説明

電子機器

【課題】第1筐体および第2筐体の相対的な位置ずれを規制できる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器10は、互いに積層された第1筐体11および第2筐体12を相対移動可能に連結する案内部材13と、第1筐体の裏面11Bに設けられた第1係合部15と、第2筐体の裏面12Aに設けられ、第1係合部に係合可能な第2係合部16とを備えている。第1筐体および第2筐体に対して、積層方向および相対移動方向に対して交差する方向に沿って互いに位置ずれが生ずるような外力が加わったときに、第1係合部および第2係合部により第1筐体および第2筐体の相対的な位置が規制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに積層された第1筐体および第2筐体と、第1筐体および第2筐体を連結する案内部材とを備え、第1筐体および第2筐体を案内部材で積層方向に対して交差する方向に沿って相対移動させる電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器として、第1筐体の第1案内溝および第2案内溝に第2筐体の案内部材である第1スライダおよび第2スライダをスライド移動自在に取り付けることにより、第1筐体および第2筐体が閉じられた携帯状態と開かれた伸張状態とに切替可能なスライド式の電子機器がある。
スライド式の電子機器のなかには、第1筐体の第1案内溝および第2案内溝に突起がそれぞれ設けられ、第2筐体の第1スライダおよび第2スライダに突起がそれぞれ設けられたものが知られている。
【0003】
この電子機器によれば、携帯状態において、第1案内溝の突起と第1スライダの突起とが当接するとともに、第2案内溝の突起と第2スライダの突起とが当接することにより、第1筐体と第2筐体とがねじり方向にぐらつかないように保持可能である(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−68314号公報(段落0030、図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の電子機器では、スライダおよび案内溝のような微細な部品に対して特殊な加工が必要となるため、不良が発生しやすいという課題がある。
【0006】
また、スライド式の電子機器では、スライドに要する力を軽くするため、ある程度スライダと案内溝の間に隙間を設けることが一般的である。
しかしながら、特許文献1の電子機器では、ぐらつき防止のために突起を隙間なく当接させなくてはならないため、この隙間を十分に設けることができず、スライドに要する力が増してしまうという課題があった。
【0007】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、案内部材であるスライダおよびスライド溝を加工せずとも、第1筐体および第2筐体の相対的な位置ずれを規制できる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に係る電子機器は、互いに積層された第1筐体および第2筐体と、前記第1筐体および前記第2筐体を連結するとともに積層方向に対して交差する方向に沿って前記第1筐体および前記第2筐体を相対移動させる案内部材と、前記第1筐体における前記第2筐体に対面する領域に設けられた第1係合部と、前記第2筐体における前記第1筐体に対面する領域に設けられ、前記第1係合部に係合可能な第2係合部と、を備え、前記第1筐体および前記第2筐体に対して、前記積層方向および相対移動方向に対して交差する方向に沿って互いに位置ずれが生ずるような外力が加わったときに、前記第1係合部および前記第2係合部により前記第1筐体および前記第2筐体の相対的な位置が規制される。
【0009】
また、本発明の第2の態様に係る電子機器は、前記第1筐体および前記第2筐体が互いに重なり合った携帯状態のときに係合する位置に前記第1係合部および前記第2係合部が設けられている。
【0010】
さらに、本発明の第3の態様に係る電子機器は、前記第2筐体における前記第1筐体に対面する領域に設けられ、前記第1係合部に係合可能な第3係合部が設けられており、前記第3係合部は、前記第1筐体および前記第2筐体が前記案内部材に案内されて相対的に移動した伸長状態のときに、前記第1係合部と係合し、前記伸長状態において、第1筐体および前記第2筐体に対して、前記積層方向および相対移動方向に対して交差する方向に沿って互いに位置ずれが生ずるような外力が加わったときに、前記第1係合部および前記第3係合部により前記第1筐体および前記第2筐体の相対的な位置が規制される。
【0011】
さらに、本発明の第4の態様に係る電子機器は、前記第1筐体および前記第2筐体が前記案内部材に案内されて相対的に移動した伸長状態のときに係合する位置に前記第1係合部および前記第2係合部が設けられている。
【0012】
また、本発明の第5の態様に係る電子機器は、前記第1係合部および前記第2係合部のうちの少なくとも一方が、前記積層方向および前記相対移動方向に沿う係合面を有する。
【0013】
さらに、本発明の第6の態様に係る電子機器は、前記第1係合部および前記第2係合部のうちの少なくとも一方が、前記積層方向に沿うとともに、前記相対移動方向に対して所定の角度で交差する係合面を有する。
【0014】
また、本発明の第7の態様に係る電子機器は、前記第1係合部および前記第2係合部のうちの少なくとも一方が、前記第1筐体の表面および前記第2筐体の表面のうちの少なくとも一方に固定ビスの頭部を収容するザグリ部を有し、前記第1筐体および前記第2筐体のうちの少なくとも一方が、前記ザグリ部を覆う。
【0015】
さらに、本発明の第8の態様に係る電子機器は、前記第2筐体が、前記第1筐体に対面する領域に設けられた突状のキーを有し、前記第2係合部は前記突状のキーであり、前記第1係合部が前記キーの端面に係合する。
【0016】
