説明

電子装置および画像出力方法

【課題】近年、携帯電話機等の電子装置では、筐体の外観部分にディスプレイが設けられているものがある。そこで、電子装置が机の上に置かれる等した場合に、その直前に撮像された画像がディスプレイに表示されることで、机の上に置かれた携帯電話機等の外観をその周辺の環境に馴染ませ、目立たないようにすることができる。この場合、事前に撮像された複数の画像のうち、いずれの画像をディスプレイに表示させるかが問題となる。
【解決手段】通常時は、周辺の画像が撮像されて、撮像時の電子装置の向きを示す向き情報とともに保存される。そして、電子装置の向きが不変状態となった場合には、そのときの電子装置の向きと同一もしくはほぼ同一の向きと関連付けられている画像がディスプレイに表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の撮像画像の中から適切な画像を表示する電子装置および画像出力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機等において、ユーザが筐体のパーツを取り替えて携帯電話機を好みの外観に変えることを可能としたものがある。しかし、パーツを取り替えるためには工具を使って作業を行う必要があり、また、パーツを別途、購入する必要もあった。
ところで、近年の携帯電話機等の電子機器は、ディスプレイ部の大画面化、タッチパネル利用や収納式キーパッド等による全面ディスプレイ化など、ディスプレイ部が筐体の大部分を占めるようになってきている。筐体のパーツを取り替えた時のように携帯電話機等の外観を変えることが可能となっている。例えば、近年の携帯電話機等はカメラ機能を有するものが多いため、携帯電話機等が机の上に置かれた際やユーザが携帯電話機等を首からストラップでぶら下げた際などに、その直前に撮像した画像をディスプレイに表示させることで、携帯電話機等の外観をその周辺の環境に馴染ませ、目立たないようにすることができる。
ところで、後で利用することを目的として複数の画像を事前に撮像しておく技術としては、従来、ドライブレコーダ等に用いられる技術が存在する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−280821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、電子機器が机の上に置かれた際に、その外観を周辺の環境に馴染ませるためには、どのような画像をディスプレイに表示させるかが問題となる。
ここで、特許文献1に記載のように事前に撮像しておいた画像を利用する場合でも、同様の問題がある。
そこで本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、外観を周辺の環境に適切に馴染ませることのできる電子装置および画像出力方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段において撮像された画像と、前記画像の撮像時における自装置の向きを示す向き情報と、を関連付けて保持する画像保持手段と、自装置の向きが不変状態となったことを検知する検知手段と、前記検知手段において自装置の向きが不変状態となったことが検知された場合、その時の自装置の向きに対して、その変位量が所定範囲以内である向きと関連付けられている前記画像を、自装置の表示手段に出力する画像出力手段と、を有する電子装置を提案する。
【0006】
この構成によれば、例えば、通常時は常にカメラで周辺環境が撮像され、撮像時の電子装置の向きと関連付けられて撮像画像が保存される。そして、電子装置が机の上に置かれる等したことによってその向きが不変となった場合には、その時の向きと同一もしくはほぼ同一の向きと関連付けられている画像が表示部に表示される。これにより、電子装置が机の上に置かれる等した場合にはその時にカメラに近接した被写体の画像が表示部に出力されることとなり、電子装置の外観を周辺環境に馴染ませ、目立たなくすることができる。
【0007】
また、前記画像出力手段は、前記検知手段において自装置の向きが不変状態となったことが検知された場合、その時の自装置の向きに対して、その変位量が所定範囲以内である向きと関連付けられている前記画像であって、かつ、前記検知手段における検知時から所定時間以前に撮像された前記画像を、自装置の表示手段に出力するようになっていてもよい。さらに、前記画像出力手段は、前記検知手段において自装置の向きが不変状態となったことが検知された場合、その検出後、最初に前記撮像手段によって撮像された画像の明度が所定値未満である場合に、前記不変状態の検知時の自装置の向きに対して、その変位量が所定範囲以内である向きと関連付けられている前記画像であって、かつ、前記検知手段における検知時から所定時間以前に撮像された前記画像を、自装置の表示手段に出力するようになっていてもよい。
【0008】
