説明

電子機器

【課題】本発明は、部品点数を増やすことなく評価試験と通常使用とが可能な電気機器としての携帯電話機1を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の携帯電話機1は、バッテリ90を収容可能なバッテリ収容部92とバッテリ収容部92を被覆するカバー部材としてのカバーリッドを有する操作部側筐体2と、操作部側筐体2内に配置され電子部品が実装される回路基板70と、を備える。そして、回路基板70は、バッテリ90を挟んでカバー部材としてのバッテリリッド25と対向するように配置されると共に、バッテリ収容部92の底面における全部又は一部を構成する平面部73aを有し、平面部73aには、試験用コネクタ820が実装される実装用端子が形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器としての携帯電話機には、動作評価等の試験を行うための試験用端子が配置されている。この試験用端子は、製品化された状態ではケースに覆われて外部に露出しないよう構成される。
【0003】
しかし、携帯電話機において、試験用端子がケースにより覆われて外部に露出しない構造は、ユ−ザ−が試験用端子に容易に触れることができないという利点はあるが、組み立てた後に試験用端子を用いた評価試験ができないという課題があった。
【0004】
これに対し、携帯電話機の筐体内に配置される基板上に試験用端子が実装され、筐体ケースに対して脱着可能な内蓋により試験用端子を被覆可能とし、試験時には内蓋を取り外して試験可能となり、製品出荷時には内蓋により被覆される携帯電話機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平08−019033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に記載された携帯電話機は、試験をしない状態で試験用端子を覆うための内蓋が必要である。このため、該携帯電話機においては、部品点数が増えると共に大型化するという課題があった。
【0006】
本発明は、回路基板をバッテリ収容部の底部を構成するように配置すると共に、該底部を構成する部分に試験用コネクタ端子が実装される実装用端子を形成することで、部品点数を増やすことなく、評価試験と通常使用とが可能な電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、バッテリを収容可能なバッテリ収容部と前記バッテリ収容部を被覆するカバー部材とを有する筐体と、前記筐体内に配置され電子部品が実装される回路基板と、を備えた電子機器であって、前記回路基板は、前記バッテリを挟んで前記カバー部材と対向するように配置されると共に、前記バッテリ収容部の底面における全部又は一部を構成する平面部を有し、前記平面部には、試験用コネクタを実装するための実装用端子が配設されていることを特徴とする。
【0008】
また、前記平面部に貼付されるシール部材と、を更に有し、前記実装用端子は、前記シール部材が前記平面部に貼付されることで前記シール部材により被覆されることが好ましい。
【0009】
また、前記回路基板には、該回路基板における前記平面部と同じ面に前記バッテリの端子が接続されるバッテリコネクタが実装され、前記バッテリコネクタは、前記バッテリの端子と接続する充電端子を有すると共に、該充電端子が前記バッテリ収容部における一の側面から露出して配置され、前記実装用端子は、前記一の側面と反対側の他の側面側に形成されることが好ましい。
【0010】
また、前記バッテリ収容部は、第1バッテリと、前記第1バッテリより小さい第2バッテリとをそれぞれ収容可能に構成されると共に、前記実装用端子に前記試験用コネクタ端子が実装された状態の前記試験用コネクタ端子と前記第2バッテリとを同時に収容可能であり、前記実装用端子は、前記バッテリ収容部に前記第1バッテリが収容された場合には該第1バッテリに覆われ、前記バッテリ収容部に前記第2バッテリが収容された場合には該第2バッテリに覆われない位置に形成され、前記第2バッテリは、前記バッテリ収容部に前記試験用コネクタ端子と同時に収容された状態において、前記試験用コネクタ端子により位置決め保持されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、回路基板をバッテリ収容部の底部を構成するように配置すると共に、該底部を構成する部分に試験用コネクタ端子が実装される実装用端子を形成することで、部品点数を増やすことなく、評価試験と通常使用とが可能な電気機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。なお、以下、携帯端末装置として携帯電話機について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、PHS(Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン等であってもよい。
【0013】
