説明

電子機器

【課題】自動再生機能を備えた電子機器において、記録した操作内容を後で再生したときに、記録時と同じ結果が得られるようにすることを目的とする。
【解決手段】自動再生機能における操作記録の際、所定の記録期間において操作パネル21で操作された操作内容を時系列的に特定操作手順として操作記録用メモリ33に記録するが、その記録前に、実機に設定されている各種設定値(設定データ)を、その記録対象の特定操作手順と対応付けて記録する。そして、自動再生機能における操作再生の際は、まず、実機に設定されている各種設定値を、その再生対象の特定操作手順に対応付けられて記録されている設定値に設定変更し、その後、再生対象の特定操作手順を再生する。これにより、操作記録時と同じ実機の設定状態で再生を行うことができ、操作記録時と同じ結果を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ等の操作内容に応じた処理を実行する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばコピー機能、スキャナ機能、及びファクシミリ機能等の複数の機能を備えた複合機や、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置などの、ユーザによるキー入力等の操作内容に応じた処理を実行するよう構成された電子機器として、ユーザによる一連の操作内容を時系列的に記録し、後でそれを自動的に再生させることが可能な機能(自動再生機能)を備えたものが知られている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
電子機器がこのような自動再生機能を備えていれば、ユーザは、ある一連の操作を行う場合にその操作内容を記録しておくことで、以後、それと同じ操作内容については、所定の再生指示を行うだけで自動的に再生(実行)させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−235549号公報
【特許文献2】特開2010−41506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の自動再生機能は、単に、ユーザの操作内容を時系列的に記録してそれを忠実に再現するものである。そのため、再生実行によって、その再生対象の操作内容に応じた処理自体は記録時と同じように忠実に実行されるものの、その再生の結果については、必ずしも、記録時と全く同じ結果が得られるとは限らないという問題がある。
【0006】
例えば複合機において、各機能を実現するために必要な各種設定項目は非常に多く、細かいものまで含めると、機種等にもよるが100種類以上になる場合も多い。設定項目の具体例としては、電話回線の種類、電話番号やファクシミリ番号の登録内容、スキャナ機能における読み取り解像度、印刷機能における拡大縮小率や印刷濃度、階調設定、カラーモード設定、印刷用紙の種類等が挙げられる。勿論、これらはほんの一例に過ぎない。
【0007】
このような構成において、例えば、ユーザがコピーのための一連の操作を行い、併せてその操作内容を記録しておいたとする。また、その操作・記録時、ユーザは印刷用紙サイズや原稿サイズ、拡大縮小率などの設定操作は行ったものの、読み取り解像度(例えば600dpiに設定)や印刷濃度(例えば薄い濃度に設定)等は特に意識することなくコピー操作を行った結果、ユーザの満足のいく結果物(印刷物)が得られたものとする。
【0008】
このような場合、ユーザは、後でまた同じようなコピーを行う際は、自動再生機能を利用して再生指示を行うだけで、記録時と同じ操作を自動的に再生させることができ、コピー結果を得ることができる。しかし、もし、記録時から今回の再生時までの間に、他のユーザの操作或いは自身の別の操作等によって、例えば読み取り解像度の設定値が変更(例えば200dpiの低解像度に変更)されてしまったり、印刷濃度が変更(例えば高濃度に変更)されてしまうなど、機器の設定値が変更されていた場合、再生指示を行って得られた結果物は、前回の記録時とは異なる結果となってしまう。具体的には、上記例では、記録時のコピー結果に比べて、解像度が悪く且つ非常に濃く印刷されたコピー結果が得られることになり、ユーザに違和感・とまどい・不満感を与えることになる。
【0009】
つまり、従来の自動再生機能は、記録開始から終了までの間にユーザが実際に操作した内容は忠実に記録され、再生時にはその一連の操作内容が忠実に再生されるものの、記録された操作内容以外の他の各種設定値については、記録時と再生時とで必ずしも完全一致しているとは限らない。そのため、記録時と同じ操作が再生されたとしても、記録時と同じ結果が必ず得られるとは限らないのである。このような問題は、特に、同じ機器を複数の場所で(つまり場所を変えて)使用することがある場合や、複数のユーザによって使用される場合などに生じる可能性が高い。
【0010】
上記問題の発生を防ぐために、例えば、記録時に各種設定値をユーザが逐一覚えておくかメモ等をしておき、再生時に各種設定値を逐一確認して記録時と同じ値に設定した上で再生開始させる方法も考えられるが、操作内容が非常に煩雑となって非現実的である。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、自動再生機能を備えた電子機器において、記録した操作内容を後で再生したときに、記録時と同じ結果が得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、操作を受け付ける操作受付手段と、この操作受付手段により受け付けられた操作の内容に応じた処理を実行する実行手段と、を備えた電子機器であって、操作記録手段と、初期設定値記録手段と、再生手段と、再生前設定値変更手段と、を備えている。
【0013】
操作記録手段は、所定の記録タイミング又は所定の記録期間において操作受付手段により受け付けられた操作の内容を時系列的に特定操作手順として記録する。
初期設定値記録手段は、操作記録手段により特定操作手順の記録がなされる際、その記録前に当該電子機器において設定されている、当該電子機器の動作に用いられる複数の設定値のうち、予め決められた少なくとも一つの設定値を、初期設定値として、その記録対象の特定操作手順と対応付けて記録する。
【0014】
再生手段は、操作記録手段により記録された特定操作手順を再生することにより、実行手段に、該特定操作手順として記録されている操作の内容に応じた処理をその記録時と同じ順序で実行させる。
