説明

電子機器

【課題】機器本体に動作に係る設定値を容易に、しかも円滑にマニュアル設定することのできる機能を備えた電子機器を提供する。
【解決手段】機器本体の動作に係る設定値を記憶する内部記憶手段と、この内部記憶手段に記憶する設定値の変更に用いられる操作部とを備えた電子機器において、特に前記操作部の単発操作に伴って前記内部記憶手段に記憶する設定値を段階的に更新する第1の操作手段と、前記操作部の予め定められた特殊操作に伴って前記内部記憶手段に記憶する設定値を予め設定された規定値に更新する第2の操作手段とを備える。更に前記操作部の予め定められた特殊操作に伴って前記第1の操作手段にて前記内部記憶手段に記憶する設定値を段階的に更新する変更量を変更する第3の操作手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ装置に設定されて検出値の弁別に用いられる判定閾値等の、機器本体に動作に係る設定値を容易に、しかも円滑に変更することのできる電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
光電スイッチとして用いられる光センサ装置は、その検出値である受光量を予め設定された判定閾値と比較することで物体の有無を検出するように構成される。またフィードバック制御系を構成する汎用型の制御装置は、制御対象の制御量と予め設定された制御目標値との偏差に応じて、前記制御対象に対する操作量を生成するように構成される。また近年、この種のセンサ装置や制御装置等の電子機器の小型化が進められている。
【0003】
図5は、ファイバ型光センサ装置における本体部の概略的な外観を示しており、この本体部は、例えば幅50mm、高さ20mm、奥行き10mm程度の箱形の筐体1に収容して構成される。ちなみにこの種のセンサ装置の本体部は、複数台並べて使用されることも多々あることから、専ら、前記筐体1の上面部にその表示部2や操作部7を設けている。具体的には、図6に拡大して示すように前記筐体1の上面部の限られた狭い領域に、4桁の数字表示部2を設けると共に、操作部7を構成する4個の操作ボタン3,4,5,6を指先にて個別に操作可能な間隔で配置している。
【0004】
尚、前記数字表示部2は、前記操作部7にて設定された動作モードの下で該光センサ装置における検出値やその判定結果、更には動作条件を規定する判定閾値等の情報を選択的に表示するためのものである。また前記操作ボタン3,4,5,6は、例えば[AUTO/OK]の情報入力に用いられる決定ボタン、[FUNC/CANCEL]および[LO/DO]の動作モード切替情報の入力に用いられる機能ボタン、そして前述した判定閾値等の設定値の変更に用いられる[+]ボタンおよび[−]ボタンからなる。これらのボタンは一般的な押しボタンスイッチであって、操作者が指で押した状態か押していない状態かを電気的なオン・オフ信号として発生させるためのものである。
【0005】
ところでこの種のセンサ装置の使用条件は様々であり、その設置環境等に応じて前述した判定閾値等を適正に設定することが必要である。このような判定閾値を自動的に適正設定するべく、例えば特許文献1には複数種類のワークがそれぞれ存在するときに受光レベルと、上記各ワークが存在しないときの受光レベルとをそれぞれ求め、各受光レベルを比較することで。その判定閾値を自動設定する手法が開示される。しかしながらセンサ装置の使用条件に応じて前記判定閾値をマニュアル設定したいことも多々ある。
【0006】
ちなみに前記判定閾値のマニュアル設定は、その操作者が前述した機能ボタンを用いて[閾値変更モード]を設定し、その上で前述した[+]ボタンおよび[−]ボタンを択一的に操作することで、予め設定されている判定閾値を変更することによって行われる。具体的には図7に概略的な操作手順を示すように、[+]ボタンおよび[−]ボタンの択一的な操作に応じて、その設定値(判定閾値)が最大値または最小値に達するまで、該設定値(判定閾値)を所定の変位量[α]ずつ加減算することによって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−229752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら前述したマニュアル設定の手法においては、前記設定値(判定閾値)を所望とする値に変更するには、前記数字表示部2にモニタ表示される判定閾値を確認しながら前述した[+]ボタンまたは[−]ボタンを繰り返し操作したり、或いは押し続けることが必要であり、多大な手間を要する。ちなみに[+]ボタンまたは[−]ボタンを長押ししたとき、前述した設定値(判定閾値)の変更速度を速くすることも提唱されている。しかしながら設定値(判定閾値)の変更速度が速くなった場合、逆にその設定値(判定閾値)を所望とする値に停止させることが難しくなると言う、相反する問題が生じる。
