説明

電子機器

【課題】本発明は、薄型で放熱性がよく、長寿命化の可能な電子機器を提供することを目的とする。
【解決手段】本願発明の電子機器は、板状コンデンサの層を少なくとも有する多層基板11と、多層基板11に含まれる板状コンデンサ31及び多層基板11上に搭載された回路51、52、54を用いて電力を供給する電源回路と、多層基板11上に搭載され、電源回路からの電力供給によって動作する本体回路基板38と、多層基板11との間に本体回路基板38が挟まれるように多層基板11と略平行に配置され、本体回路基板38上のLSI21、22と接する放熱板13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱性を向上する電源構成を採用した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の電源装置は、一般に多大な熱を発する。この熱に適切に対処しないと、電源装置のみならず、電子機器全体にも悪影響を与える。当然、電子機器中の電源装置以外の本体回路からも発熱があるため、熱への対処は電子機器全体に対して必要となる。
【0003】
商用電源に接続する電源装置では、一般に高耐圧のコンデンサが使われるため、コンデンサのサイズは大きい。また、コンデンサに電解コンデンサを利用した場合、電源装置の寿命は一般に電解コンデンサによって決まる。このため、電源装置の寿命を延ばすには、電源装置の発熱への対処が必須となってくる。
【0004】
今日、電子機器は薄型化が望まれ、1Uサイズに収めなければならないことが多い。これに向け、電源装置も薄型化が望まれている。そこで、必要な回路を同一平面上に配置した電源装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
特許文献1の電源装置は、電源装置のうちの発熱量の大きいスイッチング回路を電源装置の中心に配置しているため、電源装置の中心付近には回路を配置することができない。このため、回路基板が大きくなる問題があった。また、特許文献1の電源装置は、コンデンサとして電解コンデンサを使用しているため、電源装置の寿命の決定要因になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−135373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、薄型で放熱性がよく、長寿命化の可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本願発明の電子機器は、板状コンデンサの層を少なくとも有する多層基板と、前記多層基板に含まれる板状コンデンサ及び前記多層基板上に搭載された回路を用いて電力を供給する電源回路と、前記多層基板上に搭載され、前記電源回路からの電力供給によって動作する本体回路と、前記多層基板との間に前記本体回路が挟まれるように前記多層基板と略平行に配置され、前記本体回路の上端面と接する放熱板と、を備える。
【0009】
板状コンデンサの層を少なくとも含む多層基板を用いるため、電解コンデンサを用いることなく回路構成を薄型化することができる。このため、電子機器を薄型にしつつ長寿命化することができる。また、放熱板が本体回路の上端と接するように最上面に配置されているため、本体回路からの熱を効率よく放熱することができる。このため、放熱性を向上し、長寿命化することができる。したがって、本願発明の電子機器は、薄型で放熱性がよく、長寿命化を可能にすることができる。
【0010】
本願発明の電子機器では、前記放熱板は、グランドに接続されてもよく、前記多層基板は、前記板状コンデンサに接する上下の層に、グランド層を備えてもよい。
本発明により、本体回路の上部が放熱板でシールドされ、板状コンデンサの上部及び下部がシールドされているため、電子機器の内外からの電磁波の影響や不用放射を低減することができる。
【0011】
本願発明の電子機器では、前記放熱板、前記本体回路の基板及び前記多層基板の外縁の少なくとも一部は、切欠きを有し、前記切欠きに、前記本体回路よりも高さの高い回路が配置されていてもよい。
本発明により、背の高い回路を電子機器に搭載することができる。ここで、熱源となる回路を電子機器の隅に集めることができ、電子機器の側面から効率よく放熱することができる。また、多層基板上における回路の設置スペースを有効に利用することができる。
【0012】
本願発明の電子機器では、前記本体回路上の回路部品の上端面が熱伝導体を介して前記放熱板と接していてもよい。
本発明により、多層基板上に搭載された回路からの熱が効率よく放熱板に伝導されるため、多層基板上に搭載された回路からの熱を効率よく放熱させることができる。
【0013】
なお、上記各発明は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、本発明は、薄型で放熱性がよく、長寿命化の可能な電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る電子機器の採用する電源構成の一例を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係る電子機器の採用する電源構成の横断面図の一例を示す。
