説明

電子機器

【課題】タッチパネルの振動を極力減衰させることなく、電子機器内への水や埃の入り込みを確実に抑制することができる電子機器を提供する。
【解決手段】タッチパネル21と、タッチパネル21を湾曲振動させる振動部22と、タッチパネル21を湾曲振動可能に筐体(支持部材)10に連結する連結片30とを備え、連結片30は、一端側に支持部材10に固定される固定端部30aを有し、他端側にタッチパネル21の縁部のうち湾曲振動の振動面に対して直交する向きに延在する縁部21cに連結される自由端部30bを備え、支持部材10は、タッチパネル21の裏面と間隔をおいて延在する壁部12aを有し、タッチパネル21と壁部12aとの間に、一端側がタッチパネル21又は連結片30と結合し他端側が壁部12aと結合して閉鎖空間を区画形成する環状の弾性体40を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関するものである。より詳細には、本発明は、タッチパネルに対する操作入力を検出して、操作感をフィードバックする電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、電子機器の入力装置として、タッチパネルやタッチパッドなどが広く採用されている。そのような入力装置において、操作者がタッチパネルやタッチパッドなどを操作した際に、タッチパネルやタッチパッドを湾曲振動させることにより、操作者の指先などに操作感をフィードバックするものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7は、特許文献1に記載の電子機器を分解した外観斜視図である。図7に示すように、特許文献1に記載の電子機器(ディスプレイ装置)は、ディスプレイモニタ100、パネル固定用フレーム210、タッチパネル400、およびカバー500を備えている。この電子機器は、タッチパネル400等の各部品が、上記ディスプレイモニタ100に対して組付けられることにより構成されている。
【0004】
特許文献1に記載の電子機器において、ディスプレイモニタ100は、液晶ディスプレイ(LCD)からなり、全体が矩形かつ扁平な形状を有している。ディスプレイモニタ100は、図示しない制御装置による制御に従って、例えばキーやボタン等のオブジェクトまたは各種の情報などを、その表示面に表示する。このディスプレイモニタ100の表示面上には、当該モニタ100とほぼ同じ大きさのタッチパネル400が位置するように組付けられる。
【0005】
タッチパネル400は、例えば透明な樹脂板にマトリクス状のスイッチ回路が形成され、パネル表面が操作者の指先などにより接触されると、その接触位置に応じた検出信号を前記制御装置に出力するように構成されている。つまり、操作者は、タッチパネル400を通して映し出されるディスプレイモニタ100の表示に従って当該パネル400に対して操作を行うことにより、前記電子機器に対して当該表示に応じた各種情報を入力することができる。
【0006】
この電子機器においては、図7に示すように、タッチパネル400の裏面側の上辺(図の奥側)および下辺(図の手前側)に沿って、一対の圧電素子(ピエゾ素子)420が貼り付けられている。タッチパネル400が操作者による接触を検出すると、この電子機器は、前記制御装置から圧電素子420に駆動信号(電圧)を付与する。この駆動信号を受信すると、圧電素子420は伸縮してタッチパネル400を変形(湾曲)させるため、この電子機器は、タッチパネル400の操作面に対して振動を発生させることができる。すなわち、上記操作に伴って、タッチパネル400が振動することにより、操作者は操作感を得ることができるようになっている。
【0007】
なお、この電子機器において、タッチパネル400は、パネル固定用フレーム210を介して前記ディスプレイモニタ100に組付けられている。パネル固定用フレーム210は、ABS等の硬質の樹脂材料から形成されることにより全体が剛性を有した構成となっている。
【0008】