図1から図4により、携帯端末装置としての携帯電話機1における基本構造を説明する。図1は、携帯端末装置としての携帯電話機1を開いた状態(第1開状態)における正面図を示す。また、図2(A)は、携帯電話機1を開いた状態における左側面図を示し、図2(B)は、携帯電話機1を開いた状態における右側面図を示す。また、図3は、携帯電話機1を開いた状態における背面図を示す。図4は、携帯電話機1の表示部側筐体3を、連結部4の回動軸Yを中心にして所定角度回動した状態の斜視図を示す。
【0014】
携帯電話機1は、操作部側筐体2と、表示部側筐体3とを備える。操作部側筐体2と表示部側筐体3とは2軸ヒンジ機構を備える連結部4を介して連結され、該携帯電話機1を開状態及び閉状態に変形可能とすると共に、開状態及び閉状態それぞれにおいて表示部側筐体3を表状態と裏状態とに切り替えることができる。
【0015】
ここで、閉状態とは、両筐体が互いに重なるように配置された状態であり、開状態とは、両筐体が互いに重ならないように配置された状態をいう。そして、開状態における表状態とは、後述する表示部側筐体3における表面3Aに配置されるディスプレイ30と、操作部側筐体2における表面2Aに配置される操作キー群11とが同じ側を向くように配置された状態(図1参照)であり、開状態における裏状態とは、表示部側筐体3におけるディスプレイ30と操作部側筐体2における操作キー群11とが反対側を向くように配置された状態をいう。また、閉状態における表状態とは、表示部側筐体3におけるディスプレイ30が操作部側筐体2における操作キー群11に対向するように配置された状態であり、閉状態における裏状態とは、表示部側筐体3におけるディスプレイ30が操作部側筐体2における操作キー群11と対向せずに表出した状態である。
【0016】
操作部側筐体2は、外面がフロントケース2aとリアケース2bにより構成される。この操作部側筐体2は、フロントケース2a側に、操作キー群11と、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力される音声入力部12とがそれぞれ露出するように構成される。ここで、操作キー群11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するためのテンキー等の入力操作キー14と、各種操作における決定や上下左右方向のスクロール等を行う決定操作キー15と、から構成されている。また、音声入力部12は、操作部側筐体2の長手方向における連結部4側とは反対の外端部側に配置される。つまり、音声入力部12は、携帯電話機1が開状態において一方の外端部側に配置される。
【0017】
操作キー群11を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や表裏状態等の変形状態や、起動されているアプリケーションの種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。携帯電話機1において、操作キー群11を構成する各キーが使用者により押圧されることで、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
【0018】
操作部側筐体2における一方の側面には、図2(A)に示すように、外部機器(例えば、ホスト装置)とデータの送受信を行うためのインターフェース16と、ヘッドホン/マイク端子17と、着脱可能な外部メモリのインターフェース18と、バッテリを充電するための充電端子19とが設けられている。なお、インターフェース16、ヘッドホン端子/マイク端子17及びインターフェース18は、不使用時において着脱可能な防塵対策用のキャップで覆われている。
【0019】
操作部側筐体2における他方の側面には、図2(B)に示すように、一対のサイドキー20と、撮像時に使用される操作キー21と、電波の受信角度を調整可能な放送波受信用のアンテナ22とが配置される。このサイドキー20には、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や表裏状態等の変形状態や、起動されているアプリケーションの種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。ここで、上述と同様に、サイドキー20が使用者により押圧されることで、携帯電話機1においてサイドキー20に割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
【0020】
操作部側筐体2のリアケース2bには、図3に示すように、被写体を撮像するカメラ部23と、被写体に光を照射するライト部24とが露出して配置される。このカメラ部23とライト部24とは、操作部側筐体2における連結部4側に配置される。また、操作部側筐体2におけるリアケース2bには、バッテリ収容部92にバッテリ90を装着するための開口92aが形成されると共に、該開口92aを塞ぐようにバッテリリッド25が配置される。
【0021】