例えば、カメラを下に向けた状態で電子装置が机の上に置かれた場合、カメラと被写体とが近すぎることにより明度の十分な画像を撮像できない。よって、電子装置が机の上に置かれた際の電子装置の向きと同一もしくはほぼ同一の向きと関連付けられている画像であって、時間的に少し前に撮像された画像がディスプレイに出力されることによって、明度の十分な画像を表示させ、電子装置の外観を周辺環境に馴染ませ、目立たなくすることができる。
【0009】
また、前記画像出力手段は、前記検知手段において自装置の向きが不変状態となったことが検知された場合、その時の自装置の向きに対して、その変位量が所定範囲以内である向きと関連付けられている前記画像であって、かつ、所定値以上の明度を有する前記画像を、自装置の表示手段に出力するようになっていてもよい。
例えば、カメラを下に向けた状態で電子装置が机の上に置かれた場合、カメラと被写体とが近すぎることにより明度の十分な画像を撮像できない。よって、電子装置が机の上に置かれた際の電子装置の向きと同一もしくはほぼ同一の向きと関連付けられている画像であって、所定値以上の明度を有する画像がディスプレイに出力されることによって、明るさの十分な画像を表示させ、電子装置の外観を周辺環境に馴染ませ、目立たなくすることができる。
【0010】
また、前記撮像手段は、自装置の向きが変化している間、所定時間ごとに画像を撮像するになっていてもよい。
この構成によれば、電子装置の向きが変化していない間は画像の撮像を行わないため、電力の消費を抑えることができる。
また、電子装置は、携帯型端末であってもよい。
近年の携帯電話機等では、ユーザが携帯電話機等を携行する際の状態において、その外観部分にディスプレイが設けられているものが多い。よって、そのディスプレイに、電子装置の向きが不変となった時と同一もしくはほぼ同一の向きと関連付けられている画像が出力されることで、電子装置の外観を周辺環境に馴染ませ、目立たなくすることができる。
【0011】
また、前記表示手段は、自装置の外観部分に設けられていてもよい。
外観部分に設けられているディスプレイに、電子装置の向きが不変となった時と同一もしくはほぼ同一の向きと関連付けられている画像が出力されることで、電子装置の外観を周辺環境に馴染ませ、目立たなくすることができる。
また、前記表示手段における表示方向と、前記撮像手段における撮像方向とは、互いに正反対の方向となっていてもよい。
【0012】
この構成によれば、カメラとディスプレイとが背中合わせの位置で電子装置に備えられている。よって、電子装置の向きが不変となった時にカメラで撮像された画像がディスプレイに表示されることにより、電子装置の外観を周辺環境に馴染ませ、目立たなくすることができる。
また、前記画像出力手段は、前記画像について、前記画像保持手段に保持されていた状態に対して画像加工を施し、もしくは他の画像と重畳させて、自装置の表示手段に出力するようになっていてもよい。
【0013】
また、本発明は、電子装置において実行される画像出力方法であって、画像を撮像する撮像ステップ(例えば、図4のステップS101、図5のステップS201)と、前記撮像ステップにおいて撮像された画像と、前記画像の撮像時における前記電子装置の向きを示す向き情報と、を関連付けて保持する画像保持ステップ(例えば、図4のステップS102およびステップS103、図5のステップS202およびステップS203)と、前記電子装置の向きが不変状態となったことを検知する検知ステップ(例えば、図4のステップS104、図5のステップS204)と、前記検知ステップにおいて前記電子装置の向きが不変状態となったことが検知された場合、その時の前記電子装置の向きに対して、その変位量が所定範囲以内である向きと関連付けられている前記画像を、前記電子装置の表示手段に出力する画像出力ステップ(例えば、図4のステップS107およびステップS108、図5のステップS205〜S207)と、を有する画像出力方法を提案する。
【0014】
この構成によれば、例えば、通常時は常にカメラで周辺環境が撮像され、撮像時の電子装置の向きと関連付けられて撮像画像が保存される。そして、電子装置が机の上に置かれる等したことによってその向きが不変となった場合には、その時の向きと同一もしくはほぼ同一の向きと関連付けられている画像が表示部に表示される。これにより、電子装置が机の上に置かれる等した場合にはその時にカメラに近接した被写体の画像が表示部に出力されることとなり、電子装置の外観を周辺環境に馴染ませ、目立たなくすることができる。
また、前記画像出力ステップにおいて、前記画像について、前記画像保持ステップで保持された際の状態に対して画像加工を施し、もしくは他の画像と重畳させて、前記電子装置の表示手段に出力するようになっていてもよい。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、電子装置が机の上に置かれたこと等によってその向きが不変となった場合に、事前に撮像された画像のうち、適切な画像を電子装置のディスプレイに表示させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】電子装置1の構成例を示す図である。
