説明

電子機器

【課題】極めて簡単な構成で確実に使用する電池の種類の設定を行わせることが出来る電子機器を提供する。
【解決手段】電池8A及び8Bが装着される電池装着部20には、装着される電池がアルカリ電池の時にスイッチ入力されるスイッチと、装着される電池がニッケル水素電池の時にスイッチ入力されるスイッチが配置されている。スイッチは、スライド摘み31を備えたスライドスイッチで構成されており、スライド摘みが中心位置にある時には電池蓋22が閉じないように、そしてスライド摘みが電池の種類設定の位置にある時には電池蓋が閉じるような構造となっている。この構成により、電池の種類設定が行われないと電池蓋が閉じないので必ず電池の種類設定が行われるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、異なった種類の電池電源を使用可能な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば単3電池を駆動電源とする電子機器にあっては、アルカリ電池、ニッケル水素電池など異なった種類のいずれであっても駆動電源として使用可能である。しかしながら、電池はその種類によって特性が異なる為、例えば、使用中の電池の残り容量などを検出して表示させようとした場合には、それぞれの電池の種類のあった検出手段で残り容量を検出しないと正確な値が表示できない。そこで、例えば、装着された電池の内部抵抗を測定して電池の種類を判別したり(特許文献1参照)、或いは、電池に特定の負荷を与えた時の電圧と負荷を与えない状態での電圧とを用いて電池の種類を判別したり(特許文献2参照)して電池の種類を自動的に検出することが考えられている。又、電池の種類を自動的に検出するのではなく、キーボードなどから入力することによって設定することも考えられている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−192859号
【特許文献2】特開平11−191437号
【特許文献3】特開平06−045981号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電池の種類を自動的に検出する回路手段などを設けることは、回路構成が複雑になるばかりか、例えば、使用される電池が新品ではなく、ある程度使用された電池だった場合、或いは使用する際の温度環境などによって誤検出してしまう可能性があった。又、電池の種類をキーボードから入力する方法にあっては、入力を行わないと誤った検出動作が成されてしまうという欠点があった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、その課題とするところは、極めて簡単な構成で確実に使用する電池の種類の設定を行わせることが出来る電子機器を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1の電子機器は、電池を挿入する開口を有し前記開口内部に挿入された電池の電池収納部が形成された機器ケースと、この機器ケース内部の前記電池収納部もしくは前記電池収納部近傍に配置された電池の種類設定操作スイッチと、前記機器ケースの前記開口に取り付けられ前記開口を塞ぐ電池蓋とを備えたことを特徴とする。
【0007】
又、請求項2の電子機器は、前記電池の種類設定操作スイッチが、電池の種類を設定しない位置と電池の種類を設定する位置とに移動可能な操作部材を備え、この操作部材が電池の種類を設定しない位置にある際には前記電池蓋が前記操作部材に当接して前記電池蓋で前記機器ケースの前記開口を塞ぐことが出来ず、前記操作部材が前記電池の種類を設定する位置にある際には前記電池蓋は前記操作部材に当接せず前記電池蓋で前記機器ケースの前記開口が塞がれることを特徴とする。
【0008】
更に、請求項3の電子機器は、前記電池蓋を前記機器ケースから取り外した際に前記操作部材を前記電池の種類を設定しない位置に移動させる移動手段を備えることを特徴とする。
【0009】
更に又、請求項4の電子機器は、前記電池の種類設定操作スイッチによって設定された電池の種類情報に基づき前記電池の残り容量を検出する残容量検出手段を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項5の電子機器は、電池の装着を検出する装着検出手段と、この装着検出手段によって電池の装着が検出された際もしくは電池の装着が検出された後の電源スイッチ投入の際に、電池の種類設定を促す表示を行う種類設定表示手段と、この種類設定表示手段による表示が成されている際に電池の種類設定を行う設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0011】
又、請求項6の電子機器は、前記設定手段による前記電池の種類設定が行われなかった際には、前記電源スイッチ投入毎に前記種類設定表示手段による表示が成されることを特徴とする。
【0012】