また、操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、図1から図3に示すように、2軸ヒンジ機構を備える連結部4を介して連結される。連結部4における一方の面(裏面)には、図3に示すように、副操作キー群33が該携帯電話機1の幅方向(短手方向)において一列に並んで配置される。この副操作キー群33を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や表裏状態等の変形状態や、起動されているアプリケーションの種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。携帯電話機1において、操作キー群11を構成する各キーが使用者により押圧されることで、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
【0022】
表示部側筐体3は、外面がフロントケース3aとリアケース3bにより構成される。
表示部側筐体3におけるフロントケース3aには、各種情報を表示するための所定形状のディスプレイ30と、通話の相手側における音声を出力する音声出力部31とが露出するように配置される。ここで、音声出力部31は、表示部側筐体3の長手方向における連結部4とは反対の外端部側に配置される。つまり、音声出力部31は、携帯電話機1が開状態において他方の端部側に配置される。
【0023】
また、表示部側筐体3のリアケース3bには、各種情報を表示するためのサブディスプレイ32が露出して配置される。ディスプレイ30及びサブディスプレイ32それぞれは、液晶パネルと、この液晶パネルを駆動する駆動回路と、この液晶パネルの背面側から光を照射するバックライト等の光源部とから構成される。
【0024】
連結部4は、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを、開閉軸Xを中心にして任意の角度で開閉自在に連結すると共に、回動軸Yを中心に任意の角度で回動自在に連結する2軸ヒンジ機構を備える。
【0025】
連結部4は、一方端4a側において図示しない開閉連結部材により操作部側筐体2の上端部と連結されており、他方端4b側において図示しない回動連結部材により表示部側筐体3の下端部と連結されている。
【0026】
連結部4の一方端4aには、該連結部4における表面から垂直に突出するように形成される凸形状の開閉部4cが形成される。そして、操作部側筐体2の上端部には、この凸形状の開閉部4cが挿嵌される凹形状の切り欠き部5が形成される。
【0027】
この開閉部4cの開閉軸X方向における両側それぞれには、図示しない孔部Aが形成される。また、操作部側筐体2の切り欠き部5における両内側面には、図示しない孔部Bが形成される。そして、凸形状の開閉部4cが、凹形状の切り欠き部5に挿嵌された状態において、孔部Aと孔部Bとは互いに近接して対向するよう配置されると共に、孔部Aと孔部Bとの双方に円筒状の開閉連結部材が挿通される。これにより、操作部側筐体2と表示部側筐体3とは、開閉可能に連結される。なお、開閉部4cは、操作部側筐体2の上端部に挿嵌される形状であれば良く、特に凸形状に限られず、また、操作部側筐体2の上端部の形状も凹形状に限られない。
【0028】
また、連結部4の他方端4b側と表示部側筐体3の下端部とは、図示しない回動連結部材により回動自在に連結される。連結部4における表示部側筐体3側の側面には、図示しない孔部Cが形成される。また、表示部側筐体3における連結部4側の側面には、図示しない孔部Dが形成される。そして、孔部Cと孔部Dとの双方に回動連結部材が挿通されることで、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが回動軸Yを中心に回動可能に連結される。つまり、操作部側筐体2と表示部側筐体3とは、表示部側筐体3の表裏状態を切り替え可能に連結される。
【0029】
携帯電話機1は、上述したように、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが連結部4により開閉及び回動可能に連結される。これにより、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを、開閉軸Xを中心にして開閉させたり、回動軸Yを中心にして回動をさせたりすることで携帯電話機1を様々な状態に変形させることができる。
【0030】
例えば、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが互いに重なる状態である閉状態(第1閉状態)の携帯電話機1を、操作部側筐体2及び表示部側筐体3それぞれにおける開閉軸Xと反対側の端部が、互いに離間するよう開閉軸Xを中心にして開くように変形させることで、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが互いに重ならない開状態(第1開状態)にすることができる。
【0031】
逆に、開状態(第1開状態)の携帯電話機1を、操作部側筐体2及び表示部側筐体3それぞれの開閉軸Xと反対側の端部が、互いに近づくよう開閉軸Xを中心にして閉じるように変形させることで、閉状態(第1閉状態)にすることができる。