【図2】画像保持部102に保持されるデータの具体例を示す図である。
【図3】電子装置1の向きを説明する図である。
【図4】電子装置1における処理の流れを示すフロー図である。
【図5】電子装置1における処理の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において参照する各図では、同等部分は同一符号によって示される。
(電子装置の構成)
まず、本実施形態に係る電子装置の構成について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係る電子装置の構成例を示す図である。
図1に示される電子装置1は、撮像部101と、画像保持部102と、検知部103と、画像出力部104と、表示部105と、傾きセンサ(もしくは加速度センサ等)110とを有する。また、本実施形態においては、電子装置1は携帯電話機等の携帯型端末である。
【0018】
(撮像部101)
撮像部101は、画像を撮像する機能を有する。撮像部101は、図示しないレンズや、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Devices)等の撮像素子等から構成されている。撮像部101では、具体的には、例えば、レンズを介して取り込まれた光がCMOSやCCD等の撮像素子において電気信号に変換されて、A/D変換される。そして、A/D変換された信号は、ガンマ補正等の画像処理が施された後、フラッシュメモリ等で構成される画像保持部102に記録される。
【0019】
また、撮像部101は、電子装置1の向きが変化している間、所定時間ごとに画像を撮像するようになっていてもよい。これにより、電子装置1の向きが変化していない間は画像の撮像を行わないため、電力の消費を抑えることができる。
ここで、「電子装置1の向き」とは、主に電子装置1の筐体の向きを意味するが、例えば、撮像部101における撮像の向き(すなわち、カメラやレンズの向き)や、表示部105の向き(すなわち、ディスプレイの表示面に対して垂直の方向)であってもよい。カメラやレンズ、ディスプレイが電子装置1にその位置が固定されて備えられている場合、電子装置1の向きは、すなわち、カメラやレンズ、ディスプレイの向きとみなせるからである。
【0020】
また、電子装置1の向きは、具体的には、傾きセンサや加速度センサ等110により検出される。また、検出される電子装置1の向きは、2軸方向の傾きであってもよいし、3軸方向の傾きであってもよい。3軸方向の傾きが検出できれば、電子装置1に備えられている撮像部101の向きがより正確に分かるため好ましい。具体的には、例えば、加速度センサが互いに直行するように電子装置1に設けられていれば、電子装置1の3軸方向の傾きを検出することが可能である。
【0021】
また、「電子装置1の向きが変化している間、所定時間ごとに画像を撮像する」とは、具体的には、例えば、通常時は所定時間ごとに撮像し続け、検知部103において電子装置1の向きが不変状態となったことが検知された場合(例えば、一定時間内に同じ傾きが一定回数以上検出された場合等)には撮像を停止し、再度、電子装置1の傾きが変化した場合には撮像を再開すること等を意味する。
また、撮像部101は、電子装置1の向きが変化し始めたことをトリガーとして、画像を撮像するようになっていてもよい。「電子装置1の向きが変化し始めた」とは、具体的には、例えば、検出された電子装置1の傾きが前回検出された傾きと異なる場合等が該当する。
【0022】
(画像保持部102)
画像保持部102は、撮像部101において撮像された画像と、画像の撮像時における電子装置1の向きを示す向き情報とを関連付けて保持する。「向き情報」は、傾きセンサ110等から取得される。また、画像保持部102は、フラッシュメモリ等の記憶装置により構成される。
図2は、電子装置1を机の上などに置くための置き動作がなされた場合に、画像保持部102において保持されるデータの具体例を示す図である。本例では、所定時間間隔(20ms(ミリ秒)ごと)において電子装置1の向きが図2(a)のように変化した場合に各時刻において撮像された画像について、図2(b)に示されるようなデータが画像保持部102に保持されることを示している。図2(a)の矢印10〜16は、各時刻における電子装置1の向きを示す。なお、本例では、検出される電子装置1の向きは2軸方向の傾きであるとする。
【0023】
図2(b)のデータにおいて、「画像ID」とは画像を識別するための識別子である。なお、本例では理解しやすいよう、図2(a)の矢印X(X=10〜16)で示される向きにおいて撮像された画像は、図2(b)において画像ID=Xの画像であるとする。また、「時刻」は各画像が撮像された時刻であり、各画像は20ms間隔で撮像されている。
