説明

電子装置、温度上昇制御方法、プログラム及び記録媒体

【課題】人体の接触を的確に検出し、人体接触を検出した場合と検出しない場合とで、保護する温度を切り替える電子装置、温度上昇制御方法、そのプログラム及び記録媒体を提供する。
【解決手段】電子装置は、装置の内部の温度しきい値を少なくとも2つ以上設定する温度しきい値設定手段と、装置の内部温度を検出する温度検出手段と、人体の接触を検出する保護接触検出手段と、温度しきい値を切り替える温度しきい値切り替え手段と、装置の内部温度と温度しきい値とを比較する比較手段と、比較手段の比較結果に基づいて動作を制御する制御手段と、を有する。保護接触検出手段によって一定時間以上の人体の接触を検出した場合に、温度しきい値を切り替える。そして、比較手段によって装置の内部温度が温度しきい値よりも高いと判断された場合には、装置内部の温度を低下させる動作制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触を検知する電子装置、温度上昇制御方法、そのプログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、オーディオ製品などの電子装置は多機能化が進み、内部の発熱量が増加している。同時に装置の小型化も進んでおり、電子装置内部の発熱が装置表面に伝わりやすくなり、装置使用中の装置表面温度が高くなってきている。
【0003】
これら電子装置は、ユーザの皮膚に接触させて使用されるため、装置表面温度の上昇によりやけどを引き起こすという問題があった。この問題を解決するために、例えば、温度検出回路を設けて、ある設定しきい値を超えた場合は、電圧が低下するように制御することにより、装置温度がやけどの限界温度を超えないようする技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
また、これらの電子装置は、ユーザの皮膚に長時間接触させて使用されることもある。この場合、短時間の接触でやけどを引き起こす温度に達していない場合であっても、長時間皮膚に接触することにより低温やけどを引き起こしてしまうという問題があった。
【0005】
上記問題を解決するために、充電を停止することにより装置表面の温度の上昇を抑制する技術が開示されている。しかし、上記技術では外部接続機器の利用等により、温度上昇部分にユーザの皮膚が接触していない場合においても、電子装置は充電を停止してしまうという問題があった。発熱部分に皮膚が接触していない場合は、低温やけどの限界温度より装置温度が上がっても問題ないため、充電を停止する必要性はない。尚、上記した特許文献1の技術においても、上記した問題と同様の問題がある。
【0006】
上記問題を解決するために、携帯電話機のレシーバ付近にタッチセンサを設置し、タッチセンサに何かが接触しているかを判断して、何かしらの接触が検出されると、携帯電話機の充電を停止する技術が開示されている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開2006−230080号公報
【特許文献2】特開2007−166500号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献2の技術では、例えば、タッチセンサに短時間でも接触を検出してしまうと、装置の表面温度が比較的低い温度であっても携帯電話機の充電を停止してしまう。すなわち、低温やけどを起こす危険性のある長い時間の皮膚の接触を的確に検出することができず、短い間のみタッチセンサに接触した場合や誤ってタッチセンサに接触した場合であっても充電を停止させてしまうので、ユーザの利便性を損ねてしまうという問題があった。
【0008】
本発明はこのような実情を鑑みてなされたものであり、人体の接触を的確に検出し、人体接触を検出した場合と検出しない場合とで、保護する温度を切り替える電子装置、温度上昇制御方法、そのプログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電子装置は、装置の内部の温度しきい値を少なくとも2つ以上設定する温度しきい値設定手段と、装置の内部温度を検出する温度検出手段と、人体の接触を検出する保護接触検出手段と、温度しきい値を切り替える温度しきい値切り替え手段と、温度検出手段により検出された装置の内部温度と温度しきい値設定手段により設定された温度しきい値とを比較する比較手段と、比較手段の比較結果に基づいて動作を制御する制御手段と、を有し、温度しきい値切り替え手段は、保護接触検出手段によって一定時間以上の人体の接触を検出した場合に、温度しきい値を切り替え、制御手段は、比較手段によって装置の内部温度が温度しきい値よりも高いと判断された場合に、装置内部の温度を低下させる動作制御を行うことを特徴とする。
