説明

電子機器

【課題】顔を押し付けても集音性能を確保できるとともに、外観を損なわない電子機器を提供する。
【解決手段】第1筐体20は、第1回転軸41を介して第2筐体30と相対的に回動可能に連結される。操作部23を有する第1筐体20の表面211に対して交差し、第1筐体支持部25を有する端面24にマイク音孔26を設けたので、使用者の口腔の近辺にマイク音孔を設ける必要がなく、小型化を図ることができる。また、マイク音孔26は、使用時に、使用者の顔に密着して塞がれることがないので、集音性能の低下を防止できるとともにマイク音孔26が外部から見えないので外観を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジ軸を介して相対的に回動可能に連結される一対の筐体を有する電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ヒンジ軸を介して相対的に回動可能に連結される一対の筐体を有する電子機器である携帯端末においては、使用者の口腔の近傍にマイク音孔を設けると、小型化の妨げになるため、使用者の口腔から離れた位置にマイク音孔を設ける場合がある(例えば、特許文献1参照)。
図12および図13に示すように、特許文献1に記載の折畳型の携帯端末100においては、第1筐体101と第2筐体102とが、ヒンジ部103を介して相対的に回動可能に連結される。第1筐体101は、表示部104とスピーカ105を有する。第2筐体102は、音孔106、特殊操作部107及びメイン操作部108を有する。
第2筐体102の表面の音孔106及び特殊操作部107の周囲にはスリット( 凹溝)109が施されている。また第2筐体102の内部にはマイク110が設けられている。マイク100 は音孔106を通じて操作者の音声等を拾い、電気信号に変換して送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−136722号公報(第1図、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の電子機器においては、音孔106が第1筐体101の表面にあるため、音孔106の前にスリット109を設けたとはいえ、スリット109に顔が押し付けられると、本来の集音性能が発揮できないという問題があった。
また、スリット109は表面に露出しているため、外観上好ましくないという問題があった。
【0005】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、顔を押し付けても集音性能を確保できるとともに、外観を損なわない電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子機器は、ヒンジ軸を介して連結され、相対的に回動可能な第1筐体および第2筐体と、前記第1筐体の第1の表面に設けられた操作部と、前記第1筐体の前記第1の表面とは異なる第2の表面に設けられたマイク音孔と、を備え、前記第1筐体は、前記ヒンジ軸を支持する第1筐体支持部を有し、前記マイク音孔は、前記第1筐体の前記ヒンジ軸側の端面に設けられたものである。
また、本発明の電子機器は、前記マイク音孔は、前記第1の表面に対して直交する端面であって、前記第1筐体支持部の間の端面に設けられたものである。
【0007】
また、本発明の電子機器は、前記第1筐体および前記第2筐体の連結方向に対して直交する前記第1筐体の幅方向中央部に収容されたカメラユニットと、前記第1筐体に収容され、前記カメラユニットを囲む平面略凹字形状の回路基板と、前記回路基板に実装され、前記回路基板に設けられた貫通孔を通じて集音するマイクユニットと、前記第1筐体の内部において前記マイク音孔から前記貫通孔まで連続する溝部と、前記溝部の少なくとも一部を覆う蓋部材とを備え、前記回路基板が前記蓋部材を固定するとともに、前記溝部の終端に前記貫通孔が配置されたものを含む。
【0008】
また、本発明の電子機器は、前記マイク音孔に隣接して設けられた気圧調整孔を備え、前記マイク音孔および前記気圧調整孔が共通の防水部材および化粧部材に覆われたものを含む。
【0009】
