板52は、その表側の面に、複数本の電極板54c等(総称する場合には、電極板54)を、電極板55と直交するように固定する。電極板55,54は、導電性に優れたCuあるいはAg等の金属を、好適には、印刷あるいは蒸着等の方法にて絶縁基板51,52上に形成される。絶縁基板51と絶縁基板52は、電極板55と電極板54とを対向させ、かつ操作板20側から操作しない状態ではこれら電極板55,54を互いに接触させないように、配置されている。非操作時に電極板55と電極板54との誤接触を確実に防止するため、絶縁基板52の各電極板54の間に、絶縁基板51側に向かって突出する絶縁性の突出部53を備えるのが好ましい。突出部53は、例えば、印刷等によって形成可能である。タッチセンサ50のより詳細な構造については、後述する。
【0029】
図6は、図5に示す操作板の詳細な構成を示す断面図である。
【0030】
操作板20は、その表側から順に、ハードコート層21、透明基材22、反射層23、隠蔽層24を積層して構成される。ハードコート層21は、操作時に透明基材22を傷から守るために形成される層であり、例えば、UV硬化型アクリル系樹脂、あるいはメラミン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂などから好適に形成される。ハードコート層21の好適な厚さは、1〜20μmである。
【0031】
透明基材22は、好適には、PET系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリカーボネート系樹脂とポリエステル系樹脂からなるポリマーアロイ、ABS系樹脂、AS系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、あるいは塩化ビニル系樹脂から成り、特に、PET系樹脂により好適に構成される。透明基材22の好適な厚さは、80〜100μmである。
【0032】
反射層23は、LED71の消灯時において、表側からの光を反射して、透光領域の輪郭が薄く見えることを防ぐ機能を有する。また、反射層23が設けられることにより、使用面を平滑かつ光沢を有する平面に見せることができるため、より好ましい。反射層23には、無機顔料粒子あるいは金属粒子を分散させた樹脂バインダを用いることができる。分散させる材料としては、例えば、インジウムの他、天然若しくは合成雲母に酸化チタンあるいは酸化鉄等の金属酸化物を被覆した顔料(パール顔料)を好適に用いることができる。反射層23の好適な厚さは、0.1〜10μmである。反射層23を構成する無機顔料粒子あるいは金属粒子は、密接状態で存在していても、また島状に分散していても良い。
【0033】
隠蔽層24は、LED71の消灯時において、凹凸領域31の存在を操作面側から視認できないように隠蔽するための層である。隠蔽層24は、所定の光量の光を吸収できるため、光量が少ない場合には光を透過しない。一方、光量が多い場合には、隠蔽層24は、吸収可能な光量を超えた分の光を透過する。すなわち、隠蔽層24は、光半透過機能を有する層である。隠蔽層24は、例えば、全光線透過率が約20%になるよう調整された、黒色あるいは黒色に白色を混合した灰色等のインクによって好適に構成される。なお、内部光源の光の強度に合わせてその黒色の濃度を調整することで、全光線透過率を調整することが望ましい。また、黒色の顔料としては、例えば、カーボンブラックのような微粒子状の炭素材料を用いることができ、その含有量および分散状態の制御により、所望の透過率に調整することができる。隠蔽層24の好適な厚さは、0.1〜10μmである。隠蔽層24も、反射層23と同様、それを、構成粒子を密接状態で存在させても、また島状に分散させても良い。
【0034】
図7は、図5に示すタッチセンサの一部分解斜視図である。図8は、図7に示すタッチセンサによる操作位置の検出方法を説明するための図である。
【0035】
前述のように、絶縁基板51の裏側の面に固定される電極板55a,55b,55c,55d,55e,55fは、絶縁基板52の表側の面に固定される電極板54a,54b,54c,54d,54e,54fと直交している。突出部53は、電極板54の周囲に形成されているが、電極板55の周囲に形成していても良い。電極板55a,55b,55c,55d,55e,55fは、それぞれ、長さ方向の一端に銀ペースト等で形成される端部電極58a,58b,58c,58d,58e,58f(総称する場合には、「端部電極58」という)を有し、それぞれを、配線59a,59b,59c,59d,59e,59f(総称する場合には、「配線59」という)と接続している。同様に、電極板54a,54b,54c,54d,54e,54fも、それぞれ、端部電極56a,56b,56c,56d,56e,56f(総称する場合には、「端部電極56」という)を有し、それぞれを、配線57a,57b,57c,57d,57e,57f(総称する場合には、「配線57」という)と接続している。
【0036】