図7に示すように、パネル固定用フレーム210には、前記タッチパネル400をその四隅において保持するホルダ220が組付けられる。図8は、4つのホルダ220のうち1つが、タッチパネル400の隅に取り付けられる様子を示す拡大図である。各ホルダ220には、タッチパネル400の角部を差込み可能なスリット状の差込み部360がそれぞれ形成されている。また、図7に示すように、パネル固定用フレーム210の周囲側面には、各側面それぞれの端部付近に、ホルダ220を固定するための固定孔320が設けられている。そして、図8に示すホルダ220に形成されたフック340aが、図7に示す各固定孔320に差し込まれることにより、各ホルダ220は、タッチパネル400をパネル固定用フレーム210に固定する。
【0009】
このように、各ホルダ220にタッチパネル400の四隅がそれぞれ差込まれると、各ホルダ220は、タッチパネル400を四隅で外側から拘束するとともに、厚み方向の両側からも拘束した状態で保持する。したがって、特許文献1に記載の電子機器は、タッチパネル400が固定されるように配置することができる。
【0010】
また、ホルダ220は、それぞれ、パネル固定用フレーム210よりも弾性係数の小さい材料から形成されており、例えばシリコーン系の樹脂またはゴムにより一体成型されている。このように、ホルダ220は、タッチパネル400を安定的に保持する一方で、タッチパネル400が振動できるように弾性変形可能に構成されている。なお、タッチパネル400とディスプレイモニタ100との間には、タッチパネル400の厚み方向の変位を可能とする隙間が確保される。このため、圧電素子420が振動する際に、当該振動に伴うタッチパネル400の厚み方向の変位が可能となっている。
【0011】
したがって、特許文献1に記載の電子機器は、タッチパネル400を振動させる際に、その振動を大きく妨げることがないようになっているため、タッチパネル400の振動による操作感を良好に確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2010−44497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上述したように、特許文献1に記載の電子機器は、タッチパネルの振動による操作感を良好に確保することができるとともに、タッチパネルが固定されるように配置することができる。
【0014】
ところで、特許文献1に記載の電子機器は、例えば車載用ナビゲーションシステムのディスプレイ装置などを想定しており、電子機器そのものの防塵対策および防水対策は特に施されていない。例えば、図7に示す電子機器を組み立てると、タッチパネル400は、弾性材料のホルダ220の差込み部360に差し込まれた状態で、つまりホルダ220を介して、パネル固定用フレーム210に取り付けられる。これは、タッチパネル400をパネル固定用フレーム210に強固に固定してしまうと、圧電素子420が振動する際に、タッチパネル400が厚み方向に変位せず、タッチパネル400を良好に振動させることができなくなるためである。したがって、タッチパネル400とパネル固定用フレーム210との間には、隙間ができることになり、当該隙間から埃や水分が浸入することが多分に想定される。
【0015】
そこで、特許文献1に記載の電子機器において、防塵対策として、例えば、タッチパネル400とパネル固定用フレーム210との間に防塵用クッションなどの部材を挿入することも考えられる。しかしながら、このような防塵用クッションは、ある程度圧縮可能な材質を用いたとしても、圧縮後の厚さの分だけタッチパネルが湾曲する物理的なスペースを奪ってしまうことになる。したがって、このような構造においては、タッチパネルが振動する際の振幅を稼ぐことができないという問題が生じる。
【0016】
また、特許文献1に示されている電子機器に対して防水を施す場合、外部からの埃や水の浸入を防ぐために、例えば、タッチパネル400と当該タッチパネル400の周囲を覆う部材との間を防水テープで固着するという対策が考えられる。例えば図7に示したように、パネル固定用フレーム210を介してタッチパネル400とディスプレイモニタ100とを組み合わせたものに、さらにカバー500を装着する場合、カバー500とタッチパネル400とを防水テープで固着することができる。このようにしてカバー500とタッチパネル400とを防水テープで固着すれば、カバー500とタッチパネル400との隙間を埋めることができるため、外部からの水の浸入を防ぐことができる。
【0017】
しかしながら、このようにカバー500とタッチパネル400とを防水テープで固着してしまうと、タッチパネル400が振動する際の振幅を稼ぐことができなくなってしまう。このように、タッチパネル装置に防水対策を施すと、同時にタッチパネルを振動させる際の振幅を減殺してしまうという問題がある。
