説明

電子機器

【課題】 電子部品ユニットを衝撃から守るため、緩衝部材が所定の量だけ弾性変形して当接する緩衝構造では、対向する緩衝部材間の寸法が電子部品ユニットの寸法より小さいため組立が困難である。
【解決手段】 電子部品ユニットの受面と組立方向の面からなる角を、組立方向に対して所定の角度をなす緩衝部材の斜面で受けることで、組立性の良い電子部品ユニットの緩衝構造を得る。
具体的には、パッチアンテナの角を方形、もしくは三角形断面の緩衝部材の辺方向の面で受ける構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の耐衝撃構造に関し、例えば、アンテナを内蔵する電子機器において、アンテナ保持構造の耐衝撃構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子機器の内蔵する電子部品ユニットの保持構造は、電子部品ユニットに対して所定の方向、例えば上下、左右および前後方向で、電子部品ユニットに緩衝部材を当接して保持する耐衝撃構造であった。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−298157号公報(図7)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図10に基づいて従来の技術を説明する。
図10は、緩衝部材821ないし824を配設した保持部材810に対して、図中上方から電子部品ユニット830を組み立てる途中の状態を示す説明図で断面図であり、GPS衛星からの電波を受信する時計としての例である。
電子部品ユニット830は回路基板832に、パッチアンテナ831や他の部品(不図示)を実装して構成され、支持部材810に配設した緩衝部材821ないし824がパッチアンテナ831に当接して保持する耐衝撃構造である。
【0005】
上下方向の衝撃に対しては、パッチアンテナの受信面8311を緩衝部材823および824の上面8231および8241が当接して保持し、左右方向の衝撃に対しては、パッチアンテナの右の面8312を緩衝部材821の左の面8212が当接するとともに、パッチアンテナの左の面8313を緩衝部材822の右の面8222が当接して保持する。
【0006】
パッチアンテナ831を実装した電子部品ユニット830を衝撃から守るために、電子部品ユニット830に実装したパッチアンテナ831対して緩衝部材821ないし824は所定の量だけ弾性変形してパッチアンテナ831に当接する。
【0007】
左右方向の衝撃に対応する緩衝部材821および822は、電子部品ユニット830が組み立てられた状態で、それぞれパッチアンテナ831の右の面8312および左の面8313に対して弾性変形して当接するから、パッチアンテナ831の右の面8312と左の面8313の間の寸法aに対して、弾性変形する前の緩衝部材821の左の面8212と緩衝部材822の右の面8222の間の寸法bは小さくなる。
【0008】
寸法a>寸法bであるから、前記寸法電子部品ユニット830は組み立ての途中で、アンテナ831の受面8311が緩衝部材821および822の上面8213および8223に接触するため、電子部品ユニット830の組立性が悪いという課題がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、電子部品ユニットに弾性変形した緩衝部材が当接して電子部品ユニットを衝撃から守る構造でありながら、組立性の良い耐衝撃構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するため、電子部品ユニットと、該電子部品ユニットを保持する保持部材と、該保持部材と前記電子部品ユニットに挟まれて配置され、前記電子部品ユニットや他部品の衝撃による破損を防ぐ緩衝部材とを備え、前記電子部品ユニットは、平面方向に広がる面であって、前記保持部材に対向する受け面と、断面方向に広がる外周面とを有し、前記緩衝部材は、該受け面と該外周面とで形成される角を保持するように配置される、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、前記緩衝部材が、前記電子部品ユニットの角を受けるための平面を有し、該平面は組立方向に対して傾斜するように配置される、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、前記電子部品ユニットの、前記受け面と断面方向で反対側にある面側から、前記電子部品ユニットを前記緩衝部材に押し付けるように押圧する押圧部材を有する、ことを特徴とする。
また、本発明は、前記電子部品ユニットがパッチアンテナを実装した回路ブロックであり、前記受け面が前記パッチアンテナの受信面である、ことを特徴とする。
また、本発明は、前記押圧部材が前記回路ブロックに電位を供給する導電部材を兼用する、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、前記押圧部材が非伝導性材料で形成される、ことを特徴とする。
