説明

電子機器

【課題】回路基板上に搭載された集積回路やスイッチ素子に静電気が印加されることを抑え、操作性の向上を図った電子機器を提供する。
【解決手段】回路基板12上に搭載されたスイッチ素子10に絶縁シート13と導電性シート14の順に積層させ、操作キー2がスイッチ素子10を押圧する部位に開口部を設けている。このため、ユーザがキー操作を行った際、開口部を通して操作キー2が直接スイッチ素子10を押圧することになるので、ユーザのクリック感が向上し操作性が向上する。また、キー操作時に静電気が発生しても、導電性シート14に印加され、グランドパターン11に放電されるために、発生した静電気が集積回路やスイッチ素子に印加されることを抑えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチ素子を搭載した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話、リモコン装置、パーソナルコンピュータ等の様々な電子機器には、IC、LSI、VLSI等の集積回路を搭載した回路基板が設けられている。また、こうした電子機器を操作するために、回路基板上にはスイッチ素子が搭載されており、操作キーを有した操作部は、キー操作時に、操作キー毎に、この回路基板上のスイッチ素子を押圧している。
【0003】
一般に、操作キーには静電気が帯電しやすい。一方で、回路基板上に搭載されている集積回路は静電気に弱く、発生した静電気が集積回路やスイッチ素子に流れると、誤動作の原因になる。
【0004】
この弱点を保護するために、スイッチ素子を絶縁シートで覆い、帯電した静電気をグランドパターンに放電させる方法が知られている。
【0005】
また、特許文献1〜3に記載されているように、操作キーに帯電した静電気を本体の外装部に形成したグランドパターンに放電させる方法も知られている。
【特許文献1】特開2005−251551号公報
【特許文献2】特開2004−126299号公報
【特許文献3】特開2003−157998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、絶縁シートでスイッチ素子を覆う方法では、ユーザが操作キーを操作した際、操作キーが絶縁シートを介してスイッチ素子を押圧することになる。絶縁シートは紙、樹脂フィルム等からなるため、操作キーがスイッチ素子を押圧した際、ユーザが感じるクリック感は直接スイッチ素子を押圧したものではなく、絶縁シートを介して押圧したものになってしまう。絶縁シートによって、操作キーを押圧した力が吸収されてしまい、クリック感は大幅に損なわれてしまう。ユーザは正常に操作キーが押圧されたということを認識し辛く、操作性が悪くなるという問題点があった。
【0007】
また、特許文献1〜3に記載の方法では、キー操作に伴って生じた静電気を外装部に形成したグランドパターンに放電させることは提案されているが、操作時の操作性の向上に関しては特に考慮していない。
【0008】
本発明の目的は、静電気対策を維持しつつ、ユーザが電子機器を操作した際のクリック感を向上させることにより、キー操作が行われたことを認識できるようにし、操作性の向上を図った電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電子機器は、上記課題を解決するために、以下のように構成している。
【0010】
複数の操作キーが設けられた操作部と、当該操作部の操作キー毎に、キー操作時に押圧されるスイッチ素子を搭載した回路基板と、を備えた電子機器において、前記回路基板は、絶縁シートと導電性シートとが、この順にスイッチ素子の表面に積層されており、前記絶縁シート、及び前記導電性シートには、前記スイッチ素子が対応する操作キーのキー操作時に押圧される部位に開口部が形成されている、ことを特徴としている。
【0011】
この構成では、ユーザがキー操作を行った際、操作キーが開口部を通して直接スイッチ素子を押圧する。ユーザはキー操作を行ったということを、クリック感があることで認識することができるため、操作性の向上を図ることができる。また、開口部を通して操作キーが直接スイッチ素子を押圧する前に、操作キーが導電性シート、絶縁シートの順に接触することになるため、キー操作時に発生した静電気が、回路基板上に搭載されたスイッチ素子や集積回路に印加される前に、導電性シートに印加される。導電性シートで除去しきれなかった場合にも、絶縁シートが設けられているため、スイッチ素子を静電気から保護することができる。このため、発生した静電気が回路基板上に搭載されたスイッチ素子や集積回路に印加されることを抑えることができる。
【0012】