【0018】
さらに、特許文献1に記載の電子機器において、タッチパネル400をパネル固定用フレーム210に固定しているのは、四隅のホルダ220のみである。また、このホルダ220は、上述したように、シリコーン系の樹脂またはゴムなどの弾性材料製である。このため、この電子機器は、例えば床に落下するなどして外から強い衝撃が加わると、ホルダ220によって固定された部分(例えば差込み部360)が衝撃に耐えきれず、タッチパネル400がホルダ220から外れて剥離してしまうなどの不都合が想定される。
【0019】
図7に示したように、タッチパネル400を組付けた後さらにカバー500を装着する場合は、タッチパネル400がホルダ220から外れたとしても、タッチパネル400がカバー500を経て脱落することはないようにも思われる。しかしながら、このような構成においても、タッチパネル400がホルダ220から外れると、すなわちタッチパネル400が剥離すると、カバー500内部においてタッチパネル400がずれたり、ぐらついたりするなどの不都合は避けられない。また、上述したように、タッチパネル400の剥離を防止するために、例えばタッチパネル400とカバー500とを頑丈に固定してしまうと、タッチパネル400が湾曲しにくくなるため、タッチパネル400を振動させる際の振幅を減殺してしまうという問題がある。
【0020】
そこで本発明は、圧電素子等によりタッチパネルを湾曲振動させる電子機器において、防水、防塵対策を施しつつ、振動の減衰をできるだけ抑えることができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成する第1の観点に係る電子機器の発明は、
タッチパネルと、
前記タッチパネルを湾曲振動させる振動部と、
前記タッチパネルを湾曲振動可能に支持部材に連結する連結片と、を備えた電子機器であって、
前記連結片は、一端側に前記支持部材に固定される固定端部を有し、他端側に前記タッチパネルの縁部のうち前記湾曲振動の振動面に対して直交する向きに延在する縁部に連結される自由端部を備え、
前記支持部材は、前記タッチパネルの裏面と間隔をおいて延在する壁部を有し、
前記タッチパネルと前記壁部との間に、一端側が前記タッチパネル又は連結片と結合し他端側が前記壁部と結合して閉鎖空間を区画形成する環状の弾性体を設けたことを特徴とするものである。
【0022】
第2の観点に係る発明は、第1の観点に係る電子機器において、
前記弾性体は、前記タッチパネルの湾曲振動に応じて伸縮する伸縮部を備える、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明よれば、圧電素子等によりタッチパネルを湾曲振動させる電子機器において、タッチパネルの振動を極力減衰させることなく、電子機器内への水や埃の入り込みを抑制することができる電子機器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電子機器の全体を示す斜視図である。
【図2】図1のA−Aに沿う断面図である。
【図3】図1のB−Bに沿う断面図である。
【図4】タッチパネルの周辺に配設される部材について、図2のC−Cに沿う断面図である。
【図5】タッチパネルの湾曲振動における振動面を説明する図である。
【図6】本発明の他の実施の形態に係る電子機器に関し、図1のA−Aに準じた位置での断面図である。
【図7】従来の電子機器の構造を説明する図である。
【図8】従来の電子機器の構造を説明する他の図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して説明する。
【0026】
図1は、本発明の一実施の形態に係る電子機器の全体を示す斜視図である。本実施の形態に係る電子機器1は、外観上、上部筐体11と、下部筐体12と、タッチパネル21とを備えている。なお、タッチパネル21については後述する。
【0027】
上部筐体11及び下部筐体12は、両者が一体に組み合わさることにより、筐体10を構成する。これら上部筐体11と下部筐体12との間は、これらが一体に組み合わされた状態においては、図示は省略するが例えばゴム製のパッキンを介した密閉構造にする等して、適当な防水および防塵の措置がなされている。上部筐体11及び下部筐体12は、例えば樹脂製のケースなどとして、ある程度の衝撃に耐えうる素材により構成するのが好適である。なお、以下の説明においては、上部筐体11と下部筐体12との組み合わせ構造については、詳細な説明を省略する。