【0010】
本発明の温度上昇制御方法は、装置の内部の温度しきい値を少なくとも2つ以上設定する温度しきい値設定ステップと、記装置の内部温度を検出する温度検出ステップと、人体の接触を検出する保護接触検出ステップと、温度しきい値を切り替える温度しきい値切り替えステップと、温度検出ステップにより検出された装置の内部温度と温度しきい値設定ステップにより設定された温度しきい値とを比較する比較ステップと、比較ステップの比較結果に基づいて動作を制御する制御ステップと、を有し、温度しきい値切り替えステップは、保護接触検出ステップによって一定時間以上の人体の接触を検出した場合に、温度しきい値を切り替え、制御ステップは、比較ステップによって装置の内部温度が温度しきい値よりも高いと判断された場合に、装置内部の温度を低下させる動作制御を行うことを特徴とする。
【0011】
本発明のプログラムは、装置の内部の温度しきい値を少なくとも2つ以上設定する処理と、装置の内部温度を検出する処理と、人体の接触を検出する処理と、温度しきい値を切り替える処理と、装置の内部温度と温度しきい値とを比較する処理と、比較する処理の比較結果に基づいて動作を制御する処理と、をコンピュータに実行させ、切り替える処理は、一定時間以上の人体の接触を検出した場合に、温度しきい値を切り替え、制御する処理は、装置の内部温度が温度しきい値よりも高いと判断された場合に、装置内部の温度を低下させる動作制御を行うことを特徴とする。
【0012】
本発明の記録媒体は、上記プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、人体の接触を的確に検出し、的確に保護する温度を切り替えることで、ユーザの利便性を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明の実施形態の例について、図面を用いて詳細に説明する。
【0015】
図1は、本実施形態に係る電子装置の概略機能例を示す。本実施形態では、電子装置として携帯電話機を適用した場合の構成を例に挙げている。
【0016】
図1に示すように、本実施実施形態に係る携帯電話機は、無線部2、ベースバンド部3、CPU(Central Processing Unit)14などの携帯電話機として機能するために必要な構成に加えて、タッチパネル15、タッチパネル用I/F部16、保護接触検出部17、タイマー値1 18、タイマー値2 19、温度センサ20、温度しきい値1 25、温度しきい値2 22、比較器1 24、比較器2 21、ゲート回路23、スイッチ回路26、を備えている。
【0017】
保護接触検出手段である保護接触検出部17は、タッチパネル15への接触状態が一定時間以上続いていること、及び、非接触状態が一定時間以上続いていることを検出する。接触状態を検出する時間設定はタイマー値1 18で設定され、非接触状態を検出する時間設定はタイマー値2 19で設定される。
【0018】
温度検出手段である温度センサ20は、装置の内部温度を測定する。温度しきい値1 25と温度しきい値2 22には、安全性を考慮して超えてはいけない温度が温度しきい値設定手段により設定されるが、温度しきい値1 25は、温度しきい値2 22よりも低い温度が設定され、人体の皮膚が長時間触れていた場合に、低温やけどを起きさせないための温度を設定する。温度しきい値2 22は、比較的短時間の接触でやけどを起こさせないための温度を設定する。装置の形状や温度センサの位置によって、皮膚が接触する部分の温度と、温度センサ20の検出温度には差が出ることになるが、温度しきい値にはこの差分を考慮した温度を設定する。
【0019】
比較手段である比較器1 24及び比較器2 21は、温度センサ20の検出した温度と温度しきい値との比較を行う。比較結果は、ゲート回路23、スイッチ回路26で処理された後CPU14へ通知され、安全性の確保のための制御が行われる。例えば、装置温度が上昇して温度しきい値の設定温度より高くなった場合、制御手段であるCPU14は充電・電源制御部28を制御して電池27への充電を止めて装置温度上昇を防ぐ。また、TV電話中はカメラ9をOFFにさせてアバター画像を表示させて温度上昇を防ぐなどの方法もある。
【0020】
図2は、本実施形態に係る電子装置の動作例を示す。以下、上記図1及び図2に示す図を用いて本実施形態の動作例について詳細に説明する。
