説明

電子機器

【課題】タッチセンサに対する操作に基づいて開始されるアプリケーションソフトウェアの起動を早めることのできる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器1は、オブジェクトを表示する表示部30と、接触物の接触を検出する接触検出部40と、押圧荷重を検出する荷重検出部60と、オブジェクトに関連付けられたアプリケーションの起動処理を行う押圧荷重の基準値として設定されたアプリケーション起動基準値よりも低い基準値として、アプリケーション先行起動基準値を可変に設定するように制御する制御部10と、を備え、制御部10は、接触検出部40が表示部30に表示されたオブジェクトに対応する位置における接触物の接触を検出し、荷重検出部60がアプリケーション先行起動基準値を満たす押圧荷重を検出すると、オブジェクトに関連付けられたアプリケーションの起動処理の一部を先行して開始するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサに対する操作に基づいて、アプリケーションを実行させることができる電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話等の携帯端末において、操作者による操作を検出する部材として、タッチパネルやタッチスイッチ等のタッチセンサを備える電子機器が増えている。また、携帯端末以外に、電卓、券売機等の機器や、電子レンジ、テレビ、照明器具等の家電製品、産業用機器(FA機器)等、タッチセンサを備える電子機器は広く使用されている。
【0003】
このようなタッチセンサには、抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の種々の方式が知られている。いずれの方式のタッチセンサも、操作者の指やスタイラスペン等による接触を検出する。タッチセンサを備えた電子機器は、一般的に、タッチセンサの裏面に配置した表示部の表示画面上に、操作キーやボタンなどの画像(以下、「オブジェクト」と記す)を表示する。表示画面上に表示されたオブジェクトを操作者が押圧すると、当該押圧の位置における接触をタッチセンサが検出するようになっている。
【0004】
ところで、近年、フラッシュメモリなどの記憶デバイスのコストが低廉化したことに伴い、あらゆる電子機器の記憶容量が著しく増大している。例えば携帯端末のような小型の端末であっても、種々のアプリケーションソフトウェア(以下、「アプリケーション」と略記する)をインストールして記憶しておくことができるようになっている。また、電子機器に搭載される処理装置も日々高性能化しており、携帯電話のような小型の端末であっても、パソコン(PC)とほぼ同等のアプリケーションを実行することができるものも増えている。
【0005】
例えば携帯電話などの電子機器に実装されたアプリケーションを実行する際、操作者は、起動したいアプリケーションが割り当てられているボタンを押下操作したり、タッチセンサを備えている電子機器の場合は表示部に表示されたアイコンに接触操作したりする。このような操作に基づいて、電子機器に内蔵されている制御部は、ボタンやアイコンに割り当てられているアプリケーションを起動するための処理を行う。このようにアプリケーションの起動処理が行われ、当該起動処理が完了すると、アプリケーションが操作者にとって操作可能な状態になったり、当該アプリケーションが行うべき本来の動作を開始したりすることになる。
【0006】
一般的に、操作者がアプリケーション起動の操作を行ってアプリケーションの起動処理が開始してからアプリーション起動処理が完了するまでには若干のタイムラグが発生し、この間、操作者は操作を行うことができない場合が多い。これは、まず、操作者がキーを押下してから、当該押下が電子機器によって入力として認識されるまでに、キーのストロークによるわずかなタイムラグがあることが一因となる。また、アプリケーションの起動に際し、電子機器の制御部が記憶部からアプリケーションを読み出すのに要する時間や、アプリケーションが操作者により操作可能な状態になる前に制御部が実行すべきプロセスを処理するのに要する時間なども大きな要因になる。
【0007】
すなわち、例えば図10に示すように、操作者が図の(a)に示すアプリケーションを起動するためのキー等を押下した時点から、図の(b)に示す当該押下が電子機器により入力として認識されるまでに、わずかな時間が生じる。また、図の(b)に示す押下が入力として認識された時点と、図の(c)に示すアプリケーションの起動処理を開始する時点は、ほぼ同時と考えることもできる。ここで、電子機器は、図の(c)に示す時点から、起動するアプリケーションを記憶部から読み込んで、当該アプリケーションが実際に動作するため(操作者による操作が可能になるため)の起動処理を開始する。図の(d)に示す時点においてアプリケーションの起動処理が完了すると、ほぼ同時の図(e)に示す時点からアプリケーションが実際に動作する(操作者による操作が可能になる)ことになる。このように、操作者がキーを押下してアプリケーションの起動処理が開始し、当該起動処理が開始されてから完了するまでには、若干の時間がかかる。
【0008】
具体的には、例えば、電子機器において電子メール作成アプリケーションの起動の操作を行って、起動処理を開始してから、操作者が実際に電子メールの文章を構成する文字を入力することができるまでには、若干の時間がかかることが多い。また、例えば、映像や音楽などのコンテンツを電子機器で再生する際にも、当該コンテンツを指定して起動処理を開始してから再生プレーヤが起動して(再生プレーヤの起動処理が完了して)コンテンツが再生されるまでに若干の時間がかかる。なお、本明細書において、図10の時点(c)に示すようにアプリケーションの起動処理を開始する時点から、時点(d)に示すようにアプリケーションの起動処理を完了する時点までを、「アプリケーション起動処理時間(アプリケーションの起動に要する時間)」と記す。
