説明

電子機器

【課題】 ヒンジ機構により第1の筐体と第2の筐体とを開閉可能に支持する電子機器において、ヒンジ機構の回動軸周りに大きなスペースを必要とせずに第1の筐体及び第2の筐体の状態を検知できるようにする。
【解決手段】 第1の筐体と、第2の筐体と、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを開閉可能に支持するヒンジ部と、前記第1の筐体に設けられた磁場発生部材と、前記ヒンジ部の開閉軸の近傍に配置された、所定方向の磁場を検知する磁場検知手段と、前記磁場検知手段による検知結果に基づいて、前記第1の筐体と前記第2の筐体との開閉状態を判別する判別手段を有し、前記第1の筐体と前記第2の筐体との開閉動作に伴って、前記磁場発生部材に対する前記所定方向の向きが変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジ機構により第1の筐体と第2の筐体とを開閉可能に支持する電子機器に関し、特に磁場を用いて第1の筐体及び第2の筐体の開閉を検出する構成に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、デジタルカメラやビデオカメラのような電子機器において、ヒンジ機構によって機器本体に回動可能に取り付けられた画像表示部を備えた、いわゆるバリアングル型の画像表示部を有した電子機器が普及している。例えば、バリアングル型の画像表示部を有した撮像装置では、ハイアングルやローアングルでも被写体を確認しながら撮影ができるように、画像表示部を横に開いた状態であらゆる角度に回転が可能であり、表示部を回転させることで自分撮りも行うことができる。特許文献1には、画像表示部を備えた表示部筐体と、撮像部を備えた本体筐体と、それぞれを連結するヒンジ部とを備え、ヒンジ部が表示筐体と本体筐体とを開閉および回転可能に連結した2軸ヒンジであるデジタルカメラが記載されている。
【0003】
このような、2軸ヒンジのヒンジ部で連結されたデジタルカメラの表示部筐体は、本体筐体に対するヒンジによる開閉および回転状態によって、4パターンの使用状態が存在し、この4つの状態に合わせて撮影者の使い勝手を考慮し、液晶の表示を切り替えている。
【0004】
具体的には、このデジタルカメラの本体筐体には、表示部筐体を閉じた状態で収納する収納部が設けられており、まず第1の状態として、表示部筐体の表示パネル面を撮影者側に向けた状態で表示部筐体を本体筐体側に閉じ収納部に収めた状態が存在する。この第1の状態では表示パネルには被写体画像が表示される。
【0005】
次に第2の状態として、表示パネル面を本体筐体側に向けた状態で表示部筐体を本体筐体側に閉じ収納部に収めた状態が存在する。この第2の状態では表示パネルに画像を表示させる必要が無いので、省電力のために表示パネルに画像の表示を行わないように制御を行う。
【0006】
次に第3の状態として、表示部筐体を本体筐体に対して開いた状態で表示パネル面を撮影者側へ向けた状態が存在する。この第3の状態では、第1の状態に対して表示パネル面は180度回転した状態で撮影者側を向くことになるので、カメラは表示パネルに表示させる画像を第1の状態に対して上下及び左右を反転させた状態で表示するように制御を行う。
【0007】
最後に第4の状態として、表示部筐体を本体筐体に対して開いた状態で表示パネル面を被写体側へ向けた状態が存在する。この第4の状態では、自分撮りを行うことを想定しており、そのための使い勝手を考慮して、被写体に対して自分が鏡に映ったような姿を表示パネルに表示するようにしている。そのため、この第4の状態では第1の状態に対して左右を反転させた画像を表示するように制御を行う。
【0008】
このように、カメラは表示部筐体と本体筐体のヒンジの開閉および回転状態による4パターンの使用状態に応じた制御を行うために、この4パターンの状態を検知する必要がある。そのために特許文献2に記載された撮像装置では、ヒンジの開閉および回転を行うそれぞれの回動軸に軸の回転を検出可能なように、検出スイッチをそれぞれ設け、この2つの検出スイッチの出力の組み合わせによって4パターンの状態の検知を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−60942号公報