【0032】
また、開状態(第1開状態)において、図4に示すように、表示部側筐体3を、回動軸Yを中心に回動させることができる。更には、表示部側筐体3を更に回動軸Yを中心に回転させることで、表示部側筐体3における表裏状態を切り替えることができる。具体的には、表示部側筐体3における表面3Aに配置されるディスプレイ30と、操作部側筐体2における表面2Aに配置される操作キー群11とが同じ側を向く開状態(第1開状態)から、表示部側筐体3が回動軸Yを中心に180度回転されて表示部側筐体3における表面3Aに配置されるディスプレイ30と、操作部側筐体2における表面2Aに配置される操作キー群とが反対側を向く開状態(第2開状態)にすることができる。
【0033】
そして、第2開状態における表示部側筐体3を開閉軸Xを中心にして閉じるよう変形させることで、携帯電話機1を閉状態(第2閉状態)にすることができる。つまり、携帯電話機1は、表示部側筐体3におけるディスプレイ30が、操作部側筐体2における操作キー群11に対向するよう配置された閉状態(第1閉状態)から、表示部側筐体3におけるディスプレイ30が、操作部側筐体2に対向せずに表出した状態である閉状態(第2閉状態、ターンクローズ状態)に変形させることができる。
【0034】
なお、本実施形態においては、連結部4による折り畳み可能な携帯電話機1の説明をしているが、折り畳み式ではなく、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転(リボルバ)式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが一つの筐体に配置され連結部を有さない型式(ストレートタイプ)でもよい。
【0035】
次いで、図5により、操作部側筐体2及び表示部側筐体3の内部構造について説明する。図5は、操作部側筐体2の分解斜視図を示す。
【0036】
操作部側筐体2は、図5に示すように、フロントケース2aと、上述した操作キー群11を構成するキーシート40と、キースイッチが配置されるフレキシブルプリント配線基板50と、シールドケース60と、基準電位パターン層及び携帯電話機用のRF(Radio Frequency)モジュール等の各種電子部品を備える回路基板70と、アンテナ部80と、リアケース2bと、を備える。また、バッテリ90は、リアケース2bの外側から装脱可能に収容される。
【0037】
フロントケース2aとリアケース2bとは、互いの凹状の内側面が向き合うように配置されると共に、互いの外周縁が重なり合うようにして結合される。また、フロントケース2aとリアケース2bとの間には、キーシート40と、フレキシブルプリント配線基板50と、シールドケース60と、回路基板70と、アンテナ部80とが、フロントケース2a側からこの順番で収納配置される。
【0038】
回路基板70における第1の面72には、図示しない各種電子部品及び基準電位パターン層が形成される。また、回路基板70における第2の面73には、各種電子部品が配置される。また、第2の面73に対向した位置には、図示しないカメラ部23やライト部24が連結部4側の端部に偏って配置されると共に、図示しない音声入力部12が連結部4とは反対側の端部に偏って配置される。なお、カメラ部23やライト部24は、リアケース2bに所定の形状で穿孔されている穿孔部2cを介して外部に露出される。
【0039】
シールドケース60は、薄型の直方体における一の広い面が開口した形状を有する金属製の部材である。シールドケース60は、平板部42と、平板部42における一方の面に略垂直に形成されるリブ44とを有する。リブ44は、回路基板70における第1の面72に実装される各種電子部品のうち最も高さのある電子部品の高さと同等又はそれよりも十分に高くなるよう形成される。なお、シールドケース60は、金属により形成する以外に、骨格を樹脂により形成し、その表面に導体膜を形成したものでもよい。
【0040】
ここで、リブ44は、平板部42の周縁及び内側に上述した基準電位パターン層に対応するよう形成される。具体的には、基準電位パターン層が形成される第1の面72と、シールドケース60におけるリブ44が形成される面である裏面とが向かい合うようにして配置された場合において、リブ44の底面が基準電位パターン層上に配置されるよう形成される。
【0041】
シールドケース60は、リブ44(底面)により、回路基板70における第1の面72に形成される基準電位パターン層と導通する。これにより、シールドケース60は、基準電位パターン層と電気的に導通して同じ大きさの電位を有するようになる。また、シールドケース60は、外部からのノイズが回路基板70の第1の面72に配置される不図示の各種電子部品に作用するのを防ぐと共に、第1の面72に形成される高周波回路等から放出されるノイズを吸収する。ここで、シールドケース60と回路基板70との間に配置される図示しない導通部材を配置することで電気的に導通させてもよい。また、シールドケース60は、後述する各種キーの押圧操作に対する剛性確保のための補強部材としても機能する。
【0042】
