説明

電子機器

【課題】圧電素子などによりタッチパネルを湾曲振動させる電子機器において、振動を可能な限り減衰させずに防水および防塵対策を施しつつ、さらにタッチパネルが剥離しにくい電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器1は、タッチパネル20と、タッチパネル20を振動させる振動部50と、タッチパネル20の縁辺部分に接着されたフレーム40と、フレーム40が嵌め込まれた支持部材10aと、を備えた電子機器であって、フレーム40は支持部材10aに嵌合する嵌合部42を有するようにし、さらに支持部材10aとフレーム40またはタッチパネル20との間が伸縮性部材70で封止されるようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関するものである。より詳細には、本発明は、タッチパネルに対する操作入力を検出して、操作感をフィードバックする電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、電子機器の入力装置として、タッチパネルやタッチパッドなどが広く採用されている。そのような入力装置において、操作者がタッチパネルやタッチパッドなどを操作した際に、タッチパネルやタッチパッドを湾曲振動させることにより、操作者の指先などに操作感をフィードバックするものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図14は、特許文献1に記載の電子機器を分解した外観斜視図である。図14に示すように、特許文献1に記載の電子機器(ディスプレイ装置)は、ディスプレイモニタ100、パネル固定用フレーム210、タッチパネル400、およびカバー500を備えている。この電子機器は、タッチパネル400等の各部品が、上記ディスプレイモニタ100に対して組付けられることにより構成されている。
【0004】
特許文献1に記載の電子機器において、ディスプレイモニタ100は、液晶ディスプレイ(LCD)からなり、全体が矩形かつ扁平な形状を有している。ディスプレイモニタ100は、図示しない制御装置による制御に従って、例えばキーやボタン等のオブジェクトまたは各種の情報などを、その表示面に表示する。このディスプレイモニタ100の表示面上には、当該モニタ100とほぼ同じ大きさのタッチパネル400が位置するように組付けられる。
【0005】
タッチパネル400は、例えば透明な樹脂板にマトリクス状のスイッチ回路が形成され、パネル表面が操作者の指先などにより接触されると、その接触位置に応じた検出信号を前記制御装置に出力するように構成されている。つまり、操作者は、タッチパネル400を通して映し出されるディスプレイモニタ100の表示に従って当該パネル400に対して操作を行うことにより、前記電子機器に対して当該表示に応じた各種情報を入力することができる。
【0006】
この電子機器においては、図14に示すように、タッチパネル400の裏面側の上辺(図の奥側)および下辺(図の手前側)に沿って、一対の圧電素子(ピエゾ素子)420が貼り付けられている。タッチパネル400が操作者による接触を検出すると、この電子機器は、前記制御装置から圧電素子420に駆動信号(電圧)を付与する。この駆動信号を受信すると、圧電素子420は伸縮してタッチパネル400を変形(湾曲)させるため、この電子機器は、タッチパネル400の操作面に対して振動を発生させることができる。すなわち、上記操作に伴って、タッチパネル400が振動することにより、操作者は操作感を得ることができるようになっている。
【0007】
なお、この電子機器において、タッチパネル400は、パネル固定用フレーム210を介して前記ディスプレイモニタ100に組付けられている。パネル固定用フレーム210は、ABS等の硬質の樹脂材料から形成されることにより全体が剛性を有した構成となっている。
【0008】
図14に示すように、パネル固定用フレーム210には、前記タッチパネル400をその四隅において保持するホルダ220が組付けられる。図15は、4つのホルダ220のうち1つが、タッチパネル400の隅に取り付けられる様子を示す拡大図である。各ホルダ220には、タッチパネル400の角部を差込み可能なスリット状の差込み部360がそれぞれ形成されている。また、図14に示すように、パネル固定用フレーム210の周囲側面には、各側面それぞれの端部付近に、ホルダ220を固定するための固定孔320が設けられている。そして、図15に示すホルダ220に形成されたフック340aが、図14に示す各固定孔320に差し込まれることにより、各ホルダ220は、タッチパネル400をパネル固定用フレーム210に固定する。
【0009】
このように、各ホルダ220にタッチパネル400の四隅がそれぞれ差込まれると、各ホルダ220は、タッチパネル400を四隅で外側から拘束するとともに、厚み方向の両側からも拘束した状態で保持する。したがって、特許文献1に記載の電子機器は、タッチパネル400が固定されるように配置することができる。
【0010】
また、ホルダ220は、それぞれ、パネル固定用フレーム210よりも弾性係数の小さい材料から形成されており、例えばシリコン系の樹脂またはゴムにより一体成型されている。このように、ホルダ220は、タッチパネル400を安定的に保持する一方で、タッチパネル400が振動できるように弾性変形可能に構成されている。なお、タッチパネル400とディスプレイモニタ100との間には、タッチパネル400の厚み方向の変位を可能とする隙間が確保される。このため、圧電素子420が振動する際に、当該振動に伴うタッチパネル400の厚み方向の変位が可能となっている。
【0011】
したがって、特許文献1に記載の電子機器は、タッチパネル400を振動させる際に、その振動を大きく妨げることがないようになっているため、タッチパネル400の振動による操作感を良好に確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−44497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述したように、特許文献1に記載の電子機器は、タッチパネルの振動による操作感を良好に確保することができるとともに、タッチパネルが固定されるように配置することができる。
【0014】