また、本発明は、前記保持部材の前記緩衝部材が配置される部分に、前記保持部材を貫通する穴を有する、ことを特徴とする。
また、本発明は、前記電子部品ユニットが電池であり、前記受面が電池の上面または底面である、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、前記電子部品ユニットが電池であり、前記受面が電池の上面または底面である、ことを特徴とする。
また、本発明は、前記電子部品ユニットの角と前記平面との間で組立方向の位置公差と組立方向に垂直な方向の位置公差を考えるとき、前記緩衝部材の前記電子部品ユニットの角を受けるための平面と組立方向との間になす角度は、前記組立方向の位置公差が前記組立方向に垂直な方向の位置公差より大きい場合は前記角度が45°より小さく、前記組立方向の位置公差が前記組立方向に垂直な方向の位置公差より小さい場合は前記角度が45°より大きい、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の耐衝撃構造によれば、電子部品ユニットに緩衝部材が当接して耐衝撃性を確保するとともに、組立が容易である、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明のパッチアンテナを実装した回路ブロックに対する耐衝撃構造を示す説明図で、断面図である。
【図2】本発明のパッチアンテナを実装した回路ブロックに対する耐衝撃構造の組立手順を示す説明図で、分解組立図の断面図である。
【図3】本発明のパッチアンテナを実装した回路ブロックに対する緩衝部材の配置を示す説明図で、分解組立図の斜視図である。
【図4】本発明の緩衝部材の配置を示す説明図で、支持部材を上方から見た図である。
【図5】本発明のパッチアンテナを実装した回路ブロックに対する耐衝撃構造で、受面と反対側を非導電部材で押圧する場合を示す説明図で、断面図である。
【図6】本発明の電池に対する耐衝撃構造を示す説明図で、断面図である。
【図7】本発明の電池に対する耐衝撃構造の組立手順を示す説明図で、分解組立図の斜視図である。
【図8】本発明の電池に対する耐衝撃構造の電池の正極を上方とした場合を示す説明図で、断面図である。
【図9】本発明のパッチアンテナを実装した回路ブロックに対する耐衝撃構造で緩衝部材が三角柱形状の場合を示す説明図で、断面図である。
【図10】従来の技術による耐衝撃構造を示す説明図で、断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の耐衝撃構造について、説明する。
【実施例1】
【0018】
以下、本発明の実施例1を図面に基づいて詳述する。
【0019】
本実施例は、GPS信号などを受信するためのパッチアンテナを搭載した電子機器、例えば、時計として説明を行う。図1は、本発明のパッチアンテナを実装した回路ブロックに対する耐衝撃構造を示す断面図である。
【0020】
30は回路ブロックである。回路ブロック30は、回路基板32にパッチアンテナ31や集積回路33などを実装し構成される。回路基板32には、他の部品も実装されているが、本発明の説明に関連しないため、図示は省略している。
【0021】
パッチアンテナ31は、図中下方の面が受信面311である。本実施例のパッチアンテナ31は方形であるので、受信面311と厚み方向との角は図中手前側と奥側にも存在するが、説明を簡単にするため、図中手前側と奥側については図示を省略する。
【0022】
10は保持部材であり、パッチアンテナ31を保持する。201,201は緩衝部材であり、衝撃や振動などで、パッチアンテナ31が保持部材10と直接接触し、破損するのを防止する。周知の如く、パッチアンテナ31はセラミックなどの脆性材料で構成されるため衝撃などで破損しやすく、201,201のような緩衝部材の配置は必須である。
本実施例では、保持部材10の所定の位置に四角柱形状の緩衝部材201および202を傾斜させて配設している。これにより、緩衝部材201および201は、パッチアンテナ31の受信面311の外縁部となる角314および315に対向する緩衝部材の斜面2011および2021でパッチアンテナ31に当接する。
【0023】
このとき、緩衝部材201および202とパッチアンテナ31とが寸法的に干渉する分は緩衝部材201および202が弾性変形し、パッチアンテナ31に対して適度な反発力で図中上方に押し上げるとともに、パッチアンテナ31の寸法公差や実装位置の誤差を吸収する。
【0024】
支持部材40は、パッチアンテナ31の給電部312(図2参照)と集積回路33が収まる空間を確保するための部材であり、回路押さえ50は、後述の如く、支持部材40を抑える役割を果たしている。
【0025】
