説明

電子機器

【課題】表示画面内における拡大表示枠の位置を移動させるモードであるか否かをユーザが容易に判別できるように拡大表示を行うことができる電子機器を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係る携帯電話機10は、操作内容取得部31、拡大表示制御部34、枠変更指示部35、枠移動指示部36などを備える。操作内容取得部31は、タッチセンサ26の出力を受け、表示画面に対する入力操作の内容を取得する。拡大表示制御部34は、表示画面に拡大表示枠を表示するとともに表示画面に表示された表示画像のうち拡大表示枠により囲まれた画像の一部を拡大して拡大表示枠内に表示させる。枠変更指示部35は、拡大表示制御部34に対し拡大表示枠の表示方法を枠移動モード用の表示方法に変更するよう指示する。枠移動指示部36は、枠移動モード時にユーザによる接触位置が移動すると、拡大表示制御部34に対しこの移動に応じて拡大表示枠を移動させるよう指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を拡大表示する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)などの携帯型の電子機器は、より小型のものが開発されてきている。たとえば、一部の携帯電話機は、タッチパネルを採用して入力装置および表示装置を一体化することにより、携帯電話機全体のサイズを小型化している。
【0003】
これらの小型の電子機器は、画面の大きさが制限されているため、一般的なデスクトップパソコンと比較して文字が小さく表示されてしまうことが多い。このため、表示装置に表示された画像の一部を拡大表示する種々の技術が開発されている(たとえば特許文献1参照)。
【0004】
たとえば特開平8−50663号公報(特許文献1)に開示された自動券売機は、表示画面の中の一部分を囲む窓(拡大表示枠)を形成する窓形成手段と、窓を移動させる移動手段と、窓の表示内容を拡大して表示させる表示制御手段と、を有する。この自動発券機は、窓部の周囲に表示された複数の移動ボタンのいずれか一つの移動ボタンがタッチされたときにタッチされたボタンで特定される方向に表示画面の表示画像を移動させることができる。また、この自動発券機は、ユーザが窓部の周辺部分(枠部分)をタッチしながら窓部の外側へ移動させると、この移動に追従して窓部が移動することができるようになっている。このため、この自動券売機によれば、ユーザは拡大表示枠内の表示内容を容易に移動させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−50663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、拡大表示枠のドラッグ操作に対して拡大表示枠の移動が単に割り当てられているだけでは、表示画面が小さいことやユーザの操作習熟度の未熟さが原因となり、電子機器がユーザが意図しない動作をしてしまう場合がある。
【0007】
たとえば、ユーザが拡大表示枠を移動させようと拡大表示枠に対する接触を意図したにもかかわらず、実際には表示画面内の選択対象画像(たとえばウェブブラウザが生成するリンク画像など)に対して接触してしまう場合、従来の技術を適用した電子機器はユーザが意図しない選択動作を実行してしまう。
【0008】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、表示画面内における拡大表示枠の位置を移動させるモードであるか否かをユーザが容易に判別できるように拡大表示を行うことができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電子機器は、表示画面に拡大表示枠を表示するとともに、前記表示画面に表示された表示画像のうち前記拡大表示枠により囲まれた画像の一部を拡大して前記拡大表示枠内に表示させる拡大表示制御部と、前記表示画面への入力を受け付ける入力部の出力を受け、前記表示画面に対する入力操作の内容を取得する操作内容取得部と、前記操作内容取得部によりユーザが前記拡大表示枠の一部に対する所定の入力操作の内容が取得されると、前記拡大表示制御部に対し前記拡大表示枠