説明

電子機器

【課題】本発明は、揮発性メモリにおける一部の領域であって実行されるプログラムが記憶された所定領域に電流を供給し、他の領域には電流を供給しないことで省電力化された電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】携帯電話機1は、NAND100と、複数の記憶領域を有しNAND100から読み出されたプログラムを記憶するRAM110と、RAM110における所定の記憶領域に記憶されるプログラムを実行するプログラム実行部140と、プログラム実行部140により実行されるプログラムが記憶される所定の記憶領域のみ、又は、複数の記憶領域のうち所定の記憶領域を含む一部の記憶領域のみに記憶維持のための電流を連続的又は所定間隔で継続的に供給する電流供給部130と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器としての携帯電話機において、多機能化が進んでいる。携帯電話機の多機能化にともない、省電力化が重要になってきている。
【0003】
省電力化の技術として、例えば、携帯電話機がスリープモードの場合にはCPU(Central Processing Unit)への高周波クロックの供給を止めることで、電流消費を抑える技術が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開10−215293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術は、携帯電話機の高機能化にともなうメモリの大容量化に起因する消費電力の増加を抑制できるもではない。
特に、揮発性メモリにおける記憶を維持するため、一定周期(例えば、10μsec)で揮発性メモリに供給される電流を抑制することはできない。
【0005】
本発明は、揮発性メモリにおける一部の領域であって実行されるプログラムが記憶された所定領域に電流を供給し、他の領域には電流を供給しないことで省電力化された電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、プログラムを記憶する不揮発性メモリと、複数の記憶領域を有し前記不揮発性メモリから読み出されたプログラムを所定の記憶領域に記憶する揮発性メモリと、前記所定の記憶領域に記憶されているプログラムを実行するプログラム実行部と、前記複数の記憶領域のうち前記所定の記憶領域を少なくとも含む一部の記憶領域のみに電流を連続的又は継続的に供給する電流供給部と、を備える電子機器に関する。
【0007】
また、前記プログラム実行部が、前記一部の記憶領域以外の記憶領域であって、前記電流供給部による電流供給が行われていない記憶領域に記憶されている所定のプログラムを実行する場合に、前記電流供給部により前記所定のプログラムが記憶されている記憶領域に電流供給を行うと共に、前記所定のプログラムが正常であるか否かを判定し、前記所定のプログラムが正常であるときには、前記所定の記憶領域に記憶されるプログラムを前記プログラム実行部に実行させ、前記所定のプログラムが正常でないときには、前記不揮発性メモリに記憶される所定のプログラムを読み出して前記所定の記憶領域に記憶させると共に、該記憶されたプログラムを前記プログラム実行部に実行させるプログラム制御部と、を備えることが好ましい。
【0008】
また、前記プログラムは、誤り検出符号データを有し、前記プログラム制御部は、前記誤り検出符号データに基づいて前記所定のプログラムが正常であるか否かを判定することが好ましい。
【0009】
また、前記プログラム制御部は、前記プログラム実行部が所定のプログラムに基づいた実行を開始する際、前記誤り検出符号データに基づいて前記所定のプログラムが正常であるか否かを判定することが好ましい。
【0010】
また、前記揮発性メモリに記憶される誤り検出符号テーブルを有し、前記プログラム制御部は、前記誤り検出符号テーブルに基づいて前記所定のプログラムが正常であるか否かを判定することが好ましい。
【0011】
また、前記揮発性メモリは、複数のプログラムそれぞれに対応した前記誤り検出符号データを該複数のプログラムそれぞれが記憶される記憶領域ごとに記憶した、前記誤り検出符号テーブルを有し、前記プログラム制御部は、前記検出符号テーブルと、前記複数のプログラムがそれぞれ備える誤り検出符号データとを比較し、前記所定のプログラムが正常であるか否かを判定することが好ましい。
【0012】