【0028】
図2は、図1に示す電子機器1につき、図1のA−Aに沿う断面図であり、図3は、図1のB−Bに沿う断面図であり、図4は、タッチパネルの周辺に配設される部材について、図2のC−Cに沿う断面図である。図示のように電子機器1は、筐体10の内部にタッチパネル21を備えていて、操作領域21aが筐体10から露出している。また、タッチパネル21は、連結片30を介して筐体10に支持されている。さらにタッチパネル21と、このタッチパネル21裏面と間隔をおいて対向する筐体10の壁部との間には、環状の弾性体40が配設されている。
【0029】
本実施の形態においてタッチパネル21は、例えば透明の樹脂材によって形成されている。図4に示す例で、タッチパネル21は長方形状となっているが、正方形状であってもよい。本明細書において「長方形状」、「正方形状」とは、各辺が直線である場合に限らず、円弧である場合も含むものである。
【0030】
また本実施の形態においては、図4に示すように、2個の振動部22が、タッチパネル21の短辺側の近傍において、その短辺側の縁部21bに沿う向きにほぼ並行に延在していて、例えば両面テープや接着剤等によってタッチパネル21の裏面に固着されている。
【0031】
この振動部22は、所定の振動パターンによる振動を発生させることにより、タッチパネル21の操作領域21aに接触している接触物に対して触感を呈示する。本実施の形態において、振動部22は、例えば圧電素子であって、例えば図2に例示する回路基板50上の制御部から供給される駆動信号に基づいて、長手方向に伸縮変位する。これにより、タッチパネル21を、図1に矢印で示す向き、すなわち、長辺側よりも短辺側が大きく撓む向きに湾曲振動させることができる。
【0032】
タッチパネル21は、例えば図2に例示する表示部60の前面に配置して、表示部60に表示したオブジェクトに対する操作者の指やスタイラスペン等(以下、単に「接触物」と総称する)による接触を、対応するタッチパネル21の操作領域において検出する。したがって、本実施の形態において、「タッチパネル」とは、例えばLCD等とすることができる表示部60の前面に配置する、すなわち当該表示部60とは別に設けられる部材を想定して説明する。また、タッチパネル21は、操作領域21aに対する接触物の接触の位置を検出し、当該検出した接触の位置を、例えば上述した回路基板50上の制御部に通知する。
【0033】
このタッチパネル21は、例えば抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の公知の方式のもので構成されたタッチパネルを用いることができる。なお、タッチパネル21が接触物による接触を検出する上で、接触物がタッチパネル21に物理的に触れることは必須ではない。例えば、タッチパネル21が光学式である場合は、タッチパネル21は当該タッチパネル21上の赤外線が接触物で遮られた位置を検出するため、接触物がタッチパネル21に触れることは不要である。
【0034】
上述した表示部60は、例えばキーのような押しボタンスイッチ(プッシュ式ボタンスイッチ)等のオブジェクトを画像で表示する。このオブジェクトは、タッチパネル21の操作領域21a上において接触すべき領域を操作者に示唆する画像である。また、押しボタンスイッチとは、操作者が入力の操作に用いるボタンやキー等(以下、単に「キー等」と総称する)である。この表示部60は、例えば、液晶表示パネル(LCD)や有機EL表示パネル等を用いて構成される。なお本明細書においては、表示関連の事項については、詳細な説明を省略する。
【0035】
また連結片30は、図2に示すように、一端側が上部筐体11に固定される固定端部30aであって、他端側が自由端部30bとなる片持ち支持構造となっている。本実施の形態において連結片30は、例えば金属製の板であって、固定端部30aに対して自由端部30bを撓ませることができる。図示の例では、連結片30に孔30c(図4参照)を設けて、ねじ31によって上部筐体11に固定しているが、両面テープや接着剤によって両者を固着させてもよいし、インサート成型によって接合してもよい。
