説明

電子機器

【課題】電源スイッチの投入後の初期段階においても、電池の残容量を正確に推測することができる携帯電話機100を提供する。
【解決手段】電池を内蔵する携帯電話機100は、携帯電話機100の起動直後の第1時点において、前記電池の電圧を測定する電圧測定部110と、前記第1時点から電池の残容量を最初に表示する第2時点までの間に、充電及び放電されると推定される充放電推定量と、測定された前記電圧とを用いて、前記第2時点における前記電池の残容量を算出する制御部108とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器において、内蔵する電池の残容量を推測する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機は、内部に二次電池を備えており、この電池の電力を使用して、通信回路を含む各種の回路を動作させている。また、電池の残容量が少なくなると、携帯電話機の回路が誤動作するので、電池の残容量を表示して利用者に知らせる機能を備えている。
特許文献1によると、予め設定された時間間隔で電池の電圧を測定し、電圧から残容量への変換テーブルから、測定された電圧に対応する残容量を取得することにより、電池の残容量を推測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−244492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子機器においては、電源スイッチの投入後、定常動作状態に至るまでの初期段階において、消費される電力が大幅に変化する時間帯がある。従って、この時間帯内において電池の電圧を測定して電池の残容量を推測しようとすると、電圧を測定するタイミングが少しずれるだけで、得られる電圧が大きく異なり、このため、測定した電圧を基にして推測して得られた電池の残容量が実際の残容量とずれるという問題がある。従って、電源スイッチ投入後に、最初に表示される電池の残容量が正確なものとならない。
【0005】
上記問題点を解決するために、本発明は、電子機器の電源スイッチの投入後の初期段階においても、電池の残容量を正確に推測することができる電子機器及び制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、内蔵する電池の残容量を推測する電子機器であって、当該電子機器の起動直後の第1時点において、前記電池の電圧を測定する測定手段と、前記第1時点から電池の残容量を最初に表示する第2時点までの間に、充電及び放電されると推定される充放電推定量と、測定された前記電圧とを用いて、前記第2時点における前記電池の残容量を算出する算出手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この構成によると、消費される電力が大幅に変化することがない起動直後の第1時点において、前記電池の電圧を測定するので、得られた電圧を用いて、電池の残容量を正確に推測することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】携帯電話機100の外観斜視図である。
【図2】携帯電話機100の構成を示すブロック図である。
【図3】電流値及び電圧値から残容量比率への変換テーブル136のデータ構造を示す。
【図4】携帯電話機100の電源スイッチの投入からアプリケーションプログラムが動作するまでの過程を示すフローチャートである。
【図5】残容量推測プログラム134による動作を示すフローチャートである。
【図6】残容量計算プログラム135による動作を示すフローチャートである。図7へ続く。
【図7】残容量計算プログラム135による動作を示すフローチャートである。図6から続く。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る一の実施の形態としての携帯電話機100について説明する。
電子機器としての携帯電話機100は、図1にその外観を示すように、内蔵する電池の残容量を示すアイコン141を表示する。また、携帯電話機100は、図示していない基地局及び携帯電話網を介して、他の携帯電話機との間で、通話又は電子メールの送受信が可能となるように構成されている。
【0010】
1.携帯電話機100の構成
携帯電話機100は、図2に示すように、アンテナ101、通信回路102、音声処理部103、マイク104、スピーカ105、操作部106、表示部107、制御部108、二次電池109、電圧測定部110、接続部111、充電検出部112及びRAM113から構成されている。
【0011】
(1)アンテナ101及び通信回路102
アンテナ101は、図示していない基地局との間で無線回線を介して無線信号を送受信する。通信回路102は、アンテナ101により送受信される無線信号の周波数選択や周波数変換等を行う。
(2)表示部107、スピーカ105、マイク104、操作部106及び音声処理部103
表示部107は、待ち受け画面、設定画面などを表示する。また、表示部107は、図1に示すように、二次電池109の残容量を示すアイコン141を表示する。なお、残容量を示すアイコン141とともに、二次電池109の残容量を示す数値を、比率(パーセント)により、表示してもよい。ここで、比率とは、二次電池109の公称最大容量に対する残容量の割合である。
【0012】
スピーカ105は、音声等の音響を出力する。マイク104は、音声等の音響を入力する。操作部106は、携帯電話機100をON又はOFFとするための電源スイッチとしての電源キー、テンキー、その他のキーを含む。
音声処理部103は、通信回路102により受信された音声信号を復調してスピーカ105に対して音響信号として出力すると共に、マイク104より入力された音響信号に対応して電気信号に変換された音声信号を変調し、通信回路102により送信させる。
【0013】
(3)二次電池109、電圧測定部110、接続部111、充電検出部112及びRAM113
