電子機器
【課題】電池端子面における酸化皮膜や汚れが十分に除去された位置に、電池接片の接触部を接触させる。
【解決手段】電子機器は、電池211を挿入可能な電池室221と、電池の第1の端子面213に対して接触可能な接触部232を有する第1の電池接片231と、電池室への電池の挿入に応じて、第1の電池接片を接触部が第1の端子面を擦るように回転させる回転駆動機構222,242とを有する。第1の電池接片には、該第1の電池接片の回転中心から互いに等距離に位置する複数の接触部232が、回転駆動機構による該第1の電池接片の回転角度βよりも小さい角度間隔αで設けられている。
【解決手段】電子機器は、電池211を挿入可能な電池室221と、電池の第1の端子面213に対して接触可能な接触部232を有する第1の電池接片231と、電池室への電池の挿入に応じて、第1の電池接片を接触部が第1の端子面を擦るように回転させる回転駆動機構222,242とを有する。第1の電池接片には、該第1の電池接片の回転中心から互いに等距離に位置する複数の接触部232が、回転駆動機構による該第1の電池接片の回転角度βよりも小さい角度間隔αで設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池が挿入される電池室が設けられた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電池の端子面(以下、電池端子面という)に酸化皮膜が形成されたり油等の汚れが付着したりすると、これらが導通不良の原因となる。このため、電池を使用する電子機器には、電池室に電池を挿入して電池蓋を閉じるという一連の操作の中で、電池室に設けられた電池接片における電池端子面に接触する部分(以下、接触部という)が電池端子面を擦るように動作する機構が設けられる。
特許文献1にて開示された電子機器では、電池接片の接触部が曲率を持つ形状に形成され、該接触部の電池端子面に対する摩擦抵抗を小さくしている。これにより、電池室に挿入される電池が押される力を利用して、接触部が電池端子面に対して擦れ易い構造を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−108667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にて開示された電子機器では、電池接片の接触部は電池端子面に対して直線移動しかできない。このため、電池の電池室への挿入が完了した状態での電池端子面と電池接片の接触部との接触位置は、接触部が電池端子面に対して擦れ終わった位置となる。この擦れ終了位置では、酸化皮膜や汚れが十分に除去されない場合が多く、導通不良を確実に回避できないおそれがある。
【0005】
本発明は、電池端子面における酸化皮膜や汚れが十分に除去された位置に、電池接片の接触部を接触させることができるようにした電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての電子機器は、電池を挿入可能な電池室と、電池の第1の端子面に対して接触可能な接触部を有する第1の電池接片と、電池室への電池の挿入に応じて、接触部が第1の端子面を擦るように第1の電池接片を回転させる回転駆動機構とを有する。そして、第1の電池接片には、該第1の電池接片の回転中心から互いに等距離に位置する複数の接触部が、回転駆動機構による該第1の電池接片の回転角度よりも小さい角度間隔で設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電池の第1の端子面のうち第1の電池接片の回転方向前側に設けられた接触部が擦った位置に、回転方向後側に設けられた接触部が接触する。このため、第1の端子面のうち酸化皮膜や汚れが十分に除去された位置に接触部を接触させることができ、導通不良をより確実に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例であるカメラにおける電池室の概略構造を示す斜視図。
【図2】実施例のカメラの正面斜視図。
【図3】実施例のカメラの背面斜視図。
【図4】実施例のカメラにおける電池蓋を開けた状態を示す斜視図。
【図5】実施例のカメラの電池蓋側において、電池接片が電池端子面を擦る様子を示す図。
【図6】実施例のカメラの電池室の内部に設けられた電池接片ユニットの構成を示す拡大図。
【図7】上記電池接片ユニットに設けられた電池接片における接触部の角度ピッチを示す図。
【図8】上記電池接片ユニットの電池接片の回転角度を示す図。
【図9】実施例において、電池が電池室に挿入される途中の状態を示す図。
【図10】実施例において、電池の電池室への挿入が完了した状態を示す図。
【図11】実施例の電池室の分解斜視図。
【図12】上記電池接片ユニットの分解斜視図。