【図3】本実施形態に係る電子機器の全体構成の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施の例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0017】
図1は、本実施形態に係る電子機器の採用する電源構成の一例を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る電子機器の採用する電源構成の横断面図の一例を示す。本実施形態に係る電子機器は、多層基板11と、電源回路と、本体回路基板38と、放熱板13と、を備える。最上面に放熱板13が配置される。これにより、電子機器全体における放熱性を高めている。
【0018】
電源回路は、本体回路基板38に電力を供給する。例えば、電源回路は、板状コンデンサ31と、トランス51と、制御回路52と、コイル54と、グランド53、55と、スイッチング素子61と、ダイオード62と、を備える。電源回路の回路部品は多層基板11上に搭載される。
【0019】
板状コンデンサ31は、制御回路52とシールド線で接続され、電源回路用のコンデンサとして機能する。スイッチング素子61及びダイオード62は、制御回路52とシールド線で接続される。ここで、スイッチング素子61及びダイオード62は、放熱板13に設けられた収容部に埋め込まれ、ねじ等の固定具を用いて固定されていることが好ましい。収容部は、放熱板13のうちの本体回路基板38側の面に設けられていることが好ましい。
【0020】
本体回路は、電子機器のうちの電源以外の機能を発揮させるための回路であって、電源回路からの電力供給によって動作する。例えば、本体回路は、本体回路基板38と、LSI(Large Scale Integration)21と、LSI22と、IC(Integrated Circuit)56と、板状コンデンサ36と、を備える。LSI21、22などの熱源となる回路部品は多層基板11上に搭載される。例えば、LSI21、22及びIC56が搭載されている本体回路基板38は、多層基板11上に搭載される。なお、本体回路は、本体回路に電力を供給する電源回路とは異なるサブの電源回路、例えば電源電圧を下げるDC−DCコンバータを備えていてもよい。また、本体回路は、本体回路に電力を供給する電源回路の一部、例えばスイッチング回路を備えていてもよい。電源回路のうちのスイッチング回路が放熱板13に接していることで、発熱量の大きいスイッチング回路の熱を放熱板13から放熱することができる。
【0021】
放熱板13は、電源回路及び本体回路の発する熱を放熱する。放熱板13は、アルミニウムなどの熱伝導率の高い金属からなることが好ましい。さらに、熱放射を高めるため、放熱板13は、黒色アルマイト加工が施されていることが好ましい。また、放熱板13はグランドに接続されていることが好ましい。これにより、電子機器の内外の電磁波の影響や不要放射を低減することができる。
【0022】
放熱板13は、多層基板11との間に、熱源となる本体回路を挟むように配置される。多層基板11と放熱板13は略平行に対峙して配置されている。このように、多層基板11と放熱板13が層状に重なっているため、電子機器の薄型化が可能になる。ここで、多層基板11の下面から放熱板13の上面までの高さは、電子機器の高さ未満である。例えば電子機器の高さが1Uである場合は1Uに収まるようにする。
【0023】
本体回路の上端は放熱板13と接する。例えば、本体回路の回路部品のうちの最も背の高いLSI21の上端面は放熱板13と接する。LSI22のようにLSI21よりも背の低い回路部品の場合は、LSI22の放熱板13側の面が熱伝導体24を介して放熱板13と接する。これにより、LSI22の発する熱を放熱板13に効率よく伝導させることができる。熱伝導体24は、熱伝導率の高い物質が好ましく、例えば金属板又は熱伝導シートである。
【0024】
一方、本体回路特にLSI21よりも高さの高いトランス51、制御回路52及びコイル54は、多層基板11の端に寄せ集めて実装する。この場合、最上面の放熱板13及び中間の本体回路基板38は必要に応じて切欠きを入れる。そして、この切欠きにトランス51、制御回路52及びコイル54を配置する。トランス51、制御回路52及びコイル54の筐体側や、本体回路基板38に搭載されている回路との境界に、電子機器の内外の電磁波の影響や不用放射を低減するためのグランド53、55を設けても良い。なお、必要に応じて、多層基板11にも切欠きを入れてもよい。
【0025】
電子機器の下面は板状コンデンサを層の1つとする多層基板11である。板状コンデンサ36は、本体回路で使用するコンデンサとして機能する。板状コンデンサ31は電源回路で使用するコンデンサとして機能する。このように、多層基板11は、板状コンデンサを層の1つ以上として用意する。そして、板状コンデンサ31、36は、回路の耐圧や容量に応じて分割される。