更に、請求項7の電子機器は、前記設定手段によって設定された電池の種類情報に基づき前記電池の残り容量を検出する残容量検出手段を備えることを特徴とする。更に又、請求項8は、前記電子機器が、被写体像を撮影して画像情報を記憶する電子スチルカメラであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電池が装着された際に使用電池の種類を設定しない限り電子機器を使用することが出来ない構成である為、必ず電池の種類設定が行われ、設定された電池の種類に応じた各種処理を行わせることが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による第1実施例の電子スチルカメラの回路ブロック図。
【図2】上記電子スチルカメラの電池装着部の斜視図。
【図3】図2の電池装着部のスライドスイッチの正面図。
【図4】図3のA−A線断面図。
【図5】スライドスイッチのスライド摘みを移動させた際の正面図。
【図6】同じくスライドスイッチのスライド摘みを移動させた際の正面図。
【図7】図1の回路ブロック図の動作を示すフローチャート。
【図8】スライドスイッチの変形例を示す正面図。
【図9】図8のB−B線断面図。
【図10】電池蓋を閉じた際の正面図。
【図11】本発明の第2実施例の回路部ロック図。
【図12】図11の動作を示すフローチャート。
【図13】図11の表示部6の表示状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
第1実施例
図1は、この発明を適用した電子機器の第1実施例であり、例えば、撮像装置である電子スチルカメラの回路ブロック図である。図において、制御部1は、CPU等から構成され内部に機器全体の動作を制御するプログラムや後述する各部の動作を制御するプログラムを備えている。この制御部1には、被写体を撮影して画像データを得る撮像部2が接続されている。この撮像部2は、詳細は示していないが、CCD等の撮像素子に被写体を結像するレンズやシャッターなどの光学系、前記撮像素子からの信号を符号化されたデジタル画像データに変換して制御部1に供給する信号処理回路などから構成されている。
【0016】
又、制御部1には、不揮発性のフラッシュメモリ等から構成され撮影された画像データの記録及び他の各種データを記憶するきお記憶部3、検出した電池電圧と電池の残り容量とを示すデータテーブルを電池の種類毎に記憶しているROM4、撮像部2によって撮影された画像データ或いは記録部3に記憶された画像データなどを外部機器に送信したり外部機器から送られてくる各種情報を受信する通信回路部5、撮影時のスルー表示及び記憶部3に記録された画像データの再生表示或いは各種設定情報などを表示するカラー液晶表示装置などから構成される表示部6がそれぞれ接続されている。
【0017】
入力部7は、撮影の為の撮影条件の設定キーや、撮影を行わせる為のシャッタースイッチキー、記憶部3に記録された画像データを表示部6に再生表示させる再生キー、外部機器との通信を行わせる為の通信制御キーなどを備えており、これらのキー入力信号は制御部1に送られる。
【0018】
直列接続された電池8A及び8Bは、この電子スチルカメラの駆動電源であり、図2で詳細を後述する電池装着部20に装着されるものである。電池8A及び8Bの端子電圧信号は制御部1の入力端子B0に送られると共に、電源回路部9に送られて上述した各部を駆動する為の電圧に変換され各部に送られる。又、スイッチ10及び11は、前記電池装着部20に設けられ、装着された電池の種類に応じてスイッチ入力がなされるスイッチであり、スイッチ10は、装着された電池8A及び8Bがアルカリ電池の時に入力されるスイッチ、スイッチ11はニッケル水素電池の時に入力されるスイッチである。これらスイッチ10及び11のスイッチ信号は制御部1の入力端子K0及びK1にそれぞれ送られている。
【0019】
図2は、前記電池装着部20の構造を示す斜視図である。この電子スチルカメラの外部(機器)ケース21の開口内部には、電池8Aの収納配置部23及び電池8Bの収納配置部24が設けられており、電池8A及び電池8Bを収納後に電池蓋22で外部ケース21の開口を塞ぐようになっている。この場合、外部ケース21に形成された孔部21A及び21Bに電池蓋22の足部22A及び22Bが係止され、且つ外部ケース21の切欠21Dに電池蓋22の先端部22Dが係止されることによって電池蓋22は外部ケース21に固定保持されるようになっている。尚、収納配置部23及び収納配置部24の両端には、電池の陰極端子25及び陽極端子26が配置されている。
【0020】
又、外部ケース21の開口内部の切欠21Dの内側には凹部21Cが形成され、この凹部21Cの深さは、切欠21Dに電池蓋22の先端部22Dが係止された時、電池蓋22の先端部22Dの下方に形成されている底面部22Cが凹部21Cの底面表面に当接する深さとなっている。更に、凹部21C底面には、詳細を図3で説明するスライドスイッチ30が設けられており、図2においては、前記スライドスイッチ30のスライド摘み31が示してある。