回路押さえ50は押圧部材51を有し、回路押さえ50が組み立てられた状態で押圧部材51は弾性変形して、パッチアンテナ31の上側で回路基板32の受信面311とは反対向きの面を図中下方に押圧する。
【0026】
このとき、押圧部材51の図中下方への押圧力は、緩衝部材201および202の発生する反発力の総和より大きくして、組立時や衝撃時に保持部材10から回路ブロック30が浮き上がるのを防止する。
【0027】
緩衝部材201および202は、パッチアンテナ31の受信面311の外縁部となる角314および315に対向する緩衝部材の斜面2011および2021でパッチアンテナ31に当接するから、パッチアンテナ31と保持部材10との間には、図中下方向と図中左右方向に緩衝部材201および202が介在する。
【0028】
衝撃により、パッチアンテナ31が図中下方向と左右方向に移動しようとする場合は、パッチアンテナ31と保持部材10との間に介在する緩衝部材201および202によって直接衝撃を吸収し、パッチアンテナ31が図中上方に移動しようとする場合は一旦押圧部材51の押圧力で受け、パッチアンテナ31が図中下方に戻る際に緩衝部材201および202によって衝撃力を吸収する。
【0029】
回路押さえ50は、図1では図示しない電池と電気的に導通して接地電位となっており、押圧部材51が回路基板32に押圧する事で、回路ブロック30およびパッチアンテナ31に接地電位を供給している。
すなわち、押圧部材51は、回路ブロック30を保持部材10に押圧する押圧部材としての役割を、回路基板32に電位を供給する電気接点としての役割を兼ねている。これにより、部品点数の削減と省スペースを実現している。
【0030】
また、保持部材10は、保持部材10の緩衝部材201および202が配置される部分に、保持部材10を貫通するのぞき穴1011および1012を有する。
【0031】
のぞき穴1011および1012は、保持部材10に緩衝部材201および202を配設して回路ブロック30を組み立てた後に、緩衝部材201および202の有無を確認するために用いる。
図2は、本発明のパッチアンテナを実装した回路ブロックに対する耐衝撃構造の組立手順を示す説明図で、分解組立図の断面図である。
【0032】
図中下方から保持部材10、緩衝部材201および202、回路ブロック30、支持部材40、回路押さえ50であり、保持部材10に対して、図中上方から下方が組立方向100である。
【0033】
保持部材10は、四角柱形状の緩衝部材201および202を傾斜して配置するための傾斜した面を持つ凹部1021および1022を有する。
【0034】
凹部1021および1022に緩衝部材201および202を配置すると、斜面2011および2021は、図中上方から下方の組立方向に対して所定の角度を持った斜面となり、斜面2011および2021は回路ブロック30を上方から組み立てると、パッチアンテナ31の受信面311外縁の角314および315を受ける。
【0035】
回路ブロック30の上に支持部材40を重ね、さらに図中上方より回路押さえ50を重ねて図2では図示しないねじで支持部材10に固定する。
【0036】
図10に示す従来技術では、上下左右各方向の衝撃を受けるため、緩衝部材を上下用と左右用に分けて設置する必要があり、部品数が増えてしまう問題があった。さらに、パッチアンテナの横方向の寸法aが、緩衝部材が構成する空間の寸法bより大きいため、入れ込むための作業性は良くなかった。
これに対し、本発明の構造では、パッチアンテナ31の受信面の角314および315を緩衝部材201および202の1面で受けている。従って、緩衝部材の部品数を削減することが可能となる。また、組込みに当たりパッチアンテナ31の側面が緩衝部材201および202と干渉しないので、組み込みも非常に容易である。
【0037】
なお、保持部材10には、パッチアンテナ31の給電ピン313を避けるための穴101が空けられている。このため、受信面311と対向する面102との隙間を詰めることが可能となる。これにより、緩衝部材201,202の小型化と電子機器全体の薄型化が可能となる。
【0038】
図3は、本発明のパッチアンテナを実装した回路ブロックに対する耐衝撃構造における緩衝部材の配置を示す説明図で、分解組立図の斜視図である。
説明を簡単にするため、回路基板32は外形のみを示し、回路押さえ50、支持部材40、パッチアンテナ31以外の回路基板32上の実装部品は省略した。
【0039】
パッチアンテナ31は略四角柱形状であり、図中見えない受信面311の外縁部の角は略四角形となるので、各辺に緩衝部材201ないし204の4つを配置する。
保持部材10には、4つの緩衝部材201ないし204のそれぞれを傾斜して配置するための凹部1021ないし1024が設けている。但し、凹部1021および1024は図中見えない位置に配置されている。
【0040】