ところで、特許文献1に記載の電子機器は、例えば車載用ナビゲーションシステムのディスプレイ装置などを想定しており、電子機器そのものの防塵対策および防水対策は特に施されていない。例えば、図14に示す電子機器を組み立てると、タッチパネル400は、弾性材料のホルダ220の差込み部360に差し込まれた状態で、つまりホルダ220を介して、パネル固定用フレーム210に取り付けられる。これは、タッチパネル400をパネル固定用フレーム210に強固に固定してしまうと、圧電素子420が振動する際に、タッチパネル400が厚み方向に変位せず、タッチパネル400を良好に振動させることができなくなるためである。したがって、タッチパネル400とパネル固定用フレーム210との間には、隙間ができることになり、当該隙間から埃や水分が浸入することが多分に想定される。
【0015】
そこで、特許文献1に記載の電子機器において、防塵対策として、例えば、タッチパネル400とパネル固定用フレーム210との間に防塵用クッションなどの部材を挿入することも考えられる。しかしながら、このような防塵用クッションは、ある程度圧縮可能な材質を用いたとしても、圧縮後の厚さのぶんだけタッチパネルが湾曲する物理的なスペースを奪ってしまうことになる。したがって、このような構造においては、タッチパネルが振動する際の振幅を稼ぐことができないという問題が生じる。
【0016】
また、特許文献1に示されている電子機器に対して防水を施す場合、外部からの埃や水の浸入を防ぐために、例えば、タッチパネル400と当該タッチパネル400の周囲を覆う部材との間を防水テープで固着するという対策が考えられる。例えば図14に示したように、パネル固定用フレーム210を介してタッチパネル400とディスプレイモニタ100とを組み合わせたものに、さらにカバー500を装着する場合、カバー500とタッチパネル400とを防水テープで固着することができる。このようにしてカバー500とタッチパネル400とを防水テープで固着すれば、カバー500とタッチパネル400との隙間を埋めることができるため、外部からの水の浸入を防ぐことができる。
【0017】
しかしながら、このようにカバー500とタッチパネル400とを防水テープで固着してしまうと、タッチパネル400が振動する際の振幅を稼ぐことができなくなってしまう。このように、タッチパネル装置に防水対策を施すと、同時にタッチパネルを振動させる際の振幅を減殺してしまうという問題がある。
【0018】
さらに、特許文献1に記載の電子機器において、タッチパネル400をパネル固定用フレーム210に固定しているのは、四隅のホルダ220のみである。また、このホルダ220は、上述したように、シリコン系の樹脂またはゴムなどの弾性材料製である。このため、この電子機器は、例えば床に落下するなどして外から強い衝撃が加わると、ホルダ220によって固定された部分(例えば差込み部360)が衝撃に耐えきれず、タッチパネル400がホルダ220から外れて剥離してしまうなどの不都合が想定される。
【0019】
図14に示したように、タッチパネル400を組付けた後さらにカバー500を装着する場合は、タッチパネル400がホルダ220から外れたとしても、タッチパネル400がカバー500を経て脱落することはないようにも思われる。しかしながら、このような構成においても、タッチパネル400がホルダ220から外れると、即ちタッチパネル400が剥離すると、カバー500内部においてタッチパネル400がずれたり、ぐらついたりするなどの不都合は避けられない。また、上述したように、タッチパネル400の剥離を防止するために、例えばタッチパネル400とカバー500とを頑丈に固定してしまうと、タッチパネル400が湾曲しにくくなるため、タッチパネル400を振動させる際の振幅を減殺してしまうという問題がある。
【0020】
かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、圧電素子などによりタッチパネルを湾曲振動させる電子機器において、振動を可能な限り減衰させずに防水および防塵対策を施しつつ、さらにタッチパネルが剥離しにくい電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成する第1の観点に係る電子機器の発明は、
タッチパネルと、
前記タッチパネルを振動させる振動部と、
前記タッチパネルの縁辺部分に接着されたフレームと、
前記フレームが嵌め込まれた支持部材と、を備えた電子機器であって、
前記フレームは前記支持部材に嵌合する嵌合部を有するようにし、さらに前記支持部材と前記フレームまたは前記タッチパネルとの間が伸縮性部材で封止されるようにしたことを特徴とする電子機器。
【0022】
第2の観点に係る発明は、第1の観点に係る電子機器において、
前記振動部は前記タッチパネルに接着された圧電素子であり、
前記フレームは、当該フレームの縁辺のうち前記圧電素子の伸縮方向と略直交する方向の縁辺に前記嵌合部を有するようにしたものである。
【0023】
第3の観点に係る発明は、第1の観点に係る電子機器において、
前記フレームは、前記支持部材によって支持される複数の脚部を有するように成形された弾性材料製(例えばシリコンゴムなど)であり、前記嵌合部は、前記支持部材の嵌合爪部に嵌合する複数の凹部を有するようにしたものである。
【0024】
第4の観点に係る発明は、第3の観点に係る電子機器において、
前記フレームの四隅において、当該フレームと前記支持部材との間の接着を補強する弾性材料製の支持子をさらに備えるものである。
【0025】
第5の観点に係る発明は、第1の観点に係る電子機器において、
前記フレームは樹脂製(例えばABSまたはPCなど)であり、前記嵌合部は、前記支持部材の嵌合爪部に嵌合する複数の嵌合爪部を有し、当該複数の嵌合爪部は各々の脇側に切り込みを施すことによる弾性構造を有するようにしたものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、圧電素子などによりタッチパネルを湾曲振動させる電子機器において、振動を可能な限り減衰させずに防水および防塵対策を施しつつ、さらにタッチパネルが剥離しにくい電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る電子機器の外観斜視図である。
【図2】第1実施の形態に係る電子機器を分解した外観斜視図である。
【図3】第1実施の形態に係る電子機器をさらに分解した外観斜視図である。
【図4】第1実施の形態に係るタッチパネルおよびフレームを分解した外観斜視図である。
【図5】第1実施の形態に係るタッチパネルおよびフレームを裏面から見た平面図である。
【図6】第1実施の形態に係る電子機器の断面図である。
【図7】第1実施の形態に係る電子機器の他の部分断面図である。