【図13】上記電池接片ユニットに設けられた電池接片の接触部の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図2には、本発明の実施例である電子機器としてのデジタルカメラ(以下、カメラという)の外観を示している。同図において、101はカメラ本体であり、主にフロントカバー111とリアカバー121で覆われている。カメラ本体101の内部には、撮影レンズにより形成された光学像を光電変換する撮像素子(CCDセンサ、CMOSセンサ等)や、撮像素子からの信号を用いて画像データを生成する画像処理回路や、カメラ全体の動作を制御する制御回路等が収容されている。
【0010】
102は撮影レンズを収容するレンズ鏡筒であり、カメラ本体101に対して光軸方向に繰り出したり繰り込んだりすることで焦点距離を変更する。103はレリーズボタンであり、これが半押し操作されることによって撮影準備動作(焦点調節動作や測光動作)が行われ、全押し操作されることによって撮影動作(画像データの生成及び記録媒体への記録動作)が行われる。
【0011】
104はファインダ光学系の対物窓である。ユーザーはファインダ光学系を通して被写体像を観察することができる。105は測光ユニットが被写体からの光を取り込むための測光窓であり、106は被写体に照明光を照射するフラッシュユニットの発光窓である。
【0012】
201は電池蓋(蓋部材)であり、カメラ本体101の底面部の外装の一部を構成している。電池蓋201は、カメラ本体101の内部に設けられた電池室の電池挿入口を開閉するようカメラ本体101に対して回動可能に取り付けられている。
【0013】
図3には、本実施例のカメラの背面を示している。同図において、110はファインダ光学系の接眼窓である。107は被写体の撮影が可能な撮影記録モードと記録媒体に記録された画像を再生表示可能な再生モードとの間で動作モードを切り替えるためのモード切替スイッチである。
【0014】
108はモードダイアルであり、様々な撮影モード(オート撮影モード、絞り優先AEモード、シャッタ速度優先AEモード等)の切り替えを行うことができる。109は液晶表示ユニットであり、撮影記録モードでは電子ビューファインダとして機能し、再生モードでは記録済み画像のビューワとして機能する。
【0015】
図4には、電池蓋201を開いた状態のカメラを示している。電池蓋201の内側には、2本の電池211をその長手方向に挿入可能な電池室221が形成されている。
【0016】
電池蓋201には、電池接片(第2の電池接片)202がねじにより固定されている。電池蓋201は、図5に示すように、カメラ本体101に対してスライドする。このスライドによって、電池蓋201に取り付けられた電池接片202の接触部が、電池211のうち電池室221の電池挿入口側(電池蓋201側)にて露出した端子面(第2の端子面)212に対して擦れ、端子面212の表面の酸化被膜や汚れを除去する。
一方、図1に示すように、電池室221の奥側(電池挿入口側とは反対側)には、円盤形状の電池接片(第1の電池接片)231が設けられている。この電池接片231は、電池蓋201が閉じられる際に該電池蓋201によって電池211が押されて移動する力を利用して後述する回転駆動機構により回転される。
電池接片231が回転駆動機構によって回転すると、該電池接片231に設けられた複数の接触部232が、電池211のうち奥側の端子面(第1の端子面:以下、電池端子面という)213に対して擦れ、電池端子面213の表面の酸化被膜や汚れを除去する。以下、電池端子面213の酸化被膜や汚れを除去することを、リフレッシュという。
222は電池室221の内周壁に2つ形成されたカム溝部であり、電池211の電池室221への挿入に応じて、該電池211が押されて移動する力を電池接片231の回転力に変換する回転駆動機構の一部を構成する。
図6には、電池接片231及びその周辺の構成を拡大して示している。241は電池接片231が固定されたガイド部材(ベース部材)241である。251はコイルバネであり、電池接片231を電池挿入口側に向かって付勢する。電池接片231自体はバネ性を有しておらず、電池端子面213に対して電池接片231を押圧する力はコイルバネ251の付勢力により発生される。
複数の接触部232は、電池接片231の中央部分に円環状に配列されている。言い換えれば、複数の接触部232は、電池接片231の回転中心から互いに等距離に位置するように設けられている。
図6中に拡大して示すように、電池端子面213に接触可能な複数の接触部232は、電池接片231の回転方向に規則的に形成された鋸歯形状における複数の凸部である。各接触部232の頂点は、電池接片231の中心から見て尖ったエッジを有する。また、各接触部232の頂点を電池接片231の回転方向から見ると、図13に示すように、金属破断面に特有の不規則な尖鋭形状部が複数存在する。このような頂点を持つ接触部232が電池端子面213を擦ることで、電池端子面213のリフレッシュを良好に行うことができる。