【0009】
このように、アプリケーション起動処理時間は、操作者にとっては待機時間となるため、次の操作を待つ操作者のストレスを軽減するためには、このアプリケーション起動処理時間を少しでも短縮することが望ましい。
【0010】
そこで、このような問題を解決する一助として、例えばアプリケーション起動処理時間において処理されるプログラムに各種の工夫を施すことにより、アプリケーション起動処理時間を短縮することを図る技術が種々提案されている。また、操作者がアプリケーション終了の操作を行った場合でも、所定期間は終了せずに待機状態にしておくことにより、再び起動する際の処理を省略することで、アプリケーション起動処理時間を短縮することを図る技術も提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−185165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上述したような、プログラムに工夫を施すことによりアプリケーション起動処理時間を短縮する技術では、当該工夫を施すことの限界に達すると、それ以上は操作者の待機時間の削減することはできない。すなわち、たとえプログラムに工夫を施したとしても、やはり長いアプリケーション起動処理時間が必要となる場合も想定される。なお、上述したように、電子機器に搭載される処理装置の処理速度は日々向上しているが、そのぶんアプリケーションも高機能化・複雑化しているため、やはり相応のアプリケーション起動処理時間を要するアプリケーションも多く存在する。このような場合、操作者はアプリケーション起動処理時間の期間中、待機状態を余儀なくされるため、操作者のストレス軽減も限られたものとなる。
【0013】
また、特許文献1に記載の技術では、例えば同じアプリケーションを再び起動する場合や、起動時の処理が同じであるアプリケーションを起動する場合など、アプリケーション起動処理時間を短縮できる場面が限られている。すなわち、常にアプリケーション起動処理時間を短縮できるというわけではない。このため、やはり操作者のストレス軽減も限られたものとなる。
【0014】
したがって、かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、タッチセンサに対する操作に基づいて開始されるアプリケーションの起動を早めることのできる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成する第1の観点に係る電子機器の発明は、
オブジェクトを表示する表示部と、
前記表示部に対する接触物の接触を検出する接触検出部と、
前記接触検出部に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記オブジェクトに関連付けられたアプリケーションの起動処理を行う押圧荷重の基準値として設定されたアプリケーション起動基準値よりも低い基準値として、アプリケーション先行起動基準値を可変に設定するように制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記接触検出部が前記表示部に表示されたオブジェクトに対応する位置における前記接触物の接触を検出し、前記荷重検出部が前記アプリケーション先行起動基準値を満たす押圧荷重を検出すると、当該オブジェクトに関連付けられたアプリケーションの起動処理の一部を先行して開始するように制御することを特徴とするものである。
【0016】
第2の観点に係る発明は、第1の観点に係る電子機器において、
前記制御部は、前記アプリケーション起動先行基準値を、前記アプリケーションの起動処理に要する時間に基づいて設定するように制御するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、タッチセンサに対する操作に基づいて開始されるアプリケーションの起動を早めることができる。このため、操作者が待機しなければならない時間を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る電子機器の概略構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施の形態に係る電子機器の実装構造の一例を示す図である。
【図3】第1実施の形態に係る電子機器による動作を説明するフローチャートである。
【図4】第1実施の形態に係る電子機器による動作の例を説明する図である。
【図5】第1実施の形態に係る電子機器による動作の他の例を説明する図である。
【図6】第1実施の形態に係る電子機器による動作のさらに他の例を説明する図である。
【図7】第1実施の形態に係る電子機器による動作のさらに他の例を説明する図である。
【図8】第2実施の形態に係る電子機器による動作の例を説明する図である。
【図9】第2実施の形態に係る電子機器による動作の他の例を説明する図である。
【図10】アプリケーション起動処理時間を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の各実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態に係る電子機器の概略構成を示す機能ブロック図である。本実施の形態に係る電子機器は、例えばタッチセンサを備えた携帯電話やPDA(Personal Digital Assistant)などの携帯端末のように、接触検出部に対する操作に基づいてアプリケーションを起動させることができる電子機器とすることができる。また、本実施の形態に係る電子機器は、携帯端末に限定されるものではなく、銀行に設置されるATM、駅に設置される券売機に用いる電子機器など、タッチセンサに対する操作者の操作による接触を検知するものであれば、任意の電子機器に適用することができる。