【図8】第1実施の形態に係る電子機器のさらに他の部分断面図である。
【図9】第2実施の形態に係るタッチパネルおよびフレームを示す外観斜視図である。
【図10】第2実施の形態に係る電子機器の部分断面図である。
【図11】第2実施の形態に係る電子機器の他の部分断面図である。
【図12】第2実施の形態の変形例に係る電子機器の部分断面図である。
【図13】第2実施の形態の変形例に係る電子機器の外観斜視図である。
【図14】従来の電子機器の構造を説明する図である。
【図15】従来の電子機器の構造を説明する他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施の形態)
以下、本発明の第1実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0029】
まず、本発明の第1実施の形態に係る電子機器の概略構成について説明する。図1は、本発明の第1実施の形態に係る電子機器の外観を示す斜視図である。
【0030】
図1に示すように、第1実施の形態に係る電子機器1は、外観上、上部筐体10aと、下部筐体10bと、タッチパネル20と、ベゼル30と、を備えている。
【0031】
上部筐体10aおよび下部筐体10bは、両者が一体に組み合わさることにより、筐体10を構成する。これら上部筐体10aと下部筐体10bとの間は、これらが一体に組み合わされた状態においては、例えばゴム製のパッキンを介した密閉構造にする等して、適当な防水および防塵の措置がなされているものとする。上部筐体10aおよび下部筐体10bは、例えば樹脂製のケースなどとして、ある程度の衝撃に耐えうる素材により構成するのが好適である。なお、以下の説明においては、上部筐体10aと下部筐体10bとの組み合わせ構造については、詳細な説明を省略する。
【0032】
タッチパネル20は、通常は表示部(図示せず)の前面に配置して、表示部に表示したオブジェクトに対する操作者の指やスタイラスペン等(以下、単に「接触物」と総称する)による接触を、対応するタッチパネル20のタッチ面において検出する。したがって、本実施の形態において、「タッチパネル」とは、例えばLCD等とすることができる表示部の前面に配置する、即ち当該表示部とは別に設けられる部材を想定して説明する。また、タッチパネル20は、タッチ面に対する接触物の接触の位置を検出し、当該検出した接触の位置を制御部(図示せず)に通知する。
【0033】
このタッチパネル20は、例えば抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の公知の方式のもので構成されたタッチパネルを用いることができる。なお、タッチパネル20が接触物による接触を検出する上で、接触物がタッチパネル20に物理的に触れることは必須ではない。例えば、タッチパネル20が光学式である場合は、タッチパネル20は当該タッチパネル20上の赤外線が接触物で遮られた位置を検出するため、接触物がタッチパネル20に触れることは不要である。
【0034】
上述した表示部は、例えばキーのような押しボタンスイッチ(プッシュ式ボタンスイッチ)等のオブジェクトを画像で表示する。このオブジェクトは、タッチパネル20のタッチ面上において接触すべき領域を操作者に示唆する画像である。また、押しボタンスイッチとは、操作者が入力の操作に用いるボタンやキー等(以下、単に「キー等」と総称する)である。この表示部は、例えば、液晶表示パネル(LCD)や有機EL表示パネル等を用いて構成する。すなわち、図1に示すタッチパネル20の裏側には、図示しないが、LCDなどの表示部を配置することができる。しかしながら、本明細書においては、表示関連の事項については、詳細な説明を省略する。
【0035】
ベゼル30は、上部筐体10aとタッチパネル20との間に跨るように配置されている。本実施の形態において、ベゼル30は、上部筐体10aまたはタッチパネル20と上部筐体10aとの間において、防水および防塵の機能を果たしている。このベゼル30は、例えば金属製、プラスチック製、樹脂製などとすることができ、薄型ながらもある程度の強度を有する素材で構成するのが好適である。
【0036】
図2は、図1に示した電子機器1において、上部筐体10aからベゼル30を取り外した状態を示す分解斜視図である。なお、以下の説明においては、下部筐体10bは取り外した状態の電子機器1について説明する。
【0037】
図2に示すように、ベゼル30は、上部筐体10aの上部に成形した凹所12に嵌め込むことができるように構成されている。このベゼル30は、上部筐体10aとタッチパネル20との継目を覆うことによって、当該継目が外部から見えないようにすることができる。また、電子機器1は、ベゼル30によって覆われる部分の上部筐体10aに、フレーム40が嵌め込まれている。すなわち、ベゼル30は、上部筐体10aの凹所12およびフレーム40の部分を覆うように構成されている。このベゼル30は、後述するように、凹所12の部位においては、上部筐体10aと例えば両面テープまたは接着剤などにより接着するが、フレーム40とは、例えばスポンジ等の伸縮性部材を介して接着する。
【0038】
図3は、図2に示したベゼル30を取り外した後、さらに上部筐体10aからフレーム40を取り外した状態を示す分解斜視図である。このフレーム40は、後述するように、タッチパネル20が嵌め込まれて接着などにより固着される。
【0039】
本実施の形態において、フレーム40は、シリコンゴムなどの弾性材料製であり、例えば硬度40〜60度程度とするのが好適である。このフレーム40は、上部筐体10aによって支持されるように、複数の脚部44を有するように成形されている。また、本実施の形態において、フレーム40は、上部筐体10aに嵌合する嵌合部42を有している。本実施の形態において、この嵌合部42は、上部筐体10aの嵌合爪部14に嵌合する複数の凹部を有するようにしてある。なお、図3において、嵌合部42は、フレーム40の右側の側面にのみ図示してあるが、当然、フレーム40の左側の図示しない側面にも成形されている。
【0040】
この嵌合部42である凹部と、上部筐体10aの嵌合爪部14とが嵌合することにより、フレーム40を上部筐体10aに嵌め込んだ際に、タッチパネル20付きフレーム40が上部筐体10aから剥離しなくなる。また、フレーム40は弾性材料製であるため、製品製造時に、タッチパネル20付きフレーム40を上部筐体10aに嵌め込む際に、大きな力を加えずとも容易に装着することができる。なお、図3において、上部筐体10aの嵌合爪部14は、上部筐体10aの左側内面にのみ図示してあるが、当然、上部筐体10aの右側の図示しない内面にも成形されている。
