説明

電子機器

【課題】複数種類の交換品を選択的に使用する電子機器において、その交換品の種類を検出するために設けられた検出手段の動作異常を迅速且つ容易に発見することができる電子機器を提供する。
【解決手段】印字装置のカセット装填部には複数種類のテープカセットが選択的に装填可能とされており、装填されたテープカセットの種類を検出する検出スイッチが設けられている。所定の時間間隔で検出スイッチの状態が読み出され(ステップS2)、読み出された情報と前回読み出されレジスタに記憶されている検出スイッチの情報の一致が判断される(ステップS4)。不一致の場合、更に両情報のうちの一方がカセット装填部にテープカセットの装填がない場合に対応した情報であるか否か判断され(ステップS5)、その判断結果が否定判断であれば、検出スイッチに異常が生じたものとしてエラー報知を行う(ステップS10)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の交換品を選択的に収容する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、テープカセットに収容されたテープに印字を行なう印字装置として特開平7−156498号公報に記載のものがある。この印字装置には、それぞれ幅の異なるテープを保持した複数種類のテープカセットが用意されており、それらの複数の幅のテープに印字が可能になっている。すなわち、この印字装置は、前記複数種類のテープカセットを収容するカセット収容部を装置本体に備え、そのカセット収容部には複数個の電気スイッチで構成されるテープ幅検出器が設けられ、前記複数種類のテープカセットのうちの1つのテープカセットが選択的にカセット収容部に収容されると、テープカセットに設けてあるテープ幅被検出用の所定形状に形成された識別部がテープ幅検出器の複数個の電気スイッチをオン・オフ動作させ、この複数個の電気スイッチのオン・オフ動作の組合せによってテープカセットに収容されたテープの幅を検出できるようにしている。そして、上記印字装置では、テープ幅検出器から得られたテープ幅の情報と、印字される文字列の行数に基づいて、その文字列の印字文字サイズを最適なサイズに自動的に設定し、その設定された文字サイズによりテープ上に文字列の印字を行なう印字処理機能を有している。
【特許文献1】特開平7−156498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の印字装置では、印字装置に装填されているテープの幅サイズに対応した最適な印字文字サイズを自動的に設定するべく、複数個の電気スイッチにより構成されるテープ幅検出器を用いて、印字装置に収容されているテープの幅サイズを検出するものであるが、テープ幅検出器を構成している複数個の電気スイッチのうちのいずれかが故障する場合がある。この電気スイッチが故障した場合に、操作者がそのことに気付かずに印字装置を動作させると、カセット収容部に収容されたテープカセットのテープ幅が正しく検出されないため、誤って検出されたテープ幅に基づいて印字文字サイズの設定が行なわれたことになり、テープ幅に比べて文字サイズが小さ過ぎたり、あるいは大き過ぎたりしてバランスの悪い印字が行われ、あるいは文字がテープ幅をはみ出して印字されるなどの不都合が生じることになる。
【0004】
本発明は、上記の問題点を解決するものであり、複数種類の交換品を選択的に使用する電子機器において、その交換品の種類を検出するために設けられた検出手段の動作異常を迅速且つ容易に発見することができ、操作者が検出手段の故障を認識して適切な対応を行なうことが可能になる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、複数種類の交換品が選択的に収容される電子機器において、前記交換品の収容の有無及び収容されている前記交換品の種類を検出する検出手段と、前記検出手段の検出状態を監視し、前記複数種類の交換品のうちの特定の種類の交換品が検出された後に、前記複数種類の交換品のいずれもが検出されることなく前記特定の種類の交換品とは異なる種類の交換品が検出された場合、前記検出手段の異常を判断する判断手段と、を備えたことを特徴としている。
【0006】
また、請求項2の発明は、前記判断手段により異常が判断されたときに、異常を報知する報知手段を更に備えたことを特徴としている。
【0007】
また、請求項3の発明は、前記判断手段により異常が判断されたときに、前記電子機器の特定の動作を禁止する禁止手段を更に備えたことを特徴としている。
【0008】
