説明

電子機器

【目的】 冷却を必要とするエレクトロニクスモジュールを複数個組み合わせて構成される電子機器において装置の小型化と共に自由曲面上への装置の配列を可能にし、かつエレクトロニクスモジュールの整備性の向上を図った電子機器を得る。
【構成】 自由曲面状の構造体の壁19に基板部5を曲面実装し個々のエレクトロニクスモジュール1に相対したヒートシンク2群とマニホールド3とゴム製のジョイント17からなる冷却系を曲面状に実装し、冷媒を供給回収するためのタンク14、ポンプ15、熱交換器等の冷媒循環系を構成する。基板部5上のコネクタ7にネジ穴を設けヒートシンク2とエレクトロニクスモジュール1をボルト18で共締めする。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
この考案は冷却を必要とするエレクトロニクスモジュールを自由曲面状の構造体の壁面に複数箇組み合わせて構成される電子機器において、特にエレクトロニクスモジュールの整備性の向上及び電子機器の軽量化に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図4は、従来の冷却を必要とするエレクトロニクスモジュールを複数個組み合わせて構成される電子機器の構成を示す図である。図5は、1ケのエレクトロニクスモジュールの固定方法を示す外観図である。図において、1は内部に電子回路を高密度に実装したエレクトロニクスモジュール、2は内部に冷媒が流れる流路を有しエレクトロニクスモジュール1に接触することにより冷却性能を発揮するヒートシンク、3は複数個のヒートシンク2に冷媒をそれぞれ分配供給しさらに集合させるための2ケのマニホールド、4は冷媒流路を確保したフレキシブルなチューブ、5は複数個のエレクトロニクスモジュール1と電気信号の授受を行うための基板部、6はエレクトロニクスモジュール1側のコネクタ、7は基板部5側のコネクタ、8はエレクトロニクスモジュール1群を支持するためのバックプレート、9はこのバックプレート8と基板部5間の固定のためのスペーサ部、10はエレクトロニクスモジュール1の固定のため片側をバックプレート8に固定し反対側に雄ネジを有するガイド棒、11はこのガイド棒10とエレクトロニクスモジュール1の位置決めのための穴を複数個有するフロントプレート、12はエレクトロニクスモジュール1をガイド棒10で固定するためのナット部、13はフロントプレート11をバックプレート8より支持するための筺体、14は冷媒用のタンク、15は冷媒循環用のポンプ、16はエレクトロニクスモジュール1の発熱により温められた冷媒を冷却するための熱交換器である。
【0003】
従来の電気機器は上記のように構成され高密度化されたエレクトロニクスモジュール1内の電子回路の冷却のため、タンク14、ポンプ15、熱交換器16等で構成される冷媒循環系から送り出される冷媒が上記マニホールド3よりヒートシンク2に流れエレクトロニクスモジュール1を冷却する方式を取っている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
上記のようなエレクトロニクスモジュール1群の構成では、全体の構造体の中の限られたスペースの中で実装するにも関わらず、バックプレート8、フロントプレート11、筺体13等の構造要素が全体の構造体以外に重複して含まれている上に、無駄なスペースが存在することにより電子機器の軽量化やエレクトロニクスモジュール1の整備性を損なうという問題点があった。
【0005】
この考案はかかる課題を解決するためになされたもので、電子機器の全体構成を見直し自由曲面を有する全体の構造体の中にコンパクトにエレクトロニクスモジュール1群を実装し電子機器の軽量化とエレクトロニクスモジュール1の整備性の向上を図ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この考案に係わる電子機器は、電気的な誘電性を有する複合材料製の自由曲面状の構造体壁面に基板部を曲面実装し、小型化された直方体状のエレクトロニクスモジュールに穴を設け、個々のエレクトロニクスモジュールに直方体状のヒートシンクを相対させ、直列状のヒートシンク群列に直交して各ヒートシンク群列に並列に冷媒を分配し、集合するマニホールドを構成し、各ヒートシンク間及びヒートシンク列とマニホールド間にゴム製で外部にリング状の突起を有する円筒系のジョイントを備え、基板部上のコネクタにネジ穴を設けたものである。
【0007】
【作用】
この考案においては、基板部を曲面実装し、エレクトロニクスモジュールを所定寸法に小型化し、個々のエレクトロニクスモジュールに相対して入口出口にジョイントを有するヒートシンク群とマニホールドからなる冷却系と組み合わせることによりエレクトロニクスモジュール群の中に特別な構造要素となるものを排除したため電子機器の小型軽量化を図ることができる。
【0008】
さらに、ヒートシンク間にゴム製のジョイントを設けその弾性を利用してヒートシンク群列の曲面実装を可能にすることができる。
【0009】
また、基板部上のコネクタにネジ穴を設けヒートシンクの平面部とエレクトロニクスモジュールをネジ結合で接触させエレクトロニクスモジュールの冷却を行うほかエレクトロニクスモジュールの固定も兼ねることにより整備性の向上を図ることができる。
【0010】
【実施例】
実施例1.
図1はこの考案の一実施例を示す電子機器の構成図、図2はこの考案の特徴をなすヒートシンク群の構成図、図3はエレクトロニクスモジュール回りの実装解体図である。1は電気信号の授受を行うコンタクトを有しこのコンタクトと同じ方向で所定位置に所定径の2ケの穴を備えた直方体状のエレクトロニクスモジュール、2はそれぞれのエレクトロニクスモジュール1に対し相対する平面を有し内部に冷媒流路を構成しこの出入口に円筒状で所定径の穴を具備した直法体状のヒートシンク、3はこのヒートシンク2を直列状に複数列配列しこの各列群と相対する位置に円筒状で所定径の穴を有し、かつ各ヒートシンク2の列群に並列に冷媒を供給、分配する冷媒流路を具備した2本のマニホールド、5はエレクトロニクスモジュール1と電気信号の授受を行うための自由曲面状の基板部、7は基板部5上に組み込まれエレクトロニクスモジュール1のコンタクトと勘合しエレクトロニクスモジュール1の穴と相対する位置に所定のネジ穴を有するコネクタ、14〜16は従来装置と同じものであり、17は各ヒートシンク2間及びヒートシンク2とマニホールド3間に構成し所定の内外径で外形側2ケ所にリング状の突起を備えたゴム製のジョイント、18はエレクトロニクスモジュール1の穴と基板部5上のコネクタ7のネジ穴に組み込まれる所定形状のボルト、19は自由曲面を有し誘電性のある複合材料製の構造体の壁である。
【0011】
前記のように構成された電子機器においては、誘電性のある複合材料製の構造体の壁19に基板部5を曲面実装し個々のエレクトロニクスモジュール1に相対してヒートシンク2群とマニホールド3とゴム製のジョイント17からなる冷却系を曲面実装することによりエレクトロニクスモジュール1群の中に特別な構造要素を含まないため、電子機器の小型軽量化を図ることができる。また、基板部5上のコネクタ7にネジ穴を設けヒートシンク2の平面部とエレクトロニクスモジュール1をネジ結合で接触させエレクトロニクスモジュール1の冷却を行うほか固定も兼ねることにより整備性の向上を図ることができる。さらに基板部5と誘電性のある構造体の壁19との構成により各種のアンテナとしても利用することができる。
【0012】
【考案の効果】
この考案は以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
【0013】
各々のヒートシンク間及びヒートシンクとマニホールド間にリング状の突起を外側に有する円筒状でゴム性のジョイントを構成することにより、ヒートシンク群列を曲面実装することができる。
【0014】
基板部を曲面実装し、エレクトロニクスモジュールを所定寸法に小型化し個々のエレクトロニクスモジュールに相対してヒートシンクとマニホールド及びゴム製のジョイントから構成され曲面実装できる冷却系を組み合わせることによりエレクトロニクスモジュール群の中に特別な構造要素となるものを排除したため電子機器の小型軽量化を図ることができる。
【0015】
また、基板部上のコネクタにネジ穴を設けヒートシンクの平面部とエレクトロニクスモジュールをネジ結合で接触させエレクトロニクスモジュールの冷却が可能となり、かつエレクトロニクスモジュールの固定を兼ねることによりその整備製の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の一実施例を示す電子機器の構成図である。
【図2】この考案の特徴をなすヒートシンク群の構成を示す図である。
【図3】この考案に係わるエレクトロニクスモジュール回りの実装を示す図である。
【図4】従来の電子機器の構成図である。
【図5】従来装置のエレクトロニクスモジュールの固定方法を示す外観図である。
【符号の説明】
1 エレクトロニクスモジュール
2 ヒートシンク
3 マニホールド
5 基板部
7 コネクタ
14 タンク
15 ポンプ
16 熱交換器
17 ジョイント
18 ボルト
19 壁

