電子機器
【課題】校正(キャリブレーション)を行う際にユーザが誤操作した場合でも、不適切な補正情報が設定されてしまうのをより確実に抑制することが可能な電子機器を提供する。
【解決手段】このデジタルフォトフレーム100(電子機器)は、タッチパネル式の表示部1と、表示部1の表示画面に表示される複数の基準ボタン103a〜103eに対するユーザの押下位置に基づく物理座標と複数の基準ボタン103a〜103eの表示位置に基づく論理座標とに基づいて補正データを決定して校正を行う制御部7とを備え、制御部7は、複数の基準ボタン103a〜103eのうち、物理座標と論理座標とのずれ量について前回の校正時との差が最も大きい基準ボタンの表示位置に今回の補正データ確認用の確認ボタン104を表示させるように構成されている。
【解決手段】このデジタルフォトフレーム100(電子機器)は、タッチパネル式の表示部1と、表示部1の表示画面に表示される複数の基準ボタン103a〜103eに対するユーザの押下位置に基づく物理座標と複数の基準ボタン103a〜103eの表示位置に基づく論理座標とに基づいて補正データを決定して校正を行う制御部7とを備え、制御部7は、複数の基準ボタン103a〜103eのうち、物理座標と論理座標とのずれ量について前回の校正時との差が最も大きい基準ボタンの表示位置に今回の補正データ確認用の確認ボタン104を表示させるように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器に関し、特に、タッチパネル式の表示部を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネル式の表示部を備えた電子機器が知られている。このような電子機器では、構成部材の経年変化や使用環境の変化に起因してタッチパネルの位置検出精度が低下する場合があるため、位置検出について校正(キャリブレーション)を行う必要がある。また、従来、表示画面に表示された基準ボタンに対するユーザの押下操作に基づいて補正情報を決定して校正(キャリブレーション)を行う電子機器が知られている。
【0003】
しかしながら、従来の電子機器では、校正(キャリブレーション)を行う際に、ユーザが誤って基準ボタン以外の位置を押下してしまった場合など、基準ボタンに対するユーザの押下操作が誤操作であった場合には、誤操作による結果に基づいて不適切な補正情報が設定されてしまうという不都合があった。
【0004】
そこで、従来、校正(キャリブレーション)を行う際にユーザが誤操作した場合に、不適切な補正情報が設定されてしまうのを抑制することが可能な電子機器が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
上記特許文献1の表示端末装置(電子機器)は、表示画面内で互いに異なる位置に表示された複数のシンボル(基準ボタン)に対してユーザに押下操作させて補正情報を決定した後、表示画面の中央位置に今回の補正情報確認用のシンボル(確認ボタン)を表示させるとともに、シンボル(確認ボタン)に対するユーザの押下操作に基づく補正結果がシンボル(確認ボタン)を基準とする所定範囲内であるか否かを判断するように構成されている。これにより、上記特許文献1の表示端末装置では、シンボル(確認ボタン)に対する補正結果がシンボル(確認ボタン)を基準とする所定範囲内にない場合には不適切な補正情報であると判断することができるので、校正(キャリブレーション)を行う際にユーザが誤操作した場合に、不適切な補正情報が設定されてしまうのを抑制することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−116155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の表示端末装置(電子機器)では、校正(キャリブレーション)を行う際にユーザが誤操作した場合に、不適切な補正情報が設定されてしまうのを抑制することが可能である一方、補正情報確認用のシンボル(確認ボタン)が常に表示画面の中央位置に表示されるので、表示画面内の位置によってずれ量にばらつきがある場合には、補正情報が不適切か否かを精度よく検出することができない。たとえば、表示画面の中央位置以外の位置で誤操作されてずれ量が大きくなっている一方、表示画面の中央位置ではずれ量が小さい場合に、ずれ量が小さい位置に表示されたシンボル(確認ボタン)に対する押下操作の補正結果がシンボル(確認ボタン)を基準とする所定範囲内になってしまい適切な補正情報であると誤って判断されてしまう場合がある。このため、上記特許文献1の表示端末装置(電子機器)では、校正(キャリブレーション)を行う際にユーザが誤操作した場合に、不適切な補正情報が設定されてしまうのを抑制することができない場合があるという問題点がある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、校正(キャリブレーション)を行う際にユーザが誤操作した場合でも、不適切な補正情報が設定されてしまうのをより確実に抑制することが可能な電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
この発明の一の局面による電子機器は、タッチパネル式の表示部と、表示部の表示画面に表示される複数の基準ボタンに対するユーザの押下位置に基づく第1位置特定情報と複数の基準ボタンの表示位置に基づく第2位置特定情報とに基づいて補正情報を決定して校正を行う制御部とを備え、制御部は、複数の基準ボタンのうち、第1位置特定情報と第2位置特定情報とのずれ量に基づいて決定される所定の基準ボタンの表示位置に対応する位置に今回の補正情報確認用の確認ボタンを表示させるように構成されている。
【0010】
この発明の一の局面による電子機器では、上記のように、複数の基準ボタンのうち、ユーザの押下位置に基づく第1位置特定情報と表示位置に基づく第2位置特定情報とのずれ量に基づいて決定される所定の基準ボタンの表示位置に対応する位置に今回の補正情報確認用の確認ボタンを表示させるように制御部を構成することによって、第1位置特定情報と第2位置特定情報とのずれ量に基づいて今回誤操作された可能性がより高い位置に確認ボタンを表示すれば、ユーザの誤操作に起因して補正量がより大きくなる位置に確認ボタンを表示することができる。これにより、ユーザの誤操作による影響が補正結果により顕著に反映される位置で補正情報の適否判断(妥当性判断)を行うことができるので、補正情報の適否判断を精度よく行うことができ、その結果、校正(キャリブレーション)を行う際にユーザが誤操作した場合でも、不適切な補正情報が設定されてしまうのをより確実に抑制することができる。
【0011】
上記一の局面による電子機器において、好ましくは、制御部は、複数の基準ボタンのうち、第1位置特定情報と第2位置特定情報とのずれ量について前回の校正時との差が相対的に大きい所定の基準ボタンの表示位置に対応する位置に今回の補正情報確認用の確認ボタンを表示させるように構成されている。このように構成すれば、今回誤操作された可能性がより高く前回と今回とでずれ量の差が相対的に大きくなった位置に確認ボタンが表示されるので、ユーザの押下位置に対する補正量がより大きくなる位置に確認ボタンを表示することができる。これにより、ユーザの誤操作による影響が補正結果により顕著に反映される位置で補正情報の適否判断(妥当性判断)を行うことができるので、補正情報の適否判断をより精度よく行うことができ、その結果、校正(キャリブレーション)を行う際にユーザが誤操作した場合でも、不適切な補正情報が設定されてしまうのをさらに確実に抑制することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、制御部は、複数の基準ボタンのうち、第1位置特定情報と第2位置特定情報とのずれ量について前回の校正時との差が最も大きい基準ボタンの表示位置に対応する位置に今回の補正情報確認用の確認ボタンを表示させるように構成されている。このように構成すれば、今回誤操作された可能性が最も高い位置に確認ボタンが表示されるので、確認ボタンによる補正情報の適否判断をより精度よく行うことができる。
【0013】
上記一の局面による電子機器において、好ましくは、制御部は、確認ボタンに対する第1位置特定情報の補正結果が確認ボタンの第2位置特定情報を基準とする所定範囲内にある場合には、今回の補正情報で校正するとともに、確認ボタンに対する第1位置特定情報の補正結果が第2位置特定情報を基準とする所定範囲内にない場合には、以前の補正情報に戻すように構成されている。このように構成すれば、確認ボタンに対する第1位置特定情報の補正結果が所定範囲内となり誤操作された可能性が低い場合には、今回の補正情報で校正することができるとともに、確認ボタンに対する第1位置特定情報の補正結果が所定範囲内になく誤操作により不適切な補正情報に決定された可能性が高い場合には、以前の補正情報に戻して不適切な補正情報が設定されてしまうのを有効に抑制することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、制御部は、確認ボタンに対する第1位置特定情報の補正結果が所定範囲内にない場合には、確認ボタンにおける第1位置特定情報および第2位置特定情報と、複数の基準ボタンのうちの確認ボタンが表示された位置に対応する基準ボタン以外の基準ボタンにおける第1位置特定情報および第2位置特定情報とに基づいて補正情報を決定し直すように構成されている。このように構成すれば、確認ボタンに対する第1位置特定情報の補正結果が所定範囲内になく誤操作により不適切な補正情報に決定された可能性が高い場合には、確認ボタンと、確認ボタンが表示された位置に対応する基準ボタン以外の基準ボタンとにおける既取得の第1位置特定情報および第2位置特定情報を用いて新たに補正情報が決定し直されるので、複数の基準ボタンに対して再度押下操作をやり直すことなく、容易に補正情報を決定し直すことができる。
【0015】
上記補正情報を決定し直す構成において、好ましくは、制御部は、確認ボタンに対する第1位置特定情報の補正結果が所定範囲内にない場合で、かつ、確認ボタンに対するユーザの押下操作回数が所定回数以下の場合には、確認ボタンにおける第1位置特定情報および第2位置特定情報と、複数の基準ボタンのうちの確認ボタンが表示された位置に対応する基準ボタン以外の基準ボタンにおける第1位置特定情報および第2位置特定情報とに基づいて補正情報を決定し直すとともに、複数の基準ボタンおよび確認ボタンのうち、第1位置特定情報と第2位置特定情報とのずれ量について前回の校正時との差が相対的に大きい基準ボタンまたは確認ボタンの表示位置に対応する位置に確認ボタンを再度表示させるように構成されている。このように構成すれば、確認ボタンに対する第1位置特定情報の補正結果が所定範囲内になく誤操作により不適切な補正情報に決定された可能性が高い場合で、かつ、確認ボタンに対する押下操作回数が少ない場合には、複数の基準ボタンに対して再度押下操作をやり直すことなく、容易に補正情報を決定し直すことができるとともに、再度表示させる確認ボタンも誤操作された可能性がより高い位置に表示されるので、決定し直された補正情報の適否判断もさらに精度よく行うことができる。
【0016】
上記確認ボタンを再度表示させる構成において、好ましくは、制御部は、確認ボタンに対するユーザの押下操作回数が所定回数を超えた場合には、以前の補正情報に戻すように構成されている。このように構成すれば、確認ボタンに対する第1位置特定情報の補正結果が所定範囲内となるまで際限なく繰り返し確認ボタンを表示し続ける場合と異なり、校正(キャリブレーション)を行う際のユーザの操作負担が過度に大きくなるのを抑制することができる。
【0017】