【特許文献2】特開2003−86965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献2に記載されたヒンジの状態検知方法においては、ヒンジの回動軸周りに検出スイッチを配置するスペースが必要なため、ヒンジを小型化する上での障害となっていた。また同時に、ヒンジ軸周りの検出スイッチと本体筐体内の回路基板との電気的な接続を行う必要がある。そのため、表示部筐体と本体筐体の接続を行うための両端にコネクタを有した複数のケーブルからなるワイヤーハーネスから一部のケーブルを分岐させ、検出スイッチの実装されている基板や検出スイッチに、分岐させたケーブルをはんだ付けして接続を行っていた。このため、ワイヤーハーネスの一部のケーブルを分岐させる必要があり、両端のコネクタに全ケーブルが結線されている場合に比べて、ワイヤーハーネスの加工コストが高くなってしまうという問題があった。また、ヒンジ内部でケーブルと基板または検出スイッチとのはんだ付けが存在するため、組立て性が悪いと共に、はんだ付け部のはんだ不良の問題や、ケーブルの引き回しが複雑になるなどの問題も生じていた。なお、上記のような問題は、表示部筐体と本体筐体とを連結するヒンジ部が1軸ヒンジであって、開閉動作のみが可能な構成であっても同様に生じるものである。
【0011】
そこで、本発明は、ヒンジ機構により第1の筐体と第2の筐体とを開閉可能に支持する電子機器において、ヒンジ機構の回動軸周りに大きなスペースを必要とせずに第1の筐体及び第2の筐体の状態を検知できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明にかかる電子機器は、第1の筐体と、第2の筐体と、前記第1の筐体と前記第2の筐体とを開閉可能に支持するヒンジ部と、前記第1の筐体に設けられた磁場発生部材と、前記ヒンジ部の開閉軸の近傍に配置された、所定方向の磁場を検知する磁場検知手段と、前記磁場検知手段による検知結果に基づいて、前記第1の筐体と前記第2の筐体との開閉状態を判別する判別手段を有し、前記第1の筐体と前記第2の筐体との開閉動作に伴って、前記磁場発生部材に対する前記所定方向の向きが変化することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ヒンジ機構により第1の筐体と第2の筐体とを開閉可能に支持する電子機器において、ヒンジ機構の回動軸周りに大きなスペースを必要とせずに第1の筐体及び第2の筐体の状態を検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明にかかる実施の形態である撮像装置を示した外観斜視図。
【図2】本発明にかかる実施の形態である撮像装置の表示部筐体の状態の遷移を示した図。
【図3】本発明にかかる実施の形態である撮像装置のヒンジ部の内部構造を示す図。
【図4】開閉検知を行う磁場センサおよび回転検知を行う磁場センサが検出する磁場の方向を表す図。
【図5】本発明にかかる実施の形態である撮像装置のスピーカーが発生する磁力線の向きと、開閉検知磁場センサおよび回転検知磁場センサの相対位置関係を表す図。
【図6】本発明にかかる実施の形態である撮像装置の表示部筐体を、本体筐体に対して180度開いて表示面が下向きとなるように90度回転させた状態でのヒンジ部の内部構造を示す図。
【図7】本発明にかかる実施の形態である撮像装置の表示部筐体の状態による開閉検知磁場センサおよび回転検知磁場センサの出力信号を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の好ましい実施の形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態における撮像装置(デジタルカメラ)の一構成例を示した外観斜視図であり、図1(a)は前面側から見た外観斜視図、図1(b)は背面側から見た外観斜視図である。
【0017】
デジタルカメラ1は、表示パネル5を有する表示部筐体2(第2の筐体)と、カメラ本体側の本体筐体3(第1の筐体)と、表示部筐体2と本体筐体3を連結するヒンジ部4からなる。ヒンジ部4はいわゆる2軸ヒンジ機構を有しており、表示部筐体2が本体筐体3に対して開閉及び回転可能に支持されている。なお、本実施の形態では、本体筐体3に対する表示部筐体2の動きを開閉動作及び回転動作としているが、表示部筐体2及び本体筐体3のどちらを基準にしてもよく、表示部筐体2と本体筐体3とが相対的に開閉及び回転していればよい。
【0018】