【0015】
そして、再生前設定値変更手段は、再生手段により再生がなされる際、その再生前に、当該電子機器において設定されている各設定値のうち、その再生対象の特定操作手順に対応付けられて初期設定値として記録されている設定値を、該初期設定値に設定変更する。
【0016】
このように構成された本発明の電子機器では、単に従来のように特定操作手順を記録するだけではなく、特定操作手順の記録前に初期設定値を記録しておく。そして、再生時は、当該電子機器の設定値を、その再生対象の記録時に記録しておいた初期設定値に設定変更した後に、再生(再生対象の特定操作手順の各操作を自動的に実行)する。
【0017】
そのため、ユーザ等が再生を行う際、電子機器の各種設定値を逐一確認したり設定変更したりすることなく、記録時と同じ結果を得ることができる。尚、ここでいう「同じ結果」とは、単に記録時と同じ操作が実行されるという意味ではなく、その同じ操作が実行されることによって得られる結果が同じであるという意味である。
【0018】
ところで、本発明の電子機器では、再生を行う際、当該電子機器の設定値が再生対象の特定操作手順に対応した初期設定値に設定変更されることにより、記録時と同じ結果を得ることができる。しかし、例えばあるユーザにより再生が行われた後、設定値をそのまま(設定変更されたまま)にしておくと、後で別のユーザが当該電子機器を使用する際、設定値が変更されたことを知らないことに起因して種々の不都合が生じるおそれがある。
【0019】
そこで、そういった不都合が生じないようにするために、請求項2に記載のように構成するとよい。即ち、再生手段により再生がなされる際、再生前設定値変更手段による設定値の変更に先立って、当該電子機器において設定されている各設定値のうち少なくとも再生前設定値変更手段によって設定変更される設定値を再生前初期設定値として退避用メモリに記録させる退避手段と、再生手段による再生の終了後、当該電子機器において設定されている各設定値のうち、該再生の前に退避手段により再生前初期設定値として退避用メモリに記録された設定値を、該再生前初期設定値に設定変更する再生後設定値変更手段と、を備えるようにする。
【0020】
このように構成された電子機器によれば、再生実行によって少なくともその再生中は電子機器の状態(各種設定値)が変更されてしまうものの、再生後は再び再生前の状態(値)に戻すことができる。そのため、ユーザは、電子機器を使用する際、前回使用時から今回使用時までの間に再生が行われたかどうかを意識する必要はなくなる。
【0021】
次に、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の電子機器であって、初期設定値記録手段は、複数の設定値のうち、少なくとも、操作記録手段により記録される操作の内容に応じた処理を実行手段が実行する際に用いられる設定値を、初期設定値として記録する。
【0022】
各種設定値のうち、操作記録前に真に記録しておくべき設定値は、記録時の操作によって実行手段により用いられる設定値であり、これは即ち、後に再生されたときに使用される設定値でもある。そのため、少なくともその設定値を初期設定値として記録するようにすれば、設定値を記録する記録媒体(メモリ等)の容量を削減することができる。
【0023】
次に、請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の電子機器であって、操作記録手段及び初期設定値記録手段は、第1のメモリに対してそれぞれ記録を行う。また、当該電子機器は、操作記録手段及び初期設定値記録手段による第1のメモリへの記録の終了後、少なくとも次に該各手段の何れかによる記録がなされる前、又は再生手段による再生がなされる前に、該記録された内容を第2のメモリに記録することにより該記録した内容を保持する保持手段を備えている。そして、再生手段は、第2のメモリに記録されている再生対象の特定操作手順を第1のメモリに格納して、その第1のメモリに格納した特定操作手順を再生する。
【0024】
つまり、記録時には記録対象の特定操作手順を第1のメモリに記録するものの、通常は、記録した特定操作手順は第2のメモリに格納しておく。このように、通常格納(保持)用と、記録又は再生時に直接参照される作業用とでメモリを使い分けることで、特定操作手順の確実な記録・保存と、電子機器におけるメモリ領域全体の利用効率向上を両立させることができる。
【0025】
次に、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の電子機器であって、保持手段は、第1のメモリに記録された初期設定値のうち、少なくとも、操作記録手段により記録された操作の内容に応じた処理を実行手段が実行する際に用いられる設定値に対応した初期設定値を、第2のメモリに記録する。
【0026】
このように構成された電子機器によれば、少なくとも、真に記録すべき設定値が初期設定値として第2のメモリに記録されることとなるため、第2のメモリの容量を削減することができる。
【0027】
次に、請求項6に記載の発明は、請求項4又は請求項5に記載の電子機器であって、操作記録手段及び初期設定値記録手段によって第1のメモリに記録された内容は、少なくとも、次に該各手段の何れかによる記録がなされるまで、又は再生手段による再生がなされるまでは、その記録内容がそのまま第1のメモリに保持されるよう構成されている。そして、再生手段は、再生の際、その再生対象の特定操作手順が現在第1のメモリに記録されているものである場合は、その第1のメモリに記録されている内容に基づいて再生を行う。
【0028】
このように構成された電子機器では、ある特定操作手順が第1のメモリに記録された後に、新たな特定操作手順の記録や既に記録済みの他の特定操作手順の再生が行われることなく、その記録した特定操作手順について再生が行われる場合は、第1のメモリ内の特定操作手順を第2のメモリに格納することなく(逆に、第2のメモリから読み出して第1のメモリに格納することなく)、第1のメモリの記録内容に基づいて再生を行うことができる。そのため、第1のメモリと第2のメモリとの間の記録内容の読み書き処理の無駄を省くことができ、延いては機器全体の処理負荷を低減することができる。
【0029】