の表示方法を拡大表示枠移動モード用の表示方法に変更するよう指示する枠変更指示部と、前記拡大表示枠の表示方法が前記拡大表示枠移動モード用の表示方法に変更され、前記操作内容取得部により前記ユーザによる接触位置がスライドされて移動した旨の情報が取得されると、前記拡大表示制御部に対しこの移動に応じて前記拡大表示枠を移動させるよう指示する枠移動指示部と、を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る電子機器によれば、表示画面内における拡大表示枠の位置を移動させるモードであるか否かをユーザが容易に判別できるように拡大表示を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る電子機器の一実施形態を示す概略的な斜視図。
【図2】携帯電話機の内部構成例を概略的に示すブロック図。
【図3】表示部に拡大表示枠が表示される様子の一例を示す説明図。
【図4】図2に示す主制御部のCPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図。
【図5】通常モードから拡大表示枠移動モードへの移行に応じて拡大表示枠が太く変更される様子を示す説明図。
【図6】拡大表示枠移動モードにおいてユーザにより所望の方向へ拡大表示枠が移動される様子を示す説明図。
【図7】図1に示す携帯電話機の主制御部により、表示画面内における拡大表示枠の位置を移動させるモードであるか否かをユーザが容易に判別することができるよう拡大表示を行う際の手順を示すフローチャート。
【図8】図7のステップS5で主制御部により実行される枠移動モードにおける拡大表示枠の移動処理の手順を示すサブルーチンフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る電子機器の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明に係る電子機器の一実施形態を示す概略的な斜視図である。なお、本発明は、画像を拡大表示する機能を有する種々の電子機器に適用することができる。本実施形態では、本発明に係る電子機器として、携帯電話機を用いる場合の一例について示す。
【0014】
図1に示すように、携帯電話機10の正面の表面上には、表示入力部としてのタッチパネル11、レシーバ12、マイクロフォン13およびタッチキー14が設けられる。また、携帯電話機10の側面の一部には、電源ボタン15が設けられる。
【0015】
図2は、携帯電話機10の内部構成例を概略的に示すブロック図である。図2に示すように、携帯電話機10は、さらにアンテナ21、送受信部22、記憶部23および主制御部24を少なくとも有する。
【0016】
表示入力部としてのタッチパネル11は、表示部25と、表示部25の近傍に設けられた入力部としてのタッチセンサ26とを有する。
【0017】
表示部25は、たとえば液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどの一般的な表示出力装置により構成される。
【0018】
図3は、表示部25に拡大表示枠41が表示される様子の一例を示す説明図である。図3には、ウェブブラウザによりウェブページの一部が表示され、表示された画像のうち拡大表示枠41により囲まれた画像の一部が拡大表示枠41内に拡大して表示される場合の例について示した。
【0019】
図3(a)はウェブブラウザにより表示部25にウェブページの一部が表示された様子の一例を示す説明図であり、(b)は拡大表示枠41が設けられる位置を仮想的に示す説明図であり、(c)は表示されたウェブページのうち拡大表示枠41により囲まれた画像の一部が拡大表示枠41内に拡大して表示された様子の一例を示す説明図である。
【0020】
なお、図3(b)はあくまでも仮想的な図であり、ユーザには提示されない。また、図3および本実施形態では、拡大表示枠41の初期位置が画面中央である場合の例を示すが、拡大表示枠41の初期位置は画面中央には限られない。また、拡大表示枠41は必ずしもメニューから呼び出さずともよく、たとえば表示画面の所要の位置がダブルタップされるとこの位置を中心として拡大表示枠41を表示するようにしてもよい。
