説明

電子機器

【課題】電子機器の画面表示における注目領域の見やすさの向上と節電を両立させる。
【解決手段】本発明に係る電子機器は、注目領域を定めるカーソルが設定された第1レイヤの画面生成手段と、透過部分及び非透過部分を有する第2レイヤの画面生成手段と、第2レイヤの画面が前面に位置するようにして第1レイヤの画面に重畳し合成する手段を備える。第2レイヤの画面の非透過部分の表示を、第1レイヤの注目領域を含む範囲の表示に一致させる。第1レイヤの画面の輝度を相対的に下げて、合成された画面を自発光型表示デバイスからなる表示手段によって表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器に係り、特に画像及びテキストを画面表示することができる電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
画面表示機能を有する電子機器(例えばパソコン、携帯電話、携帯ゲーム機等)は、身近な情報・娯楽ツールとして欠かせないものになっている。これらの電子機器ではさまざまな画像やテキストを表示するだけでなく、使いやすいユーザーインターフェースを提供することが重要視される(例えば、特許文献1又は特許文献2参照。)。
【0003】
上記の特許文献1には、複数のレイヤを有して階層的に構成されたグラフィカルユーザインタフェース(GUI)表示画面が開示されている。各レイヤ透過度を設定することができるので、オーバヘッドプロジェクタ(OHP)用のトランスペアレントに描かれた画像を投影したイメージの画像を構成することができる。操作に伴う多様なイベントの処理を個別に各レイヤに対応付けることにより独立性を高め、GUIに関する機能の追加や削除を簡単にすることができる効果がある旨、記載されている。
【0004】
上記の特許文献2には、それぞれ異なる機能に対応した複数のアイコンを同一のメニュー画面に表示する場合に、選択中のメニュー項目を表すアイコンを他のアイコンよりも注目させるようにハイライト表示する技術が開示されている。ハイライト表示は、例えばアイコンの表示色、サイズ、輝度等を変えることによって行うことができる。どのメニュー項目が選択、表示されているのかをユーザが直観的に理解することができるという効果がある旨、記載されている。
【特許文献1】特開第2006−350490号公報(第7ページ、図4)
【特許文献2】特開第2005−321896号公報(第9ページ、図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
身近な情報ツールである各種の電子機器の画面表示は、使いやすいユーザーインターフェースを提供するという要件に加えて、携帯型の場合をはじめとして節電に配慮したものでなければならない。上述した特許文献1に開示された技術は使いやすいユーザーインターフェースの要件に応えようとするものであるが、節電の面では別に検討が必要である。
【0006】
上述した特許文献2に開示された技術は、画面上の注目領域の表示を被注目領域と区別して見やすくしようとするものであり、特許文献1と同様に使いやすいユーザーインターフェースの観点に立つものであって、節電の面では別に検討が必要である。
【0007】
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、電子機器の画面表示における注目領域の見やすさの向上と節電を両立させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、画像及びテキストを画面表示することができる表示手段と、操作入力に用いられる操作手段と、前記表示手段が表示する画面上に前記操作手段における操作入力に基づいて注目領域を設定する領域設定手段と、前記画面上の非注目領域の輝度を前記注目領域の輝度よりも下げるように設定することができる輝度設定手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、画面上に注目領域と非注目領域を設定して非注目領域の輝度を相対的に下げることにより、電子機器の画面表示における注目領域の見やすさの向上と節電を両立させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0011】