しかも、該接触部232が複数、電池電子面213に接触することで、電池端子面213と電池接片231との良好な導通も確保される。
なお、電池接片231における複数の接触部232が設けられた中央部分は、周辺部分に対して電池挿入口側に突出している。
次に、図12を用いて、電池接片231及び回転駆動機構の構成をより詳しく説明する。電池接片231の周辺部分には、ガイド部材241側に折り曲げられた曲げ部234が中央部分を挟んだ両側に形成されている。これら曲げ部234の間に、コイルバネ251の先端に形成されたフランジ部252を挟み込むことで、電池接片231とコイルバネ251とが連結される。
ガイド部材241における電池接片231の固定面における3箇所には、ボス243が形成されている。これら3つのボス243を電池接片231の周辺部分に形成された3つの穴部233に挿入し、各穴部233を貫通した各ボス243の先端を熱で溶かすことで、ガイド部材241に電池接片231を固定する。このようにして、電池接片231、ガイド部材241及びコイルバネ251のユニット(以下、電池接片ユニットという)が組み立てられる。
また、ガイド部材241の外周部には、電池室221の内周壁に形成された2つのカム溝部222に係合する2つのカムピン242が形成されている。これらカム溝部222とカムピン242とにより、回転駆動機構が構成される。
コイルバネ251のベース部にはフランジ部253が形成されている。フランジ部253は、図11に示すように、電池接片ユニットが電池室221の本体(以下、電池室本体という)221bに取り付けられる際に、矢印A方向から電池室本体221bの底面に設けられたバネ保持部221aに係合される。これにより、フランジ部253(つまりは電池接片ユニット)が電池室本体221bにより保持される。コイルバネ251を介して電池室本体221bと接続された電池接片231は、コイルバネ251の捩れによって電池室本体221bに対する回転が許容される。
こうして電池接片ユニットが取り付けられた電池室本体221bは、フロントカバー111に対して矢印B方向から組み付けられ、内部に電池接片ユニットが備えられた電池室221が形成される。
次に、電池室221に電池211を挿入する際の回転駆動機構(電池接片ユニット)の動作について説明する。
図9に示すように、前述した各カム溝部222は、電池室221の内周壁に、反時計回り方向に延びるように形成されている。電池211が電池室221に挿入されると、挿入途中で電池端子面213が電池接片231の複数の接触部232に当接する。
この状態から電池蓋201がユーザーにより閉操作され(電池蓋201が閉動作し)、電池蓋201によって電池211がさらに電池室221の奥(矢印P方向)に向かって押し込まれると、図10に示すようにカムピン242がカム溝部222に沿って移動する。これにより、ガイド部材241が電池接片231とともに反時計回り方向(矢印R方向)に回転する。電池接片231が回転すると、複数の接触部232が電池端子面213を擦り、電池端子面213をリフレッシュする。
なお、図10には、電池蓋201が図5に示すようにカメラ本体101に対してスライド可能な位置まで閉じられたときの電池室221の内部の状態を示している。
ここで、図8に示すように、電池室221に挿入された電池端子面213が最初に複数の接触部232に当接した状態(図9に示す状態)から、電池室221への電池211の挿入が完了した状態(図10に示す状態)までの電池接片231の回転角度をβとする。
一方、図7に示すように、接触部232は、角度間隔(角度ピッチ)αで複数形成されており、該角度間隔αは、電池接片231の回転角度βよりも小さい。
また、図9に示す状態から図10に示す状態に至る間、電池211は、電池蓋201に設けられた電池接片202と電池蓋側の電池端子212との摩擦によって回転が阻止される。このため、電池室221の奥側で電池接片231が回転して複数の接触部232が電池端子面213を擦っても、電池211は回転せず、各接触部232がその回転角度βだけ電池端子面213を擦ることができる。
したがって、電池211の電池室221への挿入が完了した状態での電池端子面213における各接触部232が接触する位置は、その接触部232よりも電池接片231の回転方向前側に位置する他の接触部232がリフレッシュした後の状態にある。したがって、各接触部232は、酸化被膜や汚れが十分に除去された電池端子面213に接触することになり、電池接片231と電池端子面213との良好な導通が確保される。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