【0041】
フレーム40は、後述するように、その四隅において、フレーム40と上部筐体10aとの間の接着を補強する弾性材料製の支持子60をさらに備えている。この指示子60は、フレーム40よりは硬度の高いシリコンゴムなどのラバー製とするのが好適であり、例えば硬度70度程度とするのが好適である。また、指示子60とフレーム40および上部筐体10aとは、それぞれ例えば両面テープまたは接着剤などにより接着する。このように、指示子60の位置においてフレーム40と上部筐体10aとを接着することにより、他の位置ではフレーム40と上部筐体10aとを接着する必要はなくなる。
【0042】
図4は、図3に示したフレーム40からタッチパネル20を取り外した状態を示す分解斜視図である。図4に示すように、タッチパネル20は、その縁辺部分をフレーム40に接着する。図4に示すように、フレーム40は、タッチパネル20を、フレーム40に成形した凹所46に嵌め込んで接着できるように構成されている。ここで、フレーム40とタッチパネル20とは、例えば両面テープまたは接着剤などにより接着する。なお、図4において、嵌合部42は参照番号を付してあるが、脚部44および支持子60は参照番号を省略する。
【0043】
図4に示すように、タッチパネル20の裏面には、その上下の縁辺付近に、振動部50が接着されている。振動部50は、タッチパネル20の裏面に例えば両面テープまたは接着剤などにより接着する。この振動部50は、例えば圧電素子で構成し、タッチパネル20を振動させる。また、このように振動部50がタッチパネル20に接着された圧電素子とする場合、フレーム40は、フレーム40の縁辺のうち圧電素子50の伸縮方向と略直交する方向の縁辺に嵌合部42を有するようにする。
【0044】
すなわち、図4に示すように、フレーム40の側面に沿って複数の嵌合部42が成形されている場合、それら複数の嵌合部42が並ぶ方向と、圧電素子の長手方向とが直交するように、振動部50を配置する。圧電素子は、電圧を印加すると、その長手方向に伸縮するため、タッチパネル20は、圧電素子の長手方向に平行な方向に湾曲することになる。したがって、フレーム40の嵌合部42を、圧電素子の長手方向に平行な方向に成形すると、タッチパネル20の湾曲を制限してしまうため、タッチパネル20の振動を減殺することになる。このため、フレーム40の嵌合部42を、圧電素子の長手方向と直交する方向に成形すれば、タッチパネル20の湾曲は制限されず、タッチパネル20の振動を減衰されることはなくなる。
【0045】
この振動部50は、所定の振動パターンによる振動を発生させることにより、タッチ面に接触している接触物に対して触感を呈示する。本実施の形態において、振動部50は、例えば図示しない制御部から供給される駆動信号に基づいて振動を発生する。
【0046】
図5は、図3に示したタッチパネル20付きフレーム40を裏面から見た平面図である。図5に示すように、タッチパネル20を囲むフレーム40は、その裏面において、複数の脚部44が成形されている。この脚部44は、フレームの裏面に複数箇所設けるのが好適であるが、その個数および位置は、図5に示した態様に限定されるものではなく、設計時の要求に応じて種々の態様に任意変更することができる。また、フレーム40の四隅には、弾性材料製の支持子60が接着されている。
【0047】
図5においては、フレーム40の両側面に嵌合部42が成形されていることを、破線により示してある。この嵌合部42も、フレームの両側面に複数箇所(例えば両側で4〜6箇所)設けるのが好適であるが、その個数および位置は、図5に示した態様に限定されるものではなく、設計時の要求に応じて種々の態様に任意変更することができる。上述したように、タッチパネル20の裏面には振動部50が接着されているが、フレーム40の側面に沿って成形された複数の嵌合部42が並ぶ方向と、圧電素子の長手方向とが直交するように、振動部50が配置されている。
【0048】
次に、本発明の第1実施の形態に係る電子機器の内部構成の詳細について説明する。
【0049】
図6乃至8は、電子機器1の断面を示す図である。図6乃至8は、それぞれ、電子機器1が完成した状態で、上部筐体10a以上の部分を中心として、異なる位置で切断した断面図である(すなわち下部筐体10bを中心とする部分については説明していない)。図6乃至8は、それぞれ、電子機器1を、図3に示すX軸の方向に切断した様子を示す図である。その際に、Y方向の位置を適宜変更することにより、代表的な3つの異なる断面の例を示す。
【0050】
図6は、フレーム40において、脚部44が成形されているが、嵌合部42は成形されていない位置において切断した例を示す図である。以下、電子機器1が左右対称の構成を有する場合の例を説明する。したがって、図6においては、図の右側の構成を説明する参照番号は省略する。
【0051】
図6に示すように、フレーム40は、シリコンゴムなどの弾性材料製であり、上部筐体10aによって支持されるように、複数の脚部44を有するように成形されている。フレーム40および脚部44は一体として成形されているので、脚部44もシリコンゴムなどの弾性材料製である。特に、脚部44は、細く成形されていることにより、フレーム40の本体部分よりも、さらに弾力性を有している。したがって、フレーム40の脚部44は、振動部50がタッチパネル20を振動させる場合、当該振動をほとんど減衰させない。
【0052】
なお、上述したように、タッチパネル20とフレーム40とは、例えば両面テープまたは接着剤などにより接着する。図6において、このような接着箇所を、密なハッチングを施すことにより示してある。また、図6に示すように、ベゼル30と上部筐体10aとも、例えば両面テープまたは接着剤などにより接着する。一方、図6に示すように、本実施の形態において、ベゼル30とタッチパネル20とは、伸縮性部材70で封止する。伸縮性部材70は、例えばスポンジ等の伸縮性の材料を、極薄の両面テープまたは接着剤により、ベゼル30およびタッチパネル20と接着する。電子機器1は、この伸縮性部材70によって、筐体内に埃や水分が浸入することを防ぐようにするため、この伸縮性部材70は防塵および防水加工がされたものを用いるようにする。図6においては、伸縮性部材70は、ベゼル30とタッチパネル20とを封止しているが、例えば伸縮性部材70をもう少し幅広にして、伸縮性部材70によってベゼル30とフレーム40との間が封止されるようにしてもよい。
【0053】