また、請求項4の発明は、前記交換品には、その交換品の種類に対応して異なる形状に形成された識別部が設けられており、前記検出手段は、前記識別部に当接しその識別部の形状に応じて選択的にオン・オフ作動する複数個の電気スイッチによって構成されることを特徴としている。
【0009】
また、請求項5の発明は、前記交換品には、その交換品の種類を表わす光学情報、磁気情報、あるいは電子情報を保持した識別部が設けられており、前記検出手段は、前記識別部に保持されている光学情報、磁気情報、あるいは電子情報を読み出す手段によって構成されることを特徴としている。
【0010】
また、請求項6の発明は、前記複数種類の交換品は複数種類の印刷消耗品であり、前記複数種類の印刷消耗品を選択的用いて印字を行なう印字手段を更に備えたことを特徴としている。
【0011】
また、請求項7の発明は、請求項6の発明において、前記判断手段により異常が判断されたときに、前記印字手段の印字動作を禁止する禁止手段を備えたことを特徴としている。
【0012】
また、請求項8の発明は、請求項6の発明において、前記印刷消耗品には、その種類に対応して異なる形状に形成された識別部が設けられており、前記検出手段は、前記印刷消耗品の前記識別部に当接しその識別部の形状に応じて選択的にオン・オフ作動する複数個の電気スイッチによって構成されることを特徴としている。
【0013】
また、請求項9の発明は、請求項6の発明において、前記印刷消耗品には、その種類を表わす光学情報、磁気情報、あるいは電子情報を保持した識別部が設けられており、前記検出手段は、前記識別部に保持されている光学情報、磁気情報、あるいは電子情報を読み出す手段によって構成されることを特徴としている。
【0014】
また、請求項10の発明は、請求項6の発明において、前記複数種類の印刷消耗品の夫々は、幅の異なるテープ状の被印字媒体と、その被印字媒体に印字を行なうためのインク材を収容するとともに、その被印字媒体の幅サイズを表わし、その幅サイズが前記検出手段によって検出される識別部が設けられたテープカセットであって、前記検出手段により検出される前記被印字媒体の幅サイズに基づいて自動的に印字条件を設定する印字条件設定手段と、前記印字条件設定手段によって設定された印字条件に従って前記印字手段の印字動作を制御する印字制御手段とを更に備えており、前記印字制御手段は、前記判断手段によって異常が判断されたときに、前記印字手段による印字動作を禁止する制御を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数種類の交換品を選択的に収容して使用する電子機器において、その交換品の種類を検出するために設けられた検出手段の動作異常を迅速且つ容易に発見することができ、操作者が検出手段の故障を認識して適切な対応を行なうことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態に係る電子機器としての印字装置の外観を示す平面図、図2はその印字装置に使用するテープカセットの外観及び印字装置の内部構造の一部を示す斜視図である。図1及び図2に示すように、印字装置1は、装置本体2の上面にキー入力部3、表示部4、および開閉蓋5を備えている。開閉蓋5の内側には印字テープ31及びインクリボン35を収容したテープカセット21を装填するためのカセット装填部6が形成されており、テープカセット21は開閉蓋5を開放した状態でカセット装填部6に着脱可能に装填される。
【0017】
キー入力部3は、印字する文字列の情報を入力する文字キー、印字開始を指示する印字キー、表示部4の表示画面上のカーソルを移動操作するカーソルキー、入力された文字列の編集処理、各種設定処理、印字処理等に必要な種々の制御キーを備えている。
【0018】
表示部4は液晶表示装置であり、入力された情報や各種設定のための選択メニュー画面や処理に関するメッセージなどが表示されると共に、カセット装填部6に装填されたテープカセット21に収容される印字テープ31のテープ幅の情報、作成されるラベルの長さや印字モードの状態などの各種の情報を表示する。
【0019】
カセット装填部6内には、複数個の印字素子が印字テープ31の幅方向に対応する縦方向に配列され印字テープ31に印字を行う印字ヘッド(サーマルヘッド)7と、サーマルヘッド7との間で印字テープ31及びインクリボン35を挟んでこれを搬送するプラテンローラ8と、使用したインクリボン35をテープカセット21内に巻き取るリボン巻取軸9とが設けられている。更に、カセット装填部6内には、テープカセット21を所定の位置に支持するためのカセット受部10やテープカセット21に嵌合して位置決めをする嵌合軸11を備えている。また、カセット装填部6の一端部には装置本体2外に通じる排出口12が形成されており、この排出口12には、固定刃13aと可動刃13bとを備え、印字テープ31を切断するためのカッタ13が設けられている。