【0036】
上述した連結片30の自由端部30bは、タッチパネル21の縁部のうち、湾曲振動の振動面に対して直交する向きに延在する縁部と、防水テープ70を介して連結する。これにより、連結片30とタッチパネル21との間からの水の浸入や埃の入り込みを阻止することができる。ここで湾曲振動の「振動面」とは、図5に示すように、タッチパネル21が湾曲振動する際に、振幅の変動する向きに沿う面を示す。すなわち、図1に示すように、タッチパネル21が長辺側よりも短辺側が大きく撓む向きに湾曲振動する場合には、湾曲振動の振動面に対して直交する向きとは、図4に示すタッチパネル21の長辺側の縁部21cに沿う向きとなる。また、振動部22に圧電素子を用いる場合においては、当該圧電素子の延在する向きと直交する向きが、湾曲振動の振動面に対して直交する向きとなる。本実施の形態においては、図2、図4に示すように、2つの連結片30のそれぞれの自由端部30bが、タッチパネル21の各長辺側の縁部21cに連結されていている。これにより、上部筐体11に対してタッチパネル21を所期する位置に保持することができる。この場合、湾曲振動時に大きく振幅するタッチパネル21の短辺側の縁部21bは、上部筐体11に直接連結されていないので、湾曲振動を妨げることがない。一方、タッチパネル21の長辺側の縁部21cは、連結片30を介して上部筐体11に連結されているものの、長辺側の縁部21cの振幅量は小さいので、湾曲振動の減衰を極力抑えることができる。さらに、自由端部30bは固定端部30aに対して撓むため、より湾曲振動の減衰を抑えることができる。
【0037】
さらに、図2、図3に示すようにタッチパネル21の裏面には、弾性体40が設けられている。弾性体40は、水は浸透させず、しかもある程度の弾性を有することが必要であって、このようなものとしては、例えばシリコーンゴムが挙げられる。ここで弾性体40は、図2〜4に示すように、タッチパネル21側に位置する基部40aと、基部40aから垂下される周壁40bと、周壁40bの垂下端部に設けられた足部40cとからなり、それら基部40a、周壁40b、足部40cは、いずれもタッチパネル21の外周に沿う環状となっている。また本実施の形態において基部40aは、タッチパネル21の長辺側の縁部21cの中間部においては、図2に示すように連結片30と、例えば接着剤や一体成型等によって水密に結合している。また、基部40aのうち連結片30との連結部位を除いた部位は、図3に示すように、上述した防水テープ70によって、タッチパネル21と結合している。すなわち、本実施の形態においては、基部40aの厚さを、図3に示すタッチパネル21と連結する部位に対して、図2に示す連結片30と連結する部位では連結片30の分だけ薄くしている。また防水テープ70の形状を、タッチパネル21の外周に沿う環状としている。これにより、タッチパネル21と弾性体40とは、タッチパネル21の全周に亘って水密に連結することができる。
【0038】
一方、タッチパネル21裏面と間隔をおいて対向する筐体10の壁部、すなわち図2、図3に示す例において下部筐体12の壁部12aは、環状の溝12bを備えている。そして溝12bに弾性体40の足部40cを嵌合させて、周壁40bによって取り囲まれる内側に閉鎖空間Sを区画形成している。これにより、閉鎖空間S内への水の浸入や埃の入り込みを阻止することができる。なお、足部40cと壁部12aとの結合は、例えば接着剤や防水テープによるものでもよい。
【0039】
また、タッチパネル21の表面には、そのタッチパネル21の外周に沿う環状の防塵部材80が設けられている。防塵部材80は、タッチパネル21の操作領域21aからの埃や塵が電子機器1の内部に侵入することを防止するものである。防塵部材80としては、タッチパネル21の振動を極力妨げないように、例えばスポンジ等の発泡材や硬度の低い非発泡材が用いられる。
【0040】