フレキシブルプリント配線基板50は、フロントケース2a側の面に複数のキースイッチ51、52、53を有している。フレキシブルプリント配線基板50のキースイッチ51、52、53は、椀状に湾曲して立体的に形成された金属板のメタルドームを有する構造になっている。メタルドームは、その椀状形状の頂点が押圧されると、フレキシブルプリント配線基板50の表面に印刷された不図示の電気回路に形成されるスイッチ端子に接触して電気的に導通する。なお、フレキシブルプリント配線基板50は、複数の絶縁フィルムの間に配線を挟み込んだものである。
【0043】
キーシート40は、シリコンゴム製のシート41の表面に操作キー群11が接着剤により貼り付けられて構成される。キーシート40における操作キー群11を構成する機能設定操作キー13、入力操作キー14及び決定操作キー15は、フレキシブルプリント配線基板50におけるキースイッチ51、52、53と対向する位置に配置されると共に、後述するフロントケース2aに形成されるキー孔45から露出するように配置される。
【0044】
フロントケース2aには、携帯電話機1を折り畳んだ状態で表示部側筐体3のディスプレイ30と対向する内側面に、キー孔45が複数形成される。複数のキー孔45それぞれからは、キーシート40上に形成される機能設定操作キー13、入力操作キー14及び決定操作キー15の押圧面が露出する。この露出した操作キー群11を構成する機能設定操作キー13、入力操作キー14及び決定操作キー15の押圧面を押し下げるように押圧することで、対応するキースイッチ51、52、53それぞれにおけるメタルドーム(椀状形状)の頂点が押圧され、スイッチ端子に接触して電気的に導通する。
【0045】
アンテナ部80は、基台上に所定形状のアンテナエレメントが配置されることにより構成さる。アンテナ部80は、携帯電話機1における連結部4側と反対の端部側に配置される。このアンテナ部80のアンテナエレメントは、帯状の板金により形成される。また、アンテナ部80は、不図示の給電端子を介して回路基板70から給電される。これにより、アンテナエレメントは、給電端子を介して回路基板70から給電されると共に、回路基板70のRFモジュール等と接続される。
【0046】
バッテリ90は、リアケース2bに形成された開口92aを介してバッテリ収容部92に着脱可能に収容される。バッテリ収容部92は、リアケース2bと回路基板70における第2の面73の一部である平面部73aとにより形成される。そして、バッテリ90が収容された状態において、開口92aを塞ぐようにカバー部材としてのバッテリリッド25を配置することで、バッテリ90の脱落を抑制することができる。この状態において、回路基板70における第2の面73の一部である平面部73aは、バッテリ90を挟んでバッテリリッド25と対向するように配置される。
【0047】
続けて、図6から図8により、バッテリ収容部92の構造について詳細に説明する。図6は、回路基板70が露出された状態におけるバッテリ収容部92の拡大平面図を示す。図7は、回路基板70に第1シール800が貼付された状態におけるバッテリ収容部92の拡大平面図を示す。図8は、第1シール800の上に更に第2シール810が貼付された状態におけるバッテリ収容部92の拡大平面図を示す。
【0048】
図6に示すように、バッテリ収容部92は、略長方形の開口92aと、開口92aに連続して厚さ方向に延びるように形成される側面93と、回路基板70の一部である平面部73aとにより構成される。バッテリ収容部92は、バッテリ90を収容可能であると共に、後述する図9に示すようにバッテリ90が位置決めされるようバッテリ90の形状に合わせて形成される。
【0049】
平面部73aは、回路基板70における第2の面73の一部であり、バッテリ収容部92の底面を構成する。平面部73aには、連結部4側の一の側面である側面93a側に試験用コネクタ820を実装するための実装用端子9が配設される。また、平面部73aにおける実装用端子9の近傍には、各種試験のための接続端子であるテストポイント10が複数形成される。
【0050】
また、回路基板70における平面部73aと同じ面である第2の面73には、バッテリ90を充電するためのバッテリコネクタ850が実装される。バッテリコネクタ850は、バッテリ90側の端子に接続する充電用端子850aを有すると共に、該充電用端子850aが側面93aと対向する他の側面である側面93bから露出するように配置される。充電用端子850aは、バッテリ90がバッテリ収容部92に収容された状態においてバッテリ90側の端子に接続する。
【0051】
この充電用端子850aは、バネ端子により構成されると共に、側面93bに直交する方向に変形可能に形成される。言い換えると、充電用端子850aは、バッテリ90側の端子と接続する接続部が側面93bから突出する位置と側面93bの近傍位置とに移動可能に形成される。
【0052】