このように、ベゼル30は、上部筐体10aに接着されることにより、上部筐体10aとフレーム40またはタッチパネル20との間を封止する。すなわち、本実施の形態による電子機器1は、上部筐体10aとフレーム40またはタッチパネル20との間が伸縮性部材70で封止されることにより、防水および防塵対策を施している。
【0054】
また、ベゼル30は、上部筐体10aには強固に固定されているが、タッチパネル20およびフレーム40とは、伸縮性部材70によって封止されているため、当該封止の部分はタッチパネル20の振動を減衰させない。さらに、ベゼル30は上部筐体10aに強固に固定されているため、例えば電子機器1が床に落下するなどして外から強い衝撃が加わったとしても、タッチパネル20が飛び出すおそれを著しく低減させることができる。
【0055】
図7は、フレーム40において、脚部44は成形されていないが、嵌合部42が成形されている位置において切断した例を示す図である。以下、図6と同様に、電子機器1が左右対称の構成を有する場合の例を説明するため、電子機器1の右側の構成の図示は省略する。また、以下の図7においては、図6との相違点を中心として説明する。
【0056】
図7に示すように、フレーム40の脚部44が成形されていない箇所においては、フレームは上部筐体10aに支持されていないため、振動部50は、ほとんど振動を減殺されることなく、タッチパネル20を良好に振動させることができる。また、図7に示すように、フレーム40の嵌合部42である凹部が成形されている位置においては、上部筐体10aにも嵌合爪部14が成形されている。フレーム40の嵌合部42である凹部は、上部筐体10aの嵌合爪部14に嵌合することにより、タッチパネル20付きフレーム40が上部筐体10aから剥離することを防止する。その一方で、上述したように、フレーム40は弾性材料製であるため、嵌合部42である凹部および上部筐体10aの嵌合爪部14を例えば図7に示すような形状にすることにより、嵌め込み易くかつ外れ難くすることができる。なお、図7においても、図6と同様に、ベゼル30に沿って、タッチパネル20の縁辺部分は伸縮性部材70によって封止されているため、上部筐体10aとフレーム40またはタッチパネル20との間の防水および防塵対策は施されている。
【0057】
図8は、フレーム40において、支持子60が成形されている位置、すなわち、フレーム40の上下の縁辺付近の位置において切断した例を示す図である。以下の図7においては、上述した図6または7との相違点を中心として説明する。
【0058】
図8に示すように、フレーム40には脚部44が成形されているが、その四隅においては、フレーム40と上部筐体10aとの間の接着を補強する弾性材料製の支持子60が接着されている。上述したように、支持子60がフレーム40と上部筐体10aとを接着するようにすれば、脚部44と上部筐体10aとを接着することは、特に必要なことではない。また、フレーム40の縁辺付近の位置においては、ベゼル30に沿って、タッチパネル20の縁辺部分が伸縮性部材70によって封止されており、その外周において、ベゼル30はさらに上部筐体10aに接着されている。なお、フレーム40の上下の縁辺付近の位置によっては、フレーム40を切断するとともにタッチパネル20も切断されることもあり得る。図8においては、タッチパネル20が存在し得る位置を、破線により示してある。
【0059】
このように、本実施の形態に係る電子機器1によれば、圧電素子などによりタッチパネルを湾曲振動させる電子機器において、振動を可能な限り減衰させずに防水および防塵対策を施しつつ、さらにタッチパネルが剥離しにくくすることができる。
【0060】
また、本実施の形態に係る電子機器1によればタッチパネル20付きフレーム40を予め単体の部品として用意することができる。このようにすることで、電子機器1を容易かつ迅速に組み立てることが可能であるため、生産コストの低減に著しく資することが期待できる。
【0061】
本実施の形態においては、上述した上部筐体10aが「支持部材」を構成する。本実施の形態においては、支持部材である上部筐体10aにフレーム40が嵌め込まれる構成について説明したため、当該支持部材は、ディスプレイなどの表示部や基板などを含まないものとして説明した。しかしながら、本発明において、「支持部材」は上部筐体10aに限定されず、例えば、下部筐体10b、筐体10、ベゼル30、上述した表示部の保持部材や各種の基板など、種々の部材とすることもできる。例えば、タッチパネル20が、ポリマーシートなどの弾性部材を介して支持部材に配置されるような構成においては、当該支持部材は、表示部や基板などを含めたものとして構成するのが好適である。さらに、本発明において、当該支持部材は、例えば上部筐体10aおよびベゼル30を含むものとすることもできる。
【0062】
(第2実施の形態)
次に、本発明の第2実施の形態に係る電子機器について説明する。
【0063】
第2実施の形態は、上述した第1実施の形態に係る電子機器1において、フレーム40を中心としていくつかの変更を施すものである。具体的には、第2実施の形態に係る電子機器2は、第1実施の形態に係る電子機器1において、フレームの素材、嵌合部の形状、および伸縮性部材の配置構成を変更するものである。第2実施の形態に係る電子機器2は、上記の点以外においては、上述した第1実施の形態で説明した電子機器1と基本的に同じ構成により実現することができる。このため、以下、第1実施の形態において説明したのと同じ内容になる説明は、適宜省略する。
【0064】
図9は、第2実施の形態に係る電子機器2を構成する要素のうち、第1実施の形態と異なる要素として、フレーム40’および伸縮性部材72を示す外観斜視図である。図9を図4と対比するに、第2実施の形態において、タッチパネル20の縁辺部分をフレーム40’に接着して嵌め込むこと、およびタッチパネル20の裏面に例えば圧電素子とする振動部50を接着する点においては、第1実施の形態に係る電子機器1と同様である。
【0065】
第2実施の形態においては、フレーム40’は、例えばABSやポリカーボネートなどの樹脂製とする。すなわち、第2実施の形態においては、フレーム40’を、シリコンゴムなどの弾性材料よりも硬い素材によって成形する。このように、フレーム40’を硬い素材で成形すると、第1実施の形態によるフレーム40の嵌合部42のように単に凹部を成形しただけでは、フレーム40’の可撓性が不足し、フレーム40’を上部筐体10aに嵌め込むことができないことも想定される。
【0066】