上記のように構成される本実施の形態における電子機器1は、例えばLCD等の表示部60にキー等を表示させることで、操作領域21aを通してそのキー等が視認される。ここで操作者が、接触物によって、キー等が視認される部位の操作領域21aに触れると、振動部22が作用して、タッチパネル21が、図1に矢印で示す、長辺側よりも短辺側が大きく撓む向きに湾曲振動する。ここでタッチパネル21は、湾曲振動の振幅量が少ない長辺側の縁部21cで支持されており、しかもタッチパネル21と連結する連結片30は、上部筐体11に対して撓むことができるので、湾曲振動の減衰を極力抑えることができる。これにより、操作領域21aに触れている接触物に対して、例えば押しボタンスイッチを押した如き触感を確実に呈示することができる。ここで、タッチパネル21の裏面に取り付けられている弾性体40は、その材質上、湾曲振動に伴って伸縮することができるので、湾曲振動をほとんど阻害することがない。さらに、タッチパネル21、連結片30、及び上部筐体11との間は、上述した防水テープやねじ等によって結合されているので、タッチパネル21が電子機器1から剥離するおそれを十分に排除することができる。加えて本実施の形態においては、回路基板50及び表示部60を閉鎖空間S内に載置しているので、これら回路基板50及び表示部60に対して十分な防塵、防水効果を施すことができる。
【0041】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変形または変更が可能である。例えば、振動部22は2個に限られず、所要の湾曲振動の振幅に応じて任意の個数とすることができる。
【0042】
また、図6に示すように、弾性体40の周壁40bに蛇腹状の伸縮部40dを設ける場合は、弾性体40の材質そのものの伸縮だけでなく、伸縮部40dの形状によっても伸縮するので、タッチパネル21の湾曲振動の減衰をさらに抑制することができる。
【0043】
そして本実施の形態においては、上述した上部筐体11及び下部筐体12で構成される筐体10が「支持部材」を構成するものであって、当該支持部材は、ディスプレイなどの表示部や制御部等を構成する基板などを含まないものとして説明した。しかしながら、本発明において、「支持部材」は上部筐体11及び下部筐体12に限定されず、例えば、表示部60、回路基板50など、種々の部材を支持部材とすることもできる。
【0044】
また、本発明は、タッチパネル21と連結する連結片30及び弾性体40を中心に特徴を有するものであり、その他の構成要素については、本明細書において説明した以外にも、種々の構成を採用することができる。例えば、上述した各実施の形態においては、タッチパネル21の裏側に配置した表示部60にオブジェクトを表示してタッチパネル21が操作者の接触を検出する態様について説明した。しかしながら、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば表示部60を有さずに、タッチパネルの操作領域21a上にオブジェクトがインクなどにより直接印刷されているような態様を想定することもできる。
【0045】
そして、上記実施の形態では、タッチパネル21を用いて、当該タッチパネル21の操作領域21aに対する接触を検出した。すなわち、上記実施の形態において、「タッチパネル21」は、いわゆるタッチセンサのような部材を想定して説明した。しかしながら、本発明による電子機器に用いるタッチパネルは、操作者の指やスタイラスペンなどの接触物により接触されるものであれば任意のものとすることができる。
【0046】
例えば、本発明による電子機器に用いるタッチパネル21は、操作領域21aに対する接触物の接触の位置を検出しない(つまりセンシング機能を有さない)、単なる「パネル」のような部材とすることもできる。このような構成の電子機器においては、例えば、押圧の荷重を検出する荷重検出部をさらに設けることにより、所定の押圧荷重の基準を満たした場合に、タッチパネルに対する接触がなされたものと判定することができる。このような荷重検出部は、任意の個数の歪みゲージセンサ等をタッチパネルに設けたものとして構成することができる。
【0047】
また、上記実施の形態では、タッチパネル21を用いて、当該タッチパネルの操作領域21aに対する接触を検出した。しかしながら、タッチパネルに対する押圧の荷重を検出して、所定の押圧荷重の基準が満たされた場合に、タッチパネルに対する接触がなされたものと判定することもできる。このような荷重の検出を行う場合、任意の個数の歪みゲージセンサ等をタッチパネルに設けて、押圧によるタッチパネルの歪みを検出することにより、当該歪みからタッチパネル対する押圧の荷重を算出するなどの構成を想定することができる。
【0048】