さらに、本発明の第9の態様に係る電子機器は、前記第1係合部は、前記第1筐体および前記第2筐体が互いに重なり合った携帯状態、および、前記第1筐体および前記第2筐体が前記案内部材に案内されて相対的に移動した伸長状態のいずれの状態においても、前記第2筐体の面に対向する位置に配置されている。
【0017】
また、本発明の第10の態様に係る電子機器は、前記第1筐体は一の面に表示部を備え前記第1係合部は、前記表示部の備えられた面の裏面に配置されている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の第1の態様に係る電子機器によれば、第1筐体に第1係合部を設けるとともに第2筐体に第2係合部を設けることにより、第1筐体および第2筐体の相対的な位置を規制するようにした。
これにより、第1筐体および第2筐体に対して、積層方向および相対移動方向に対して交差する方向に沿って互いに位置ずれが生ずるような外力が加わったときに、第1筐体および第2筐体の相対的な位置ずれを規制できるという効果を有する。また、筐体に設けた係合部によって位置ずれを規制するため、案内部材のスライドレール(スライダ)自体を改造する必要がない。
ここで、第1筐体および第2筐体の相対的な位置ずれの規制は、携帯状態や伸長状態の双方において適用可能である。
【0019】
また、本発明の第2の態様に係る電子機器によれば、第1筐体および第2筐体が互いに重なり合った携帯状態のときに、第1係合部および第2係合部を係合させるようにした。
これにより、携帯状態において、第1筐体および第2筐体に対して、積層方向および相対移動方向に対して交差する方向に沿って互いに位置ずれが生ずるような外力が加わったときに、第1筐体および第2筐体の相対的な位置ずれを規制できるという効果を有する。
【0020】
さらに、本発明の第3の態様に係る電子機器によれば、第1筐体および第2筐体が相対的に移動した伸長状態のときに、第1係合部および第3係合部を係合させるようにした。
これにより、伸張状態において、第1筐体および第2筐体に対して、積層方向および相対移動方向に対して交差する方向に沿って互いに位置ずれが生ずるような外力が加わったときに、第1筐体および第2筐体の相対的な位置ずれを規制できる。また、第1係合部を携帯状態および伸張状態の両方で兼用するため、伸張状態でのずれを規制するための特別な構成を第1筐体に設ける必要がない。
【0021】
さらに、本発明の第4の態様に係る電子機器によれば、第1筐体および第2筐体が相対的に移動した伸長状態のときに、第1係合部および第2係合部を係合させるようにした。
これにより、伸張状態において、第1筐体および第2筐体に対して、積層方向および相対移動方向に対して交差する方向に沿って互いに位置ずれが生ずるような外力が加わったときに、第1筐体および第2筐体の相対的な位置ずれを規制できるという効果を有する。
【0022】
また、本発明の第5の態様に係る電子機器によれば、第1係合部および第2係合部のうちの少なくとも一方に積層方向および相対移動方向に沿う係合面を有する。
これにより、第1筐体および第2筐体に対して、積層方向および相対移動方向に対して交差する方向に沿って互いに位置ずれが生ずるような外力が加わったときに、第1筐体および第2筐体の相対的な位置ずれを係合面で規制できるという効果を有する。
【0023】
さらに、本発明の第6の態様に係る電子機器によれば、第1係合部および第2係合部のうちの少なくとも一方に、積層方向に沿うとともに、相対移動方向に対して所定の角度で交差する係合面を有する。
これにより、第1筐体および第2筐体に対して、積層方向および相対移動方向に対して交差する方向に沿って互いに位置ずれが生ずるような外力が加わったときに、第1筐体および第2筐体の相対的な位置ずれを係合面で規制できるという効果を有する。
【0024】
さらに、第1係合部および第2係合部のうちの少なくとも一方に、相対移動方向に対して所定の角度で交差する係合面を有することにより、第1筐体および第2筐体が携帯状態や伸張状態に位置決めたれたときに係合面を当接させることができる。
これにより、第1筐体および第2筐体の相対的な位置ずれを係合面で一層確実に規制できるという効果を有する。
【0025】
また、本発明の第7の態様に係る電子機器によれば、第1係合部および第2係合部のうちの少なくとも一方に固定ビスの頭部を収容するザグリ部を有し、ザグリ部が第1筐体および第2筐体のうちの少なくとも一方で覆われている。
第1係合部および第2係合部のうちの少なくとも一方を固定ビスの頭部を覆う部材で兼用することが可能になる。
これにより、部品点数を増やすことなく第1筐体および第2筐体の位置ずれを規制できるという効果を有する。
【0026】
さらに、本発明の第8の態様に係る電子機器によれば、第2筐体に突状のキーを有し、キーの端面に第1係合部を係合させた。
これにより、第1筐体および第2筐体に対して、積層方向および相対移動方向に対して交差する方向に沿って互いに位置ずれが生ずるような外力が加わったときに、第1筐体および第2筐体の相対的な位置ずれをキーの端面に係合させた第1係合部で規制できるという効果を有する。
【0027】
さらに、本発明の第9の態様に係る電子機器によれば、携帯状態および伸張状態のいずれの状態であっても、第1係合部は第2筐体の面に対向する。従って、電子機器の外観に影響を与えずに、第1筐体および第2筐体の相対的な位置ずれを規制できる。
【0028】
さらに、本発明の第10の態様に係る電子機器によれば、第1係合部は、表示部の備えられた面の裏面に設けられる。従って、ユーザが表示部を見ながら電子機器を操作している状態では第1係合部は視認できないので、通常の操作時における電子機器の外観に影響を与えずに、第1筐体および第2筐体の相対的な位置ずれを規制できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る第1実施形態の電子機器の携帯状態を示す斜視図
【図2】図1の電子機器の伸長状態を示す斜視図
【図3】図1の電子機器を示す分解斜視図
【図4】図1の電子機器の携帯状態を示す分解平面図
【図5】図1の電子機器の伸長状態を示す分解平面図