パッチアンテナ31の受信面311の外縁部の角を受ける、緩衝部材201ないし204の斜面2011ないし2041を、図中上方から下方の組立方向に対して所定の角度を持った斜面とする事で、パッチアンテナ31を実装した回路ブロック30に対して全方向からの衝撃を緩衝部材201ないし204で受ける耐衝撃構造でありながら、耐衝撃構造を構成する部材を保持部材10に対して図中上方から下方の組立方向100で組み立てるのみという簡便な組立が可能な構造になっている。
【0041】
図4は、支持部材10を回路ブロック30の組立方向から見た平面図である。図中左側の四角形に囲まれた部分にパッチアンテナ31が位置する。
【0042】
緩衝部材201ないし204をそれぞれ傾斜して配設するための凹部1021ないし1024が、略四角柱形状のパッチアンテナ31の受信面311の外縁部である4つの辺に対応して配置されている。
【0043】
凹部1021ないし1024には、支持部材10を貫通するのぞき穴1011ないし1014が設けられている。
【0044】
凹部1021ないし1024、およびのぞき穴1011ないし1014の形状や配置は、図4の形状に限定されない。図4では、凹部1021ないし1024、およびのぞき穴1011ないし1014の配置は非対称な形状であるが、もちろん対象形状でも良い。図4では、のぞき穴1011ないし1014は四角形であるが、円形やその他形状でも良い。
要は、図中省略されている他の部材や機構部品の配置、支持部材10を成型する金型設計などを考慮し、適宜決定すれば良い。
【0045】
但し、のぞき穴1011ないし1014については、あまり大きいと緩衝部材201ないし204の安定固定に支障をきたす可能性があるので、その点は考慮すべきである。
また、パッチアンテナ31の給電ピン313を避けるための穴101が異形となっているのは、支持部材10の図中見えない側に配置する、図示を省略した機構部品を避けるためである。
【0046】
図1では、組立方向100に対して緩衝部材201ないし204の斜面2011ないし2041は60°の角度を持った斜面としている。
これは、斜面2011ないし2041の組立方向100に対する角度を45°とした場合、回路ブロック30を組み立てた状態で受信面311外縁の角314および315に対して、緩衝部材201の下方と右方向および緩衝部材202の下方と左方向の厚みが同等となる利点はあるが、回路ブロック30の組立状態で、受信面311外縁の角314および315の支持部材10に対する位置公差が、上下方向より左右方向の方が大きくなるため、左右方向に斜面の寸法を大きく取るためである。
【0047】
図5は、図1と同様に本発明のパッチアンテナを実装した回路ブロックに対する耐衝撃構造を示す断面図であるが、パッチアンテナ31の受面311と反対の面を非導電部材で押圧する例を示す。
以下、図5を基に図1と相違する点を主に記述する。非導電部材であるプラスチックで成型された支持部材40は、パッチアンテナ31の給電部312と集積回路33が収まる空間を確保するための部材である。
【0048】
支持部材40は押圧部材45を有し、支持部材40が組み立てられた状態で押圧部材45は弾性変形して、パッチアンテナ31の上側で回路基板32の受信面311とは反対向きの面を図中下方に押圧する。
【0049】
このとき、押圧部材45の図中下方への押圧力は、緩衝部材201および202の発生する反発力の総和より大きくして、組立時や衝撃時に保持部材10から回路ブロック30が浮き上がるのを防止する。
【0050】
衝撃により、パッチアンテナ31が図中上方に移動しようとする場合は一旦押圧部材45の押圧力で受け、パッチアンテナ31が図中下方に戻る際に緩衝部材201および202によって衝撃力を吸収する。
【0051】
以上のように、押圧部材45が非導電部材であっても耐衝撃構造としての効果は同じとなる。押圧部材45が非導電部材の場合、パッチアンテナ31での受信に影響を与えないので、導電部材の押圧部材51が、パッチアンテナ31の裏側に近接することで受信に影響する場合に有効である。
【実施例2】
【0052】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳述する。本実施例は、実施例1と同様の構造を電池の保持にも適用したものである。
最近は多機能化に伴い電池も大型化、重量化する傾向にある。実施例1に示すパッチアンテナを搭載する高周波を受信する場合も同様である。電池はパッチアンテナのような脆性部品ではないので、電池自体が破損する心配は少ないが、その重量により、衝撃時に電子機器内の他の部材に影響を与える可能性がある。従って、電池の保持についても耐衝撃構造を取ることは、このような電子機器にとって有効である。
図6は、本発明の電池に対する耐衝撃構造を示す断面図である。
【0053】
回路基板32の上に、使用時は弾性変形して電池60に当接する導通部材80を配置し、この導通部材80の上に電池を配置して、回路押さえ50に設ける押圧部材52で図中下方に押圧されている。
【0054】