以下、図1ないし図7を参照して、本発明の実施例1を説明する。図1は、本発明の実施例1に係る電子機器である折りたたみ型の携帯通信端末1の外観図である。携帯通信端末1は、第1筐体11と第2筐体12が開閉可能に接続されて構成される。図1は、第1筐体11と第2筐体12が互いに開いた状態を使用者側から見て表したものである。ただし、携帯通信端末1の筐体構成は、図1に表したような折りたたみ型に限るものではない。
【0012】
第1筐体11には、例えば有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)デバイスからなる表示部14が取り付けられている。表示部14はテキスト及び画像を表示することができ、携帯通信端末1は表示部14を用いて画面表示を伴うアプリケーション(例えば電子メール送受信、ウェブページ閲覧、電話帳の作成と閲覧、その他)を実行することができる。第1筐体11には、受話部15が取り付けられている。第2筐体12には、送話部16が取り付けられている。携帯通信端末1は、受話部15と送話部16を備えたことにより、音声通話に用いることができる。
【0013】
第2筐体12には、複数の操作キーからなる操作部17(破線の枠で囲んで表す。)が取り付けられている。操作部17は、図示しない第1筐体11又は第2筐体12の側面又は背面に設けられた操作キーを含んでもよい。操作部17に属する操作キーが操作されることにより、携帯通信端末1の起動、停止操作又はテキストや操作コマンドの入力が可能になる。上述した表示部14、受話部15、送話部16及び操作部17は、いずれも携帯通信端末1のユーザーインターフェース手段として機能する。
【0014】
図2は、携帯通信端末1のブロック図である。携帯通信端末1は、アンテナ19と送受信部20を備え、図示しない移動通信基地局との間で電波の送受信をすることができる。携帯通信端末1は、音声インターフェース部21、制御部22、ランダムアクセスメモリ(RAM)23及び読み出し専用メモリ(ROM)24を備えている。
【0015】
制御部22は、例えばマイクロプロセッサのような処理デバイスが単一で、又は複数のチップが組み合わされて構成される。RAM23は、携帯通信端末1が機能を実現するために制御部22が所要のプログラム又はデータを随時読み書きして使用するメモリである。ROM24は、プログラム又はデータが予め書き込まれたメモリである。
【0016】
送受信部20、音声インターフェース部21、RAM23及びROM24は、例えば共通バスを通してそれぞれ制御部22に接続され、制御部22によって監視及び制御される。図1を参照して説明した操作部17は、同様に例えば共通バスを通して制御部22に接続され、操作入力に対応する信号を制御部22に送ることができる。図1を参照して説明した表示部14は、表示制御部30を介して例えば上記の共通バスに接続され、制御部22の制御の下に画面表示が行われる。
【0017】
図3は、表示制御部30のブロック図である。表示制御部30は、制御部インターフェース31、設定レジスタセット32、フレームメモリ33及びメモリ制御部34を有する。設定レジスタセット32は、表示部14が表示する画面の分解能に対応する水平、垂直画素数やブランキング幅の設定値を保存する設定レジスタが集合したものである。フレームメモリ33は、表示部14が表示する画面の表示内容のデータをフレーム単位で記憶する。
【0018】
制御部インターフェース31は、制御部22の指示に従い、設定レジスタセット32中の設定レジスタへのデータの書き込み及び設定レジスタからのデータの読み出しを仲介する。制御部インターフェース31は、制御部22の指示に従い、メモリ制御部34を通してフレームメモリ33へのデータの書き込みを仲介する。
【0019】
表示制御部30は、走査制御部35及び画素処理部36を有する。走査制御部35は、表示部14が表示する画面を構成する画素を設定レジスタセット32中の画面同期のパラメータ(水平、垂直画素数やブランキング幅)の設定値に基づいて走査し、画素ごとにメモリ制御部34に指示してフレームメモリ33に書き込まれた表示内容のデータを読み出させる。
【0020】
フレームメモリ33から読み出されたデータは、上記の走査制御部35による走査に同期しながら画素処理部36において後述する演算処理を受ける。画素処理部36には、画面上に表示されるカーソルの位置情報が制御部22から制御部インターフェース31を介して与えられる。