【0020】
一方、テープカセット21は、上ケース22aと下ケース22bを組み合わせて構成したカセットケース22を備え、このカセットケース22の内部には、印字テープ31を巻回したテープコア23、未使用のインクリボン35を巻回したリボン供給コア24、印字に使用済のインクリボン35を巻き取るリボン巻取コア25がそれぞれ収納されている。前記印字テープ31は、印字が行われる印字テープ層と貼着剤層と剥離テープ層の積層構造を有している。このテープカセット21のカセットケース22には、カセット装填部6内にテープカセット21を装填したときにサーマルヘッド7が配置されるヘッド配置部27が形成されており、また、カセットケース22の隅部には、カセット装填部6のカセット受部10に係合してそれに支持される被係合部29が形成されている。
【0021】
この被係合部29のうちの1つには、カセットケース22内に収容した印字テープ31の幅に対応した所定の形状を有する識別部26が形成されている。この識別部26は、カセット装填部6のカセット受部10に設けた複数個の検出スイッチSW1、SW2を選択的に動作させるものであり、検出スイッチSW1、SW2から得られる情報によりカセット装填部6に装填されたテープカセット21に収容されている印字テープ31の幅を検出できるようにしている。
【0022】
この印字装置1には、例えば、9mm、12mm、18mmの各幅を有する印字テープ31及びその印字テープ31の幅と同等の幅を有するインクリボン35を収容した3種類のテープカセット21が使用できるようになっている。テープ印字を行う場合には、この3種類のテープカセット21の中から1つを選んで印字装置1のカセット装填部6に装填し、キー入力部3の印字キーを操作してテープ印字を指示する。テープ印字が指示されると、印字テープ31とインクリボン35とがテープカセット21から引き出され、重ね合わせた状態でプラテンローラ8とサーマルヘッド7の間に挟まれて共に搬送され、サーマルヘッド7がキー入力部3から入力された印字情報に基づいて発熱駆動され、インクリボン35のインクが印字テープ31に熱転写されて印字が行われる。印字が終了すると、カッタ13が作動して印字テープ31が切断されラベルが作成される。更に異なる幅の印字テープ31に印字する場合には、カセット装填部6に装填されているテープカセット21を取り出すとともに、他のテープ幅の印字テープ31を収容したテープカセット21をカセット装填部6に装填して同様にテープ印字を実行する。
【0023】
ここで、印字装置1におけるテープカセットの種類を検出する機能について、更に説明する。図3はテープカセットの識別部26とテープカセットの種類(印字テープの幅)を検出する検出スイッチSW1、SW2の関係を示している。上述のように、印字装置1では3種類のテープカセットの使用が可能になっている。以下、3種類のテープカセットをそれぞれ符号21a、21b、21cで表し、それらに設けられる識別部をそれぞれ符号26a、26b、26cで表す。図3(a)はカセット装填部6にいずれのテープカセットも装填されていない状態で、カセット装填部6が空の状態を示している。また、図3(b)はカセット装填部6に9mm幅の印字テープを収容したテープカセット21aが装填された状態、図3(c)はカセット装填部6に12mm幅の印字テープを収容したテープカセット21bが装填された状態、図3(d)はカセット装填部6に18mm幅の印字テープを収容したテープカセット21cが装填された状態であり、それぞれの状態での各テープカセットの識別部26a、26b、26cと検出スイッチSW1、SW2の関係を示している。
【0024】
検出スイッチSW1、SW2はマイクロスイッチで構成される一方、テープカセット21a、21b、21cに設ける識別部26a、26b、26cは、検出スイッチSW1、SW2に対応する特定の位置に切欠を有するか否かにより夫々固有の形状に形成されている。識別部の検出スイッチへの対応位置に切欠が存在すれば、マイクロスイッチの操作子が識別部によって押圧されることがなく、スイッチはオフ動作となる。識別部のスイッチ対応位置に切欠が存在しなければ、マイクロスイッチの操作子が識別部によって押圧され、スイッチはオン動作となる。
【0025】