さらに、本発明の電子機器は、ヒンジ軸を介して連結され、相対的に回動可能な第1筐体および第2筐体と、前記第1筐体における表面に設けられた操作部と、前記第1筐体における前記表面に対して交差する端面に設けられ、前記ヒンジ軸を支持する複数の第1筐体支持部と、前記表面における前記各第1筐体支持部間の領域に設けられたマイク音孔とを備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、第1筐体と第2筐体がヒンジ軸を介して回動可能に支持される電子機器において、操作部を有する第1筐体の表面に対して交差し、第1筐体支持部を有する端面にマイク音孔を設けたので、使用者の口腔の近辺にマイク音孔を設ける必要がなく、小型化を図ることができる。また、マイク音孔は、使用時に、使用者の顔に密着して塞がれることがないので、集音性能の低下を防止できるとともにマイク音孔が外部から見えないので外観を向上できるという効果を有する電子機器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る第1実施形態の携帯端末を開いた状態の斜視図
【図2】第1筐体の斜視図
【図3】第1筐体の分解斜視図
【図4】カメラユニットをレンズ側から見た斜視図
【図5】回路基板の端部を上面側から見た拡大斜視図
【図6】回路基板の端部を下面側から見た拡大斜視図
【図7】図3中VII部分の一部透視の拡大図
【図8】図7中VIII−VIII位置の断面図
【図9】図8中IX−IX位置の断面図
【図10】(A)は蓋部材を上方から見た斜視図であり、(B)は蓋部材を裏返した斜視図
【図11】本発明に係る第2実施形態の携帯端末の斜視図
【図12】従来の折畳型携帯電話機の筐体展開時の正面図
【図13】図12におけるXIII−XIII位置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る第1実施形態の電子機器について、図面を用いて説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態である電子機器としての携帯端末10は、第1筐体20と、第2筐体30と、第1筐体20および第2筐体30を回動可能に連結するヒンジ部40を有する。
【0013】
ヒンジ部40は、ヒンジ軸である第1回転軸41を軸にして第1筐体20および第2筐体30を使用状態(開状態)と携帯状態(閉状態)との間で矢印A方向に回動自在に連結する。
また、ヒンジ部40は、第2回転軸42を軸にして第2筐体30を矢印B方向に回動自在に連結する。
なお、第1回転軸41および第2回転軸42とは、軸となる部材が存在するものに限らず、軸となる部材はないが、回転可能に支持されている状態をも含む意味である。
【0014】
第2筐体30は、内面31に表示部32およびレシーバ33を有する。
第1筐体20は、いわゆるバスタブ構造であり、略U字形の断面形状の筐体底部を、図示しない板金等により覆うことにより、底面が略U字形に丸まった略矩形体状の箱形に形成されている。第1筐体20の表面(第1の表面)211に開口212が形成され、開口212には複数のキー231を有する操作部であるキーシート23が設けられている。
【0015】
図2に示すように、第1筐体20における表面211に対して交差する端面24には、幅方向両端部にヒンジ軸である第1回転軸41(図1参照)を支持する第1筐体支持部25,25を有する。これに対応して、第2筐体30は、幅方向中央部に1個の第2筐体支持部34を有する(図1参照)。
従って、第1筐体20の一対の第1筐体支持部25,25の間に、第2筐体30の1個の第2筐体支持部34が、第1回転軸41によって回転可能に連結されることになる。
【0016】
そして、一対の第1筐体支持部25,25の間の端面24(第2の表面)には、マイク音孔26および気圧調整孔27が設けられている。マイク音孔26および気圧調整孔27の前方には、防水部材である防水シート28および化粧部材である化粧パネル29が取り付けられており、防水するとともに外観の向上を図っている。防水シート28は、防水シート28の外縁に沿って全周する両面テープ54(図8参照)により第1筐体20の端面24に取り付けられる。
【0017】
図3に示すように、第1筐体20の内部には、回路基板51およびカメラユニット52が収容される。
図4に示すように、カメラユニット52は、全体直方体形状の本体521を有しており、第1筐体20の幅方向中央部に収容される。カメラユニット52は、本体521の下面522中央にレンズ523を有する。本体521は、本体521を第1筐体20に取り付けるために、カメラホルダ524が取り付けられている。カメラホルダ524は、取り付けた状態で衝撃を吸収するためのダンパー部525および取付の際に使用する爪部526を有する。
なお、ここでは、図3に示すように、レンズ523を下向きにして、第1筐体20に設けられているカメラ開口221にレンズが位置決めされるようにカメラユニット52を取り付ける。
【0018】
図3および図5に示すように、回路基板51は、カメラユニット52に干渉しないように中央にカメラ用開口部511を有しており、全体としてカメラユニット52を囲む平面略凹字形状となっている。回路基板51の上面512におけるカメラ用開口部511の近傍には、マイクユニット53が実装されている。回路基板51に実装されたマイクユニット53とキーシート23との間には、クッション材57を介在させて、がたつきを防止している(図8および図9参照)。