【0021】
図1は本実施形態を適用した携帯電話機のブロック図の例であり、図2はその動作タイミング例を示す図である。図2には携帯電話機の動作状態例が記載されおり、図の左側から以下のように状態が変化したときの動作を示している。
【0022】
状態(1)は、充電しながらの待受け状態を示している(待受・充電)。状態(2)は、充電しながらTV電話を行っているの状態を示している(TV電話・充電)。状態(3)は、充電しながら音声通話を行っている状態を示している(通話・充電)。状態(4)は、充電しながらの待受け状態を示している(待受・充電)。状態(5)は、充電しながらTV電話を行っている状態を示している(TV電話・充電)。状態(6)は、充電しながらTV電話中に、デジタルTV録画が開始された状態を示している(TV電話・充電・録画)。状態(7)は、充電しながらの待受け状態を示している(待受・充電)。
【0023】
また、図2に記載されている信号は、上から順に、温度しきい値1の設定値(SH1)、温度しきい値2の設定値(SH2)、温度センサ20の検出温度(K)、比較器1の出力(M)、比較器2の出力(L)、携帯電話機の動作状態、タッチパネル用I/F部16の出力であるタッチ検出(I)、保護接触検出部17の出力である接触保護検出(J)、ゲート回路23の出力(N)、スイッチ回路26の出力である機能制限検出(O)を示している。
【0024】
「状態(1)」
最初の状態は、充電しながらの待受け状態であり、充電による温度上昇はあるものの温度上昇は比較的小さいため、温度センサ20の検出温度(K)は温度しきい値2(SH2)を超えていない。この状態(1)から、TV電話を行うためにユーザがタッチパネル15を操作すると、タッチパネル15の検出信号(G)をタッチパネル用I/F部16が検出する。そして、検出信号(G)検出したタッチパネル用I/F部16のタッチ検出(I)が「H」レベルに変化する。
【0025】
ここで、図1に示すように、本実施形態に係る携帯電話機は、キー入力部13を備えているものの、タッチパネル15による操作も可能として作られており、上述のTV電話はタッチパネル15の操作によって行われたものである。また、そのときのタッチパネル15の操作は比較的短時間であるため、図2に示すタイミング図ではタッチ検出(I)が「H」レベルになる時間が短くなっている。
【0026】
「状態(2)」
TV電話の接続状態になると、無線部2、ベースバンド部3などの電流消費が多くなるため、装置温度が上昇し検出温度(K)が上昇を始める。検出温度(K)が温度しきい値2(SH2)よりも高くなると、比較器2 21の出力は「H」レベルに変化する。更に時間が経過すると温度上昇は止まり、ある温度範囲で安定するが、温度しきい値1(SH1)はこの安定した温度範囲の温度よりも高いところに設定されているため、比較器1 24の出力は「L」レベルのままである。
【0027】
一方、タッチ検出(I)は、保護接触検出部17に入力され、接触保護検出(J)の生成に利用される。保護接触検出部17では、タイマー値1設定(T1)、タイマー値2設定(T2)、タッチパネル用I/F部16からのタッチ検出(I)、動作クロック(H)、を入力信号として、接触保護検出(J)を生成する。
【0028】
接触保護検出(J)は、タッチパネル15にタイマー値1設定(T1)以上の時間連続して接触していた場合「H」レベルとなり、タイマー値2設定(T2)以上の時間接触しない状態が続いた場合に「L」レベルとなる。尚、保護接触検出部17の動作詳細は、図3を用いて後述する。
【0029】
「状態(3)」
次に、ユーザ操作により、充電しながらTV電話の接続状態(状態(2))から音声通話の状態(状態(3))に移行すると、装置の消費電流は上記状態(2)よりも減るため検出温度(K)も低下し、ある温度範囲で安定する。また、音声通話の場合は、携帯電話機に顔を接触させることになるためタッチ信号(I)は「H」レベルが長く続く状態となる。顔を接触後、タイマー値1設定(T1)で設定された時間が経過すると接触保護検出(J)は「H」レベルに変化する。
【0030】
スイッチ回路26は、接触保護検出(J)が「H」レベルのときは比較器2 21の出力を選択し、「L」レベルのときは比較器1 24の出力を選択する。このため、接触保護検出(J)が「H」レベルになると、スイッチ回路26の出力はゲート回路23を通して比較器2 21の出力(L)が出力されることになる。すなわち、スイッチ回路26は、温度しきい値1及び温度しきい値2の何れを用いるかの、温度しきい値の切り替えを行う手段でもある。