このような荷重の検出は、タッチパネルにおける接触検出方式に応じて各種の構成を想定することができる。例えば、抵抗膜方式の場合には、接触面積による抵抗変化に基づく出力信号の変化から荷重が検出できれば、歪みゲージセンサを用いることなく構成することができる。あるいは、静電容量方式の場合には、静電容量の変化に基づく出力信号の変化から荷重が検出できる場合も、歪みゲージセンサを用いることなく構成することができる。
【0049】
また、振動部22は、タッチパネル21の全面に透明圧電素子を設けて構成したり、偏心モータを駆動信号の1周期で1回転させるようにして構成したり、することもできる。さらに、荷重検出部および振動部は、圧電素子を用いて構成する場合に、圧電素子を共用して荷重検出部兼振動部を構成することもできる。圧電素子は、圧力が加わると電力を発生し、電力が加えられると変形するためである。
【0050】
また、上述したように、振動部22は、荷重検出部も兼ねる圧電素子の出力に基づいて検出される押圧荷重が所定の基準を満たした際に、当該圧電素子等を駆動させて振動を発生するようにもできる。ここで、圧電素子の出力に基づいて検出される押圧荷重が触感を呈示する基準を満たした際とは、検出される押圧荷重が触感を呈示する基準値に達した際であってもよいし、検出される押圧荷重が触感を呈示する基準値を超えた際でもよいし、圧電素子の出力に基づいて触感を呈示する基準値が検出された際でもよい。
【0051】
上述した実施の形態においては、タッチパネル21を表示部の上面に重ねて配置した構成を想定して説明した。本発明による電子機器は、このような構成にすることは必須ではなく、タッチパネルと表示部とを離間した構成にすることもできる。しかしながら、タッチパネルを表示部の上面に重ねて配置した構成とする方が、表示される画像と発生する振動との対応関係を、操作者に容易に認識させることができる。
【0052】
また、本実施の形態の説明における表示部およびタッチパネルは、表示部と接触検出部との両機能を共通の基板に持たせる等により、一体化した装置によって構成されるようにしてもよい。このように表示部と接触検出部との両機能を一体化した装置の構成の一例としては、液晶パネルが有するマトリクス状配列の画素電極群に、フォトダイオード等の複数の光電変換素子を規則的に混在させたものを挙げることができる。この装置は、液晶パネル構造によって画像を表示する一方で、パネル表面の所望位置をタッチ入力するペンの先端で液晶表示用のバックライトの光を反射し、この反射光を周辺の光電変換素子が受光することによって、タッチ位置を検出することができる。
【0053】
なお、振動部22は、振動モータ(偏心モータ)などに基づいて電子機器を振動させることにより、タッチパネルを間接的に振動させるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 電子機器
10 筐体(支持部材)
11 上部筐体
12 下部筐体
12a 壁部
12b 溝
21 タッチパネル
21a 操作領域
21b タッチパネルの短辺側の縁部
21c タッチパネルの長辺側の縁部
22 振動部
30 連結片
30a 固定端部
30b 自由端部
40 弾性体
40a 基部
40b 周壁
40c 足部
40d 伸縮部
50 回路基板
60 表示部
S 閉鎖空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルと、
前記タッチパネルを湾曲振動させる振動部と、
前記タッチパネルを湾曲振動可能に支持部材に連結する連結片と、を備えた電子機器であって、
前記連結片は、一端側に前記支持部材に固定される固定端部を有し、他端側に前記タッチパネルの縁部のうち前記湾曲振動の振動面に対して直交する向きに延在する縁部に連結される自由端部を備え、
前記支持部材は、前記タッチパネルの裏面と間隔をおいて延在する壁部を有し、
前記タッチパネルと前記壁部との間に、一端側が前記タッチパネル又は連結片と結合し他端側が前記壁部と結合して閉鎖空間を区画形成する環状の弾性体を設けたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記弾性体は、前記タッチパネルの湾曲振動に応じて伸縮する伸縮部を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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