【0021】
表示制御部30は、表示信号出力部37及び同期信号出力部38を有する。表示信号出力部37は、画素処理部36における演算処理後の画面のデータを表示信号に変換して表示部14に送る。同期信号出力部38は、上記の走査制御部35による走査に基づく同期信号を発生して表示部14に送る。その結果表示部14は、設定レジスタセット32中に設定されたパラメータに基づいて、フレームメモリ33にデータとして書き込まれた画面の内容を表示することができる。
【0022】
図4は、画素処理部36のブロック図である。画素処理部36は、第1レイヤ生成部41と、第2レイヤ生成部42と、輝度設定部43と、レイヤ画面合成部44を有する。第1レイヤ生成部41は、メモリ制御部34がフレームメモリ33から読み出した表示内容のデータと走査制御部35から送られた走査信号を受けて、第1レイヤ(第1階層、なおレイヤの番号と後掲の各図における上下の順は一致しないことがある。)の画面データを生成することができる。第1レイヤの画面データは、表示部14の画面サイズに合わせて形成される。
【0023】
第1レイヤ生成部41は、制御部22から制御部インターフェース31を介して送られたカーソルの位置情報を受けて、上記の通り生成された第1レイヤの画面データにおけるカーソル位置を含む注目領域を設定することができる。上記の注目領域の例は、テキスト表示画面においてカーソルが位置する文字、当該文字を含む前後の複数の文字又は当該文字を含む行全体である。
【0024】
第2レイヤ生成部42は、第1レイヤ生成部41から上記の注目領域の情報を受け取ると共に、走査制御部35から送られた走査信号を受け取ることができる。第2レイヤ生成部42は、これらの情報及び信号から、注目領域を含む範囲に対応して第2レイヤ(第2階層)の画面データのうち非透過部分を生成し、かつ、注目領域を含む範囲の外に対応して第2レイヤの画面データのうち透過部分を生成することができる。非透過部分と透過部分をあわせた第2レイヤの画面データは、表示部14の画面サイズに合わせて形成される。
【0025】
レイヤ画面合成部44は、第1レイヤの画面データと第2レイヤの画面データを、表示部14において第2レイヤの画面が前面に位置するように重畳して合成することができる。このようなレイヤ画面の合成については、例えば特許文献1に記載されている。
【0026】
上述した画面のレイヤ構成及び合成について、図5を参照して説明する。図5は、当該レイヤ構成及び合成の概念図である。図5における第1レイヤの画面はテキスト表示画面であって、上から2番目に位置している。第1レイヤの画面において、カーソルは表示されたテキストの5行目「声をワイヤレス」の4番目の文字「イ」の箇所に位置している。
【0027】
この場合、第1レイヤの画面における注目領域は、当該5行目4番目の文字「イ」若しくは例えば前後の文字を含む文字列「ワイヤ」が表示された領域又は当該5行目の全体であると定義することができる。またこれらのいずれであっても、注目領域を含む範囲は例えば当該5行目の全体である(図5の第1レイヤにおいて点線で囲んで示す。)と定義することができる。
【0028】
そうすると図5において最上位に位置する第2レイヤの画面は、上記の第1レイヤの5行目に相当する「声をワイヤレス」のテキストが表示された非透過部分と、その範囲外の透過部分(テキストは表示されない。)から構成される。
【0029】
さらに第2レイヤの画面が表示部14の前面にくるようにして第1レイヤの画面に重畳されることにより、図5の最下位に表した合成画面が得られる。合成画面に表示されたテキストの5行目以外の部分(注目領域を含む範囲の外)は、第1レイヤの画面が第2レイヤの透過部分を通して視認され、5行目(注目領域を含む範囲)は第2レイヤの非透過部分が視認される形になる。
【0030】
以上の図5を参照する説明では、輝度設定部43の動作に言及しなかった。図4に示すように、輝度設定部43は第1レイヤの画面データの輝度を変化させて設定することができる。輝度の設定値は予めデフォルトで与えられていてもよく、制御部22から指示されるとしてもよい。
【0031】
上述したレイヤ合成において第1レイヤの輝度を変化させる場合について、図6の概念図を参照して説明する。図6は基本的に図5と同一であるが、第1レイヤの輝度が輝度設定部43によって相対的に下げられたものとしている(ハッチングを付して表す。)。