上記実施例では、電池蓋201の閉動作によって、電池室221の奥側において電池端子面213がリフレッシュされる場合について説明したが、必ずしも電池蓋201の閉動作による必要はない。
例えば、ユーザーが指で電池211を直接、電池室221内に押し込む操作を行うとによって、電池接片231が回転し、複数の接触部232が電池端子面213をリフレッシュするようにしてもよい。この場合、指を離すとコイルバネ251の付勢力によって電池室221から突出してくる電池211に対する押し込み操作を複数回繰り返すことで、容易にリフレッシュ効果を高めることが可能である。
また、上記実施例では、複数の接触部が等角度ピッチで設けられている場合について説明しが、必ずしも等角度ピッチで形成される必要はなく、電池接片の回転角度よりも小さい範囲で接触部間の角度間隔を異ならせてもよい。
また、上記実施例で説明した回転駆動機構の構成は例に過ぎず、他の構成を有する回転駆動機構を用いてもよい。
さらに、上記実施例では、デジタルカメラについて説明したが、本発明は、デジタルカメラ以外の電子機器であって、電池を使用するものにも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
電池と電池接片の導通不良をより確実に回避できる電子機器を提供できる。
【符号の説明】
【0018】
201 電池蓋
202 電池接片
211 電池
213 端子面
221 電池室
222 カム溝部
231 電池接片
232 接触部
241 ガイド部材
242 カムピン
251 コイルバネ
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池が挿入される電池室が設けられた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電池の端子面(以下、電池端子面という)に酸化皮膜が形成されたり油等の汚れが付着したりすると、これらが導通不良の原因となる。このため、電池を使用する電子機器には、電池室に電池を挿入して電池蓋を閉じるという一連の操作の中で、電池室に設けられた電池接片における電池端子面に接触する部分(以下、接触部という)が電池端子面を擦るように動作する機構が設けられる。
特許文献1にて開示された電子機器では、電池接片の接触部が曲率を持つ形状に形成され、該接触部の電池端子面に対する摩擦抵抗を小さくしている。これにより、電池室に挿入される電池が押される力を利用して、接触部が電池端子面に対して擦れ易い構造を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−108667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1にて開示された電子機器では、電池接片の接触部は電池端子面に対して直線移動しかできない。このため、電池の電池室への挿入が完了した状態での電池端子面と電池接片の接触部との接触位置は、接触部が電池端子面に対して擦れ終わった位置となる。この擦れ終了位置では、酸化皮膜や汚れが十分に除去されない場合が多く、導通不良を確実に回避できないおそれがある。
【0005】
本発明は、電池端子面における酸化皮膜や汚れが十分に除去された位置に、電池接片の接触部を接触させることができるようにした電子機器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面としての電子機器は、電池を挿入可能な電池室と、電池の第1の端子面に対して接触可能な接触部を有する第1の電池接片と、電池室への電池の挿入に応じて、接触部が第1の端子面を擦るように第1の電池接片を回転させる回転駆動機構とを有する。そして、第1の電池接片には、該第1の電池接片の回転中心から互いに等距離に位置する複数の接触部が、回転駆動機構による該第1の電池接片の回転角度よりも小さい角度間隔で設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電池の第1の端子面のうち第1の電池接片の回転方向前側に設けられた接触部が擦った位置に、回転方向後側に設けられた接触部が接触する。このため、第1の端子面のうち酸化皮膜や汚れが十分に除去された位置に接触部を接触させることができ、導通不良をより確実に回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例であるカメラにおける電池室の概略構造を示す斜視図。
【図2】実施例のカメラの正面斜視図。
【図3】実施例のカメラの背面斜視図。
【図4】実施例のカメラにおける電池蓋を開けた状態を示す斜視図。
【図5】実施例のカメラの電池蓋側において、電池接片が電池端子面を擦る様子を示す図。