【0021】
図3は、前記スライドスイッチ30が設けられた凹部21およびその近辺の正面図であり、図4は、図3のA―A断面図である。図3において、凹部21C底面には、スライドスイッチ30のスライド摘み31が移動する開口32が形成されており、この図3ではスライド摘み31が開口32の中央、即ち切欠21Dと対向する位置に配置されているが、開口32の左方向及び右方向に移動することが出来るようになっている。そして、開口32の左側の凹部21C上に「アルカリ電池」の文字が印刷されており、開口32の右側の凹部21C上には「Ni水素電池」の文字が印刷されている。
【0022】
スライド摘み31は、図4に示すように、下端が断面曲線状に形成され、凹部21Cの下方で且つ開口32に対向する位置には、基板33を貫通する軸部材34及び35が配置されている。この軸部材34及び35の上面は曲線状をなし、下面には導電性のバネ部材36及び37が当接して軸部材34及び35を保持している。バネ部材36及び37の下方には回路基板38が配置され、この回路基板38の前記軸部材34及び35と対向する位置にはスイッチ接点39及び40が形成されている。しかして、軸部材34、バネ部材36及びスイッチ接点39は、図1で示したスイッチ10を構成するものであり、軸部材35、バネ部材37及びスイッチ接点40は、図1で示したスイッチ11を構成するものである。即ち、バネ部材36及び37には接地電圧が供給されており、スイッチ接点39及び40は図1の制御部1の入力端子K0及びK1にそれぞれ接続されているものである。
【0023】
そして、スライド摘み31が図4の左方向に移動されると、スライド摘み31の曲線状の下端が軸部材34の曲線状の上端を押圧し、軸部材34が下方に移動することによってバネ部材36がスイッチ接点39に当接してスイッチ10のスイッチ入力が成されるものである。又、スライド摘み31が図4の右方向に移動されると軸部材35、バネ部材37及びスイッチ接点40が同様に作動してスイッチ11の入力が成されるものである。
【0024】
上記の構成において、電池8Aを収納配置部23、電池8Bを収納配置部24にそれぞれ配置して電池蓋22で外部ケース21の開口をふさぐ際に、スライド摘み31が開口32の中心に位置している場合にあっては、即ち、スイッチ10及びスイッチ11のいずれもスイッチ入力が成されていない状態にあっては、電池蓋22の先端部22Dの下方に形成されている底面部22Cがスライド摘み31の上面に当接する為に、先端部22Dが切欠21Dの位置まで届かず、電池蓋22を閉じることが出来ない。これに対して、収納される電池8A及び8Bがアルカリ電池の場合にはスライド摘み31を左方向に移動させ、或いは、Ni水素電池の場合には右方向に移動させると、スイッチ10或いは11の何れか一方がスイッチ入力されると共に、電池蓋22の底面部22Cはスライド摘み31に邪魔されずに凹部21Cの底面まで移動する為、電池蓋22の先端部22Dが切欠21Dの位置まで移動し、電池蓋22を閉じることが出来る。
【0025】
図5は、使用される電池8A及び8BがNi水素電池であった為、スライド摘み31を手動で右方向に移動操作した状態を示している。又、図6は、図5の状態で電池蓋22をしめた際の底面部22の位置とスライド摘み31の位置関係を示した図である。尚、アルカリ及びNi水素の印刷文字については図面から省略してある。
【0026】
このようにして、手動操作によってスイッチ10及び11の何れかのスイッチ入力が成された状態での制御部1による動作のフローチャートを図7で説明する。ステップS1は、入力部7で何らかのキー入力操作が行われたか否かを検出するもので、入力部7でのキー入力が成されたことを検出するとステップS2に進み、そのキー入力に応じた処理がなされ、次のステップS3では、その処理結果に応じた表示が表示部6で行われる。即ち、入力部7で操作されるキーは、撮影の為の撮影条件の設定キー、撮影を行わせる為のシャッタースイッチキー、記録部3に記録された画像データを表示部6に再生表示させる再生キー、外部機器との通信を行わせる為の通信制御キー等であり、これらのキー操作に応じた機能処理がステップS2で行われ、ステップS3では、撮影条件情報の表示、撮影時のスルー画像表示、撮影した画像の表示、再生画像の表示、外部機器との通信する情報の表示などが行われる。
【0027】
一方、ステップS1でキー入力が検出されない場合にはステップS4に進み、電池電圧の検出タイミングか否かを判断する。この検出タイミングは、例えば、30分毎といったように予め定められた時間毎のタイミング、或いは撮影終了後といった不定期のタイミングであり、この検出タイミングでは無い場合には処理を終了するが、検出タイミングであった場合にはステップS5に進む。ステップS5では、制御部1の入力端子K0及びK1のいずれが「1」(スイッチ入力信号有り)なのかを判断し、端子K0が「1」の場合にはステップS6、端子K1が「1」の場合にはステップS7にそれぞれ進む。
【0028】