二次電池109は、充電を行うことが可能な化学電池であり、一例として、リチウムイオン二次電池である。二次電池109は、携帯電話機100の他の構成要素(デバイスとも呼ぶ。)に対して、電力を供給する。
【0014】
接続部111は、携帯電話機100が充電装置200に装着された場合に、充電装置200と二次電池109とを接続し、充電装置200から二次電池109に対して、充電のための電力の供給を中継する。
RAM113は、揮発性の半導体メモリから構成され、電圧記憶部114及び充電状態記憶部115を含む。
【0015】
充電検出部112は、携帯電話機100が充電装置200に装着され、二次電池109に対して、充電が行われているか否かを検出する。充電が行われている状態であることを検出した場合には、充電状態「ON」を、充電状態記憶部115へ書き込む。充電が行われていない場合には、充電状態「OFF」を、充電状態記憶部115へ書き込む。
電圧測定部110は、二次電池109の電圧を測定し、測定して得られた電圧値を電圧記憶部113へ書き込む。
【0016】
電圧記憶部114は、電圧測定部110により測定された二次電池109の電圧を示す電圧値を記憶するための領域を備えている。
充電状態記憶部115は、携帯電話機100が充電装置200に装着され、二次電池109に対して、充電が行われているか否かを示す充電状態を記憶するための領域を備えている。充電状態が、「ON」の場合、充電が行われていることを示す。充電状態が、「OFF」の場合、充電が行われていないことを示す。
【0017】
(4)制御部108
制御部108は、図2に示すように、CPU116、RAM117及びROM118から構成されている。RAM113、CPU116、RAM117及びROM118は、バスを介して接続されている。
(a)ROM118
ROM118は、不揮発性の半導体メモリであり、図2に示すように、ブートロードプログラム131、オペレーティングシステム用プログラム132、アプリケーションプログラム133、・・・、残容量推測プログラム134、残容量計算プログラム135、変換テーブル136、充電推定量137及び放電推定量138を記憶している。
【0018】
(ブートロードプログラム131)
ブートロードプログラム131は、CPU116がリセットされた直後に、CPU116により、実行されるプログラムである。ブートロードプログラム131は、オペレーティングシステム用プログラム132をROM118から読み出し、読み出したオペレーティングシステム用プログラム132をRAM117にロードする命令を含んでいる。また、ブートロードプログラム131は、電圧測定部110に対して電圧を測定するように指示する命令を含んでいる。
【0019】
ブートロードプログラム131が実行されると、オペレーティングシステム用プログラム132がRAM117にロードされる。また、電圧測定部110に対して電圧を測定するように指示する命令が実行され、電圧測定部110は、この命令に従って電圧を測定する。
ブートロードプログラム131は、ROM118の既定位置に格納されている。
【0020】
(オペレーティングシステム用プログラム132)
オペレーティングシステム用プログラム132は、データの入出力管理、メモリの管理、プログラムの実行管理など、アプリケーションプログラムから共通的に利用される基本的な機能を提供するとともに、コンピュータシステム全体を管理するためのコンピュータプログラムである。
【0021】
(アプリケーションプログラム133、・・・)
アプリケーションプログラム133、・・・は、例えば、音楽を再生するための複数の命令からなるコンピュータプログラム、動画を再生するための複数の命令からなるコンピュータプログラム、その他のコンピュータプログラムである。
(変換テーブル136)
変換テーブル136は、携帯電話機100全体で消費される電流値及び二次電池109において測定された電圧値から残容量比率への変換を行うためのデータテーブルである。
【0022】
変換テーブル136は、一例として、図3に示すように、携帯電話機100全体で消費される電流値が400mA(ミリアンペア)の場合及び500mAの場合について、残容量比率と電圧値との組を複数個、記憶している。これらの組は、あらかじめ測定して得られたものである。電圧値は、二次電池109の電圧を測定することにより、得られる電圧値であり、その単位は、ボルト(v)である。残容量比率は、この電圧値が得られた場合に、二次電池109に蓄積されていると予想される残容量比率であり、次のように定義される。
【0023】
残容量比率(%)
= 二次電池109に蓄積されていると予想される残容量(mAh:ミリアンペア時) / 二次電池109の公称最大容量(mAh) × 100
携帯電話機100全体で消費される電流値が400mAの場合(170)、変換テーブル136は、残容量比率161「0」(%)及び電圧値171「3.4」(V)の組、残容量比率162「20」(%)及び電圧値172「3.6」(V)の組、・・・、残容量比率163「100」(%)及び電圧値173「4.2」(V)の組を含む。
【0024】
また、携帯電話機100全体で消費される電流値が500mAの場合(180)、変換テーブル136は、残容量比率161「0」(%)及び電圧値181「3.4」(V)の組、残容量比率162「20」(%)及び電圧値182「3.5」(V)の組、・・・、残容量比率163「100」(%)及び電圧値182「4.2」(V)の組を含む。
従って、携帯電話機100全体で消費される電流値が400mAの場合、二次電池109の電圧を測定して得られた電圧値が「3.4V」、「3.6V」、・・・、「4.2V」であるとき、変換テーブル136を用いて、残容量比率は、それぞれ、「0%」、「20%」、・・・、「100%」であることが分かる。また、携帯電話機100全体で消費される電流値が500mAの場合、二次電池109の電圧を測定して得られた電圧値が「3.4V」、「3.5V」、・・・、「4.2V」であるとき、変換テーブル136を用いて、残容量比率は、それぞれ、「0%」、「20%」、・・・、「100%」であることが分かる。