【0032】
そうすると最下位に位置する合成画面において、カーソルが位置するテキストの5行目は第2レイヤの非透過部分が従来の輝度で表示され、テキストの5行目以外の部分(注目領域を含む範囲の外)は相対的に低輝度にされた第1レイヤの画面が第2レイヤの透過部分を通して視認されることになる。
【0033】
その結果、カーソルが位置する注目領域を含む範囲の表示が強調されて画面を見やすくすることができる。また、表示部14が自発光型の素子(例えば有機ELデバイス)を有してなるものとすれば、注目領域を含む範囲の外側を相対的に低輝度で表示することにより節電効果を得ることができる。
【0034】
実施例1の変形例として、第2レイヤの非透過部分の表示を第1レイヤの注目領域の拡大表示に一致させたもの(いわゆる拡大鏡)を考えることができる。図7は、そのような変形例の概念を表す図である。図7の第1レイヤの画面は図6におけるものと同じくカーソルがテキスト5行目の「イ」の文字に位置し、かつ、相対的に低輝度にされている。
【0035】
図7の第2レイヤの画面は、上記の第1レイヤ5行目の「イ」の文字の前後の文字列「をワイヤレ」を拡大して表示する非透過部分(拡大鏡)と、その範囲外の透過部分(テキストは表示されない。)から構成される。拡大鏡は、画面の最上部に位置するものとする。そうすると図7の最下位に位置する合成画面は、カーソルが位置するテキストの5行目の一部が拡大されて画面の最上部に従来の輝度で表示され、第1レイヤの画面のうち拡大鏡で覆われない範囲が相対的に低輝度で表示される。
【0036】
実施例1の他の変形例として、第1レイヤの画面が図5ないし図7に示すようなテキスト表示画面ではなく、例えば機能選択用のアイコンが2次元的に配列されていずれかのアイコンにカーソルを合わせて選択できるように構成された画面である場合を考えることができる。そのような画面であっても、当該カーソルを合わせた画面上の領域を注目領域として、その注目領域を含む範囲を従来の輝度、範囲外を相対的低輝度で表示することができる。また、注目領域を拡大すると共に輝度に差をつけて表示することもできる。
【0037】
さらに、注目領域を段階的に表示する変形例も考えることができる。例えば前述のテキスト表示画面において、カーソルが位置する1文字を従来の輝度、カーソルが位置する行のその他の文字をいく分低輝度、カーソルが位置する行以外の行をさらに低輝度で表示することができる。また、表示色によって差をつけてもよい。そのような変形例を実現するためは、図4の第2レイヤ生成部の出力に輝度又は色の設定手段を設ける構成とすればよい。
【0038】
以上に説明した本発明の実施例1によれば、表示画面を注目領域と非注目領域に分けるようにレイヤ構成して後者を相対的低輝度にすることにより、注目領域の表示の見やすさと節電効果を同時に得ることができる。
【実施例2】
【0039】
以下、図8ないし図12を参照して、本発明の実施例2を説明する。図8は、本発明の実施例2に係る電子機器である携帯通信端末2のブロック図である。携帯通信端末2は、実施例1に係る携帯通信端末1と同様の筐体構成及び外観を有するものとする。携帯通信端末2は、携帯通信端末1の表示制御部30を内部の構成が異なる表示制御部50で置き換え、その他の構成及び相互の接続は図2に同じ符号を付して表した携帯通信端末1の他の構成に同じとしたものである。したがって、図8に表したうち表示制御部50以外の構成についての説明は省略する。
【0040】
図9は、表示制御部50のブロック図である。表示制御部50は、制御部インターフェース51、設定レジスタセット52、フレームメモリ53及びメモリ制御部54を有する。設定レジスタセット52は、表示部14が表示する画面の分解能に対応する水平、垂直画素数やブランキング幅の設定値を保存する設定レジスタが集合したものである。フレームメモリ53は、表示部14が表示する画面の表示内容のデータをフレーム単位で記憶する。
【0041】
制御部インターフェース51は、制御部22の指示に従い、設定レジスタセット52中の設定レジスタへのデータの書き込み及び設定レジスタからのデータの読み出しを仲介する。制御部インターフェース51は、制御部22の指示に従い、メモリ制御部54を通してフレームメモリ53へのデータの書き込みを仲介する。
【0042】