例えば、カセット装填部6に9mm幅の印字テープを収容したテープカセット21aが装填された状態では、そのテープカセット21aに設けられた識別部26aには、検出スイッチSW2の位置にのみ対応して切欠30が形成されているため、検出スイッチSW1はオン動作し、検出スイッチSW2はオフ動作となる(図3(b))。また、カセット装填部6に12mm幅の印字テープを収容したテープカセット21bが装填された状態では、そのテープカセット21bに設けられた識別部26bには、検出スイッチSW1の位置にのみ対応して切欠30が形成されているため、検出スイッチSW1はオフ動作し、検出スイッチSW2はオン動作となる(図3(c))。また、カセット装填部6に18mm幅の印字テープを収容したテープカセット21cが装填された状態では、そのテープカセット21cに設けられた識別部26cには切欠が存在しないため、検出スイッチSW1、SW2は共にオン動作となる(図3(d))。また、カセット装填部6にいずれのテープカセット21bも装填されない状態では、検出スイッチSW1、SW2は共にオフ動作となる(図3(a))。
【0026】
図4は、各テープ幅のテープカセット21a、21b、21cと検出スイッチSW1、SW2の動作の関係を説明する図である。スイッチのオン動作を「1」とし、オフ動作を「0」で表わすと、それぞれ9mm幅の印字テープを収容したテープカセット21aは「01」、12mm幅の印字テープを収容したテープカセット21bは「10」、18mm幅の印字テープを収容したテープカセット21cは「11」の情報で表わすことができ、テープカセットの装填なしの場合は「00」の情報で表わすことができる。
【0027】
次に、図5は印字装置の電子回路の構成を示すブロック図を示している。同図に示すように、この印字装置1の電子回路には、CPUからなる制御部50が備えられ、制御部50は、キー入力部3からのキー操作信号に応じてROM51に予め記憶されているシステムプログラムを起動させ、RAM52をワークメモリとして回路各部の動作を制御するもので、この制御部50には、前記キー入力部3、ROM51、RAM52が接続される他、サーマルヘッド7を印字情報に応じて発熱駆動する駆動回路53、プラテンローラ8及びリボン巻取軸9を駆動するためのステップモータからなる搬送モータ54の駆動回路55、カッタ13を駆動するためのカッタ13を動作させるカッタモータ56の駆動回路57が接続され、また入力された文字情報などを表示するための表示部4が接続される。
【0028】
ROM51には、キー入力部2から入力された情報を表示部4に表示する表示処理プログラム、キー入力部2から入力された情報をサーマルヘッド7により印字する印字処理プログラム、検出スイッチSW1、SW2の動作状態を監視し異常を判断する異常判断処理のプログラムなどが記憶されている。また、RAM52には、キー入力された文字情報を記憶する入力情報メモリ、入力された文字情報が印字パターン情報に展開されて記憶される印字情報メモリ、表示部4に表示されるパターン情報が記憶される表示情報メモリの各領域が確保される。また、印字処理などに必要な情報を一時的に記憶するレジスタやフラグが設けられている。例えば、検出スイッチSW1、SW2のスイッチ状態の情報を一時的に記憶するレジスタAが設けられ、また検出スイッチSW1、SW2に異常が生じたときにセットされる異常発生フラグFが設けられる。
【0029】
また、検出スイッチSW1、SW2の動作状態の情報を所定時間間隔で読み取って検出スイッチSW1、SW2の動作状態を監視するために、スイッチ情報の読取時間間隔を設定するタイマ58が設けられる。このタイマ58のタイマ時間は、操作者がカセット収容部6の開閉蓋5を開閉してテープカセットを着脱したり交換したりするときに、テープカセットの装填や取り出しの状態を情報として拾える程度の適度な長さに予め決められており、例えば、1秒ないし数秒程度に決められている。
【0030】
この印字装置1は、カセット装填部6に交換品として選択的に装填されるテープカセット(印刷消耗品)21a、21b、21cの種類(テープ幅)を検出するために、カセット装填部6に備えられた検出スイッチ(検出手段)SW1、SW2の状態を監視し、それに異常が生じたときに、その異常を判断する機能を有している。以下、検出スイッチSW1、SW2の異常を判断する機能について、図6に示す検出スイッチの異常判断処理のフローチャートに基づいて説明する。ここでは、カセット装填部6に9mm幅の印字テープを収容したテープカセット21aが装填された状態から12mm幅の印字テープを収容したテープカセット21bに交換され、その間は検出スイッチSW1、SW2は正常に動作していたが、その後、カセット装填部6に12mm幅テープのテープカセット21bが装填されている状態で検出スイッチSW1、SW2に何らかの異常が生じた場合を具体例として説明する。
【0031】