【0021】
表示部25は、主制御部24に制御されて、ウェブブラウザや文書作成プログラムなどのアプリケーションプログラムにより生成される各種画像や、これらの画像の一部を拡大して表示するための拡大表示枠41をはじめ、携帯電話機10を操作するための情報や携帯電話機10を操作するための複数のキー(ソフトキー)などを表示する。
【0022】
表示入力部11の入力部としてのタッチセンサ26は、ユーザによるタッチセンサ26上の指示位置の情報を携帯電話機10の主制御部24に与える。たとえば、ユーザが表示部25に表示された画面上の拡大表示枠41の一部を長押しする操作を意図した場合、ユーザは画面上の拡大表示枠41の一部に接触しようとする。タッチセンサ26は、この接触動作から得た情報をユーザの指示位置の情報として取得し、携帯電話機10の主制御部24に与える。たとえば抵抗膜方式の感圧式パネルにより構成される場合、タッチセンサ26は、押圧された位置の情報をユーザの指示位置の情報として取得し、携帯電話機10の主制御部24に与える。
【0023】
レシーバ12は、受話音声をはじめとした各種の情報に対応した音声を出力する。また、マイクロフォン13は、ユーザによって入力された音声をデジタル音声信号に変換する。
【0024】
タッチキー14は、たとえば静電容量方式のタッチセンサにより構成され、キーに対するユーザの接触操作に応じた信号を出力する。
【0025】
電源ボタン15は、ユーザにより押下されるとこの押下に応じた信号を主制御部24に与える。主制御部24は、電源ボタン15が押下されると、押下されてから開放されるまでの時間に応じて携帯電話機10を制御することができる。たとえば、主制御部24は、電源ボタン15が短押しされるといわゆるクリア機能を実現し、長押しされると携帯電話機10全体の電源のONまたはOFFを行い、超長押しされると携帯電話機10をリセットする。
【0026】
ここで、ユーザの電源ボタン15に対する各操作について、短押しとはボタンが押下されてから第1の所定の時間(たとえば1秒)未満で開放される動作をいい、長押しとはボタンが第1の所定の時間以上押下され続けてから開放される動作をいい、超長押しとはボタンが第1の所定の時間より長い第2の所定の時間(たとえば10秒)以上押下され続ける動作をいうものとする。また、クリア機能は、一般的な携帯電話機10に広く備えられた機能であり、たとえば文字入力の受け付け中であればキャレット位置の文字を一文字消去することや、待ち受け画面に戻ることや、アプリケーションを終了することなどの動作を実行する機能をいう。なお、電源ボタン15は、ユーザが容易に操作できる位置に設置すればよく、この位置は携帯電話機10の側面に限られない。
【0027】
アンテナ21は、図示しない無線基地局との間で通信電波の送受信を行う。送受信部22は、通信電波に内在する無線信号を送受信する無線回路であり、主制御部24から出力される通信データを変調し、アンテナ21を介して送信する。また、送受信部22は、アンテナ21を介して受信した通信データを復調し、主制御部24へ出力する。通信データには、少なくとも通話を行うための音声データおよびインターネット通信を行うためのデータが含まれる。
【0028】
記憶部23は、データの書き換えが可能な不揮発性のメモリであり、たとえば電子メールデータや音楽データなどの各種データを記憶している。
【0029】
主制御部24は、CPU、RAM、ROMなどにより構成され、ROM内に記憶されたプログラムに従って、携帯電話機10の処理動作を制御する。CPUは、ROM内に記憶された拡大表示プログラムおよびプログラムの実行のために必要なデータをRAMへロードし、拡大表示プログラムに従って、表示画面内における拡大表示枠41の位置を移動させるモードであるか否かをユーザが容易に判別することができるよう拡大表示を行う。
【0030】
RAMは、CPUが実行するプログラムおよびデータを一時的に格納するワークエリアを提供する。
【0031】
ROMは、携帯電話機10の起動プログラム、拡大表示プログラムや、これらのプログラムを実行するために必要な各種データを記憶する。
【0032】
なお、ROMは、磁気的もしくは光学的記録媒体または半導体メモリなどの、CPUにより読み取り可能な記録媒体を含んだ構成を有し、ROM内のプログラムおよびデータの一部または全部は電子ネットワークを介してダウンロードされるように構成してもよい。