【図6】第1実施形態の第1係合部を示す斜視図
【図7】(A)は第1実施形態のキー係合部およびキーの関係を示す断面図、(B)はキー係合部の変形例を示す断面図
【図8】第1実施形態の第2係合部を示す斜視図
【図9】図1の電子機器の携帯状態において第1係合部および第2係合部が係合した状態を示す斜視図
【図10】図1の電子機器の伸長状態において第1係合部および第2係合部が係合した状態を示す斜視図
【図11】(A)は図1のI−I線断面図、(B)は図1のII−II線断面図
【図12】(A)は図2のIII−III線断面図、(B)は図2のIV−IV線断面図
【図13】(A)は第1実施形態の第1係合部および第2係合部が係合された状態を示す斜視図、(B)は第1実施形態の第1係合部および第2係合部が係合される途中の状態を示す斜視図、(C)は第1実施形態の第1係合部および第2係合部が係合される途中の状態の内部を示す斜視図
【図14】(A)は第2実施形態の第1係合部および第2係合部が係合される前の状態を示す斜視図、(B)は第2実施形態の第1係合部および第2係合部が係合される直前の状態を示す平面図、(C)は第2実施形態の第1係合部および第2係合部が係合された状態を示す平面図
【図15】(A)は第3実施形態の第1係合部および第2係合部が係合される前の状態を示す斜視図、(B)は第3実施形態の第1係合部および第2係合部が係合される直前の状態を示す斜視図、(C)は第3実施形態の第1係合部および第2係合部が係合された状態を示す斜視図
【図16】(A)は第4実施形態の第1係合部および第2係合部が係合される前の状態を示す斜視図、(B)は第4実施形態の第1係合部および第2係合部が係合された状態を示す斜視図
【図17】(A)は第5実施形態の第2係合部を示す斜視図、(B)は第5実施形態の第1係合部および第2係合部が係合された状態を示す断面図
【図18】(A)は第6実施形態の第2係合部を示す斜視図、(B)は第6実施形態の第1係合部および第2係合部が係合された状態を示す断面図
【図19】(A)は第7実施形態の第2係合部を示す斜視図、(B)は第7実施形態の第1係合部および第2係合部が係合された状態を示す断面図、(C)は第7実施形態の作用を示す断面図
【図20】第8実施形態の第1係合部および第2係合部が係合された状態を示す断面図
【図21】第9実施形態の第1係合部および第2係合部が係合される前の状態を示す斜視図
【図22】(A)は第10実施形態の第1係合部および第2係合部が係合される前の状態を示す斜視図、(B)は第10実施形態の第1係合部および第2係合部が係合される前の状態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態に係る電子機器について図面を参照して説明する。
【0031】
(第1実施形態)
図1、図2に示すように、本発明の第1実施形態である電子機器10は、互いに積層された第1筐体11および第2筐体12と、第1筐体11および第2筐体12を連結する案内部材13(図3参照)と、第1筐体11に設けられた第1係合部15(図3参照)と、第2筐体12に設けられて第1係合部15に係合可能な第2係合部16(図3参照)とを備えている。
【0032】
第1筐体11は、略矩形体状に形成され、表面11Aに表示部21および第1操作部22が設けられている。
なお、本発明において第1筐体11に第1操作部22は必須ではない。タッチパネルのように表示部21が操作部を兼ねたり、操作部が他の箇所に設けられるとしてもよい。
【0033】
第2筐体12は、略矩形体状に形成され、裏面12Aに第2操作部24が設けられ、表面12Bにカメラレンズ(図示せず)が設けられ、側面12Cにシャッタボタン27が設けられている。
第2操作部24は、第2筐体12の裏面12Aのうち、第1筐体11に対面する領域に突状のキー25を有している。
【0034】
図3に示すように、案内部材13は、スライドベース31の一対の案内部32にスライドレール33の一対のレール34が移動自在に組み付けられている。
スライドベース31が第2筐体12の裏面12Aにビス36で取り付けられ、スライドレール33が第1筐体11の裏面11Bに取り付けられている。
【0035】
これにより、第1筐体11および第2筐体12が積層方向に対して交差する方向に沿って相対移動可能に連結されている。
第1筐体11および第2筐体12の積層方向を矢印Aで示し、積層方向に対して交差する方向を矢印Bで示す。
【0036】
第1筐体11および第2筐体12が案内部材13で連結された状態において、図1、図4に示すように、第1筐体11および第2筐体12が互いに重なり合わされることにより携帯状態に保持される。
一方、携帯状態に保持された第1筐体11および第2筐体12が案内部材13に案内されて相対的に移動することにより、図2、図5に示すように、第1筐体11および第2筐体12が伸長状態に保持される。
【0037】
図6に示すように、第1係合部15は、第1筐体11における第2筐体12に対面する裏面(領域)11Bに設けられた第1上係合部41と、一対の第1下係合部42と、一対のキー係合部43と、一対の第1中央係合部44とを備えている。
【0038】
第1上係合部41は、第1筐体11の裏面11Bのうち一対の上角部領域11Cに設けられている。
この第1上係合部41は、断面略矩形状に形成され、第1筐体11の長手方向に向けて延出されたスライドロッドである。
【0039】
第1下係合部42は、第1筐体11の裏面11Bのうち一対の下角部領域11Dに設けられている。
この第1下係合部42は、断面略L字状に形成されることにより積層方向および相対移動方向に沿う第1下係合面(係合面)42Aを有し、第1筐体の長手方向に向けて配置された案内部である。
【0040】
キー係合部43は、第1筐体11の裏面11Bのうち一対の下部領域11Eに設けられている。
このキー係合部43は、断面略T字状に形成され、突出部43Aが第1筐体11の長手方向に向けて配置されることにより、携帯状態においてキー25の端面25A(図7参照)に係合可能に形成されている。
【0041】