タッチセンサ50は、上述のように、各電極板55と各電極板54とを互いに直交させ、対向配置している。この結果、タッチパネル50上に、X軸方向に並列配置される複数の電極(X1〜X6)と、Y軸方向に並列配置される複数の電極(Y1〜Y6)とが非接触状態で対向するX−Y座標が形成されていることになる。例えば、図8に示すように、操作者が操作板20から座標(X5,Y3)の位置Bを押したとすると、電極板54eと電極板55cとが導通する。この結果、制御部80(例えば、絶縁基板52上に配置)は、位置Bが操作されたと認識し、この情報を電子機器2側の制御部90へと送信する。制御部90は、この情報に基づいて画像表示を実行する。例えば、操作板20上の操作が連続的に押圧位置を変化させる操作である場合には、座標が刻々と変化するため、電子機器2の制御部90は、タッチパッド1の制御部80から受け取った情報に基づいて、画像を移動するように表示する。なお、タッチパッド1の電源がオンになった後、最初の操作時にLED71を点灯するように設定することもできる。その場合、制御部80は、どの電極板55と電極板54が導通しても、LED71を点灯するようなプログラムに基づき、LED71を点灯する。
【0037】
2.第二の実施の形態
第二の実施の形態に係るタッチパッド1は、第一の実施の形態に係るタッチパッド1のタッチセンサ50を抵抗膜方式のものから、投影型静電容量方式のものに変更したものである。タッチセンサ50以外の構成は、第一の実施の形態と共通であるため、重複した説明を省略する。
【0038】
図9は、第二の実施の形態に係るタッチパッドに備えるタッチセンサの分解斜視図である。図10は、図9に示すタッチセンサを組み立てた状態の平面図である。図11は、図10に示すDの領域のC−C線断面図である。
【0039】
図9に示すように、第二の実施の形態に係るタッチパッド1のタッチセンサ50は、絶縁基板151と絶縁基板152との間に絶縁フィルム153を挟んだ構造を有する。絶縁基板151は、その裏側の面に、菱形形状の導電板165,166,167,168,169を各対角線の方向に直列に接続した細長い電極板164a,164b,164c,164d,164e,164f,164g,164h(総称する場合には、「電極板164」という)を、8本並列に固定する。電極板164a,164b,164c,164d,164e,164f,164g,164hの一方には、それぞれ、リード線170a,170b,170c,170d,170e,170f,170g,170hが接続されている。同様に、絶縁基板152は、その表側の面に、菱形形状の導電板155,156,157,158,159,160,161を各対角線の方向に直列に接続した細長い電極板154a,154b,154c,154d(総称する場合には、「電極板154」という)を、4本並列に固定する。電極板154a,154b,154c,154dの一方には、それぞれ、リード線162a,162b,162c,162dが接続されている。
【0040】
図10に示すように、電極板164a,164b,164c,164d,164e,164f,164g,164hおよび電極板154a,154b,154c,154dは、絶縁基板151の上方からの平面視にて、互いの隙間を埋めるように、表裏方向に重ならないように配置されている。この結果、図11に示すように、電極板164を構成する導電板167等の絶縁フィルム153を挟んだ裏側には、電極板154を構成する導電板156,157等が存在せず、また、導電板156,157等の絶縁フィルム153を挟んだ表側にも、導電板166,167等が存在しない。タッチセンサ50において、電極板164と電極板154が上述のように配置されているため、操作者が絶縁基板151の上方から指を近づけた際に、検出できない領域は存在しない。
【0041】
投影型静電容量方式のタッチセンサ50は、絶縁基板151に固定される電極板164と操作者の指との間の静電容量が変化することによってY方向の座標を検知し、絶縁基板152に固定される電極板154と操作者の指との間の静電容量が変化することによってX方向の座標を検知する。この結果、指等で触れている部分の座標を特定できるので、例えば、操作板20上を指によって所定の方向になぞると、タッチセンサ50から信号を受け取った制御部80は、操作位置の座標が変化していることを認識できる。
【0042】
上記のタッチセンサ50は、自己キャパシタンスを測定するタイプの投影型静電容量センサであるが、相互キャパシタンスを測定するタイプの投影型静電容量センサを採用しても良い。相互キャパシタンスを測定するタイプのタッチセンサは、一方向(例えば、X軸方向)の複数の電極板を駆動電極とし、他方向(例えば、Y軸方向)の複数の電極板を受信電極とし、駆動電極と受信電極とを絶縁フィルムを挟んで対向配置することにより、指等で接触した位置の座標が複数存在していても全て特定可能なセンサである。このため、相互キャパシタンスを測定するタイプのタッチセンサは、マルチタッチにも対応可能であって、操作板20上に2本の指が接触し、あるいはその後、指を動かした場合に、2本の指が接触している箇所を検知することができる。したがって、例えば、操作者が2本の指を操作板20上の所定箇所に接触させ、その位置から指を互いに離す方向若しくは近づける方向に動かした場合に、その動きを検知できる。このため、操作者の感覚に近い状態で、画像の拡大若しくは縮小等も行うことができる。
【0043】
静電容量方式のタッチセンサ50を備えるタッチパッド1の場合、操作板20に形成される反射層23および隠蔽層24の各構成粒子を導電性に富む材料から構成すると、指を操作板20に近づけた際に、その箇所の静電容量の変化を検出しにくくなる可能性がある。反射層23あるいは隠蔽層24の全体が電極として作用し得るからである。このため、反射層23および隠蔽層24の各構成粒子を島状に分散配置し、各粒子若しくは粒子塊が導通しにくいようにする方が好ましい。
【0044】
3.その他の実施の形態