【0033】
図4は、図2に示す主制御部24のCPUによる機能実現部の構成例を示す概略的なブロック図である。なお、この機能実現部は、CPUを用いることなく回路などのハードウエアロジックによって構成してもよい。
【0034】
CPUは、拡大表示プログラムによって、少なくとも操作内容取得部31、操作内容通知部32、拡大画像生成部33、拡大表示制御部34、枠変更指示部35および枠移動指示部36として機能する。この各部31〜36は、RAMの所要のワークエリアを、データの一時的な格納場所として利用する。
【0035】
操作内容取得部31は、タッチセンサ26の出力を受け、表示画面に対する入力操作の内容を取得する。タッチセンサ26の出力には、ユーザにより表示画面上の接触位置の情報が少なくとも含まれる。操作内容取得部31は、タッチセンサ26から受けたこの接触位置の情報およびこの情報を受けた時間の情報にもとづき、表示画面に対してユーザが入力を意図した操作がプレス、リリース、プレスアンドホールド、スライド、シングルタップ、ダブルタップなどのいずれの入力操作であるかを判別する。
【0036】
ここで、ユーザの表示画面に対する各入力操作について、プレスとは非接触状態から接触状態への移行動作をいい、リリースとは接触状態から非接触状態への移行動作をいい、プレスアンドホールドとはプレス後所定の時間(たとえば1秒)以上接触状態を維持するいわゆる長押し動作をいい、スライドとはプレス後接触状態を維持したまま接触位置を移動させるいわゆるドラッグ動作をいうものとする。また、シングルタップとはプレス後所定の時間(たとえば1秒)未満でリリースするいわゆるクリック動作をいい、ダブルタップとはシングルタップ後所定の時間(たとえば0.5秒)以内に再度シングルタップするいわゆるダブルクリック動作をいうものとする。
【0037】
操作内容通知部32は、操作内容取得部31により取得された入力操作の内容をアプリケーションプログラムに与える。
【0038】
拡大画像生成部33は、表示画面に表示された表示画像のうち表示画面内の一部に設けられた拡大表示枠41により囲まれた画像の一部(拡大対象画像)の拡大画像を生成する。なお、この拡大画像生成部33は、アプリケーションプログラムによる機能の一部であってもよい。
【0039】
拡大表示制御部34は、表示画面に拡大表示枠41を表示するとともに、拡大画像生成部33から拡大画像を受け、この拡大画像(表示画面に表示された表示画像のうち拡大表示枠41により囲まれた画像の一部を拡大した画像)を拡大表示枠41内に表示させる。
【0040】
たとえば、拡大表示制御部34は、図3に示すように、ユーザによりタッチパネル11を介して拡大表示を行うべき旨の指示を受けると、表示部25の所定の位置に拡大表示枠41を表示して拡大画像をこの拡大表示枠41内に表示させる。
【0041】
図5は、通常モードから拡大表示枠移動モードへの移行に応じて拡大表示枠41が太く変更される様子を示す説明図である。なお、以下の説明において、通常モードとは表示画面内における拡大表示枠41の位置が固定されるモードをいい、拡大表示枠移動モード(以下、枠移動モードという)とは拡大移動枠に対するプレスアンドホールド後のスライド(ドラッグ)操作により表示画面内における拡大表示枠41の位置が移動可能であるモードをいうものとする。
【0042】
枠変更指示部35は、操作内容取得部31によりユーザが拡大表示枠41の一部に対していわゆるプレスアンドホールドの操作を行った(所定の時間以上接触した)旨の情報が取得されると、拡大表示制御部34に対し拡大表示枠41の表示方法を枠移動モード用の表示方法に変更するよう指示する。枠移動モード用の拡大表示枠41の表示方法としては、たとえば、枠を太くしたり、枠の色を変更したり、枠を発光させたりなどして枠を強調表示することなどが考えられる。また、枠移動モードであることをユーザに通知するため、枠内の背景色を変更したり、枠移動モードである旨の情報を表示画面に表示させたりしてもよい。以下の説明では、拡大表示枠移動モード用の表示方法において拡大表示枠41が太枠にて表示される場合の例について示す。
【0043】