上記一の局面による電子機器において、好ましくは、制御部は、確認ボタンに対するユーザの押下操作が所定時間行われない場合には、以前の補正情報に戻すように構成されている。このように構成すれば、不適切な補正情報に決定されてしまい確認ボタンを適切に押下することができなくなった場合(デッドロック状態になった場合)でも、押下操作が所定時間行われない場合には以前の補正情報に戻してデッドロック状態を解消することができる。
【0018】
上記一の局面による電子機器において、好ましくは、制御部は、確認ボタンに対する第1位置特定情報の補正結果が確認ボタンの第2位置特定情報を基準とする所定範囲内にない場合には、表示部にエラーメッセージを表示させるとともに以前の補正情報に戻すように構成されている。このように構成すれば、確認ボタンに対する第1位置特定情報の補正結果が所定範囲内になく誤操作された可能性が高い場合に、エラーメッセージにより誤操作の可能性が高いことを容易にユーザに認識させることができるとともに、以前の補正情報に戻して不適切な補正情報が設定されてしまうのを有効に抑制することができる。
【0019】
上記以前の補正情報に戻す構成において、好ましくは、制御部は、以前の補正情報に戻す場合には、前回の補正情報に戻すように構成されている。このように構成すれば、以前の補正情報に戻す場合に直近の補正情報に戻されるので、より現状に近い状態に対する補正情報に戻すことができる。
【0020】
上記一の局面による電子機器において、好ましくは、第1位置特定情報および第2位置特定情報は、それぞれ、ユーザの押下位置に基づく物理座標および表示位置に基づく論理座標である。このように構成すれば、物理座標と論理座標とを用いて各ボタンにおけるずれ量を容易に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの全体構成を示したブロック図である。
【図2】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの設定メニュー画面を示した図である。
【図3】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの本体設定画面を示した図である。
【図4】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの校正処理を示したフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態によるデジタルフォトフレームの校正処理を示したフローチャートである。
【図6】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの調整画面において左上に基準ボタンを表示した状態を示した図である。
【図7】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの物理座標の算出手順について説明するための図である。
【図8】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの調整画面において右上に基準ボタンを表示した状態を示した図である。
【図9】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの調整画面において右下に基準ボタンを表示した状態を示した図である。
【図10】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの調整画面において左下に基準ボタンを表示した状態を示した図である。
【図11】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの調整画面において中央に基準ボタンを表示した状態を示した図である。
【図12】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの確認ボタンの表示位置の算出手順について説明するための図である。
【図13】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの調整画面において右下に確認ボタンを表示した状態を示した図である。
【図14】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの確認ボタンの押下判定について説明するための図である。
【図15】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの調整画面において左下に確認ボタンを表示した状態を示した図である。
【図16】本発明の第2実施形態によるデジタルフォトフレームの校正処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
(第1実施形態)
図1および図2を参照して、本発明の第1実施形態によるデジタルフォトフレーム100の構成について説明する。なお、デジタルフォトフレーム100は、本発明の「電子機器」の一例である。
【0024】
第1実施形態によるデジタルフォトフレーム100は、図1に示すように、タッチパネル式の表示部1と、スピーカ2と、フラッシュROM(FLASH ROM)3と、RAM4と、通信インターフェース5と、メディアカードインターフェース6と、制御部(CPU)7とを備えている。デジタルフォトフレーム100は、フラッシュROM3に記憶されたデジタル画像や通信インターフェース5およびメディアカードインターフェース6を介して取得されるデジタル画像を表示部1に表示可能に構成されている。
【0025】
表示部1は、図2に示すように、矩形形状の液晶ディスプレイからなり、押下(タッチ)された位置に応じた電圧から位置検出を行う抵抗膜方式のタッチパネル機能を有している。また、表示部1には、各種機能の設定画面が表示されるように構成されている。
【0026】
フラッシュROM3は、書き換え可能な不揮発性メモリである。また、フラッシュROM3は、後述するように、タッチパネルの位置検出の校正(キャリブレーション)を行う際に取得される情報を記憶するように構成されている。また、フラッシュROM3には、表示部1に表示させるデジタル画像を保存可能である。RAM4は、揮発性メモリであり、制御部7の作業領域として利用される。通信インターフェース5は、有線および無線の両方の通信が可能に構成されている。デジタルフォトフレーム100は、通信インターフェース5を介してネットワークに接続可能である。
【0027】
メディアカードインターフェース6は、SDメモリカード(Secure Digital Memory Card)(登録商標)、xDピクチャカード(登録商標)、CFカード(Compact Flash Card)(登録商標)などの各種メディアカードに対応可能に構成されている。
【0028】
制御部7は、CPUからなり、図示しないコンピュータプログラムを実行することによりデジタルフォトフレーム100全体の動作を制御するように構成されている。また、制御部7は、ユーザによる操作に基づいて、タッチパネルの位置検出の校正(キャリブレーション)処理を実行するように構成されている。また、制御部7は、校正(キャリブレーション)処理により得られた補正データ(算出式)に基づいて位置検出を行うように構成されている。また、制御部7は、表示部1の表示画面に対するユーザの押下位置に基づく物理座標と、表示画面に表示される画像の表示位置に基づく論理座標とに基づいて補正データを決定するように構成されている。なお、物理座標は、本発明の「第1位置特定情報」の一例であり、論理座標は、本発明の「第2位置特定情報」の一例である。また、補正データは、本発明の「補正情報」の一例である。また、物理座標および論理座標に基づいて補正データを決定する手順については後述する。
【0029】
次に、図1および図3〜図15を参照して、第1実施形態によるデジタルフォトフレーム100の制御部7により実行される校正(キャリブレーション)処理について説明する。
【0030】
ユーザにより図1に示す設定メニュー画面において本体設定ボタン101が選択された後、図3に示す本体設定画面においてタッチパネル調整ボタン102が選択されることによって、制御部7により図4および図5に示す校正(キャリブレーション)処理が開始される。校正(キャリブレーション)処理が開始されると、制御部7は、ステップS1において、図6に示すように、表示画面の左上の基準位置に基準ボタン103aを表示させる制御を行う。この際、制御部7は、表示画面の左上に表示した基準ボタン103aを押下することをユーザに促す表示を行う。そして、制御部7は、ステップS2において、ユーザによる押下操作があったか否かを判断し、ユーザにより表示部1が押下されるまでこの判断を繰り返す。
【0031】
ユーザにより押下されると、制御部7は、ステップS3において、ユーザにより押下された位置に基づく物理座標を取得する。具体的には、制御部7は、表示部1から得られるユーザの押下位置に応じた電圧に基づいて、以下に示す式(1)により物理座標を取得する。また、実際には、ユーザの押下位置に応じた電圧とそれに対応する物理座標との関係は複雑な関係式(高次式)により表されるが、ここでの説明では、簡易的に、ユーザの押下位置に応じた電圧とそれに対応する物理座標との関係が線形であると仮定して説明する。
【0032】
【数1】
なお、上記式(1)において、(XP、YP)は、物理座標、(VX、VY)は、表示部1から得られる電圧、(VXmin、VYmin)は、最小の論理座標の位置における電圧、(Xres、Yres)は、表示部1の解像度(分解能)、(VXmax、VYmax)は、最大の論理座標の位置における電圧をそれぞれ表す。
【0033】
次に、具体的な計算例を挙げて説明する。たとえば、図7に示すように、表示部1の解像度が800×480(dot)であり、最小の論理座標となる表示画面の左上隅における電圧が(0(V)、0(V))、最大の論理座標となる表示画面の右下隅における電圧が(5(V)、5(V))であると仮定する。この場合に、ユーザの押下操作により表示部1から得られた電圧(VX、VY)が(0.48(V)、0.41(V))であったとすると、制御部7により、以下の式(2)のように物理座標(XP、YP)が算出される。
【0034】
【数2】
【0035】
次に、制御部7は、ステップS4において、図8に示すように、表示画面の右上の基準位置に基準ボタン103bを表示させるとともに、ステップS5において、ユーザによる押下操作があったか否かを判断し、ユーザにより表示部1が押下されるまでこの判断を繰り返す。ユーザにより押下されると、制御部7は、ステップS6において、上記左上の基準ボタン103aの場合と同様に、右上の基準ボタン103bに対するユーザの押下位置に基づく物理座標を取得する。
【0036】
その後、制御部7は、上記同様に、ステップS7〜S15において、図9に示す右下の基準ボタン103c、図10に示す左下の基準ボタン103dおよび図11に示す中央の基準ボタン103eのそれぞれに対応する物理座標を順次取得する。
【0037】
そして、制御部7は、ステップS16において、各基準ボタンに対する論理座標と物理座標とに基づいて補正データ(算出式)を決定して仮反映する。具体的には、制御部7は、5つの基準ボタン103a〜103eのそれぞれにおける論理座標および物理座標に基づいて補正後の座標を取得するための補正データ(算出式)を決定する。以下の式(3)に補正データ(算出式)の一例を示す。なお、基準ボタン103a〜103eの表示位置に基づく論理座標は、予めフラッシュROM3に記憶されている。
【0038】
【数3】
なお、上記式(3)において、(X、Y)は、補正後の座標、(VX、VY)は、表示部1から得られる電圧をそれぞれ表す。また、aおよびbは、5つの基準ボタン103a〜103eに対する押下操作結果に基づいて以下の式(4)により算出される。