また、「傾き」は、画像が撮像された際の電子装置1の向きを示す。なお、図2(b)では理解しやすいよう、「傾き」は矢印で図示されているが、実際には傾きを示すベクトル値などで表される。
なお、画像保持部102は、図2のデータに加えて、各画像の実体データ(すなわち、画像データ)も保持する。
【0024】
(検知部103)
検知部103は、電子装置1の向きが不変状態となったことを検知する。また、検知部103は、傾きセンサ等110から電子装置1の向きを取得する。
ここで、「電子装置1の向きが不変状態となったこと」とは、例えば、その変位量が所定範囲内である傾き(傾きが変化しない場合も含む)が一定時間、又は一定回数検出された場合等を意味する。より具体的には、例えば、一定時間内において、2軸方向の傾きが変化せず(もしくは、その変化量が所定範囲内であり)、かつ、加速度が変化しない場合等が該当する。
【0025】
(画像出力部104)
画像出力部104は、検知部103において電子装置1の向きが不変状態となったことが検知された場合、その時の電子装置1の向きに対して、その変位量が所定範囲以内である向きと関連付けられている画像を、表示部105に出力する。
また、画像出力部104は、検知部103において電子装置1の向きが不変状態となったことが検知された場合、その時の電子装置1の向きに対して、その変位量が所定範囲以内である向きと関連付けられている画像であって、かつ、検知部103における検知時から所定時間以前に撮像された画像を、表示部105に出力するようになっていてもよい。
【0026】
「所定時間」とは、具体的には、一般的な人間の手の動きを考慮し、かつ適切なピントで明度が十分となる状態で接写できる距離を考慮すると、1〜2秒程度が適当であると思われる。また、不変状態の検知時から所定時間以前の画像が、ピントが外れていると判断される場合や明度が所定値以下である場合など、表示するには不適切な画像であると判断される場合は、その一つ前に撮像された画像を表示部105に表示するようになっていてもよい。また、さらにその画像が表示するには不適切であれば、そのさらに一つ前に撮像された画像を表示部105に表示する、という処理を繰り返すようになっていてもよい。
【0027】
ここで、電子装置1の向きが不変状態になる場合とは、例えば、図3(a)に示されるように、電子装置1が立てて撮像部101が机の天板に対して平行方向に向けられた状態で机の上などに置かれた場合、すなわち、撮像部101と被写体との距離が相当にあって撮像部101が被写体を鮮明に撮像できる場合や、図3(b)に示されるように、撮像部101が机の天板の上面に向けられた状態で机の上などに置かれた場合等が想定される。前者の場合であれば、撮像部101は明度が十分となるように被写体を撮像できるので、画像出力部104は、電子装置1の向きが不変状態となった時(すなわち、立てて置かれた時)の電子装置1の向きと同じ向きと関連付けられている画像を表示部105に出力すればよい。
【0028】
しかし、後者の場合には、カメラと被写体とが近接しすぎて明度が不十分な画像が撮像されてしまう。よって、このような場合には、画像出力部104は、不変状態の検知時から所定時間以前に撮像された画像であって、不変状態が検知された時の電子装置1の向きとほぼ同じ向きにある画像を表示部105に出力するようになっていてもよい。これにより、表示部105に明度が十分な画像を表示させることができる。
【0029】
ここで、図2を用いて、後者の場合の画像出力部104における処理を説明する。例えば、図2の例において、矢印14〜16で示される電子装置1の傾きは同じであるため、これをもって、検知部103において電子装置1の向きが不変状態になったことが検知されたとする。すると、画像出力部104は、不変状態の検知時から所定時間以前であって、矢印14〜16で示される向きを基準にその変位量が所定範囲内にある向き、例えば、矢印12や矢印13で示される向きで撮像された画像IDが“12”もしくは“13”の画像を表示部105に出力する。
【0030】
また、図3(a)の場合であれば、検知部103において電子装置1の向きが不変状態となったことが検知された直後に撮像部101で撮像された画像は明度が十分で表示部105に表示するにも資すると考えられる。よって、図3(b)の場合を想定し、画像出力部104は、検知部103において電子装置1の向きが不変状態となったことが検知された場合、その検出後、最初に撮像部101によって撮像された画像の明度が所定値未満である場合に、不変状態の検知時の電子装置1の向きに対して、その変位量が所定範囲以内である向きと関連付けられている画像であって、かつ、検知部103における検知時から所定時間以前に撮像された画像を、表示部105に出力するようになっていてもよい。
【0031】