【0025】
(充電推定量137)
充電推定量137は、携帯電話機100が充電装置200に装着され、二次電池109が充電状態にある場合に、携帯電話機100の起動直後の起動時点(第1時点)から、最初に二次電池109の残容量が表示される初期表示時点(第2時点)までの間において、充電されると推定される総充電量を示している。その単位は、mAhである。充電推定量137は、予め測定されたものである。
【0026】
(放電推定量138)
放電推定量138は、携帯電話機100の起動直後の起動時点(第1時点)から、最初に二次電池109の残容量が表示される初期表示時点(第2時点)までの間において、携帯電話機100において消費されると推定される総放電量を示している。その単位は、mAhである。放電推定量138は、予め測定されたものである。
【0027】
(残容量推測プログラム134)
残容量推測プログラム134は、携帯電話機100の電源スイッチがONにされ、携帯電話機100が起動した後に、最初に表示部107に表示される二次電池109の残容量を算出するためのコンピュータプログラムである。
残容量推測プログラム134には、次に示す手順を実行するための複数の命令が含まれている。
【0028】
(i)電圧記憶部114から電圧値を読み出す。ここで、電圧記憶部114に記憶されている電圧値は、携帯電話機100が起動した直後の起動時点(第1時点)において、測定された二次電池109の電圧を示している。
(ii)携帯電話機100全体で消費されるであろう電流値を算出する。この電流値は、携帯電話機100を構成する全てのデバイスのうち、この時に動作しているであろう複数のデバイスにおいて消費される電流値を合計することにより算出する。各デバイスにより消費される電流値は、あらかじめ、ROM118に記憶されている。
【0029】
(iii)変換テーブル136から、算出した電流値及び読み出した電圧値に対応する残容量比率(パーセント)を読み出す。この残容量比率は、起動時点(第1時点)におけるものである。具体的には、算出した電流値に一致する電流値を変換テーブル136から選択する。一致する電流値が存在しなければ、算出した電流値に最も近い電流値を選択する。次に、選択した電流値について、読み出した電圧値に対応する残容量比率を変換テーブル136から読み出す。
【0030】
(iv)充電状態記憶部115から充電状態を読み出し、読み出した充電状態がONかOFFかを判断する。
(iv-1)充電状態がONである場合、ROM118から充電推定量137及び放電推定量138を読み出し、充放電推定量を次のようにして算出する。
充放電推定量 = 放電推定量138 − 充電推定量137
(iv-2)充電状態がOFFである場合、ROM118から放電推定量138を読み出し、充放電推定量を次のようにして算出する。
【0031】
充放電推定量 = 放電推定量138
(v)充放電推定量比率(パーセント)を次のようにして算出する。
充放電推定量比率(パーセント)
= 充放電推定量 / 二次電池109の公称最大容量 × 100
(vi)表示時点(第2時点)における残容量比率(パーセント)を次のようにして算出する。
【0032】
表示時点(第2時点)における残容量比率(パーセント)
= 起動時点(第1時点)における残容量比率(パーセント) − 充放電推定量比率(パーセント)
(vii)表示時点(第2時点)における残容量比率(パーセント)を表示部107に表示する。
【0033】
(残容量計算プログラム135)
残容量計算プログラム135は、CPU116が定常動作状態になった後、表示部107に表示される二次電池109の残容量比率を算出するためのコンピュータプログラムである。ここで、CPU116が定常動作状態になるのは、アプリケーションプログラムが動作可能となるときをいう。アプリケーションプログラムが動作可能となるのは、携帯電話機100の電源スイッチがONにされ、携帯電話機100が起動し、オペレーティングシステム用プログラム132がRAM117に格納され、オペレーティングシステム用プログラム132に従ってCPU116が動作するようになった後である。
【0034】
残容量計算プログラム135は、CPU116が定常動作状態になった後、30秒を経過する毎に、動作する。
残容量計算プログラム135には、次に示す手順を実行するための複数の命令が含まれている。
(i)電圧測定部110に対して、二次電池109の電圧を測定し、得られた電圧値を電圧記憶部114へ書き込むように制御する。次に、電圧記憶部114から電圧値を読み出す。
【0035】
(ii)携帯電話機100全体で消費されるであろう電流値を算出する。この方法の詳細については、上述した通りである。
(iii)電圧記憶部114から算出した電流値及び読み出した電圧値に対応する残容量比率を変換テーブル136から読み出す。この方法の詳細については、上述した通りである。
【0036】
(iv)今回の残容量比率を記憶する。
(v )充電状態記憶部115から充電状態を読み出し、読み出した充電状態がONかOFFかを判断する。
(v-1)充電状態がONである場合、
前回の残容量比率(前回、算出して得られた残容量比率)と今回の残容量比率(今回、算出して得られた残容量比率)とを比較する。
【0037】
前回の残容量比率が今回の残容量比率より大きい場合、今回の残容量比率を破棄する。
(v-2)充電状態がOFFである場合、
前回の残容量比率と今回の残容量比率とを比較する。
前回の残容量比率が今回の残容量比率より小さい場合、今回の残容量比率を破棄する。
【0038】
(vi)充電状態がONかOFFかを判断する。
(vi-1)充電状態がONである場合、
(vi-1-1)以下の式により、差分を算出する。
差分 = 今回の残容量比率 − 前回の残容量比率
(vi-1-2)差分と閾値とを比較する。
【0039】
(vi-1-3)差分が閾値より大きい場合、今回の残容量比率を破棄する。
(vi-2)充電状態がOFFである場合、
(vi -2-1)以下の式により、差分を算出する。