また、導電性シートを回路基板上に形成したグランドパターンと電気的に接続していることを特徴としている。この構成では、キー操作時に発生した静電気は、スイッチ素子や集積回路に印加される前に、導電性シートを伝わり、回路基板上に形成してあるグランドパターンに放電される。そのため、発生した静電気がスイッチ素子や集積回路に印加されることを抑えることができる。また、導電性シートは、導電性金属シートである、ことを特徴としている。この構成では、ユーザがキー操作を行った際、操作キーが開口部を通して直接スイッチ素子を押圧するよりも前に、操作キーが軟質ではない導電性金属シートに接触することになるので、金属以外の導電性シートを用いた場合と比較して、ユーザはよりクリック感を感じることができるため、操作性の向上を図ることができる。また、絶縁シートの開口部は、導電性シートの開口部よりも小さい開口部を形成していることを特徴としている。この構成では、ユーザがキー操作を行った際、発生した静電気は、導電性シートで除去しきれない場合であっても、導電性シートよりも開口部の小さな絶縁シートをスイッチ素子上に設けてあることにより、スイッチ素子を保護することができる。このため、発生した静電気がスイッチ素子や集積回路に印加されることを抑えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、キー操作を行った際、操作キーが開口部を通して直接スイッチ素子を押圧することにより、ユーザはクリック感の有無で、操作状態を認識することが容易となり、操作性の向上を図れ、キー操作時に発生した静電気対策の維持も図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0015】
図1は、本発明を適用したリモコン装置の外観を示す図である。リモコン装置1は、前面に複数の操作キー2が配置されてあり、操作キー2毎にキー操作時に押圧されるスイッチ素子を搭載した回路基板を搭載している。そして、操作されたキーに応じた制御信号を、赤外線や電波等で送信する。
【0016】
図2は、操作キー2毎に押圧されるスイッチ素子を搭載した回路基板を示す図である。このスイッチ素子10は、例えば、タクトスイッチである。この回路基板12に搭載されているスイッチ素子10の周辺には、グランドパターン11が形成されている。このグランドパターン11は、スイッチ素子10の表面に貼付されている導電性シート14と電気的に接続している。
【0017】
こうすることにより、キー操作時に発生した静電気は、導電性シート14に印加され、導電性シート14を伝わり、グランドパターン11に放電される。また、発生した静電気を導電性シート14で除去しきれなかったとしても、導電性シート14とスイッチ素子10との間に絶縁シート13が設けてあることにより、スイッチ素子10を保護することができる。したがって、発生した静電気がスイッチ素子10や図示していない集積回路に印加されることを抑えることができる。
【0018】
なお、回路基板12に搭載されているスイッチ素子10を4つ示しているが、その数は1〜3つでも良いし、5つ以上でも良い。また、1つのスイッチ素子の周囲に形成しているグランドパターン11を1〜4本示しているが、グランドパターン11の数は5本以上であっても良い。
【0019】
図3は、回路基板12に搭載されているスイッチ素子10の1つを示す図である。図3(A)はスイッチ素子10の上面図であり、図3(B)はスイッチ素子10の側面図である。スイッチ素子10の表面には、絶縁シート13と導電性シート14とがこの順に積層されており、絶縁シート13と導電性シート14には、操作キー2がスイッチ素子10を押圧する部位に開口部を形成してある。絶縁シート13は、例えば、カプトンシートであり、導電性シート14は、例えば、アルミニウムシートであり、好ましくは、導電性金属シートである。また、この開口部は、好ましくは、操作キー2がスイッチ素子10を押圧する部位とほぼ等しい大きさである。
【0020】
スイッチ素子10の表面に絶縁シート13と導電性シート14をこの順に積層させ、絶縁シート13と導電性シート14には、操作キー2がスイッチ素子10を押圧する部位に開口部を設けたことにより、ユーザがキー操作を行った際、操作キー2は導電性シート14、絶縁シート13の順に接触した後に、開口部を通して直接スイッチ素子10を押圧する。操作キー2が絶縁シート13を介してスイッチ素子10を押圧するのではなく、開口部を通して、直接スイッチ素子10を押圧することになるため、スイッチ素子10の表面全体を絶縁シート13で覆った場合と比較して、ユーザは操作キー2がスイッチ素子10を押圧したということを、クリック感があることで認識することが容易になり、操作性の向上を図ることができる。また、ユーザがキー操作を行った際、静電気が発生しても、操作キー2が導電性シート14及び絶縁シート13と接触してから、操作キー2は開口部を通して直接スイッチ素子10を押圧するため、発生した静電気は導電性シート14に印加され、グランドパターン11に放電される。発生した静電気が除去しきれなかった際、導電性シート14とスイッチ素子10の間には、絶縁シート13が存在しているため、スイッチ素子10は保護される。このため、発生した静電気がスイッチ素子10、あるいは、スイッチ素子10の周囲に搭載されている図示していない集積回路に印加されることを抑えることができる。また、導電性シート14を導電性金属シートにすることにより、ユーザがキー操作を行った際、操作キー2が軟質ではない導電性金属シートと接触することになり、金属以外の導電性シートを用いた場合と比較して、より一層のクリック感の向上が図れ、ユーザは操作キー2がスイッチ素子10を押圧したことを認識しやすくなるため、操作性の向上を図れる。