図7(A)に示すように、キー係合部43は、固定ビス46の頭部46Aを収容するザグリ部43Bを有し、ザグリ部43Bが第1筐体11の裏面11Bで覆われている。
第1筐体11は、第1筐体11の表面11Aを構成するカバーと、第1筐体11の裏面11Bを構成するケースとが固定ビス46により結合される。
なお、図7(B)に示すように、固定ビス46の頭部46Aを収容するザグリ部43Cを第1筐体11に有し、ザグリ部43Cがキー係合部43Dにより覆われる形態を採用してもよい。
【0042】
キー係合部43を固定ビス46の頭部46Aを覆う部材で兼用することが可能になる。これにより、部品点数を増やすことなく第1筐体11および第2筐体12の位置ずれを規制できる。
【0043】
図6に示すように、第1中央係合部44は、第1筐体11の裏面11Bのうち一対の中央部領域11Fに設けられている。
この第1中央係合部44は、断面略L字状に形成されることにより積層方向および相対移動方向に沿う第1中央係合面(係合面)44Aを有し、第1筐体の長手方向に向けて配置された案内部である。
【0044】
図6、図8に示すように、第2係合部16は、第2筐体12における第1筐体11に対面する裏面(領域)12Aに設けられた一対の第2上係合部51と、一対の第2下係合部52と、一対の第2中央係合部53とを備えている。
【0045】
第2上係合部51は、第2筐体12の裏面12Aのうち一対の上角部領域12Eに設けられている。
この第2上係合部51は、断面略L字状に形成されることにより積層方向および相対移動方向に沿う第2係合面(係合面)51Aを有し、第2筐体12の長手方向に向けて配置されている。
第2上係合部51は、図9に示すように携帯状態において第1上係合部41に係合し、図10に示すように伸張状態において第1中央係合部44の第1中央係合面44Aに係合可能に形成されている。
【0046】
第2下係合部52は、第2筐体12の裏面12Aのうち一対の下角部領域12Fに設けられている。
この第2下係合部52は、断面略矩形状に形成され、第2筐体12の長手方向に向けて延出されている。
第2下係合部52は、図9に示すように携帯状態において第1下係合部42の第1下係合面42Aに係合可能に形成されている。
【0047】
第2中央係合部53は、第2筐体12の裏面12Aのうち一対の中央部領域12Gに設けられている。
この第2中央係合部53は、断面略矩形状に形成され、第2筐体12の長手方向に向けて配置されている。
第2中央係合部53は、図10に示すように伸張状態において第1下係合部42の第1下係合面42Aに係合可能に形成されている。
【0048】
すなわち、第1係合部15および第2係合部16は、第1筐体11および第2筐体12が互いに重なり合った携帯状態のときに係合する位置に設けられている。
具体的には、図11(A),(B)に示すように、第1筐体11および第2筐体12が互いに重なり合った携帯状態のときに、第2上係合部51の第2係合面51Aが第1上係合部41に係合し、第2下係合部52が第1下係合部42の第1下係合面42Aに係合し、キー係合部43の突出部43Aがキー25の端面25Aに係合する。
【0049】
第2上係合部51の第2係合面51Aが第1上係合部41に係合することにより、第1筐体11および第2筐体12の相対的な位置ずれを規制できる。
また、第2下係合部52が第1下係合部42の第1下係合面42Aに係合することにより、第1筐体11および第2筐体12の相対的な位置ずれを規制できる。
【0050】
キー係合部43の突出部がキー25の端面25Aに係合することにより、第1筐体11および第2筐体12の相対的な位置ずれを規制できる。
【0051】
よって、携帯状態において、第1筐体11および第2筐体12の相対的な位置を第1係合部15および第2係合部16で規制できる。
これにより、第1筐体11および第2筐体12に対して、積層方向および相対移動方向に対して交差する方向に沿って互いに位置ずれが生ずるような外力が加わったときに、第1筐体11および第2筐体12の相対的な位置ずれを規制できる。
【0052】
また、スライドレール33自体を改造する必要がないため、ユーザがスライドに要する力が増してしまうことを防止することができる。
なお、ユーザがスライドに要する力の軽減よりも第1筐体11および第2筐体12の相対的な位置ずれの規制を重視するのであれば、スライドレール33自体も特許文献1と同様の構成にしてもよい。
【0053】
また、第1係合部15および第2係合部16は、第1筐体11および第2筐体12が案内部材13に案内されて相対的に移動した伸長状態のときに係合する位置に設けられている。
具体的には、図12に示すように、第1筐体11および第2筐体12が伸長状態のときに、第2上係合部51の第2係合面51Aが第1中央係合部44の第1中央係合面44Aに係合し、第2中央係合部53が第1下係合部42の第1下係合面42Aに係合する。
【0054】
第2上係合部51の第2係合面51Aが第1中央係合部44の第1中央係合面44Aに係合することにより、第1筐体11および第2筐体12の相対的な位置ずれを規制できる。
第2中央係合部53が第1下係合部42の第1下係合面42Aに係合することにより、第1筐体11および第2筐体12の相対的な位置ずれを規制できる。
【0055】
よって、伸張状態において、第1筐体11および第2筐体12の相対的な位置を第1係合部15および第2係合部16で規制できる。
これにより、第1筐体11および第2筐体12に対して、積層方向および相対移動方向に対して交差する方向に沿って互いに位置ずれが生ずるような外力が加わったときに、第1筐体11および第2筐体12の相対的な位置ずれを規制できる。
【0056】
また、スライドレール33自体を改造する必要がないため、ユーザがスライドに要する力が増してしまうことを防止することができる。
なお、ユーザがスライドに要する力の軽減よりも第1筐体11および第2筐体12の相対的な位置ずれの規制を重視するのであれば、スライドレール自体も特許文献1と同様の構成にしてもよい。
【0057】