また、図6に示すように、マイクユニット53の下側には、回路基板51に貫通孔513が設けられている。
【0019】
図8および図9に示すように、マイク音孔26から回路基板51の貫通孔513まで、音を導くための溝部としての導音路55が連続して設けられている。
前述したように、マイク音孔26は回路基板51の幅方向略中心位置に設けられており、マイクユニット53は回路基板51の中央のカメラ用開口部511の外側に設けられている。このため、導音路55は、マイク音孔26に連続して第1筐体20の長手方向に沿って設けられた第1導音路551と、第1導音路551から直角に交差して第1筐体20の幅方向に沿って設けられた第2導音路552とから構成される。
第2導音路552の先端部はマイクユニット53の下方に達しており、上方へ屈曲して回路基板51の貫通孔513に接続される。
【0020】
図7および図9に示すように、第2導音路552は、製作上の観点から上方に開口した例えばU字形状をしている。このため、第2導音路552の開口の上から蓋部材56を取り付けて、管路としている。蓋部材56は、回路基板51の下面に取り付けられる。
図10に示すように、蓋部材56は、矩形板状の蓋本体561を有しており、蓋本体561には第2導音路552の端部の上向きの部分が挿嵌される切欠き562と、第2導音路552の開口に嵌入すべく下方へ突出する嵌入部563を有する。また、蓋本体561の長手方向一方の端部には、エンドプレート564が設けられている。
従って、図9に示すように、嵌入部563を第2導音路552の開口に嵌入し、切欠き562がマイクユニット53の貫通孔513を含むように、蓋部材56を取り付ける。これにより、第2導音路552も、第1導音路551と同様に管路を形成する。
【0021】
従って、マイク音孔26から集音された音は、マイク音孔26に連続する第1導音路551を通って第1筐体20の長手方向内部に進み、さらに、第2導音路552を通って第1筐体20の幅方向へ進んで、マイクユニット53の真下に達する。そして、回路基板51を貫通して設けられている貫通孔513を通って、マイクユニット53に達する。
【0022】
以上、説明した本発明に係る第1実施形態の携帯端末10によれば、第1筐体20は、第1回転軸41を介して第2筐体30と相対的に回動可能に連結される。キーシート23を有する第1筐体20の表面211に対して交差して第1筐体支持部25を有する端面24にマイク音孔26を設けたので、使用者の口腔の近辺にマイク音孔を設ける必要がなく、小型化を図ることができる。また、マイク音孔26は、使用時に、使用者の顔に密着して塞がれることがないので、集音性能の低下を防止できるとともにマイク音孔26が外部から見えないので外観を向上できる。
【0023】
また、カメラユニット52は、第1筐体20および第2筐体30の連結方向に対して直交する第1筐体20の幅方向中央部に収容され、平面略凹字形状をした回路基板51がカメラユニット52を囲む。回路基板51にはマイクユニット53が実装されており、第1筐体20の端面24に設けられたマイク音孔26で集音した音は、マイク音孔26から貫通孔513まで連続する導音路55を介して伝達されて、マイクユニット53に至る。このため、第1筐体20の端面24に設けたマイク音孔26で拾った音を、効率よくマイクユニット53に伝達できる。
また、導音路55(溝部)の少なくとも一部を覆う蓋部材56が回路基板51に固定されているので、マイク音孔26の位置に左右されず、回路基板51の下側に導音路55を管状に形成することができ、漏音を防止して、効率よく音を伝達することができる。
【0024】
マイク音孔26に隣接して設けられている内部の気圧を調整する気圧調整孔27と、マイク音孔26とを、共通の防水シート28および化粧パネル29で覆うので、部品点数の減少および制作工程の削減ができる。
【0025】
なお、前述した携帯端末10においては、第1筐体20における一対の第1筐体支持部25、25によって、第2筐体30の第2筐体支持部34を回転可能に支持する場合について説明したが、これに限らない。
例えば、1個の第1筐体支持部25によって、1個の第2筐体支持部34を回転可能に支持する場合にも適用可能である。
【0026】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態の携帯端末10について説明する。
なお、前述した第1実施形態に係る携帯端末10と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