したがって、本実施の形態において、フレーム40’は、上部筐体10aに嵌合する嵌合部42’を有するが、嵌合部42’は、上部筐体10aの嵌合爪部14に嵌合する複数の嵌合爪部とする。嵌合部42’である複数の嵌合爪部は、図9に示すように、各々の脇側に切り込みを施すことによる弾性構造を有するようにする。すなわち、嵌合部42’である嵌合爪部は、両脇に切り込みを施すことにより、樹脂ばね構造を有するようにする。
【0067】
このようにすることで、フレーム40’を上部筐体10aに嵌め込む際に、すなわち、嵌合部42’である嵌合爪部の樹脂ばねの部分が撓むことにより、少ない力で容易に装着することができる。また、フレーム40’の嵌合部42’である嵌合爪部、および上部筐体10aの嵌合爪部14の形状を第1実施の形態と同様にすることにより、フレーム40’を上部筐体10aに一旦嵌め込むと、フレーム40’が上部筐体10aから剥離しなくなる。
【0068】
さらに、本実施の形態においては、フレーム40’が硬い素材であるため、上部筐体10aに直接嵌め込んでしまうと、硬い素材同士が接することにより、振動部50がタッチパネル20を振動させる際の振動を減殺してしまう。そこで、本実施の形態においては、第1実施の形態によるフレーム40の脚部44の代わりに、図9に示すように、フレーム40’の下側において、上部筐体10aとフレーム40’との間を、伸縮性部材72で封止する。このように、本実施の形態においては、フレーム40’が伸縮性部材72によって支持されるようにすることで、振動部50がタッチパネル20を振動させる際の振動を減衰させないようにする。
【0069】
次に、本発明の第2実施の形態に係る電子機器の内部構成について説明する。
【0070】
図10および11は、第2実施の形態に係る電子機器2の断面を示す図である。図10および11は、それぞれ、図6乃至8と同様に、電子機器2が完成した状態で、上部筐体10a以上の部分を中心として、異なる位置で切断した断面図である(すなわち下部筐体10bを中心とする部分については説明していない)。図10および11は、それぞれ、電子機器2を、図3に示すX軸の方向に切断した様子を示す図である。その際に、Y方向の位置を適宜変更することにより、代表的な2つの異なる断面の例を示す。
【0071】
図10は、フレーム40’において、嵌合部42’が成形されていない位置で切断した例を示す図である。以下、第1実施の形態と同様に、電子機器2が左右対称の構成を有する場合の例を説明するため、電子機器1の右側の構成の図示は省略する。
【0072】
図10に示すように、フレーム40’は、ABSやポリカーボネートなどの樹脂製であり、伸縮性部材72によって支持される。伸縮性部材72は、例えばスポンジやシリコンゴム等の伸縮性の材料を用いる。伸縮性部材72は適度な伸縮性および弾力性を有しているため、フレーム40’を伸縮性部材72によって支持すれば、振動部50がタッチパネル20を振動させる際に、当該振動をほとんど減衰させない。
【0073】
また、ベゼル30と上部筐体10aとを、例えば両面テープまたは接着剤などにより接着するのは第1実施の形態と同様である。さらに、本実施の形態においても、ベゼル30とタッチパネル20とは、伸縮性部材70で封止する。ここでも、伸縮性部材70は、例えばスポンジ等の伸縮性の材料を、極薄の両面テープまたは接着剤により、ベゼル30およびタッチパネル20と接着する。電子機器2においても、この伸縮性部材70によって、筐体内に埃や水分が浸入することを防ぐようにするため、この伸縮性部材70は防塵および防水加工がされたものを用いるようにする。なお、図10においては、伸縮性部材70は、ベゼル30とタッチパネル20とを封止しているが、例えば伸縮性部材70をもう少し幅広にして、伸縮性部材70によってベゼル30とフレーム40’との間が封止されるようにしてもよい。
【0074】
このように、ベゼル30は、上部筐体10aに接着されることにより、上部筐体10aとフレーム40’またはタッチパネル20との間を封止する。すなわち、本実施の形態による電子機器2は、上部筐体10aとフレーム40’またはタッチパネル20との間が伸縮性部材70で封止されることにより、防水および防塵対策を施している。
【0075】
なお、第2実施の形態において、伸縮性部材72は、例えば上部筐体10aと接する側のみ極薄の両面テープまたは接着剤により接着すれば事足りるため、この場合、伸縮性部材72をフレーム40’と接着することは必須ではない。上述したように、ベゼル30がすでに上部筐体10aとフレーム40’またはタッチパネル20との間を封止しているため、伸縮性部材72は、上部筐体10aとフレーム40’との間を封止しなくともよいからである。
【0076】
図11は、フレーム40’において、嵌合部42が成形されている位置で切断した例を示す図である。以下の図11においては、図10との相違点を中心として説明する。
【0077】
図11に示すように、フレーム40’は、上側は伸縮性部材70で封止され、下側は伸縮性部材72によって支持される。したがって、振動部50は、ほとんど振動を減殺されることなく、タッチパネル20を良好に振動させることができる。また、図11に示すように、フレーム40’の嵌合部42’である嵌合爪部が成形されている位置においては、上部筐体10aにも嵌合爪部14が成形されている。フレーム40’の嵌合部42’である嵌合爪部は、上部筐体10aの嵌合爪部14に嵌合することにより、タッチパネル20付きフレーム40’が上部筐体10aから剥離することを防止する。その一方で、上述したように、フレーム40’の嵌合部42’である嵌合爪部は樹脂ばね構造を有するため、当該嵌合爪部および上部筐体10aの嵌合爪部14を例えば図11に示すような形状にすることにより、嵌め込み易くかつ外れ難くすることができる。なお、図11においても、図10と同様に、ベゼル30に沿って、タッチパネル20の縁辺部分は伸縮性部材70によって封止されているため、上部筐体10aとフレーム40またはタッチパネル20との間の防水および防塵対策は施されている。
【0078】
このように、本実施の形態に係る電子機器2によれば、上述した第1実施の形態のフレーム40とは異なる素材のフレーム40’を用いつつも、第1実施の形態とほぼ同様の効果が得られる。すなわち、本実施の形態に係る電子機器2によっても、圧電素子などによりタッチパネルを湾曲振動させる電子機器において、振動を可能な限り減衰させずに防水および防塵対策を施しつつ、さらにタッチパネルが剥離しにくくすることができる。
【0079】
次に、第2実施の形態に係る電子機器2の変形例について説明する。
【0080】