表示制御部50は、走査制御部55及び画素処理部56を有する。走査制御部55は、表示部14が表示する画面を構成する画素を設定レジスタセット52中の画面同期のパラメータ(水平、垂直画素数やブランキング幅)の設定値に基づいて走査し、画素ごとにメモリ制御部54に指示してフレームメモリ53に書き込まれた表示内容のデータを読み出させる。
【0043】
表示制御部50は、カーソル位置レジスタ57及び距離算出部58を有する。カーソル位置レジスタ57には、操作部14における操作入力に基づいて与えられた画面上のカーソルの位置が制御部22から制御部インターフェース51を介して設定される。設定されたカーソル位置を表す情報は、走査制御部55が走査中の画素の位置(以下、走査位置という。)を表す情報と共に、距離算出部58に与えられる。これらの情報は、画面上の二次元(X−Y)座標により画素数単位で表現されるものとする。
【0044】
図10は、距離算出部58のブロック図である。カーソル位置レジスタ57から与えられたカーソル位置のX座標と、走査制御部55から与えられた走査位置のX座標が、引き算器61に入力される。カーソル位置レジスタ57から与えられたカーソル位置のY座標と、走査制御部55から与えられた走査位置のY座標が、引き算器62に入力される。
【0045】
引き算器61の出力は絶対値算出器63に入力され、算出されたX座標どうしの差の絶対値が比較器64に入力される。比較器64には、基準値として例えば32が与えられている。引き算器62の出力は絶対値算出器65に入力され、算出されたY座標どうしの差の絶対値が比較器66に入力される。比較器66には、基準値として例えば16が与えられている。
【0046】
比較器64の出力は、カーソル位置のX座標と走査位置のX座標の差の絶対値が32画素を超える場合及び32画素未満である場合に、それぞれ論理1及び論理0である。比較器66の出力は、カーソル位置のY座標及び走査位置のY座標の差の絶対値が16画素を超える場合と16画素未満である場合に、それぞれ論理1及び論理0である。
【0047】
比較器64の出力及び比較器66の出力は、論理和ゲート67に入力される。論理和ゲート67の出力は即ち距離算出部58の出力であって、カーソル位置のX座標と走査位置のX座標の差の絶対値が32画素を超えるか又はカーソル位置のY座標と走査位置のY座標の差の絶対値が16画素を超える場合に論理1、それ以外の場合に論理0である。
【0048】
図11は、距離算出部58の出力を画面上に表す図である。中央部の十字がカーソルの位置を表す。上述した演算によれば、走査位置がカーソルの位置を中心としてX軸方向、Y軸方向の長さがそれぞれ64画素、32画素である長方形の内側にあるとき距離算出部58の出力は論理0、上記の長方形の外側(ハッチングで表す。)にあるとき距離算出部58の出力は論理1である。
【0049】
換言すれば、距離算出部58の算出する距離は、X座標とY座標のいずれか一方における走査位置のカーソルに対する相対位置であるということができる。上記相対位置の値が、しきい値として与えた32画素又は16画素を超えるか超えないかによって、距離算出部58の出力が定まることになる。
【0050】
図12は、画素処理部56のブロック図である。画素処理部56は、輝度設定部68と画面生成部69を有する。輝度設定部68は、図11に表した長方形の外側にある画素の輝度を内側にある画素の輝度より下げるように制御する。画面生成部69は、メモリ制御部54がフレームメモリ53から読み出した表示内容のデータと走査制御部55から送られた走査信号を受けて、輝度調整後の画面データを生成することができる。そうすると、図11のハッチングを施した画面上の範囲ではカーソルの周辺に比べ低輝度で表示されることになる。
【0051】
ここで図9に戻ると、画素処理部56が生成した輝度調整後の画面のデータは表示信号出力部71によって表示信号に変換される。表示制御部50に含まれる同期信号出力部72は、走査制御部55による走査に基づく同期信号を発生して表示部14に送る。その結果表示部14は、設定レジスタセット52中に設定されたパラメータに基づいて、フレームメモリ53にデータとして書き込まれた表示内容を、カーソルに対する遠近の程度により輝度が区別された態様で表示することができる。
【0052】
