説明

電子機器

【課題】 電子機器の蓋体の開状態および閉状態を保持する為に板ばねを用いる構造では、目隠し部材が必要であった。
【解決手段】 カバー部材が回動可能に取り付けられたスロット部と、カバー部材がスロット部に対して開状態もしくは閉状態を維持するように付勢する弾性部材を有する電子機器であって、カバー部材は、スロット部方向に突出した、スロット部に回動可能に取り付けられるためのヒンジ部を有し、弾性部材は、先端の一方を電子機器に締結され、電子機器に締結された一方から第1の曲げ部、第2の曲げ部、第3の曲げ部、弾性部材の先端のもう一方である先端部を有し、弾性部材の第2の曲げ部と第3の曲げ部との間がヒンジ部に当接することで、カバー部材が閉状態を保つように付勢し、弾性部材の第3の曲げ部と先端部との間がヒンジ部に当接することで、カバー部材が開状態を保つように付勢することを特徴とする電子機器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にビデオカメラのようなの電子機器の蓋体の開閉構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、筐体に対して軸を中心に回動可能に取り付けらたら蓋体を有する電子機器において蓋体の開状態および閉状態を保持する為に板ばねを用いる構造が提案されている。蓋体には蓋体と一体形成されたカム部とヒンジ部が設けられており、ヒンジ部の軸は筺体の軸受け部に回動可能に取り付けられている。筺体に固定された板ばねが、カム部に圧接しており、蓋を開位置、または閉位置に移動する際に、蓋体が開位置および閉位置に安定するよう付勢されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−206023号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来例では蓋体を筺体の外側から組み込むこの際、ヒンジ部と一体で設けられたカム部の組み込み軌跡を逃げる為に目隠し部材が必要であり、コストが掛かるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、カバー部材が回動可能に取り付けられたスロット部と、前記カバー部材が前記スロット部に対して開状態もしくは閉状態を保つように付勢する弾性部材を有する電子機器であって、前記カバー部材は、前記スロット部の方向に突出した、前記スロット部に回動可能に取り付けられるためのヒンジ部を有し、前記弾性部材は、先端の一方である取り付け部が前記電子機器に締結され、前記取り付け部から第1の曲げ部、第2の曲げ部、第3の曲げ部、前記弾性部材の先端のもう一方である先端部を有し、前記弾性部材の前記第2の曲げ部と前記第3の曲げ部との間が前記ヒンジ部に当接することで、前記カバー部材が閉状態を保つように付勢し、前記弾性部材の前記第3の曲げ部と前記先端部との間が前記ヒンジ部に当接することで、前記カバー部材が開状態を保つように付勢することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
以上説明したように、本発明によれば、板ばねを目隠し部材として利用することができ、かつコストを抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明に係る電子機器としてのビデオカメラ101の斜視図である。
【図2】ビデオカメラ101の右側下方から見た分解斜視図である。
【図3】スロット部300とスロットカバー107の外観図である。
【図4】スロット部300をビデオカメラ101の内側から見た図である。
【図5】板ばね400の斜視図である。
【図6】スロットカバー107の回動動作を説明する図である。(a)スロットカバー107が閉じた状態を説明する図である。(b)スロットカバー107が回動動作中の状態を説明する図である。(c)スロットカバー107が開いた状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1と図2は電子機器としての一例であるビデオカメラ101(撮像装置)を説明する図である。図1(a)はビデオカメラ101の右側前方から見た斜視図であり、図1(b)はビデオカメラ101を左側後方から見た斜視図である。なお、ビューファインダを覗き込む位置で構えていると想定する撮影者の上方向、下方向、左方向、右方向を、本案件における上方向、下方向、左方向、右方向と、規定する。
【0009】
ビデオカメラ101は、撮像素子を有するカメラ本体部102と、このカメラ本体部102の前面に突出するように取り付けられた、光学系(レンズユニット114)を有するレンズ部104から構成されている。なお、本実施例においてはレンズ部104はカメラ本体部102と一体となっているが、レンズ部104がカメラ本体部102に対して交換可能な構成であってもよい。
【0010】
カメラ本体部102の右側側面には、撮影者が把持するためのグリップ部105が、カメラ本体部102に一体に設けられている。グリップ部105にはベルト取付部に取り付けたグリップベルトが配置され、撮影者はグリップ部105とグリップベルトとの間に手を入れて、グリップ部105を把持する。また、ズームキー106やトリガーキー(不図示)が配置され、撮影者がグリップ部105を把持したまま撮影設定を指示することが可能となっている。カバー部材としてのスロットカバー107は、メモリカード用のスロットをカバーしており、スロットカバー107内のスロットにメモリカード(不図示)を装着することが可能である。
【0011】
カメラ本体部102の上部には、レンズ部104の光軸方向である前後方向に延びる取手部103が一体に設けられている。取手部103は、カメラ本体部102の前側上部に立設された前脚部と、カメラ本体部102の後側上部に立設された後脚部と、前脚部と後脚部を連結する取手把持部から構成されている。後脚部の上部であって、取手把持部の後端部には、撮影者が接眼して被写体を確認する電子ビューファインダ108が回動可能に取り付けられている。電子ビューファインダ108にはアイカップが取り付けられ、図1に示す状態から上方に略70度回動させることができる。また、取手部103の前方には、取手把持部に連続して形成される台座部が設けられている。台座部にはコネクタや操作部材が配置されている。
【0012】
カメラ本体部102の左側側面には、表示部としての表示モニタ109が取り付けられており、表示モニタ109は2軸ヒンジによってカメラ本体部102に対して直交する2軸を中心として回動させることができる。カメラ本体部102の後側には、電源供給するためのバッテリ110がバッテリー部111に着脱可能に取り付けられている。カメラ本体部102の下側には、三脚取り付け部などを有するボトム部112を備えている。
【0013】
