電子機器
【課題】第1構成部材と第2構成部材との間にトーションバネが介在し、第2構成部材を一方の移動端に向かって付勢する電子機器において、第2構成部材に移動過程で生じ得る回動を抑制する。
【解決手段】本発明に係る電子機器において、第1構成部材には、トーションバネ5の固定端が係止された係止受け部14が設けられ、第2構成部材には、トーションバネ5の自由端が係合する係合受け部75が設けられると共に、第2構成部材が一方の移動端から他方の移動端へ移動する過程でトーションバネ5の自由端側のアーム部53が当接すべき当接受け部73が設けられている。第2構成部材の移動過程で、先ず係合受け部75がトーションバネ5を押圧して弾性変形させ、その後、当接受け部73がトーションバネ5を押圧して弾性変形させる。
【解決手段】本発明に係る電子機器において、第1構成部材には、トーションバネ5の固定端が係止された係止受け部14が設けられ、第2構成部材には、トーションバネ5の自由端が係合する係合受け部75が設けられると共に、第2構成部材が一方の移動端から他方の移動端へ移動する過程でトーションバネ5の自由端側のアーム部53が当接すべき当接受け部73が設けられている。第2構成部材の移動過程で、先ず係合受け部75がトーションバネ5を押圧して弾性変形させ、その後、当接受け部73がトーションバネ5を押圧して弾性変形させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1構成部材に対して第2構成部材が一定の経路に沿って往復移動可能な電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラ等の種々の電子機器においては、第1構成部材となる筐体の表面に、第2構成部材となる蓋が閉じ位置と開き位置との間でスライド可能に係合し、蓋を開くことによって撮影レンズ等の部品を露出させることが出来る電子機器が知られている。
【0003】
この様な電子機器においては、第1構成部材と第2構成部材との間に2つのトーションバネを介在させて、第1トーションバネによって、第2構成部材が中間位置から一方の移動端に向かって移動する過程で該第2構成部材を該一方の移動端に向かって付勢すると共に、第2トーションバネによって、第2構成部材が中間位置から他方の移動端に向かって移動する過程で該第2構成部材を該他方の移動端に向かって付勢することが行なわれる(特許文献1、2、3参照)。
【0004】
図10は、出願人が本発明を完成させる過程で考案した電子機器の蓋開閉機構を表わしている。図示の如く、フロントキャビネット(10)に対してスライド板(9)が上下方向にスライド可能に係合し、該スライド板(9)に蓋が取り付けられている。
スライド板(9)は、図10(a)に示す第1トーションバネ(5)によって上方の移動端へ向けて付勢されると共に、図10(b)に示す第2トーションバネ(6)によって下方の移動端へ向けて付勢されている。
【0005】
尚、スライド板(9)側に設けられた上下一対のガイドピン(図示省略)がフロントキャビネット(10)のガイド溝(図示省略)に必要な遊びをもって嵌合して、スライド板(9)のスライドが案内されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−171583号公報
【特許文献2】特開2008−154197号公報
【特許文献3】特開2009−225302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図10に示す電子機器の蓋開閉機構においては、スライド板(9)が図10(a)に示す上方の移動端と図10(b)に示す下方の移動端との間で往復移動する過程で、スライド板(9)が前記遊びの範囲内で正逆(時計回りと反時計回り)に回動し、正確な上下方向の平行移動を実現することが出来ない問題があった。
【0008】
上述の如き正逆の回動の原因は、図11及び図12を用いて次の様に説明することが出来る。
図示の如く第1トーションバネ(5)は、一方のアーム部の先端に設けられた固定部(52)がフロントキャビネット(10)上の第1係止受け部(14)に係止されると共に、他方のアーム部(53)の先端がスライド板(9)の第1係合受け部(95)に係合している。又、第2トーションバネ(6)は、一方のアーム部の先端に設けられた固定部(62)がフロントキャビネット(10)上の第2係止受け部(15)に係止されると共に、他方のアーム部(63)の先端がスライド板(9)の第2係合受け部(96)に係合している。
【0009】
又、スライド板(9)側に設けられた上下一対のガイドピン(12)(13)がフロントキャビネット(10)のガイド溝(図示省略)に必要な遊びをもって嵌合し、スライド板(9)のスライドが案内されている。
【0010】
図11に示す如くスライド板(9)が上方の移動端に達した状態では、第1トーションバネ(5)が、第1係止受け部(14)に係止されている固定部(52)と、スライド板(9)の第1係合受け部(95)に係合している自由端との間で、拡開方向の弾性反発力を発生し、図中のK点とM点を結ぶ直線に沿う方向の力Fiをスライド板(9)に作用させる。
又、第2トーションバネ(6)が、第2係止受け部(15)に係止されている固定部(62)と、スライド板(9)の第2係合受け部(96)に係合している自由端との間で、拡開方向の弾性反発力を発生し、図中のL点とN点を結ぶ直線に沿う方向の力Fjをスライド板(9)に作用させる。
【0011】
この結果、前記ガイド溝の側壁が第1ガイドピン(12)に当接し、スライド板(9)には、図中のH点を中心として、力Fiと図中のH点からI点までの距離との積によって求められるモーメントMiと、力Fjと図中のH点からJ点までの距離との積によって求められるモーメントMjとが発生する。
これらのモーメントMi、Mjは何れも反時計回りとなる。
【0012】
これに対し、図12に示す如くスライド板(9)が下方の移動端に達した状態では、第1トーションバネ(5)が、拡開方向の弾性反発力によって図中のK点とM点を結ぶ直線に沿う方向の力Fiをスライド板(9)に作用させる。
又、第2トーションバネ(6)が、拡開方向の弾性反発力によって、図中のL点とN点を結ぶ直線に沿う方向の力Fjをスライド板(9)に作用させる。
【0013】
この結果、前記ガイド溝の側壁が第2ガイドピン(13)に当接し、スライド板(9)には、図中のH点を中心として、力Fiと図中のH点からI点までの距離との積によって求められるモーメントMiと、力Fjと図中のH点からJ点までの距離との積によって求められるモーメントMjとが発生する。
これらのモーメントMi、Mjは何れも時計回りとなる。
【0014】
従って、スライド板(9)が図11に示す上方の移動端から図12に示す下方の移動端へ移動する過程や、スライド板(9)が図12に示す下方の移動端から図11に示す上方の移動端へ移動する過程において、スライド板(9)がその移動過程の前半と後半で逆方向のモーメントを受けることにより、スライド板(9)に回動が生じるのである。
【0015】
本発明の目的は、第1構成部材に対して第2構成部材が一定の経路に沿って往復移動可能に係合している電子機器において、第2構成部材が移動する過程で該第2構成部材に生じ得る回動を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る第1の電子機器においては、第1構成部材に対して第2構成部材が一定の経路に沿って往復移動可能に係合し、第1構成部材と第2構成部材との間には、固定端及び自由端を有するトーションバネが介在し、該トーションバネによって、第1構成部材に対して第2構成部材が前記一定の経路の中間位置から一方の移動端に向かって移動する過程で該第2構成部材を該一方の移動端に向かって付勢する。
【0017】
前記第1構成部材には、前記トーションバネの固定端が係止された係止受け部が設けられ、前記第2構成部材には、前記トーションバネの自由端が係合する係合受け部が設けられると共に、第2構成部材が前記一方の移動端から前記他方の移動端へ移動する過程で前記トーションバネの自由端側のアーム部が当接すべき当接受け部が設けられている。
これによって、前記第2構成部材が前記一方の移動端から前記他方の移動端へ移動する過程では、先ず前記係合受け部がトーションバネを押圧して弾性変形させ、その後、前記当接受け部がトーションバネを押圧して弾性変形させる。
【0018】
上記電子機器においては、第2構成部材が一方の移動端から他方の移動端へ移動する過程の前半と後半で、トーションバネによって押圧される位置(力点)が変化するので、その移動過程の前半と後半で、トーションバネの付勢に基づいて第2構成部材に発生するモーメントを同一方向とすることが出来る。