【0039】
【数4】
なお、上記式(4)において、nは、基準ボタンの個数、xkは、k個目の基準ボタンの論理座標、ykは、k個目の基準ボタンに対する検出電圧に基づく物理座標をそれぞれ表す。
【0040】
次に、制御部7は、ステップS17において、各基準ボタンに対する論理座標と物理座標とのずれ量を以下の式(5)により算出するとともに、そのずれ量について前回の校正時と今回との差を以下の式(6)により算出する。
【0041】
【数5】
なお、上記式(5)において、(Xn、Yn)は、ずれ量、(XP、YP)は、物理座標、(XL、YL)は、論理座標をそれぞれ表す。
【0042】
【数6】
なお、上記式(6)において、(X1、Y1)は、前回の校正時のずれ量、(X2、Y2)は、今回の校正時のずれ量をそれぞれ表す。
【0043】
たとえば、左上の基準ボタン103aの表示位置に基づく論理座標(XL、YL)が(73、42)である場合には、ステップS3において上記式(2)により算出された物理座標(XP、YP)が(77、39)であったので、今回の校正時における左上の基準ボタン103aに対するずれ量(Xn、Yn)は(4、−3)となる。このようにして、制御部7は、図12に示すように、各基準ボタンに対する今回の校正時のずれ量(X2、Y2)および前回の校正時のずれ量(X1、Y1)を算出する。なお、前回の校正時における各基準ボタンに対する物理座標は、前回の校正時にフラッシュROM3に記憶されている。そして、上記式(6)により算出される各基準ボタンに対する前回と今回とのずれ量の差は図12に示すとおりである。
【0044】
次に、ステップS18において、制御部7は、ずれ量に基づいて決定される所定の基準ボタンの表示位置に今回の補正データ確認用の確認ボタン104(図13参照)を表示する制御を行う。具体的には、制御部7は、前回と今回とのずれ量の差が最も大きくなる基準ボタンの表示位置に今回の補正データ確認用の確認ボタン104を表示する制御を行う。図12の例では、右下の基準ボタン103cにおける差が最も大きいので、制御部7は、図13に示すように、右下の基準ボタン103cの表示位置と同じ位置に確認ボタン104を表示する。
【0045】
そして、制御部7は、図5に示すステップS19において、タイマーを開始し、ステップS20において、ユーザによる押下操作があったか否かを判断する。制御部7は、ステップS20およびS21において、タイムアウト時間(たとえば、10秒)が経過するまでこの判断を繰り返し、タイムアウト時間が経過した場合には、ステップS22において、確認ボタン104が押下されなかったことを示すエラーメッセージを表示部1に表示する。そして、ステップS23において、制御部7は、上記ステップS16において仮反映した補正データを前回の校正時に決定された補正データに戻して設定する。そして、今後、次の校正処理が行われるまで、制御部7は、前回の校正時に決定された補正データを用いて位置検出を行う。
【0046】
一方、ユーザによる押下操作があった場合には、制御部7は、ステップS24においてタイマーを終了し、ステップS25において確認ボタン104が適切に押下されたか否かを判断する。具体的には、まず、制御部7は、以下の式(3)に示す補正データより、ユーザの押下位置に基づいて算出される物理座標の補正結果(補正後の座標)を算出する。そして、制御部7は、図14に示すように、以下の式(7)により、補正後の座標が確認ボタン104の表示位置を中心とする所定範囲内にあるか否かを判断し、所定範囲内にある場合には、確認ボタン104が適切に押下されたと判断する。
【0047】
【数7】
なお、上記式(7)において、(X、Y)は、補正後の座標、(Xs、Ys)は、所定範囲内の左上隅の座標(最小の座標)、(Xe、Ye)は、所定範囲内の右下隅の座標(最大の座標)をそれぞれ表す。
【0048】
確認ボタン104が適切に押下された場合には、今回決定した補正データが妥当であると判断して、制御部7は、ステップS26において、今回取得した物理座標と決定した補正データをフラッシュROM3に保存して設定する。そして、今後、次の校正処理が行われるまで、制御部7は、今回の補正データを用いて位置検出を行う。
【0049】
また、確認ボタン104が適切に押下されない場合は、制御部7は、ステップS27において、押下操作を繰り返した回数が所定のリトライ回数(たとえば、5回)を超えたか否かを判断し、超えた場合には、ステップS22に移行してエラーメッセージを表示する。所定のリトライ回数以下の場合には、制御部7は、ステップS28において、リトライ回数をインクリメントする。そして、制御部7は、ステップS29において、確認ボタン104に対するユーザの押下位置に基づく物理座標を取得して、図4のステップS16に移行する。
【0050】
この場合、制御部7は、ステップS16において、確認ボタン104における論理座標および物理座標と、確認ボタン104が表示された右下の基準ボタン103c以外の4つの基準ボタンにおける論理座標および物理座標とに基づいて補正データを決定して仮反映する。すなわち、確認ボタン104に対する押下操作から得られる情報を、確認ボタン104の表示位置に対応する基準ボタンに代えて用いる。換言すれば、確認ボタン104がその位置における基準ボタンとして用いられる。なお、この際用いる上記4つの基準ボタンにおける物理座標は、ステップS1〜S15において既に取得されたものである。ステップS17の処理は上記と同様に実行され、ステップS18において、制御部7は、4つの基準ボタンおよび確認ボタンの5つのボタンのうち、前回と今回との差が最も大きい基準ボタンまたは確認ボタンの表示位置に再度確認ボタン104を表示する。この際、ステップS17の計算結果によっては、ステップS18において、図15に示すように、確認ボタン104の表示位置が前回の表示位置(図13参照)とは異なる場合もあり得る。
【0051】
第1実施形態では、上記のように、5つの基準ボタン103a〜103eのうち、ユーザの押下位置に基づく物理座標と表示位置に基づく論理座標とのずれ量に基づいて決定される所定の基準ボタンの表示位置に今回の補正情報確認用の確認ボタン104を表示させるように制御部7を構成することによって、物理座標と論理座標とのずれ量に基づいて今回誤操作された可能性が高い位置に確認ボタン104を表示することができるので、ユーザの誤操作に起因して補正量がより大きくなる位置に確認ボタン104を表示することができる。これにより、ユーザの誤操作による影響が補正結果により顕著に反映される位置で補正データの適否判断(妥当性判断)を行うことができるので、補正データの適否判断を精度よく行うことができ、その結果、校正(キャリブレーション)を行う際にユーザが誤操作した場合でも、不適切な補正データが設定されてしまうのをより確実に抑制することができる。
【0052】
また、第1実施形態では、上記のように、5つの基準ボタン103a〜103eのうち、ユーザの押下位置に基づく物理座標と表示位置に基づく論理座標とのずれ量について前回の校正時との差が最も大きい基準ボタンの表示位置に今回の補正情報確認用の確認ボタン104を表示させるように制御部7を構成することによって、今回誤操作された可能性が最も高く前回と今回とでずれ量の差が最も大きくなった位置に確認ボタン104が表示されるので、ユーザの押下位置に対する補正量がより大きくなる位置に確認ボタン104を表示することができる。これにより、ユーザの誤操作による影響が補正結果により顕著に反映される位置で補正データの適否判断(妥当性判断)を行うことができるので、補正データの適否判断を精度よく行うことができ、その結果、校正(キャリブレーション)を行う際にユーザが誤操作した場合でも、不適切な補正データが設定されてしまうのをより確実に抑制することができる。
【0053】
また、第1実施形態では、上記のように、確認ボタン104に対する物理座標の補正結果(補正後の座標)が確認ボタン104の論理座標を基準とする所定範囲内にある場合には、今回の補正データで校正するとともに、確認ボタン104に対する物理座標の補正結果が所定範囲内にない場合には、前回の補正データに戻すように制御部7を構成する。これにより、確認ボタン104に対する物理座標の補正結果が所定範囲内となり誤操作された可能性が低い場合には、今回の補正データで校正することができるとともに、確認ボタン104に対する物理座標の補正結果が所定範囲内になく誤操作により不適切な補正データに決定された可能性が高い場合には、前回の補正データに戻して不適切な補正データが設定されてしまうのを有効に抑制することができる。
【0054】
また、第1実施形態では、上記のように、確認ボタン104に対する物理座標の補正結果が所定範囲内にない場合には、確認ボタン104における物理座標および論理座標と、5つの基準ボタン103a〜103eのうちの確認ボタン104が表示された位置に対応する基準ボタン以外の基準ボタンにおける物理座標および論理座標とに基づいて補正データを決定し直すように制御部7を構成する。これにより、確認ボタン104に対する物理座標の補正結果が所定範囲内になく誤操作により不適切な補正データに決定された可能性が高い場合には、確認ボタン104と、確認ボタン104が表示された位置に対応する基準ボタン以外の基準ボタンとにおける既取得の物理座標および論理座標を用いて新たに補正データが決定し直されるので、5つの基準ボタン103a〜103eに対して再度押下操作をやり直すことなく、容易に補正データを決定し直すことができる。
【0055】
また、第1実施形態では、上記のように、確認ボタン104に対する物理座標の補正結果が所定範囲内にない場合で、かつ、確認ボタン104に対するユーザの押下操作回数が所定回数(たとえば、5回)以下の場合には、確認ボタン104における物理座標および論理座標と、5つの基準ボタン103a〜103eのうちの確認ボタン104が表示された位置に対応する基準ボタン以外の基準ボタンにおける物理座標および論理座標とに基づいて補正データを決定し直すとともに、5つの基準ボタン103a〜103eおよび確認ボタン104のうち、物理座標と論理座標とのずれ量について前回の校正時との差が最も大きい基準ボタンまたは確認ボタン104の表示位置に確認ボタン104を再度表示させるように制御部7を構成する。これにより、確認ボタン104に対する物理座標の補正結果が所定範囲内になく誤操作により不適切な補正データに決定された可能性が高い場合で、かつ、確認ボタン104に対する押下操作回数が少ない場合には、5つの基準ボタン103a〜103eに対して再度押下操作をやり直すことなく、容易に補正データを決定し直すことができるとともに、再度表示させる確認ボタン104も誤操作された可能性が最も高い位置に表示されるので、決定し直された補正データの適否判断もさらに精度よく行うことができる。
【0056】
また、第1実施形態では、上記のように、確認ボタン104に対するユーザの押下操作回数が所定回数を超えた場合には、前回の補正データに戻すように制御部7を構成する。これにより、確認ボタン104に対する物理座標の補正結果が所定範囲内となるまで際限なく繰り返し確認ボタン104を表示し続ける場合と異なり、校正(キャリブレーション)を行う際のユーザの操作負担が過度に大きくなるのを抑制することができる。
【0057】
また、第1実施形態では、上記のように、確認ボタン104に対するユーザの押下操作が所定時間(たとえば、10秒)行われない場合には、前回の補正データに戻すように制御部7を構成する。これにより、不適切な補正データに決定されてしまい確認ボタン104を適切に押下することができなくなった場合(デッドロック状態になった場合)でも、押下操作が所定時間行われない場合には前回の補正データに戻してデッドロック状態を解消することができる。
【0058】