また、前記電流供給部は、前記誤り検出符号テーブルを記憶する記憶領域に対して、記憶維持のための電流を連続的又は所定間隔で継続的に供給することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、揮発性メモリにおける一部の領域であって実行されるプログラムが記憶された所定領域に電流を供給し、他の領域には電流を供給しないことで省電力化された電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1により、電子機器としての携帯電話機1における基本構造を説明する。図1は、携帯電話機1を開いた状態における外観斜視図を示す。
【0015】
図1に示すように、携帯電話機1は、筐体としての操作部側筐体2と、表示部側筐体3と、を備える。操作部側筐体2と表示部側筐体3とは、ヒンジ機構を備える連結部4を介して開閉可能に連結される。具体的には、操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、連結部4を介して連結される。これにより、携帯電話機1は、ヒンジ機構を介して連結された操作部側筐体2と表示部側筐体3とを相対的に動かすことが可能に構成される。つまり、携帯電話機1は、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが開いた状態(開状態)と、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが折り畳まれた状態(閉状態)とにすることができる。ここで、閉状態とは、両筐体が互いに重なるように配置された状態であり、開状態とは、両筐体が互いに重ならないように配置された状態をいう。
【0016】
操作部側筐体2は、外面がフロントケース2aとリアケース2bとにより構成される。操作部側筐体2は、フロントケース2a側に、操作キー群11と、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力されるマイクとしての音声入力部12とがそれぞれ露出するように構成される。
【0017】
操作キー群11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作キー14と、各種操作における決定や上下左右方向のスクロール等を行う操作部材としての決定操作キー15とにより構成される。操作キー群11を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や各種モード、あるいは起動されているアプリケーション等の種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。そして、使用者が各キーを押圧することにより、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
【0018】
音声入力部12は、操作部側筐体2の長手方向における連結部4側と反対の外端部側に配置される。つまり、音声入力部12は、携帯電話機1が開状態において一方の外端部側に配置される。
【0019】
操作部側筐体2における一方側の側面には、外部機器(例えば、ホスト装置)と通信を行うためのインターフェース(図示せず)が配置される。操作部側筐体2の他方側の側面には、所定の機能が割り当てられているサイドキーと、外部メモリの挿入及び取り出しが行われるインターフェース(図示せず)とが配置される。インターフェースは、キャップにより覆われている。各インターフェースは、不使用時にはキャップにより覆われる。
【0020】
表示部側筐体3は、外面がフロントパネル3aと、フロントケース3bと、リアケース3cと、リアパネル3dとにより構成される。表示部側筐体3におけるフロントケース3bには、各種情報を表示するための表示部21と、通話の相手側の音声を出力するレシーバとしての音声出力部22と、が露出するように配置される。ここで、表示部21は、液晶パネルと、この液晶パネルを駆動する駆動回路と、この液晶パネルの背面側から光を照射するバックライト等の光源部とから構成される。
【0021】
次いで、図2から図5により、操作部側筐体2及び表示部側筐体3の内部構造について説明する。図2は、操作部側筐体2に内蔵される部材の分解斜視図である。図3は、表示部側筐体3に内蔵される部材の分解斜視図である。
【0022】
図2に示すように、操作部側筐体2は、フロントケース2aと、キー構造部40と、キー基板50と、ケース体60と、基準電位パターン層75及び携帯電話機用のRF(Radio Frequency)モジュール等の各種電子部品を備える回路基板70と、アンテナ部90と、バッテリリッド2cを備えたリアケース2bと、バッテリ80とを備える。