これによって、第2構成部材が移動する過程で生じ得る回動を抑制することが出来る。
【0019】
本発明に係る第2の電子機器においては、第1構成部材に対して第2構成部材が一定の経路に沿って往復移動可能に係合し、第1構成部材と第2構成部材との間には、固定端及び自由端を有する第1トーションバネと、固定端及び自由端を有する第2トーションバネとが介在し、第1トーションバネによって、第2構成部材が前記一定の経路の中間位置から一方の移動端に向かって移動する過程で該第2構成部材を該一方の移動端に向かって付勢すると共に、第2トーションバネによって、第2構成部材が前記一定の経路の中間位置から他方の移動端に向かって移動する過程で該第2構成部材を該他方の移動端に向かって付勢する。
【0020】
前記第1構成部材には、第1トーションバネの固定端が係止された第1係止受け部と、第2トーションバネの固定端が係止された第2係止受け部とが設けられ、前記第2構成部材には、第1トーションバネの自由端が係合する第1係合受け部と、第2トーションバネの自由端が係合する第2係合受け部とが設けられると共に、第2構成部材が前記一方の移動端から前記他方の移動端へ移動する過程で前記第1トーションバネの自由端側のアーム部が当接すべき当接受け部が設けられている。
これによって、第2構成部材が前記一方の移動端から前記他方の移動端へ移動する過程では、先ず第1係合受け部が第1トーションバネを押圧して弾性変形させ、その後、前記当接受け部が第1トーションバネを押圧して弾性変形させる。
【0021】
上記電子機器においては、第2構成部材が一方の移動端から他方の移動端へ移動する過程の前半と後半で、第1トーションバネによって押圧される位置(力点)が変化するので、その移動過程の前半と後半で、第1トーションバネの付勢に基づいて第2構成部材に発生するモーメントを同一方向とすることが出来る。
これによって、第2構成部材が移動する過程で生じ得る回動を抑制することが出来る。
【0022】
本発明に係る第3の電子機器においては、第1構成部材に対して第2構成部材が一定の経路に沿って往復移動可能に係合し、第1構成部材と第2構成部材との間には、固定端及び自由端を有する第1トーションバネと、固定端及び自由端を有する第2トーションバネとが介在し、第1トーションバネによって、第2構成部材が前記一定の経路の中間位置から一方の移動端に向かって移動する過程で該第2構成部材を該一方の移動端に向かって付勢すると共に、第2トーションバネによって、第2構成部材が前記一定の経路の中間位置から他方の移動端に向かって移動する過程で該第2構成部材を該他方の移動端に向かって付勢する。
【0023】
前記第1構成部材には、第1トーションバネの固定端が係止された第1係止受け部と、第2トーションバネの固定端が係止された第2係止受け部とが設けられ、前記第2構成部材には、第1トーションバネの自由端が係合する第1係合受け部と、第2トーションバネの自由端が係合する第2係合受け部とが設けられると共に、第2構成部材が前記一方の移動端から前記他方の移動端へ移動する過程で第1トーションバネの自由端側のアーム部が当接すべき第1当接受け部と、第2構成部材が前記他方の移動端から前記一方の移動端へ移動する過程で第2トーションバネの自由端側のアーム部が当接すべき第2当接受け部とが設けられている。
【0024】
これによって、前記第2構成部材が前記一方の移動端から前記他方の移動端へ移動する過程では、先ず前記第1係合受け部が第1トーションバネを押圧して弾性変形させ、その後、前記第1当接受け部が第1トーションバネを押圧して弾性変形させる。
前記第2構成部材が前記他方の移動端から前記一方の移動端へ移動する過程では、先ず前記第2係合受け部が第2トーションバネを押圧して弾性変形させ、その後、前記第2当接受け部が第2トーションバネを押圧して弾性変形させる。
【0025】
上記電子機器においては、第2構成部材が一方の移動端から他方の移動端へ移動する過程の前半と後半で、第1トーションバネによって押圧される位置(力点)が変化するので、その移動過程の前半と後半で、第1トーションバネの付勢に基づいて第2構成部材に発生するモーメントを同一方向とすることが出来る。
又、第2構成部材が一方の移動端から他方の移動端へ移動する過程の前半と後半で、第2トーションバネを押圧する位置(力点)が変化するので、その移動過程の前半と後半で、第2トーションバネの付勢に基づいて第2構成部材に発生するモーメントを同一方向とすることが出来る。
【0026】
そして、第2構成部材が他方の移動端に達した状態において、第1トーションバネによって発生する反時計方向のトルクと、第2トーションバネによって発生する時計方向のトルクとの大小関係、並びに、第2構成部材が一方の移動端に達した状態において、第1トーションバネによって発生する反時計方向のトルクと、第2トーションバネによって発生する時計方向のトルクとの大小関係により、第2構成部材の移動経路を挟んで両側のガイド壁の内、何れか片側のガイド壁へ第2構成部材を押圧しながら、第2構成部材を一方の移動端から他方の移動端へ移動させることが出来る。
これによって、第2構成部材の移動に伴う回動を抑制することが出来る。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る電子機器によれば、第1構成部材に対して第2構成部材が一定の経路に沿って移動する過程で該第2構成部材に生じ得る回動を抑制することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明の一実施形態であるデジタルカメラにおいて蓋を閉じた状態を示す斜視図である。
【図2】図2は、該デジタルカメラにおいて蓋を開いた状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、図1に示すデジタルカメラから蓋を取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】図4は、図2に示すデジタルカメラから蓋を取り外した状態を示す斜視図である。
【図5】図5は、該デジタルカメラの要部を示す分解斜視図である。
【図6】図6は、内側スライド板の拡大斜視図である。
【図7】図7は、内側スライド板の往復移動に伴う状態の変化を示す背面図である。
【図8】図8は、内側スライド板が上方の移動端に達した状態で内側スライド板に作用する力とモーメントを説明する図である。
【図9】図9は、内側スライド板が下方の移動端に達した状態で内側スライド板に作用する力とモーメントを説明する図である。
【図10】図10は、従来のデジタルカメラにおいて、スライド板の往復移動に伴う状態の変化を示す背面図である。
【図11】図11は、従来のデジタルカメラにおいて、スライド板が上方の移動端に達した状態でスライド板に作用する力とモーメントを説明する図である。
【図12】図12は、従来のデジタルカメラにおいて、スライド板が下方の移動端に達した状態でスライド板に作用する力とモーメントを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明をデジタルカメラに実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明の一実施形態であるデジタルカメラは、図1及び図2に示す如く、筐体(1)の前面に、上下方向の往復移動が可能な縦長の蓋(2)が配備されており、蓋(2)を図1に示す上方の移動端から図2に示す下方の移動端へ移動させることによって、窓(11)を開放して撮影レンズ(3)を露出させることが出来る。
【0030】
図5に示す如く、前記筐体(1)を構成するフロントキャビネット(10)を挟んで両側に、外側スライド板(4)と内側スライド板(7)とが配備され、2本のビス(8)(8)が内側スライド板(7)の丸孔及びフロントキャビネット(10)の長孔(16)(17)を貫通して、外側スライド板(4)の2つのボス(41)(41)にねじ込まれ、これによって外側スライド板(4)と内側スライド板(7)とが一体化されている。
そして、外側スライド板(4)の表面に図1に示す蓋(2)が取り付けられている。
【0031】
図5に示す如く外側スライド板(4)には、縦長のガイド溝(42)が開設されている。
フロントキャビネット(10)には、図3に示す如く外側スライド板(4)のガイド溝(42)に遊びをもって嵌合する第1ガイドピン(12)と第2ガイドピン(13)が上下に突設されており、両ガイドピン(12)(13)が図3及び図4に示す如くガイド溝(42)に沿って摺動することにより、外側スライド板(4)と内側スライド板(7)のスライドが案内される。