【0009】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、例えばセンサ装置に設定されて検出値の弁別に用いられる判定閾値等の、機器本体に動作に係る設定値を容易に、しかも円滑にマニュアル設定することのできる機能を備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した目的を達成するべく本発明に係る電子機器は、機器本体の動作に係る設定値を記憶する内部記憶手段と、この内部記憶手段に記憶する設定値の変更に用いられる操作部とを備えたものであって、
特に前記操作部の単発操作に伴って前記内部記憶手段に記憶する設定値を段階的に更新する第1の操作手段と、前記操作部の予め定められた特殊操作に伴って前記内部記憶手段に記憶する設定値を予め設定された規定値に更新する第2の操作手段とを具備したことを特徴としている。
【0011】
ちなみに前記内部記憶手段に記憶する設定値は、前記機器本体の動作を規定する制御目標値または判定閾値であって、前記第2の操作手段は、前記操作部の予め定められた特殊操作に伴って前記制御目標値または判定閾値の最大値、最小値、初期値、若しくは制御/判定対象とする現在値にて前記内部記憶手段に記憶されている設定値を択一的に更新するように構成される。尚、この択一的な更新は、予め上記最大値、最小値、初期値、若しくは現在値のいずれに変更するかを定めておいても良いが、前述した特殊操作が行われる都度、前記最大値、最小値、初期値、若しくは現在値に巡回的に変更するものであっても良い。
【0012】
尚、前記操作部の単発操作は、前記操作部に設けられたプラス[+]ボタンおよびマイナス[−]ボタンの択一的なクリック操作(ボタンを押した後に放す動作を短時間内に行う操作)であり、前記第1の操作手段は、前記プラスボタンおよびマイナスボタンの択一的なクリック操作に伴って、前記内部記憶手段に記憶する設定値を予め定められた変更量ずつ正方向または負方向に段階的に更新するように構成される。また前記操作部の予め定められた特殊操作は、前記操作部に設けられたプラスボタンまたはマイナスボタンの長押し操作、または前記プラスボタンまたはマイナスボタンのダブルクリック操作、若しくは前記プラスボタンおよびマイナスボタンの同時クリック操作として設定される。
【0013】
また本発明に係る別の電子機器は、機器本体の動作に係る設定値を記憶する内部記憶手段と、この内部記憶手段に記憶する設定値の変更に用いられる操作部とを備えたものであって、
特に前記操作部の単発操作に伴って前記内部記憶手段に記憶する設定値を予め定められた変更量ずつ段階的に更新する第1の操作手段と、前記操作部の予め定められた特殊操作に伴って前記第1の操作手段にて前記内部記憶手段に記憶する設定値を段階的に更新する変更量を変更する第3の操作手段とを備えたことを特徴としている。
【0014】
ちなみに前記内部記憶手段に記憶する設定値は、前記機器本体の動作を規定する制御目標値または判定閾値である。また前記第1の操作手段は、前記操作部に設けられたプラス[+]ボタンおよびマイナス[−]ボタンの択一的なクリック操作に伴って、前記内部記憶手段に記憶する設定値を予め定められた変更量ずつ正方向または負方向に段階的に更新するものである。そして前記操作部の予め定められた特殊操作は、前記操作部に設けられたプラスボタンまたはマイナスボタンの長押し操作、または前記プラスボタンまたはマイナスボタンのダブルクリック操作、若しくは前記プラスボタンおよびマイナスボタンの同時クリック操作であり、前記第3の操作手段は、前記操作部の予め定められた特殊操作に伴って、前記第1の操作手段に設定されている変更量を順次所定倍して該変更量を変更するように構成される。
【発明の効果】
【0015】