【0027】
図11に示すように、本発明に係る第2実施形態の携帯端末10Bにおいては、第1筐体支持部25Bが、第1筐体20Bにおける表面213側に突出している。
このような場合には、マイク音孔26を一対の第1筐体支持部25B、25Bの間、すなわち表面213に設けることができる。
【0028】
以上、説明した本発明に係る第2実施形態の携帯端末10Bによれば、前述した第1実施形態の携帯端末10と同様の作用・効果を得ることができ、使用者の口腔の近辺にマイク音孔を設ける必要がなく、小型化を図ることができる。また、マイク音孔は、使用時に、使用者の顔に密着して塞がれることがないので、集音性能の低下を防止できるとともにマイク音孔が外部から見えないので外観を向上できる。
【0029】
なお、本発明の電子機器は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のように、本発明にかかる電子機器は、第1筐体と第2筐体がヒンジ軸を介して回動可能に支持される電子機器において、操作部を有する第1筐体の表面に対して交差し、第1筐体支持部を有する端面にマイク音孔を設けたので、使用者の口腔の近辺にマイク音孔を設ける必要がなく、小型化を図ることができる。また、マイク音孔は、使用時に、使用者の顔に密着して塞がれることがないので、集音性能の低下を防止できるとともにマイク音孔が外部から見えないので外観を向上できるという効果を有し、ヒンジ軸を介して相対的に回動可能に連結される一対の筐体を有する電子機器等として有用である。
【符号の説明】
【0031】
10、10B 携帯端末(電子機器)
20、20B 第1筐体
211、213 表面(第1の表面)
23 キーシート(操作部)
24 端面(第2の表面)
25、25B 第1筐体支持部
26 マイク音孔
27 気圧調整孔
28 防水シート(防水部材)
29 化粧パネル(化粧部材)
30 第2筐体
41 第1回転軸(ヒンジ軸)
51 回路基板
513 貫通孔
52 カメラユニット
53 マイクユニット
551 第1導音路(溝部)
552 第2導音路(溝部)
56 蓋部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジ軸を介して連結され、相対的に回動可能な第1筐体および第2筐体と、
前記第1筐体の第1の表面に設けられた操作部と、
前記第1筐体の前記第1の表面とは異なる第2の表面に設けられたマイク音孔と、を備え、
前記第1筐体は、前記ヒンジ軸を支持する第1筐体支持部を有し、
前記マイク音孔は、前記第1筐体の前記ヒンジ軸側の端面に設けられた電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記マイク音孔は、前記第1の表面に対して直交する端面であって、前記第1筐体支持部の間の端面に設けられた電子機器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子機器において、
前記第1筐体および前記第2筐体の連結方向に対して直交する前記第1筐体の幅方向中央部に収容されたカメラユニットと、
前記第1筐体に収容され、前記カメラユニットを囲む平面略凹字形状の回路基板と、
前記回路基板に実装され、前記回路基板に設けられた貫通孔を通じて集音するマイクユニットと、
前記第1筐体の内部において前記マイク音孔から前記貫通孔まで連続する溝部と、
前記溝部の少なくとも一部を覆う蓋部材とを備え、
前記回路基板が前記蓋部材を固定するとともに、前記溝部の終端に前記貫通孔が配置される電子機器。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載の電子機器において、
前記マイク音孔に隣接して設けられた気圧調整孔を備え、
前記マイク音孔および前記気圧調整孔が共通の防水部材および化粧部材に覆われている電子機器。
【請求項5】
ヒンジ軸を介して連結され、相対的に回動可能な第1筐体および第2筐体と、
前記第1筐体における表面に設けられた操作部と、
前記第1筐体における前記表面に対して交差する端面に設けられ、前記ヒンジ軸を支持する複数の第1筐体支持部と、
前記表面における前記各第1筐体支持部間の領域に設けられたマイク音孔とを備える電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−5349(P2013−5349A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136738(P2011−136738)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】