これによって、蓋(2)を図1に示す上方の移動端と図2に示す下方の移動端との間で往復移動させることが出来る。
【0032】
図5に示す如くフロントキャビネット(10)の内面には、長孔(17)の側方に、第1係止受け部(14)と第2係止受け部(15)が突設されている。
第1係止受け部(14)には第1トーションバネ(5)が取り付けられ、第2係止受け部(15)には第2トーションバネ(6)が取り付けられる。
【0033】
第1トーションバネ(5)は、コイル部(51)と、コイル部(51)に突設された2本のアーム部とを具え、一方のアーム部の先端に形成された固定部(52)が第1係止受け部(14)に係止される。
又、第2トーションバネ(6)は、コイル部(61)と、コイル部(61)に突設された2本のアーム部とを具え、一方のアーム部に先端に形成された固定部(62)が第2係止受け部(15)に係止される。
【0034】
内側スライド板(7)は、図6に示す如く、左右に長い板部(71)と、該板部(71)の側部に上下方向に長く突設されたフランジ部(72)とを有し、フランジ部(72)には、第1係合受け部(75)と第2係合受け部(76)とがそれぞれ左右に長い長孔状に開設されている。
又、フランジ部(72)の上下両端には第1当接受け部(73)と第2当接受け部(74)とがそれぞれ舌片状に突設されている。
【0035】
図8に示す如く、第1トーションバネ(5)の自由端側アーム部(53)の先端が内側スライド板(7)の第1係合受け部(75)に係合すると共に、第2トーションバネ(6)の自由端側アーム部(63)の先端が内側スライド板(7)の第2係合受け部(76)に係合している。
【0036】
これによって、内側スライド板(7)は、図7(a)の如く上方の移動端に達した状態では、第1トーションバネ(5)によって上方へ押圧され、上方の移動端に保持されている。
又、内側スライド板(7)は、図7(b)の如く下方の移動端に達した状態では、第2トーションバネ(6)によって下方のへ押圧され、下方の移動端に保持されている。
【0037】
そして、内側スライド板(7)が図7(a)に示す上方の移動端から図7(b)に示す下方の移動端へ向けて移動する過程で、第1トーションバネ(5)の付勢に抗して内側スライド板(7)を上方の移動端と下方の移動端の中間位置まで移動させると、内側スライド板(7)は、以後は第2トーションバネ(6)の付勢によって下方の移動端まで自動的に移動する。
【0038】
又、内側スライド板(7)が図7(b)に示す下方の移動端から図7(a)に示す上方の移動端へ向けて移動する過程で、第2トーションバネ(6)の付勢に抗して内側スライド板(7)を中間位置まで移動させると、内側スライド板(7)は、以後は第1トーションバネ(5)の付勢によって上方の移動端まで自動的に移動する。
【0039】
図8に示す如く、内側スライド板(7)が上方の移動端に達した状態では、第1トーションバネ(5)の自由端側アーム部(53)の先端は内側スライド板(7)の第1係合受け部(75)に受け止められて、第1係合受け部(75)が第1トーションバネ(5)の自由端側アーム部(53)を押圧することによって、第1トーションバネ(5)を弾性変形させている。
【0040】
この状態から内側スライド板(7)が図9に示す下方の移動端へ向けて移動する過程で、内側スライド板(7)の第1当接受け部(73)が第1トーションバネ(5)の自由端側アーム部(53)に当接し、内側スライド板(7)が下方の移動端に達した状態では、第1当接受け部(73)が第1トーションバネ(5)の自由端側アーム部(53)を押圧することによって、第1トーションバネ(5)を弾性変形させている。
この状態で、第1トーションバネ(5)の自由端側アーム部(53)の先端は、内側スライド板(7)の第1係合受け部(75)に付勢力を及ぼすことのない離脱状態で係合している。
【0041】
又、図9に示す如く、内側スライド板(7)が下方の移動端に達した状態では、第2トーションバネ(6)の自由端側アーム部(63)の先端は内側スライド板(7)の第2係合受け部(76)に受け止められて、第2係合受け部(76)が第2トーションバネ(6)の自由端側アーム部(63)を押圧することによって、第2トーションバネ(6)を弾性変形させている。
【0042】
この状態から内側スライド板(7)が図8に示す上方の移動端へ向けて移動する過程で、内側スライド板(7)の第2当接受け部(74)が第2トーションバネ(6)の自由端側アーム部(63)に当接し、内側スライド板(7)が上方の移動端に達した状態では、第2当接受け部(74)が第2トーションバネ(6)の自由端側アーム部(63)を押圧することによって、第2トーションバネ(6)を弾性変形させている。
この状態で、第2トーションバネ(6)の自由端側アーム部(63)の先端は、内側スライド板(7)の第2係合受け部(76)に付勢力を及ぼすことのない離脱状態で係合している。
【0043】
図8に示す如く内側スライド板(7)が上方の移動端に達した状態では、第1トーションバネ(5)は、固定部(52)を支点(D点)、内側スライド板(7)と接触する自由端側アーム部(53)の先端を力点(F点)として、拡開方向の弾性反発力を発生し、D点とF点を結ぶ直線に沿う方向の力Fbを内側スライド板(7)に作用させる。
【0044】
この結果、前記ガイド溝(42)の図8における右側の壁(以下、単に右側壁という)が第1ガイドピン(12)に圧接され、その圧接点(A点)を中心として、内側スライド板(7)には、力Fbと図中のA点からB点までの距離Lbとの積(Fb×Lb)によって求められる反時計回りのモーメントMbが発生する。
【0045】
又、第2トーションバネ(6)は、固定部(62)を支点(E点)、内側スライド板(7)と接触する自由端側アーム部(63)の中間点を力点(G点)として、拡開方向の弾性反発力を発生し、E点とG点を結ぶ直線に沿う方向の力Fcを内側スライド板(7)に作用させる。
【0046】
この結果、前記ガイド溝(42)の右側壁が第1ガイドピン(12)に圧接され、その圧接点(A点)を中心として、内側スライド板(7)には、力Fcと図中のA点からC点までの距離Lcとの積(Fc×Lc)によって求められる時計回りのモーメントMcが発生する。
【0047】
ここで、A点からC点までの距離をA点からB点までの距離よりも大きく設定することが可能であり、これによって、Mc>Mbの関係を成立させることが可能である。
これによって、内側スライド板(7)には、内側スライド板(7)には時計回りのモーメント(Mc−Mb)を作用させることが出来る。
【0048】
この様に、内側スライド板(7)は、A点にて図8の左方(以下、単に左方という)へ向かって押圧されると同時に、A点を中心として時計回りのモーメントを受けることによって、前記ガイド溝(42)の右側壁が第2ガイドピン(13)に圧接される。
この結果、内側スライド板(7)と外側スライド板(4)は、ガイド溝(42)の右側壁が第1ガイドピン(12)と第2ガイドピン(13)に圧接されて、ガイド溝(42)に対する余裕の範囲内で全体が左方へ偏った位置に保持される。
【0049】
これに対し、図9に示す如く内側スライド板(7)が下方の移動端に達した状態では、第1トーションバネ(5)は、固定部(52)を支点(D点)、内側スライド板(7)と接触する自由端側アーム部(53)の中間点を力点(F点)として、拡開方向の弾性反発力を発生し、D点とF点を結ぶ直線に沿う方向の力Fbを内側スライド板(7)に作用させる。
【0050】
この結果、前記ガイド溝(42)の右側壁が第2ガイドピン(13)に圧接され、その圧接点(A点)を中心として、内側スライド板(7)には、力Fbと図中のA点からB点までの距離Lbとの積(Fb×Lb)によって求められる反時計回りのモーメントMbが発生する。
【0051】
又、第2トーションバネ(6)は、固定部(62)を支点(E点)、内側スライド板(7)と接触する自由端側アーム部(63)の先端を力点(G点)として、拡開方向の弾性反発力を発生し、E点とG点を結ぶ直線に沿う方向の力Fcを内側スライド板(7)に作用させる。
【0052】
この結果、前記ガイド溝(42)の右側壁が第2ガイドピン(13)に圧接され、その圧接点(A点)を中心として、内側スライド板(7)には、力Fcと図中のA点からC点までの距離Lcとの積(Fc×Lc)によって求められる時計回りのモーメントMcが発生する。
【0053】