【0023】
フロントケース2aとリアケース2bとは、互いの凹状の内側面が向き合うように配置され、互いの外周縁が重なり合うようにして結合される。また、フロントケース2aとリアケース2bとの間には、キー構造部40と、キー基板50と、ケース体60と、回路基板70と、アンテナ部90とが挟まれるようにして内蔵される。
【0024】
フロントケース2aには、携帯電話機1を折り畳んだ状態で表示部側筐体3の表示部21と対向する内側面に、キー孔13a、14a、15aが形成される。キー孔13a、14a、15aそれぞれからは、機能設定操作キー13を構成する機能設定操作キー部材13bの押圧面、入力操作キー14を構成する入力操作キー部材14bの押圧面、及び決定操作キー15を構成する決定操作キー部材15bの押圧面が露出される。この露出した機能設定操作キー部材13b、入力操作キー部材14b及び決定操作キー部材15bの押圧面を押し下げるように押圧することで、対応するキースイッチ51、52、53それぞれに設けられる後述のメタルドーム(椀状形状)の頂点が押圧され、スイッチ端子に接触して電気的に導通する。
【0025】
キー構造部40は、操作部材40Aと、補強部材としてのキーフレーム40Bと、シート部材としてのキーシート40Cと、により構成される。
【0026】
操作部材40Aは、複数のキー操作部材により構成される。具体的には、機能設定操作キー部材13bと、入力操作キー部材14bと、決定操作キー部材15bとにより構成される。操作部材40Aを構成する各操作キー部材それぞれは、後述するキーフレーム40Bを挟んでキーシート40Cに接着される。キーシート40Cに接着された各操作キー部材それぞれにおける押圧面は、上述の通り、キー孔13a、14a、15aそれぞれから外部に露出して配置される。
【0027】
キーフレーム40Bは、孔部14cが複数形成された金属性の板状部材である。キーフレーム40Bは、入力操作キー部材14bの押圧による回路基板70等への悪影響を防ぐための補強部材である。また、キーフレーム40Bは導電性の部材であり、入力操作キー部材14bにおける静電気を逃がすための部材としても機能する。キーフレーム40Bに形成される複数の孔部14cには、後述するキーシート40Cに形成される凸部14dが嵌合するように配置される。そして、この凸部14dに入力操作キー部材14bが接着される。
【0028】
キーシート40Cは、可撓性を有するシリコンゴム製のシート状部材である。キーシート40Cには、上述の通り、複数の凸部14dが形成される。複数の凸部14dは、キーシート40Cにおけるキーフレーム40Bが配置される側の面に形成される。この複数の凸部14dそれぞれは、後述するキースイッチ52に対応する位置に形成される。
【0029】
キー基板50は、キーシート40C側に配置される複数のキースイッチ51、52、53を有する。複数のキースイッチ51、52、53、それぞれは、各操作部材40Aに対応する位置に配置される。キー基板50に配置されるキースイッチ51、52、53は、椀状に湾曲して立体的に形成された金属板のメタルドームを有する構造になっている。メタルドームは、その椀状形状の頂点が押圧されると、キー基板50の表面に印刷された電気回路(図示せず)に形成されるスイッチ端子に接触して電気的に導通するように構成される。なお、キー基板50は、複数の絶縁層(絶縁フィルム)の間に配線を挟み込んだものである。
【0030】
キー基板50がケース体60における平板部61に載置されるので、操作部材40Aそれぞれが押圧されることによる圧力や撓みは、ケース体60の下方に配置される回路基板70に伝達されにくい。
【0031】
ケース体60は、薄型の直方体における一の広い面が開口した形状を有する導電性の部材である。ケース体60は、平板部61における開口側の面に略垂直に形成されるリブ62を有する。リブ62は、回路基板70に実装される各種電子部品のうち最も高さのある電子部品の高さと同等又はそれよりも十分に高くなるよう形成される。リブ62は、平板部61の周縁及び内側に基準電位部を構成する基準電位パターン層75に対応するように形成される。具体的には、ケース体60が回路基板70に載置された状態で、基準電位パターン層75上に配置されるようにリブ62が形成される。なお、ケース体60は、金属により形成するほか、骨格を樹脂により形成し、その表面に導体膜を形成したものでもよい。
【0032】
