説明

電子機器

【課題】 静電気対策がなされていることを外観に示すとともに、静電気耐圧性能の向上が可能な電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】 ボタンスイッチ9を押下するユーザの指が静電気を帯びている場合、静電気が回路基板16に到達する前に、上ケース7の内面7bに設けられたグランドに飛ぶことが望ましい。導電部材11を設けることで、人の指から飛んだ静電気が導電部材11を介して上ケース7の内面7bのグランドに到達しやすくなり、誤作動が起こる危険性を低減することができる。また、導電部材11がボタンスイッチ9の周りに視認できる形で設けられていることから、電子機器1に静電気対策がなされていることをユーザに対して示すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関し、特に静電気対策に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器には、スイッチやコネクタなど人の手がよく触れる箇所が存在する。静電気によって電子部品等が破壊されるのを防ぐため、静電気対策の一般的な方法として、外部から電子機器に印加された静電気が電子機器内の回路基板に飛ぶ前に電子機器の筐体のフレームGNDに飛ばす方法がある。また、特許文献1には、回転ツマミ体の下面外周寄りに円弧状導電部を設け、基体に導電性突出部を形成して近接当接させて静電気対策した電気部品が開示されている。回転体の一部をキャビネットの開口から外部に突出させて配設し、前記キャビネットの開口から飛び込む静電気を、前記導電部に落とし込むことで、この導電部に落ちた静電気をプリント基板のアースパターンに逃がすようにしいている。
【特許文献1】特開11−144922号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記の方式の場合、静電気をプリント基板のアースパターンに逃がすようにしているため、静電気がプリント基板上の電子部品に飛んで誤動作を起こさせる可能性があるという問題がある。また、上記の方式では、静電気対策がなされていることをユーザが外観から知ることはできない。そこで本発明の目的は、静電気対策がなされていることを外観に示すとともに、静電気耐圧性能の向上が可能な電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明に係る電子機器は、上面を有する筐体と、前記上面に設けられる操作部と、前記筐体内部に設けられるグランド部と、前記上面の前記操作部の近傍に設けられ、前記グランド部と電気的に接続される導電部材とを備え、前記導電部材は前記上面に露出する端部と、前記端部から前記筐体の上面を貫通して前記筐体内部に延びる胴部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、静電気対策がなされていることを外観に示すとともに、静電気耐圧性能の向上が可能な電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下本発明に係る実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は本発明の実施形態に係る電子機器を示す外観斜視図である。電子機器1は筐体2を備え、筐体2にはディスプレイユニット3がヒンジ部4を介して回動可能に取り付けられている。ディスプレイユニット3は筐体2の上面2aが開放される開き位置と、筐体2の上面2aが覆われる閉じ位置とで回動可能である。ディスプレイユニット3内にはLCD(Liquid Crystal Display)3aから構成される表示装置が組み込まれる。筐体2内には複数の電子部品を搭載した回路基板が収容されている。筐体2の上面2aにはタッチパッド5およびキーボード6が取り付けられる。筐体2は樹脂製あるいはマグネシウム合金等の金属製の上ケース7及び下ケース8とから構成され、筐体2内には複数の電子部品を搭載した後述する回路基板が収容されている。また、筐体2の上ケース7の上面7aには操作するためのボタンスイッチ9が複数設けられる。
【0007】
図2は本発明の実施形態に係る電子機器の内部を示す断面図である。図3は本発明の実施形態に係る操作部を示す図である。図3では、図1に4つ記載されているボタンスイッチ9の中で1つを代表して示している。
【0008】
上ケース7の内面7bには必要に応じて導電塗装が施されグランドとして使用される。上ケース7の上面7aからは導電部材11の端部11aが上面7aから突出するように設けられる。端部11aは、例えば半球状や円柱状に形成することができる。
【0009】
導電部材11には例えば銅やステンレス等が用いられる。導電部材11は、導電塗装が施された上ケース7の内面7bと電気的に接触する胴部11bが設けられる。導電部材11は、ボタンスイッチ9から端部11aまでの距離Aが、ボタンスイッチ9から回路基板16までの距離Bよりも小さくなるように設けるのが望ましい。また、導電部材11は、上ケース7の内面7bに設けられたボス13を介してネジ14により固定される。導電部材11の固定には、ボス13とネジ14を用いる他に、溶着等を用いて固定しても良い。
【0010】
下ケース8の内面8aにはボス15が複数設けられる。回路基板16には図示しないネジ穴が設けられ、ボス15を介してネジ17により下ケース8と回路基板16とがネジ止めされる。回路基板16の上面16aには、電子部品18が実装される。また、回路基板16には、スイッチ部品19が設けられ、ユーザがボタンスイッチ9を押下することにより、ボタンスイッチ9の下面9aと、スイッチ部品19の上面19aとが接触することで、ボタンスイッチ9に割り当てられた動作が行われる。