【0021】
図1に示すように、本実施の形態に係る電子機器1は、制御部10、表示部30、接触検出部40、荷重検出部60、および記憶部80を備える。
【0022】
制御部10は、電子機器1全体の動作を制御および管理する。制御部10の動作については後述する。
【0023】
表示部30は、例えば押しボタンスイッチ(プッシュ式ボタンスイッチ)や各種キーのようなオブジェクトを画像表示する。このオブジェクトは、接触すべき領域を操作者に示唆する画像である。また、押しボタンスイッチとは、操作者が入力の操作に用いるボタンやキー等(以下、単に「キー等」と総称する)である。表示部30は、例えば、液晶表示パネル(LCD)や有機EL表示パネル等を用いて構成する。
【0024】
接触検出部40は、通常は表示部30の前面に配置して、表示部30に表示したオブジェクトに対する操作者の指やスタイラスペン等(以下、単に「接触物」と総称する)による接触(または接触の解除)を、対応する接触検出部40のタッチ面において検出する。すなわち、接触検出部40は、表示部30に対する接触物の接触を検出する。また、接触検出部40は、検出した接触の位置を、制御部10に通知する。この接触検出部40は、例えば抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の公知の方式のもので構成する。なお、接触検出部40が接触物による接触を検出する上で、接触物が接触検出部40に物理的に触れることは必須ではない。例えば、接触検出部40が光学式である場合は、接触検出部40は接触検出部40上の赤外線が接触物で遮られた位置を検出するため、接触物が接触検出部40に触れることは不要である。
【0025】
荷重検出部60は、接触検出部40のタッチ面に対する押圧荷重を検出するもので、例えば、歪みゲージセンサや圧電素子等の荷重に対してリニアに反応する素子を用いて構成する。すなわち、荷重検出部60は、接触検出部40に対する押圧荷重を検出する。また、荷重検出部60は、検出した接触検出部40のタッチ面に対する押圧荷重を、制御部10に通知する。
【0026】
記憶部80は、公知技術によるメモリなどで構成することができ、各種アプリケーションおよび入力された各種情報などを記憶するとともに、ワークメモリなどとしても機能する。特に、本実施の形態において、記憶部80は、電子機器1において実行する各種のアプリケーションを記憶(インストール)しておく。また、後述のように、本実施の形態において、記憶部80は、操作者が接触検出部40に対して押圧操作を行った際に荷重検出部60が検出する押圧荷重の履歴なども記憶する。また、本実施の形態において、記憶部80は、記憶されている各種アプリケーションのそれぞれについて、アプリケーションの起動処理を開始してから当該起動処理を完了するまでの時間、すなわち上述したアプリケーション起動処理時間も記憶する。このアプリケーション起動処理時間は、各アプリケーションに最初から情報としてそれぞれ与えられている時間とすることもできるし、電子機器1において各アプリケーションを実際に起動した際に制御部10が計測した時間とすることもできる。
【0027】
図2は、図1に示した電子機器1のうち、表示部30、接触検出部40、および荷重検出部60を中心とする実装構造の一例を示すもので、図2(A)は要部断面図、図2(B)は要部平面図である。表示部30は、筐体71内に収納保持する。表示部30上には、弾性部材からなるインシュレータ72を介して、接触検出部40を保持する。なお、本実施の形態に係る電子機器1は、表示部30および接触検出部40を、平面視で矩形状としている。しかしながら、電子機器1が備える接触検出部40または表示部30の構成などの諸条件に応じた形状とすることができる。また、電子機器1は、接触検出部40を、図2(B)に仮想線で示す表示部30の表示領域Aから外れた4隅に配設したインシュレータ72を介して表示部30上に保持する。
【0028】
また、筐体71には、表示部30の表示領域から外れた接触検出部40の表面領域を覆うようにアッパカバー73を設け、このアッパカバー73と接触検出部40との間に、弾性部材からなるインシュレータ74を配設する。なお、図2に示す接触検出部40は、タッチ面40aを有する表面部材を、例えば透明フィルムやガラスで構成し、裏面部材をガラスやアクリルで構成している。接触検出部40は、タッチ面40aが押圧されると、押圧部分が押圧力に応じて微少量撓む(歪む)、または構造体そのものが微少量撓む構造のものを用いる。
【0029】
接触検出部40の表面上には、アッパカバー73で覆われる各辺の近傍に、接触検出部40に加わる荷重(押圧力)を検出するための歪みゲージセンサ62をそれぞれ接着等により設ける。すなわち、図2に示す電子機器1は、図1に示した荷重検出部60を4つの歪みゲージセンサ62を用いて構成している。なお、図2(B)は、図2(A)に示した筐体71、アッパカバー73およびインシュレータ74の図示を省略している。
【0030】
次に、本実施の形態による電子機器1の動作について説明する。
【0031】
図3は、第1実施の形態に係る電子機器による動作を説明するフローチャートである。本実施の形態において、電子機器1は、表示部30に表示されたオブジェクトに対応する位置における接触検出部40に操作者による接触が検出された時点で、アプリケーションの起動処理の一部を先行して開始するためのアプリケーション先行起動基準値を設定する。ここで、アプリケーション先行起動基準値は、アプリケーションの起動処理を行う押圧荷重の基準値として設定されたアプリケーション起動基準値よりも、低い基準値として設定する。そして、操作者による押圧操作により荷重検出部60が検出する押圧荷重がアプリケーション先行起動基準値を満たしたら、電子機器1は、アプリケーションの起動処理の一部を先行して開始する。
