説明

電子機器

【課題】着脱可能な多極コネクタを有するケーブルで外部機器と接続可能な電子機器において、コネクタの接触信頼性を確保しつつ、LVDS伝送路の端子数を低減すること。
【解決手段】電子機器本体は円形断面形状のジャックを備え、プラグを有するケーブルを用いて外部電子機器との間で差動信号方式の伝送を行う。プラグは、2本の信号電線およびその外被シールドを有する2芯シールド線を用いて結線される伝送信号端子群125−128を有し、2芯シールド線はLVDS伝送信号線2本とその外被シールドを1組として伝送信号端子に接続される。また、ジャックとプラグとの接続状態を検出するための複数の接続検出用端子121−124は、端子配列にて外周寄りの位置で2つの端子間の直線距離の和が最大となる箇所に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は着脱可能な多極コネクタを有するケーブルで外部機器と接続可能な電子機器において、コネクタの接触信頼性を確保し、伝送路の接続極数を低減する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の着脱可能な多極コネクタの接続信号とその端子配置については、特許文献1にてマルチプラグおよびマルチジャックが開示されている。一端側の各プラグと対応する各信号を取り扱う複数の端子が2列に配置されており、音声信号を扱う端子群と、輝度信号及び搬送色信号を取り扱う端子群とが2列の配置の両端にそれぞれ設定されている。特許文献2には、薄型で省スペース化に対応し、信号間のクロストークが十分小さいマルチケーブルおよびマルチジャックが開示されている。複数の端子が一列に配置されたプラグにおいて、その両端には音声信号を取り扱う端子群と、映像信号を取り扱う端子群が配置されている。
また、2本の配線を利用して極性の異なる電気信号を差動伝送する方式に、小振幅差動信号方式(Low-Voltage Differential Signaling、以下、LVDSという。)が知られている。LVDSでは電気信号の差分をデータとするため、シングル・エンド伝送に比べると外部からの雑音に強いという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−077580号公報
【特許文献2】特開2006−269383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1および2には、断面形状が円形をした多極コネクタへの適用については配慮されていない。円形断面形状のコネクタを使用する場合、コネクタ部同士の接触を確実な状態にしないと、コネクタ部の嵌合時の傾きによっては、端子の接触不良が生じるおそれがある。また複数本のケーブルを用いたLVDS伝送路への適用において端子の極数不足を回避する必要がある。
そこで、本発明は、着脱可能な多極コネクタを有するケーブルで外部機器と接続可能な電子機器において、コネクタの接触信頼性を確保しつつ、LVDS伝送路の端子数を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明は、円形断面形状のコネクタ部を備え、該コネクタ部に接続されるコネクタ部を有するケーブルを用いて外部電子機器との間で差動信号方式の伝送を行う電子機器であって、前記電子機器のコネクタ部は、2本の信号電線およびその外被シールドを有する2芯シールド線を用いて結線される前記ケーブルのコネクタ部に設けられた複数の伝送信号端子にそれぞれ対応する複数の伝送信号端子と、前記ケーブルのコネクタ部と前記電子機器のコネクタ部との接続状態を検出する複数の接続検出用端子を備えており、前記複数の接続検出用端子は、端子配列にて外周寄りの位置で2つの端子間の直線距離の和が最大となる箇所に配置された構成を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、電子機器のコネクタ部とケーブルのコネクタ部との接触信頼性を確保しつつ、伝送路の端子数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図2ないし4と併せて本発明の実施形態を説明するために、電子機器の外観例を示す斜視図(A)、およびジャックとプラグを示す斜視図(B)である。
【図2】コネクタピンの配置例を説明する図である。
【図3】通信処理例を説明するフローチャートである。
【図4】LVDS結線用の2芯シールド線を部分的に切除して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に本発明の実施形態について図1ないし4を用いて説明する。以下に例示する電子機器はコネクタ部を有するケーブルを用いて外部電子機器との間で差動信号方式の伝送を行う。