本体筐体3と表示部筐体2とがヒンジ部4によって連結されていることで、撮影者は撮影を行う体勢に応じて表示部筐体2の本体筐体3に対する角度を自由に変えることができ、ハイアングルやローアングルでも被写体を確認しながら撮影を行うことができる。本体筐体3のヒンジ部4側の側面であってヒンジ部4の近傍には、内部にスピーカー19が配置されており、スピーカー19の音を外部へ導くための音孔6が設けられている。
【0019】
図2は、デジタルカメラ1における表示部筐体2の状態の遷移の一例を示した斜視図である。デジタルカメラ1の本体筐体3には、表示部筐体2を閉じた状態で収納する収納部7が設けられており、図2(a)は、表示パネル5の表示面を撮影者側(外側)に向けた状態で表示部筐体2を本体筐体3側に閉じ収納部7に収めた通常撮影状態を示す図である。この状態では、本体筐体に対して開閉及び回転可能な表示部を持たない一般的なデジタルカメラと同じ使い方をする場合に適している。撮影時に表示パネル5には被写体画像が表示される。
【0020】
図2(b)は、表示パネル5の表示面を本体筐体3側(内側)に向けた状態で表示部筐体2を本体筐体3側に閉じた収納状態を示す図である。この状態では、表示パネル5がデジタルカメラ1の外側に露出しないので表示面を傷つけることが無く、カメラを使用しないときなどに表示パネル5の表示面を保護したい場合に適している。なお、この状態ではカメラの電源がオン状態のときでも表示パネル5に画像を表示させる必要が無いので、省電力のために表示パネル5に画像の表示を行わないように制御を行う。
【0021】
図2(c)は表示部筐体2を本体筐体3に対して開いた状態で表示パネル5の表示面を撮影者側へ向けた状態を示す図であり、撮影者がカメラアングルに応じて表示部筐体2の本体筐体3に対する角度を自由に変えられるため、様々な状況に適している。この状態では、通常撮影状態に対して表示面は180度回転した状態で撮影者側を向くことになるので、表示面に表示させる画像を通常撮影状態に対して上下及び左右を反転させた状態で表示するように制御を行う。
【0022】
図2(d)は表示部筐体2を本体筐体3に対して開いた状態で表示パネル5の表示面を被写体側へ向けた自分撮り撮影状態を示す図であり、被写体側から表示面を確認しながら撮影することができるため、自分撮りやセルフタイマー撮影などを行う際に適している。この状態では、自分撮りを行うことを想定しているので、そのための使い勝手を考慮して、被写体に対して自分が鏡に映ったような姿を表示パネルに表示するようにしている。そのため、カメラはこの状態では通常撮影状態に対して左右が反転された画像を表示するように制御を行う。
【0023】
次に、図2で示した表示部筐体2の4つの状態を検知する方法について説明を行う。
まず、ヒンジ部4の内部構造の説明を行う。図3はデジタルカメラ1のヒンジ部4の内部構造を示す透視図である。なお、図3に示した状態は図2(b)に示した状態に対応している。
【0024】
表示部筐体2の内部には、画像表示部としての表示パネルユニット8および表示部回路基板9が配置されている。表示部回路基板9にはヒンジ部4の回転動作、すなわち、本体筐体3に対する表示部筐体2の回転状態の検知を行うための回転検知磁場センサ10が実装されている。表示部回路基板9は表示パネルユニット8背面部に固定されている。
【0025】
ヒンジ部4の内部には、ヒンジユニット11が配置されており、表示部筐体2と本体筐体3とを連結している。ヒンジユニット11は、本体筐体3に対して表示部筐体2を開閉および回転可能に支持している2軸ヒンジ機構であって、開閉を行うための開閉軸部12a、12b及び回転を行うための回転軸部13を有している。なお、開閉を行うための開閉軸20と回転を行うための回転軸21とは互いに直交している。また、開閉軸部12aおよび回転軸部13は、表示部筐体2側と本体筐体3側を電気的につなぐ図示しないワイヤーハーネスを通すために中空構造となっている。
【0026】
ヒンジユニット11は、ヒンジベースプレート14、ヒンジ開閉プレート15及びヒンジ回転プレート16を有している。ヒンジベースプレート14は本体筐体3に固定されていて、ヒンジ開閉プレート15はヒンジベースプレート14に対して開閉軸部12a、12bにより回動可能に連結されている。
【0027】
さらに、ヒンジ回転プレート16は、ヒンジ開閉プレート15に対して回転軸部13により回動可能に連結され、表示部筐体2に固定されている。このようなヒンジユニット11の構成により、表示部筐体2を本体筐体3に対して開閉および回転可能に支持している。
【0028】