枠移動モードへの移行時に拡大表示枠41を枠移動モード用に変更することにより、ユーザは容易に現在枠移動モードであることを容易に認識することができる。
【0044】
なお、本実施形態においては拡大表示枠41の一部に対するプレスアンドホールドを契機に枠移動モードへと移行する場合の例について説明するが、この契機は拡大表示枠41の一部に対するプレス、シングルタップ等の他の入力操作であってもよい。
【0045】
図6は、拡大表示枠移動モードにおいてユーザにより所望の方向へ拡大表示枠41が移動される様子を示す説明図である。
【0046】
本実施形態に係る携帯電話機10は、拡大表示枠41のどの箇所に対するプレスアンドホールドであっても枠移動モードへ移行し、その後のスライド操作により拡大表示枠41を移動させることができる。このため、ユーザは拡大表示枠41上の任意の箇所をプレスしつつスライドさせることで拡大表示枠41を所望の位置に移動させることができる。したがって、拡大表示枠41内の中心部分のみが枠移動の対象となる場合に比べ、指などによって隠れてしまう場所をユーザの所望の箇所に限定することができる。
【0047】
たとえば、拡大表示枠41の上方の画像を拡大表示したい場合は、ユーザは、図6(a)に示すように、拡大表示枠41の下方に対するプレスアンドホールド後に上方にスライドさせるとよい。拡大表示枠41の下方に触れつつ拡大表示枠41を上方に移動させることにより、所望の拡大画像を指で隠してしまう不具合を防ぐことができる。このため、本実施形態に係る携帯電話機10によれば、ユーザは、容易かつ直感的に拡大表示枠41を移動することができる。
【0048】
また、拡大表示枠41の下方の画像を拡大表示したい場合は、図6(b)に示すように、拡大表示枠41の上方に対するプレスアンドホールド後に下方にスライドさせるとよい。同様に、拡大表示枠41の右方の画像を拡大表示したい場合は図6(c)に示すように拡大表示枠41の左方に対するプレスアンドホールド後に右方にスライドさせ、拡大表示枠41の左方の画像を拡大表示したい場合は図6(d)に示すように拡大表示枠41の右方に対するプレスアンドホールド後に左方にスライドさせるとよい。
【0049】
枠移動指示部36は、拡大表示枠41の表示方法が枠移動モード用の表示方法に変更され、操作内容取得部31によりユーザがプレスアンドホールドの操作後スライドの操作を行った旨の情報が取得されると、図6に示すように、拡大表示制御部34に対しこのスライド操作に応じて拡大表示枠41を移動させるよう指示する。
【0050】
次に、本実施形態に係る携帯電話機10の動作の一例について説明する。
【0051】
図7は、図1に示す携帯電話機10の主制御部24により、表示画面内における拡大表示枠41の位置を移動させるモードであるか否かをユーザが容易に判別することができるよう拡大表示を行う際の手順を示すフローチャートである。図7において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。
【0052】
この手順は、ユーザによりタッチパネル11を介してメニューから選択されることにより拡大表示を行うべき旨の指示を受け、図3(b)に示すように表示部25の所定の位置に拡大表示枠41が表示され、拡大画像がこの拡大表示枠41内に表示されてスタートとなる。
【0053】
なお、以下の説明では、拡大表示枠41に対するプレスアンドホールドの操作により枠移動モードへ移行後、このリリース操作があると通常モードへ移行する場合の例について示す。リリース操作があっても枠移動モードを維持する場合は、たとえば拡大表示枠41に対する再度のプレスアンドホールドやリリース後の所定の時間の経過や電源ボタン15の短押しなどをもって通常モードへ移行すればよい。
【0054】
まず、ステップS1において、操作内容取得部31は、ユーザによる表示画面に対するプレス操作を受け付けたか否かを判定する。プレス操作を受け付けた場合はステップS2に進む。一方、プレス操作を受け付けない場合は引き続きプレス操作を監視する。
【0055】
次に、ステップS2において、操作内容取得部31は、プレスされた位置が拡大表示枠41上であるか否かを判定する。拡大表示枠41上である場合は、ステップS3に進む。一方、拡大表示枠41上でない場合はステップS9に進む。