ケース体60は、リブの底面が基準電位パターン層75に当接されることで、該基準電位パターン層75と電気的に接続される。ケース体60は、基準電位パターン層75と電気的に導通して該基準電位パターン層75と同じ大きさの電位を有するようになる。つまり、ケース体60は、シールドケースとして機能する。ケース体60は、シールドケースとして外部からの高周波等のノイズが回路基板70に配置される各種電子部品に作用するのを抑制すると共に、RF(Radio Frequency)回路、CPU回路、電源回路等から放出されるノイズを遮蔽して、他の電子部品やアンテナに接続される受信回路等に作用することを抑制する。具体的には、ケース体60におけるリブ62の底面が基準電位パターン層75上に配置されることで、後述する各回路はリブ62により囲われると共に平板部61の一部により覆われる。リブ62は、各回路における隔壁として機能し、平板部61の一部と共に各回路をシールドする。
【0033】
回路基板70には、アンテナ108が送受信する信号を処理する信号処理部を含む不図示の各種電子部品や回路が配置される。各種電子部品は、所定の組み合わせにより複数の回路ブロックを形成する。例えば、RF(Radio Frequency)回路、電源回路等を含む各種回路ブロックが形成される。
【0034】
回路基板70におけるケース体60側の第1面70aには、上述の各種電子部品のほか、基準電位部を構成する基準電位パターン層75が形成される。基準電位パターン層75は、上述の各回路ブロックを区画するように形成される。基準電位パターン層75は、回路基板70の第1面70aの表面に導電性の部材を所定パターンで印刷することで形成される。
【0035】
アンテナ部90は、基台上に所定形状のアンテナエレメントが配置されることにより構成さる。アンテナ部90は、携帯電話機1における連結部4側と反対の端部側に配置される。このアンテナ部90のアンテナエレメントは、帯状の板金により形成される。また、アンテナ部90は、不図示の給電端子を介して回路基板70から給電される。これにより、アンテナエレメントは、給電端子を介して回路基板70から給電されると共に、回路基板70のRFモジュール等と接続される。
【0036】
リアケース2bの一端側(図2において)には、取り外し可能なバッテリリッド2cが設けられており、バッテリ80をリアケース2bの外側から収納した後、リアケース2bに装着される。また、リアケース2bにおける一端側には、ユーザの音声を入力する不図示の音声入力部12(特にマイク)が収容される。
【0037】
図3に示すように、表示部側筐体3は、フロントパネル3aと、音声出力部22と、フロントケース3bと、音声出力部22と、表示部21と、表示部21が接続されたプリント基板85と、リアケース3cと、リアパネル3dと、を備える。
【0038】
表示部側筐体3は、フロントパネル3aと、フロントケース3bと、表示部21と、プリント基板85と、リアケース3cと、リアパネル3dとがそれぞれが積層的に配置される。具体的には、フロントケース3bとリアケース3cとは、互いの凹状の内側面が向き合うように配置され、互いの外周縁が重なり合うようにして結合される。
【0039】
そして、フロントケース3bとリアケース3cとの間には、表示部21が接続されたプリント基板85が挟まれるようにして内蔵される。プリント基板85には、不図示のアンプと接続されるスピーカが接続される。
【0040】
図4により、携帯電話機1における機能ブロック図について説明をする。
図4は、携帯電話機1における機能ブロック図である。
図4に示すように、携帯電話機は、無線通信部200と、表示部21と、操作部160と、不揮発性メモリとしてのNAND型フラッシュメモリ(以下省略してNAND100と記載する)と、揮発性メモリとしてのRAM110と、RAM110における所定領域に電流を供給する電流供給部130と、機能部としてのプログラム実行部140及びプログラム制御部150を含むCPU45と、を備える。
【0041】
無線通信部200は、所定の使用周波数帯により外部装置と通信を行うアンテナ部90と、変調処理又は復調処理等の信号処理を行う通信処理部201と、を備える。
【0042】
アンテナ部90は、所定の使用周波数帯(例えば、800MHz)で不図示の基地局と通信を行う。アンテナ部90は、所定の使用周波数帯で基地局を介して外部の通信機器と通信を行う。なお、本実施形態では、所定の使用周波数帯として、800MHzとしたが、他の周波数帯であってもよい。また、アンテナ部90は、所定の使用周波数帯(第1使用周波数帯)のほかに、第2使用周波数帯(例えば、2GHz)に対応できる、いわゆるデュアルバンド対応型による構成であってもよいし、更に、第3の使用周波数帯にも対応できる複数バンド対応型により構成されていてもよい。
【0043】