また、ヒンジユニット11には、開閉軸部12bの上部に開閉軸20と交わるようにヒンジ部回路基板17が配置されている。ヒンジ部回路基板17には、ヒンジ部4の開閉動作、すなわち、本体筐体3に対する表示部筐体2の開閉状態の検知を行うための開閉検知磁場センサ18が開閉軸20上に実装されている。ヒンジ部回路基板17は、ヒンジ開閉プレート15に対して直接または部品を介して固定されており、表示部筐体2の開閉動作時に、ヒンジ開閉プレート15と相対的に固定された状態で開閉軸20を回転中心にして回動する。ここで、本実施の形態では、開閉検知磁場センサ18は開閉軸20と一致する位置に配置しているが、開閉軸20の近傍であればよい。
【0029】
本体筐体3の内部には、ヒンジユニット11の開閉軸部12bの近傍にスピーカー19が発音面を本体側面の音孔6に向くように配置されている。スピーカー19は、内部にマグネットを有し、コイルとマグネットにより振動板を駆動して音を発生するタイプのスピーカーである。
【0030】
次に、開閉検知磁場センサ18(第1の磁場検知センサ)および回転検知磁場センサ10(第2の磁場検知センサ)による本体筐体3に対する表示部筐体2の開閉状態及び回転状態の検知の方法について説明を行う。
【0031】
図4(a)、図4(b)は開閉検知磁場センサ18および回転検知磁場センサ10が検知する磁場の方向を表す図である。図4(a)では、開閉検知磁場センサ18に対する検知可能な磁場の方向22aを示し、図4(b)では、回転検知磁場センサ10に対する検知可能な磁場の方向22bを示してある。素子には1ピンマーク23がマーキングされている。図4(a)、図4(b)からわかるように、開閉検知磁場センサ18及び回転検知磁場センサ10はそれぞれ所定方向の磁場のみを検知可能である。
【0032】
図4(a)に示したとおり、開閉検知磁場センサ18が検知する磁場の方向は、実装された基板面に略平行で、部品の対向する電極間に垂直かつ1ピン側からの方向である。すなわち、開閉検知磁場センサ18が検知する磁場の方向は開閉軸20に略垂直な方向である。
【0033】
また、図4(b)に示したとおり、回転検知磁場センサ10が検知する磁場の方向は、実装された基板面に略垂直で、部品裏面側から表面側への方向である。すなわち、回転検知磁場センサ10が検知する磁場の方向は回転軸21に略平行な方向である。
【0034】
磁場検知を行う各磁場センサは所定の磁束密度を越える磁場によって電圧レベルがLOWレベルとなる信号を出力し、所定の磁束密度以下となるとHIGHレベルとなる信号を出力する。デジタルカメラ1は不図示のCPUによって各磁場センサの検知結果である出力信号レベルを読み取って、本体筐体3に対する表示部筐体2の開閉状態及び回転状態の判別を行っている。
【0035】
図5は、表示部筐体2の開閉動作時の、スピーカー19が発生する磁力線の向きと、開閉検知磁場センサ18および回転検知磁場センサ10の相対位置関係を表すデジタルカメラ1の上面から見た透視図である。
【0036】
開閉検知磁場センサ18および回転検知磁場センサ10は、開閉軸20と略垂直でスピーカー19の略中心を通る平面上に配置されていて、図5(a)ないし(c)に示したスピーカー19からの磁力線は、この平面上での磁力線を示したものである。また、図5(a)ないし(c)では、表示部筐体2の各状態での開閉検知磁場センサ18および回転検知磁場センサ10の磁場検知結果を表してある。
【0037】
図5(a)は、表示パネル5の表示面を内側に向けた状態で表示部筐体2を本体筐体3側に閉じた収納状態である。この状態でのスピーカー19からの磁力線と開閉検知磁場センサ18および回転検知磁場センサ10の相対位置関係は図に示したとおりであり、スピーカー19からの磁力線は開閉検知磁場センサ18および回転検知磁場センサ10の両方で検出可能な方向となる。つまり、各磁場センサはともにLOWレベルの信号を出力する。
【0038】
図5(b)は、収納状態から表示部筐体2を90度開いた状態である。この状態では開閉検知磁場センサ18は表示部筐体2の開閉動作に伴う回動により開閉軸上で90度回転した状態となり、スピーカー19からの磁力線と交わる角度が変化し、開閉検知磁場センサ18でスピーカー19から生じる磁場を検知できなくなる。
【0039】
一方、回転検知磁場センサ10は表示部筐体2とともに開閉軸を中心に90度回転した位置となるが、スピーカー19からの磁力線が交わる角度は収納撮影状態のときと変化しないため、変わらず磁場の検知が可能である。つまり、開閉検知磁場センサ18はHIGHレベル、回転検知磁場センサ10はLOWレベルの信号を出力する。