【0032】
このように、本実施の形態においては、アプリケーション起動処理を本来よりも早いタイミング(アプリケーション起動基準値よりも低いアプリケーション先行起動基準値)で開始する。これにより、操作者の押圧操作による押圧荷重がアプリケーション起動基準値を満たす頃には、既にアプリケーション起動処理の一部が完了しており、電子機器1は、アプリケーションの起動処理を早期に完了することができる。
【0033】
なお、上述した「起動処理の一部を先行して開始する」とは、アプリケーションの起動処理を開始してから完了し、当該アプリケーションが操作者にとって操作可能な状態になるまでに行われる処理の一部である。このような処理は、例えば、アプリケーションの起動に際し、電子機器の制御部が記憶部からアプリケーションを読み出す処理としたり、当該読み出す処理および操作可能な状態にするまでの数ステップの処理としたりすることができる。このように、先行して開始する起動処理の一部は、アプリケーションが操作者にとって操作可能な状態にするまでに行われる全ての処理のうち、最終処理(例えば、画面表示処理や起動完了処理)を除く任意の起動処理部分とすることができる。ここで、起動処理の一部を行った場合には、バックグラウンドでアプリケーションを起動する場合も含まれる。
【0034】
以下、上述した一連の動作の詳細を説明する。なお、本実施の形態による動作を開始するに際し、電子機器1は、所定のアプリケーションに関連付けられたキーやアイコンなどのオブジェクトを、少なくとも1つ予め表示部30に表示しておくものとする。また、本実施の形態による動作を開始するに際し、電子機器1は、記憶している各種のアプリケーションについて、それぞれのアプリケーション起動処理時間を予め記憶部80に記憶しているものとする。
【0035】
さらに、操作者が電子機器1の接触検出部40に対して通常の押圧操作を行う際に荷重検出部60が検出する押圧荷重の値についても、予め記憶部80に記憶しているものとする。この「押圧荷重の値」とは、例えば、単位時間当たりの押圧荷重の変化量、または操作者が押圧操作を開始してから押圧荷重がアプリケーション起動基準値を満たすまでの押圧荷重の時間変化の度合い(曲線)とすることができる。このような押圧荷重の値は、予めデフォルト値として電子機器1に与えておくことができるが、各操作者の特性に応じて後から変更できるようにしたり、または操作者の普段の操作の履歴に基づいて、制御部10が算出すなわち学習した値とするのが好適である。
【0036】
なお、記憶部80に記憶しているアプリケーション起動処理時間は、押圧荷重がアプリケーション先行起動基準値を満たした際に、アプリケーションの起動処理の一部を先行して開始する場合における、当該起動処理の一部を行うために要する時間であってもよい。この場合、アプリケーション起動処理時間は、アプリケーションを起動するために要する時間より短い時間となる。
【0037】
まず、本実施の形態による動作が開始すると、電子機器1の制御部10は、接触検出部40が操作者の指やスタイラスなど接触物の接触を検出したか否かを判定する(ステップS11)。ステップS11において接触物の接触が検出されたら、制御部10は、当該接触の位置が、表示部30に表示された所定のオブジェクトに対応する位置であるか否かを判定する(ステップS12)。ステップS12において接触の位置がオブジェクトに対応する位置である場合、制御部10は、当該オブジェクトに関連付けられたアプリケーションを特定する(ステップS13)。すなわち、例えば、音楽プレーヤのアプリケーションを起動させるアイコン(オブジェクト)に対応する位置における接触が検出されたら、制御部10は、当該アイコンに関連付けられているのが音楽プレーヤのアプリケーションであることを特定する。
【0038】
ステップS13においてオブジェクトに関連付けられたアプリケーションが特定されたら、制御部10は、当該アプリケーションの起動処理の一部を先行して開始するための押圧荷重に係るアプリケーション先行起動基準値を設定する(ステップS14)。ステップS14においては、上述したアプリケーション起動処理時間を考慮して、アプリケーション起動処理の一部を先行して開始する押圧荷重の基準値を設定する。この際、アプリケーション先行起動基準値を、予め設定されているアプリケーションの起動処理を行うためのアプリケーション起動基準値よりも低い基準値として設定する。これにより、操作者の押圧操作による押圧荷重がアプリケーション起動基準値を満たす前にアプリケーション起動処理が先行して開始される。したがって、操作者にとっては、従来よりもアプリケーション起動処理時間が短くなったと感じられる。
【0039】
すなわち、本実施の形態において、制御部10は、オブジェクトに関連付けられたアプリケーションの起動処理を行う押圧荷重の基準値として設定されたアプリケーション起動基準値よりも低い基準値として、アプリケーション先行起動基準値を可変に設定するように制御する。ここで、アプリケーション先行起動基準値とは、オブジェクトに関連付けられたアプリケーションの起動処理の一部を先行して開始するために設定する値である。
【0040】
ここで、ステップS14におけるアプリケーション先行起動基準値の設定について、さらに説明する。
【0041】
図4は、アプリケーション先行起動基準値を設定する例を説明する図である。図4の横軸は、左方向から右方向へ経過する時間を表し、また縦軸は、荷重検出部60が検出する押圧荷重の大きさを表している。図4においては、説明を簡単にするために、操作者が電子機器1の接触検出部40に対して通常の押圧操作を行う際に、荷重検出部60が検出する押圧荷重が時間に対して比例関係をなす場合をモデル化して説明する。
【0042】