【0056】
なお、プレスされた位置が拡大表示枠41の上である場合とは、操作内容取得部31が取得したプレス位置の座標に拡大表示枠41の座標が含まれている場合をいうものとする。たとえば、プレスされた位置が拡大表示枠41の上である場合には、拡大表示枠41そのものの画像および拡大表示枠41の内部の画像が同時にプレスされた場合が含まれる。このような場合として、ユーザが拡大表示枠41の内部の拡大表示画像上のリンク画像をタップしようとし、ユーザの指がリンク画像および拡大表示枠41の両方に触れた場合などが考えられる。
【0057】
次に、ステップS3において、操作内容取得部31は、プレス後のホールド時間が所定の時間(たとえば1秒など)経過したか否かを判定する。所定の時間経過した場合は、操作内容取得部31はその旨の情報を枠変更指示部に与え、ステップS4に進む。一方、所定の時間経過していない場合はステップS6に進む。
【0058】
次に、ステップS4において、枠変更指示部35は、拡大表示制御部34に対し拡大表示枠41を太くする(拡大表示枠41の表示方法を枠移動モード用の表示方法に変更する)よう指示する。この結果、拡大表示枠41は太い枠(枠移動モード用の表示)となる。
【0059】
次に、ステップS5において、主制御部24は、枠移動モードへ移行し拡大表示枠41の移動指示を受け付け、一連の手順は終了となる。
【0060】
一方、ステップS3でプレス後のホールド時間が所定の時間経過していないと判定されると、ステップS6において操作内容取得部31は、リリース操作があったか否かを判定する。リリースされた場合、すなわちシングルタップ操作があった場合は、ステップS7に進む。一方、リリースされていない場合、すなわちプレス後のホールド操作が続けられている場合は、ステップS3に戻る。
【0061】
次に、ステップS7において、操作内容取得部31は、入力操作位置に拡大表示枠41の内部の拡大表示画像が含まれていたか否かを判定する。拡大表示画像が含まれていた場合は、操作内容取得部31は入力操作(シングルタップ)された位置の情報を操作内容通知部32に与え、ステップS8に進む。一方、拡大表示画像が含まれていない場合は、通常モードのまま一連の手順は終了となる。
【0062】
次に、ステップS8において、操作内容通知部32は、表示画面の表示画像を生成しているアプリケーションプログラムに対し、拡大表示枠41内のシングルタップ操作が行われた位置の情報を与える。この結果、アプリケーションプログラムは、入力操作が行われた位置に応じた動作を実行する。
【0063】
たとえば、図3(b)に示すようにアプリケーションプログラムがウェブブラウザの場合、拡大表示枠41内のリンク画像に対するシングルタップ操作を受け付けると、操作内容通知部32はウェブブラウザに対してその旨の情報を与える。この情報を受け、ウェブブラウザはリンク先のウェブページを取得し表示画面に表示させる。
【0064】
他方、ステップS2でプレスされた位置が拡大表示枠41上でないと判定されると、ステップS9において、操作内容取得部31は、プレスされた位置が拡大表示枠41の内部であるか否かを判定する。拡大表示枠41の内部である場合はステップS8に進む。一方、拡大表示枠41の内部でない場合、すなわち拡大表示枠41の外部である場合は、ステップS9に進む。
【0065】
次に、ステップS10において、操作内容通知部32は、ステップS8と同様に、表示画面の表示画像を生成しているアプリケーションプログラムに対し、拡大表示枠41内の接触位置の情報を与える。この結果、アプリケーションプログラムは、接触位置に応じた動作を実行する。
【0066】
一方、ステップS11において、操作内容通知部32は、表示画面の表示画像を生成しているアプリケーションプログラムに対し、拡大表示枠41外の接触位置の情報を与える。この結果、アプリケーションプログラムは、接触位置に応じた動作を実行する。
【0067】
以上の手順により、表示画面内における拡大表示枠41の位置を移動させるモードであるか否かをユーザが容易に判別することができるよう拡大表示を行うことができる。
【0068】
続いて、枠移動モードにおいて拡大表示枠41の移動指示を受け付ける際の手順について説明する。
【0069】