また、第2下係合部52の第2中央係合部53は、携帯状態および伸張状態のそれぞれにおいての第1下係合部42と係合する位置に配置されている。
従って、第1筐体に携帯状態と伸張状態それぞれに対応した係合部を設けなくとも、携帯状態および伸張状態の両方における位置ずれを防止できる。
【0058】
また、第1下係合部42およびキー係合部43は、携帯状態および伸張状態のいずれにおいても第2筐体の面と対向する位置に設けられている。従って、第1下係合部42およびキー係合部43は、通常の使用状態においてユーザから視認することができない。これにより、電子機器10の外観に与える影響を抑えつつ、幅方向の位置ずれを防止できる。
なお、携帯状態および伸張状態のいずれにおいても第1筐体に対向する第2上係合部51も同様の効果が得られる。
【0059】
また、第1上係合部41は伸張状態では露出するが、第1筐体11において表示部21が備えられた面の裏面に配置されているため、少なくともユーザが表示部21を見て操作している間は、第1上係合部41がユーザに視認されることはない。従って、通常の使用時において、電子機器10の外観に与える影響を抑えつつ、幅方向の位置ずれを防止できる。
すなわち、第1実施形態では、第2下係合部52以外は、通常の使用時においてユーザに視認される位置にないため、この係合部を削除することにより、電子機器10の外観を損なうことなく、幅方向の位置ずれを防止することのできる構造を実現できる。
【0060】
また、第1実施形態では、伸張状態および携帯状態のいずれの場合であっても、第1筐体11および第2筐体12の長手方向において、スライドレール33を挟んだ両側に互いに係合した係合部が存在する。ここで、スライド式の電子機器の位置ずれはスライドレール33に設けられた隙間が原因で発生するため、スライドレール33の両側で係合させることで、より確実に位置ずれを規制することができる。
なお、特許文献1に記載の電子機器は、突起同士が当接する箇所はスライダおよびスライド溝(スライドレールに相当)の片側寄りであるため、十分に位置ずれを規制することができない。
【0061】
次に、第2実施形態〜第10実施形態を図14〜図22に基づいて説明する。
なお、第2実施形態〜第10実施形態において第1実施形態の電子機器10と同一類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【0062】
(第2実施形態)
図14(A)〜(C)に示すように、第2実施形態の電子機器60は、第1実施形態の第2上係合部51および第1中央係合部44を第2上係合部(第2係合部)62および第1中央係合部(第1係合部)61に代えたもので、その他の構成は第1実施形態の電子機器10と同じである。
【0063】
ここで、第1実施形態の第2上係合部51および第1中央係合部44と、第2実施形態の第2上係合部62および第1中央係合部61との差異を明確にするために、第1実施形態の第2上係合部51および第1中央係合部44を図13(A)〜(C)に基づいて説明する。
図13(A)〜(C)に示すように、第1実施形態の第2上係合部51および第1中央係合部44は、第2係合面(係合面)51Aおよび第1中央係合面(係合面)44Aを有している。
第2係合面51Aおよび第1中央係合面44Aは、積層方向(矢印A方向)および相対移動方向(矢印B方向)に沿うように形成されている。
【0064】
これに対して、第2実施形態の第2上係合部62および第1中央係合部61は、図14(A)〜(C)に示すように、第2係合面(係合面)62Aおよび第1中央係合面(係合面)61Aを有する。
第2係合面62Aおよび第1中央係合面61Aは、積層方向(矢印A方向)に沿うとともに、相対移動方向(矢印B方向)に対して所定の角度θ1で交差するように形成されている。
【0065】
すなわち、第2上係合部62および第1中央係合部61はくさび状に形成されている。
なお、第2上係合部62と第1中央係合部61とのそれぞれの係合面は、図14(B),(C)における断面図で直線状に形成されているが、これに限られるものではなく円弧状等の曲面で構成されていてもよい。すなわち、第2上係合部62と第1中央係合部61とのそれぞれの係合面の間の間隔が、各係合部が係合した状態に近づくほど狭まるように構成されていれば、係合面の形状は問わない。
【0066】
これにより、第2実施形態の電子機器60によれば、第1実施形態と同様に、第1筐体11および第2筐体12に対して、積層方向および相対移動方向に対して交差する方向に沿って互いに位置ずれが生ずるような外力が加わったときに、第1筐体11および第2筐体12の相対的な位置ずれを第2係合面62Aおよび第1中央係合面61Aで規制できる。
【0067】
さらに、第2実施形態の電子機器60によれば、第2係合面62Aおよび第1中央係合面61Aを相対移動方向(矢印B方向)に対して所定の角度θ1で交差させて形成した。
よって、第1筐体11および第2筐体12が携帯状態や伸張状態に位置決められたときに第2係合面62Aおよび第1中央係合面61A同士を当接させることができる。
これにより、第1筐体11および第2筐体12の相対的な位置ずれを第2係合面62Aおよび第1中央係合面61Aで一層確実に規制できる。
【0068】
また、第2上係合部62および第1中央係合部61とがくさび状等の形状に形成されていることにより、第1筐体11および第2筐体12を摺動させる際に、第1筐体11および第2筐体12の幅方向(図14(B)、(C)における上下方向)にズレが生じた場合であっても、第2上係合部62と第1中央係合部61とを係合する状態へ誘い込むことができる。
【0069】
加えて、携帯状態や伸張状態に位置決めされたときのみ第2係合面62Aおよび第1中央係合面61A同士を当接させることが可能になる。
これにより、第1筐体11および第2筐体12の移動中に第2係合面62Aおよび第1中央係合面61Aの摺動抵抗を除去できる。
【0070】
(第3実施形態)
図15(A)〜(C)に示すように、第3実施形態の電子機器65は、第1実施形態の第2上係合部51および第1中央係合部44を第2上係合部(第2係合部)67および第1中央係合部(第1係合部)66に代えたもので、その他の構成は第1実施形態の電子機器10と同じである。