次に、請求項7に記載の発明は、請求項4〜請求項6の何れか1項に記載の電子機器であって、第1のメモリは、当該電子機器に内蔵されており、第2のメモリは、当該電子機器とは別に設けられ、当該電子機器に対して挿抜可能に装着されると共に装着時に当該電子機器との間で記録内容の送受が可能に構成されている。
【0030】
このように構成された電子機器によれば、電子機器自体がその内部に搭載しておくべきメモリの容量を低減することができる。しかも、記録内容が通常保持される第2のメモリを挿抜可能なメモリ(つまりユーザ等が持ち運び可能なメモリ)とすることで、異なる複数の電子機器でそのメモリを共用することも可能となり、ある電子機器で記録した特定操作手順を他の電子機器で再生させることができるなど、ユーザの利便性が向上する。
【0031】
次に、請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の電子機器であって、操作記録手段は、特定操作手順として、操作の内容と共に、少なくとも2番目以降の操作の各々について直前の操作から今回の操作までの時間間隔を特定するための時間間隔情報も記録する。そして、再生手段は、操作記録手段により記録された特定操作手順を再生する際、その再生対象の特定操作手順として記録されている時間間隔情報に基づき、その記録時と同じ時間間隔で再生する。
【0032】
このように構成された電子機器によれば、再生の際、単に記録時と同じ順序で特定操作手順が再生されるだけでなく、各操作間の時間間隔についても、記録時と同じ時間間隔で忠実に再現される。そのため、再生の際、各操作の内容に応じた処理を確実に実行することができ、その一連の操作によって得られるべき結果を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】実施形態のMFPの概略構成を表す構成図である。
【図2】システムメモリの内部データ構造を表す説明図である。
【図3】MFPに設定されている各種設定データの項目・設定値の一例を表す説明図である。
【図4】操作記録用メモリの内部データ構造を表す説明図である。
【図5】複数ユーザによる、MFP使用中の操作内容記録例とMFPの設定状態(各種設定データ)の変化例を表す説明図である。
【図6】制御部により実行される操作記録再生制御処理を表すフローチャートである。
【図7】図6の操作記録再生制御処理における、S130の操作記録処理の詳細を表すフローチャートである。
【図8】図6の操作記録再生制御処理における、S180の操作再生処理の詳細を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態のMFP(Multifunction Peripheral:複合機)10は、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ送受信機能、電話機能などの各種機能を備えたものであり、図1に示すように、制御部11と、画像形成部16と、画像読取部17と、通信部18と、操作表示部20と、操作記録再生部30と、入出力部40とを備え、これらがバス50によって相互にデータ通信可能に接続されている。
【0035】
制御部11は、CPU12、システムメモリ13等からなるマイクロコンピュータを中心に構成されており、CPU12が、システムメモリ13に記憶された、後述する操作記録再生制御処理プログラムを含む各種プログラムを実行することにより、上述した各種機能や後述する自動再生機能などが実現される。自動再生機能とは、ユーザによる一連の操作内容を時系列的に記録(操作記録)し、後でそれを自動的に再生(操作再生)させることが可能な機能である。
【0036】
システムメモリ13は、本実施形態では、記憶内容を電気的に書き換え可能な不揮発性メモリである。このシステムメモリ13の内部データ構造は、図2に示す通りであり、各種プログラムやデータが記憶(格納)されたプログラム・データエリアと、当該MFP10(以下「実機」とも称す)における各種設定値(各種設定データ)が格納された設定データエリアと、自動再生機能における操作再生時に再生前設定データ(詳細は後述)が格納される退避エリアと、自動再生機能における操作記録が行われる毎にその記録されたデータ全体である操作記録データ(詳細は後述)が格納される複数の操作記録データエリアと、を有している。
【0037】
設定データエリアに格納されている各種設定値(設定データ)は、MFP10の工場出荷時に設定されている各種デフォルト値や、ユーザが購入時にその使用環境等に合わせて設定する各種設定項目の設定値など、MFP10の動作に用いられるものであり、その一例を図3に示す。システムメモリ13の設定データエリアには、図3に示すような各種設定項目に対応した各種設定値を示す設定データが格納されている。また、図3には示していないものの、スキャナ機能における読み取り解像度、プリンタ機能における拡大縮小率や印刷濃度、階調設定、カラーモード設定、印刷用紙の種類等などの設定値についても、設定データとして設定データエリアに格納されている。
【0038】
操作表示部20は、ユーザによる各種操作の受け付けや、各種メニュー、動作モード、設定状態等を表示するためのものであり、ユーザが直接操作可能な操作パネル21を備えている。この操作パネル21は、数値等を入力するためのダイヤルボタン22、上述した各種表示がなされると共にユーザが直接タッチして各種入力・設定等が可能に構成されたタッチパネル23、MFP10の動作モードをファクシミリ(FAX)(ファクシミリ送受信機能)、スキャン(スキャナ機能)、コピー(コピー機能)、プリント(プリンタ機能)の何れかに切り替えるためのモードボタン24などの、ユーザが操作可能な種々のボタン等が設けられたものである。そして、ユーザが操作パネル21を操作すると、CPU12が、その操作内容に応じた処理を実行する。
【0039】
画像形成部16は、CPU12により制御され、コピー機能やプリント機能における各種機能を実現するものであり、印刷用紙を給紙・搬送する機構や、印刷用紙にインクを吐出して画像を形成する機構など、印刷用紙等に画像を形成するための各種機構等を備えている。
【0040】
画像読取部17は、CPU12により制御され、スキャナ機能における各種機能を実現するものであり、読み取り対象の原稿を搬送する機構や、原稿の画像を読み取ってその読み取ったデータを処理する機構など、原稿の画像を読み取ってデータ化するための各種機構等を備えている。
【0041】
通信部18は、CPU12により制御され、ファクシミリ機能や電話機能、更にはパーソナルコンピュータなどの他の各種端末装置等との間で無線或いは有線でデータ通信を行うデータ通信機能などを実現するものである。