差分 = 前回の残容量比率 − 今回の残容量比率
(vi -2-2)差分と閾値とを比較する。
【0040】
(vi -2-3)差分が閾値より小さい場合、今回の残容量比率を破棄する。
(vii)今回の残容量比率を破棄する場合、前回の残容量比率を表示し、
今回の残容量比率を破棄しない場合、今回の残容量比率を表示する。
(b)RAM117
RAM117は、揮発性の半導体メモリから構成される。
【0041】
RAM117は、ROM118に格納されている各プログラムの実行に当たって、各プログラムを記憶する。また、RAM117は、ROM118に格納されている各プログラムの実行に当たって、必要なデータを記憶する。
(c)CPU116
CPU116は、ROM118に記憶されているコンピュータ用のプログラムに含まれる命令を順に読み出し、解読し、その解読結果に従って、論理制御や演算などを行うプロセッサである。
【0042】
CPU116は、携帯電話機100が起動された直後に、リセット信号を受信する。リセット信号を受信すると、ROM118の既定位置に格納されたブートロードプログラム131から命令を順に読み込み、解読し、実行する。ブートロードプログラム131は、オペレーティングシステム用プログラム132をROM118から読み出し、RAM117にロードする命令を含んでいるので、ブートロードプログラム131の実行が完了すると、オペレーティングシステム用プログラム132がRAM117にロードされる。その後、CPU116は、RAM117に格納されたオペレーティングシステム用プログラムに含まれる命令に従って動作する。
【0043】
また、CPU116は、RAM117に格納された残容量推測プログラム134、残容量計算プログラム135、アプリケーションプログラム133、・・・に含まれる命令に従って動作する。
2.携帯電話機100の動作
携帯電話機100の動作について、説明する。
【0044】
(1)電源スイッチの投入からアプリケーションプログラムが動作するまでの過程について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。
利用者により電源スイッチがONに投入されると(ステップS101)、CPU116にリセット信号が出力されてCPU116がリセットされ(ステップS102)、CPU116は、ブートロードプログラム131を読み出し(ステップS103)、読み出したブートロードプログラムをRAM117にロードし(ステップS104)、ブートロードプログラムを実行する。従って、オペレーティングシステム用プログラム132が読み出され、RAM117にロードされる(ステップS105)。
【0045】
次に、CPU116は、オペレーティングシステム用プログラム132を実行する(ステップS106)。
次に、CPU116は、残容量推測プログラム134を読み出し、RAM117にロードし、実行する(ステップS107)。
次に、CPU116は、残容量計算プログラム135を読み出し、RAM117にロードし、実行する(ステップS108)。
【0046】
次に、CPU116は、アプリケーションプログラム133を読み出し、RAM117にロードし、実行する(ステップS109)。こうして、携帯電話機100は、利用者が通常の使用をすることができる状態に移行する。
また、ブートロードプログラムの実行中に、電圧測定部110に対して電圧を測定するように指示する命令が実行されると(ステップS105)、一種のサブルーチンとして、電圧測定部110は、二次電池109の電圧を測定する(ステップS110)。ここで、電圧測定部110により二次電池109の電圧が測定される時点は、ブートロードプログラム実行の時間帯内の第1時点である。言い換えると、ブートロード中の第1時点である。さらに、言い換えると、CPU116がブートロードプログラムに従って動作している時間帯内の第1時点である。次に、電圧測定部110は、測定により得られた電圧値を電圧記憶部114へ書き込む(ステップS111)。
【0047】
(2)残容量推測プログラム134による動作について、図5に示すフローチャートを用いて説明する。なお、ここで説明する動作は、図4のステップS107における残容量推測プログラム134の実行の詳細である。
CPU116は、電圧記憶部114から電圧値を読み出し(ステップS131)、携帯電話機100全体で消費されるであろう電流値を算出する(ステップS132)。次に、変換テーブル136から、算出した電流値及び読み出した電圧値に対応する残容量比率を読み出す(ステップS132)。この残容量比率は、起動時点(第1時点)における残容量比率である。
【0048】
次に、CPU116は、充電状態記憶部115から充電状態を読み出し、読み出した充電状態がONかOFFかを判断する(ステップS134)。
充電状態がONである場合(ステップS134でON)、ROM118から充電推定量137及び放電推定量138を読み出し、充放電推定量を次のようにして算出する。
充放電推定量 = 放電推定量138 − 充電推定量137 (ステップS135)
充電状態がOFFである場合(ステップS134でOFF)、ROM118から放電推定量138を読み出し、充放電推定量を次のようにして算出する。
【0049】
充放電推定量 = 放電推定量138 (ステップS136)。
次に、CPU116は、充放電推定量比率(パーセント)を次のようにして算出する。
充放電推定量比率(パーセント)
= 充放電推定量 / 二次電池109の公称最大容量 × 100 (ステップS137)。
【0050】
次に、CPU116は、表示時点(第2時点)における残容量比率(パーセント)を次のようにして算出する。
表示時点(第2時点)における残容量比率(パーセント)
= 起動時点(第1時点)における残容量比率(パーセント) − 充放電推定量比率(パーセント) (ステップS138)。
【0051】
次に、CPU116は、表示時点(第2時点)における残容量比率(パーセント)を表示部107に表示する(ステップS139)。