次いで、図7及び図8に示すように、平面部73aの表面には、平面部73aに形成された実装用端子9やテストポイント10を被覆するように第1シール800及び第2シール810が貼付される。具体的には、図7に示すように、平面部73aの表面には、少なくとも実装用端子9を覆うと共に少なくともテストポイント10を表出させるように第1シール800が貼付される。そして、図8に示すように、第1シール800が貼付された平面部73a上に、第2シール810が更に貼付される。第2シール810は、第1シール800が貼付された状態で表出された部分を覆うように配置される。
【0053】
上述のように、平面部73aの表面は、第1シール800及び第2シール810に覆われる。つまり、通常使用時においては、バッテリ収容部92の底面を構成する平面部73aは第1シール800及び第2シール810により覆われているので、実装用端子9及びテストポイント10は露出されない。
【0054】
続けて、図9から図11により、バッテリ収容部92に通常のバッテリ90が収容された状態、及び試験用バッテリ91が収容された状態について説明する。図9は、バッテリ90が収容された状態におけるバッテリ収容部92の拡大平面図を示す。図10は、試験用バッテリ91が収容されると共に、試験用コネクタ820が実装された状態におけるバッテリ収容部92の拡大平面図を示す。図11は、図10における携帯電話機1にバッテリリッド25aが装着された状態の拡大平面図を示す。
【0055】
図9及び図10に示すように、バッテリ収容部92には、第1バッテリとしてのバッテリ90と、バッテリ90よりも小さい第2バッテリとしての試験用バッテリ91との双方が、それぞれ着脱可能に収容される。図9に示すように、通常時に使用されるバッテリ90は、バッテリ収容部92の側面93に当接するようにして収容される。つまり、バッテリ90は、実装用端子9を覆うように収容されると共に、バッテリ収容部92に隙間無く収容される。
【0056】
図10に示すように、動作試験時に使用される試験用バッテリ91は、バッテリ90よりも小型のバッテリである。具体的には、試験用バッテリ91は、バッテリ90よりも長手方向における長さが短いバッテリである。試験用バッテリ91は、側面93a側に所定空間を開けた状態でバッテリ収容部92に収容される。言い換えると、試験用バッテリ91は、側面93に当接すると共に、側面93aからは離間して配置される。
【0057】
第1シール800及び第2シール810が貼付されていない状態又は剥離された状態において、試験用バッテリ910と側面93aとの間には、実装用端子9が露出される。そして、フラットケーブル830を介して所定の動作確認試験用の装置(例えば、ICE(In−Circuit Emulator))に接続される試験用コネクタ820は、この露出した実装用端子9に接続される。言い換えると、回路基板70における平面部73aに配設された実装用端子9に試験用コネクタ820の下に配設された接続端子が半田付け等より接続され平面部73aに、試験用コネクタ820が実装される。この実装された試験用コネクタ820とバッテリコネクタ850との間に試験用バッテリコネクタ850との間に試験用バッテリ91が挿着されることとなり、バッテリ収容部92には、試験用バッテリ91と試験用コネクタ820とが同時に収容される。そして、この状態において、試験用バッテリ91は、実装用端子9に接続されて平面部73aに実装された試験用コネクタ820により位置決め保持される。
【0058】
図11に示すように、図10に示す試験用コネクタ820が実装用端子9に実装されると共に試験用バッテリ91がバッテリ収容部92に収容された状態で、開口92aを覆うようにバッテリリッド25aが装着される。バッテリリッド25aは、通常使用時に用いられるバッテリリッド25にフラットケーブル830の挿通部(切り欠き等)を形成したものである。つまり、試験用コネクタ820が実装用端子9(平面部73a)に実装された状態で、バッテリカバーとしてのバッテリリッド25aを装着することができる。このバッテリリッド25aを装着した状態において、フラットケーブル830は、挿通部に挿通されて操作部側筐体2の外側に延出する。これにより、通常の使用状態に近似した状態で、ソフトウェアのデバッグとハードウェアの動作確認を行なうことができる。
【0059】
本実施形態において、回路基板70をバッテリ収容部92の底部を構成するように配置すると共に、該底部を構成する部分に試験用コネクタ820を実装するための実装用端子9を配設することで、部品点数を増やすことなく、評価試験と通常使用とが可能な電気機器としての携帯電話機1を提供することができる。
【0060】
また、本実施形態において、バッテリ収容部92の底面部を回路基板70の一部である平面部73aで構成すると共に、該平面部73aに試験用コネクタ820を装着可能な実装用端子9が配設されるので、評価試験時には試験用コネクタ820を実装用端子9に取りつけて評価試験を行うことができると共に、通常時(試験以外のとき)には試験用コネクタ820を実装用端子9から取り外して通常のバッテリ90を収容することができる。これにより、使用状態と近似した状態において評価試験をすることができる。また、試験用コネクタ820を操作部側筐体2に内蔵しないので携帯電話機1を小型化できる。また、携帯電話機1を組み立てた後でも、解体等をすることなく評価試験をすることができる。また、通常時にはバッテリ90に覆われる位置に実装用端子9を形成しているので、実装用端子9が他の部品と干渉することがない。また、デバック時に試験用バッテリ91からの電力を使用することができる。