このような条件下で、図に示す(a)の時点で接触検出部40が操作者による接触を検出したら、制御部10は、図に示す(b)の時点すなわち(a)の時点とほぼ同時に、アプリケーション先行起動基準値を設定する(ステップS14)。この時、操作者が通常の押圧操作を行う際に荷重検出部60が検出する押圧荷重の値(当該操作者による単位時間あたりの押圧荷重の変化量)、当該アプリケーションのアプリケーション起動処理時間、およびアプリケーション起動基準値は記憶部80に記憶されており既知である。したがって、制御部10は、アプリケーション起動基準値から、当該操作者による単位時間あたりの押圧荷重の変化量とアプリケーション起動処理時間とを掛け合わせて得られた押圧荷重を引いて得られた基準値をアプリケーション先行起動基準値と設定することができる。
【0043】
したがって、図4に示す場合においては、(c)の時点からアプリケーション起動処理の一部を開始すれば、(d)の時点でアプリケーション起動処理の大部分は完了し、ほぼ同時の(e)の時点で当該アプリケーションの起動処理は完了する。これにより、(e)の時点で、アプリケーションは操作者にとって操作可能の状態となる。そこで、制御部10は、ステップS14において、図に示す(c)の時点すなわちアプリケーションの起動処理の一部を先行して開始される時点に対応する押圧荷重を、アプリケーション先行起動基準値として設定する。
【0044】
図4においては、説明を簡単にするために、操作者が電子機器1の接触検出部40に対して通常の押圧操作を行う際に、荷重検出部60が検出する押圧荷重が時間に対して比例関係をなす場合をモデル化した例を用いて説明した。しかしながら、実際には、操作者が電子機器1の接触検出部40に対して通常の押圧操作を行う際、荷重検出部60が検出する押圧荷重が時間に対して厳密な比例関係になるわけではない。したがって、ステップS14においてアプリケーション先行起動基準値を設定する際は、接触検出部40が接触を検出してからの時間と荷重検出部60が検出する押圧荷重との対応関係は、操作者の実際の操作に基づくようにするのが好適である。
【0045】
図5は、アプリケーション先行起動基準値を設定する他の例を説明する図である。図5は、図4において説明した接触検出からの時間と押圧荷重との対応関係よりも、操作者の実際の操作履歴にいっそう基づいた対応関係を示している。このような対応関係は、予めデフォルトの対応表として記憶部80に記憶させておくことができる。しかしながら、このような対応関係を各操作者の実際の操作の特性に応じたものとするため、操作者の普段の操作の履歴をサンプリングしたものに基づいて、制御部10が生成した対応関係とするのが好適である。図5において、アプリケーション先行起動基準値は、予め設定されているアプリケーション起動基準値と、操作者の普段の操作の履歴をサンプリングしたもの(操作者が押圧操作を開始してから押圧荷重がアプリケーション起動基準値を満たすまでの押圧荷重の時間変化の度合い(曲線))と、アプリケーション起動処理時間とを考慮して得られる。
【0046】
このように、本実施の形態において、制御部10は、オブジェクトに関連付けられたアプリケーションの起動処理を先行して開始するアプリケーション先行起動基準値を、アプリケーションの起動処理に要する時間に基づいて設定するように制御する。また、制御部10は、オブジェクトに関連付けられたアプリケーションの起動処理を先行して開始するアプリケーション先行起動基準値を、単位時間当たりの押圧荷重の変化量、または操作者が押圧操作を開始してから押圧荷重がアプリケーション起動基準値を満たすまでの押圧荷重の時間変化の度合い(曲線)に基づいて設定するように制御する。
【0047】
ステップS14においてアプリケーション先行起動基準値が設定されたら、制御部10は、接触検出部40に対する操作者の押圧力が増大することにより荷重検出部60が検出する押圧荷重が当該基準値を満たしたか否かを判定する(ステップS15)。ステップS15において荷重検出部60が検出する押圧荷重が所定の時間を経過しても当該基準値を満たさない場合、制御部10は、ステップS16においてタイムアウトして本実施の形態による動作を終了する。また、ステップS15において荷重検出部60が検出する押圧荷重がゼロになったり、あるいは接触検出部40が接触を検出しなくなった場合も同様に、ステップS16においてタイムアウトとして本実施の形態による動作を終了する。
【0048】
一方、ステップS15において荷重検出部60が検出する押圧荷重がアプリケーション先行起動基準値を満たしたら、制御部10は、アプリケーションの起動処理の一部を先行して開始する(ステップS17)。
【0049】
このように、図4および5における(c)の時点でアプリケーション起動処理が開始すると、アプリケーション起動処理時間経過後の(d)の時点でアプリケーション起動処理の大部分が完了する。この後、電子機器1は早期に起動処理を完了し当該アプリケーションを操作可能な状態にすることができる。したがって、ステップS17の後、制御部10は、接触検出部40に対する操作者の押圧力がさらに増大することにより荷重検出部60が検出する押圧荷重がアプリケーションを起動するためのアプリケーション起動基準値を満たしたか否かを判定する(ステップS18)。ステップS18において荷重検出部60が検出する押圧荷重が所定の時間を経過しても当該基準値を満たさない場合、制御部10は、ステップS19においてタイムアウトして本実施の形態による動作を終了する。また、ステップS18において荷重検出部60が検出する押圧荷重がゼロになったり、あるいは接触検出部40が接触を検出しなくなった場合も同様に、ステップS19においてタイムアウトとして本実施の形態による動作を終了する。
【0050】