(3)残容量計算プログラム135による動作について、図6〜図7に示すフローチャートを用いて説明する。なお、ここで説明する動作は、図4のステップS108における残容量計算プログラム135の実行の詳細である。
【0052】
残容量計算プログラム135は、CPU116が定常動作状態になった後、30秒を経過する毎に(ステップS152)、動作する。
CPU116は、二次電池109の電圧の測定により得られた電圧値を電圧記憶部114から読み出し(ステップS153)、携帯電話機100全体で消費されるであろう電流値を算出し(ステップS154)、算出した電流値及び読み出した電圧値に対応する残容量比率を変換テーブル136から読み出す(ステップS155)。
【0053】
次に、CPU116は、今回の残容量比率を記憶する(ステップS156)。
次に、CPU116は、充電状態記憶部115から充電状態を読み出し、読み出した充電状態がONかOFFかを判断する(ステップS157)。
充電状態がONである場合(ステップS157でON)、前回の残容量比率と今回の残容量比率とを比較する(ステップS158)。前回の残容量比率が今回の残容量比率より大きい場合(ステップS158でYES)、今回の残容量比率を破棄する(ステップS159)。
【0054】
充電状態がOFFである場合(ステップS157でOFF)、前回の残容量比率と今回の残容量比率とを比較する(ステップS160)。前回の残容量比率が今回の残容量比率より小さい場合(ステップS160でYES)、今回の残容量比率を破棄する(ステップS161)。
次に、CPU116は、充電状態がONかOFFかを判断する(ステップS162)。
【0055】
充電状態がONである場合(ステップS162でON)、差分を算出する。差分 = 今回の残容量比率 − 前回の残容量比率 (ステップS163)。次に、差分と閾値とを比較する(ステップS164)。差分が閾値より大きい場合(ステップS164でYES)、今回の残容量比率を破棄する(ステップS165)。
充電状態がOFFである場合(ステップS162でOFF)、差分を算出する。差分 = 前回の残容量比率 − 今回の残容量比率(ステップS166)。次に、差分と閾値とを比較する(ステップS167)。差分が閾値より大きい場合(ステップS167でYES)、今回の残容量比率を破棄する(ステップS168)。
【0056】
今回の残容量比率を破棄する場合(ステップS169でYES)、前回の残容量比率を表示し(ステップS171)、今回の残容量比率を破棄しない場合(ステップS169でNO)、今回の残容量を表示する(ステップS170)。
3.まとめ
以上説明したように、本実施の形態においては、ブートロードプログラムの実行の時間帯内の第1時点において、電圧測定部110は、二次電池109の電圧を測定する。言い換えると、ブートロード中の第1時点において、電圧測定部110は、二次電池109の電圧を測定する。さらに、言い換えると、CPU116がブートロードプログラムに従って動作している時間帯中の第1時点において、電圧測定部110は、二次電池109の電圧を測定する。次に、電圧測定部110は、測定された電圧値を電圧記憶部114に書き込む。
【0057】
ブートロードプログラムの実行の時間帯内においては、二次電池109の電力の消費は穏やかであり、電力の消費が大幅に変化することはない。
これらの時間帯において測定された電圧を用いるので、電池の残容量を正確に推測することができる。
本発明の一態様は、内蔵する電池の残容量を推測する電子機器であって、当該電子機器の起動直後の第1時点において、前記電池の電圧を測定する測定手段と、前記第1時点から電池の残容量を最初に表示する第2時点までの間に、充電及び放電されると推定される充放電推定量と、測定された前記電圧とを用いて、前記第2時点における前記電池の残容量を算出する算出手段とを備えることを特徴とする。
【0058】
この態様によると、消費される電力が大幅に変化することがない起動直後の第1時点において、前記電池の電圧を測定するので、得られた電圧を用いて、電池の残容量を正確に推測することができるという優れた効果を奏する。
ここで、前記測定手段は、ブートロード中の前記第1時点において、電圧を測定するとしてもよい。
【0059】
この構成によると、第1時点においては、ブートロード中であるので、この時点において消費される電力が大幅に変化することはない。従って、第1時点において測定された電圧を用いて、電池の残容量を正確に推測することができる。
ここで、前記電子機器は、さらに、第1メモリと、前記第1メモリへ上位プログラムをロードすることを指示するブートロードプログラムを記憶している第2メモリと、前記第2メモリに記憶されている前記ブートロードプログラムに従って動作することにより、前記第1メモリへ前記上位プログラムをロードし、前記上位プログラムがロードされた後に、前記第1メモリに記憶された前記上位プログラムに従って動作するプロセッサを含み、前記測定手段は、前記プロセッサが前記ブートロードプログラムに従って動作している時間帯中の前記第1時点において、前記電圧を測定するとしてもよい。
【0060】
この構成によると、第1時点は、ブートロードプログラムに従って動作している時間帯中であるので、この時点において消費される電力が大幅に変化することはない。従って、第1時点において測定された電圧を用いて、電池の残容量を正確に推測することができる。
ここで、前記電子機器は、電池の電圧と残容量とを対応付けて記憶している変換テーブルを保持しており、前記算出手段は、前記測定手段により測定された前記電圧に対応する残容量を前記変換テーブルから取得し、前記変換テーブルから取得した前記残容量に、前記充放電推定量を加算して、前記第2時点における前記電池の前記残容量を算出するとしてもよい。
【0061】
この構成によると、第2時点における残容量を正確に算出することができる。
ここで、前記算出手段は、前記電池の公称最大容量に対する前記充放電推定量の比率を充放電比率として算出し、前記電池の公称最大容量に対する前記変換テーブルから取得した前記残容量の比率を残容量比率として算出し、前記残容量比率に前記充放電比率を加算して、第2時点における前記電池の残容量比率を算出するとしてもよい。