第2実施の形態の変形例は、上述した第2実施の形態に係る電子機器2において、ベゼル30を省略したものである。第2実施の形態の変形例は、上記の点以外においては、上述した第2実施の形態で説明した電子機器2と基本的に同じ構成により実現することができる。このため、以下、第2実施の形態において説明したのと異なる内容を中心に説明する。
【0081】
図10において説明したように、第2実施の形態に係る電子機器2においては、ベゼル30がすでに上部筐体10aとフレーム40’またはタッチパネル20との間を封止しているため、伸縮性部材72は、フレーム40’と接着することは必須ではなかった。しかしながら、伸縮性部材72とフレーム40’とを接着して、伸縮性部材72が上部筐体10aとフレーム40’との間を封止するようにすれば、ベゼル30が上部筐体10aとフレーム40’またはタッチパネル20との間を封止する必要がなくなる。したがって、この場合、ベゼル30を用いることなく、第2実施の形態に係る電子機器2と同様の効果が得られるようにすることができる。
【0082】
図12は、第2実施の形態に係る電子機器2の変形例を説明する断面図である。図12は、図11と同様に、電子機器2の変形例に係る電子機器が完成した状態で、上部筐体10a’以上の部分を中心として、異なる位置で切断した断面図である(すなわち下部筐体10bを中心とする部分については説明していない)。図12は、電子機器2の変形例に係る電子機器を、図3に示すX軸の方向に切断した様子を示す図である。その際に、Y方向の位置を適宜選定することにより、図11に対応する代表的な断面の例を示す。すなわち、図12においては、フレーム40’において、嵌合部42が成形されている位置で切断した例を示している。
【0083】
図12に示すように、第2実施の形態の変形例においても、タッチパネル20付フレーム40’は、上述した第2実施の形態と同様の構成とすることができる。しかしながら、伸縮性部材72は、上部筐体10a’と接する面を例えば両面テープまたは接着剤などにより接着するのみならず、フレーム40’と接する面も例えば両面テープまたは接着剤などにより接着して封止する。また、第2実施の形態の変形例においては、図12に示すように、ベゼル30を用いない形状にするため、上部筐体10a’および当該上部筐体10a’の嵌合爪部14’を、上述した第2実施の形態に係る電子機器2の場合とは異なる形状にする必要がある。
【0084】
上述したように、本例においては、フレーム40’は上部筐体10a’に嵌合する嵌合部42’を有するようにし、さらに上部筐体10a’とフレーム40’またはタッチパネル20との間が伸縮性部材72で封止される。この場合、電子機器2の変形例においては、上部筐体10a’とフレーム40’との間が、フレーム40’の下側において、伸縮性部材72で封止される。また、フレーム40’は樹脂製であり、嵌合部42’は、上部筐体10a’の嵌合爪部14’に嵌合する複数の嵌合爪部を有し、当該複数の嵌合爪部は各々の脇側に切り込みを施すことによる弾性構造を有する。
【0085】
このように、第2実施の形態の変形例に係る電子機器によれば、部品点数を節約しつつ、上述した第1および第2実施の形態に係る電子機器とほぼ同様の効果が得られる。第2実施の形態の変形例に係る電子機器によれば、製造に必要な部品点数を低減できるため、電子機器を一層容易かつ迅速に組み立てることが可能であるため、生産コストの低減にさらに資することが期待できる。
【0086】
図13は、第2実施の形態の変形例に係る電子機器の外観を示す斜視図である。図13に示すように、第2実施の形態の変形例に係る電子機器は、ベゼル30を用いない構成であるため、図1と対比するに、タッチパネル20の面積を一層大きく有効に活用できる構成とすることができる。
【0087】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、上述した第1実施の形態では、フレーム40を支持する要素として、脚部44および支持子60を備えるものとして説明した。しかしながら、タッチパネル20の剥離防止の強度が確保できるのであれば、例えば支持子60を用いずに、複数の脚部44のみを用いるようにしてもよい。
【0088】
また、上述した各実施の形態では、上部筐体10aの嵌合爪部14または14’、およびフレーム40’の嵌合部42’である嵌合爪部は、嵌め込み易くかつ外れ難い形状とすることを想定して説明した。しかしながら、これらの嵌合爪部の形状も上述した形状に限定されるものではなく、種々の形状とすることができる。例えば、タッチパネル20付きフレーム40の剥離防止という観点からは、タッチパネル20が振動中に湾曲することを考慮して、嵌合爪部の断面が例えば扇形のような形状を有するようにもできる。この場合、当該扇形の中心角を成す部分が上部筐体10aもしくは10a’またはフレーム40’に埋め込まれるような形状として、上部筐体またはフレームから遠ざかるにつれて、それぞれの嵌合爪部が大きくなるような形状にするのが好適である。
【0089】
さらに、本発明は、タッチパネル20およびフレーム40を中心に特徴を有するものであり、その他の構成要素については、本明細書において説明した以外にも、種々の構成を採用することができる。例えば、上述した各実施の形態では、上部筐体10aおよび下部筐体10bは、電子機器の本体を構成する筐体を想定して説明した。しかしながら、本発明の筐体は上述した部材に限定されるものではなく、種々の部材とすることができる。例えば、フレーム40または40’を搭載する部材として、筐体をLCDや各種基板などとすることもできる。
【0090】
また、上述した各実施の形態においては、タッチパネル20の裏側に配置した表示部(図示せず)にオブジェクトを表示してタッチパネル20が操作者の接触を検出する態様について説明した。しかしながら、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば表示部30を有さずに、タッチパネル20のタッチ面上にオブジェクトがインクなどにより直接印刷されているような態様を想定することもできる。
【0091】
また、上記実施の形態では、タッチパネル20を用いて、当該タッチパネル20のタッチ面に対する接触を検出した。すなわち、上記実施の形態において、「タッチパネル20」は、いわゆるタッチセンサのような部材を想定して説明した。しかしながら、本発明による電子機器に用いるタッチパネルは、操作者の指やスタイラスペンなどの接触物により接触されるものであれば任意のものとすることができる。
【0092】