また、第1実施形態では、上記のように、確認ボタン104に対する物理座標の補正結果が確認ボタン104の論理座標を基準とする所定範囲内にない場合には、表示部にエラーメッセージを表示させるとともに前回の補正データに戻すように制御部7を構成する。これにより、確認ボタン104に対する物理座標の補正結果が所定範囲内になく誤操作された可能性が高い場合に、エラーメッセージにより誤操作の可能性が高いことを容易にユーザに認識させることができるとともに、前回の補正データに戻して不適切な補正データが設定されてしまうのを有効に抑制することができる。
【0059】
(第2実施形態)
次に、図4および図16を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、校正(キャリブレーション)処理において、確認ボタン104の表示後にタイムアウト判定やリトライ回数判定を行わない構成について説明する。
【0060】
第2実施形態の校正(キャリブレーション)処理では、制御部7は、図4に示すステップS18の後、図16に示すステップS31において、ユーザによる押下操作があったか否かを判断し、押下操作が行われるまでこの判断を繰り返す。押下操作があると、ステップS32において、制御部7は、上記第1実施形態におけるステップS25と同様に、確認ボタン104が適切に押下されたか否かを判断し、適切に押下された場合には、ステップS33において、今回取得した物理座標と決定した補正データをフラッシュROM3に保存して設定する。
【0061】
一方、確認ボタン104が適切に押下されない場合は、制御部7は、ステップS34において、確認ボタン104が押下されなかったことを示すエラーメッセージを表示部1に表示する。そして、ステップS35において、制御部7は、上記ステップS16において仮反映した補正データを前回の校正時に決定された補正データに戻して設定する。
【0062】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0063】
また、第2実施形態では、リトライ回数判定が行われないので、確認ボタン104が適正に押下されない場合に、ユーザに繰り返しリトライさせる上記第1実施形態とは異なり、ユーザに負担が掛かるのを抑制することができる。
【0064】
なお、第2実施形態においても、上記第1実施形態の場合と同様に、5つの基準ボタン103a〜103eのうち、ユーザの押下位置に基づく物理座標と表示位置に基づく論理座標とのずれ量に基づいて決定される所定の基準ボタンの表示位置に今回の補正情報確認用の確認ボタン104を表示させるように制御部7を構成することによって、校正(キャリブレーション)を行う際にユーザが誤操作した場合でも、不適切な補正データが設定されてしまうのをより確実に抑制することができる。
【0065】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0066】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0067】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、本発明の電子機器をデジタルフォトフレームに適用する例について説明したが、タッチパネル式の表示部を備えた電子機器であれば、本発明を、デジタルフォトフレーム以外の電子機器に適用してもよい。
【0068】
また、上記第1および第2実施形態では、本発明の表示部の一例として、抵抗膜方式のタッチパネル機能を有する表示部を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、超音波方式や静電容量方式、光学方式、電磁誘導方式など、抵抗膜方式以外の方式によるタッチパネル機能を有する表示部であってもよい。
【0069】
また、上記第1および第2実施形態では、5つの基準ボタンを用いて校正を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の基準ボタンであれば、5つ以外の個数の基準ボタンを用いて校正を行ってもよい。
【0070】
また、上記第1および第2実施形態では、5つの基準ボタンのうち、ずれ量について前回と今回との差が最も大きい基準ボタンの表示位置に確認ボタンを表示する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、5つの基準ボタンのうち、ずれ量について前回と今回との差が他のいずれかの基準ボタンよりも相対的に大きい基準ボタンの表示位置に確認ボタンを表示するようにしてもよい。
【0071】
また、上記第1および第2実施形態では、ずれ量について前回と今回との差が最も大きい基準ボタンの表示位置と同じ位置に確認ボタンを表示する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ずれ量について前回と今回との差が最も大きい基準ボタンの表示位置に対応する近傍の位置に確認ボタンを表示するようにしてもよい。
【0072】
また、上記第1および第2実施形態では、本発明の所定の基準ボタンの一例として、ずれ量について前回と今回との差が最も大きい基準ボタンを示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、所定の基準ボタンが、ずれ量についての前回と今回との差ではなく、今回のずれ量のみに基づいて決定される基準ボタンであってもよい。この場合、今回のずれ量が最も大きい基準ボタンに対応する位置に確認ボタンを表示させることが好ましい。
【0073】
また、上記第1および第2実施形態では、確認ボタンが適切に押下されない場合に、前回の補正データ(補正情報)に戻す例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、確認ボタンが適切に押下されない場合に、以前の補正情報に戻す構成であれば、初期(デフォルト)の補正情報など、前回以外の補正情報に戻す構成であってもよい。
【0074】
また、上記第1および第2実施形態では、本発明の第1位置特定情報および第2位置特定情報の一例として、それぞれ、物理座標および論理座標を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1位置特定情報および第2位置特定情報が、電圧値など座標以外の情報であってもよい。
【0075】
また、上記第1および第2実施形態において、調整画面に校正処理を強制的に終了させるためのキャンセルボタンを設けてもよい。この際、キャンセルボタンが押下されると、前回の補正データ(補正情報)に戻すように構成してもよい。これにより、ユーザの所望のタイミングで校正処理を終了させることができる。
【0076】
また、上記第1および第2実施形態において、ユーザの押下位置に応じた電圧とそれに対応する物理座標(第1位置特定情報)との関係が線形である例について説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ユーザの押下位置に応じた電圧とそれに対応する物理座標(第1位置特定情報)とが高次式により表される関係であってもよい。
【0077】
また、上記第1および第2実施形態では、説明の便宜上、本発明の制御部の処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 表示部
7 制御部
100 デジタルフォトフレーム(電子機器)
103a、103b、103c、103d、103e 基準ボタン
104 確認ボタン
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子機器に関し、特に、タッチパネル式の表示部を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タッチパネル式の表示部を備えた電子機器が知られている。このような電子機器では、構成部材の経年変化や使用環境の変化に起因してタッチパネルの位置検出精度が低下する場合があるため、位置検出について校正(キャリブレーション)を行う必要がある。また、従来、表示画面に表示された基準ボタンに対するユーザの押下操作に基づいて補正情報を決定して校正(キャリブレーション)を行う電子機器が知られている。
【0003】
しかしながら、従来の電子機器では、校正(キャリブレーション)を行う際に、ユーザが誤って基準ボタン以外の位置を押下してしまった場合など、基準ボタンに対するユーザの押下操作が誤操作であった場合には、誤操作による結果に基づいて不適切な補正情報が設定されてしまうという不都合があった。
【0004】
そこで、従来、校正(キャリブレーション)を行う際にユーザが誤操作した場合に、不適切な補正情報が設定されてしまうのを抑制することが可能な電子機器が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
上記特許文献1の表示端末装置(電子機器)は、表示画面内で互いに異なる位置に表示された複数のシンボル(基準ボタン)に対してユーザに押下操作させて補正情報を決定した後、表示画面の中央位置に今回の補正情報確認用のシンボル(確認ボタン)を表示させるとともに、シンボル(確認ボタン)に対するユーザの押下操作に基づく補正結果がシンボル(確認ボタン)を基準とする所定範囲内であるか否かを判断するように構成されている。これにより、上記特許文献1の表示端末装置では、シンボル(確認ボタン)に対する補正結果がシンボル(確認ボタン)を基準とする所定範囲内にない場合には不適切な補正情報であると判断することができるので、校正(キャリブレーション)を行う際にユーザが誤操作した場合に、不適切な補正情報が設定されてしまうのを抑制することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−116155号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の表示端末装置(電子機器)では、校正(キャリブレーション)を行う際にユーザが誤操作した場合に、不適切な補正情報が設定されてしまうのを抑制することが可能である一方、補正情報確認用のシンボル(確認ボタン)が常に表示画面の中央位置に表示されるので、表示画面内の位置によってずれ量にばらつきがある場合には、補正情報が不適切か否かを精度よく検出することができない。たとえば、表示画面の中央位置以外の位置で誤操作されてずれ量が大きくなっている一方、表示画面の中央位置ではずれ量が小さい場合に、ずれ量が小さい位置に表示されたシンボル(確認ボタン)に対する押下操作の補正結果がシンボル(確認ボタン)を基準とする所定範囲内になってしまい適切な補正情報であると誤って判断されてしまう場合がある。このため、上記特許文献1の表示端末装置(電子機器)では、校正(キャリブレーション)を行う際にユーザが誤操作した場合に、不適切な補正情報が設定されてしまうのを抑制することができない場合があるという問題点がある。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、校正(キャリブレーション)を行う際にユーザが誤操作した場合でも、不適切な補正情報が設定されてしまうのをより確実に抑制することが可能な電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0009】
この発明の一の局面による電子機器は、タッチパネル式の表示部と、表示部の表示画面に表示される複数の基準ボタンに対するユーザの押下位置に基づく第1位置特定情報と複数の基準ボタンの表示位置に基づく第2位置特定情報とに基づいて補正情報を決定して校正を行う制御部とを備え、制御部は、複数の基準ボタンのうち、第1位置特定情報と第2位置特定情報とのずれ量に基づいて決定される所定の基準ボタンの表示位置に対応する位置に今回の補正情報確認用の確認ボタンを表示させるように構成されている。