上記構成の本発明に係る電子機器によれば、操作部の予め定められた特殊操作に伴って前記内部記憶手段に記憶する設定値を予め設定された規定値に更新するので、この更新された設定値(規定値)を基準として前記操作部の単発操作により該設定値を所望とする値に速やかに変更することができ、その操作負担を大幅に軽減し得る。従って機器本体の動作に係る設定値を容易に、しかも円滑にマニュアル設定することが可能となる。
【0016】
また本発明に係る電子機器によれば、第1の操作手段にて設定値の段階的に更新に用いられる変更量を、前記操作部の予め定められた特殊操作に伴って変更するので、前記設定値の設定状況に応じて前記操作部の単発操作による前記設定値の変更量の適正化を図ることができる。従って機器本体の動作に係る設定値を容易に、しかも円滑にマニュアル設定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る電子機器における設定値の変更手順の一例を示す図。
【図2】第2の操作手段により設定される規定値の変更手順の例を示す図。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る電子機器における設定値の変更手順の一例を示す図。
【図4】第3の操作手段により設定される変更量の変更手順の例を示す図。
【図5】小型の光センサ装置の概略的な外観を示す斜視図。
【図6】図5に示す光センサ装置における表示部と操作部の構成例を示す図。
【図7】従来の電子機器における設定値の変更手順の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して本発明に係る電子機器について説明する。
この電子機器は、例えば前述した図5に示すように箱形の筐体1に収納されて構築された小型の光センサ装置であって、センサによる検出値を予め設定された判定閾値と比較して、その検出出力(判定結果)を得るように構成される。ちなみに前記判定閾値は、機器本体の内部メモリ(内部記憶手段)に記憶・保持されて上述した検出値との判定処理に供される。また上記筐体1には、例えば図6に示したように表示部2と、複数の操作ボタン3,4,5,6を備えた操作部7が設けられる。これらの複数の操作ボタン3,4,5,6は、例えば前述したように[AUTO/OK]の情報入力に用いられる決定ボタン3、[FUNC/CANCEL]および[LO/DO]の動作モード切替情報の入力に用いられる機能ボタン4、そして前述した判定閾値等の設定値の変更に用いられるプラス[+]ボタン5およびマイナス[−]ボタン6からなる。
【0019】
本発明に係る電子機器は、前述した内部メモリ(内部記憶手段)に記憶された、例えば判定閾値を上述したプラス[+]ボタン5およびマイナス[−]ボタン6を操作して変更するに際して、例えば図1にその処理手順を示すように前記プラス[+]ボタン5またはマイナス[−]ボタン6が択一的に単発操作、具体的にはクリック操作されたとき、前記判定閾値を所定の変更値αずつ段階的に更新する手段(第1の操作手段A)と、前記プラス[+]ボタン5またはマイナス[−]ボタン6が予め定められた特殊操作、具体的には長押し操作されたとき、前記判定閾値を予め設定された規定値、例えば判定閾値の最大値や最小値に強制的に更新する手段(第2の操作手段B)を備えたことを特徴としている。
【0020】
具体的には機能ボタン4の操作によって内部メモリ(内部記憶手段)に記憶された判定閾値の変更モードが設定されたとき、先ず前記表示部2に現在設定されている判定閾値(設定値)の表示がなされる<ステップS1>。判定閾値の変更は、このようにして表示部2に表示された設定値(判定閾値)をモニタし、この表示部2に表示された設定値(判定閾値)を前記プラス[+]ボタン5およびマイナス[−]ボタン6を操作することにより更新(変更)することによって行われる。
【0021】
前述した第1の操作手段Aは、前記プラス[+]ボタン5またはマイナス[−]ボタン6が択一的にクリック操作されたとき<ステップS2,S3>、前記設定値を所定の変更値、例えば設定値の最小変更単位(変更量)αだけ変更する<ステップS4,S5>。具体的にはプラス[+]ボタン5がクリック操作されたときには前記設定値に変更量αを加算することで該設定値を更新し、マイナス[−]ボタン6がクリック操作されたときには前記設定値から変更量αを減算することで該設定値を更新する。このような単発的な設定値の更新処理は、前記プラス[+]ボタン5またはマイナス[−]ボタン6が択一的にクリック操作される毎に繰り返し実行される。