印字装置1の電源が投入されると、図6に示す検出スイッチSW1、SW2の異常判断処理が開始される。まず、イニシャル処理が行なわれる。ここでは、検出スイッチSW1、SW2の動作状態の情報を一時的に記憶するために設けられたレジスタAがクリアされ、検出スイッチSW1、SW2の異常発生時にセットされる異常発生フラグFがリセットされる(ステップS1)。このイニシャル処理により、レジスタAの情報は「00」となり、異常発生フラグFは「0」となる。
【0032】
イニシャル処理の後、制御部50によって検出スイッチSW1、SW2の状態が読み取られ(ステップS2)、それとともにタイマ58が起動される(ステップS3)。上記具体例の場合、9mm幅のテープカセット21aが装填されているため、ステップS2では「01」のスイッチ状態の情報が読み取られる。
【0033】
次に、ステップS2で読み取られたスイッチ状態の情報とレジスタAに記憶されている情報とが一致するか否か判断される(ステップS4)。上記具体例の場合、読み取られた情報は「01」であり、レジスタAの情報はクリアされた直後で「00」のため、不一致が判断される。
【0034】
ステップS4が否定判断であれば、読み取った情報とレジスタAの情報の一方が、カセット装填部6にいずれのテープカセットも装填されていないテープカセットなしの情報、すなわちカセット装填部6が空の状態を表す「00」であるか否かが判断される(ステップS5)。上記具体例の場合では、レジスタAの情報が「00」(イニシャル処理状態のまま)であり、ステップS2で読み取られたスイッチ状態が「01」であり、一方の情報がテープカセットなしの情報のため肯定判断となる。
【0035】
ステップS5が肯定判断の場合、又はステップS4が肯定判断の場合にレジスタAにステップS2で読み取った情報が記憶される(ステップS6)。また、そのレジスタAの情報に基づいて、カセット装填部6に装填されているテープカセットのテープ幅が表示部4に表示される(ステップS7)。上記具体例の場合、ステップS6ではレジスタAにステップS2で読み取った「01」の情報が記憶され、ステップS7でテープ幅が9mmであることが表示部4に表示される。
【0036】
次に、タイマ時間が経過したか否かが判断され(ステップS8)、タイマ時間が経過すれば、タイマ58のリセットが行われ、ステップS2に戻って検出スイッチSW1、SW2の状態が読み取られ、タイマ58が起動される(ステップS3)。上記具体例の場合、9mm幅のテープカセット21aがカセット装填部6に装填されているため、ステップS2では「01」のスイッチ状態の情報が読み取られる。
【0037】
次に、ステップS2で読み取られたスイッチ状態の情報とレジスタAに記憶されている情報とが一致するか否か判断される(ステップS4)。上記具体例の場合、読み取られた情報は「01」であり、レジスタAの情報は「01」であるため、一致が判断される。以下、ステップS6、S7、S8、S9を経てステップS2に戻り、テープカセットが交換されない限り、ステップS5をスキップしてステップS2〜S9の処理が繰り返される。
【0038】
このようにして検出スイッチSW1、SW2の監視が行われている過程で、上記具体例のように、カセット装填部6に装填されるテープカセットが9mm幅のテープカセット21aから12mm幅のテープカセット21bに交換されたとする。このテープカセットの交換では、まず開閉蓋5が開けられて9mm幅テープのテープカセット21aがカセット装填部6から取り出され、カセット装填部6が一旦空の状態になった後に、12mm幅テープのテープカセット21bが装填されることになる。
【0039】
カセット装填部6から9mm幅テープのテープカセット21aが取り出されてカセット装填部6が一旦空の状態になった直後では、ステップS2において、スイッチ情報として「00」が読み取られることになる。一方、レジスタAには、前回に読み取られた9mm幅テープのテープカセット21aを表す情報「01」が記憶されているため、ステップS4の判断では、不一致が判断される。したがって、ステップS4からステップS5に移行し、今回読み取った情報が「00」であり、レジスタAの情報が「01」のためステップS5の判断は肯定判断となる。以下、ステップS6、S7、S8、S9の順に処理が行なわれる。そして、空状態のカセット装填部6にテープカセットが装填されるまでの間は、ステップS2〜S9の処理を繰り返す。
【0040】
次に、空状態のカセット装填部6に12mmのテープカセット21bが装填されると、その装填直後では、ステップS2でスイッチ情報として「10」が読み取られ、ステップS4で今回読み取られたスイッチ状態の情報「10」とレジスタAに記憶されている情報「00」(この場合は12mmのテープカセット21bが装填される直前のカセット装填部6が空である場合のスイッチ情報)の不一致が判断されると、ステップS5に移行する。ステップS5では、今回読み取った情報が「10」であり、レジスタAの情報が「00」のため肯定判断となる。以下、ステップS6、S7、S8、S9を経てステップS2に戻り、S2〜S9の各ステップの処理を繰り返す。