一方、ステップS18において押圧荷重がアプリケーション起動基準値を満たしたら、制御部10は、アプリケーション起動処理を完了する。ここで、「アプリケーション起動処理を完了」するとは、当該起動処理のうち、押圧荷重がアプリケーション起動基準値を満たした際に、未だ行われていない起動処理(残りの起動処理)を行うことである(ステップS20)。
【0051】
従来であれば、図4および5に示したアプリケーション起動基準値が満たされた際に、当該アプリケーションの起動処理が行われる。このため、従来、図4および5に示した(d)の時点からアプリケーションの起動処理が開始され、当該時点からアプリケーション起動処理時間が経過した後にはじめてアプリケーションの起動処理を完了する(アプリケーションを操作者にとって操作可能な状態とする)ことができた。しかしなから、本実施の形態に係る電子機器1によれば、図4および5に示した(c)の時点からアプリケーションの起動処理の一部を先行して行うため、図示した(d)の時点すなわち(e)の時点においてアプリケーションの起動処理を早期に完了することができる。
【0052】
このように、本実施の形態に係る電子機器1によれば、タッチセンサに対する操作に基づいて開始されるアプリケーションの起動を早めることができる。したがって、本実施の形態に係る電子機器1によれば、操作者が待機しなければならない時間を削減することができるため、操作者が次の操作を待つなどの際のストレスを軽減することができる。
【0053】
なお、上述した例においては、制御部10は、ステップS14において、予め設定されているアプリケーション起動基準値、アプリケーション起動処理時間、および接触を検出してからの時間と押圧荷重(単位時間当たりの押圧荷重の変化量、または操作者が押圧操作を開始してから押圧荷重がアプリケーション起動基準値を満たすまでの押圧荷重の時間変化の度合い(曲線))とに基づいて、アプリケーション先行起動基準値を設定した。しかしながら、本発明は、これに限定されるものではなく、予め設定されているアプリケーション起動基準値と、アプリケーション起動処理時間または接触を検出してからの時間と押圧荷重との一方に基づいて、アプリケーション先行起動基準値を設定してもよい。
【0054】
また、上述した例においては、アプリケーション起動処理時間が比較的短いアプリケーションを起動する際における、電子機器1による動作の例を説明した。このため、図4または5において、(a)の時点で接触が検出されてから後の(c)の時点からアプリケーションの起動処理を開始しても、押圧荷重がアプリケーション起動基準値に達する時点に対応する(d)の時点に起動処理の大部分(一部)を完了させることができた。しかしながら、もともとアプリケーション起動処理時間が比較的長いアプリケーションを起動する場合、押圧荷重がアプリケーション起動基準値に達する時点に対応する(d)の時点に起動処理の大部分を完了させることができないことも想定される。以下、このような場合について説明する。
【0055】
図3のステップS14において説明したように、アプリケーションの先行起動基準値を設定する際、制御部10は、当該基準値を可変のものとして設定した。すなわち、この時、制御部10は、図4および5に示したように、アプリケーション起動処理時間などに応じて、アプリケーション起動処理開始の時点(c)を、起動処理の大部分(一部)が完了している時点(d)からアプリケーション先行起動基準値の設定時点(b)に向かって移動させる。したがって、もともとアプリケーション起動処理時間が(b)の時点から(d)の時点までの期間を超えるような場合、制御部10は、(b)の時点でアプリケーション先行起動基準値が設定されたとほぼ同時にアプリケーション起動処理の開始時点(c)を設定する。
【0056】
図6は、アプリケーション起動処理時間が比較的長いアプリケーションを起動する際における、電子機器1による動作の例を説明する図である。上述したように、アプリケーション起動処理時間が比較的長い場合、制御部10は、ステップS14において、(b)の時点でアプリケーション先行起動基準値が設定されたとほぼ同時にアプリケーション起動処理の開始時点(c)を設定する。
【0057】
図6に示す例においては、アプリケーション起動処理時間がかなり長いため、押圧荷重がアプリケーション起動基準値を満たした時点でも、まだアプリケーションの起動処理の大部分が完了している状態にはない。しかしながら、本実施の形態に係る電子機器1においては、このような場合、接触が検出された(a)の時点とほぼ同時に(c)に示すアプリケーションの起動処理を開始している。従来であれば、上述したように、アプリケーション起動基準値が満たされた時点で、当該アプリケーションの起動処理が行われる。一方、本実施の形態に係る電子機器1は、図6に示す(c)の時点からアプリケーションの起動処理を先行して開始する。したがって、本実施の形態に係る電子機器1によれば、アプリケーション起動処理時間が比較的長い場合であっても、タッチセンサに対する操作に基づいて開始されるアプリケーションの起動を相当早めることができる。
【0058】
なお、本実施の形態に係る電子機器1は、アプリケーションの起動処理の開始時点を早めることにより、押圧荷重がアプリケーション起動基準値を満たした時点に近い時点で、アプリケーションの起動処理が完了されるものである。したがって、本実施の形態に係る電子機器1は、接触検出部40が接触を検出した後アプリケーションの起動処理の一部を先行して開始したとしても、押圧荷重がアプリケーション起動基準値を満たさない場合、当該アプリケーションは起動されない。以下、このような場合について説明する。
【0059】
図7は、押圧荷重がアプリケーション起動基準値を満たさず当該アプリケーションが起動されない場合の、電子機器1による動作の例を説明する図である。図7において、(a)の時点で接触検出部40が接触を検出したのとほぼ同時の(b)の時点で、アプリケーション先行起動基準値が設定されている。また、(c)の時点で荷重検出部60が検出する押圧荷重が当該基準値を満たしたことにより、アプリケーションの起動処理の一部が先行して開始されている。ここまでは、図5で説明した状況と同様である。