【図6】実施例のカメラの電池室の内部に設けられた電池接片ユニットの構成を示す拡大図。
【図7】上記電池接片ユニットに設けられた電池接片における接触部の角度ピッチを示す図。
【図8】上記電池接片ユニットの電池接片の回転角度を示す図。
【図9】実施例において、電池が電池室に挿入される途中の状態を示す図。
【図10】実施例において、電池の電池室への挿入が完了した状態を示す図。
【図11】実施例の電池室の分解斜視図。
【図12】上記電池接片ユニットの分解斜視図。
【図13】上記電池接片ユニットに設けられた電池接片の接触部の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
図2には、本発明の実施例である電子機器としてのデジタルカメラ(以下、カメラという)の外観を示している。同図において、101はカメラ本体であり、主にフロントカバー111とリアカバー121で覆われている。カメラ本体101の内部には、撮影レンズにより形成された光学像を光電変換する撮像素子(CCDセンサ、CMOSセンサ等)や、撮像素子からの信号を用いて画像データを生成する画像処理回路や、カメラ全体の動作を制御する制御回路等が収容されている。
【0010】
102は撮影レンズを収容するレンズ鏡筒であり、カメラ本体101に対して光軸方向に繰り出したり繰り込んだりすることで焦点距離を変更する。103はレリーズボタンであり、これが半押し操作されることによって撮影準備動作(焦点調節動作や測光動作)が行われ、全押し操作されることによって撮影動作(画像データの生成及び記録媒体への記録動作)が行われる。
【0011】
104はファインダ光学系の対物窓である。ユーザーはファインダ光学系を通して被写体像を観察することができる。105は測光ユニットが被写体からの光を取り込むための測光窓であり、106は被写体に照明光を照射するフラッシュユニットの発光窓である。
【0012】
201は電池蓋(蓋部材)であり、カメラ本体101の底面部の外装の一部を構成している。電池蓋201は、カメラ本体101の内部に設けられた電池室の電池挿入口を開閉するようカメラ本体101に対して回動可能に取り付けられている。
【0013】
図3には、本実施例のカメラの背面を示している。同図において、110はファインダ光学系の接眼窓である。107は被写体の撮影が可能な撮影記録モードと記録媒体に記録された画像を再生表示可能な再生モードとの間で動作モードを切り替えるためのモード切替スイッチである。
【0014】
108はモードダイアルであり、様々な撮影モード(オート撮影モード、絞り優先AEモード、シャッタ速度優先AEモード等)の切り替えを行うことができる。109は液晶表示ユニットであり、撮影記録モードでは電子ビューファインダとして機能し、再生モードでは記録済み画像のビューワとして機能する。
【0015】
図4には、電池蓋201を開いた状態のカメラを示している。電池蓋201の内側には、2本の電池211をその長手方向に挿入可能な電池室221が形成されている。
【0016】
電池蓋201には、電池接片(第2の電池接片)202がねじにより固定されている。電池蓋201は、図5に示すように、カメラ本体101に対してスライドする。このスライドによって、電池蓋201に取り付けられた電池接片202の接触部が、電池211のうち電池室221の電池挿入口側(電池蓋201側)にて露出した端子面(第2の端子面)212に対して擦れ、端子面212の表面の酸化被膜や汚れを除去する。
一方、図1に示すように、電池室221の奥側(電池挿入口側とは反対側)には、円盤形状の電池接片(第1の電池接片)231が設けられている。この電池接片231は、電池蓋201が閉じられる際に該電池蓋201によって電池211が押されて移動する力を利用して後述する回転駆動機構により回転される。
電池接片231が回転駆動機構によって回転すると、該電池接片231に設けられた複数の接触部232が、電池211のうち奥側の端子面(第1の端子面:以下、電池端子面という)213に対して擦れ、電池端子面213の表面の酸化被膜や汚れを除去する。以下、電池端子面213の酸化被膜や汚れを除去することを、リフレッシュという。
222は電池室221の内周壁に2つ形成されたカム溝部であり、電池211の電池室221への挿入に応じて、該電池211が押されて移動する力を電池接片231の回転力に変換する回転駆動機構の一部を構成する。
図6には、電池接片231及びその周辺の構成を拡大して示している。241は電池接片231が固定されたガイド部材(ベース部材)241である。251はコイルバネであり、電池接片231を電池挿入口側に向かって付勢する。電池接片231自体はバネ性を有しておらず、電池端子面213に対して電池接片231を押圧する力はコイルバネ251の付勢力により発生される。