ここで、A点からB点までの距離をA点からC点までの距離よりも大きく設定することが可能であり、これによって、Mb>Mcの関係を成立させることが可能である。
これによって、内側スライド板(7)には、反時計回りのモーメント(Mb−Mc)を作用させることが出来る。
【0054】
この様に、内側スライド板(7)は、A点にて左方へ向かって押圧されると同時に、A点を中心として反時計回りのモーメントを受けることによって、前記ガイド溝(42)の右側壁が第1ガイドピン(12)に圧接される。
この結果、内側スライド板(7)と外側スライド板(4)は、ガイド溝(42)の右側壁が第1ガイドピン(12)と第2ガイドピン(13)に圧接されて、ガイド溝(42)に対する余裕の範囲内で全体が左方へ偏った位置に保持される。
【0055】
従って、図7(a)に示す如く内側スライド板(7)が上方の移動端に達した状態と、図7(b)に示す如く内側スライド板(7)が下方の移動端に達した状態との間で、内側スライド板(7)が往復移動する過程で、スライド方向及びスライド位置に拘わらず常にガイド溝(42)の片方の側壁が両ガイドピン(12)(13)に摺接することにより、両スライド板(7)(4)は正逆の回動が抑制され、上下方向の平行移動を行なうことになる。
【0056】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、第1構成部材(筐体)に対する第2構成部材(蓋)の移動経路は、直線に限らず、緩やかな円弧線に沿うものであってもよい。又、内側スライド板(7)と外側スライド板(4)は互いに一体に構成することも可能である。
【0057】
又、上記実施形態では、2つのトーションバネによって第2構成部材を2方向に付勢しているが、単一のトーションバネによって第2構成部材を付勢する構成に本発明を実施することが可能である。この様な実施形態によっても、第2構成部材が移動する過程で生じ得る回動を抑制することが出来る。
【0058】
又、上記実施形態では、2つのトーションバネのそれぞれについて、第2構成部材の移動中に各トーションバネの自由端側のアーム部が当接すべき当接受け部を設けているが、何れか一方のトーションバネのみについて、第2構成部材の移動中に該トーションバネの自由端側のアーム部が当接すべき当接受け部を設ける実施形態を採用することが可能である。
この様な実施形態によれば、2つのトーションバネによって第2構成部材を2方向に付勢すると共に、何れか一方向の第2構成部材の移動過程の前半と後半で第2構成部材に発生するモーメントを同一方向とすることが出来、これによって第2構成部材の回動を抑制することが出来る。
【0059】
本発明は、筐体(1)に対する蓋(2)の往復移動を案内する構成に限らず、例えばスライド型電子機器において第1筐体に対する第2筐体の往復移動を案内する構成に実施することも可能である。
【0060】
又、本発明は、プロジェクターのレンズカバー、接続端子の保護カバー、電池やメモリカード或いは付属品を収納する収納部の蓋、操作スイッチの保護カバーを第2構成部材とした態様を含む。
【0061】
更に本発明は、第2構成部材そのものがスイッチや内部機構の操作部材となるものや、第2構成部材の移動によって第1構成部材上に印刷された文字やマーク等を見せたり隠したりするものに実施することが出来る。
【符号の説明】
【0062】
(1) 筐体
(10) フロントキャビネット
(12) 第1ガイドピン
(13) 第2ガイドピン
(4) 外側スライド板
(42) ガイド溝
(5) 第1トーションバネ
(52) 固定部
(53) 自由端側アーム部
(6) 第2トーションバネ
(62) 固定部
(63) 自由端側アーム部
(7) 内側スライド板
(73) 第1当接受け部
(74) 第2当接受け部
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1構成部材に対して第2構成部材が一定の経路に沿って往復移動可能な電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタルカメラ等の種々の電子機器においては、第1構成部材となる筐体の表面に、第2構成部材となる蓋が閉じ位置と開き位置との間でスライド可能に係合し、蓋を開くことによって撮影レンズ等の部品を露出させることが出来る電子機器が知られている。
【0003】
この様な電子機器においては、第1構成部材と第2構成部材との間に2つのトーションバネを介在させて、第1トーションバネによって、第2構成部材が中間位置から一方の移動端に向かって移動する過程で該第2構成部材を該一方の移動端に向かって付勢すると共に、第2トーションバネによって、第2構成部材が中間位置から他方の移動端に向かって移動する過程で該第2構成部材を該他方の移動端に向かって付勢することが行なわれる(特許文献1、2、3参照)。
【0004】
図10は、出願人が本発明を完成させる過程で考案した電子機器の蓋開閉機構を表わしている。図示の如く、フロントキャビネット(10)に対してスライド板(9)が上下方向にスライド可能に係合し、該スライド板(9)に蓋が取り付けられている。
スライド板(9)は、図10(a)に示す第1トーションバネ(5)によって上方の移動端へ向けて付勢されると共に、図10(b)に示す第2トーションバネ(6)によって下方の移動端へ向けて付勢されている。
【0005】
尚、スライド板(9)側に設けられた上下一対のガイドピン(図示省略)がフロントキャビネット(10)のガイド溝(図示省略)に必要な遊びをもって嵌合して、スライド板(9)のスライドが案内されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−171583号公報
【特許文献2】特開2008−154197号公報
【特許文献3】特開2009−225302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図10に示す電子機器の蓋開閉機構においては、スライド板(9)が図10(a)に示す上方の移動端と図10(b)に示す下方の移動端との間で往復移動する過程で、スライド板(9)が前記遊びの範囲内で正逆(時計回りと反時計回り)に回動し、正確な上下方向の平行移動を実現することが出来ない問題があった。
【0008】
上述の如き正逆の回動の原因は、図11及び図12を用いて次の様に説明することが出来る。
図示の如く第1トーションバネ(5)は、一方のアーム部の先端に設けられた固定部(52)がフロントキャビネット(10)上の第1係止受け部(14)に係止されると共に、他方のアーム部(53)の先端がスライド板(9)の第1係合受け部(95)に係合している。又、第2トーションバネ(6)は、一方のアーム部の先端に設けられた固定部(62)がフロントキャビネット(10)上の第2係止受け部(15)に係止されると共に、他方のアーム部(63)の先端がスライド板(9)の第2係合受け部(96)に係合している。
【0009】
又、スライド板(9)側に設けられた上下一対のガイドピン(12)(13)がフロントキャビネット(10)のガイド溝(図示省略)に必要な遊びをもって嵌合し、スライド板(9)のスライドが案内されている。
【0010】
図11に示す如くスライド板(9)が上方の移動端に達した状態では、第1トーションバネ(5)が、第1係止受け部(14)に係止されている固定部(52)と、スライド板(9)の第1係合受け部(95)に係合している自由端との間で、拡開方向の弾性反発力を発生し、図中のK点とM点を結ぶ直線に沿う方向の力Fiをスライド板(9)に作用させる。
又、第2トーションバネ(6)が、第2係止受け部(15)に係止されている固定部(62)と、スライド板(9)の第2係合受け部(96)に係合している自由端との間で、拡開方向の弾性反発力を発生し、図中のL点とN点を結ぶ直線に沿う方向の力Fjをスライド板(9)に作用させる。
【0011】
この結果、前記ガイド溝の側壁が第1ガイドピン(12)に当接し、スライド板(9)には、図中のH点を中心として、力Fiと図中のH点からI点までの距離との積によって求められるモーメントMiと、力Fjと図中のH点からJ点までの距離との積によって求められるモーメントMjとが発生する。
これらのモーメントMi、Mjは何れも反時計回りとなる。
【0012】
これに対し、図12に示す如くスライド板(9)が下方の移動端に達した状態では、第1トーションバネ(5)が、拡開方向の弾性反発力によって図中のK点とM点を結ぶ直線に沿う方向の力Fiをスライド板(9)に作用させる。