【0060】
しかしながら、図7の例においては、(c)の時点の後、荷重検出部60が検出する押圧荷重が、(d)の時点に対応するアプリケーション起動基準値を満たさない。したがって、(d)の時点において、アプリケーションの起動処理の大部分(一部)は完了しているが、当該アプリケーションの起動は行われない。その後、図7に示すように、荷重検出部60が検出する押圧荷重は減少し、(f)の時点でアプリケーション先行起動基準値を下回っている。このような場合、制御部10は、完了しているアプリケーションの起動処理をリセットして、電子機器1を待機状態にする。なお、制御部10は、(f)のアプリケーション先行起動基準値を下回った時点ではなく、荷重検出部60が検出する押圧荷重がゼロになったり、あるいは接触検出部40が接触を検出しなくなった場合に、アプリケーションの起動処理をリセットして、電子機器1を待機状態にしてもよい。
【0061】
このように、本実施の形態に係る電子機器1によれば、押圧荷重がアプリケーション起動基準値を満たさない場合、当該アプリケーションは起動されない。したがって、例えば操作者の衣服などがごく軽く接触検出部40に触れてしまった場合のような、操作者の意図しない接触操作によっては、アプリケーションは起動されない。このため、本実施の形態に係る電子機器1によれば、操作者の意図しない接触操作がなされるたびにアプリケーション起動がされるという誤操作を防止することかできる。また、意図しない操作により意図しないアプリケーション起動がされると、そのぶんだけ消費電力にも無駄が生じるため、本実施の形態に係る電子機器1によれば、このような無駄を回避することもできる。特に、携帯電話のような小型の端末は、バッテリによって電力を供給することがほとんどであるため、本実施の形態に係る電子機器1のように消費電力の無駄を回避することは、極めて有利である。
【0062】
(第2実施の形態)
次に、本発明の第2実施の形態に係る電子機器について説明する。
【0063】
本発明の第2実施の形態では、上述した第1実施の形態において、接触検出部40が接触を検出してから所定の時間、アプリケーションの起動処理を開始しないようにする。すなわち、第2実施の形態に係る電子機器2は、図3にて説明した第1実施の形態に係る電子機器1において、ステップS14にて実行する処理を変更するものである。第2実施の形態に係る電子機器2は、上記の点以外においては、上述した第1実施の形態で説明した電子機器1と基本的に同じ機器構成および制御により実現することができる。このため、以下、第1実施の形態において説明したのと同じ内容になる説明は、適宜省略する。
【0064】
図8は、第2実施の形態に係る電子機器2において、アプリケーション起動処理を開始する押圧荷重の基準値を設定する例を説明する図である。
【0065】
図8を図5と対比することにより明らかなように、本実施の形態においては、第1実施の形態による動作に加えて、さらに(g)の時点に所定の時間としてアイドル時間が満了するタイミングを設定する。あるいは、(g)の時点にアイドル時間が満了するタイミングを設定する代わりに、(g)の時点に対応する荷重基準値として、アイドル荷重基準値を設定してもよい。
【0066】
本実施の形態において、電子機器2の制御部10は、図8に示すように、(a)の時点で接触検出部40が接触を検出したのとほぼ同時の(b)の時点で、アプリケーション先行起動基準値を設定する(ステップS14)。
【0067】
しかしながら、ステップS14においてアプリケーション先行起動基準値を設定する際、制御部10は、(a)の時点で接触が検出されてから(g)の時点でアイドル時間が満了するまでの間には、(c)のアプリケーションの起動処理を先行して開始する時点を設定しない。本実施の形態においては、制御部10は、(g)の時点でアイドル時間が満了してから、または(g)の時点に対応するアイドル荷重基準値が満たされてから、(c)のアプリケーションの起動処理を先行して開始する時点を設定する。すなわち、第2実施の形態において、制御部10は、接触検出部40が接触を検出してから所定の時間が経過するまで、または、荷重検出部60が所定の押圧荷重を検出するまでは、アプリケーションの起動処理を開始しないように制御する。ここで、所定の時間とは、上述のアイドル時間を意味し、また所定の押圧荷重を検出するとは、荷重検出部50が上述のアイドル時間に対応するアイドル荷重基準値を満たす押圧荷重を検出することを意味する。
【0068】
図8に示す例においては、図5と同様に、電子機器2が起動するアプリケーションの起動処理時間が比較的短い。このような場合、本実施の形態に係る電子機器2による技術的効果は、第1実施の形態に係る電子機器1と同様の効果を有し、さらに、例えば操作者の衣服などがごく軽く接触検出部40に触れてしまった場合、アプリケーションの起動処理が開始されない。このため、本実施の形態に係る電子機器2によれば、操作者の意図しない接触操作によっては、アプリケーションの起動が行われないのみならず、当該アプリケーションの起動処理も開始されない。
【0069】
このため、本実施の形態に係る電子機器2によれば、第1実施の形態と同様に、操作者の意図しない操作に基づく意図しないアプリケーションが起動されることによる、消費電力の無駄を回避することができる。さらに、本実施の形態に係る電子機器2によれば、操作者の意図しない操作に基づく意図しないアプリケーションの起動処理が開始されることによる、消費電力の無駄までも回避することができる。したがって、第2実施の形態においては、第1実施の形態による効果に加えて、消費電力の無駄をさらに回避することができる。
【0070】