例えば、本発明による電子機器に用いるタッチパネルは、タッチ面に対する接触物の接触の位置を検出しない(つまりセンシング機能を有さない)、単なる「パネル」のような部材とすることもできる。このような構成の電子機器においては、例えば、押圧の荷重を検出する荷重検出部をさらに設けることにより、所定の押圧荷重の基準を満たした場合に、タッチパネルに対する接触がなされたものと判定することができる。このような荷重検出部は、任意の個数の歪みゲージセンサ等をタッチパネル20に設けたものとして構成することができる。
【0093】
また、上記実施の形態では、タッチパネル20を用いて、当該タッチパネル20のタッチ面に対する接触を検出した。しかしながら、タッチパネル20に対する押圧の荷重を検出して、所定の押圧荷重の基準が満たされた場合に、タッチパネル20に対する接触がなされたものと判定することもできる。このような荷重の検出を行う場合、任意の個数の歪みゲージセンサ等をタッチパネル20に設けて、押圧によるタッチパネル20の歪みを検出することにより、当該歪みからタッチパネル20対する押圧の荷重を算出するなどの構成を想定することができる。
【0094】
このような荷重の検出は、タッチパネル20における接触検出方式に応じて各種の構成を想定することができる。例えば、抵抗膜方式の場合には、接触面積による抵抗変化に基づく出力信号の変化から荷重が検出できれば、歪みゲージセンサを用いることなく構成することができる。あるいは、静電容量方式の場合には、静電容量の変化に基づく出力信号の変化から荷重が検出できる場合も、歪みゲージセンサを用いることなく構成することができる。
【0095】
また、振動部50は、任意の個数の圧電振動子を用いて構成したり、タッチパネル20の全面に透明圧電素子を設けて構成したり、偏心モータを駆動信号の1周期で1回転させるようにして構成したり、することもできる。さらに、荷重検出部および振動部50は、圧電素子を用いて構成する場合は、圧電素子を共用して荷重検出部兼振動部を構成することもできる。圧電素子は、圧力が加わると電力を発生し、電力が加えられると変形するためである。
【0096】
また、上述したように、振動部50は、荷重検出部も兼ねる圧電素子の出力に基づいて検出される押圧荷重が所定の基準を満たした際に、当該圧電素子を駆動することにより振動を発生するようにもできる。ここで、圧電素子の出力に基づいて検出される押圧荷重が触感を呈示する基準を満たした際とは、検出される押圧荷重が触感を呈示する基準値に達した際であってもよいし、検出される押圧荷重が触感を呈示する基準値を超えた際でもよいし、圧電素子の出力に基づいて触感を呈示する基準値が検出された際でもよい。
【0097】
上述した実施の形態においては、タッチパネル20を表示部の上面に重ねて配置した構成を想定して説明した。本発明による電子機器は、このような構成にすることは必須ではなく、タッチパネル20と表示部とを離間した構成にすることもできる。しかしながら、タッチパネル20を表示部の上面に重ねて配置した構成とする方が、表示される画像と発生する振動との対応関係を、操作者に容易に認識させることができる。
【0098】
また、本実施の形態の説明における表示部およびタッチパネル20は、表示部と接触検出部との両機能を共通の基板に持たせる等により、一体化した装置によって構成されるようにしてもよい。このように表示部と接触検出部との両機能を一体化した装置の構成の一例としては、液晶パネルが有するマトリクス状配列の画素電極群に、フォトダイオード等の複数の光電変換素子を規則的に混在させたものを挙げることができる。この装置は、液晶パネル構造によって画像を表示する一方で、パネル表面の所望位置をタッチ入力するペンの先端で液晶表示用のバックライトの光を反射し、この反射光を周辺の光電変換素子が受光することによって、タッチ位置を検出することができる。
【0099】
なお、振動部50は、振動モータ(偏心モータ)などに基づいて電子機器を振動させることにより、タッチパネル20を間接的に振動させるように構成してもよいし、タッチパネル20に圧電素子を配設することにより、タッチパネル20を直接的に振動させるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0100】
1,2 電子機器
10 筐体
10a,10a’ 上部筐体
10b,10b’ 下部筐体
14,14’ 嵌合爪部
20 タッチパネル
30 ベゼル
40,40’ フレーム
42、42’ 嵌合部
44 脚部
50 振動部
60 支持子
70,72 伸縮性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルと、
前記タッチパネルを振動させる振動部と、
前記タッチパネルの縁辺部分に接着されたフレームと、
前記フレームが嵌め込まれた支持部材と、を備えた電子機器であって、
前記フレームは前記支持部材に嵌合する嵌合部を有するようにし、さらに前記支持部材と前記フレームまたは前記タッチパネルとの間が伸縮性部材で封止されるようにしたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記振動部は前記タッチパネルに接着された圧電素子であり、
前記フレームは、当該フレームの縁辺のうち前記圧電素子の伸縮方向と略直交する方向の縁辺に前記嵌合部を有するようにした、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記フレームは、前記支持部材によって支持される複数の脚部を有するように成形された弾性材料製であり、前記嵌合部は、前記支持部材の嵌合爪部に嵌合する複数の凹部を有する、請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記フレームの四隅において、当該フレームと前記支持部材との間の接着を補強する弾性材料製の支持子をさらに備える、請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記フレームは樹脂製であり、前記嵌合部は、前記支持部材の嵌合爪部に嵌合する複数の嵌合爪部を有し、当該複数の嵌合爪部は各々の脇側に切り込みを施すことによる弾性構造を有するようにした、請求項1に記載の電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−173893(P2012−173893A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33985(P2011−33985)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】