【0022】
これに対して前記第2の操作手段Bは、前記プラス[+]ボタン5およびマイナス[−]ボタン6が予め定められた特殊操作されたとき、具体的には前記プラス[+]ボタン5またはマイナス[−]ボタン6が長押し操作されたとき(所定時間に亘って押下げ操作したとき)れ<ステップS6,S7>、或いは前記プラス[+]ボタン5およびマイナス[−]ボタン6が同時操作されたとき(同時に押し下げ操作したとき)<ステップS8>に起動され、前記判定閾値(設定値)を予め定められている規定値に強制的に設定する役割を担う。具体的には前記プラス[+]ボタン5が長押し操作されたときには<ステップS6>には、第2の操作手段Bは現在の設定値の如何に拘わることなく、その設定値を判定閾値の最大値に設定し<ステップS8>、また前記マイナス[−]ボタン6が長押し操作されたときには<ステップS7>には、その設定値を判定閾値の最小値に設定する<ステップS10>。そして前記プラス[+]ボタン5およびマイナス[−]ボタン6が同時操作されたとき<ステップS8>には、前記第2の操作手段Bは、例えば前記判定閾値と比較されるセンサ出力の現在値を、その設定値(判定閾値)として強制的に設定する<ステップS11>ものとなっている。
【0023】
そしてこのようにして変更対象とする設定値(判定閾値)を、その最大値、最小値、または現在値に強制的に設定した後には、再び前記前記プラス[+]ボタン5およびマイナス[−]ボタン6の操作に応じて、その設定値(判定閾値)の変更(更新)処理が行われる。従って、例えば4桁の数値で示される設定値[0000]〜[9999]を、基本的には前記プラス[+]ボタン5およびマイナス[−]ボタン6のクリック操作に応じてその最小単位である[1]ずつ増減する場合であっても、その設定値を最大値、最小値、または現在値へと大きくジャンプ(シフト)させた後、これを基準として設定値の微調整を行うことが可能となるので、設定値の変更操作の容易化を図ることが可能となる。
【0024】
尚、設定値を強制的に予め定めた規定値に変更するに際しては、プラス[+]ボタン5およびマイナス[−]ボタン6の特殊操作に応じて、具体的にはプラス[+]ボタン5およびマイナス[−]ボタン6の長押しやダブルクリック(所定時間内に押下げ・開放・押下げの一連動作を行う操作)、同時押し等に応じて、強制的に設定する規定値を、例えば図2に示すように「最大値」,「最小値」,「現在値」,「初期値」,「現設定値」として巡回的に変更設定することも可能である。特にこのようにして予め定められた既定値を巡回設定する上で、元設定値(変更前の設定値)を含むようにしておけば、設定値の変更途中において基の値に戻したいような場合に効果的に対処することが可能となる。
【0025】
ところで前述した内部メモリ(内部記憶手段)に記憶された判定閾値(設定値)を前述したプラス[+]ボタン5およびマイナス[−]ボタン6を操作して変更するに際して、次のようにしてその変更量を変化させることも有用である。図3はこのような機能を実現した本発明の第2の実施形態に係る電子機器における設定値の変更処理手順の一例を示している。
【0026】
この第2の実施形態に係る電子機器は、前記プラス[+]ボタン5またはマイナス[−]ボタン6が択一的に単発操作、具体的にはクリック操作されたとき、前記判定閾値を所定の変更値αずつ段階的に更新する手段(第1の操作手段A)と、前記プラス[+]ボタン5またはマイナス[−]ボタン6が予め定められた特殊操作、具体的にはダブルクリック操作されたとき、前記判定閾値(設定値)の変更量を変更する手段(第3の操作手段C)を備えたことを特徴としている。
【0027】
この判定閾値(設定値)の変更量の変更とは、前述したように設定値が4桁の数値で示される場合、その最小変更単位は[1]であるが、例えばその変更単位を桁数に応じて[10],[100],[1000]として変更することを意味する。尚、その変更単位を[1],[5],[10],[50],[100]…として、予め定められた変更量に順次変更するようにしても良いことは言うまでもない。
【0028】
具体的には機能ボタン4の操作によって内部メモリ(内部記憶手段)に記憶された判定閾値の変更モードが設定されたとき、第1の実施形態と同様に先ず前記表示部2に現在設定されている判定閾値(設定値)の表示がなされる<ステップS21>。判定閾値の変更は、このようにして表示部2に表示された設定値(判定閾値)をモニタし、この表示部2に表示された設定値(判定閾値)を前記プラス[+]ボタン5およびマイナス[−]ボタン6を操作することにより更新(変更)することによって行われる。