図8は、図7のステップS5で主制御部24により実行される枠移動モードにおける拡大表示枠41の移動処理の手順を示すサブルーチンフローチャートである。図8において、Sに数字を付した符号は、フローチャートの各ステップを示す。
【0070】
ステップS51において、操作内容取得部31は、プレス位置の移動情報(スライド情報)を取得する。プレス位置の移動情報(スライド情報)は、時間変化するプレス位置の座標の情報により構成される。
【0071】
次に、ステップS52において、枠移動指示部36は、図6に示すように、拡大表示制御部34に対しプレス位置の移動(スライド)に応じて拡大表示枠41を移動させるよう指示する。この結果、拡大表示枠41はユーザのスライドに追従して移動することになる。
【0072】
次に、ステップS53において、拡大表示制御部34は、拡大画像生成部33から移動後の拡大表示枠41に囲まれた画像の一部を拡大した画像を受け、この拡大画像を移動後の拡大表示枠41内に表示させる。
【0073】
次に、ステップS54において、操作内容取得部31は、リリース操作があったか否かを判定する。リリースされた場合はステップS55に進む。一方、リリースされていない場合、すなわちホールド操作またはスライド操作が続けられている場合は、ステップS51に戻る。
【0074】
次に、ステップS55において、枠変更指示部35は、拡大表示制御部34に対し拡大表示枠41を通常モード用の表示方法に変更するよう指示する。この結果、拡大表示枠41は細い枠(枠移動モード用の表示)となる。
【0075】
以上の手順により、枠移動モードにおいて拡大表示枠41の移動指示を受け付けることができる。
【0076】
本実施形態に係る携帯電話機10によれば、枠移動モードへの移行指示があると拡大表示枠41の表示方法を枠移動モード用の表示方法に変更する。このため、枠移動モードであるか否かをユーザが容易に判別することができる。また、拡大表示枠41の表示時においても、拡大表示枠41の内部に対する入力操作を受け付けた場合にはユーザが所望する動作を確実に実行することができる。
【0077】
さらに、本実施形態に係る携帯電話機10によれば、拡大表示枠41のどの箇所に対するプレスアンドホールドであっても枠移動モードへ移行し、その後のスライド操作により拡大表示枠41を移動させることができる。したがって、拡大表示枠41内の中心部分のみが枠移動の対象となる場合に比べ、ユーザは拡大表示枠41の移動中における自らの指による視界の妨げを防ぐことができるとともに、容易かつ直感的に拡大表示枠を移動させることができる。
【0078】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0079】
たとえば、本発明は、本実施形態で説明した携帯電話機10のほかにも、様々な電子機器に適用可能であり、特に、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯型ゲーム機、携帯型音楽再生機、携帯型動画再生機などの携帯型の情報処理装置に好適である。
【0080】
また、本発明の実施形態では、フローチャートの各ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理の例を示したが、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別実行される処理をも含むものである。
【符号の説明】
【0081】
10 携帯電話機
11 タッチパネル
12 レシーバ
13 マイクロフォン
14 タッチキー
15 電源ボタン
21 アンテナ
22 送受信部
23 記憶部
24 主制御部
25 表示部
26 タッチセンサ
31 操作内容取得部
32 操作内容通知部
33 拡大画像生成部
34 拡大表示制御部
35 枠変更指示部
36 枠移動指示部
41 拡大表示枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面に拡大表示枠を表示するとともに、前記表示画面に表示された表示画像のうち前記拡大表示枠により囲まれた画像の一部を拡大して前記拡大表示枠内に表示させる拡大表示制御部と、
前記表示画面への入力を受け付ける入力部の出力を受け、前記表示画面に対する入力操作の内容を取得する操作内容取得部と、