つまり実施例2によれば、実施例1のように画面をレイヤ構成したりしなくても、注目領域であるカーソルを含む範囲の外側を相対的に低輝度で表示することにより注目領域の見やすさと節電効果を同時に得ることができる。
【0053】
実施例2の変形例として、距離算出部58の算出する距離は上記のX−Y座標におけるユークリッド距離であるとすることができる。その場合にしきい値として定数を与えると、カーソルの位置を中心に持ち当該しきい値を半径とする円の外側を低輝度に設定することができる。
【0054】
実施例2の他の変形例として、上記のX−Y座標においてカーソルからしきい値相当の距離にある点の軌跡が、カーソルを取り囲む閉じた平面図形として表されるように定義されたものを考えることができる。当該平面図形の形状は、図11に表した長方形や上述した円に限らず、楕円や他の多角形も考えることができる。
【0055】
実施例2のさらに他の変形例として、距離算出部58の算出した距離が上記のしきい値より大きい所定の値を超える場合にはさらに低輝度に設定することができるようにしてもよい。その場合には3段階以上にわたって輝度を変化させることができ、視覚的効果を高めることができる。
【0056】
以上に説明した本発明の実施例2によれば、画面のレイヤ構成を行わなくても注目領域の見やすさと節電効果を同時に得ることができる。なお、以上の説明における電子機器(必ずしも携帯通信端末に限るものではない。)の種類、形状、構成、接続、画面表示、論理的な処理の構成、注目領域を含む範囲の定め方等は例示であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲でさまざまな変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施例1に係る電子機器(携帯通信端末)の外観図。
【図2】本発明の実施例1に係る携帯通信端末のブロック図。
【図3】本発明の実施例1に係る携帯通信端末の表示制御部のブロック図。
【図4】本発明の実施例1に係る携帯通信端末の画素処理部のブロック図。
【図5】本発明の実施例1に係る携帯通信端末の画面のレイヤ構成及び合成の概念図。
【図6】本発明の実施例1に係る携帯通信端末のレイヤ構成及び合成に輝度の相対変化を含む場合の概念図。
【図7】本発明の実施例1に係る携帯通信端末の変形例のレイヤ構成及び合成に輝度の相対変化を含む場合の概念図。
【図8】本発明の実施例2に係る携帯通信端末のブロック図。
【図9】本発明の実施例2に係る携帯通信端末の表示制御部のブロック図。
【図10】本発明の実施例2に係る携帯通信端末の距離算出部のブロック図。
【図11】本発明の実施例2に係る携帯通信端末の距離算出部の出力を画面上に表す図。
【図12】本発明の実施例2に係る携帯通信端末の画素処理部のブロック図。
【符号の説明】
【0058】
1 携帯通信端末
11 第1筐体
12 第2筐体
14 表示部
15 受話部
16 送話部
17 操作部
19 アンテナ
20 送受信部
21 音声インターフェース部
22 制御部
23 RAM
24 ROM
30、50 表示制御部
31、51 制御部インターフェース
32、52 設定レジスタセット
33、53 フレームメモリ
34、54 メモリ制御部
35、55 走査制御部
36、56 画素処理部
37、71 表示信号出力部
38、72 同期信号出力部
41 第1レイヤ生成部
42 第2レイヤ生成部
43、68 輝度設定部
44 レイヤ画面合成部
61、62 引き算器
63、65 絶対値算出器
64、66 比較器
67 論理和ゲート
69 画面生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像及びテキストを画面表示することができる表示手段と、
操作入力に用いられる操作手段と、
前記表示手段が表示する画面上に前記操作手段における操作入力に基づいて注目領域を設定する領域設定手段と、
前記画面上の非注目領域の輝度を前記注目領域の輝度よりも下げるように設定することができる輝度設定手段とを
備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記領域設定手段は、前記画面のサイズに合わせて形成されると共に前記注目領域が設定された第1のレイヤ画面を生成することができる第1の画面生成手段と、前記画面のサイズに合わせて形成されると共に透過部分及び非透過部分を有してなる第2のレイヤ画面を生成することができる第2の画面生成手段と、前記表示手段において前記第2のレイヤ画面が前記第1のレイヤ画面よりも前面に位置するように重畳して合成することができるレイヤ画面合成手段を有し、