【0021】
次に別の実施例について説明する。
【0022】
図4は、回路基板12上に搭載されているスイッチ素子10の別の実施例に係る図である。図4(A)はスイッチ素子10の上面図であり、図4(B)はスイッチ素子14の側面図である。スイッチ素子10の表面には、絶縁シート13と導電性シート14とが、この順に積層している。絶縁シート13と導電性シート14には、操作キー2がスイッチ素子10を押圧する部位に開口部を設けている。絶縁シート13に設けている開口部は、導電性シート14に設けている開口部よりも小さいことを特徴としている。導電性シート14は、好ましくは、導電性金属シートである。絶縁シート13及び導電性シート14に設けている開口部は、好ましくは、操作キー2がスイッチ素子10を押圧する部位とほぼ等しい大きさである。
【0023】
スイッチ素子10の表面に絶縁シート13と導電性シート14をこの順に積層させ、絶縁シート13と導電性シート14には、操作キー2がスイッチ素子10を押圧する部位に開口部を設け、絶縁シート13に設けた開口部は導電性シート14に設けた開口部よりも小さくしたことにより、ユーザがキー操作を行った際、開口部を通して操作キー2が直接スイッチ素子10を押圧する前に、操作キー2は導電性シート14と接触し、導電性シート14よりも小さな開口部を設けている絶縁シート13と接触し、操作キー2は開口部を通して直接スイッチ素子10を押圧する。操作キー2が絶縁シート13に阻まれず、開口部を通して直接スイッチ素子10を押圧することになるため、スイッチ素子10の表面全体を絶縁シート13で覆った場合と比較して、ユーザは操作キー2がスイッチ素子10を押圧したということを、クリック感があるということで認識することが容易になり、操作性の向上を図ることができる。また、ユーザがキー操作を行った際、静電気が発生しても、操作キー2が導電性シート14、絶縁シート13の順に接触してから、操作キー2はスイッチ素子10を押圧するため、発生した静電気は導電性シート14に印加され、グランドパターン11に放電される。また、発生した静電気が導電性シート14により除去できなかった場合でも、導電性シート14に設けた開口部よりも絶縁シート13に設けた開口部のほうが小さいため、操作キー2は開口部を通して直接スイッチ素子10を押圧するよりも前に、操作キー2が絶縁シート13と接触する。そのため、スイッチ素子10を保護することができる。また、導電性シート14を導電性金属シートにすることにより、ユーザがキー操作を行った際、操作キー2が軟質ではない導電性金属シートと接触することになるので、金属以外の導電性シートを用いた場合と比較して、より一層のクリック感の向上が図れ、ユーザは操作キー2がスイッチ素子10を押圧したことを認識しやすくなるため、操作性の向上を図れる。
【0024】
なお、上記説明では、リモコン装置1を例にして、本願発明を説明したが、携帯電話、パーソナルコンピュータ等の他の電子機器であっても本願発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明を適用した、リモコン装置の外観を示す図である。
【図2】操作キーにより操作されるスイッチ素子を搭載した回路基板を示す図である。
【図3】操作キーにより操作される回路基板に搭載されたスイッチ素子のうちの1つを示す図である。
【図4】別の実施例に係る操作キーにより操作される回路基板に搭載されたスイッチ素子のうちの1つを示す図である。
【符号の説明】
【0026】
2−操作キー
10−スイッチ素子
11−グランドパターン
12−回路基板
13−絶縁シート
14−導電性シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の操作キーが設けられた操作部と、
当該操作部の操作キー毎に、キー操作時に押圧されるスイッチ素子を搭載した回路基板と、を備えた電子機器において、
前記回路基板は、絶縁シートと導電性シートとが、この順にスイッチ素子の表面に積層されており、
前記絶縁シート、及び前記導電性シートには、前記スイッチ素子が対応する操作キーのキー操作時に押圧される部位に開口部が形成されている、ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記導電性シートは、回路基板上に形成されたグランドパターンに電気的に接続されている、ことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記導電性シートは、導電性金属シートである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記絶縁シートは、前記導電性シートの開口部よりも小さい開口部を形成している、ことを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−305606(P2008−305606A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−150157(P2007−150157)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】