又、第2トーションバネ(6)が、拡開方向の弾性反発力によって、図中のL点とN点を結ぶ直線に沿う方向の力Fjをスライド板(9)に作用させる。
【0013】
この結果、前記ガイド溝の側壁が第2ガイドピン(13)に当接し、スライド板(9)には、図中のH点を中心として、力Fiと図中のH点からI点までの距離との積によって求められるモーメントMiと、力Fjと図中のH点からJ点までの距離との積によって求められるモーメントMjとが発生する。
これらのモーメントMi、Mjは何れも時計回りとなる。
【0014】
従って、スライド板(9)が図11に示す上方の移動端から図12に示す下方の移動端へ移動する過程や、スライド板(9)が図12に示す下方の移動端から図11に示す上方の移動端へ移動する過程において、スライド板(9)がその移動過程の前半と後半で逆方向のモーメントを受けることにより、スライド板(9)に回動が生じるのである。
【0015】
本発明の目的は、第1構成部材に対して第2構成部材が一定の経路に沿って往復移動可能に係合している電子機器において、第2構成部材が移動する過程で該第2構成部材に生じ得る回動を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る第1の電子機器においては、第1構成部材に対して第2構成部材が一定の経路に沿って往復移動可能に係合し、第1構成部材と第2構成部材との間には、固定端及び自由端を有するトーションバネが介在し、該トーションバネによって、第1構成部材に対して第2構成部材が前記一定の経路の中間位置から一方の移動端に向かって移動する過程で該第2構成部材を該一方の移動端に向かって付勢する。
【0017】
前記第1構成部材には、前記トーションバネの固定端が係止された係止受け部が設けられ、前記第2構成部材には、前記トーションバネの自由端が係合する係合受け部が設けられると共に、第2構成部材が前記一方の移動端から前記他方の移動端へ移動する過程で前記トーションバネの自由端側のアーム部が当接すべき当接受け部が設けられている。
これによって、前記第2構成部材が前記一方の移動端から前記他方の移動端へ移動する過程では、先ず前記係合受け部がトーションバネを押圧して弾性変形させ、その後、前記当接受け部がトーションバネを押圧して弾性変形させる。
【0018】
上記電子機器においては、第2構成部材が一方の移動端から他方の移動端へ移動する過程の前半と後半で、トーションバネによって押圧される位置(力点)が変化するので、その移動過程の前半と後半で、トーションバネの付勢に基づいて第2構成部材に発生するモーメントを同一方向とすることが出来る。
これによって、第2構成部材が移動する過程で生じ得る回動を抑制することが出来る。
【0019】
本発明に係る第2の電子機器においては、第1構成部材に対して第2構成部材が一定の経路に沿って往復移動可能に係合し、第1構成部材と第2構成部材との間には、固定端及び自由端を有する第1トーションバネと、固定端及び自由端を有する第2トーションバネとが介在し、第1トーションバネによって、第2構成部材が前記一定の経路の中間位置から一方の移動端に向かって移動する過程で該第2構成部材を該一方の移動端に向かって付勢すると共に、第2トーションバネによって、第2構成部材が前記一定の経路の中間位置から他方の移動端に向かって移動する過程で該第2構成部材を該他方の移動端に向かって付勢する。
【0020】
前記第1構成部材には、第1トーションバネの固定端が係止された第1係止受け部と、第2トーションバネの固定端が係止された第2係止受け部とが設けられ、前記第2構成部材には、第1トーションバネの自由端が係合する第1係合受け部と、第2トーションバネの自由端が係合する第2係合受け部とが設けられると共に、第2構成部材が前記一方の移動端から前記他方の移動端へ移動する過程で前記第1トーションバネの自由端側のアーム部が当接すべき当接受け部が設けられている。
これによって、第2構成部材が前記一方の移動端から前記他方の移動端へ移動する過程では、先ず第1係合受け部が第1トーションバネを押圧して弾性変形させ、その後、前記当接受け部が第1トーションバネを押圧して弾性変形させる。
【0021】
上記電子機器においては、第2構成部材が一方の移動端から他方の移動端へ移動する過程の前半と後半で、第1トーションバネによって押圧される位置(力点)が変化するので、その移動過程の前半と後半で、第1トーションバネの付勢に基づいて第2構成部材に発生するモーメントを同一方向とすることが出来る。
これによって、第2構成部材が移動する過程で生じ得る回動を抑制することが出来る。
【0022】
本発明に係る第3の電子機器においては、第1構成部材に対して第2構成部材が一定の経路に沿って往復移動可能に係合し、第1構成部材と第2構成部材との間には、固定端及び自由端を有する第1トーションバネと、固定端及び自由端を有する第2トーションバネとが介在し、第1トーションバネによって、第2構成部材が前記一定の経路の中間位置から一方の移動端に向かって移動する過程で該第2構成部材を該一方の移動端に向かって付勢すると共に、第2トーションバネによって、第2構成部材が前記一定の経路の中間位置から他方の移動端に向かって移動する過程で該第2構成部材を該他方の移動端に向かって付勢する。
【0023】
前記第1構成部材には、第1トーションバネの固定端が係止された第1係止受け部と、第2トーションバネの固定端が係止された第2係止受け部とが設けられ、前記第2構成部材には、第1トーションバネの自由端が係合する第1係合受け部と、第2トーションバネの自由端が係合する第2係合受け部とが設けられると共に、第2構成部材が前記一方の移動端から前記他方の移動端へ移動する過程で第1トーションバネの自由端側のアーム部が当接すべき第1当接受け部と、第2構成部材が前記他方の移動端から前記一方の移動端へ移動する過程で第2トーションバネの自由端側のアーム部が当接すべき第2当接受け部とが設けられている。
【0024】
これによって、前記第2構成部材が前記一方の移動端から前記他方の移動端へ移動する過程では、先ず前記第1係合受け部が第1トーションバネを押圧して弾性変形させ、その後、前記第1当接受け部が第1トーションバネを押圧して弾性変形させる。
前記第2構成部材が前記他方の移動端から前記一方の移動端へ移動する過程では、先ず前記第2係合受け部が第2トーションバネを押圧して弾性変形させ、その後、前記第2当接受け部が第2トーションバネを押圧して弾性変形させる。
【0025】
上記電子機器においては、第2構成部材が一方の移動端から他方の移動端へ移動する過程の前半と後半で、第1トーションバネによって押圧される位置(力点)が変化するので、その移動過程の前半と後半で、第1トーションバネの付勢に基づいて第2構成部材に発生するモーメントを同一方向とすることが出来る。
又、第2構成部材が一方の移動端から他方の移動端へ移動する過程の前半と後半で、第2トーションバネを押圧する位置(力点)が変化するので、その移動過程の前半と後半で、第2トーションバネの付勢に基づいて第2構成部材に発生するモーメントを同一方向とすることが出来る。
【0026】
そして、第2構成部材が他方の移動端に達した状態において、第1トーションバネによって発生する反時計方向のトルクと、第2トーションバネによって発生する時計方向のトルクとの大小関係、並びに、第2構成部材が一方の移動端に達した状態において、第1トーションバネによって発生する反時計方向のトルクと、第2トーションバネによって発生する時計方向のトルクとの大小関係により、第2構成部材の移動経路を挟んで両側のガイド壁の内、何れか片側のガイド壁へ第2構成部材を押圧しながら、第2構成部材を一方の移動端から他方の移動端へ移動させることが出来る。
これによって、第2構成部材の移動に伴う回動を抑制することが出来る。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係る電子機器によれば、第1構成部材に対して第2構成部材が一定の経路に沿って移動する過程で該第2構成部材に生じ得る回動を抑制することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明の一実施形態であるデジタルカメラにおいて蓋を閉じた状態を示す斜視図である。
【図2】図2は、該デジタルカメラにおいて蓋を開いた状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、図1に示すデジタルカメラから蓋を取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】図4は、図2に示すデジタルカメラから蓋を取り外した状態を示す斜視図である。