通信処理部201は、所定の機能部から供給された信号を変調処理しアンテナ部90を介して基地局に送信すると共に、アンテナ部90により受信された信号を復調処理し所定の機能部に供給する。
【0044】
操作部160は、操作キー群11を含んで構成される。操作キー群11の内容は上述の通りである。
表示部21は、所定の文字や画像を表示する。その他、表示部21の内容は上述の通りである。
【0045】
NAND100は、不揮発性のメモリである。NAND100は、複数のプログラムを保存(記憶)するプログラム保存領域101と、ファイル保存領域103とを有する。
【0046】
プログラム保存領域101には、複数のプログラムが記憶される。プログラム保存領域101には、各種機能を動作させるアプリケーションプログラム等が複数記憶される。プログラム保存領域101に記憶されるプログラムの一部は、RAM110に記憶(コピー)される。プログラム保存領域101に記憶されるプログラムの一部は、後述するプログラム制御部150により、必要に応じて読み出され、RAM110における所定のプログラム記憶領域に記憶(コピー)される。
【0047】
プログラム保存領域101には、各プログラムの誤り検出符号データであるCRC(Cyclic Redundancy Check)データが記憶される。プログラム保存領域101において、各CRCデータは、対応する各プログラムと関連付けて記憶される。
【0048】
ファイル保存領域103には、所定形式のファイルデータが記憶される。ファイル保存領域103は、例えば、ファイル保存領域103には、プロフィール情報や、アドレス帳機能に利用されるアドレス情報等が記憶される。
【0049】
RAM110は、複数の記憶領域を有する。
RAM110は、テーブル記憶領域110Tと、NAND100のプログラム保存領域101から読み出されたプログラムが記憶されるプログラム記憶領域110A、110B、110C、110Dと、を有する。
【0050】
テーブル記憶領域110Tには、CRCデータA、B、C、Dが記憶される。ここで、CRCデータA、B、C、Dは、プログラムPA、PB、PC、PDそれぞれに対応するCRCデータである。CRCデータA、B、C、Dは、NAND100におけるプログラム保存領域101から読み出され、テーブル記憶領域110Tに記憶される。
【0051】
テーブル記憶領域110Tには、後述する電流供給部130により記憶を維持するための電流が連続的又は所定間隔で継続的に供給される。これにより、テーブル記憶領域110Tに記憶されるCRCデータA、B、C、Dは、内容が正しい状態で維持される。テーブル記憶領域110TにおけるCRCデータA、B、C、Dは、後述のプログラム制御部150における判定の基準となる。
【0052】
プログラム記憶領域110A、110B、110C、110Dそれぞれは、NAND100におけるプログラム保存領域101から読み出されたプログラムと、それぞれのプログラムに対応するCRCデータとを記憶する。具体的には、プログラム記憶領域110Aは、プログラムPAとCRCデータTAとを記憶する。プログラム記憶領域110Bは、プログラムPBとCRCデータTBとを記憶する。プログラム記憶領域110Cは、プログラムPCとCRCデータTCとを記憶する。プログラム記憶領域110Dは、プログラムPDとCRCデータTDとを記憶する。
【0053】
プログラム記憶領域110A、110B、110C、110Dそれぞれに記憶されるプログラムPA、PB、PC、PDのうち所定のプログラムは、後述するプログラム実行部140により実行される。例えば、プログラム記憶領域110Aに記憶されるプログラムPAは、プログラム実行部140により実行される。ここで、プログラムPAが実行されている間、プログラムPAを含むプログラム記憶領域110Aには、後述する電流供給部130により電流が供給される。これに対し、他のプログラム記憶領域110B、110C、110Dには、電流供給部130により電流が供給されない。
【0054】
電流供給部130は、RAM110における一部の記憶領域に電流を供給する。
電流供給部130は、後述するプログラム実行部140により実行されるプログラムが記憶されるプログラム記憶領域のみに記憶維持のための電流を連続的又は所定間隔で継続的に供給する。本実施形態において、例えば、プログラム実行部140によりプログラムPAが実行された場合、電流供給部130は、プログラム記憶領域100Aのみに電流を供給する。つまり、電流供給部130は、実行するプログラムを正しい状態で保持させるために特定のプログラム記憶領域には電流を供給し、実行していないプログラムが記憶されるプログラム記憶領域には電流を供給しない。これにより、携帯電話機1は、該携帯電話機1における正常な動作を確保しつつ、省電力化をはかることができる。