【0042】
また、MFP10は、例えばUSBメモリなどの外部メモリ42との間でデータの読み書きを行うインターフェースとしての入出力部40を備えている。外部メモリ42は、この入出力部40に設けられた挿入口41に対して挿抜可能であり、この挿入口41に挿入(装着)されることで、MFP10との間でのデータ読み書きが可能となる。
【0043】
操作記録再生部30は、CPU12による制御の元で自動再生機能を実現するものであり、記録部31と、再生部32と、操作記録用メモリ33と、時計34とを備えている。操作記録用メモリ33の内部データ構造は、図4(a)に示す通りであり、後述するようにユーザID、登録名、記録時設定データ、特定操作手順が格納される。
【0044】
記録部31は、CPU12による指示の元、ユーザによって操作記録開始の指示が行われた後、操作記録終了の指示が行われるまでの間にユーザによりなされた操作内容(操作パネル21に対する操作内容)を、時系列的に特定操作手順として操作記録用メモリ33に記録する。
【0045】
より具体的には、操作記録開始の指示が行われると、後述する操作記録処理(図7参照)によって、まず、ユーザIDや、これから記録する特定操作手順の内容を識別するための登録名が受け付けられる。そのため、記録部31は、その受け付けられたユーザID(例えば「015」)、登録名(例えば「コピー01」)を、操作記録用メモリ33に記録する。続いて、現時点での実機の設定データ、即ちシステムメモリ13の設定データエリアに現在格納されている各種設定データを全て、記録時設定データ(例えば「記録時設定データF」)として、これから記録する特定操作手順と対応付けて操作記録用メモリ33に記録する。その後、ユーザにより操作がなされる毎に(より詳しくは、ユーザの操作が確定して受け付けられる毎に)、その操作の内容をその操作がなされた時刻(操作時刻)と共に記録していく。このようにして、操作記録終了の指示がなされるまで、特定操作手順の記録が行われる。
【0046】
尚、時計34は、例えば周知のリアルタイムクロックIC等により構成されたものであり、記録部31は、この時計34から操作時刻を取得して記録することができる。
特定操作手順として記録される内容は、ユーザが操作記録開始指示を行ってから操作終了指示を行うまでの記録期間になされた全ての操作である。
【0047】
例えば、電話帳登録を行う場合は、電話帳登録番号(例えば「011」)、相手先名称(例えば「brother」)、FAX番号(例えば「052*******」)を順次入力していって最後にタッチパネル23内の確定キーを押すことで、これら操作入力が確定され、受け付けられることになるが、記録期間内にこの電話帳登録が行われた場合は、特定操作手順としては、図4(b)の特定操作手順例1に示すような操作内容及び操作時刻が記録されることとなる。また例えば、記録期間にコピーのための一連の操作を行った場合は、図4(b)の特定操作手順例2に示すような操作内容及び操作時刻が記録されることとなる。
【0048】
そして、上記のように記録部31によって操作記録用メモリ33に記録されたユーザID、登録名、記録時設定データ、特定操作手順(各操作の内容と操作時刻)は、記録終了後、一つの操作記録データとして、システムメモリ13における操作記録データエリア又は外部メモリ42にコピーされ、そこに格納(保存)されることとなる。図2では、No.001〜004の4つの操作記録データが格納されている例が図示されている。
【0049】
一方、操作再生の際は、ユーザによって操作再生開始の指示が行われると、後述する操作再生処理(図8参照)によって、ユーザIDや再生対象の操作記録データの登録名が受け付けられ、その受け付け内容に対応した操作記録データがシステムメモリ13又は外部メモリ42から読み出されて操作記録用メモリ33にコピー(格納)される。
【0050】
そこで再生部32は、CPU12による指示の元、操作記録用メモリ33にコピーされた操作記録データにおける特定操作手順を再生する。尚、再生部32が行うのは特定操作手順の各操作の内容の解析と、操作時刻の解析、即ち各操作間の時間間隔の算出であり、操作内容に応じた処理はあくまでも、CPU12が、再生部32による解析結果に従って実行することとなる。
【0051】
尚、操作再生の際は、再生対象の操作記録データに基づく再生が開始される前に、その時点での実機の設定データ、即ちシステムメモリ13の設定データエリアに現在格納されている全ての設定データが、再生前設定データとしてシステムメモリ13の退避エリアに退避(格納)される。そして、再生対象の操作が全て実行された後、設定データエリアの設定データが再び、退避エリアに格納されている再生前設定データに書き換えられ、これにより実機の設定データ(即ち実機の状態)が操作再生前と同じ状態に戻される。
【0052】
また、ユーザによる操作記録開始の指示は、例えば、タッチパネル23に表示される操作記録開始キーをタッチすることにより行われる。同様に、操作記録終了の指示、操作再生開始の指示も、タッチパネル23に表示される操作記録終了キー、操作再生開始キーをタッチすることにより行われる。
【0053】
更に、本実施形態のMFP10では、後述するように、外部メモリ42に記憶されている操作記録データをシステムメモリ13に読み出し・格納するインポート機能、及びシステムメモリ13に格納されている操作記録データを外部メモリ42に書き出すアウトポート機能を備えており、ユーザがインポート機能を用いる際には操作パネル21におけるインポートキーを操作し、アウトポート機能を用いる際には操作パネル21におけるアウトポートキーを操作する必要があるが、これら各キーの操作も、実際には、タッチパネル23に表示される「インポート」表示、「アウトポート」表示をユーザがタッチすることにより実現される。もちろん、ユーザによる上記各操作がタッチパネル23によるものであることはあくまでも一例に過ぎない。
【0054】
ここで、複数ユーザ(第1ユーザ、第2ユーザ)による、実機使用中の操作内容の記録例と実機の設定状態(各種設定データ)の変化例を、図5に示す。図5は、第1ユーザと第2ユーザが交互に実機を使用し、且つその使用時に自動再生機能による操作記録を行った例を示している。
【0055】
例えば第1ユーザが時刻T1で登録名「印刷01」の操作記録を開始したとき、実機の設定状態はAであるため、その設定状態Aが記録時設定データとして記録されることとなる。そして、時刻T1以後の操作において実機の設定値が変更されるような操作を行ったことにより、操作記録終了時の実機の設定状態はBに変わる。