【0041】
このように、カセット装填部6に12mmのテープカセット21bが装填されている状態では、正常には、スイッチ情報として「10」が読み取られるはずであるが、検出スイッチSW1、SW2に異常が生じ、例えば、前回のステップS2の読み取りではスイッチ情報が「10」であったものが、今回はステップS2で「11」の情報が読み取られたものとする。ステップS2で「11」の情報が読み取られ、レジスタAに「10」の情報が記憶されているとすると、ステップS4の判断が否定判断となり、次のステップS5では情報「10」と情報「11」のいずれにも「00」の情報は存在しないため否定判断となる。ステップS5が否定判断の場合、表示部4に「故障発生」、あるいは「テープカセットの検出スイッチが故障」などのメッセージを表示するエラー報知を行い(ステップS10)、異常発生フラグFを「1」にセットし(ステップS11)、処理を終了する。
【0042】
上記印字装置1では、カセット装填部6に装填されるテープカセットが交換される場合、その交換時には、検出スイッチSW1、SW2によって、まずカセット装填部6から取り出される特定のテープカセットが検出された状態の次にテープカセットなしの状態が検出され、しかる後に新たに装填される他の特定のテープカセットが検出されるはずである。このような手順を踏まずに、中間でテープカセットなしの状態が検出されることがなく特定のテープカセットが検出された後に他の特定のテープカセットが検出されることは正常な状態ではなく、検出スイッチSW1、SW2に異常が生じたことが考えられる。図6に示す検出スイッチの異常判断処理のフローチャートでは、ステップS4及びステップS5の処理ステップを備えることにより、上記異常な状態を見つけ出して検出スイッチSW1、SW2の異常を判断するものである。
【0043】
図7は検出スイッチSW1、SW2が正常動作する場合と異常動作する場合のスイッチ情報の説明図である。ケースA〜Cの各スイッチ情報は上から下に向かって時間順に読み取られたことを表している。まず、ケースAのスイッチ情報では、テープカセット21aに対応するスイッチ情報「01」とテープカセット21bに対応するスイッチ情報「10」の間に、テープカセットなしのスイッチ情報「00」が得られている。これは、カセット装填部6に最初に9mm幅の印字テープを収容したテープカセット21aが装填され、次に12mm幅の印字テープのテープカセット21bに交換された場合のものである。このスイッチ情報では、テープカセット21aに対応するスイッチ情報「01」とテープカセット21bに対応するスイッチ情報「10」の間に、テープカセットなしのスイッチ情報「00」が得られるため、図6の検出スイッチの異常判断処理のフローチャートでは、ステップS5において異常判断(ステップS5のNO)されることはない。このケースAは検出スイッチSW1、SW2の正常動作を示している。
【0044】
また、ケースBのスイッチ情報では、2つの連続したテープカセット21aに対応するスイッチ情報「01」の間に、テープカセットなしのスイッチ情報「00」が得られている。これは、カセット装填部6に9mm幅の印字テープを収容したテープカセット21aが装填された状態からそのテープカセット21aが一旦取り出され、その後に再度同じテープカセット21aが装填された場合の検出スイッチSW1、SW2の状態を示している。このスイッチ情報では、2つの連続したテープカセット21aに対応するスイッチ情報「01」の間に、テープカセットなしのスイッチ情報「00」が得られるため、図6の検出スイッチの異常判断処理のフローチャートでは、ステップS5において異常判断されることはない。このケースBも検出スイッチSW1、SW2の正常動作を示している。
【0045】
ところで、ケースCのスイッチ情報では、テープカセット21aに対応するスイッチ情報「01」の後にテープカセット21cに対応するスイッチ情報「11」が得られている。カセット交換作業の手順を考慮すると、一旦カセット装填部6が空になるため、テープカセットなしのスイッチ情報が得られるはずであるが、このケースCではそのような情報は得られておらず、したがって、カセット装填部6にテープカセット21aが装填されているときに、検出スイッチSW1、SW2(検出スイッチSW1又は検出スイッチSW2の一方、又は双方)に異常が生じたものと判断される。この状態では、スイッチ情報「01」とスイッチ情報「10」の間にテープカセットなしのスイッチ情報「00」が得られないため、図6の検出スイッチの異常判断処理のフローチャートでは、ステップS5において異常が判断(ステップS5のNO)されることになる。このケースCは検出スイッチSW1、SW2の異常動作を示すものである。