【0071】
第2上係合部67に第2係合面(係合面)67Aが設けられ、第1中央係合部66に第1中央係合面(係合面)66Aが設けられている。
第2係合面67Aおよび第1中央係合面66Aは、膨出された面であって、積層方向(矢印A方向)に沿うとともに、相対移動方向(矢印B方向)に沿うように形成されている。
第2係合面67Aおよび第1中央係合面66Aは、第1筐体11および第2筐体12が携帯状態や伸張状態に位置決めたれたとき互いに当接可能にできる。
【0072】
よって、第3実施形態の電子機器65によれば、第1筐体11および第2筐体12が携帯状態や伸張状態に位置決めたれたとき、第2係合面67Aおよび第1中央係合面66A同士を当接させることができる。
これにより、第1筐体11および第2筐体12の相対的な位置ずれを第2係合面67Aおよび第1中央係合面66Aで規制できる。
加えて、第2係合面67Aおよび第1中央係合面66Aを膨出させた面とすることで、第1筐体11および第2筐体12の移動中に第2係合面62Aおよび第1中央係合面61Aの摺動抵抗を確実に除去できる。
【0073】
(第4実施形態)
図16(A),(B)に示すように、第4実施形態の電子機器70は、第1実施形態の第2上係合部51および第1中央係合部44を第2上係合部(第2係合部)72および第1中央係合部(第1係合部)71に代えたもので、その他の構成は第1実施形態の電子機器10と同じである。
【0074】
第2上係合部72に凹部72Aを形成することにより一対の第2係合面(係合面)72Bが形成されている。
また、第1中央係合部71に凹部72Aに嵌合可能な凸部71Aを形成することにより一対の第1中央係合面(係合面)71Bが形成されている。
一対の第2係合面72Bの一方で一対の第1中央係合面71Bの一方を規制するとともに、一対の第2係合面72Bの他方で一対の第1中央係合面71Bの他方を規制できる。
【0075】
よって、第4実施形態の電子機器70によれば、第1筐体11および第2筐体12の両方向(すなわち、矢印C方向や矢印D方向)への相対的な位置ずれを規制できる。
【0076】
(第5実施形態)
図17(A),(B)に示すように、第5実施形態の電子機器75は、第1実施形態の第2上係合部51および第1中央係合部44を第2上係合部(第2係合部)77および第1中央係合部(第1係合部)76に代えたもので、その他の構成は第1実施形態の電子機器10と同じである。
【0077】
第2上係合部77に第2係合面(係合面)77Aを備え、第1中央係合部76に第1中央係合面(係合面)76Aを備えている。
第2係合面77Aおよび第1中央係合面76Aは積層方向(矢印A方向)に対して所定の角度θ2で交差するように形成されている。すなわち、第2上係合部77および第1中央係合部76が、第2係合面77Aおよび第1中央係合面76Aの根元に近づくほど、幅が狭くなるよう形成されている。
なお、図17(A)、(B)では、第2係合面77Aおよび第1中央係合面76Aは、直線状の断面を持つよう構成されているが、円弧状等の曲面で構成されていてもよい。
【0078】
これにより、第5実施形態の電子機器75によれば、第1実施形態の効果に加えて、積層方向(矢印A方向)への第1筐体11および第2筐体12の相対的な位置ずれを第2係合面77Aおよび第1中央係合面76Aで規制できる。
【0079】
(第6実施形態)
図18(A),(B)に示すように、第6実施形態の電子機器80は、第2実施形態の第2上係合部62および第1中央係合部61を第2上係合部(第2係合部)82および第1中央係合部(第1係合部)81に代えたもので、その他の構成は第1実施形態の電子機器10と同じである。
【0080】
第2上係合部82は第2係合面(係合面)82Aを備え、第1中央係合部81は第1中央係合面(係合面)81Aを備えている。
第2係合面82Aおよび第1中央係合面81Aは積層方向(矢印A方向)に対して所定の角度θ3で交差するように形成されている。
すなわち、第2係合面82Aおよび第1中央係合面81Aには、第1筐体11および第2筐体12が相対移動する方向に対しては第2実施形態と同様の角度が、第1筐体11および第2筐体12の積層方向には第5実施形態と同様の角度がつけられている。
【0081】
これにより、第6実施形態の電子機器80によれば、第2実施形態の電子機器60の効果に加えて、積層方向(矢印A方向)への第1筐体11および第2筐体12の相対的な位置ずれを第2係合面82Aおよび第1中央係合面81Aで規制できる。
また、第2実施形態と同様、電子機器60の第1筐体11および第2筐体12を積層した状態へ相対的に移動させる際に、幅方向にずれが生じた場合でも第2係合面82Aおよび第1中央係合面81Aが係合する状態へ誘い込むことができる。
【0082】
(第7実施形態)
図19(A),(B)に示すように、第7実施形態の電子機器85は、第1実施形態の第2上係合部51および第1中央係合部44を第2上係合部(第2係合部)87および第1中央係合部(第1係合部)86に代えたもので、その他の構成は第1実施形態の電子機器10と同じである。
第2上係合部87は第2係合面(係合面)87Aを備え、第1中央係合部86は第1中央係合面(係合面)86Aを備えている。
【0083】
第2係合面87Aおよび第1中央係合面86Aは積層方向(矢印A方向)に対して所定の角度θ4で交差するように形成されている。すなわち、第2上係合部87および第1中央係合部86は、第2係合面87Aおよび第1中央係合面86Aが根元に近づくほど、幅が広くなるよう形成されている。
なお、図19(A)、(B)では、第2係合面87Aおよび第1中央係合面86Aは、直線状の断面を持つよう構成されているが、円弧状等の曲面で構成されていてもよい。
【0084】
これにより、第7実施形態の電子機器85によれば、第2係合面87Aおよび第1中央係合面86Aが互いに傾斜面であるため、第1筐体11および第2筐体12が積層方向(図19(C)中、矢印Z方向)にばらついた場合や、あるいは幅方向(図19(C)中、矢印X方向)にバラツいた場合においても、お互いに誘い込むことが出来るため、第1筐体11および第2筐体12の相対的なガタを抑えることができる。