【0031】
タイマー値1(T1)を超える時間の接触が検出され、且つ、温度しきい値2の設定値(SH2)を超える温度が検出されると、スイッチ回路26が出力する機能制限検出(O)は、「H」レベルになる。そして、この機能制限検出(O)を受けたCPU14は、装置温度を低下させるために動作に制限をかけるように制御する。本実施形態では、CPU14は、充電・電源制御部28を制御して充電動作に制限をかけることで装置温度を低下させる。具体的には、充電を止めて充電・電源制御部28の発熱を抑えて装置の温度を低下させる。
【0032】
装置温度が低下し、温度しきい値2の設定値(SH2)よりも低くなると、比較器2の出力(L)は「L」レベルになり、ゲート回路23の出力とスイッチ回路26の出力も「L」レベルに変化する。CPU14は、機能制限検出(O)が「L」レベルになると、温度しきい値2の設定値(SH2)よりも装置温度が下がったと判断し、再度、充電を再開させる。
【0033】
充電再開により、再び装置温度が上昇すると、比較器2 21の出力が「H」レベルになり機能制限検出(O)も「H」レベルになる。CPU14は「H」レベルを検出すると、再び充電を停止させ、装置温度の上昇を防ぐように制御を行う。尚、比較器1 24及び比較器2 21には、出力を安定させるためにヒステリシス幅を持たせているため、検出温度(K)がしきい値より下回っても、比較器の出力はしばらく「H」レベルが保たれることになる。
【0034】
「状態(4)」
次に、充電をしながらの音声通話の状態(状態(3))から呼を切断して待受け状態(状態(4))に遷移すると、装置温度は低下して上記状態(1)と同じ温度で安定する。また、通話を切断することでユーザは携帯電話から顔を離すため、タッチパネル15への接触はなくなり、タッチ検出(I)は「L」レベルに変化する。
【0035】
接触がなくなった後、タイマー値2の設定(T2)の時間が経過すると接触保護検出(J)は「L」レベルに変化し、スイッチ回路26の出力としては比較器1 24の出力側が有効になる。
【0036】
「状態(5)」
続いて、TV電話の状態(状態(5))に遷移すると再び装置温度が上昇し、上記状態(2)と同温度の、ある温度範囲で安定する。
【0037】
「状態(6)」
その後、ユーザがあらかじめ予約設定していたデジタルTVの録画時間になり、録画が開始されると、TV電話・充電・録画の動作がすべて実施されている状態(状態(6))になる。この状態では上記状態(5)よりも内部の消費電流が増えるため、装置の温度は更に高くなる。
【0038】
装置温度の上昇の結果、温度しきい値1の設定値(SH1)よりも高い温度になると、比較器1 24の出力が「H」レベルになり、スイッチ回路26の出力も「H」レベルに変化する。機能制限検出(O)が「H」レベルになることで、CPU14は再び、充電・電源制御部28のOFF/ON制御を行い、装置温度が温度しきい値1の設定値(SH1)を超えないように制御する。
【0039】
「状態(7)」
その後、切断操作によりTV電話が終了すると、デジタルTVを録画しながらの充電待受け中の状態(状態(7))に移り、装置温度は温度しきい値2よりも低いところで安定する。
【0040】
図3は、本実施形態に係る電子装置の保護接触検出部17の概略機能構成例を示す。図4は、本実施形態に係る電子装置の保護接触検出部17の動作例を示す。以下、図3及び図4に示す図を用いて、保護接触検出部17の動作例について説明する。
【0041】
保護接触検出部17は、タッチパネル用I/F部16からのタッチ検出(I)と動作クロック(H)を入力信号とする。タッチ検出(I)を遅延回路1で遅延させ(I')、ゲート回路35によりタッチ検出(I)とその遅延信号(I')の反転をアンドすることで、タッチ検出(I)の立上り検出信号(c)を生成する。また、ゲート回路36によりタッチ検出(I)の反転と遅延信号(I')をアンドすることで、タッチ検出(I)の立下り検出信号(d)を生成する。
【0042】
カウンタ1はタッチ検出(I)が「H」レベルの間、動作クロック(H)をカウントし、カウンタ1の出力は比較器32によりタイマー値1と比較される。カウンタ1の出力がタイマー値1を超えると、比較器1の出力は「H」レベルとなり、Dフリップフロップ(D−FF)によりラッチされ接触保護検出(J)は「H」レベルに変化する。尚、カウンタ1のカウント途中に人体の接触の検出がなくなると、立下り検出(d)が「H」となりカウンタ1はリセットされて再び0からカウントされる。そのため、タイマー設定値1より長い間人体が接触していないと、接触保護検出(J)は「H」レベルにならない。