【0062】
この構成によると、残容量の比率が算出されるので、電池の残容量が分かりやすい。
ここで、前記算出手段は、前記第1時点において、当該電子機器において消費される電流値を算出し、前記充放電推定量、測定された前記電圧及び算出された前記電流値を用いて、前記残容量を算出してもよい。
この構成によると、第1時点において消費される電流値を用いるので、より正確に残容量を算出することができる。
【0063】
ここで、前記電子機器は、電池の電圧と当該電子機器において消費される電流値と残容量とを対応付けて記憶している変換テーブルを保持しており、前記算出手段は、前記測定手段により測定された前記電圧及び算出された前記電流値に対応する残容量を前記変換テーブルから取得し、前記変換テーブルから取得した前記残容量に、前記充放電推定量を加算して、前記第2時点における前記電池の前記残容量を算出するとしてもよい。
【0064】
この構成によると、第2時点における残容量を正確に算出することができる。
ここで、前記充放電推定量は、前記第1時点から電池の残容量を最初に表示する第2時点までの間に充電される所定の充電推定量及び前記第1時点から電池の残容量を最初に表示する第2時点までの間に放電される所定の放電推定量との少なくとも一方からなる値であるとしてもよい。
【0065】
ここで、前記電子機器は、さらに、算出された前記残容量を表示する表示手段を含むとしてもよい。
この構成によると、表示手段により前記残容量が表示されるので、利用者は、視覚により、残容量を知ることができる。
また、本発明の一態様は、内蔵する電池の残容量を推測する電子機器において用いられる制御方法であって、当該電子機器の起動直後の第1時点において、前記電池の電圧を測定する測定ステップと、前記第1時点から電池の残容量を最初に表示する第2時点までの間に、充電及び放電されると推定される充放電推定量と、測定された前記電圧とを用いて、前記第2時点における前記電池の残容量を算出する算出ステップとを含むことを特徴とする。
【0066】
この制御方法によると、消費される電力が大幅に変化することがない起動直後の第1時点において、前記電池の電圧を測定するので、得られた電圧を用いて、電池の残容量を正確に推測することができるという優れた効果を奏する。
4.その他の変形例
なお、本発明を上記の実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限定されないのはもちろんである。以下のような場合も本発明に含まれる。
【0067】
(1)上記の実施の形態では、携帯電話機100について説明しているが、本発明は、携帯電話機には限定されない。例えば、二次電池を内蔵し、電池の残容量を表示する携帯型の音楽プレーヤや動画プレーヤなどの電子機器であるとしてもよい。また、二次電池を内蔵し、電池の残容量を表示する携帯型の録音装置などの電子機器であるとしてもよい。
上記の携帯型の音楽プレーヤ、動画プレーヤ又は携帯型の録音装置などの電子機器は、二次電池に代えて、乾電池に代表される一次電池から電力を供給されるとしてもよい。
【0068】
(2)ROM118には、1個の充電推定量137及び1個の放電推定量138を記憶している。しかし、本発明は、これには限定されない。
複数の電圧値に対応して複数の充電推定量を記憶しているとしてもよい。携帯電話機100の起動直後に二次電池109の電圧を測定し、測定により得られる電圧値に対応する充電推定量を一つ選択し、選択した充電推定量を用いるとしてもよい。
【0069】
また、複数の電圧値に対応して複数の放電推定量を記憶しているとしてもよい。携帯電話機100の起動直後に二次電池109の電圧を測定し、測定により得られる電圧値に対応する放電推定量を一つ選択し、選択した放電推定量を用いるとしてもよい。
また、携帯電話機100において、第1のモード及び第2のモードのうちの一つが設定されるとしてもよい。一例として、第1のモードにおいては、表示部107の照明の明るさのレベルを高くし、第2のモードにおいては、表示部107の照明の明るさのレベルを低く設定する。
【0070】
ここで、携帯電話機100は、第1のモードに対応して、第1の充電推定量を記憶し、第2のモードに対応して第2の充電推定量を記憶している。第1のモードが設定されている場合に、第1の充電推定量が選択され、第2のモードが設定されている場合に、第2の充電推定量が選択される。
また、携帯電話機100は、第1のモードに対応して、第1の放電推定量を記憶し、第2のモードに対応して第2の放電推定量を記憶しているとしてもよい。第1のモードが設定されている場合に、第1の放電推定量が選択され、第2のモードが設定されている場合に、第2の放電推定量が選択される。
【0071】
モードの種類は、さらに多いとしてもよい。携帯電話機100において、第1、第2及び第3のモードのうちの一つが設定されるとしてもよい。一例として、第1のモードにおいては、表示部107の照明の明るさのレベルを高くし、第2のモードにおいては、表示部107の照明の明るさのレベルを中程度に設定し、第3のモードおいては、表示部107の照明の明るさのレベルを低く設定する。
【0072】
ここで、携帯電話機100は、第1、第2及び第3のモードに対応して、それぞれ、第1、第2及び第3の充電推定量を記憶している。第1のモードが設定されている場合に、第1の充電推定量が選択され、第2のモードが設定されている場合に、第2の充電推定量が選択され、第3のモードが設定されている場合に、第3の充電推定量が選択される。放電推定量についても同様である。
【0073】
(3)上記の実施の形態において、変換テーブル136は、一例として、図3に示すように、携帯電話機100全体で消費される電流値が400mAの場合及び500mAの場合のそれぞれについて、残容量比率と電圧値との組を複数個、記憶している。
しかし、この変換テーブル136には限定されない。次のように構成してもよい。