複数の接触部232は、電池接片231の中央部分に円環状に配列されている。言い換えれば、複数の接触部232は、電池接片231の回転中心から互いに等距離に位置するように設けられている。
図6中に拡大して示すように、電池端子面213に接触可能な複数の接触部232は、電池接片231の回転方向に規則的に形成された鋸歯形状における複数の凸部である。各接触部232の頂点は、電池接片231の中心から見て尖ったエッジを有する。また、各接触部232の頂点を電池接片231の回転方向から見ると、図13に示すように、金属破断面に特有の不規則な尖鋭形状部が複数存在する。このような頂点を持つ接触部232が電池端子面213を擦ることで、電池端子面213のリフレッシュを良好に行うことができる。
しかも、該接触部232が複数、電池電子面213に接触することで、電池端子面213と電池接片231との良好な導通も確保される。
なお、電池接片231における複数の接触部232が設けられた中央部分は、周辺部分に対して電池挿入口側に突出している。
次に、図12を用いて、電池接片231及び回転駆動機構の構成をより詳しく説明する。電池接片231の周辺部分には、ガイド部材241側に折り曲げられた曲げ部234が中央部分を挟んだ両側に形成されている。これら曲げ部234の間に、コイルバネ251の先端に形成されたフランジ部252を挟み込むことで、電池接片231とコイルバネ251とが連結される。
ガイド部材241における電池接片231の固定面における3箇所には、ボス243が形成されている。これら3つのボス243を電池接片231の周辺部分に形成された3つの穴部233に挿入し、各穴部233を貫通した各ボス243の先端を熱で溶かすことで、ガイド部材241に電池接片231を固定する。このようにして、電池接片231、ガイド部材241及びコイルバネ251のユニット(以下、電池接片ユニットという)が組み立てられる。
また、ガイド部材241の外周部には、電池室221の内周壁に形成された2つのカム溝部222に係合する2つのカムピン242が形成されている。これらカム溝部222とカムピン242とにより、回転駆動機構が構成される。
コイルバネ251のベース部にはフランジ部253が形成されている。フランジ部253は、図11に示すように、電池接片ユニットが電池室221の本体(以下、電池室本体という)221bに取り付けられる際に、矢印A方向から電池室本体221bの底面に設けられたバネ保持部221aに係合される。これにより、フランジ部253(つまりは電池接片ユニット)が電池室本体221bにより保持される。コイルバネ251を介して電池室本体221bと接続された電池接片231は、コイルバネ251の捩れによって電池室本体221bに対する回転が許容される。
こうして電池接片ユニットが取り付けられた電池室本体221bは、フロントカバー111に対して矢印B方向から組み付けられ、内部に電池接片ユニットが備えられた電池室221が形成される。
次に、電池室221に電池211を挿入する際の回転駆動機構(電池接片ユニット)の動作について説明する。
図9に示すように、前述した各カム溝部222は、電池室221の内周壁に、反時計回り方向に延びるように形成されている。電池211が電池室221に挿入されると、挿入途中で電池端子面213が電池接片231の複数の接触部232に当接する。
この状態から電池蓋201がユーザーにより閉操作され(電池蓋201が閉動作し)、電池蓋201によって電池211がさらに電池室221の奥(矢印P方向)に向かって押し込まれると、図10に示すようにカムピン242がカム溝部222に沿って移動する。これにより、ガイド部材241が電池接片231とともに反時計回り方向(矢印R方向)に回転する。電池接片231が回転すると、複数の接触部232が電池端子面213を擦り、電池端子面213をリフレッシュする。
なお、図10には、電池蓋201が図5に示すようにカメラ本体101に対してスライド可能な位置まで閉じられたときの電池室221の内部の状態を示している。
ここで、図8に示すように、電池室221に挿入された電池端子面213が最初に複数の接触部232に当接した状態(図9に示す状態)から、電池室221への電池211の挿入が完了した状態(図10に示す状態)までの電池接片231の回転角度をβとする。
一方、図7に示すように、接触部232は、角度間隔(角度ピッチ)αで複数形成されており、該角度間隔αは、電池接片231の回転角度βよりも小さい。
また、図9に示す状態から図10に示す状態に至る間、電池211は、電池蓋201に設けられた電池接片202と電池蓋側の電池端子212との摩擦によって回転が阻止される。このため、電池室221の奥側で電池接片231が回転して複数の接触部232が電池端子面213を擦っても、電池211は回転せず、各接触部232がその回転角度βだけ電池端子面213を擦ることができる。