【0010】
この発明の一の局面による電子機器では、上記のように、複数の基準ボタンのうち、ユーザの押下位置に基づく第1位置特定情報と表示位置に基づく第2位置特定情報とのずれ量に基づいて決定される所定の基準ボタンの表示位置に対応する位置に今回の補正情報確認用の確認ボタンを表示させるように制御部を構成することによって、第1位置特定情報と第2位置特定情報とのずれ量に基づいて今回誤操作された可能性がより高い位置に確認ボタンを表示すれば、ユーザの誤操作に起因して補正量がより大きくなる位置に確認ボタンを表示することができる。これにより、ユーザの誤操作による影響が補正結果により顕著に反映される位置で補正情報の適否判断(妥当性判断)を行うことができるので、補正情報の適否判断を精度よく行うことができ、その結果、校正(キャリブレーション)を行う際にユーザが誤操作した場合でも、不適切な補正情報が設定されてしまうのをより確実に抑制することができる。
【0011】
上記一の局面による電子機器において、好ましくは、制御部は、複数の基準ボタンのうち、第1位置特定情報と第2位置特定情報とのずれ量について前回の校正時との差が相対的に大きい所定の基準ボタンの表示位置に対応する位置に今回の補正情報確認用の確認ボタンを表示させるように構成されている。このように構成すれば、今回誤操作された可能性がより高く前回と今回とでずれ量の差が相対的に大きくなった位置に確認ボタンが表示されるので、ユーザの押下位置に対する補正量がより大きくなる位置に確認ボタンを表示することができる。これにより、ユーザの誤操作による影響が補正結果により顕著に反映される位置で補正情報の適否判断(妥当性判断)を行うことができるので、補正情報の適否判断をより精度よく行うことができ、その結果、校正(キャリブレーション)を行う際にユーザが誤操作した場合でも、不適切な補正情報が設定されてしまうのをさらに確実に抑制することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、制御部は、複数の基準ボタンのうち、第1位置特定情報と第2位置特定情報とのずれ量について前回の校正時との差が最も大きい基準ボタンの表示位置に対応する位置に今回の補正情報確認用の確認ボタンを表示させるように構成されている。このように構成すれば、今回誤操作された可能性が最も高い位置に確認ボタンが表示されるので、確認ボタンによる補正情報の適否判断をより精度よく行うことができる。
【0013】
上記一の局面による電子機器において、好ましくは、制御部は、確認ボタンに対する第1位置特定情報の補正結果が確認ボタンの第2位置特定情報を基準とする所定範囲内にある場合には、今回の補正情報で校正するとともに、確認ボタンに対する第1位置特定情報の補正結果が第2位置特定情報を基準とする所定範囲内にない場合には、以前の補正情報に戻すように構成されている。このように構成すれば、確認ボタンに対する第1位置特定情報の補正結果が所定範囲内となり誤操作された可能性が低い場合には、今回の補正情報で校正することができるとともに、確認ボタンに対する第1位置特定情報の補正結果が所定範囲内になく誤操作により不適切な補正情報に決定された可能性が高い場合には、以前の補正情報に戻して不適切な補正情報が設定されてしまうのを有効に抑制することができる。
【0014】
この場合、好ましくは、制御部は、確認ボタンに対する第1位置特定情報の補正結果が所定範囲内にない場合には、確認ボタンにおける第1位置特定情報および第2位置特定情報と、複数の基準ボタンのうちの確認ボタンが表示された位置に対応する基準ボタン以外の基準ボタンにおける第1位置特定情報および第2位置特定情報とに基づいて補正情報を決定し直すように構成されている。このように構成すれば、確認ボタンに対する第1位置特定情報の補正結果が所定範囲内になく誤操作により不適切な補正情報に決定された可能性が高い場合には、確認ボタンと、確認ボタンが表示された位置に対応する基準ボタン以外の基準ボタンとにおける既取得の第1位置特定情報および第2位置特定情報を用いて新たに補正情報が決定し直されるので、複数の基準ボタンに対して再度押下操作をやり直すことなく、容易に補正情報を決定し直すことができる。
【0015】
上記補正情報を決定し直す構成において、好ましくは、制御部は、確認ボタンに対する第1位置特定情報の補正結果が所定範囲内にない場合で、かつ、確認ボタンに対するユーザの押下操作回数が所定回数以下の場合には、確認ボタンにおける第1位置特定情報および第2位置特定情報と、複数の基準ボタンのうちの確認ボタンが表示された位置に対応する基準ボタン以外の基準ボタンにおける第1位置特定情報および第2位置特定情報とに基づいて補正情報を決定し直すとともに、複数の基準ボタンおよび確認ボタンのうち、第1位置特定情報と第2位置特定情報とのずれ量について前回の校正時との差が相対的に大きい基準ボタンまたは確認ボタンの表示位置に対応する位置に確認ボタンを再度表示させるように構成されている。このように構成すれば、確認ボタンに対する第1位置特定情報の補正結果が所定範囲内になく誤操作により不適切な補正情報に決定された可能性が高い場合で、かつ、確認ボタンに対する押下操作回数が少ない場合には、複数の基準ボタンに対して再度押下操作をやり直すことなく、容易に補正情報を決定し直すことができるとともに、再度表示させる確認ボタンも誤操作された可能性がより高い位置に表示されるので、決定し直された補正情報の適否判断もさらに精度よく行うことができる。
【0016】
上記確認ボタンを再度表示させる構成において、好ましくは、制御部は、確認ボタンに対するユーザの押下操作回数が所定回数を超えた場合には、以前の補正情報に戻すように構成されている。このように構成すれば、確認ボタンに対する第1位置特定情報の補正結果が所定範囲内となるまで際限なく繰り返し確認ボタンを表示し続ける場合と異なり、校正(キャリブレーション)を行う際のユーザの操作負担が過度に大きくなるのを抑制することができる。
【0017】
上記一の局面による電子機器において、好ましくは、制御部は、確認ボタンに対するユーザの押下操作が所定時間行われない場合には、以前の補正情報に戻すように構成されている。このように構成すれば、不適切な補正情報に決定されてしまい確認ボタンを適切に押下することができなくなった場合(デッドロック状態になった場合)でも、押下操作が所定時間行われない場合には以前の補正情報に戻してデッドロック状態を解消することができる。
【0018】
上記一の局面による電子機器において、好ましくは、制御部は、確認ボタンに対する第1位置特定情報の補正結果が確認ボタンの第2位置特定情報を基準とする所定範囲内にない場合には、表示部にエラーメッセージを表示させるとともに以前の補正情報に戻すように構成されている。このように構成すれば、確認ボタンに対する第1位置特定情報の補正結果が所定範囲内になく誤操作された可能性が高い場合に、エラーメッセージにより誤操作の可能性が高いことを容易にユーザに認識させることができるとともに、以前の補正情報に戻して不適切な補正情報が設定されてしまうのを有効に抑制することができる。
【0019】
上記以前の補正情報に戻す構成において、好ましくは、制御部は、以前の補正情報に戻す場合には、前回の補正情報に戻すように構成されている。このように構成すれば、以前の補正情報に戻す場合に直近の補正情報に戻されるので、より現状に近い状態に対する補正情報に戻すことができる。
【0020】
上記一の局面による電子機器において、好ましくは、第1位置特定情報および第2位置特定情報は、それぞれ、ユーザの押下位置に基づく物理座標および表示位置に基づく論理座標である。このように構成すれば、物理座標と論理座標とを用いて各ボタンにおけるずれ量を容易に算出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの全体構成を示したブロック図である。
【図2】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの設定メニュー画面を示した図である。
【図3】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの本体設定画面を示した図である。
【図4】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの校正処理を示したフローチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態によるデジタルフォトフレームの校正処理を示したフローチャートである。
【図6】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの調整画面において左上に基準ボタンを表示した状態を示した図である。
【図7】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの物理座標の算出手順について説明するための図である。
【図8】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの調整画面において右上に基準ボタンを表示した状態を示した図である。
【図9】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの調整画面において右下に基準ボタンを表示した状態を示した図である。
【図10】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの調整画面において左下に基準ボタンを表示した状態を示した図である。
【図11】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの調整画面において中央に基準ボタンを表示した状態を示した図である。
【図12】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの確認ボタンの表示位置の算出手順について説明するための図である。
【図13】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの調整画面において右下に確認ボタンを表示した状態を示した図である。
【図14】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの確認ボタンの押下判定について説明するための図である。
【図15】本発明の第1および第2実施形態によるデジタルフォトフレームの調整画面において左下に確認ボタンを表示した状態を示した図である。
【図16】本発明の第2実施形態によるデジタルフォトフレームの校正処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
(第1実施形態)
図1および図2を参照して、本発明の第1実施形態によるデジタルフォトフレーム100の構成について説明する。なお、デジタルフォトフレーム100は、本発明の「電子機器」の一例である。
【0024】
第1実施形態によるデジタルフォトフレーム100は、図1に示すように、タッチパネル式の表示部1と、スピーカ2と、フラッシュROM(FLASH ROM)3と、RAM4と、通信インターフェース5と、メディアカードインターフェース6と、制御部(CPU)7とを備えている。デジタルフォトフレーム100は、フラッシュROM3に記憶されたデジタル画像や通信インターフェース5およびメディアカードインターフェース6を介して取得されるデジタル画像を表示部1に表示可能に構成されている。
【0025】