図1(A)は本実施形態に係る接続構成として、コネクタ付きケーブルを用いて電子機器本体と外部電子機器と繋いだ例を示す斜視図である。本実施形態の電子機器には撮像装置を例示するが、本発明は任意の電子機器同士の接続形態に適用可能である。
電子機器本体101は不図示の撮像素子、映像信号処理部、記録部、表示部、バッテリ等を備える。レンズユニット102は、被写体からの光を撮像素子に結像するために電子機器本体101に装着される。またハンドルユニット103は、ユーザが電子機器本体101の持ち運びに使用し、外部電子機器104を装着可能である。外部電子機器104には、例えば表示装置が使用され、電子機器本体101から送られてくる映像信号に従って画像や各種の設定情報を表示する。
電気信号接続ケーブル105は外部電子機器104と電子機器本体101を電気的に接続し、ケーブルプラグ106によって電子機器本体101に対し着脱可能に接続される。
【0009】
図1(B)は、電子機器本体101と外部電子機器104の間で電気的接続を行うコネクタ部の詳細図である。本実施形態では、電気信号接続ケーブル105側をプラグとし、電子機器本体101側をジャックとした例を示す。
ジャック111は、電子機器本体101に設けられた円形断面形状の接続用部材であり、電気信号接続ケーブル105の一端に設けたケーブルプラグ106と接続される。ジャック111内の接点端子挿入口112は、その内部に不図示の接点端子を必要なピン数分備えている。
ケーブルプラグ106の内部には複数のプラグ接点端子ピン113が配置されており、円形断面形状のコネクタ部にて、その外周面には回転方向の位置決めリブ114が複数形成されている。ケーブルプラグ106に対応して、ジャック111には嵌合用に設けられた凹部(不図示)が形成されている。複数の凹部に位置決めリブ114がそれぞれ挿入されることで、回転方向の位置決めが行われて、対応するピン同士が導通する。
【0010】
図2はコネクタピンの配置を例示した説明図である。
端子121、122、123、124は接続検出用端子であり、端子配列にて外周寄りに位置する。図2にて円形枠内に付した数字は端子番号を示しており、図2の上方から下方へと下がるに従って数値が増加し、左方から右方へ向けて数値が増加するものとする。具体的には、本実施形態の4つの端子121−124には、端子番号2、5、16、19がそれぞれ付与されている。端子121と端子122との距離、端子122と端子124との距離、端子124と端子123との距離、端子123と端子121との距離が、直線距離の和で最大の配置となっている。あるいは、3箇所に接続検出用端子を設ける実施形態の場合、任意の2つの端子の間でそれぞれの直線距離の和が最大になる配置とする。例えば、端子123、端子124と、端子群125のうちの1つ(端子番号1)の端子を接続検出用端子に用いるとする。この場合、端子123と端子124との距離、端子124と端子番号1の端子との距離、端子番号1の端子と端子123との距離が、直線距離の和において最大となる。
この様に、それぞれの端子間の距離の和を最大にする理由は、外周縁寄りに配置した複数の接続検出用端子によってコネクタ部の接続時の傾き状態を判別し易くするためである。複数の接続検出用端子の接触状態を判別することで、その他の信号端子の接触における確実性を高めことができる。
外部電子機器104内にはROM(読み出し専用メモリ)などの記憶手段が設けられており、接続検出用端子121−124を通して、電子機器本体101内の制御部は所定の接続確認用のデータをROMから読み込み、コネクタの接続状態を判断する。CPU(中央演算処理装置)などを用いた制御部は、取得したデータの正誤を判定する。読み込んだデータに誤りがなく、接続検出用端子同士の接続が正しく行われていると判断した場合、制御部は他の信号端子を介した通信処理の開始を不図示の通信部に指示し、外部電子機器104の制御を行う。
【0011】
図3は電子機器本体101と外部電子機器104の接続確認および起動に関するフローチャートである。
S101でユーザが電源スイッチを操作して電子機器本体101の電源をON状態にすると、S102で電子機器本体101の制御部は複数の接続検出用端子121−124を通じて外部電子機器104のROMから所定のデータを読み込む。S103にて制御部は外部電子機器104のROMからデータを正しく読み込むことができたか否かを判断する。該データを正しく読み込めなかった場合、S102に戻る。また、該データが正しく読み込めたと判断された場合、S104に進んで電子機器本体101と外部電子機器104との間で通信が開始し、外部電子機器104の動作制御が行われる。