ステップS6では、入力端子B0に入力されている電池8A及び8Bの電圧から電池の残り容量を検出するもので、ROM4から、アルカリ電池の電圧と残り電池容量との対応を示すテーブルデータを読み出して一旦記憶部3に記憶させ、入力端子B0に入力された電池電圧に対応する残り容量データを記憶部3に記憶させたテーブルデータから読み出す。そして次のステップS8で、残り容量データを表示部6に表示させるものである。このステップ6の残り容量表示は、例えば、フル電圧から動作不可になる電圧までの電圧差から得られた残り容量データを複数、例えば5段階に等分し、並列配置された5つのドット表示体で表示させるといった、所謂アナログ表示で直接行わせてもよいし、或いは、残りの電池容量であと何枚の撮影が可能か、といった間接的な情報で表示させてもよいものである。
【0029】
一方、ステップS7では、ROM4から、Ni水素電池の電圧と残り電池容量との対応を示すテーブルデータを読み出して一旦記憶部3に記憶させ、入力端子B0に入力された電池電圧に対応する残り容量データを記憶部3のテーブルデータから読み出し、ステップS6と同様に残り容量データを得て、次のステップS9で残り容量を表示部6に表示させるものである。
【0030】
このように、上記第1の実施例では、電池装着部或いはその近傍に電池の種類を設定するスイッチ手段を設けたので、電池装着時には設定操作を行わなければならないことを使用者に伝えることが出来、設定操作が確実に行われる効果を有するものである。又、設定操作を行わないと電池蓋22を閉じることが出来ず、その為必ず設定操作が行われるという効果も有する。
【0031】
図8乃至図10は、上記第1の実施例のスライドスイッチ30の代わりにスライドスイッチ40を用いた変形例を示している。図8は図3に対応する正面図であり、図9は図8のB−B断面図である。尚、図3及び図4と同一構成部には同一符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0032】
しかして、外部ケース21には、図3の切欠21Dより幅広の切欠21Eが形成されている。この切欠21Eの幅は、スライド摘み41が移動する開口42(図9参照のこと)とほぼ同じ幅となっている。スライド摘み41の上面には、上方に突出し且つ折曲して前記切欠21E迄延出する延出部41Aが一体形成されている。又、凹部21C内部には、スライド摘み41の両側面を押圧してスライド摘み41が凹部21Cの中央部分に位置するように押圧する、例えばスプリング等の弾性部材50及び51が配置されている。尚、52及び53は弾性部材50及び51を保持する為の固定部材である。
【0033】
この変形例においては、電池8A及び8Bの交換などの為に電池蓋22を開けると、スライド摘み41が弾性部材50及び51の弾性作用によって常に凹部21Cの中央位置に戻るようになっている。従って、電池交換のあとは、スライド摘み41を交換した電池の種類に従って右もしくは左に移動させてスイッチ10もしくは11のスイッチ入力を行わせた状態にしないと電池蓋22を閉じることは出来ない。この場合、スライド摘み41は弾性部材50及び51により凹部21Cの中央方向に移動するように弾性抗力を受けるので、右もしくは左に移動させたあとは、切欠21Eに延出した延出部41Aの先端を押さえて固定し、その状態で電池蓋22を閉じれば、スライド摘み41は電池蓋22の底面部22Cの側面に当接するので、凹部21Cの中央に移動することはない。図10は、スライド摘み41を左に移動させたあと、電池蓋22を閉じた状態を示している。
【0034】
尚、上記第1実施例及びその変形例では、アルカリ電池とNi水素電池の何れかが使用される例について述べたが、使用される電池としてはこの2種類に限らず他の種類の電池であってもよい。又、2種類ではなく3種類以上の種類の中から選択設定出来るようにしてもよく、この場合にはスライドスイッチで入力されるスイッチの数を種類に応じて増やせばよいものである。
【0035】
第2実施例
図11乃至図13は本発明の第2実施例を示している。尚、第1実施例と同一構成部には同一番号を付してその詳細な説明は省略する。図11は電子スチルカメラの回路構成ブロック図で、電池8A及び8Bの出力端子電圧は、制御部1の入力端子B0に供給されると共に、電池の装着が成された際に制御部1の入力端子B1に装着検出信号を出力する装着検知回路部13にも与えられている。この装着検出回路部13は例えば時定数回路から構成され電池8A及び8Bの装着による入力信号の立ち上がりを検出して一定パルス幅の信号を装着検出信号として出力するものである。
【0036】
電源回路部14は、図1の電源回路部9と同様に電池8A及び8Bの出力端子電圧が与えられているが、常に各部に動作電圧を供給するのではなく、制御部1からの制御信号B2により各部に選択的に動作電圧を供給する様に構成されている。又、記録部14には、電池の装着が成されたか否かのフラグFを記憶する記憶領域14Aと、設定された電池の種類データLを記憶する種類データ記憶部14Bと、後述する電源オン状態を記憶するフラグNを記憶する記憶領域14Cも設けられている。更に、12は各部に電源を供給して電子スチルカメラとしての動作を可能にする電源オンキーであり、又、入力部15には、図1の入力部7で述べた各キー以外に電池の種類を設定する設定キーとしてカーソル移動キー15A及び決定キー15Bが設けられている。