【0056】
そのため、その後時刻T2で第2ユーザが登録名「印刷02」の操作記録を開始する時点では、実機の設定状態はBとなっており、よってその設定状態Bが記録時設定データとして記録されることとなる。尚、図5では、この登録名「印刷02」の操作では実機の設定値は変更されなかった場合を示している。
【0057】
その後、時刻T2aよりも少し前に、第1ユーザによる操作が開始され、時刻T2aにて実機の設定値が変更されるような操作がなされる。これにより、実機の設定状態はBからCに変化する。そして、時刻T3にて操作記録を開始する。つまりこの例では、操作記録開始前の時刻T2aで設定状態がBからCに変更されたため、操作記録開始後に記録される記録時設定データは、BではなくCとなる。そして、操作記録開始後、時刻T3aで再び実機の設定値が変更されるような操作を行い、そのまま操作記録を終了したことで、終了時の実機の設定状態はDとなる。尚、第2ユーザによる次の操作については説明を省略する。
【0058】
このように、ユーザの操作によって、実機の設定状態は刻々と変化することになる。但し、本実施形態では、操作内容を記録する際、操作記録開始時における実機の設定状態(設定データ)が記録時設定データとして記録され、再生時には実機の設定データがその記録時設定データに変更された上で再生される。そのため、操作記録を行った後、その記録した操作内容を後で再生させるまでの間にいかに実機の設定状態が変わっても、再生時には記録時と全く同じ設定状態で再生させることができ、これにより記録時と全く同じ結果を得ることができるのである。
【0059】
次に、上述した自動再生機能を実現するためにCPU12により実行される操作記録再生制御処理について、図6を用いて説明する。MFP10に電源が投入されてその動作が開始されると、CPU12は、システムメモリ13のプログラム・データエリアに格納されている操作記録再生処理プログラムを実行する。
【0060】
CPU12は、この操作記録再生処理を開始すると、まずS110にて各種初期化を行い、続くS120にて、ユーザによる操作記録開始キーの操作が検出されたか否か判断する。そして、操作記録開始キーの操作が検出された場合はS130に移行して操作記録処理(図7参照)に進むが、操作記録開始キーの操作が検出されない場合はS140に移行する。
【0061】
S140では、インポートキーの操作が検出されたか否かを判断する。そして、インポートキーの操作が検出された場合は、S150に移行して、外部メモリ42に記憶されている操作記録データ(ここでは記憶されている全ての操作記録データ)をシステムメモリ13に読み出す。つまり、システムメモリ13内の操作記録データエリアに各々格納する。一方、インポートキーの操作が検出されない場合はS160に移行する。
【0062】
S160では、システムメモリ13の操作記録データエリアに操作記録データが一つでも格納されているか否かを判断し、一つも格納されていない場合はS120に戻るが、一つでも格納されていたならばS170に移行する。
【0063】
S170では、ユーザによる操作再生開始キーの操作が検出されたか否か判断する。そして、操作再生開始キーの操作が検出された場合はS180に移行して操作再生処理(図8参照)に進むが、操作再生開始キーの操作が検出されない場合はS190に移行する。
【0064】
S190では、アウトポートキーの操作が検出されたか否かを判断する。そして、アウトポートキーの操作が検出された場合は、S200に移行して、システムメモリ13の操作記録データエリアに記憶されている操作記録データ(ここでは記憶されている全ての操作記録データ)を外部メモリ42に書き出す。一方、アウトポートキーの操作が検出されない場合はS120に戻る。
【0065】
次に、S120にて操作記録開始キーの操作が検出された場合に実行されるS130の操作記録処理について、図7を用いて説明する。図7に示すように、操作記録処理が開始されると、まずS210にて、外部メモリ42が入出力部40に装着されているか否か判断する。
【0066】
そして、外部メモリ42が装着されている場合は、S220にて外部メモリ42からユーザIDを読み込み、外部メモリ42が装着されていない場合は、S230にて、ユーザに対し、ユーザIDの入力を要求し、その入力を受け付ける。これは例えば、タッチパネル23にユーザIDの入力を促す表示を行い、これに対してユーザがユーザIDを入力することにより実現される。尚、本実施形態では、外部メモリ42はユーザ毎に個別に所持しており、外部メモリ毎にユーザIDが設定されている。そのため、外部メモリ42が装着されている場合は、ユーザは自身のユーザIDを逐一入力する必要はない。
【0067】
ユーザIDの読み込み又は入力受け付けの後は、S240にて、ユーザに対し、これから記録する記録内容(特定操作手順)を示す登録名の入力を要求し、その入力を受け付ける。これについても、S230と同様にタッチパネル23を用いて実現できる。
【0068】
そして、S250にて、ユーザID及び登録名を操作記録用メモリ33に格納(記録)する。更に、S260にて、システムメモリ13内の現在の設定データ、即ち設定データエリアに格納されている現在の実機の設定データを全て、記録時設定データとして、操作記録用メモリ33に格納する。
【0069】
続くS270では、ユーザによる操作確定が検出されたか否か、即ち、ユーザにより何らかの操作がなされてそれが実機に受け付けられたか否かを判断する。このとき、例えばユーザによって図4(b)の特定操作手順例1における第1操作(電話帳登録の操作)がなされたり、同図(b)の特定操作手順例2におけるいずれかの操作がなされるなど、ユーザによる何らかの操作がなされてそれが受け付けられた場合は、操作確定として、S280に進み、その受け付けた(確定した)操作内容を、その受け付け時の現在時刻と共に、操作記録用メモリ33に格納する。
【0070】
そして、S290にて、ユーザによる操作記録終了キーの操作が検出されたか否か判断する。また、S270にてユーザによる操作確定が検出されなかった場合も、S290に移行する。
【0071】