(a)変換テーブル136は、携帯電話機100全体で消費される電流値が100mA、200mA、300mA、400mA、500mA及び600mAの場合のそれぞれについて、残容量比率と電圧値との組を複数個、記憶しているとしてもよい。ここで、600mAは、携帯電話機100全体での最大の消費電流値である。
【0074】
(b)携帯電話機100は、変換テーブル136に代えて、変換テーブル136aを保持しているとしてしてもよい。変換テーブル136aは、携帯電話機100全体で消費される電流値が400mAの場合及び500mAの場合のそれぞれついて、残容量と電圧値との組を複数個、記憶している。変換テーブル136aが、残容量比率に代えて、残容量を記憶している点において、変換テーブル136aは、変換テーブル136と相違している。
【0075】
この場合に、算出した電流値と測定した電圧値に対応する残容量を変換テーブル136aから読み出し、読み出した残容量に以下の式により残容量比率(パーセント)を算出する。
残容量比率 = 読み出した残容量 / 二次電池109の公称最大容量 × 100
(4)上記の実施の形態において、ROM118には、ただ1個のブートロードプログラム131が記憶されているとしている。しかし、本発明は、これには限定されない。
【0076】
ROM118には、複数個のブートロードプログラムが記憶されているとしてもよい。この場合に、複数個のブートロードプログラムによる多段階のブートロードを経て、オペレーティングシステム用プログラムがRAM117にロードされるとしてもよい。
例えば、ROM118は、第1及び第2ブートロードプログラムを記憶している。第1ブートロードプログラムは、ROM118において既定の位置に格納されている。第1ブートロードプログラムは、ROM118において第2ブートロードプログラムが格納されているアドレスを含んでいる。第2ブートロードプログラムは、オペレーティングシステム用プログラム132をROM118から読み出し、RAM117にロードする命令を含んでいる。
【0077】
ここで、第1ブートロードプログラムは、電圧測定部110に対して電圧を測定するように指示する命令を含んでいるとしてもよい。又は、第2ブートロードプログラムは、電圧測定部110に対して電圧を測定するように指示する命令を含んでいるとしてもよい。
CPU116は、リセットされると、最初に、ROM118における既定の位置に格納されている第1ブートロードプログラムを読み出し、第1ブートロードプログラムに含まれるアドレスにより示される位置にジャンプする。ジャンプ先の位置には、第2ロードプログラムが格納されているので、次に、CPU116は、第2ロードプログラムの読み出しを開始し、第2ロードプログラムに含まれる命令に従って動作する。これにより、CPU116は、オペレーティングシステム用プログラム132をROM118から読み出し、RAM117にロードする。オペレーティングシステム用プログラム132がRAM117にロードされると、CPU116は、オペレーティングシステム用プログラム132がRAM117に従って動作する。
【0078】
第1ブートロードプログラムの実行の時間帯内の第1時点において、又は第2ブートロードプログラムの読出し及び実行の時間帯内の第1時点において、電圧測定部110は、二次電池109の電圧を測定し、測定された電圧値を電圧記憶部114に書き込む。
第1ブートロードプログラムの実行の時間帯内、及び第2ブートロードプログラムの読出し及び実行の時間帯内においては、二次電池109の電力の消費は穏やかであり、電力の消費が大幅に変化することはない。
【0079】
これらの時間帯において測定された電圧を用いるので、電池の残容量を正確に推測することができる。
(5)上記の実施の形態においては、電圧記憶部114から読み出した電圧値及び算出した電流値に対応する残容量を、変換テーブル136から、読み出している。
ここで、算出した電流値と同一の電流値が変換テーブル136に存在しない場合には、算出した電流値に最も近い電流値を変換テーブル136から探し、その電流値に対応する電圧値を用いるとしてもよい。
【0080】
また、電圧記憶部114から読み出した電圧値と同一の電圧値が変換テーブル136に存在しない場合には、読み出した電圧値に最も近い2個の電圧値を変換テーブル136から読み出し、読み出した2個の電圧値にそれぞれ対応する2個の残容量を変換テーブル136から読み出す。こうして、読み出した2個の組の電圧値と残容量とを用いて、線形補間により、電圧記憶部114から読み出した電圧値に対応する残容量を算出してもよい。
【0081】
(6)上述した残容量計算プログラム135において、時間的に繰り返して、二次電池109の電圧を測定して電圧値を得、連続して得られた複数個(例えば、8個)の電圧値の移動平均を算出し、算出した移動平均を用いて、二次電池109の残容量を算出してもよい。
(7)本発明の一態様は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよい。ここで、コンピュータプログラムは、所定の機能を達成するために、コンピュータに対する指令を示す命令コードが複数個組み合わされて構成されたものである。
【0082】
また、本発明の一態様は、前記コンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD―ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray Disc)、半導体メモリなど、に記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記コンピュータプログラムであるとしてもよい。
【0083】
また、本発明の一態様は、前記コンピュータプログラムを、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク、データ放送等を経由して伝送するものとしてもよい。
また、上記の各装置は、マイクロプロセッサとメモリとを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムに従って動作するとしてもよい。