【0037】
図12は、図11に示した電子スチルカメラにおいて、電池8A及び8Bが装着されたあとの動作フローチャートである。まずステップS20は、装着検知回路部3より装着検出信号が供給されたか否かを判断するもので、装着検出信号を検知するとステップS21に進み、フラグFを「1」に設定して電池装着が成されたことを記憶する。又、電子の種類データLを「0」に設定する。尚、種類データLは、後述するごとくL=「1」がアルカリ電池、L=「2」がニッケル水素電池、L=「3」がリチウム電池に対応しており、L=「0」というのはこれらの電池の種類設定がまだ行われていないことを意味する。また、ステップ21では、更に、電源回路部14に、少なくとも電源スイッチキー12や入力部15のキー入力を検出する為の電圧を出力させる制御信号B2を供給する。即ち、このステップS21まで進むと少なくとも入力キーの検出が可能になる。
【0038】
次のステップ22では、何らかのキー入力が有ったか否かが検出され、キー入力があった場合には次のステップS23で電源オンキー12のキー入力なのか否かが判断される。電源オンキー12のキー入力の場合にはステップS24に進むが、そうでない場合には入力部15からのキー入力がなされたとしてステップS25に進む。
【0039】
前記ステップS24では、各部の電源をオン状態に設定するもので、即ち、フラグNを「1」に設定すると共に、電源回路部14に、表示部6を含め各部が動作可能となるような電源出力を行わせる制御信号B2を供給する。次のステップS26では、フラグFが「1」か否かを判断する。電池装着によってフラグFは「1」に設定されているので、この場合はステップS27に進み、表示部6で電池の種類を設定する設定画面表示を行ないステップS22のキー入力の有無を判断するステップに戻る。図13(a)は表示部6での設定画面表示を示しており、ステップ28でこの設定画面において装着した電池の種類を選択するものである。即ち入力部15のカーソル移動キー15Aのキー入力や決定キー15Bのキー入力は、ステップS22で検出され、次のステップS23を介してステップS25に進み、電源オン状態、即ちフラグN=「1」での入力である事が検出されたあと、ステップS28に進んで設定入力が行われるものである。
【0040】
このステップS28での設定入力は、カーソル移動キー15Aのキー入力がなされる毎に、図13(b)に示す様にアルカリ電池、ニッケル水素電池、リチウム電池の文字の先頭に表示されているチェックボックスに順次チェックマークが択一的に表示され、装着された電池の種類に対応するチェックボックスにチェックマークが表示された状態で電池の決定キー15Bが操作されると、この決定キー15Bの操作は、ステップS22、23、25、28を介してステップS29に進み、フラグFが「1」か否かが判断され、「1」のときに限り次のステップ30で設定した種類によって種類データLに電池の種類データが記憶されるものである。そして種類データが記憶されたあとは次のステップS31でフラグFが「0」に設定される。
【0041】
即ち、電池の装着によってステップS22でフラグFは「1」に設定されるが電池の種類の設定がなされるとステップS31でフラグFは「0」に設定されるものである。このようにしてフラグFが「0」に設定された後は、この電子スチルカメラを使用するためのスイッチ操作がなされるとその操作に応じた各種機能が実行されるもので、即ち、各種機能の実行の為にキー操作がなされると、そのキー操作はステップS22、23、25、28を介してステップS32に進み、このステップS32でフラグFが「0」ではない事が検出され次のステップS33でキー操作に応じた各種処理が実行されるものである。これに対して、電池の種類設定がなされていないとフラッグFは「1」の状態のままなので各種機能の処理の為のキー操作がなされてもステップS32でNoと判断されてステップS33には進めず、各種機能の処理が行えないものである。
【0042】
このようにして電池の種類が設定された後は、ステップS22でキー入力が検出されない時にはステップS34に進み、電源オン状態(N=「1」)であることが検出されるとステップS35で電池の残り容量の検出タイミングか否かが判断され、検出タイミングであるとステップS36で設定された電池の種類に応じて電池の残り容量の検出が行われ、次のステップS37で検出結果の表示が成されるものである。又、ステップS35で電池の検出タイミングではない時にはステップS38に進み、ステップS33で処理された各種機能の表示処理が成されるものである。
【0043】
このように、この第2実施例においては、電池の種類設定が行われない限り電子スチルカメラとして使用することが出来ないので、必ず電池の種類設定が行われ、装着された電池の種類に応じた正確な検出が成されるものである。