【0055】
また、電流供給部130は、テーブル記憶領域110Tに対して、記憶維持のための電流を連続的又は所定間隔で継続的に供給する。つまり、電流供給部130は、テーブル記憶領域110Tに記憶されるCRCデータA、B、C、Dを正しい状態で保持させている。これにより、後述するプログラム制御部150は、正しい状態のCRCデータA、B、C、Dを基準として、プログラムが正常であるか否かを判定することができる。
【0056】
CPU45は、携帯電話機1の全体を制御する。CPU45は、特に、無線通信部200と、表示部21に対して所定の制御を行う。
また、CPU45は、機能部としてのプログラム実行部140と、プログラム制御部150とを含む。
【0057】
プログラム実行部140は、RAM110におけるプログラム記憶領域110A、110B、110C、110Dのうち所定のプログラム記憶領域に記憶されるプログラムを実行する。本実施形態において、例えば、プログラム実行部140は、プログラム記憶領域110Aに記憶されるプログラムPAを実行する。
【0058】
プログラム制御部150は、プログラム記憶領域110A、110B、110C、110Dそれぞれに記憶されるCRCデータTA、TB、TC、TDと、テーブル記憶領域110Tに記憶されるCRCデータA、B、C、Dとをそれぞれ比較し、各プログラムが正常であるか否かを判定する。プログラム制御部150は、例えば、プログラム記憶領域110Aに記憶されプログラムPAに対応するCRCデータTAと、テーブル記憶領域100Tに記憶されプログラムPAに対応するCRCデータAとを比較する。そして、プログラム制御部150は、CRCデータ同士を比較した結果に基づいて、プログラム記憶領域110Aに記憶されるプログラムPAが正常であるか否かを判定する。
【0059】
プログラム制御部150は、新たにプログラムを実行する際、該プログラムが正常であるか否かを判定する。
また、プログラム制御部150は、プログラム実行部140により実行されるプログラムが所定のプログラムから他のプログラムに変更される際、変更されるプログラムが正常であるか否かを判定する。
【0060】
プログラム制御部150は、RAM110における複数のプログラム記憶領域110A、110B、110C、110Dのうち所定のプログラム記憶領域に記憶される所定のプログラムが正常である場合には、所定のプログラム記憶領域に記憶されるプログラムをプログラム実行部140に実行させる。そして、プログラム制御部150は、RAM110おける複数のプログラム記憶領域110A、110B、110C、110Dのうち所定のプログラム記憶領域に記憶される所定のプログラムが正常でない場合には、NAND100のプログラム保存領域101に記憶される所定のプログラム(正常でないとされたプログラムと同じプログラム)を読み出して所定のプログラム記憶領域に記憶させると共に、該記憶されたプログラムをプログラム実行部140に実行させる。
【0061】
プログラム制御部150は、例えば、該プログラム制御部150がプログラム記憶領域110Aに記憶されるプログラムPAを正常であると判定した場合には、プログラム記憶領域110Aに記憶されるプログラムPAをそのままプログラム実行部140に実行させる。そして、プログラム制御部150は、該プログラム制御部150がプログラム記憶領域110Aに記憶されるプログラムPAを正常ではないと判定した場合には、NAND100のプログラム保存領域101に記憶されるプログラムPAを読み出しでプログラム記憶領域110Aに記憶(上書き)させると共に、該記憶(上書き)されたプログラムPAをプログラム実行部140に実行させる。
【0062】
続けて、図5により、携帯電話機1における動作について説明する。
図5は、携帯電話機1における動作を説明するフロー図である。
図5に示すように、まず、携帯電話機1において、プログラム実行部140によりプログラムPAが実行されている(ST1)。
この場合、電流供給部130は、プログラムPAが記憶されるプログラム記憶領域110Aに所定間隔で継続的に電流を供給している(ST2)。
【0063】
次いで、プログラム実行部140により実行されるプログラムをプログラムPAからプログラムPBに切り替える(ST3)。詳細には、プログラム実行部140により実行されるプログラムをプログラム記憶領域110Aに記憶されるプログラムPAから、プログラム記憶領域110Bに記憶されるプログラムPBに切り替える。