【0026】
板状コンデンサ36は、誘電体40と、誘電体40の上に配置されたグランド側の電極44と、誘電体40の下に配置されたホット側の電極45と、を備える。板状コンデンサ31は、誘電体39と、誘電体39の上に配置されたグランド側の電極35と、誘電体39の下に配置されたホット側の電極37と、を備える。
【0027】
グランド34にはスルーホール41が形成され、グランド側の電極44及び誘電体40にはスルーホール42が形成されており、本体回路基板38と電極45とが電気的に接続される。これにより、本体回路用のデカップリングコンデンサを多層基板11に構成することができる。
【0028】
スルーホール41及び42の他にも多層基板11にスルーホールを設けることで、本体回路基板38の任意の位置で、多層基板11の任意の層と接続することができる。このように、多層基板11にスルーホールを設けて接続することで、配線ループ43を小さくすることができ、これによりノイズを減らすことができる。
【0029】
多層基板11の最上面にグランド34が配置され、板状コンデンサ31の上下にはグランド32及び33が配置されることが好ましい。これにより、電子機器の内外からの電磁波の影響や不要放射を低減することができる。
【0030】
図3に、本実施形態に係る電子機器の全体構成の一例を示す。電子機器の上面に、大面積の放熱板13が配置される。これにより、電子機器に搭載されているほとんどの回路からの発熱を十分に放熱することができる。
【0031】
また、筐体側面には通気孔が設けられ、冷却用のファン57が適宜用意されることが好ましい。これにより、放熱板13を冷却したり、多層基板11と放熱板13との間にこもった熱を放出したりすることができる。
【0032】
電子機器の上部に配置される放熱板13がグランドに接続され、電子機器の下部に配置される多層基板11の最下面の層がグランドに接続されているため、内外からの電磁波の影響や不要放射を低減することができる。
【0033】
放熱板13の隅には切欠きが設けられており、切欠き部分に背の高い回路71が配置されている。そして、放熱板13にはスイッチング素子などの素子72が埋め込まれている。
【0034】
多層基板11に電源用の板状コンデンサが配置され、多層基板11と放熱板13との間が中空になる。このため、電子機器の動作に用いる種々の回路部品を本体回路基板(図1及び図2に示す符号38)上に配置することができる。種々の回路部品を本体回路基板38に搭載することで、各回路から放出される熱を放熱板13から放熱することができる。このため、薄型で放熱性がよく、長寿命化の可能な電子機器を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は情報通信産業に適用することができる。
【符号の説明】
【0036】
11:多層基板
13:放熱板
21、22:LSI
24:金属板
31、36:板状コンデンサ
32、33、34:グランド
35、37、44、45:板状コンデンサの電極
38:本体回路基板
39、40:誘電体
41、42:スルーホール
43:配線ループ
51:トランス
52:制御回路
53、55:グランド
54:コイル
56:IC
57:ファン
61:スイッチング素子
62:ダイオード
71:回路
72:素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状コンデンサの層を少なくとも有する多層基板と、
前記多層基板に含まれる板状コンデンサ及び前記多層基板上に搭載された回路を用いて電力を供給する電源回路と、
前記多層基板上に搭載され、前記電源回路からの電力供給によって動作する本体回路と、
前記多層基板との間に前記本体回路が挟まれるように前記多層基板と略平行に配置され、前記本体回路の上端面と接する放熱板と、
を備える電子機器。
【請求項2】
前記放熱板は、グランドに接続され、
前記多層基板は、前記板状コンデンサに接する上下の層に、グランド層を備える
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記放熱板、前記本体回路の基板及び前記多層基板の外縁の少なくとも一部は、切欠きを有し、
前記切欠きに、前記本体回路よりも高さの高い回路が配置されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記本体回路上の回路部品の上端面が熱伝導体を介して前記放熱板と接していることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−12508(P2013−12508A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142525(P2011−142525)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(591230295)NTTエレクトロニクス株式会社 (565)
【Fターム(参考)】