【0040】
図5(c)は、図5(b)の状態から表示部筐体2を更に90度回転させ、収納状態に対して180度表示部筐体2を開いた状態を示す。これは、表示部筐体2を開いて表示面を撮影者側に向けた図2(c)に示した状態に対応している。この状態で、開閉検知磁場センサ18は収納状態に対して開閉軸20上で180度回転した状態となり、スピーカー19から生じる磁場を検知できないままである。
【0041】
一方、回転検知磁場センサ10は表示部筐体2とともに開閉軸20を中心にさらに90度回転した位置となるが、この状態でもスピーカー19からの磁力線が交わる角度は収納状態のときと変化しないため、変わらず磁場の検知が可能である。つまり、図5(b)と同様に、開閉検知磁場センサ18はHIGHレベル、回転検知磁場センサ10はLOWレベルの信号を出力する。
【0042】
以上、表示部筐体2の開閉動作時の各磁場センサの検知動作の説明を行った。説明のとおり、表示部筐体2の開閉動作に伴い開閉検知磁場センサ18がスピーカー19から生じる磁場を検知できる状態とできない状態に変化することにより、閉状態とそれ以外の状態を検知することを可能にしている。一方、回転検知磁場センサ10とスピーカー19による磁力線の交わる角度はこの間変化しないため、回転検知磁場センサ10の検知結果は変化しない。
【0043】
次に表示部筐体2の回転動作の検知について説明を行う。図6は、図2(c)に示した状態から表示面が下向きとなるように表示部筐体2を回転軸21を回転中心にして90度回転させた状態でのヒンジ部4の内部構造を示す透視図である。
【0044】
収納状態から図2(c)に示す状態までは、回転検知磁場センサ10はスピーカー19からの磁場を検知可能である。一方、図6に示した状態では、表示部筐体2を回転させることでスピーカー19から回転検知磁場センサ10は遠ざかり、回転検知磁場センサ10の位置における磁束密度が所定の磁束密度を下回る。
【0045】
なお、図6は、本体筐体3に対する表示部筐体2の開閉角度が90度の状態であるが、表示部筐体2がどの開閉角度であっても同様である。つまり、回転検知磁場センサ10の信号出力は、収納状態から図2(c)に示した状態までは磁場検知状態であるLOWレベルの信号を出力していたが、そこから表示部筐体2を回転させた状態では、磁場非検知状態であるHIGHレベルの信号を出力する。
【0046】
以上のように、表示部筐体2の開閉状態によらず、回転検知磁場センサ10によって表示部筐体2の回転状態の検知を行うことが可能である。
【0047】
以上、本体筐体3に対する表示部筐体2の開閉状態および回転状態をデジタルカメラ1が判別する方法について説明を行った。ここで、開閉検知磁場センサ18と回転検知磁場センサ10の信号出力の組み合わせをまとめると、図7に示したとおりとなる。
【0048】
図7に示すように、開閉検知磁場センサ18は、本体筐体3に対する表示部筐体2の開閉動作に応じて出力する検知結果が異なり、本体筐体3に対する表示部筐体2の回転動作では出力する検知結果が変化しない。一方、回転検知磁場センサ10は、本体筐体3に対する表示部筐体2の開閉動作では出力する検知結果が変化しないが、本体筐体3に対する表示部筐体2の回転動作に応じて出力する検知結果が異なる。
【0049】
図7に示した各センサの信号出力の組み合わせにより、デジタルカメラ1の不図示のCPUは本体筐体3に対する表示部筐体2の開閉状態および回転状態による4つの使用状態を判別することができる。そして、判別した表示部筐体2の状態に応じて表示パネル5への画像表示を適切に制御することができる。
【0050】
以上説明したとおり、ヒンジ内に検知スイッチまたはセンサを配置する必要が無いので、ヒンジを小径化することができる。また、ヒンジ内に検知スイッチまたはセンサのための基板を配置する必要が無く、電気的な接続のためにヒンジを通すワイヤーハーネスの一部のリード線をはんだ付けする必要が無いので、ワイヤーハーネスの加工が簡単になり、コストを抑えることができる。また、はんだ不良などの心配が無く信頼性も向上させることができる。
【0051】