【0064】
実行プログラムが切り替えられる際、プログラム制御部150は、テーブル記憶領域110TのCRCデータBと、プログラム記憶領域110BのCRCデータTBとを比較してプログラムPBが正常か否かを判定する(ST4)。
【0065】
プログラム記憶領域110BのCRCデータTBがテーブル記憶領域110TのCRCデータBと一致し、プログラム制御部150がプログラム記憶領域110Bに記憶されるプログラムPBを正常であると判定した場合(ST5、YES)、プログラム実行部140は、プログラム記憶領域110Bに記憶されるプログラムPBを実行する(ST6)。
【0066】
プログラム記憶領域110BのCRCデータTBがテーブル記憶領域110TのCRCデータBと一致せず、プログラム制御部150がプログラム記憶領域110Bに記憶されるプログラムPBを正常ではないと判定した場合(ST5、NO)、プログラム制御部150は、NAND100のプログラム保存領域101に記憶されるプログラムPBを読み出してRAM110のプログラム記憶領域110Bに記憶(上書き)させる(ST8)。そして、プログラム実行部140は、プログラム記憶領域110Bに記憶(上書き)されたプログラムPBを実行する(ST6)。
【0067】
実行プログラムがプログラムPAからプログラムPBに切り替えられることで、電流供給部130は、プログラム記憶領域110Aへの電流の供給を停止し、プログラムPBが記憶されるプログラム記憶領域110Bへの所定間隔で継続的な電流の供給を開始する(ST7)。
【0068】
本実施形態によれば、RAM110における一部の記憶領域であって実行されるプログラムが記憶された記憶領域のみに電流を供給するようにしたので、省電力化された携帯電話機1を提供することができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、プログラム制御部150は、RAM110に記憶されるプログラムが正常でない場合には、NAND100に記憶されるプログラムを読み出して上書きした正常なプログラムをプログラム実行部140に実行させる。これにより、携帯電話機1において、電流を供給しないことで正常でなくなったプログラムが実行することを抑制できる。
【0070】
また、本実施形態によれば、誤り検出符号であるCRCデータを利用してプログラムが正常であるか否かを判定しているので、プログラムが正常であるか否かを簡易に判定することができる。また、プログラムが正常であるか否かの判定において、NAND100やRAM110に過剰な負担をかけることを抑制できる。
【0071】
また、本実施形態によれば、電流供給部130がRAM110におけるテーブル記憶領域110Tに継続的に電流を供給しているので、CRCデータのテーブルをNAND100に保持する場合に比して、プログラム制御部150は、RAM110にアクセスするだけで、実行しようとするプログラムが正常であるか否かを高速に判定することができる。
【0072】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。例えば、本実施形態において、電子機器として携帯電話機1について説明しているが、これに限定されず、PHS(登録商標;Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン等であってもよい。
【0073】
また、本実施形態においては、連結部4により折り畳み可能な携帯電話機1の説明をしているが、このような折り畳み式ではなく、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転(ターン)式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが一つの筐体に配置され連結部を有さない型式(ストレートタイプ)でもよい。また、携帯電話機1は、開閉及び回転可能ないわゆる2軸ヒンジタイプであってもよい。
【0074】
また、本実施形態においては、誤り検出符号として、CRCデータについて説明しているが、これに限定されず、例えば、ブロック符号や、バリティ符号や、定比率符号等であってもよい。
【0075】
また、本実施形態においては、電流供給部130は、実行プログラムが記憶されたプログラム記憶領域のみに電流を供給するが、これに限定されず、例えば、実行プログラムが記憶されたプログラム領域を含む複数の領域であってRAM110における一部の領域(全部ではない)に電流を供給するよう構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】携帯電話機1を開いた状態における外観斜視図である。