図2の端子番号1、3、4、7から9、12から14、17、18、20で示す各端子は、LVDS伝送信号端子を示す。本実施形態では3端子を1つの組としてLVDS伝送を行うため、3つの端子は近接した配置になっており、図示のように合計4ペアで構成されている。LVDS伝送信号端子群125は、端子番号1(D0_GND)、3(D0-)、4(D0+)を付した3端子からなり、LVDS伝送信号端子群126は端子番号7(D1-)、8(D1_GND)、9(D1+)を付した3端子からなる。またLVDS伝送信号端子群127は、端子番号12(D2-)、13(D2_GND)、14(D2+)を付した3端子からなる。LVDS伝送信号端子群128は端子番号17(D3-)、18(D3+)、20(D3_GND)を付した3端子からなる。ここで、Xを0から3の整数値をもつ変数とすると、“DX+”と“DX-”は芯線に対応し、“DX_GND”はシールドに対応する。LVDSのシステムは2本の伝送路で異なる電圧を送受信して比較する差動信号システムである。2本の伝送路である信号電線の等長性が重要であるため、伝送路を一対で構成し、またインピーダンスの制御及び安定化の為に電線外周のシールド処理も必要になる。
【0012】
図4は、LVDSでの結線に用いる2芯シールド電線の詳細を示す斜視図である。
外被絶縁体131で被覆された外被シールド132は、一対の絶縁体133a及び133bを外周から覆っている。絶縁体133a及び133bは、それぞれ内部導体134a及び134bを覆っている。2本の信号電線を構成する内部導体134a及び134bは、近接配置の前記3つの伝送信号端子のうちの2つにそれぞれ接続される。また外被シールド132はコネクタ部の端子に接続する際、シールド帯を捻って撚線状態で接続する場合と、単独電線をハンダ付け等で外被シールド132に接地して端子接続を行う場合があり、電線構成に応じて選択される。
LVDS伝送路に同軸線を使用する場合、信号線1本に対してその外周にシールド処理した電線(同軸線)を2本使用してLVDS通信を行う方法もある。この場合、信号線2本と各シールド接地端子として2端子分が余計に必要となり、必要な端子数が4となる。そこで、本実施形態では、図4に示す2芯シールド線を使用し、2本の信号線をまとめて外周にシールド処理を施して電線の等長性を保つことができる。さらには、2本の信号線のインピーダンス制御とその安定化を図ることができ、LVDS伝送路に必要な端子数が3となる。
尚、接続検出用端子以外の配置については、図2で説明したLVDS伝送信号端子の近接配置が保たれている限り、特に指定は無く、他の単独電線の配置との組み合わせは自由である。また、図2の例では端子数20のコネクタを使用しているが、LVDS伝送路の必要極数やデータ読み込みに用いる接触検出極数、その他の必要な通信極数によって端子数は変わる。本発明は、LVDS接続構成と端子接触検出の構成等についての条件および極数の如何に関わらず適用可能である。
【符号の説明】
【0013】
101 電子機器本体
105 電気信号接続ケーブル
106 ケーブルプラグ
111 ジャック
121,122,123,124 接続検出用端子
125,126,127,128 伝送信号端子群
132 外被シールド
134a,134b 内部導体(信号電線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形断面形状のコネクタ部を備え、該コネクタ部に接続されるコネクタ部を有するケーブルを用いて外部電子機器との間で差動信号方式の伝送を行う電子機器であって、
前記電子機器のコネクタ部は、
2本の信号電線およびその外被シールドを有する2芯シールド線を用いて結線される前記ケーブルのコネクタ部に設けられた複数の伝送信号端子にそれぞれ対応する複数の伝送信号端子と、
前記ケーブルのコネクタ部と前記電子機器のコネクタ部との接続状態を検出する複数の接続検出用端子を備えており、
前記複数の接続検出用端子は、端子配列にて外周寄りの位置で2つの端子間の直線距離の和が最大となる箇所に配置されたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記複数の接続検出用端子を介して前記外部電子機器から接続確認用のデータを取得し、該データの正誤を判定することにより前記ケーブルのコネクタ部と前記電子機器のコネクタ部との接続状態を判断する制御部を備えることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記2芯シールド線を接続するための3つの前記伝送信号端子を組として端子配列にて互いに近接した配置とし、
前記2本の信号電線を前記3つの伝送信号端子のうちの2つに接続するとともに、前記外被シールドを撚線状態で残り1つの前記伝送信号端子に接続するか、または単独電線を前記外被シールドに接地して残り1つの前記伝送信号端子に接続したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−97940(P2013−97940A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238194(P2011−238194)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】