図2はビデオカメラ101の右側下方から見た分解斜視図である。
【0014】
ビデオカメラ101は、カメラ本体部102の内部では、メインフレーム115に対してレンズユニット114とメイン基板120が取り付けられている構成になっている。このメイン基板120には、コネクタ121が実装されており、フレキシブルケーブル122により、バッテリー部111に取り付けられたベース基板130と電気的に接続されている。
【0015】
図3、4はスロットカバー107の開閉構造を示した図である。
蓋体であるスロットカバー107は、グリップ部105の上部に取り付けられている。スロット部300にはメモリーカードが挿入可能なスロット310があり、スロット310を挟むようにして取り付け穴301、302が配置されている。この取り付け穴301,302が、スロット310に挿抜されるメモリーカードの挿抜動作の妨げとならないように配置されたものである。また、ヒンジ部201,202は、取り付けたときにスロット部300方向に突出するようにヒンジ穴210がそれぞれ設けられている。ヒンジ部201,202をそれぞれスロット部の取り付け穴301,302に挿入することによって、スロットカバー107をスロット部300に取り付けることができる。
図3(b)はスロットカバー107をスロット部300に取り付けた場合の、スロット部300の正面図である。
上述したように、ヒンジ部201aにスロットカバー107の開閉方向の付勢を与えるカム部220を設けることで、従来必要であった目隠しカバーを必要とせずに、開閉可能な蓋体開閉構造を得ることができる。
【0016】
図4はスロット部300をカメラ本体部102の内側から見た図であり、スロットカバー107をスロット部300に取り付ける構造をより詳しく説明する。ヒンジ部201,202がそれぞれスロット部の取り付け穴301,302に挿入されることによって、スロットカバー107がスロット部300に取り付けられている。ここで、ヒンジ部201,202にそれぞれ設けられているヒンジ穴210と軸受け部303にヒンジピン304をそれぞれ挿通することで、スロットカバー107はスロット部300に対して回動可能に取り付けることができる。また、図4(b)に示すようにヒンジピン304は押さえ部305により、ヒンジ軸受け部302から外れないよう押さえられている。そして、スロット部300に弾性部材としての板ばね400を取り付け、板ばね400の上に押さえ部305を取り付け、ビス306を締結することで押さえ部305はスロット部300に固定される。また、ヒンジ部201に設けてあるカム部220は、板ばね400によって開方向および閉方向へ付勢されるように設けてある。
【0017】
図5は板ばね400の形状を説明する図である。板ばね400は、先端の一方である取り付け部401から順に第一の曲げ部402、第二の曲げ部403、第三の曲げ部404及び先端のもう一方である先端部405を有している。このうち、板ばね400の、取り付け部401はビス306などによりスロット部300に固定されている。板ばね400とスロットカバー107との関係は後述する。
【0018】
図6はスロットカバー107の回動動作を説明する図であり、それぞれスロットカバー107が閉じた状態(図6a)、スロットカバー107が回動動作中の状態(図6b)、及びスロットカバー107が開いた状態(図6c)を説明する図である。
【0019】
図6(a)に示すように、スロットカバー107が閉じた状態において、板ばね400の第二の曲げ部403と第三の曲げ部404の間はカム部220と当接してスロットカバー107が閉じる方向に付勢する。これにより、スロットカバー107が閉じた状態(閉位置)を保持できるようになっている。そして、図6(b)のように、スロットカバー107が閉じた状態から開き方向(開いた状態から閉じ方向も同様)に回動していく際には、第三の曲げ部404がカム部220に当接した状態でスロットカバー107が回動する。図6(c)のように、スロットカバー107が開いた状態において、板ばね400の第三の曲げ部404から先端部405の間がカム部220と当接してスロットカバー107が開く方向に付勢する。これにより、スロットカバー107が開いた状態(開位置)を保持できるようになっている。
【0020】
なお、本実施例においては、スロット部300のスロット310を挟むようにして取り付け穴301、302が配置されているが、スロット310は端子やボタンのように、開閉可能なカバーで覆われるものであればよい。
【0021】
このようにして、図3(b)に示す通り、スロットカバー107のヒンジ部201にカム部220を設けることで、板ばね400の取り付け部401と第一の曲げ部402の間が、スロット部300の取り付け穴301を塞ぐ位置に配置される。このため、別に目隠し部材を用意しなくとも、使用者が取り付け穴301からカメラ本体部102の内部の基板等を見ることができないようにすることができ、同時に塵埃対策も成すことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバー部材が回動可能に取り付けられたスロット部と、
前記カバー部材が前記スロット部に対して開位置および閉位置を保つように付勢する弾性部材を有する電子機器であって、
前記カバー部材は、前記スロット部の方向に突出した、前記スロット部に回動可能に取り付けられるためのヒンジ部を有し、
前記弾性部材は、先端の一方である取り付け部が前記電子機器に締結され、前記取り付け部から第1の曲げ部、第2の曲げ部、第3の曲げ部、前記弾性部材の先端のもう一方である先端部を有し、
前記弾性部材の前記第2の曲げ部と前記第3の曲げ部との間が前記ヒンジ部に当接することで、前記カバー部材が閉位置を保つように付勢し、
前記弾性部材の前記第3の曲げ部と前記先端部との間が前記ヒンジ部に当接することで、前記カバー部材が開位置を保つように付勢することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記ヒンジ部には、前記弾性部材が当接するカム部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記弾性部材のうち、前記電子機器に締結された一方と前記第1の曲げ部の間が、前記ヒンジ部が挿入される取り付け穴を塞ぐように配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−44057(P2012−44057A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−185296(P2010−185296)
【出願日】平成22年8月20日(2010.8.20)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】