【図2】操作部側筐体2に内蔵される部材の分解斜視図である。
【図3】表示部側筐体3に内蔵される部材の分解斜視図である。
【図4】携帯電話機1における機能ブロック図である。
【図5】携帯電話機1における動作を説明するフロー図である。
【符号の説明】
【0077】
1 携帯電話機
2 操作部側筐体
3 表示部側筐体
100 NAND(不揮発性メモリ)
101 プログラム保存領域
103 ファイル保存領域
110 RAM(揮発性メモリ)
110A プログラム記憶領域
110B プログラム記憶領域
110C プログラム記憶領域
110D プログラム記憶領域
110T テーブル記憶領域
130 電流供給部
140 プログラム実行部
150 プログラム制御部
A CRCデータ
B CRCデータ
C CRCデータ
D CRCデータ
TA CRCデータ
TB CRCデータ
TC CRCデータ
TD CRCデータ
PA プログラム
PB プログラム
PC プログラム
PD プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラムを記憶する不揮発性メモリと、
複数の記憶領域を有し前記不揮発性メモリから読み出されたプログラムを所定の記憶領域に記憶する揮発性メモリと、
前記所定の記憶領域に記憶されているプログラムを実行するプログラム実行部と、
前記複数の記憶領域のうち前記所定の記憶領域を少なくとも含む一部の記憶領域のみに電流を連続的又は継続的に供給する電流供給部と、を備える
電子機器。
【請求項2】
前記プログラム実行部が、前記一部の記憶領域以外の記憶領域であって、前記電流供給部による電流供給が行われていない記憶領域に記憶されている所定のプログラムを実行する場合に、前記電流供給部により前記所定のプログラムが記憶されている記憶領域に電流供給を行うと共に、前記所定のプログラムが正常であるか否かを判定し、
前記所定のプログラムが正常であるときには、前記所定の記憶領域に記憶されるプログラムを前記プログラム実行部に実行させ、
前記所定のプログラムが正常でないときには、前記不揮発性メモリに記憶される所定のプログラムを読み出して前記所定の記憶領域に記憶させると共に、該記憶されたプログラムを前記プログラム実行部に実行させるプログラム制御部と、を備える
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記プログラムは、誤り検出符号データを有し、
前記プログラム制御部は、前記誤り検出符号データに基づいて前記所定のプログラムが正常であるか否かを判定する
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記プログラム制御部は、前記プログラム実行部が所定のプログラムに基づいた実行を開始する際、前記誤り検出符号データに基づいて前記所定のプログラムが正常であるか否かを判定する
請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記揮発性メモリに記憶される誤り検出符号テーブルを有し、
前記プログラム制御部は、前記誤り検出符号テーブルに基づいて前記所定のプログラムが正常であるか否かを判定する
請求項3又は4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記揮発性メモリは、複数のプログラムそれぞれに対応した前記誤り検出符号データを該複数のプログラムそれぞれが記憶される記憶領域ごとに記憶した、前記誤り検出符号テーブルを有し、
前記プログラム制御部は、前記検出符号テーブルと、前記複数のプログラムがそれぞれ備える誤り検出符号データとを比較し、前記所定のプログラムが正常であるか否かを判定する
請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記電流供給部は、前記誤り検出符号テーブルを記憶する記憶領域に対して、記憶維持のための電流を連続的又は所定間隔で継続的に供給する
請求項6に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−136212(P2010−136212A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311540(P2008−311540)
【出願日】平成20年12月5日(2008.12.5)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】