S290では、操作記録終了キーの操作がまだ検出されない場合は、再びS270に戻る。一方、操作記録終了キーの操作が検出された場合は、S300に移行して、外部メモリ42が入出力部40に装着されているか否か判断する。そして、外部メモリ42が装着されている場合は、S320にて、操作記録用メモリ33に格納されているデータ、即ちS250,S260,S280で格納されたデータ(図4(a)参照)を、操作記録データとして、外部メモリ42にコピーする。外部メモリ42が装着されていない場合は、S310にて、操作記録用メモリ33に格納されているデータを、操作記録データとして、システムメモリ13の操作記録データエリアにコピーする。
【0072】
尚、S280の処理は、本例ではCPU12が直接行うのではなく、実際には、CPU12による指令を受けた記録部31が行う。
これにより、操作記録開始キーの操作時から操作記録終了キーの操作時までの記録期間中にユーザによりなされた操作内容が、その操作時刻と共に(更にはユーザIDや登録名も併せて)、一つの操作記録データとして保存されることとなる。
【0073】
次に、S170にて操作再生開始キーの操作が検出された場合に実行されるS180の操作再生処理について、図8を用いて説明する。図8に示すように、操作再生処理が開始されると、まずS410にて、外部メモリ42が入出力部40に装着されているか否か判断する。そして、装着されている場合は、S420にて外部メモリ42からユーザIDを読み込み、続くS440にて、ユーザに対し、再生対象の特定操作手順を示す登録名の入力を要求してその入力を受け付ける。そして、S460にて、受け付けたユーザID、登録名に対応した操作記録データを外部メモリ42から読み出し、操作記録用メモリ33にコピーして、S480に進む。
【0074】
一方、S410にて外部メモリ42が装着されていない場合は、S430にて、ユーザに対し、ユーザIDの入力を要求してその入力を受け付ける。そして、S450にて、ユーザに対し、再生対象の特定操作手順を示す登録名の入力を要求してその入力を受け付け、更にS470にて、受け付けたユーザID、登録名に対応した操作記録データをシステムメモリ13から読み出し、操作記録用メモリ33にコピーして、S480に進む。
【0075】
S480では、システムメモリ13内の現在の設定データを全て、再生前設定データとして、システムメモリ13内の退避エリアに格納する。更にS490にて、システムメモリ内の設定データを、再生対象の操作記録データとして記録されている記録時設定データに設定変更する。
【0076】
そして、S500にて、再生対象の操作内容、即ち再生対象の操作記録データとして記録されている特定操作手順の各操作内容を、それぞれ対応して記録されている操作時刻に基づいて、記録時と同じ順序、時間間隔で実行する。尚、このS500の処理は、特定操作手順における一つの操作内容毎(一つの操作単位で)行われる。また、このS500の処理は、本例では、全てCPU12が行うのではなく、CPU12による指令を受けた再生部32が、操作内容を記録時と同じ順序、時間間隔でCPU12に伝え、これに基づいてCPU12が各操作内容に応じた処理を順次実行することにより行われる。
【0077】
そして、S510にて、記録されている全操作内容について実行(再生)が完了したか否か判断し、まだ完了していなければS480に戻るが、完了したならばS520に進む。S520では、システムメモリ13内の設定データを、先にS480で退避エリアに格納した再生前設定データに戻す。
【0078】
以上説明したように、本実施形態のMFP10が有する自動再生機能は、単に従来のように特定操作手順を記録してそれを後で再生可能とするだけではなく、特定操作手順の記録前に実機の設定データを特定操作手順と対応付けて記録しておく。そして、操作再生時は、実機の各種設定データを、その再生対象の特定操作手順に対応付けられて記録されている設定データに設定変更した上で、再生を行う。
【0079】
そのため、ユーザ等が操作再生を行う際、実機の各種設定値を逐一確認したり設定変更したりすることなく、操作記録時と全く同じ結果を得ることができる。
しかも、操作記録時と同じ実機の状態で操作再生を行うことができるため、MFP10に異常が発生した場合にその原因究明を容易に行うこともできる。即ち、ユーザがMFP10を使用中、MFP10に何らかの異常が生じて所望の結果を得られなかった場合に、その異常が発生する一連の操作を記録しておけば、メーカ等において修理等を行う際に、ユーザ宅で発生した異常を容易且つ且つ実に再現させることができ、これにより異常発生の原因究明を容易に行うことが可能となる。
【0080】
また、本実施形態では、操作再生が行われる場合、その再生前に、実機に設定されている各種設定データを退避させ、再生終了後、実機の各種設定データを、その退避させた各種設定データに戻すようにしている。そのため、操作再生によって少なくともその再生中はMFP10の状態(各種設定データ)が変更されてしまうものの、再生後は再び再生前の状態に戻すことができる。そのため、ユーザは、MFP10を使用する際、前回使用時から今回使用時までの間に操作再生が行われたかどうか(つまり何らかの設定値が変わっているかどうか)を意識することなく使用することができる。
【0081】
また、本実施形態では、操作記録用メモリ33は操作記録・再生時の一時的な作業領域(記録・再生対象の操作記録データの一時格納用の領域)として用い、操作記録データの常時保存はシステムメモリ13又は外部メモリ42に対して行うようにしている。そのため、操作記録データの確実な記録・保存と、MFP10におけるメモリ領域全体の利用効率向上を両立させることができる。
【0082】
また、本実施形態では、操作記録データを外部メモリ42に保存することが可能となっているため、異なる複数のMFPでその外部メモリ42を共用することも可能となる。そのため、あるMFPで記録した特定操作手順を他のMFPで再生させることができるなど、ユーザの利便性が向上する。
【0083】
また、本実施形態では、操作記録時における各操作の内容を、その操作時刻と共に記録し、操作再生時には、その記録した操作時刻に基づいて、各操作を記録時と同じ時間間隔で順次実行するようにしている。そのため、操作再生の際、各操作の内容に応じた処理が確実に実行され、その一連の操作によって得られるべき結果が確実に得られる。
【0084】
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0085】