【0029】
前述した第1の操作手段Aは、前記プラス[+]ボタン5またはマイナス[−]ボタン6が択一的にクリック操作されたとき<ステップS22,S23>、前記設定値を後述するように設定された所定の変更量αだけ変更する<ステップS24,S25>。尚、この変更量αは、その初期値として設定値の最小変更単位[1]として与えられる。具体的にはプラス[+]ボタン5がクリック操作されたときには前記設定値に変更量αを加算することで該設定値を変更し、マイナス[−]ボタン6がクリック操作されたときには前記設定値から変更量αを減算することで該設定値を変更する。
【0030】
この際、変更された設定値がその最大値以上となるか否か、また最小値以下となるか否かをそれぞれ判定し<ステップS26,S27>、最大値を超える場合には変更された設定値に代えてその最大値を採用し<ステップS28>、また最小値を超える場合には変更された設定値に代えてその最小値を採用する<ステップS29>。このような単発的な設定値の更新処理は、前記プラス[+]ボタン5またはマイナス[−]ボタン6が択一的にクリック操作される毎に繰り返し実行される。
【0031】
これに対して第3の操作手段Cは、前記プラス[+]ボタン5およびマイナス[−]ボタン6が予め定められた特殊操作されたとき、具体的には前記プラス[+]ボタン5またはマイナス[−]ボタン6がダブルクリック操作されたとき<ステップS30,S31>に起動される。そしてこの場合には、先ず現在設定されている変更量αが、予め規定されている許容範囲の最大量であるか、若しくは予め規定されている許容範囲の最小量であるかを判定する<ステップS32,S33>。
【0032】
そして現在の変更量αがその許容最大量でない場合には、前記変更量αに係数Kを乗ずることで変更量αを所定倍し<ステップS34>、許容最大量である場合には、その許容最大量をそのまま採用する。つまり変更量αが既にその最大許容量に設定されている場合には、プラス[+]ボタン5のダブルクリック操作による変更量αの変更を無視する。また現在の変更量αがその許容最小量でない場合には、前記変更量αに係数(1/K)を乗ずることで所定倍し<ステップS35>、許容最小量である場合にはその許容最小量をそのまま採用する。つまり変更量αが既にその最小許容量に設定されている場合には、マイナス[−]ボタン6のダブルクリック操作による変更量αの変更を無視する。
【0033】
具体的には図4に変更量αの変更手順を遷移図として示すように、プラス[+]ボタン5がダブルクリック操作される都度、例えばその変更量αを[1],[10],[100],[1000]と変更し、逆にマイナス[−]ボタン6がダブルクリック操作される都度、例えばその変更量αを[1000],[100],[10],[1]と変更する。そしてこのようにして変更量αを変更設定した条件において、前述したプラス[+]ボタン5またはマイナス[−]ボタン6のクリック操作に応じて、その設定値を順次変更する。
【0034】
かくして上述した如く構成された電子機器によれば、操作部7の予め定められた特殊操作によって該操作部7の基本的な操作により変更される設定値の変更量αを変えることができるので、設定値を所望とする値に容易に変更することができる。特にプラス[+]ボタン5またはマイナス[−]ボタン6を、最大[9999]回に亘って押し続けることなく、容易に所望とする値に設定することが可能となる。
【0035】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば第1の実施形態に示した第2の操作手段Bと、第2の実施形態に示した第3の操作手段Cとを併用しても良いことは言うまでもない。この場合、操作部7の特殊操作による第2または第3の操作手段の起動条件については、その特殊操作の形態を予め定めておけば十分である。例えばプラス[+]ボタン5およびマイナス[−]ボタン6の長押し、または同時押しによって第2の操作手段Bを起動し、プラス[+]ボタン5およびマイナス[−]ボタン6のダブルクリック操作によって第3の操作手段Cを起動するように構成しておけば良い。また前述した如くして設定値を変更した後には、例えば前記決定ボタン3の操作によってその変更値を新たな設定値として確定するようにすれば十分である。