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 冷却し必要とするエレクトロニクスモジュールを複数個組み合わせて電気的な誘導性を有する複合材料製の自由曲面状の構造体壁面に構成される電子機器において、電気信号の授受を行うコンタクトを有しこのコンタクトと同じ方向で所定位置に所定径の穴を2ケ備えた直方体状のエレクトロニクスモジュールと、このそれぞれのエレクトロニクスモジュールに対し相対する平面を有し内部に冷媒流路を構成しこの流路の出入口に円筒状で所定径の穴を備えた直方体状のヒートシンクと、このヒートシンクを直列状に複数列配置し、各ヒートシンク列群と相対する位置に円筒状で所定径の穴を有する円筒部を備えかつ各ヒートシンク列に並列に冷媒を供給、回収すべく冷媒流路を具備した2本のマニホールドと、前記ヒートシンクと上記マニホールド間及び各ヒートシンク間に構成され円筒状の構造で外径側の所定位置に所定寸法のリング状の突起を2箇所有するゴム製のジョイントと、前記エレクトロニクスモジュールの穴と相対する位置に所定のネジ穴を有し前記ヒートシンク群と並列に構成され前記エレクトロニクスモジュールと勘合するコネクタと、前記エレクトロニクスモジュールの穴と上記コネクタのネジ穴に組み込まれる所定形状のボルトと、前記コネクタを多数配置し電気的誘電性を有する構造体壁面の自由曲面上に固定された所定厚さの基板部と、前記マニホールドに冷媒を供給、回収できる冷却系を組んだことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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