例えば、上記実施形態では、操作記録用メモリ33には一つの操作記録データを保持可能としたが、複数の操作記録データを保持できるようにしてもよい。また、操作記録用メモリ33内に記録用エリアと再生用エリアを一つずつ或いは複数、別々に設けて使い分けるようにしてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、操作再生の際、その再生前に実機に設定されている設定データ(即ちシステムメモリ13の設定データエリアに格納されている設定データ)の全てをシステムメモリ13の退避エリアに格納する(退避させる)ようにしたが、必ずしも全ての設定データを退避させなくてもよい。例えば、操作再生によって設定値が変わってしまうものを選択的に退避させるようにするなど、どの設定値(設定データ)を退避させるべきかについては適宜決めることができる。
【0087】
また、操作記録時の各種設定データの記録は、必ずしも、MFP10における全設定データ、即ちシステムメモリ13内の設定データエリアにある全ての設定データを記録しなければならないわけではなく、操作記録の開始時にはとりあえず全設定データを操作記録用メモリ33に記録したとしても、操作記録の終了時にシステムメモリ13或いは外部メモリ42に格納する際は、記録した操作内容を後で再生した場合に記録時と全く同じ結果を得るために最低限必要な設定データ(つまり操作再生時の各操作の内容に応じた処理を行う際に用いられる設定データ)を最終的にシステムメモリ13或いは外部メモリ42に格納するようにしてもよい。このようにすれば、システムメモリ13や外部メモリ42における、各種設定データの記録に必要な容量を削減することができる。
【0088】
尚、操作再生時に操作記録時と完全に同じ結果を得られるようにすることは当然ながら最も好ましいことではあるが、場合によっては、厳密な完全同一までは要求されず、操作記録時の結果と若干の違いはあってもほぼ同一であるならばユーザに許容される場合もある。そのような場合は、その許容される範囲内で操作記録時と同程度の結果を得るために必要な設定データを最終的にシステムメモリ13或いは外部メモリ42に格納するようにしてもよい。
【0089】
また、操作記録の開始時においても、必ずしも全設定データを操作記録用メモリ33に記録しなければならないわけではない。即ち、ユーザ操作に対する結果物にほとんど影響を及ぼさないような設定データなど、操作再生時に操作記録時と同じ結果が得られるようにするという所期の目的達成を実質的に阻害するおそれがないような設定データ値については、記録しなくてもよい。
【0090】
また、操作記録用メモリ33に記録した操作記録データは、操作記録の終了毎にシステムメモリ13又は外部メモリ42に格納するようにしたが、必ずしも操作記録の終了毎に逐一格納しなくてもよい。例えば、操作記録終了後、とりあえずそのまま操作記録用メモリ33に保持しておき、次に新たな操作記録が開始されるとき、或いは再生指示によって再生対象の操作記録データが操作記録用メモリ33に読み込まれるときに、それまで保持しておいた操作記録データをシステムメモリ13又は外部メモリ42に格納するようにしてもよい。
【0091】
またその場合、ある操作記録データについて再生指示がなされた場合に、再生対象の操作記録データが、操作記録用メモリ33に保持されているものであるならば、その保持されている内容をそのまま用いて再生を行うようにしてもよい。このようにすれば、操作記録用メモリ33とシステムメモリ13との間のデータ読み書き処理、或いは操作記録用メモリ33とシステムメモリ13との間のデータ読み書き処理の無駄を省くことができ、延いてはMFP10全体の処理負荷を低減することができる。
【0092】
また、上記実施形態では、記録時における操作記録データのコピー先、及び再生時における再生対象の操作記録データの読み出し元のいずれも、システムメモリ13及び外部メモリ42のうち外部メモリ42を優先させるようにしたが、これもあくまでも一例であり、例えば、外部メモリ42が装着されていたとしても、ユーザがシステムメモリ13を指定するなどしてシステムメモリ13を対象に操作記録データの格納・再生対象の読み出しを行えるようにしてもよい。また、外部メモリ42が装着されていない場合には外部メモリ42を装着するようユーザに促す表示・音声出力等を行うようにしてもよい。
【0093】
尚、操作記録データを格納(保存)しておくための保存領域として、システムメモリ13及び外部メモリ42の2つが必要というわけではなく、どちらか一方のみであってもよいし、逆に3つ以上のメモリを用意して夫々に格納するようにしてもよい。
【0094】
そして、上記実施形態を含め、操作記録用メモリ33に一旦記録した操作記録データの格納先メモリが複数ある場合は、上記実施形態のように何れか一つのメモリに格納するようにしてもよいし、何れか複数又は全てのメモリに格納するようにしてもよい。
【0095】
また、操作記録用メモリ33に記録した操作記録データをシステムメモリ13又は外部メモリ42に格納すること自体も必須ではなく、操作記録用メモリ33に常時格納しておくようにしてもよい。つまり、操作記録用メモリ33を、上記実施形態のように記録・再生時の一時的な作業領域としてのみ用いるのではなく、記録した操作記録データを全て格納(保存)しておくための常時保存領域として用いるようにしてもよい。
【0096】
逆に、操作記録用メモリ33を用いず、システムメモリ13或いは外部メモリ42に直接アクセスして記録・再生を行うようにすることもできる。例えば記録時には、操作記録データを記録部31が直接システムメモリ13或いは外部メモリ42に格納し、再生時には、再生対象の操作記録データをシステムメモリ13或いは外部メモリ42から直接読み出して再生処理を行う、といったことも可能である。
【0097】
また、上記実施形態では、記録対象の特定操作手順における、各操作間の時間間隔を特定するための時間間隔情報として、操作の内容毎にその操作時刻を対応付けて記録するようにしたが、このように時間間隔情報として操作時刻を記録することは必須ではなく、各操作間の時間間隔を特定できる限り、種々の時間間隔情報を記録することができる。例えば、操作が受け付けられる毎に、直前の操作受け付け時から今回の操作受け付け時までの時間間隔を検出してそれを記録しておくようにしてもよい。
【0098】
また、上記実施形態で示した、システムメモリ13の内部データ構造(図2参照)、操作記録用メモリ33の内部データ構造(図4参照)、操作記録データの具体例(図2,図4参照)、各種設定データ例(図3参照)などは、あくまでも一例であって、これら図示した内容に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0099】