【0085】
(第8実施形態)
図20に示すように、第8実施形態の電子機器90は、第1実施形態の第2上係合部51および第1中央係合部44を第2上係合部(第2係合部)92および第1中央係合部(第1係合部)91に代えたもので、その他の構成は第1実施形態の電子機器10と同じである。
第2上係合部92は第2係合面(係合面)92Aを備え、第1中央係合部91は第1中央係合面(係合面)91Aを備えている。
【0086】
第2係合面92Aは凸状の円弧状に形成され、第1中央係合面91Aは凹状の円弧状に形成されている。
なお、第2係合面92Aおよび第1中央係合面91Aは、互いに係合する形状であれば、円弧以外の曲面として形成されていても構わない。
【0087】
これにより、第8実施形態の電子機器90によれば、第1実施形態の効果に加えて、積層方向(矢印A方向)への第1筐体11および第2筐体12の相対的な位置ずれを第2係合面92Aおよび第1中央係合面91Aで規制できる。
【0088】
(第9実施形態)
図21に示すように、第9実施形態の電子機器95は、第1実施形態の第2上係合部51を第2上係合部(第2係合部)96に代えたもので、その他の構成は第1実施形態の電子機器10と同じである。
第2上係合部96は第2係合面(係合面)96Aを備え、第2係合面(係合面)96Aが凸状の円弧状に形成されている。よって、第2係合面96Aの稜線96Bのみを第1中央係合部44の第1中央係合面44Aで規制できる。
【0089】
これにより、第9実施形態の電子機器95によれば、第1中央係合面44Aが平坦面であるとともに、第2係合面96Aが円弧面であるため、双方が面ではなく線で接触することになる。
すなわち、係合面同士が面と面で嵌合する形態に比較して、線で接触する形態は、抵抗を受けることなくガタを抑制することが出来るため、第1筐体11および第2筐体12の積層方向に対して交差する方向に摺動させてもスムースに摺動する。
【0090】
なお、第2係合面96Aの形状は円弧状のものに限られるものではなく、楕円弧等の他の曲面形状であっても構わない。また、三角形等の直線のみから構成される形状であっても構わない。すなわち、第1係合面44Aと接する箇所が他の箇所よりも突出していればどのような形状であっても構わない。ただし、第1筐体11と第2筐体12とが積層方向にガタついた場合等に、第1係合面44Aおよび第2係合面96A同士が擦れて削れる虞があるため、曲面形状を採用することが望ましい。
【0091】
(第10実施形態)
図22(A),(B)に示すように、第10実施形態の電子機器100は、第1実施形態の第2上係合部51を第2上係合部(第2係合部)101に代えたもので、その他の構成は第1実施形態の電子機器10と同じである。
第2上係合部101は第2係合面(係合面)101Aを備え、第2係合面(係合面)101Aが凸状の半球状に形成されている。よって、第2係合面101Aの頂部101Bのみを第1中央係合部44の第1中央係合面44Aで規制できる。
【0092】
これにより、第10実施形態の電子機器100によれば、第2係合面101Aと第1中央係合面44Aとが点接触するため、第9実施形態に比較して、さらに接触抵抗を受けることなく、第1筐体11および第2筐体12の積層方向に垂直方向への摺動がスムースに摺動する。
【0093】
なお、第2係合面96Aの形状は半球状のものに限られるものではなく、楕円半球や円錐等の他の形状であっても構わない。また、三角錐等の直線のみから構成される形状であっても構わない。すなわち、第1係合面44Aと接する箇所が他の箇所よりも突出し、第1係合面44と点で接するように構成されていればどのような形状であっても構わない。ただし、第1筐体と第2筐体とが積層方向にガタついた場合等に、係合面同士が擦れて削れる恐れがあるため、半球面もしくは楕円半球面等の形状を採用することが望ましい。
【0094】
なお、本発明に係る電子機器は、前述した第1実施形態〜第10実施形態に限定されるものではなく適宜変更、改良等が可能である。
例えば、図13〜図22では第1係合部および第2係合部として第1中央係合部および第2上係合部を例示したが、これに限定するものではなく、その他の係合部にも適用することは可能である。
【0095】
また、上述した各実施形態では、各係合部は、一対ずつ備えられているものとしたが、これに限られるものではない。例えば、係合部は1つであってもよい。ここで、係合部が1つとは、各筐体に互いに係合しあう部分が1つずつあることを意味する。すなわち、各筐体に突起が1つずつある場合、および、キーを突起として利用する場合には第1筐体11に突起が1つだけある場合を意味する。この場合でも、図16に記載したような形状の係合部であれば、幅方向の位置ずれを防止できる。なお、図11等のような形状の係合部では、幅方向の1方向の位置ずれは支えられても他方の位置ずれは支えられない。しかし、上述したカメラのシャッタボタンの操作時の位置ずれを防止する場合等、防止したい位置ずれの方向が明らかである場合には、これだけでも十分に有用である。また、例えば、それぞれ異なる方向の位置ずれを防止する係合部が、スライドレールを挟んだ対角線上に一対設けられているとしてもよい。この場合でも、第1筐体および第2筐体の幅方向の位置ずれを防止することができる。
【0096】
また、上述した各実施形態では、電子機器の筐体は、平面的に相対移動するものとしたが、これに限られるものではない。各筐体を湾曲させた電子機器等も知られているが、そのような電子機器に対しても適用することが可能である。
また、上述した各実施形態では、電子機器を伸張した状態に置いて操作面を視認可能な方向を上方向とすると上側の筐体であり、第2筐体は下側の筐体であるが、これに限られるものではない。上側の筐体を第2筐体、下側の筐体を第1筐体と呼ぶ場合でも、同様の構成により位置ずれを規制できる。従って、特に断らない限り、本発明では、第1筐体および第2筐体という表現は、上下どちらの筐体であるかを限定するものではないものとする。