図9は、第2実施の形態に係る電子機器2において、アプリケーション起動処理を開始する押圧荷重の基準値を設定する他の例を説明する図である。
【0071】
図9は、図6における説明に対応させて、アプリケーション起動処理時間が比較的長いアプリケーションを起動する際における、電子機器2による動作の例を説明する図である。図9においても、図6の説明と同様に、アプリケーション起動処理時間が、(b)の時点からアプリケーション起動基準値に対応する時点までの間よりも長いものとする。このような条件下においても、本実施の形態では、制御部10は、(g)のアイドル時間が満了した時点で、または(g)の時点に対応するアイドル荷重基準値が満たされた時点で、(c)の起動処理を先行して開始する時点を設定する。
【0072】
このため、同一の起動処理時間を要するアプリケーションを起動させた場合、第2実施の形態に係る電子機器2においては、第1実施の形態に係る電子機器1よりも、アイドル時間のぶんだけ、(d)に示す起動処理が完了する時点は遅くなる。したがって、第2実施の形態に係る電子機器2においては、そのぶんだけ(e)に示すアプリケーションが操作者により操作可能な状態になる時点も若干遅くなる。しかしながら、第2実施の形態においては、上述したように、アイドル時間またはアイドル荷重基準値を設定することにより、操作者の意図しない操作に基づく意図しないアプリケーションの起動処理が開始されることによる、消費電力の無駄を回避することができる。したがって、第2実施の形態においては、第1実施の形態によりも、消費電力の無駄をさらに回避することができる。
【0073】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、上述した実施の形態では、電子機器1は、携帯端末のようにバッテリで駆動することを想定して説明したが、本発明は、このような形態に限定されるものではない。本発明は、バッテリで駆動される場合のように供給される電力が制限されている装置において特に顕著な効果を発揮するが、例えば電源が安定して供給される装置においても、消費電力を低減することができるという効果がある。
【0074】
また、本実施の形態の説明における「表示部」および「接触検出部」は、表示部とタッチセンサとの両機能を共通の基板に持たせる等により、一体化した装置によって構成されるようにしてもよい。このように表示部とタッチセンサとの両機能を一体化した装置の構成の一例としては、液晶パネルが有するマトリクス状配列の画素電極群に、フォトダイオード等の複数の光電変換素子を規則的に混在させたものを挙げることができる。この装置は、液晶パネル構造によって画像を表示する一方で、パネル表面の所望位置をタッチ入力するペンの先端で液晶表示用のバックライトの光を反射し、この反射光を周辺の光電変換素子が受光することによって、タッチ位置を検出することができる。
【0075】
上述した実施の形態において、荷重検出部により検出される押圧荷重が「所定の基準値を満たした際」とは、荷重検出部により検出される押圧荷重が入力として認識される所定値に達した際であってもよいし、荷重検出部により検出される押圧荷重が入力として認識される所定値を超えた際でもよいし、荷重検出部により入力として認識される所定値が検出された際でもよい。
【0076】
また、上述した各実施の形態における荷重検出部60は、任意の個数の歪みゲージセンサを用いて構成することができる。さらに、荷重検出部60は、接触検出部における接触の検出方式に応じて、例えば、抵抗膜方式の場合には、接触面積による抵抗変化に基づく出力信号の変化から荷重が検出できれば、歪みゲージセンサを用いることなく構成することができる。あるいは、静電容量方式の場合には、静電容量の変化に基づく出力信号の変化から荷重が検出できれば、歪みゲージセンサを用いることなく構成することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 電子機器
10 制御部
30 表示部
40 接触検出部
40a タッチ面
60 荷重検出部
62 歪みゲージセンサ
71 筐体
72 インシュレータ
73 アッパカバー
74 インシュレータ
80 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オブジェクトを表示する表示部と、
前記表示部に対する接触物の接触を検出する接触検出部と、
前記接触検出部に対する押圧荷重を検出する荷重検出部と、
前記オブジェクトに関連付けられたアプリケーションの起動処理を行う押圧荷重の基準値として設定されたアプリケーション起動基準値よりも低い基準値として、アプリケーション先行起動基準値を可変に設定するように制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記接触検出部が前記表示部に表示されたオブジェクトに対応する位置における前記接触物の接触を検出し、前記荷重検出部が前記アプリケーション先行起動基準値を満たす押圧荷重を検出すると、当該オブジェクトに関連付けられたアプリケーションの起動処理の一部を先行して開始するように制御することを特徴とする、電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記アプリケーション起動先行基準値を、前記アプリケーションの起動処理に要する時間に基づいて設定するように制御する、請求項1に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−137972(P2012−137972A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−290457(P2010−290457)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】