【0044】
尚、上述した第1及び第2の実施例では、電池の残り容量の検出及び表示の為に電池の種類を設定したが、電池の種類設定は他の目的の為に設定するようにしてもよいもので、例えば、電池の残り容量表示は行わず、電池寿命に近づいた時に電池交換を促す表示だけを行わせるような場合にあっても、電池寿命の検出の為に電池の種類を設定させるようにしたもよい。或いは、電池の種類のよって周囲温度の影響を受ける割合が異なる場合にはその補正の為に電池の種類を設定させるようにしてもよい。
【0045】
又、上述した第1の実施例と第2の実施例とを組み合わせた構成とすることも出来るもので、例えば、第1の実施例において、スライドスイッチ30によって電池の種類設定がなされなかった場合のみ、電源オンで第2実施例のステップS27に示す設定画面表示及びステップS28乃至S30による電池の種類設定が行われる様にし、スライドスイッチ30によって電池の種類設定がなされた場合には、ステップS27に示す設定画面表示及びステップS28乃至S30による電池の種類設定は行われない様にしてもよい。
【0046】
更に、上位各実施例では、本発明を電子スチルカメラに適用した例につき述べたが、他の電子機器、例えばビデオカメラ、携帯電話、電子辞書、携帯パソコン、PDA、電子ゲーム機、音楽再生機など電池を電源とする種々の電子機器に適用し得るものである。
【符号の説明】
【0047】
1 制御部
2 撮像部
3 記録部
4 ROM
6 表示部
7 入力部
8A 電池
8B 電池
9 電源回路部
20 電池装着部
21 外部ケース
22 電池蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を挿入する開口を有し前記開口内部に挿入された電池の電池収納部が形成された機器ケースと、この機器ケース内部の前記電池収納部もしくは前記電池収納部近傍に配置された電池の種類設定操作スイッチと、前記機器ケースの前記開口に取り付けられ前記開口を塞ぐ電池蓋とを備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記電池の種類設定操作スイッチは、電池の種類を設定しない位置と電池の種類を設定する位置とに移動可能な操作部材を備え、この操作部材が電池の種類を設定しない位置にある際には前記電池蓋が前記操作部材に当接して前記電池蓋で前記機器ケースの前記開口を塞ぐことが出来ず、前記操作部材が前記電池の種類を設定する位置にある際には前記電池蓋は前記操作部材に当接せず前記電池蓋で前記機器ケースの前記開口が塞がれることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
更に、前記電池蓋を前記機器ケースから取り外した際に前記操作部材を前記電池の種類を設定しない位置に移動させる移動手段を備えることを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項4】
更に、前記電池の種類設定操作スイッチによって設定された電池の種類情報に基づき前記電池の残り容量を検出する残容量検出手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の電子機器。
【請求項5】
電池の装着を検出する装着検出手段と、この装着検出手段によって電池の装着が検出された際もしくは電池の装着が検出された後の電源スイッチ投入の際に、電池の種類設定を促す表示を行う種類設定表示手段と、この種類設定表示手段による表示が成されている際に電池の種類設定を行う設定手段とを備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
前記設定手段による前記電池の種類設定が行われなかった際には、前記電源スイッチ投入毎に前記種類設定表示手段による表示が成されることを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
更に、前記設定手段によって設定された電池の種類情報に基づき前記電池の残り容量を検出する残容量検出手段を備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記電子機器は、被写体像を撮影して画像情報を記憶する電子スチルカメラであることを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−216490(P2011−216490A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118704(P2011−118704)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【分割の表示】特願2004−364251(P2004−364251)の分割
【原出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】