【0011】
ボタンスイッチ9を押下するユーザの指が静電気を帯びている場合、静電気が回路基板16に到達する前に、上ケース7の内面7bに設けられたグランドに飛ぶことが望ましい。電子機器1の薄型化によって筐体2が薄くなると、ボタンスイッチ9を押下するユーザの指から静電気が回路基板16に到達しやすくなるが、本実施形態のように、導電部材11を設けることで、人の指から飛んだ静電気が導電部材11を介して上ケース7の内面7bのグランドに到達しやすくなる。今後電子機器の動作電圧が低くなっていくと、電圧変動に敏感になり静電気の影響で誤作動することがありうるが、本実施形態のようにユーザの指から飛んだ静電気が上ケース7の内面7bのグランドに到達しやすくすることで誤作動が起こる危険性を低減することができる。また本実施形態では、導電部材11がボタンスイッチ9の周りに視認できる形で設けられていることから、電子機器1に静電気対策がなされていることをユーザに対して示すことができる。
【0012】
本実施形態によれば、静電気対策がなされていることを外観に示すとともに、静電気耐圧性能の向上が可能な電子機器を提供することができる。
【0013】
図4は本発明の他の実施形態に係る電子機器の操作部を示す外観斜視図である。図5は本発明の他の実施形態に係る電子機器の操作部の断面を示す図である。以下の説明で図1乃至図3で示したものと同一の構成には同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0014】
導電部材11は、タッチパッド5に設けても良い。タッチパッド5は矩形状の操作領域5aと、この操作領域5aと段差をもって設けられる外周部5bを有し、導電部材11の端部11aは外周部5bに沿って設けられる。タッチパッド5の操作領域5aと外周部5bとは間隙が存在する。タッチパッド5を操作するユーザの指が静電気を帯びている場合、静電気が回路基板16に到達する前に、上ケース7の内面7bに設けられたグランドに飛ぶことが望ましい。本実施形態のように、タッチパッド5の外周部5bに導電部材11の端部11aを設けることで、人の指から飛んだ静電気が導電部材11を介して上ケース7の内面7bのグランドに到達しやすくなる。本実施形態では、導電部材11がタッチパッド5の外周部5bに沿って視認できる形で設けられていることから、電子機器1に静電気対策がなされていることをユーザに対して示すことができる。
【0015】
本実施形態によれば、静電気対策がなされていることを外観に示すとともに、静電気耐圧性能の向上が可能な電子機器を提供することができる。
【0016】
以上の説明のように静電気対策用の導電端部をボタンスイッチ、タッチパッドなど操作部の周囲に設けることで、ユーザは一見して電子機器に静電気対策がなされていることを認識することができる。
【0017】
ボタンスイッチ、タッチパッドなど操作部の周囲に筐体のGNDに接続された導電端部を設けて、人の指が帯びている静電気が積極的に導電端部に流れるようにすることで、静電気耐圧性能の向上を見込むことができる。
【0018】
本発明の実施形態によれば、静電気対策がなされていることを外観に示すとともに、静電気耐圧性能の向上が可能な電子機器を提供することができる。
【0019】
本発明ではその主旨を逸脱しない範囲であれば、上記の実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態に係る電子機器を示す外観斜視図。
【図2】本発明の実施形態に係る電子機器の内部を示す断面図。
【図3】本発明の実施形態に係る操作部を示す図。
【図4】本発明の他の実施形態に係る電子機器の操作部を示す外観斜視図。
【図5】本発明の他の実施形態に係る電子機器の操作部の断面を示す図。
【符号の説明】
【0021】
1…電子機器、2…筐体、3…ディスプレイユニット、4…ヒンジ部、5…タッチパッド、5a…操作領域、5b…外周部、6…キーボード、7…上ケース、8…下ケース、9…ボタンスイッチ、11…導電部材、16…回路基板、18…電子部品、19…スイッチ部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を有する筐体と、
前記上面に設けられる操作部と、
前記筐体内部に設けられるグランド部と、
前記上面の前記操作部の近傍に設けられ、前記グランド部と電気的に接続される導電部材とを備え、前記導電部材は前記上面に露出する端部と、前記端部から前記筐体の上面を貫通して前記筐体内部に延びる胴部とを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記導電部材は、前記胴部の少なくとも一部が前記筐体内部の前記グランド部と電気的に接続されることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記端部は前記操作部を囲むように少なくとも2つ以上設けられることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記操作部は矩形状の操作領域と、前記操作領域と段差をもって設けられる外周部を有し、前記端部は前記矩形上の外周部に沿って設けられることを特徴とする請求項1記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−26503(P2009−26503A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−186115(P2007−186115)
【出願日】平成19年7月17日(2007.7.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】