表示部1は、図2に示すように、矩形形状の液晶ディスプレイからなり、押下(タッチ)された位置に応じた電圧から位置検出を行う抵抗膜方式のタッチパネル機能を有している。また、表示部1には、各種機能の設定画面が表示されるように構成されている。
【0026】
フラッシュROM3は、書き換え可能な不揮発性メモリである。また、フラッシュROM3は、後述するように、タッチパネルの位置検出の校正(キャリブレーション)を行う際に取得される情報を記憶するように構成されている。また、フラッシュROM3には、表示部1に表示させるデジタル画像を保存可能である。RAM4は、揮発性メモリであり、制御部7の作業領域として利用される。通信インターフェース5は、有線および無線の両方の通信が可能に構成されている。デジタルフォトフレーム100は、通信インターフェース5を介してネットワークに接続可能である。
【0027】
メディアカードインターフェース6は、SDメモリカード(Secure Digital Memory Card)(登録商標)、xDピクチャカード(登録商標)、CFカード(Compact Flash Card)(登録商標)などの各種メディアカードに対応可能に構成されている。
【0028】
制御部7は、CPUからなり、図示しないコンピュータプログラムを実行することによりデジタルフォトフレーム100全体の動作を制御するように構成されている。また、制御部7は、ユーザによる操作に基づいて、タッチパネルの位置検出の校正(キャリブレーション)処理を実行するように構成されている。また、制御部7は、校正(キャリブレーション)処理により得られた補正データ(算出式)に基づいて位置検出を行うように構成されている。また、制御部7は、表示部1の表示画面に対するユーザの押下位置に基づく物理座標と、表示画面に表示される画像の表示位置に基づく論理座標とに基づいて補正データを決定するように構成されている。なお、物理座標は、本発明の「第1位置特定情報」の一例であり、論理座標は、本発明の「第2位置特定情報」の一例である。また、補正データは、本発明の「補正情報」の一例である。また、物理座標および論理座標に基づいて補正データを決定する手順については後述する。
【0029】
次に、図1および図3〜図15を参照して、第1実施形態によるデジタルフォトフレーム100の制御部7により実行される校正(キャリブレーション)処理について説明する。
【0030】
ユーザにより図1に示す設定メニュー画面において本体設定ボタン101が選択された後、図3に示す本体設定画面においてタッチパネル調整ボタン102が選択されることによって、制御部7により図4および図5に示す校正(キャリブレーション)処理が開始される。校正(キャリブレーション)処理が開始されると、制御部7は、ステップS1において、図6に示すように、表示画面の左上の基準位置に基準ボタン103aを表示させる制御を行う。この際、制御部7は、表示画面の左上に表示した基準ボタン103aを押下することをユーザに促す表示を行う。そして、制御部7は、ステップS2において、ユーザによる押下操作があったか否かを判断し、ユーザにより表示部1が押下されるまでこの判断を繰り返す。
【0031】
ユーザにより押下されると、制御部7は、ステップS3において、ユーザにより押下された位置に基づく物理座標を取得する。具体的には、制御部7は、表示部1から得られるユーザの押下位置に応じた電圧に基づいて、以下に示す式(1)により物理座標を取得する。また、実際には、ユーザの押下位置に応じた電圧とそれに対応する物理座標との関係は複雑な関係式(高次式)により表されるが、ここでの説明では、簡易的に、ユーザの押下位置に応じた電圧とそれに対応する物理座標との関係が線形であると仮定して説明する。
【0032】
【数1】
なお、上記式(1)において、(XP、YP)は、物理座標、(VX、VY)は、表示部1から得られる電圧、(VXmin、VYmin)は、最小の論理座標の位置における電圧、(Xres、Yres)は、表示部1の解像度(分解能)、(VXmax、VYmax)は、最大の論理座標の位置における電圧をそれぞれ表す。
【0033】
次に、具体的な計算例を挙げて説明する。たとえば、図7に示すように、表示部1の解像度が800×480(dot)であり、最小の論理座標となる表示画面の左上隅における電圧が(0(V)、0(V))、最大の論理座標となる表示画面の右下隅における電圧が(5(V)、5(V))であると仮定する。この場合に、ユーザの押下操作により表示部1から得られた電圧(VX、VY)が(0.48(V)、0.41(V))であったとすると、制御部7により、以下の式(2)のように物理座標(XP、YP)が算出される。
【0034】
【数2】
【0035】
次に、制御部7は、ステップS4において、図8に示すように、表示画面の右上の基準位置に基準ボタン103bを表示させるとともに、ステップS5において、ユーザによる押下操作があったか否かを判断し、ユーザにより表示部1が押下されるまでこの判断を繰り返す。ユーザにより押下されると、制御部7は、ステップS6において、上記左上の基準ボタン103aの場合と同様に、右上の基準ボタン103bに対するユーザの押下位置に基づく物理座標を取得する。
【0036】
その後、制御部7は、上記同様に、ステップS7〜S15において、図9に示す右下の基準ボタン103c、図10に示す左下の基準ボタン103dおよび図11に示す中央の基準ボタン103eのそれぞれに対応する物理座標を順次取得する。
【0037】
そして、制御部7は、ステップS16において、各基準ボタンに対する論理座標と物理座標とに基づいて補正データ(算出式)を決定して仮反映する。具体的には、制御部7は、5つの基準ボタン103a〜103eのそれぞれにおける論理座標および物理座標に基づいて補正後の座標を取得するための補正データ(算出式)を決定する。以下の式(3)に補正データ(算出式)の一例を示す。なお、基準ボタン103a〜103eの表示位置に基づく論理座標は、予めフラッシュROM3に記憶されている。
【0038】
【数3】
なお、上記式(3)において、(X、Y)は、補正後の座標、(VX、VY)は、表示部1から得られる電圧をそれぞれ表す。また、aおよびbは、5つの基準ボタン103a〜103eに対する押下操作結果に基づいて以下の式(4)により算出される。
【0039】
【数4】
なお、上記式(4)において、nは、基準ボタンの個数、xkは、k個目の基準ボタンの論理座標、ykは、k個目の基準ボタンに対する検出電圧に基づく物理座標をそれぞれ表す。
【0040】
次に、制御部7は、ステップS17において、各基準ボタンに対する論理座標と物理座標とのずれ量を以下の式(5)により算出するとともに、そのずれ量について前回の校正時と今回との差を以下の式(6)により算出する。
【0041】
【数5】
なお、上記式(5)において、(Xn、Yn)は、ずれ量、(XP、YP)は、物理座標、(XL、YL)は、論理座標をそれぞれ表す。
【0042】
【数6】
なお、上記式(6)において、(X1、Y1)は、前回の校正時のずれ量、(X2、Y2)は、今回の校正時のずれ量をそれぞれ表す。
【0043】
たとえば、左上の基準ボタン103aの表示位置に基づく論理座標(XL、YL)が(73、42)である場合には、ステップS3において上記式(2)により算出された物理座標(XP、YP)が(77、39)であったので、今回の校正時における左上の基準ボタン103aに対するずれ量(Xn、Yn)は(4、−3)となる。このようにして、制御部7は、図12に示すように、各基準ボタンに対する今回の校正時のずれ量(X2、Y2)および前回の校正時のずれ量(X1、Y1)を算出する。なお、前回の校正時における各基準ボタンに対する物理座標は、前回の校正時にフラッシュROM3に記憶されている。そして、上記式(6)により算出される各基準ボタンに対する前回と今回とのずれ量の差は図12に示すとおりである。
【0044】
次に、ステップS18において、制御部7は、ずれ量に基づいて決定される所定の基準ボタンの表示位置に今回の補正データ確認用の確認ボタン104(図13参照)を表示する制御を行う。具体的には、制御部7は、前回と今回とのずれ量の差が最も大きくなる基準ボタンの表示位置に今回の補正データ確認用の確認ボタン104を表示する制御を行う。図12の例では、右下の基準ボタン103cにおける差が最も大きいので、制御部7は、図13に示すように、右下の基準ボタン103cの表示位置と同じ位置に確認ボタン104を表示する。
【0045】
そして、制御部7は、図5に示すステップS19において、タイマーを開始し、ステップS20において、ユーザによる押下操作があったか否かを判断する。制御部7は、ステップS20およびS21において、タイムアウト時間(たとえば、10秒)が経過するまでこの判断を繰り返し、タイムアウト時間が経過した場合には、ステップS22において、確認ボタン104が押下されなかったことを示すエラーメッセージを表示部1に表示する。そして、ステップS23において、制御部7は、上記ステップS16において仮反映した補正データを前回の校正時に決定された補正データに戻して設定する。そして、今後、次の校正処理が行われるまで、制御部7は、前回の校正時に決定された補正データを用いて位置検出を行う。
【0046】
一方、ユーザによる押下操作があった場合には、制御部7は、ステップS24においてタイマーを終了し、ステップS25において確認ボタン104が適切に押下されたか否かを判断する。具体的には、まず、制御部7は、以下の式(3)に示す補正データより、ユーザの押下位置に基づいて算出される物理座標の補正結果(補正後の座標)を算出する。そして、制御部7は、図14に示すように、以下の式(7)により、補正後の座標が確認ボタン104の表示位置を中心とする所定範囲内にあるか否かを判断し、所定範囲内にある場合には、確認ボタン104が適切に押下されたと判断する。
【0047】
【数7】
なお、上記式(7)において、(X、Y)は、補正後の座標、(Xs、Ys)は、所定範囲内の左上隅の座標(最小の座標)、(Xe、Ye)は、所定範囲内の右下隅の座標(最大の座標)をそれぞれ表す。
【0048】
確認ボタン104が適切に押下された場合には、今回決定した補正データが妥当であると判断して、制御部7は、ステップS26において、今回取得した物理座標と決定した補正データをフラッシュROM3に保存して設定する。そして、今後、次の校正処理が行われるまで、制御部7は、今回の補正データを用いて位置検出を行う。
【0049】
また、確認ボタン104が適切に押下されない場合は、制御部7は、ステップS27において、押下操作を繰り返した回数が所定のリトライ回数(たとえば、5回)を超えたか否かを判断し、超えた場合には、ステップS22に移行してエラーメッセージを表示する。所定のリトライ回数以下の場合には、制御部7は、ステップS28において、リトライ回数をインクリメントする。そして、制御部7は、ステップS29において、確認ボタン104に対するユーザの押下位置に基づく物理座標を取得して、図4のステップS16に移行する。
【0050】
この場合、制御部7は、ステップS16において、確認ボタン104における論理座標および物理座標と、確認ボタン104が表示された右下の基準ボタン103c以外の4つの基準ボタンにおける論理座標および物理座標とに基づいて補正データを決定して仮反映する。すなわち、確認ボタン104に対する押下操作から得られる情報を、確認ボタン104の表示位置に対応する基準ボタンに代えて用いる。換言すれば、確認ボタン104がその位置における基準ボタンとして用いられる。なお、この際用いる上記4つの基準ボタンにおける物理座標は、ステップS1〜S15において既に取得されたものである。ステップS17の処理は上記と同様に実行され、ステップS18において、制御部7は、4つの基準ボタンおよび確認ボタンの5つのボタンのうち、前回と今回との差が最も大きい基準ボタンまたは確認ボタンの表示位置に再度確認ボタン104を表示する。この際、ステップS17の計算結果によっては、ステップS18において、図15に示すように、確認ボタン104の表示位置が前回の表示位置(図13参照)とは異なる場合もあり得る。