また、本発明の適用は、上記実施形態で示したMFP10への適用に限定されるものではなく、ユーザ等による操作を受け付けてその操作の内容に応じた処理を実行するよう構成されたあらゆる種類の電子機器に対して本願発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0100】
10…MFP、11…制御部、12…CPU、13…システムメモリ、16…画像形成部、17…画像読取部、18…通信部、20…操作表示部、21…操作パネル、22…ダイヤルボタン、23…タッチパネル、24…モードボタン、30…操作記録再生部、31…記録部、32…再生部、33…操作記録用メモリ、34…時計、40…入出力部、41…挿入口、42…外部メモリ、50…バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作を受け付ける操作受付手段と、
前記操作受付手段により受け付けられた操作の内容に応じた処理を実行する実行手段と、
を備えた電子機器において、
所定の記録タイミング又は所定の記録期間において前記操作受付手段により受け付けられた前記操作の内容を時系列的に特定操作手順として記録する操作記録手段と、
前記操作記録手段により前記特定操作手順の記録がなされる際、その記録前に当該電子機器において設定されている、当該電子機器の動作に用いられる複数の設定値のうち、予め決められた少なくとも一つの設定値を、初期設定値として、その記録対象の特定操作手順と対応付けて記録する初期設定値記録手段と、
前記操作記録手段により記録された前記特定操作手順を再生することにより、前記実行手段に、該特定操作手順として記録されている前記操作の内容に応じた処理をその記録時と同じ順序で実行させる再生手段と、
前記再生手段により前記再生がなされる際、その再生前に、当該電子機器において設定されている前記各設定値のうち、その再生対象の前記特定操作手順に対応付けられて前記初期設定値として記録されている設定値を、該初期設定値に設定変更する再生前設定値変更手段と、
を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記再生手段により前記再生がなされる際、前記再生前設定値変更手段による前記設定値の変更に先立って、当該電子機器において設定されている前記各設定値のうち少なくとも前記再生前設定値変更手段によって設定変更される設定値を再生前初期設定値として退避用メモリに記録させる退避手段と、
前記再生手段による前記再生の終了後、当該電子機器において設定されている前記各設定値のうち、該再生の前に前記退避手段により前記再生前初期設定値として前記退避用メモリに記録された設定値を、該再生前初期設定値に設定変更する再生後設定値変更手段と、
を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の電子機器であって、
前記初期設定値記録手段は、前記複数の設定値のうち、少なくとも、前記操作記録手段により記録される前記操作の内容に応じた処理を前記実行手段が実行する際に用いられる設定値を、前記初期設定値として記録する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の電子機器であって、
前記操作記録手段及び前記初期設定値記録手段は、第1のメモリに対してそれぞれ前記記録を行い、
当該電子機器は、前記操作記録手段及び前記初期設定値記録手段による前記第1のメモリへの前記記録の終了後、少なくとも次に該各手段の何れかによる前記記録がなされる前、又は前記再生手段による再生がなされる前に、該記録された内容を第2のメモリに記録することにより該記録した内容を保持する保持手段を備え、
前記再生手段は、前記第2のメモリに記録されている前記再生対象の前記特定操作手順を前記第1のメモリに格納して、その第1のメモリに格納した前記特定操作手順を再生する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項4に記載の電子機器であって、
前記保持手段は、前記第1のメモリに記録された前記初期設定値のうち、少なくとも、前記操作記録手段により記録された前記操作の内容に応じた処理を前記実行手段が実行する際に用いられる設定値に対応した初期設定値を、前記第2のメモリに記録する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の電子機器であって、
前記操作記録手段及び前記初期設定値記録手段によって前記第1のメモリに記録された内容は、少なくとも、次に該各手段の何れかによる前記記録がなされるまで、又は前記再生手段による再生がなされるまでは、その記録内容がそのまま前記第1のメモリに保持されるよう構成されており、
前記再生手段は、前記再生の際、その再生対象の前記特定操作手順が現在前記第1のメモリに記録されているものである場合は、その第1のメモリに記録されている内容に基づいて前記再生を行う
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項4〜請求項6の何れか1項に記載の電子機器であって、
前記第1のメモリは、当該電子機器に内蔵されており、
前記第2のメモリは、当該電子機器とは別に設けられ、当該電子機器に対して挿抜可能に装着されると共に装着時に当該電子機器との間で記録内容の送受が可能に構成されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の電子機器であって、
前記操作記録手段は、前記特定操作手順として、前記操作の内容と共に、少なくとも2番目以降の操作の各々について直前の操作から今回の操作までの時間間隔を特定するための時間間隔情報も記録し、
前記再生手段は、前記操作記録手段により記録された前記特定操作手順を再生する際、その再生対象の特定操作手順として記録されている前記時間間隔情報に基づき、その記録時と同じ時間間隔で再生する
ことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−75014(P2012−75014A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219433(P2010−219433)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】