【図5】図5は、該デジタルカメラの要部を示す分解斜視図である。
【図6】図6は、内側スライド板の拡大斜視図である。
【図7】図7は、内側スライド板の往復移動に伴う状態の変化を示す背面図である。
【図8】図8は、内側スライド板が上方の移動端に達した状態で内側スライド板に作用する力とモーメントを説明する図である。
【図9】図9は、内側スライド板が下方の移動端に達した状態で内側スライド板に作用する力とモーメントを説明する図である。
【図10】図10は、従来のデジタルカメラにおいて、スライド板の往復移動に伴う状態の変化を示す背面図である。
【図11】図11は、従来のデジタルカメラにおいて、スライド板が上方の移動端に達した状態でスライド板に作用する力とモーメントを説明する図である。
【図12】図12は、従来のデジタルカメラにおいて、スライド板が下方の移動端に達した状態でスライド板に作用する力とモーメントを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明をデジタルカメラに実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
本発明の一実施形態であるデジタルカメラは、図1及び図2に示す如く、筐体(1)の前面に、上下方向の往復移動が可能な縦長の蓋(2)が配備されており、蓋(2)を図1に示す上方の移動端から図2に示す下方の移動端へ移動させることによって、窓(11)を開放して撮影レンズ(3)を露出させることが出来る。
【0030】
図5に示す如く、前記筐体(1)を構成するフロントキャビネット(10)を挟んで両側に、外側スライド板(4)と内側スライド板(7)とが配備され、2本のビス(8)(8)が内側スライド板(7)の丸孔及びフロントキャビネット(10)の長孔(16)(17)を貫通して、外側スライド板(4)の2つのボス(41)(41)にねじ込まれ、これによって外側スライド板(4)と内側スライド板(7)とが一体化されている。
そして、外側スライド板(4)の表面に図1に示す蓋(2)が取り付けられている。
【0031】
図5に示す如く外側スライド板(4)には、縦長のガイド溝(42)が開設されている。
フロントキャビネット(10)には、図3に示す如く外側スライド板(4)のガイド溝(42)に遊びをもって嵌合する第1ガイドピン(12)と第2ガイドピン(13)が上下に突設されており、両ガイドピン(12)(13)が図3及び図4に示す如くガイド溝(42)に沿って摺動することにより、外側スライド板(4)と内側スライド板(7)のスライドが案内される。
これによって、蓋(2)を図1に示す上方の移動端と図2に示す下方の移動端との間で往復移動させることが出来る。
【0032】
図5に示す如くフロントキャビネット(10)の内面には、長孔(17)の側方に、第1係止受け部(14)と第2係止受け部(15)が突設されている。
第1係止受け部(14)には第1トーションバネ(5)が取り付けられ、第2係止受け部(15)には第2トーションバネ(6)が取り付けられる。
【0033】
第1トーションバネ(5)は、コイル部(51)と、コイル部(51)に突設された2本のアーム部とを具え、一方のアーム部の先端に形成された固定部(52)が第1係止受け部(14)に係止される。
又、第2トーションバネ(6)は、コイル部(61)と、コイル部(61)に突設された2本のアーム部とを具え、一方のアーム部に先端に形成された固定部(62)が第2係止受け部(15)に係止される。
【0034】
内側スライド板(7)は、図6に示す如く、左右に長い板部(71)と、該板部(71)の側部に上下方向に長く突設されたフランジ部(72)とを有し、フランジ部(72)には、第1係合受け部(75)と第2係合受け部(76)とがそれぞれ左右に長い長孔状に開設されている。
又、フランジ部(72)の上下両端には第1当接受け部(73)と第2当接受け部(74)とがそれぞれ舌片状に突設されている。
【0035】
図8に示す如く、第1トーションバネ(5)の自由端側アーム部(53)の先端が内側スライド板(7)の第1係合受け部(75)に係合すると共に、第2トーションバネ(6)の自由端側アーム部(63)の先端が内側スライド板(7)の第2係合受け部(76)に係合している。
【0036】
これによって、内側スライド板(7)は、図7(a)の如く上方の移動端に達した状態では、第1トーションバネ(5)によって上方へ押圧され、上方の移動端に保持されている。
又、内側スライド板(7)は、図7(b)の如く下方の移動端に達した状態では、第2トーションバネ(6)によって下方のへ押圧され、下方の移動端に保持されている。
【0037】
そして、内側スライド板(7)が図7(a)に示す上方の移動端から図7(b)に示す下方の移動端へ向けて移動する過程で、第1トーションバネ(5)の付勢に抗して内側スライド板(7)を上方の移動端と下方の移動端の中間位置まで移動させると、内側スライド板(7)は、以後は第2トーションバネ(6)の付勢によって下方の移動端まで自動的に移動する。
【0038】
又、内側スライド板(7)が図7(b)に示す下方の移動端から図7(a)に示す上方の移動端へ向けて移動する過程で、第2トーションバネ(6)の付勢に抗して内側スライド板(7)を中間位置まで移動させると、内側スライド板(7)は、以後は第1トーションバネ(5)の付勢によって上方の移動端まで自動的に移動する。
【0039】
図8に示す如く、内側スライド板(7)が上方の移動端に達した状態では、第1トーションバネ(5)の自由端側アーム部(53)の先端は内側スライド板(7)の第1係合受け部(75)に受け止められて、第1係合受け部(75)が第1トーションバネ(5)の自由端側アーム部(53)を押圧することによって、第1トーションバネ(5)を弾性変形させている。
【0040】
この状態から内側スライド板(7)が図9に示す下方の移動端へ向けて移動する過程で、内側スライド板(7)の第1当接受け部(73)が第1トーションバネ(5)の自由端側アーム部(53)に当接し、内側スライド板(7)が下方の移動端に達した状態では、第1当接受け部(73)が第1トーションバネ(5)の自由端側アーム部(53)を押圧することによって、第1トーションバネ(5)を弾性変形させている。
この状態で、第1トーションバネ(5)の自由端側アーム部(53)の先端は、内側スライド板(7)の第1係合受け部(75)に付勢力を及ぼすことのない離脱状態で係合している。
【0041】
又、図9に示す如く、内側スライド板(7)が下方の移動端に達した状態では、第2トーションバネ(6)の自由端側アーム部(63)の先端は内側スライド板(7)の第2係合受け部(76)に受け止められて、第2係合受け部(76)が第2トーションバネ(6)の自由端側アーム部(63)を押圧することによって、第2トーションバネ(6)を弾性変形させている。
【0042】
この状態から内側スライド板(7)が図8に示す上方の移動端へ向けて移動する過程で、内側スライド板(7)の第2当接受け部(74)が第2トーションバネ(6)の自由端側アーム部(63)に当接し、内側スライド板(7)が上方の移動端に達した状態では、第2当接受け部(74)が第2トーションバネ(6)の自由端側アーム部(63)を押圧することによって、第2トーションバネ(6)を弾性変形させている。
この状態で、第2トーションバネ(6)の自由端側アーム部(63)の先端は、内側スライド板(7)の第2係合受け部(76)に付勢力を及ぼすことのない離脱状態で係合している。
【0043】
図8に示す如く内側スライド板(7)が上方の移動端に達した状態では、第1トーションバネ(5)は、固定部(52)を支点(D点)、内側スライド板(7)と接触する自由端側アーム部(53)の先端を力点(F点)として、拡開方向の弾性反発力を発生し、D点とF点を結ぶ直線に沿う方向の力Fbを内側スライド板(7)に作用させる。
【0044】
この結果、前記ガイド溝(42)の図8における右側の壁(以下、単に右側壁という)が第1ガイドピン(12)に圧接され、その圧接点(A点)を中心として、内側スライド板(7)には、力Fbと図中のA点からB点までの距離Lbとの積(Fb×Lb)によって求められる反時計回りのモーメントMbが発生する。
【0045】
又、第2トーションバネ(6)は、固定部(62)を支点(E点)、内側スライド板(7)と接触する自由端側アーム部(63)の中間点を力点(G点)として、拡開方向の弾性反発力を発生し、E点とG点を結ぶ直線に沿う方向の力Fcを内側スライド板(7)に作用させる。
【0046】