【0051】
第1実施形態では、上記のように、5つの基準ボタン103a〜103eのうち、ユーザの押下位置に基づく物理座標と表示位置に基づく論理座標とのずれ量に基づいて決定される所定の基準ボタンの表示位置に今回の補正情報確認用の確認ボタン104を表示させるように制御部7を構成することによって、物理座標と論理座標とのずれ量に基づいて今回誤操作された可能性が高い位置に確認ボタン104を表示することができるので、ユーザの誤操作に起因して補正量がより大きくなる位置に確認ボタン104を表示することができる。これにより、ユーザの誤操作による影響が補正結果により顕著に反映される位置で補正データの適否判断(妥当性判断)を行うことができるので、補正データの適否判断を精度よく行うことができ、その結果、校正(キャリブレーション)を行う際にユーザが誤操作した場合でも、不適切な補正データが設定されてしまうのをより確実に抑制することができる。
【0052】
また、第1実施形態では、上記のように、5つの基準ボタン103a〜103eのうち、ユーザの押下位置に基づく物理座標と表示位置に基づく論理座標とのずれ量について前回の校正時との差が最も大きい基準ボタンの表示位置に今回の補正情報確認用の確認ボタン104を表示させるように制御部7を構成することによって、今回誤操作された可能性が最も高く前回と今回とでずれ量の差が最も大きくなった位置に確認ボタン104が表示されるので、ユーザの押下位置に対する補正量がより大きくなる位置に確認ボタン104を表示することができる。これにより、ユーザの誤操作による影響が補正結果により顕著に反映される位置で補正データの適否判断(妥当性判断)を行うことができるので、補正データの適否判断を精度よく行うことができ、その結果、校正(キャリブレーション)を行う際にユーザが誤操作した場合でも、不適切な補正データが設定されてしまうのをより確実に抑制することができる。
【0053】
また、第1実施形態では、上記のように、確認ボタン104に対する物理座標の補正結果(補正後の座標)が確認ボタン104の論理座標を基準とする所定範囲内にある場合には、今回の補正データで校正するとともに、確認ボタン104に対する物理座標の補正結果が所定範囲内にない場合には、前回の補正データに戻すように制御部7を構成する。これにより、確認ボタン104に対する物理座標の補正結果が所定範囲内となり誤操作された可能性が低い場合には、今回の補正データで校正することができるとともに、確認ボタン104に対する物理座標の補正結果が所定範囲内になく誤操作により不適切な補正データに決定された可能性が高い場合には、前回の補正データに戻して不適切な補正データが設定されてしまうのを有効に抑制することができる。
【0054】
また、第1実施形態では、上記のように、確認ボタン104に対する物理座標の補正結果が所定範囲内にない場合には、確認ボタン104における物理座標および論理座標と、5つの基準ボタン103a〜103eのうちの確認ボタン104が表示された位置に対応する基準ボタン以外の基準ボタンにおける物理座標および論理座標とに基づいて補正データを決定し直すように制御部7を構成する。これにより、確認ボタン104に対する物理座標の補正結果が所定範囲内になく誤操作により不適切な補正データに決定された可能性が高い場合には、確認ボタン104と、確認ボタン104が表示された位置に対応する基準ボタン以外の基準ボタンとにおける既取得の物理座標および論理座標を用いて新たに補正データが決定し直されるので、5つの基準ボタン103a〜103eに対して再度押下操作をやり直すことなく、容易に補正データを決定し直すことができる。
【0055】
また、第1実施形態では、上記のように、確認ボタン104に対する物理座標の補正結果が所定範囲内にない場合で、かつ、確認ボタン104に対するユーザの押下操作回数が所定回数(たとえば、5回)以下の場合には、確認ボタン104における物理座標および論理座標と、5つの基準ボタン103a〜103eのうちの確認ボタン104が表示された位置に対応する基準ボタン以外の基準ボタンにおける物理座標および論理座標とに基づいて補正データを決定し直すとともに、5つの基準ボタン103a〜103eおよび確認ボタン104のうち、物理座標と論理座標とのずれ量について前回の校正時との差が最も大きい基準ボタンまたは確認ボタン104の表示位置に確認ボタン104を再度表示させるように制御部7を構成する。これにより、確認ボタン104に対する物理座標の補正結果が所定範囲内になく誤操作により不適切な補正データに決定された可能性が高い場合で、かつ、確認ボタン104に対する押下操作回数が少ない場合には、5つの基準ボタン103a〜103eに対して再度押下操作をやり直すことなく、容易に補正データを決定し直すことができるとともに、再度表示させる確認ボタン104も誤操作された可能性が最も高い位置に表示されるので、決定し直された補正データの適否判断もさらに精度よく行うことができる。
【0056】
また、第1実施形態では、上記のように、確認ボタン104に対するユーザの押下操作回数が所定回数を超えた場合には、前回の補正データに戻すように制御部7を構成する。これにより、確認ボタン104に対する物理座標の補正結果が所定範囲内となるまで際限なく繰り返し確認ボタン104を表示し続ける場合と異なり、校正(キャリブレーション)を行う際のユーザの操作負担が過度に大きくなるのを抑制することができる。
【0057】
また、第1実施形態では、上記のように、確認ボタン104に対するユーザの押下操作が所定時間(たとえば、10秒)行われない場合には、前回の補正データに戻すように制御部7を構成する。これにより、不適切な補正データに決定されてしまい確認ボタン104を適切に押下することができなくなった場合(デッドロック状態になった場合)でも、押下操作が所定時間行われない場合には前回の補正データに戻してデッドロック状態を解消することができる。
【0058】
また、第1実施形態では、上記のように、確認ボタン104に対する物理座標の補正結果が確認ボタン104の論理座標を基準とする所定範囲内にない場合には、表示部にエラーメッセージを表示させるとともに前回の補正データに戻すように制御部7を構成する。これにより、確認ボタン104に対する物理座標の補正結果が所定範囲内になく誤操作された可能性が高い場合に、エラーメッセージにより誤操作の可能性が高いことを容易にユーザに認識させることができるとともに、前回の補正データに戻して不適切な補正データが設定されてしまうのを有効に抑制することができる。
【0059】
(第2実施形態)
次に、図4および図16を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、校正(キャリブレーション)処理において、確認ボタン104の表示後にタイムアウト判定やリトライ回数判定を行わない構成について説明する。
【0060】
第2実施形態の校正(キャリブレーション)処理では、制御部7は、図4に示すステップS18の後、図16に示すステップS31において、ユーザによる押下操作があったか否かを判断し、押下操作が行われるまでこの判断を繰り返す。押下操作があると、ステップS32において、制御部7は、上記第1実施形態におけるステップS25と同様に、確認ボタン104が適切に押下されたか否かを判断し、適切に押下された場合には、ステップS33において、今回取得した物理座標と決定した補正データをフラッシュROM3に保存して設定する。
【0061】
一方、確認ボタン104が適切に押下されない場合は、制御部7は、ステップS34において、確認ボタン104が押下されなかったことを示すエラーメッセージを表示部1に表示する。そして、ステップS35において、制御部7は、上記ステップS16において仮反映した補正データを前回の校正時に決定された補正データに戻して設定する。
【0062】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0063】
また、第2実施形態では、リトライ回数判定が行われないので、確認ボタン104が適正に押下されない場合に、ユーザに繰り返しリトライさせる上記第1実施形態とは異なり、ユーザに負担が掛かるのを抑制することができる。
【0064】
なお、第2実施形態においても、上記第1実施形態の場合と同様に、5つの基準ボタン103a〜103eのうち、ユーザの押下位置に基づく物理座標と表示位置に基づく論理座標とのずれ量に基づいて決定される所定の基準ボタンの表示位置に今回の補正情報確認用の確認ボタン104を表示させるように制御部7を構成することによって、校正(キャリブレーション)を行う際にユーザが誤操作した場合でも、不適切な補正データが設定されてしまうのをより確実に抑制することができる。
【0065】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0066】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0067】
たとえば、上記第1および第2実施形態では、本発明の電子機器をデジタルフォトフレームに適用する例について説明したが、タッチパネル式の表示部を備えた電子機器であれば、本発明を、デジタルフォトフレーム以外の電子機器に適用してもよい。
【0068】
また、上記第1および第2実施形態では、本発明の表示部の一例として、抵抗膜方式のタッチパネル機能を有する表示部を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、超音波方式や静電容量方式、光学方式、電磁誘導方式など、抵抗膜方式以外の方式によるタッチパネル機能を有する表示部であってもよい。
【0069】
また、上記第1および第2実施形態では、5つの基準ボタンを用いて校正を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の基準ボタンであれば、5つ以外の個数の基準ボタンを用いて校正を行ってもよい。
【0070】
また、上記第1および第2実施形態では、5つの基準ボタンのうち、ずれ量について前回と今回との差が最も大きい基準ボタンの表示位置に確認ボタンを表示する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、5つの基準ボタンのうち、ずれ量について前回と今回との差が他のいずれかの基準ボタンよりも相対的に大きい基準ボタンの表示位置に確認ボタンを表示するようにしてもよい。
【0071】
また、上記第1および第2実施形態では、ずれ量について前回と今回との差が最も大きい基準ボタンの表示位置と同じ位置に確認ボタンを表示する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ずれ量について前回と今回との差が最も大きい基準ボタンの表示位置に対応する近傍の位置に確認ボタンを表示するようにしてもよい。
【0072】
また、上記第1および第2実施形態では、本発明の所定の基準ボタンの一例として、ずれ量について前回と今回との差が最も大きい基準ボタンを示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、所定の基準ボタンが、ずれ量についての前回と今回との差ではなく、今回のずれ量のみに基づいて決定される基準ボタンであってもよい。この場合、今回のずれ量が最も大きい基準ボタンに対応する位置に確認ボタンを表示させることが好ましい。
【0073】