【0097】
また、第1実施形態〜第10実施形態で使用した電子機器、第1筐体、第2筐体、案内部材、第1係合部、第2係合部、キー、係合面、ザグリ部および固定ビス等の形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、互いに積層された第1筐体および第2筐体を案内部材で連結し、第1筐体および第2筐体を積層方向に対して交差する方向に沿って相対移動可能とした電子機器への適用に好適である。
【符号の説明】
【0099】
10,60,65,70,75,80,85,90,95,100 電子機器
11 第1筐体
11B 第1筐体の裏面(第1筐体における第2筐体に対面する領域)
12 第2筐体
12A 第2筐体の裏面(第2筐体における第1筐体に対面する領域)
13 案内部材
15 第1係合部
16 第2係合部
25 キー
25A キーの端面
42A 第1下係合面(係合面)
43B ザグリ部
44,61,66,71B,76,81,86,91 第1中央係合部(第1係合部)
44A,61A,66A,71A,76A,81A,86A,91A 第1中央係合面(係合面)
46 固定ビス
46A 固定ビスの頭部
51,62,67,72,77,82,87,92,96,101 第2上係合部(第2係合部)
51A,62A,67A,72B,77A,82A,87A,92A,96A,101A 第2係合面(係合面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに積層された第1筐体および第2筐体と、
前記第1筐体および前記第2筐体を連結するとともに積層方向に対して交差する方向に沿って前記第1筐体および前記第2筐体を相対移動させる案内部材と、
前記第1筐体における前記第2筐体に対面する領域に設けられた第1係合部と、
前記第2筐体における前記第1筐体に対面する領域に設けられ、前記第1係合部に係合可能な第2係合部と、を備え、
前記第1筐体および前記第2筐体に対して、前記積層方向および相対移動方向に対して交差する方向に沿って互いに位置ずれが生ずるような外力が加わったときに、前記第1係合部および前記第2係合部により前記第1筐体および前記第2筐体の相対的な位置が規制される電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記第1筐体および前記第2筐体が互いに重なり合った携帯状態のときに係合する位置に前記第1係合部および前記第2係合部が設けられている電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器において、
前記第2筐体における前記第1筐体に対面する領域に設けられ、前記第1係合部に係合可能な第3係合部が設けられており、
前記第3係合部は、前記第1筐体および前記第2筐体が前記案内部材に案内されて相対的に移動した伸長状態のときに、前記第1係合部と係合し、
前記伸長状態において、第1筐体および前記第2筐体に対して、前記積層方向および相対移動方向に対して交差する方向に沿って互いに位置ずれが生ずるような外力が加わったときに、前記第1係合部および前記第3係合部により前記第1筐体および前記第2筐体の相対的な位置が規制される電子機器。
【請求項4】
請求項1に記載の電子機器において、
前記第1筐体および前記第2筐体が前記案内部材に案内されて相対的に移動した伸長状態のときに係合する位置に前記第1係合部および前記第2係合部が設けられている電子機器。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1項に記載の電子機器において、
前記第1係合部および前記第2係合部のうちの少なくとも一方が、前記積層方向および前記相対移動方向に沿う係合面を有する電子機器。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1項に記載の電子機器において、
前記第1係合部および前記第2係合部のうちの少なくとも一方が、前記積層方向に沿うとともに、前記相対移動方向に対して所定の角度で交差する係合面を有する電子機器。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の電子機器において、
前記第1係合部および前記第2係合部のうちの少なくとも一方が、前記第1筐体の表面および前記第2筐体の表面のうちの少なくとも一方に固定ビスの頭部を収容するザグリ部を有し、
前記第1筐体および前記第2筐体のうちの少なくとも一方が、前記ザグリ部を覆う電子機器。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1項に記載の電子機器において、
前記第2筐体が、前記第1筐体に対面する領域に設けられた突状のキーを有し、前記第2係合部は前記突状のキーであり、前記第1係合部が前記キーの端面に係合する電子機器。
【請求項9】
請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1項に記載の電子機器において、
前記第1係合部は、前記第1筐体および前記第2筐体が互いに重なり合った携帯状態と、前記第1筐体および前記第2筐体が前記案内部材に案内されて相対的に移動した伸長状態とのいずれの状態においても、前記第2筐体の面に対向する位置に配置されている電子機器。
【請求項10】
請求項1ないし請求項7のうちいずれか1項に記載の電子機器において、
前記第1筐体は一の面に表示部を備え、
前記第1係合部は、前記表示部の備えられた面の裏面に配置されている電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−65291(P2012−65291A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−210085(P2010−210085)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】