前記輝度設定手段は、前記第1のレイヤ画面の輝度を前記第2のレイヤ画面の輝度よりも下げるように設定することができることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第2の画面生成手段は、前記第2のレイヤ画面の前記非透過部分の表示を前記第1のレイヤ画面に設定された前記注目領域を含む範囲の表示に一致させることができることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第2の画面生成手段は、前記第2のレイヤ画面の前記非透過部分の表示を前記第1のレイヤ画面に設定された前記注目領域を拡大した表示に一致させることができることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第1のレイヤ画面がテキスト表示画面である場合に、カーソルの位置する文字が表示された領域を前記注目領域として設定することができることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1のレイヤ画面がカーソルを合わせた画面上の領域に対応する項目を選択するように構成されている場合に、前記カーソルを合わせた画面上の領域を前記注目領域として設定することができることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の電子機器。
【請求項7】
前記領域設定手段は、前記表示手段が表示する画面を構成する画素を順次走査する走査手段と、前記操作手段における操作入力に基づいて画面上のカーソルの位置を設定する手段と、前記走査手段が走査中の画素の位置から前記カーソルの位置までの距離を算出する算出手段とを有し、
前記輝度設定手段は、前記算出された距離が所与のしきい値を超える場合に前記走査中の画素に対して与える輝度を、前記算出された距離が前記しきい値以下の場合に与える輝度より相対的に下げることができることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記算出手段が算出する距離は、前記表示手段が表示する画面上の位置を二次元座標で表したとき、前記二次元座標のいずれか一方の座標における前記走査中の画素の前記カーソルに対する相対位置であることを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項9】
前記算出手段が算出する距離は、前記表示手段が表示する画面上の位置を二次元座標で表したとき、前記二次元座標における前記走査中の画素と前記カーソルの間のユークリッド距離であることを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項10】
前記算出手段が算出する距離は、前記表示手段が表示する画面上の位置を表す二次元座標において前記カーソルから前記しきい値相当の距離にある点の軌跡が前記カーソルを取り囲む閉じた平面図形として表されるように定義されたことを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項11】
前記輝度設定手段は、前記算出された距離が前記しきい値より大きい所定の値を超える場合に前記走査中の画素に対して与える輝度を、前記算出された距離が前記所定の値以下の場合に与える輝度より相対的に下げることができることを特徴とする請求項7に記載の電子機器。
【請求項12】
前記表示手段は、自発光型表示デバイスを有してなることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項7のいずれか1項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−39848(P2010−39848A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203290(P2008−203290)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】