また、上記第1および第2実施形態では、確認ボタンが適切に押下されない場合に、前回の補正データ(補正情報)に戻す例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、確認ボタンが適切に押下されない場合に、以前の補正情報に戻す構成であれば、初期(デフォルト)の補正情報など、前回以外の補正情報に戻す構成であってもよい。
【0074】
また、上記第1および第2実施形態では、本発明の第1位置特定情報および第2位置特定情報の一例として、それぞれ、物理座標および論理座標を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1位置特定情報および第2位置特定情報が、電圧値など座標以外の情報であってもよい。
【0075】
また、上記第1および第2実施形態において、調整画面に校正処理を強制的に終了させるためのキャンセルボタンを設けてもよい。この際、キャンセルボタンが押下されると、前回の補正データ(補正情報)に戻すように構成してもよい。これにより、ユーザの所望のタイミングで校正処理を終了させることができる。
【0076】
また、上記第1および第2実施形態において、ユーザの押下位置に応じた電圧とそれに対応する物理座標(第1位置特定情報)との関係が線形である例について説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ユーザの押下位置に応じた電圧とそれに対応する物理座標(第1位置特定情報)とが高次式により表される関係であってもよい。
【0077】
また、上記第1および第2実施形態では、説明の便宜上、本発明の制御部の処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 表示部
7 制御部
100 デジタルフォトフレーム(電子機器)
103a、103b、103c、103d、103e 基準ボタン
104 確認ボタン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネル式の表示部と、
前記表示部の表示画面に表示される複数の基準ボタンに対するユーザの押下位置に基づく第1位置特定情報と前記複数の基準ボタンの表示位置に基づく第2位置特定情報とに基づいて補正情報を決定して校正を行う制御部とを備え、
前記制御部は、前記複数の基準ボタンのうち、前記第1位置特定情報と前記第2位置特定情報とのずれ量に基づいて決定される所定の基準ボタンの表示位置に対応する位置に今回の補正情報確認用の確認ボタンを表示させるように構成されている、電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の基準ボタンのうち、前記第1位置特定情報と前記第2位置特定情報とのずれ量について前回の校正時との差が相対的に大きい前記所定の基準ボタンの表示位置に対応する位置に今回の補正情報確認用の確認ボタンを表示させるように構成されている、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の基準ボタンのうち、前記第1位置特定情報と前記第2位置特定情報とのずれ量について前回の校正時との差が最も大きい基準ボタンの表示位置に対応する位置に今回の補正情報確認用の前記確認ボタンを表示させるように構成されている、請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、前記確認ボタンに対する前記第1位置特定情報の補正結果が前記確認ボタンの前記第2位置特定情報を基準とする所定範囲内にある場合には、今回の補正情報で校正するとともに、前記確認ボタンに対する前記第1位置特定情報の補正結果が前記第2位置特定情報を基準とする前記所定範囲内にない場合には、以前の補正情報に戻すように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御部は、前記確認ボタンに対する前記第1位置特定情報の補正結果が前記所定範囲内にない場合には、前記確認ボタンにおける前記第1位置特定情報および前記第2位置特定情報と、前記複数の基準ボタンのうちの前記確認ボタンが表示された位置に対応する基準ボタン以外の基準ボタンにおける前記第1位置特定情報および前記第2位置特定情報とに基づいて補正情報を決定し直すように構成されている、請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記制御部は、前記確認ボタンに対する前記第1位置特定情報の補正結果が前記所定範囲内にない場合で、かつ、前記確認ボタンに対するユーザの押下操作回数が所定回数以下の場合には、前記確認ボタンにおける前記第1位置特定情報および前記第2位置特定情報と、前記複数の基準ボタンのうちの前記確認ボタンが表示された位置に対応する基準ボタン以外の基準ボタンにおける前記第1位置特定情報および前記第2位置特定情報とに基づいて補正情報を決定し直すとともに、前記複数の基準ボタンおよび前記確認ボタンのうち、前記第1位置特定情報と前記第2位置特定情報とのずれ量について前回の校正時との差が相対的に大きい基準ボタンまたは前記確認ボタンの表示位置に対応する位置に前記確認ボタンを再度表示させるように構成されている、請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記制御部は、前記確認ボタンに対するユーザの押下操作回数が前記所定回数を超えた場合には、以前の補正情報に戻すように構成されている、請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記制御部は、前記確認ボタンに対するユーザの押下操作が所定時間行われない場合には、以前の補正情報に戻すように構成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記制御部は、前記確認ボタンに対する前記第1位置特定情報の補正結果が前記確認ボタンの前記第2位置特定情報を基準とする所定範囲内にない場合には、前記表示部にエラーメッセージを表示させるとともに以前の補正情報に戻すように構成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記制御部は、以前の補正情報に戻す場合には、前回の補正情報に戻すように構成されている、請求項4〜9のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項11】
前記第1位置特定情報および前記第2位置特定情報は、それぞれ、ユーザの押下位置に基づく物理座標および前記表示位置に基づく論理座標である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項1】
タッチパネル式の表示部と、
前記表示部の表示画面に表示される複数の基準ボタンに対するユーザの押下位置に基づく第1位置特定情報と前記複数の基準ボタンの表示位置に基づく第2位置特定情報とに基づいて補正情報を決定して校正を行う制御部とを備え、
前記制御部は、前記複数の基準ボタンのうち、前記第1位置特定情報と前記第2位置特定情報とのずれ量に基づいて決定される所定の基準ボタンの表示位置に対応する位置に今回の補正情報確認用の確認ボタンを表示させるように構成されている、電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記複数の基準ボタンのうち、前記第1位置特定情報と前記第2位置特定情報とのずれ量について前回の校正時との差が相対的に大きい前記所定の基準ボタンの表示位置に対応する位置に今回の補正情報確認用の確認ボタンを表示させるように構成されている、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の基準ボタンのうち、前記第1位置特定情報と前記第2位置特定情報とのずれ量について前回の校正時との差が最も大きい基準ボタンの表示位置に対応する位置に今回の補正情報確認用の前記確認ボタンを表示させるように構成されている、請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、前記確認ボタンに対する前記第1位置特定情報の補正結果が前記確認ボタンの前記第2位置特定情報を基準とする所定範囲内にある場合には、今回の補正情報で校正するとともに、前記確認ボタンに対する前記第1位置特定情報の補正結果が前記第2位置特定情報を基準とする前記所定範囲内にない場合には、以前の補正情報に戻すように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御部は、前記確認ボタンに対する前記第1位置特定情報の補正結果が前記所定範囲内にない場合には、前記確認ボタンにおける前記第1位置特定情報および前記第2位置特定情報と、前記複数の基準ボタンのうちの前記確認ボタンが表示された位置に対応する基準ボタン以外の基準ボタンにおける前記第1位置特定情報および前記第2位置特定情報とに基づいて補正情報を決定し直すように構成されている、請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記制御部は、前記確認ボタンに対する前記第1位置特定情報の補正結果が前記所定範囲内にない場合で、かつ、前記確認ボタンに対するユーザの押下操作回数が所定回数以下の場合には、前記確認ボタンにおける前記第1位置特定情報および前記第2位置特定情報と、前記複数の基準ボタンのうちの前記確認ボタンが表示された位置に対応する基準ボタン以外の基準ボタンにおける前記第1位置特定情報および前記第2位置特定情報とに基づいて補正情報を決定し直すとともに、前記複数の基準ボタンおよび前記確認ボタンのうち、前記第1位置特定情報と前記第2位置特定情報とのずれ量について前回の校正時との差が相対的に大きい基準ボタンまたは前記確認ボタンの表示位置に対応する位置に前記確認ボタンを再度表示させるように構成されている、請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記制御部は、前記確認ボタンに対するユーザの押下操作回数が前記所定回数を超えた場合には、以前の補正情報に戻すように構成されている、請求項6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記制御部は、前記確認ボタンに対するユーザの押下操作が所定時間行われない場合には、以前の補正情報に戻すように構成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記制御部は、前記確認ボタンに対する前記第1位置特定情報の補正結果が前記確認ボタンの前記第2位置特定情報を基準とする所定範囲内にない場合には、前記表示部にエラーメッセージを表示させるとともに以前の補正情報に戻すように構成されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記制御部は、以前の補正情報に戻す場合には、前回の補正情報に戻すように構成されている、請求項4〜9のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項11】
前記第1位置特定情報および前記第2位置特定情報は、それぞれ、ユーザの押下位置に基づく物理座標および前記表示位置に基づく論理座標である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−77071(P2013−77071A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215394(P2011−215394)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】
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