【0043】
次に、接触保護検出(J)が「H」レベルになった後、皮膚の接触がなくなった場合について説明する。接触保護検出(J)が「H」レベルで且つタッチ検出(I)が「L」のときに、ゲート回路34の出力が「H」レベルになり、カウンタ2がスタートする。カウンタ2の出力は比較器33によりタイマー値2と比較され、タイマー値2を超えると比較器33の出力が「H」レベルになり、D−FFはリセットされ、その出力は「L」レベルになる。尚、カウンタ2のカウント中に、再び人体の接触があると立上り検出(c)が「H」レベルになるため、カウンタ2はリセットされて再び0からカウントされる。そのため、タイマー設定値2より長い間人体の非接触状態を保たないと、接触保護検出(J)は「L」レベルに変化しない。
【0044】
次に、本実施形態の効果について説明する。上記図2に示すように、音声通話の状態(状態(3))は、顔を携帯電話機の広い範囲に接触させて使用するため、人体の皮膚が直接発熱部分に触れる可能性が高い。このように、皮膚が長時間接触することから、携帯電話機等の電子装置では低温やけどに配慮した設計が必要となる。そのため、温度しきい値を設けてその温度を超えた場合は、上述した本実施形態の動作例で示したように、充電など機能動作に制限をかけて装置の温度が低温やけどを起こす温度以上にならないように制御を行う。
【0045】
一方、機能の多様化により携帯電話機は色々な使用状態があり、例えば、TV電話やデジタルTV視聴など、顔から離して使用するときは、発熱部分には直接皮膚が触れていない。本実施形態では、人体の接触・非接触を検出し、接触している場合と接触していない場合で温度しきい値を切り替える。そのため、本実施形態により、発熱部分に直接皮膚が触れていない状態(状態(2)、状態(5))では機能制限をかけず動作させることが可能となり、ユーザの利便性を向上させることが可能となる。
【0046】
また、メニュー操作などのために指が触れる時間は比較的短時間であり、低温やけどを起こす可能性は低いため、最適な制御を行うためには低温やけどを起こす危険性のある長い時間の皮膚の接触を的確に検出する必要がある。本実施形態では、上記図3及び図4で説明したように、保護接触検出部の働きにより的確な検出を行うことが可能となる。そのため、的確に装置温度の制御を行うことが可能となる。
【0047】
また、本実施形態では、温度しきい値として2つの温度しきい値を設定する例を挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、2つ以上の温度しきい値を設け、段階的に温度を制御することも可能である。
【0048】
尚、各タイミング図に示す処理を、CPU14が実行するためのプログラムは本発明によるプログラムを構成する。このプログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体としては、半導体記憶部や光学的及び/又は磁気的な記憶部等を用いることができる。このようなプログラム及び記録媒体を、前述した各実施形態とは異なる構成のシステム等で用い、そこのCPUで上記プログラムを実行させることにより、本発明と実質的に同じ効果を得ることができる。
【0049】
以上好適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上述した電子装置、温度上昇制御方法、そのプログラム及び記録媒体に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であるということは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本実施形態に係る電子装置の概略機能例を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係る電子装置の動作例を示すタイミング図である。
【図3】本実施形態に係る電子装置の保護接触検出部の概略機能構成例を示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係る電子装置の保護接触検出部の動作例を示すタイミング図である。
【符号の説明】
【0051】
1 携帯電話機用アンテナ
2 無線部
3 ベースバンド部
4 音声CODEC部
5 レシーバ
6 マイク
7 LCD(Liquid Crystal Display)
8 表示制御部
9 カメラ
10 表示制御部
11 データメモリ
12 プログラムメモリ
13 キー入力部
14 CPU
15 タッチパネル