支持部材40の電池収納部401は電池60の直径よりわずかに大きい直径の円形の穴であり、電池収納部401の下端には円環形状の緩衝部材205を配置するための凹部4011が設けられている。
【0055】
凹部4011に緩衝部材205を配置すると、緩衝部材205の円錐面2051の中心
軸と電池60の組立方向は、図中上下方向で一致する。
電池60下側の電極面601は外縁部の角603を緩衝部材205の円錐面2051に当接し、緩衝部材205と電池60とが寸法的に干渉する分は緩衝部材205が弾性変形して、電池60を適度な反発力で図中上方に押し上げるとともに、電池60の寸法公差を吸収する。
【0056】
電池60の直径方向は全周にわたって支持部材40との間に緩衝部材205が介在し、電池60の下方は回路基板32との間に緩衝部材205が介在する。
【0057】
衝撃により、電池60が図中下方向に移動しようとする場合は電池60と回路基板32との間に介在する緩衝部材205が、電池60が直径方向に移動しようとする場合は、電池60と支持部材40との間に介在する緩衝部材205によって直接衝撃を吸収し、電池60が図中上方に移動しようとする場合は一旦押圧部材52の押圧力で受け、電池60が図中下方に戻る際に電池60と回路基板32との間に介在する緩衝部材205によって衝撃力を吸収する。
【0058】
図7は、本発明の電池に対する耐衝撃構造における緩衝部材の組立手順を示す説明図で、分解組立図の斜視図である。
【0059】
回路ブロック30の回路基板32の上に導通部材80を配置し、電池収納部401の下方から円環形状の緩衝部材205を組み込んだ支持部材40を上方から回路ブロック30上に配置する。
【0060】
図中上方より電池60を支持部材40の電池収納部401に収納し、回路押さえ50をねじ71ないし75で保持部材50に固定すると押圧部材52が弾性変形して電池60を図中下方に押圧する。
【0061】
電池60下側の電極面601の外縁部の角を受ける、円錐面2051の中心軸を、図中上方から下方の電池60組立方向に一致させる事で、電池60に対して全方向からの衝撃を緩衝部材205で受ける耐衝撃構造でありながら、電池60の交換時は電池及び回路押さえ50を図中上方から下方に組み立てるのみという簡便な組立が可能な構造になっている。
【0062】
なお、実施例1で説明した押圧部材51は、支持部材40の貫通穴402を通って回路基板32のパターン35と接触する。これにより、回路ブロック30には、回路押さえ50を介して電池60の上面側の電位が供給される。
【0063】
以上の実施例の説明で、電子部品ユニットの衝撃による破損を防ぐ緩衝構造について、緩衝部材が電子部品ユニットにおける受け面と厚み方向との角部で保持するように配置される場合の角部が直線状であるパッチアンテナと円弧状である電池の場合を述べたので、角部の形状がそれ以外の場合でも、緩衝部材の角部を受ける面が斜面の場合と円錐面の場合の組み合わせで類推できる。
【0064】
図8は、図6と同様に本発明の電池に対する耐衝撃構造を示す断面図であるが、図6とは電池60の組立方向が逆で、電極面601を上方とし、下方の電極面を受面602とする例を示す。
【0065】
以下、図8を基に図6と相違する点を主に記述する。
【0066】
支持部材40の電池収納部401は電池60の直径よりわずかに大きい直径の円形の穴
であり、電池収納部401の下端には円環形状の緩衝部材206を配置するための凹部4012が設けられている。
電池60下側の電極面602は外縁部の角604を緩衝部材206の円錐面2061に当接し、緩衝部材206と電池60とが寸法的に干渉する分は緩衝部材206が弾性変形して、電池60を適度な反発力で図中上方に押し上げるとともに、電池60の寸法公差を吸収する。
【0067】
衝撃により、電池60が図中下方向に移動しようとする場合は電池60と回路基板32との間に介在する緩衝部材206が、電池60が直径方向に移動しようとする場合は、電池60と支持部材40との間に介在する緩衝部材206によって直接衝撃を吸収し、電池60が図中上方に移動しようとする場合は一旦押圧部材52の押圧力で受け、電池60が図中下方に戻る際に電池60と回路基板32との間に介在する緩衝部材206によって衝撃力を吸収する。
【0068】
[変形例]
実施例1では、緩衝部材として断面が方形の部材を使用した。これは、方形部材が市販品として手に入れやすいためである。パッチアンテナの角を緩衝部材の面で受ける構造であれば、もちろん方形部材でなくても良い。
【0069】
図9は、図1の変形例として、緩衝部材の断面を三角形とした、本発明のパッチアンテナを実装した回路ブロックに対する耐衝撃構造を示す断面図である。
【0070】
図1で示した耐衝撃構造と同様に、緩衝部材211および212の斜面2111と2121が、パッチアンテナ31の受信面311の外縁部の角314および315に当接してパッチアンテナ31を保持する。
【0071】
また、保持部材11は、保持部材11の緩衝部材211および212が配置される部分に、保持部材11を貫通するのぞき穴1111および1112を有する。