【0036】
またここでは判定閾値の変更(修正)を例に説明したが、制御装置における制御目標値等の変更(修正)操作にも同様に適用することができる。要は本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 筐体(機器本体)
2 表示器
3 決定ボタン
4 機能ボタン
5 プラス[+]ボタン
6 マイナス[−]ボタン
A 第1の操作手段
B 第2の操作手段
C 第3の操作手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器本体の動作に係る設定値を記憶する内部記憶手段と、この内部記憶手段に記憶する設定値の変更に用いられる操作部とを備えた電子機器において、
前記操作部の単発操作に伴って前記内部記憶手段に記憶する設定値を段階的に更新する第1の操作手段と、
前記操作部の予め定められた特殊操作に伴って前記内部記憶手段に記憶する設定値を予め設定された規定値に更新する第2の操作手段と
を具備したことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記内部記憶手段に記憶する設定値は、前記機器本体の動作を規定する制御目標値または判定閾値であって、
前記第2の操作手段は、前記操作部の予め定められた特殊操作に伴って前記制御目標値または判定閾値の最大値、最小値、初期値、若しくは制御/判定対象とする現在値にて前記内部記憶手段に記憶されている設定値を択一的に更新するものである請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記操作部の単発操作は、前記操作部に設けられたプラスボタンおよびマイナスボタンの択一的なクリック操作であり、
前記第1の操作手段は、前記プラスボタンおよびマイナスボタンの択一的なクリック操作に伴って、前記内部記憶手段に記憶する設定値を予め定められた変更量ずつ正方向または負方向に段階的に更新するものである請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記操作部の予め定められた特殊操作は、前記操作部に設けられたプラスボタンまたはマイナスボタンの長押し操作、または前記プラスボタンまたはマイナスボタンのダブルクリック操作、若しくは前記プラスボタンおよびマイナスボタンの同時クリック操作である請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
機器本体の動作に係る設定値を記憶する内部記憶手段と、この内部記憶手段に記憶する設定値の変更に用いられる操作部とを備えた電子機器において、
前記操作部の単発操作に伴って前記内部記憶手段に記憶する設定値を予め定められた変更量ずつ段階的に更新する第1の操作手段と、
前記操作部の予め定められた特殊操作に伴って前記第1の操作手段にて前記内部記憶手段に記憶する設定値を段階的に更新する変更量を変更する第3の操作手段と
を具備したことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
前記内部記憶手段に記憶する設定値は、前記機器本体の動作を規定する制御目標値または判定閾値である請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第1の操作手段は、前記操作部に設けられたプラスボタンおよびマイナスボタンの択一的なクリック操作に伴って、前記内部記憶手段に記憶する設定値を予め定められた変更量ずつ正方向または負方向に段階的に更新するものである請求項5に記載の電子機器。
【請求項8】
前記操作部の予め定められた特殊操作は、前記操作部に設けられたプラスボタンまたはマイナスボタンの長押し操作、または前記プラスボタンまたはマイナスボタンのダブルクリック操作、若しくは前記プラスボタンおよびマイナスボタンの同時クリック操作であり、
前記第3の操作手段は、前記操作部の予め定められた特殊操作に伴って、前記第1の操作手段に設定されている変更量を順次所定倍して該変更量を変更するものである請求項5に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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