したがって、電池211の電池室221への挿入が完了した状態での電池端子面213における各接触部232が接触する位置は、その接触部232よりも電池接片231の回転方向前側に位置する他の接触部232がリフレッシュした後の状態にある。したがって、各接触部232は、酸化被膜や汚れが十分に除去された電池端子面213に接触することになり、電池接片231と電池端子面213との良好な導通が確保される。
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
上記実施例では、電池蓋201の閉動作によって、電池室221の奥側において電池端子面213がリフレッシュされる場合について説明したが、必ずしも電池蓋201の閉動作による必要はない。
例えば、ユーザーが指で電池211を直接、電池室221内に押し込む操作を行うとによって、電池接片231が回転し、複数の接触部232が電池端子面213をリフレッシュするようにしてもよい。この場合、指を離すとコイルバネ251の付勢力によって電池室221から突出してくる電池211に対する押し込み操作を複数回繰り返すことで、容易にリフレッシュ効果を高めることが可能である。
また、上記実施例では、複数の接触部が等角度ピッチで設けられている場合について説明しが、必ずしも等角度ピッチで形成される必要はなく、電池接片の回転角度よりも小さい範囲で接触部間の角度間隔を異ならせてもよい。
また、上記実施例で説明した回転駆動機構の構成は例に過ぎず、他の構成を有する回転駆動機構を用いてもよい。
さらに、上記実施例では、デジタルカメラについて説明したが、本発明は、デジタルカメラ以外の電子機器であって、電池を使用するものにも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
電池と電池接片の導通不良をより確実に回避できる電子機器を提供できる。
【符号の説明】
【0018】
201 電池蓋
202 電池接片
211 電池
213 端子面
221 電池室
222 カム溝部
231 電池接片
232 接触部
241 ガイド部材
242 カムピン
251 コイルバネ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を挿入可能な電池室と、
前記電池の第1の端子面に対して接触可能な接触部を有する第1の電池接片と、
前記電池室への前記電池の挿入に応じて、前記接触部が前記端子面を擦るように前記第1の電池接片を回転させる回転駆動機構とを有し、
前記第1の電池接片には、該第1の電池接片の回転中心から互いに等距離に位置する複数の前記接触部が、前記回転駆動機構による該第1の電池接片の回転角度よりも小さい角度間隔で設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記電池は、前記電池室の電池挿入口を開閉する蓋部材の閉動作によって前記電池室に挿入され、
前記蓋部材は、前記電池の第2の端子面に対して接触可能な第2の電池接片を有しており、
前記接触部が前記第1の端子面を擦るように前記第1の電池接片が回転する際に、前記第2の端子面と前記第2の電池接片との間の摩擦により前記電池の回転が阻止されることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項1】
電池を挿入可能な電池室と、
前記電池の第1の端子面に対して接触可能な接触部を有する第1の電池接片と、
前記電池室への前記電池の挿入に応じて、前記接触部が前記端子面を擦るように前記第1の電池接片を回転させる回転駆動機構とを有し、
前記第1の電池接片には、該第1の電池接片の回転中心から互いに等距離に位置する複数の前記接触部が、前記回転駆動機構による該第1の電池接片の回転角度よりも小さい角度間隔で設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記電池は、前記電池室の電池挿入口を開閉する蓋部材の閉動作によって前記電池室に挿入され、
前記蓋部材は、前記電池の第2の端子面に対して接触可能な第2の電池接片を有しており、
前記接触部が前記第1の端子面を擦るように前記第1の電池接片が回転する際に、前記第2の端子面と前記第2の電池接片との間の摩擦により前記電池の回転が阻止されることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−225305(P2010−225305A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68169(P2009−68169)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]