本発明の電子機器用タッチパッドは、上記の各実施の形態に限定されず、例えば、次のような変形実施も可能である。
【0045】
タッチセンサ50は、その裏側から照光しないので、必ずしも透明性に優れた材料から構成することを要しないが、電極板54,55,154,164を、Cu,Ag等の金属以外の材料、例えばITO等の導電性に優れる透明電極としても良い。
【0046】
操作板20を構成する層の一つである隠蔽層24を形成せず、反射層23のみを透明基材22の裏側に形成しても良い。また、ハードコート層21は、透明基材22をガラスにて構成する場合には、必ずしも要しない。
【0047】
タッチセンサ50は、第一の実施の形態では、抵抗膜方式のセンサの一つであるマトリックス抵抗膜方式タッチセンサとして、第二の実施の形態では、自己キャパシタンスまたは相互キャパシタンスを測定する投影型静電容量方式タッチセンサとして説明したが、これらに限定されるものではない。例えば、抵抗膜方式のセンサであっても、4〜8線式アナログ抵抗膜方式のセンサを用いることができる。また、静電容量方式のセンサであっても、先に述べた投影型ではなく、表面型あるいはインナー型のセンサを用いても良い。さらには、タッチセンサ50を、上記の抵抗膜方式あるいは静電容量方式とせず、光学方式あるいは超音波方式のものであっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、電子機器の操作を行う操作機器として利用できる。
【符号の説明】
【0049】
1 タッチパッド(電子機器用タッチパッド)
2 電子機器
20 操作板
23 反射層
30 導光板
31 凹凸領域
40 導光抑制層
50 タッチセンサ
71 LED(外部光源)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器と別体で、当該電子機器を操作する電子機器用タッチパッドであって、
ハーフミラーとして機能し、表側から面操作可能な操作板と、
当該操作板の裏側に配置されると共に、外部光源からの光を導光して当該操作板に向けて照光可能な導光板と、
当該導光板の裏側に配置され、上記操作板上での面操作によって操作位置を特定可能なタッチセンサと、
を積層して備えることを特徴とする電子機器用タッチパッド。
【請求項2】
前記導光板と前記タッチセンサとの間に、前記タッチセンサ側への導光を抑制するための導光抑制層を、さらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器用タッチパッド。
【請求項3】
前記導光板の一部に、前記操作板の方向に導光しやすい凹凸領域を形成していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器用タッチパッド。
【請求項4】
前記凹凸領域は、前記導光板の前記タッチセンサ側の面に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の電子機器用タッチパッド。
【請求項5】
前記タッチセンサは、静電容量方式のセンサであって、
前記操作板に形成される反射層は、その構成粒子を島状に分散させた層であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子機器用タッチパッド。
【請求項1】
電子機器と別体で、当該電子機器を操作する電子機器用タッチパッドであって、
ハーフミラーとして機能し、表側から面操作可能な操作板と、
当該操作板の裏側に配置されると共に、外部光源からの光を導光して当該操作板に向けて照光可能な導光板と、
当該導光板の裏側に配置され、上記操作板上での面操作によって操作位置を特定可能なタッチセンサと、
を積層して備えることを特徴とする電子機器用タッチパッド。
【請求項2】
前記導光板と前記タッチセンサとの間に、前記タッチセンサ側への導光を抑制するための導光抑制層を、さらに備えることを特徴とする請求項1に記載の電子機器用タッチパッド。
【請求項3】
前記導光板の一部に、前記操作板の方向に導光しやすい凹凸領域を形成していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子機器用タッチパッド。
【請求項4】
前記凹凸領域は、前記導光板の前記タッチセンサ側の面に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の電子機器用タッチパッド。
【請求項5】
前記タッチセンサは、静電容量方式のセンサであって、
前記操作板に形成される反射層は、その構成粒子を島状に分散させた層であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電子機器用タッチパッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−43120(P2012−43120A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−182877(P2010−182877)
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月18日(2010.8.18)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】
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