また、開閉検知及び回転検知に用いる磁場発生部材としてスピーカーの代わりに専用のマグネットを設けてもよい。ただし、開閉検知及び回転検知に用いる磁場発生部材としてスピーカーを利用することで、磁場センサを2個を用いるだけで特別に磁場検知のための専用マグネットを設ける必要がなくなる。そのため、コストを抑えることができるとともに、専用マグネットを配置するためのスペースも必要なくなる。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、ヒンジ機構により第1の筐体と第2の筐体とを開閉可能に支持する電子機器にであって、磁場を用いて第1の筐体及び第2の筐体の開閉検出を行う電子機器であれば、上述した撮像装置以外の電子機器でも適用できる。
【0053】
また、開閉検知及び回転検知に用いる磁場発生部材はスピーカーに限定されるものではなく、本体筐体内のヒンジ部近傍に配置可能で磁場を発生する部材であればその他の部材であってもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 デジタルカメラ
2 表示部筐体
3 本体筐体
4 ヒンジ部
10 回転検知磁場センサ
11 ヒンジユニット
18 開閉検知磁場センサ
19 スピーカー
20 開閉軸
21 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と、
第2の筐体と、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とを開閉可能に支持するヒンジ部と、
前記第1の筐体に設けられた磁場発生部材と、
前記ヒンジ部の開閉軸の近傍に配置された、所定方向の磁場を検知する磁場検知手段と、
前記磁場検知手段による検知結果に基づいて、前記第1の筐体と前記第2の筐体との開閉状態を判別する判別手段を有し、
前記第1の筐体と前記第2の筐体との開閉動作に伴って、前記磁場発生部材に対する前記所定方向の向きが変化することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記磁場検知手段は、前記第1の筐体と前記第2の筐体との開閉動作に伴って前記開閉軸を回転中心にして回動する部材に設けられていて、
前記部材が前記開閉軸を回転中心にして回動することで前記磁場発生部材に対する前記所定方向の向きが変化することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記磁場検知手段は、前記所定方向が前記開閉軸に略垂直な方向となるように配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記磁場検知手段は、前記磁場発生部材に対する前記所定方向の向きの変化に応じて異なる検知結果を出力することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記ヒンジ部は、前記開閉軸に直交する回転軸を回転中心にして前記第1の筐体と前記第2の筐体とを相対的に回転可能に支持しており、
前記第1の筐体と前記第2の筐体とが相対的に回転しても前記磁場発生部材に対する前記所定方向の向きが変化しないことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第2の筐体に設けられた第2の磁場検知手段を有し、
前記判別手段は、前記第2の磁場検知手段による検知結果に基づいて、前記第1の筐体と前記第2の筐体との相対的な回転状態を判別することを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記第2の磁場検知手段は、前記第1の筐体と前記第2の筐体との相対的な回転動作に応じて異なる検知結果を出力することを特徴とする請求項5または6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記第1の筐体は本体筐体であり、前記第2の筐体は画像表示部が設けられた表示部筐体であることを特徴とする請求項1ないし7いずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記磁場発生部材は、前記ヒンジ部の近傍に配置されたスピーカーであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−105069(P2012−105069A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251897(P2010−251897)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】