前記操作内容取得部によりユーザが前記拡大表示枠の一部に対する所定の入力操作の内容が取得されると、前記拡大表示制御部に対し前記拡大表示枠の表示方法を拡大表示枠移動モード用の表示方法に変更するよう指示する枠変更指示部と、
前記拡大表示枠の表示方法が前記拡大表示枠移動モード用の表示方法に変更され、前記操作内容取得部により前記ユーザによる接触位置がスライドされて移動した旨の情報が取得されると、前記拡大表示制御部に対しこの移動に応じて前記拡大表示枠を移動させるよう指示する枠移動指示部と、
を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記枠変更指示部は、
前記操作内容取得部によりユーザが前記拡大表示枠の一部に所定の時間以上接触した旨の情報が取得されると、前記拡大表示制御部に対し前記拡大表示枠の表示方法を拡大表示枠移動モード用の表示方法に変更するよう指示する、
請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記拡大表示枠の表示方法が変更されたか否かによらず、前記操作内容取得部によりユーザが前記拡大表示枠内の画像に接触した旨の情報が取得されると、この接触位置の情報をアプリケーションプログラムに与える操作内容通知部、
をさらに備えた請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記拡大表示枠の表示方法が変更されたか否かによらず、前記操作内容取得部によりユーザが前記拡大表示枠内の画像に接触した旨の情報が取得されると、この接触位置の情報をアプリケーションプログラムに与える操作内容通知部、
をさらに備え、
前記操作内容取得部は、
前記拡大表示枠の一部および前記拡大表示枠内の画像に対してユーザが同時に接触した旨の情報を取得すると、この接触が前記所定の時間以上継続された場合はその旨の情報を前記枠変更指示部に与える一方、この接触が前記所定の時間内に終了した場合は前記接触が前記所定の時間内に終了した旨の情報を前記入力操作の内容として前記操作内容通知部に与えるとともに前記同時に接触された前記拡大表示枠内の画像の接触位置の情報を前記操作内容通知部に与え、
前記枠変更指示部は、
前記操作内容取得部からユーザが前記拡大表示枠の一部に所定の時間以上接触した旨の情報を受けると、前記拡大表示制御部に対し前記拡大表示枠の表示方法を拡大表示枠移動モード用の表示方法に変更するよう指示し、
前記操作内容通知部は、
前記操作内容取得部から前記入力操作の内容および前記同時に接触された前記拡大表示枠内の画像の接触位置の情報を受けると、これらの情報をアプリケーションプログラムに与える、
請求項2記載の電子機器。
【請求項5】
前記拡大表示制御部は、
前記拡大表示枠移動モード用の表示方法において前記拡大表示枠を太枠にて表示する、
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記枠変更指示部は、
前記拡大表示枠の表示方法が前記拡大表示枠移動モード用の表示方法に変更されたのち、前記操作内容取得部により前記ユーザによる接触が終了した旨の情報が取得されると、前記拡大表示制御部に対し前記拡大表示枠の表示方法を通常モード用の表示方法に変更するよう指示する、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記表示画面を有する表示部と、前記表示画面への入力を受け付けるタッチセンサと、を備えた表示入力部、
をさらに備えた請求項1ないし6のいずれか1項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−170431(P2011−170431A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31328(P2010−31328)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(310022372)富士通東芝モバイルコミュニケーションズ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】