【0061】
また、本実施形態において、通常はバッテリ90があるために部品等を実装しない部分に実装用端子9を形成したので、効率的な実装構造により携帯電話機1を小型化できる。
【0062】
また、本実施形態において、試験用バッテリ91を収容した状態で装着されるバッテリリッド25aに試験用コネクタ820につながるフラットケーブル830を挿通させる挿通部を形成している。更に、実装用端子9は平面部73aにおける側面93a側に形成されると共に、挿通部はバッテリリッド25aにおける側面93a側に形成される。これにより、フラットケーブル830を操作部側筐体2から容易に延出させることができ、使用状態により近似した状態で動作試験等をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】携帯端末装置としての携帯電話機1を開いた状態(第1開状態)における正面図を示す。
【図2】(A)携帯電話機1を開いた状態における左側面図を示し、(B)携帯電話機1を開いた状態における右側面図を示す。
【図3】携帯電話機1を開いた状態における背面図を示す。
【図4】携帯電話機1の表示部側筐体3を、連結部4の回動軸Yを中心にして所定角度回動した状態の斜視図を示す。
【図5】操作部側筐体2の分解斜視図を示す。
【図6】回路基板70が露出された状態におけるバッテリ収容部92の拡大平面図を示す。
【図7】回路基板70に第1シール800が貼付された状態におけるバッテリ収容部92の拡大平面図を示す。
【図8】第1シール800の上に更に第2シールが貼付された状態におけるバッテリ収容部92の拡大平面図を示す。
【図9】バッテリ90が収容された状態におけるバッテリ収容部92の拡大平面図を示す。
【図10】試験用バッテリ91が収容されると共に、試験用コネクタ820が実装された状態におけるバッテリ収容部92の拡大平面図を示す。
【図11】図10における携帯電話機1にバッテリリッド25aが装着された状態の拡大平面図を示す。
【符号の説明】
【0064】
1 携帯電話機
2 操作部側筐体
3 表示部側筐体
4 連結部
9 実装用端子
25 バッテリリッド
25a バッテリリッド
70 回路基板
73 第2平面
73a 平面部
90 バッテリ
91 試験用バッテリ
92 バッテリ収容部
820 試験用コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを収容可能なバッテリ収容部と前記バッテリ収容部を被覆するカバー部材とを有する筐体と、
前記筐体内に配置され電子部品が実装される回路基板と、を備えた電子機器であって、
前記回路基板は、前記バッテリを挟んで前記カバー部材と対向するように配置されると共に、前記バッテリ収容部の底面における全部又は一部を構成する平面部を有し、
前記平面部には、試験用コネクタを実装するため実装用端子が配設されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記平面部に貼付されるシール部材と、を更に有し、
前記実装用端子は、前記シール部材が前記平面部に貼付されることで前記シール部材により被覆されることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記回路基板には、該回路基板における前記平面部と同じ面に前記バッテリの端子が接続されるバッテリコネクタが実装され、
前記バッテリコネクタは、前記バッテリの端子と接続する充電端子を有すると共に、該充電端子が前記バッテリ収容部における一の側面から露出して配置され、
前記実装用端子は、前記一の側面と反対側の他の側面側に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記バッテリ収容部は、第1バッテリと、前記第1バッテリより小さい第2バッテリとをそれぞれ収容可能に構成されると共に、前記実装用端子に前記試験用コネクタ端子が実装された状態の前記試験用コネクタ端子と前記第2バッテリとを同時に収容可能であり、
前記実装用端子は、前記バッテリ収容部に前記第1バッテリが収容された場合には該第1バッテリに覆われ、前記バッテリ収容部に前記第2バッテリが収容された場合には該第2バッテリに覆われない位置に形成され、
前記第2バッテリは、前記バッテリ収容部に前記試験用コネクタ端子と同時に収容された状態において、前記試験用コネクタ端子により位置決め保持されることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−182599(P2008−182599A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−15608(P2007−15608)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】