【0046】
次に図8は、この印字装置1の印字処理を示すフローチャートである。この印字装置1は、検出スイッチSW1、SW2により検出したテープカセットのテープ幅に収まる最大の文字サイズを自動的に設定してテープ印字を行う機能を有している。この機能では、検出したテープカセットのテープ幅に基づいて文字サイズの自動設定を行うため、検出スイッチSW1、SW2に異常が生じて誤ったテープ幅情報が検出されると、テープ幅に対応しない文字サイズで印字が行われる虞がある。図8の印字処理では、検出スイッチSW1、SW2の異常が発見された場合、印字に不都合が生じるため、印字の禁止が行われる。すなわち、印字開始の指示があると(ステップS21)、異常発生フラグFが「0」にリセットされているか否かが判断され(ステップS22)、肯定判断の場合には検出スイッチSW1、SW2のスイッチ状態を読み出し(ステップS23)、更に印字するデータの行数を改行マークの数により検出し(ステップS24)、テープ幅と行数に基づいて文字サイズの設定を行う(ステップS25)。そして、設定された文字サイズによりテープ印字が行われる(ステップS26)。一方、ステップS21の判断が否定判断の場合、エラー報知を行い(ステップS27)、テープ印字を行うことなく処理を終了することにより、不適当な文字サイズ設定の虞のある印字が禁止される。
【0047】
以上のように、本実施形態の印字装置によれば、カセット装填部6に設けられる検出スイッチSW1、SW2のスイッチ状態を監視し、そのスイッチ状態がテープカセットなしの状態を経ることなく特定のテープカセットに対応したものから他の特定のテープカセットに変わったときに、検出スイッチSW1、SW2の異常を判断するため、検出スイッチSW1、SW2の異常を迅速且つ容易に発見することができ、また、異常が発見された場合、エラー報知を行い、あるいは印字を禁止する措置をとるため、操作者が検出スイッチSW1、SW2の故障を認識して印字装置の使用を中止するなどの適切な対応を行なうことが可能になる。
【0048】
上記の実施形態では、テープカセットに設ける識別部は、収容するテープの幅に応じて切欠を形成した形状的な特徴を持つものであったが、テープカセットの種類の識別が可能であれば、バーコードなどの光学マーク情報、あるいは磁気情報、あるいは半導体チップに書き込んだ電子情報などの形態でもよい。その場合、印字装置には、バーコードを読み取るバーコードリーダー、あるいは光学マークを読み取る光学センサ、あるいは磁気情報を読み取る磁気センサ、あるいは電子情報を読み取る読取回路が設けられる。
【0049】
また、上記の実施形態では、印字テープを収容した複数種類のテープカセットがカセット装填部に選択的に装填される印字装置を例に説明したが、交換品としての複数種類の用紙カセットが所定1箇所のカセット装填部に装填される複写機に本発明を採用することもできる。また、撮影した画像データを記憶するための所定のメモリカードが装着されるスロット(メモリカード装填部)を有するデジカメなどの電子機器にも採用することができる。このようなデジカメでは、データ記憶容量の異なる複数種類のメモリカードが用意されており、そのうちの1枚がメモリカード装填部に選択的に装填可能とされている。デジカメのスロット内にはメモリカードに記憶されるデータを読み取る読取手段が設けられ、その読取手段はスロットに装填された各メモリカードのデータ記憶容量を検出してメモリカードの種類を検出する検出手段の機能を有している。したがって、前記読取手段の読み取る情報により前記読取手段を監視し、メモリカードの装填なしの情報が得られることなくスロットに特定の種類のメモリカードが装填された状態から他の特定のメモリカードが装填された状態に変わった場合、前記読取手段(検出手段)の異常を判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態に係る電子機器としての印字装置の平面図。
【図2】その印字装置の要部の斜視図及びその印字装置に使用する交換品、すなわち印刷消耗品としてのテープカセットの斜視図。
【図3】そのテープカセットに設けられる識別部とその識別部によってテープカセットの種類を検出する検出スイッチの関係図。
【図4】その検出スイッチの動作説明図。
【図5】その印字装置の電子回路のブロック図。
【図6】その検出スイッチの異常判断処理のフローチャート。
【図7】その検出スイッチが正常動作する場合と異常動作する場合の説明図。
【図8】印字装置のテープ印字処理のフローチャート。
【符号の説明】