【0084】
また、前記プログラムを前記記録媒体に記録して移送することにより、又は前記プログラムを前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
(8)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明に係る電子機器は、当該電子機器の起動直後の第1時点において、前記電池の電圧を測定するので、得られた電圧を用いて、電池の残容量を正確に推測することができるという優れた効果を奏し、電子機器において内蔵する電池の残容量を推測する技術として有用である。
【符号の説明】
【0086】
100 携帯電話機
101 アンテナ
102 通信回路
103 音声処理部
104 マイク
105 スピーカ
106 操作部
107 表示部
108 制御部
109 二次電池
110 電圧測定部
111 接続部
112 充電検出部
113 RAM
114 電圧記憶部
115 充電状態記憶部
116 CPU
117 RAM
118 ROM
200 充電装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内蔵する電池の残容量を推測する電子機器であって、
当該電子機器の起動直後の第1時点において、前記電池の電圧を測定する測定手段と、
前記第1時点から電池の残容量を最初に表示する第2時点までの間に、充電及び放電されると推定される充放電推定量と、測定された前記電圧とを用いて、前記第2時点における前記電池の残容量を算出する算出手段と
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記測定手段は、ブートロード中の前記第1時点において、電圧を測定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記電子機器は、さらに、
第1メモリと、
前記第1メモリへ上位プログラムをロードすることを指示するブートロードプログラムを記憶している第2メモリと、
前記第2メモリに記憶されている前記ブートロードプログラムに従って動作することにより、前記第1メモリへ前記上位プログラムをロードし、前記上位プログラムがロードされた後に、前記第1メモリに記憶された前記上位プログラムに従って動作するプロセッサを含み、
前記測定手段は、前記プロセッサが前記ブートロードプログラムに従って動作している時間帯中の前記第1時点において、前記電圧を測定する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記電子機器は、電池の電圧と残容量とを対応付けて記憶している変換テーブルを保持しており、
前記算出手段は、前記測定手段により測定された前記電圧に対応する残容量を前記変換テーブルから取得し、前記変換テーブルから取得した前記残容量に、前記充放電推定量を加算して、前記第2時点における前記電池の前記残容量を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記算出手段は、前記電池の公称最大容量に対する前記充放電推定量の比率を充放電比率として算出し、前記電池の公称最大容量に対する前記変換テーブルから取得した前記残容量の比率を残容量比率として算出し、前記残容量比率に前記充放電比率を加算して、第2時点における前記電池の残容量比率を算出する
ことを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記算出手段は、前記第1時点において、当該電子機器において消費される電流値を算出し、前記充放電推定量、測定された前記電圧及び算出された前記電流値を用いて、前記残容量を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項7】
前記電子機器は、電池の電圧と当該電子機器において消費される電流値と残容量とを対応付けて記憶している変換テーブルを保持しており、
前記算出手段は、前記測定手段により測定された前記電圧及び算出された前記電流値に対応する残容量を前記変換テーブルから取得し、前記変換テーブルから取得した前記残容量に、前記充放電推定量を加算して、前記第2時点における前記電池の前記残容量を算出する
ことを特徴とする請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記充放電推定量は、前記第1時点から電池の残容量を最初に表示する第2時点までの間に充電される所定の充電推定量及び前記第1時点から電池の残容量を最初に表示する第2時点までの間に放電される所定の放電推定量との少なくとも一方からなる値である
ことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項9】
前記電子機器は、さらに、
算出された前記残容量を表示する表示手段
を含むことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項10】
内蔵する電池の残容量を推測する電子機器において用いられる制御方法であって、
当該電子機器の起動直後の第1時点において、前記電池の電圧を測定する測定ステップと、
前記第1時点から電池の残容量を最初に表示する第2時点までの間に、充電及び放電されると推定される充放電推定量と、測定された前記電圧とを用いて、前記第2時点における前記電池の残容量を算出する算出ステップと
を含むことを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−29344(P2013−29344A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−164030(P2011−164030)
【出願日】平成23年7月27日(2011.7.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】