この結果、前記ガイド溝(42)の右側壁が第1ガイドピン(12)に圧接され、その圧接点(A点)を中心として、内側スライド板(7)には、力Fcと図中のA点からC点までの距離Lcとの積(Fc×Lc)によって求められる時計回りのモーメントMcが発生する。
【0047】
ここで、A点からC点までの距離をA点からB点までの距離よりも大きく設定することが可能であり、これによって、Mc>Mbの関係を成立させることが可能である。
これによって、内側スライド板(7)には、内側スライド板(7)には時計回りのモーメント(Mc−Mb)を作用させることが出来る。
【0048】
この様に、内側スライド板(7)は、A点にて図8の左方(以下、単に左方という)へ向かって押圧されると同時に、A点を中心として時計回りのモーメントを受けることによって、前記ガイド溝(42)の右側壁が第2ガイドピン(13)に圧接される。
この結果、内側スライド板(7)と外側スライド板(4)は、ガイド溝(42)の右側壁が第1ガイドピン(12)と第2ガイドピン(13)に圧接されて、ガイド溝(42)に対する余裕の範囲内で全体が左方へ偏った位置に保持される。
【0049】
これに対し、図9に示す如く内側スライド板(7)が下方の移動端に達した状態では、第1トーションバネ(5)は、固定部(52)を支点(D点)、内側スライド板(7)と接触する自由端側アーム部(53)の中間点を力点(F点)として、拡開方向の弾性反発力を発生し、D点とF点を結ぶ直線に沿う方向の力Fbを内側スライド板(7)に作用させる。
【0050】
この結果、前記ガイド溝(42)の右側壁が第2ガイドピン(13)に圧接され、その圧接点(A点)を中心として、内側スライド板(7)には、力Fbと図中のA点からB点までの距離Lbとの積(Fb×Lb)によって求められる反時計回りのモーメントMbが発生する。
【0051】
又、第2トーションバネ(6)は、固定部(62)を支点(E点)、内側スライド板(7)と接触する自由端側アーム部(63)の先端を力点(G点)として、拡開方向の弾性反発力を発生し、E点とG点を結ぶ直線に沿う方向の力Fcを内側スライド板(7)に作用させる。
【0052】
この結果、前記ガイド溝(42)の右側壁が第2ガイドピン(13)に圧接され、その圧接点(A点)を中心として、内側スライド板(7)には、力Fcと図中のA点からC点までの距離Lcとの積(Fc×Lc)によって求められる時計回りのモーメントMcが発生する。
【0053】
ここで、A点からB点までの距離をA点からC点までの距離よりも大きく設定することが可能であり、これによって、Mb>Mcの関係を成立させることが可能である。
これによって、内側スライド板(7)には、反時計回りのモーメント(Mb−Mc)を作用させることが出来る。
【0054】
この様に、内側スライド板(7)は、A点にて左方へ向かって押圧されると同時に、A点を中心として反時計回りのモーメントを受けることによって、前記ガイド溝(42)の右側壁が第1ガイドピン(12)に圧接される。
この結果、内側スライド板(7)と外側スライド板(4)は、ガイド溝(42)の右側壁が第1ガイドピン(12)と第2ガイドピン(13)に圧接されて、ガイド溝(42)に対する余裕の範囲内で全体が左方へ偏った位置に保持される。
【0055】
従って、図7(a)に示す如く内側スライド板(7)が上方の移動端に達した状態と、図7(b)に示す如く内側スライド板(7)が下方の移動端に達した状態との間で、内側スライド板(7)が往復移動する過程で、スライド方向及びスライド位置に拘わらず常にガイド溝(42)の片方の側壁が両ガイドピン(12)(13)に摺接することにより、両スライド板(7)(4)は正逆の回動が抑制され、上下方向の平行移動を行なうことになる。
【0056】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、第1構成部材(筐体)に対する第2構成部材(蓋)の移動経路は、直線に限らず、緩やかな円弧線に沿うものであってもよい。又、内側スライド板(7)と外側スライド板(4)は互いに一体に構成することも可能である。
【0057】
又、上記実施形態では、2つのトーションバネによって第2構成部材を2方向に付勢しているが、単一のトーションバネによって第2構成部材を付勢する構成に本発明を実施することが可能である。この様な実施形態によっても、第2構成部材が移動する過程で生じ得る回動を抑制することが出来る。
【0058】
又、上記実施形態では、2つのトーションバネのそれぞれについて、第2構成部材の移動中に各トーションバネの自由端側のアーム部が当接すべき当接受け部を設けているが、何れか一方のトーションバネのみについて、第2構成部材の移動中に該トーションバネの自由端側のアーム部が当接すべき当接受け部を設ける実施形態を採用することが可能である。
この様な実施形態によれば、2つのトーションバネによって第2構成部材を2方向に付勢すると共に、何れか一方向の第2構成部材の移動過程の前半と後半で第2構成部材に発生するモーメントを同一方向とすることが出来、これによって第2構成部材の回動を抑制することが出来る。
【0059】
本発明は、筐体(1)に対する蓋(2)の往復移動を案内する構成に限らず、例えばスライド型電子機器において第1筐体に対する第2筐体の往復移動を案内する構成に実施することも可能である。
【0060】
又、本発明は、プロジェクターのレンズカバー、接続端子の保護カバー、電池やメモリカード或いは付属品を収納する収納部の蓋、操作スイッチの保護カバーを第2構成部材とした態様を含む。
【0061】
更に本発明は、第2構成部材そのものがスイッチや内部機構の操作部材となるものや、第2構成部材の移動によって第1構成部材上に印刷された文字やマーク等を見せたり隠したりするものに実施することが出来る。
【符号の説明】
【0062】
(1) 筐体
(10) フロントキャビネット
(12) 第1ガイドピン
(13) 第2ガイドピン
(4) 外側スライド板
(42) ガイド溝
(5) 第1トーションバネ
(52) 固定部
(53) 自由端側アーム部
(6) 第2トーションバネ
(62) 固定部
(63) 自由端側アーム部
(7) 内側スライド板
(73) 第1当接受け部
(74) 第2当接受け部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1構成部材に対して第2構成部材が一定の経路に沿って往復移動可能に係合し、第1構成部材と第2構成部材との間には、固定端及び自由端を有するトーションバネが介在し、該トーションバネによって、第1構成部材に対して第2構成部材が前記一定の経路の中間位置から一方の移動端に向かって移動する過程で該第2構成部材を該一方の移動端に向かって付勢する電子機器において、
前記第1構成部材には、前記トーションバネの固定端が係止された係止受け部が設けられ、前記第2構成部材には、前記トーションバネの自由端が係合する係合受け部が設けられると共に、第2構成部材が前記一方の移動端から前記他方の移動端へ移動する過程で前記トーションバネの自由端側のアーム部が当接すべき当接受け部が設けられ、
前記第2構成部材が前記一方の移動端から前記他方の移動端へ移動する過程では、先ず前記係合受け部がトーションバネを押圧して弾性変形させ、その後、前記当接受け部がトーションバネを押圧して弾性変形させることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
第1構成部材に対して第2構成部材が一定の経路に沿って往復移動可能に係合し、第1構成部材と第2構成部材との間には、固定端及び自由端を有する第1トーションバネと、固定端及び自由端を有する第2トーションバネとが介在し、第1トーションバネによって、第2構成部材が前記一定の経路の中間位置から一方の移動端に向かって移動する過程で該第2構成部材を該一方の移動端に向かって付勢すると共に、第2トーションバネによって、第2構成部材が前記一定の経路の中間位置から他方の移動端に向かって移動する過程で該第2構成部材を該他方の移動端に向かって付勢する電子機器において、
前記第1構成部材には、前記第1トーションバネの固定端が係止された第1係止受け部と、前記第2トーションバネの固定端が係止された第2係止受け部とが設けられ、前記第2構成部材には、前記第1トーションバネの自由端が係合する第1係合受け部と、前記第2トーションバネの自由端が係合する第2係合受け部とが設けられると共に、第2構成部材が前記一方の移動端から前記他方の移動端へ移動する過程で前記第1トーションバネの自由端側のアーム部が当接すべき当接受け部が設けられ、