16 タッチパネル用I/F部
17 保護接触検出部
18 タイマー値1
19 タイマー値2
20 温度センサ
21 比較器2
22 温度しきい値2
23 ゲート回路
24 比較器1
25 温度しきい値1
26 スイッチ回路
27 電池
28 充電・電源制御部
29 AC/DCアダプタ
30 TV用アンテナ
31 デジタルTV信号受信部
32、33 比較器
34、35、36 ゲート回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置の内部の温度しきい値を少なくとも2つ以上設定する温度しきい値設定手段と、
前記装置の内部温度を検出する温度検出手段と、
人体の接触を検出する保護接触検出手段と、
前記温度しきい値を切り替える温度しきい値切り替え手段と、
前記温度検出手段により検出された装置の内部温度と前記温度しきい値設定手段により設定された温度しきい値とを比較する比較手段と、
前記比較手段の比較結果に基づいて動作を制御する制御手段と、を有し、
前記温度しきい値切り替え手段は、前記保護接触検出手段によって一定時間以上の人体の接触を検出した場合に、前記温度しきい値を切り替え、
前記制御手段は、前記比較手段によって前記装置の内部温度が前記温度しきい値よりも高いと判断された場合に、前記装置内部の温度を低下させる動作制御を行うことを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記温度しきい値切り替え手段は、前記保護接触検出手段によって一定時間以上の人体の接触を検出した場合に、最も設定温度が低い温度しきい値に切り替えることを特徴とする請求項1記載の電子装置。
【請求項3】
前記制御手段は、充電を停止することで前記装置内部の温度を低下させる制御を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記温度しきい値設定手段は、少なくとも3つ以上の温度しきい値を設定することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の電子装置。
【請求項5】
装置の内部の温度しきい値を少なくとも2つ以上設定する温度しきい値設定ステップと、
前記装置の内部温度を検出する温度検出ステップと、
人体の接触を検出する保護接触検出ステップと、
前記温度しきい値を切り替える温度しきい値切り替えステップと、
前記温度検出ステップにより検出された装置の内部温度と前記温度しきい値設定ステップにより設定された温度しきい値とを比較する比較ステップと、
前記比較ステップの比較結果に基づいて動作を制御する制御ステップと、を有し、
前記温度しきい値切り替えステップは、前記保護接触検出ステップによって一定時間以上の人体の接触を検出した場合に、前記温度しきい値を切り替え、
前記制御ステップは、前記比較ステップによって前記装置の内部温度が前記温度しきい値よりも高いと判断された場合に、前記装置内部の温度を低下させる動作制御を行うことを特徴とする温度上昇制御方法。
【請求項6】
前記温度しきい値切り替えステップは、前記保護接触検出ステップによって一定時間以上の人体の接触を検出した場合に、最も設定温度が低い温度しきい値に切り替えることを特徴とする請求項5記載の温度上昇制御方法。
【請求項7】
装置の内部の温度しきい値を少なくとも2つ以上設定する処理と、
前記装置の内部温度を検出する処理と、
人体の接触を検出する処理と、
前記温度しきい値を切り替える処理と、
前記装置の内部温度と前記温度しきい値とを比較する処理と、
前記比較する処理の比較結果に基づいて動作を制御する処理と、をコンピュータに実行させ、
前記切り替える処理は、一定時間以上の人体の接触を検出した場合に、前記温度しきい値を切り替え、
前記制御する処理は、前記装置の内部温度が前記温度しきい値よりも高いと判断された場合に、前記装置内部の温度を低下させる動作制御を行うことを特徴とするプログラム。
【請求項8】
前記切り替える処理は、一定時間以上の人体の接触を検出した場合に、最も設定温度が低い温度しきい値に切り替えることを特徴とする請求項7記載のプログラム。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−124246(P2010−124246A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296140(P2008−296140)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】