【0072】
のぞき穴1111および1112は、保持部材11に緩衝部材211および212を配設して回路ブロック30を組み立てた後に、緩衝部材211および212の有無を確認するために用いる。
【0073】
図1で示した耐衝撃構造との相違は、緩衝部材211および212が三角柱形状であり、保持部材11は、三角柱形状の緩衝部材211および212を配置するための水平面を持つ凹部1121および1122を有する点にある。
【0074】
緩衝部材211および212が三角柱形状であるため、四角柱形状の場合に比較して製造に難度を伴うが、四角柱形状の緩衝部材201および202を傾斜して配置する場合の斜面の寸法より、緩衝部材211および212を配置した際の斜面の水平方向寸法は大きく取れる利点がある。
そのため、回路ブロック30の組立方向に対する斜面の角度を45°としても、パッチアンテナ31の受信面311外縁の角314および315の支持部材11に対する位置公差が大きくても、斜面2111および2121は受信面311外縁の角314および315に余裕を持って当接できる。
斜面の角度を45°とすることにより、水平方向の寸法を小さくすることが可能となる。
【符号の説明】
【0075】
10 保持部材
201〜204 四角柱形状の緩衝部材
205、206 円環形状の緩衝部材
211、212 三角柱形状の緩衝部材
30 回路ブロック
31 パッチアンテナ
32 回路基板
40 支持部材
50 回路押さえ
51、52 押圧部材
60 電池
71〜75 ねじ
80 導通部材


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品ユニットと、
該電子部品ユニットを保持する保持部材と、
該保持部材と前記電子部品ユニットに挟まれて配置され、
前記電子部品ユニットや他部品の衝撃による破損を防ぐ緩衝部材と、
を備え、
前記電子部品ユニットは、
平面方向に広がる面であって、前記保持部材に対向する受け面と、
該受け面の外縁部となる角を有し、
前記緩衝部材は、該角を保持するように配置される
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記緩衝部材が、
前記電子部品ユニットの角を受けるための平面を有し、
該平面は組立方向に対して傾斜するように配置される
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記電子部品ユニットの、前記受け面と断面方向で反対側にある面側から、
前記電子部品ユニットを前記緩衝部材に押し付けるように押圧する押圧部材を有する
ことを特徴とする請求項1ないし2のいずれか1つに記載の電子機器。
【請求項4】
前記電子部品ユニットがパッチアンテナを実装した回路ブロックであり、
前記受け面が前記パッチアンテナの受信面である
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電子機器。
【請求項5】
前記押圧部材が前記回路ブロックに電位を供給する導電部材を兼用する
ことを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記押圧部材が非導電性材料で形成されることを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項7】
前記保持部材の前記緩衝部材が配置される部分に、
前記保持部材を貫通する穴を有する
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の電子機器。
【請求項8】
前記電子部品ユニットが電池であり、
前記受面が電池の上面または底面である、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の電子機器。
【請求項9】
前記緩衝部材の前記電子部品ユニットの角を受けるための平面と、
組立方向との間になす角度は、
前記組立方向の位置公差が前記組立方向に垂直な方向の位置公差より大きい場合は前記角度が45°より小さく、
前記組立方向の位置公差が前記組立方向に垂直な方向の位置公差より小さい場合は前記角度が45°より大きい、
ことを特徴とする請求項2ないし7のいずれか1つに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−194137(P2012−194137A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60106(P2011−60106)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000001960)シチズンホールディングス株式会社 (1,939)
【出願人】(307023373)シチズン時計株式会社 (227)
【Fターム(参考)】