前記第2構成部材が前記一方の移動端から前記他方の移動端へ移動する過程では、先ず前記第1係合受け部が第1トーションバネを押圧して弾性変形させ、その後、前記当接受け部が第1トーションバネを押圧して弾性変形させることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
第1構成部材に対して第2構成部材が一定の経路に沿って往復移動可能に係合し、第1構成部材と第2構成部材との間には、固定端及び自由端を有する第1トーションバネと、固定端及び自由端を有する第2トーションバネとが介在し、第1トーションバネによって、第2構成部材が前記一定の経路の中間位置から一方の移動端に向かって移動する過程で該第2構成部材を該一方の移動端に向かって付勢すると共に、第2トーションバネによって、第2構成部材が前記一定の経路の中間位置から他方の移動端に向かって移動する過程で該第2構成部材を該他方の移動端に向かって付勢する電子機器において、
前記第1構成部材には、前記第1トーションバネの固定端が係止された第1係止受け部と、前記第2トーションバネの固定端が係止された第2係止受け部とが設けられ、前記第2構成部材には、前記第1トーションバネの自由端が係合する第1係合受け部と、前記第2トーションバネの自由端が係合する第2係合受け部とが設けられると共に、第2構成部材が前記一方の移動端から前記他方の移動端へ移動する過程で前記第1トーションバネの自由端側のアーム部が当接すべき第1当接受け部と、第2構成部材が前記他方の移動端から前記一方の移動端へ移動する過程で前記第2トーションバネの自由端側のアーム部が当接すべき第2当接受け部とが設けられ、
前記第2構成部材が前記一方の移動端から前記他方の移動端へ移動する過程では、先ず前記第1係合受け部が第1トーションバネを押圧して弾性変形させ、その後、前記第1当接受け部が第1トーションバネを押圧して弾性変形させ、
前記第2構成部材が前記他方の移動端から前記一方の移動端へ移動する過程では、先ず前記第2係合受け部が第2トーションバネを押圧して弾性変形させ、その後、前記第2当接受け部が第2トーションバネを押圧して弾性変形させることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
第2構成部材には、前記第1係合受け部と第2係合受け部がそれぞれ長孔状に開設されると共に、両係合受け部の外側に、前記第1当接受け部と第2当接受け部がそれぞれ舌片状に突設されている請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第1構成部材には、第2構成部材の移動経路上に2つのガイドピンが突設されると共に、第2構成部材には、前記2つのガイドピンが摺動可能に嵌合するガイド溝が開設されて、第1構成部材に対する第2構成部材の往復移動が案内されている請求項1乃至請求項4の何れかに記載の電子機器。
【請求項1】
第1構成部材に対して第2構成部材が一定の経路に沿って往復移動可能に係合し、第1構成部材と第2構成部材との間には、固定端及び自由端を有するトーションバネが介在し、該トーションバネによって、第1構成部材に対して第2構成部材が前記一定の経路の中間位置から一方の移動端に向かって移動する過程で該第2構成部材を該一方の移動端に向かって付勢する電子機器において、
前記第1構成部材には、前記トーションバネの固定端が係止された係止受け部が設けられ、前記第2構成部材には、前記トーションバネの自由端が係合する係合受け部が設けられると共に、第2構成部材が前記一方の移動端から前記他方の移動端へ移動する過程で前記トーションバネの自由端側のアーム部が当接すべき当接受け部が設けられ、
前記第2構成部材が前記一方の移動端から前記他方の移動端へ移動する過程では、先ず前記係合受け部がトーションバネを押圧して弾性変形させ、その後、前記当接受け部がトーションバネを押圧して弾性変形させることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
第1構成部材に対して第2構成部材が一定の経路に沿って往復移動可能に係合し、第1構成部材と第2構成部材との間には、固定端及び自由端を有する第1トーションバネと、固定端及び自由端を有する第2トーションバネとが介在し、第1トーションバネによって、第2構成部材が前記一定の経路の中間位置から一方の移動端に向かって移動する過程で該第2構成部材を該一方の移動端に向かって付勢すると共に、第2トーションバネによって、第2構成部材が前記一定の経路の中間位置から他方の移動端に向かって移動する過程で該第2構成部材を該他方の移動端に向かって付勢する電子機器において、
前記第1構成部材には、前記第1トーションバネの固定端が係止された第1係止受け部と、前記第2トーションバネの固定端が係止された第2係止受け部とが設けられ、前記第2構成部材には、前記第1トーションバネの自由端が係合する第1係合受け部と、前記第2トーションバネの自由端が係合する第2係合受け部とが設けられると共に、第2構成部材が前記一方の移動端から前記他方の移動端へ移動する過程で前記第1トーションバネの自由端側のアーム部が当接すべき当接受け部が設けられ、
前記第2構成部材が前記一方の移動端から前記他方の移動端へ移動する過程では、先ず前記第1係合受け部が第1トーションバネを押圧して弾性変形させ、その後、前記当接受け部が第1トーションバネを押圧して弾性変形させることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
第1構成部材に対して第2構成部材が一定の経路に沿って往復移動可能に係合し、第1構成部材と第2構成部材との間には、固定端及び自由端を有する第1トーションバネと、固定端及び自由端を有する第2トーションバネとが介在し、第1トーションバネによって、第2構成部材が前記一定の経路の中間位置から一方の移動端に向かって移動する過程で該第2構成部材を該一方の移動端に向かって付勢すると共に、第2トーションバネによって、第2構成部材が前記一定の経路の中間位置から他方の移動端に向かって移動する過程で該第2構成部材を該他方の移動端に向かって付勢する電子機器において、
前記第1構成部材には、前記第1トーションバネの固定端が係止された第1係止受け部と、前記第2トーションバネの固定端が係止された第2係止受け部とが設けられ、前記第2構成部材には、前記第1トーションバネの自由端が係合する第1係合受け部と、前記第2トーションバネの自由端が係合する第2係合受け部とが設けられると共に、第2構成部材が前記一方の移動端から前記他方の移動端へ移動する過程で前記第1トーションバネの自由端側のアーム部が当接すべき第1当接受け部と、第2構成部材が前記他方の移動端から前記一方の移動端へ移動する過程で前記第2トーションバネの自由端側のアーム部が当接すべき第2当接受け部とが設けられ、
前記第2構成部材が前記一方の移動端から前記他方の移動端へ移動する過程では、先ず前記第1係合受け部が第1トーションバネを押圧して弾性変形させ、その後、前記第1当接受け部が第1トーションバネを押圧して弾性変形させ、
前記第2構成部材が前記他方の移動端から前記一方の移動端へ移動する過程では、先ず前記第2係合受け部が第2トーションバネを押圧して弾性変形させ、その後、前記第2当接受け部が第2トーションバネを押圧して弾性変形させることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
第2構成部材には、前記第1係合受け部と第2係合受け部がそれぞれ長孔状に開設されると共に、両係合受け部の外側に、前記第1当接受け部と第2当接受け部がそれぞれ舌片状に突設されている請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記第1構成部材には、第2構成部材の移動経路上に2つのガイドピンが突設されると共に、第2構成部材には、前記2つのガイドピンが摺動可能に嵌合するガイド溝が開設されて、第1構成部材に対する第2構成部材の往復移動が案内されている請求項1乃至請求項4の何れかに記載の電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−38627(P2013−38627A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173666(P2011−173666)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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