【0051】
1…印字装置
2…装置本体
4…表示部
5…開閉蓋
6…カセット装填部
7…サーマルヘッド
8…プラテンローラ
21、21a、21b、21c…テープカセット
26、26a、26b、26c…識別部
30…切欠
31…印字テープ
50…制御部
51…ROM
52…RAM
58…タイマ
A…レジスタ
F…異常発生フラグ
SW1、SW2…検出スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の交換品が選択的に収容される電子機器において、
前記交換品の収容の有無及び収容されている前記交換品の種類を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出状態を監視し、前記複数種類の交換品のうちの特定の種類の交換品が検出された後に、前記複数種類の交換品のいずれもが検出されることなく前記特定の種類の交換品とは異なる種類の交換品が検出された場合、前記検出手段の異常を判断する判断手段と、
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記判断手段により異常が判断されたときに、異常を報知する報知手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記判断手段により異常が判断されたときに、前記電子機器の特定の動作を禁止する禁止手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記交換品には、その交換品の種類に対応して異なる形状に形成された識別部が設けられており、
前記検出手段は、前記識別部に当接しその識別部の形状に応じて選択的にオン・オフ作動する複数個の電気スイッチによって構成されることを特徴とする請求項1ないし3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記交換品には、その交換品の種類を表わす光学情報、磁気情報、あるいは電子情報を保持した識別部が設けられており、
前記検出手段は、前記識別部に保持されている光学情報、磁気情報、あるいは電子情報を読み出す手段によって構成されることを特徴とする請求項1ないし3に記載の電子機器。
【請求項6】
前記複数種類の交換品は複数種類の印刷消耗品であり、
前記複数種類の印刷消耗品を選択的に用いて印字を行なう印字手段を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記判断手段により異常が判断されたときに、前記印字手段の印字動作を禁止する禁止手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記複数種類の印刷消耗品には、その種類に対応して異なる形状に形成された識別部が設けられており、
前記検出手段は、前記印刷消耗品の前記識別部に当接しその識別部の形状に応じて選択的にオン・オフ作動する複数個の電気スイッチによって構成されることを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項9】
前記複数種類の印刷消耗品には、その種類を表わす光学情報、磁気情報、あるいは電子情報を保持した識別部が設けられており、
前記検出手段は、前記識別部に保持されている光学情報、磁気情報、あるいは電子情報を読み出す手段によって構成されることを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項10】
前記複数種類の印刷消耗品の夫々は、幅の異なるテープ状の被印字媒体と、その被印字媒体に印字を行なうためのインク材を収容するとともに、その被印字媒体の幅サイズを表わし、その幅サイズが前記検出手段によって検出される識別部が設けられたテープカセットであって、
前記検出手段により検出される前記被印字媒体の幅サイズに基づいて自動的に印字条件を設定する印字条件設定手段と、
前記印字条件設定手段によって設定された印字条件に従って前記印字手段の印字動作を制御する印字制御手段とを更に備えており、
前記印字制御手段は、前記判断手段によって異常が判断されたときに、前記印字手段による印字動作を禁止する制御を行うことを特徴とする請求項6に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−68595(P2008−68595A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−251479(P2006−251479)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】