また、画像出力部104は、検知部103において電子装置1の向きが不変状態となったことが検知された場合、その時の電子装置1の向きに対して、その変位量が所定範囲以内である向きと関連付けられている画像であって、かつ、所定値以上の明度を有する画像を、表示部105に出力するようになっていてもよい。これにより、例えば図3(b)のように、電子装置1の向きが不変状態となったことが検知された直後では撮像部101において適切な画像が撮像できない場合であっても、不変状態の検知時とほぼ同じ向きで、かつ明度の十分な画像を表示させることができる。よって、電子装置1の外観を周辺環境に馴染ませ、目立たなくすることができる。
【0032】
さらに、図3(b)の場合に鑑み、画像出力部104は、検知部103において電子装置1の向きが不変状態となったことが検知された場合、その検出後、最初に撮像部101によって撮像された画像の明度が所定値未満である場合に、不変状態の検知時の電子装置1の向きに対して、その変位量が所定範囲以内である向きと関連付けられている画像であって、かつ、所定値以上の明度を有する画像を、表示部105に出力するようになっていてもよい。
また、画像出力部104は、撮像部101によって撮像された画像について、画像保持部102に保持されていた状態に対して画像加工を施し、もしくは他の画像と重畳させて、表示部105に出力するようになっていてもよい。これにより、例えば撮像画像がより鮮明な画像となる等、より表示に適した状態で表示部105に表示出力される。
【0033】
(表示部105)
表示部105は、画像出力部104から出力された画像を表示する。また、本実施形態においては、表示部105は、電子装置1の外観部分に設けられている。ここで、「外観部分」とは、具体的には、例えば電子装置1が折りたたみタイプの携帯電話機であった場合、折りたたんだ状態において外面となる部分等が該当する。また、例えば電子装置1がストレートタイプの携帯電話機であった場合は、電話をかける際やメールを作成する際にユーザが操作する操作キーが設けられている面が該当する。
【0034】
また、表示部105における表示方向と、撮像部101における撮像方向とは、互いに正反対の方向となっていてもよい。具体的には、カメラとディスプレイとが背中合わせになるような位置で電子装置に備えられている場合等である。このような場合、カメラを下に向けた状態で電子装置1が机の上などに置かれると、ディスプレイは上向きの状態となる。よって、電子装置1が机に置かれることで、その直前にカメラで撮像された画像であって電子装置1の向きとほぼ同一の画像がディスプレイに表示されると、ディスプレイには電子装置1が置かれた机の一部分の画像が表示されることになる。これにより、電子装置1の外観が周辺環境に馴染み、電子装置1が目立たなくなる。さらに、表示部105は、電子装置1の筐体の特定の面において、その全面を覆うように備えられていてもよい。この場合、例えば、ディスプレイが上向きになるように電子装置1が机の上に置かれると、ディスプレイの周辺に筐体の枠が存在しないことにより、電子装置1の外観がより周辺環境に馴染み、電子装置1が目立たなくなる。
【0035】
なお、図1に示される電子装置1は、図示されないCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ、SSDやハードディスク等の記憶装置、ネットワークインタフェース等の一般的なコンピュータの構成と同様の構成により実現される。また、以上に説明した電子装置1の各構成の機能は、例えば、CPUがSSD等に記憶されているプログラムをRAM等のメモリ上に読み出して実行することによって実現される機能である。
【0036】
(電子装置の動作)
以下、電子装置1の動作について説明する。図4および図5は、電子装置1における処理の流れを示すフロー図である。
最初に、図4に示されるフロー図について説明する。図4の処理は、電子装置1の向きが不変状態となった場合に、その時の電子装置1の向きと同じ向きであり、かつ不変状態の検知時から所定時間以前に撮像された画像が表示部105に表示される場合の処理である。
まず、撮像部101において、カメラが起動され、画像の撮影が開始される(ステップS101)。次に、検知部103において、傾きセンサや加速度センサ等110が起動される(ステップS102)。また、この後、所定時間間隔で電子装置1の向きを示す向き情報が傾きセンサ等110から撮像部101に送信される。
【0037】
そして、画像保持部102において、カメラによって所定時間間隔で撮像される撮像画像が向き情報とともにSSD等の記憶装置に記憶されて保存される(ステップS103)。
検知部103において、一定時間内において傾きセンサ等110から出力される向き情報および加速度が変化しないことによって電子装置1の向きが不変状態であることが検出されると(ステップS104)、その直後に撮像部101において最初に撮像された(ステップS105)撮像画像の明度が、所定値未満であるか判断される(ステップS106)。
【0038】
この撮像画像の明度が所定値未満である場合には、画像出力部104において、画像保持部102が参照されて、この時の電子装置1の向きと同一もしくはほぼ同一の向きと関連付けられている画像であって、かつ、ステップS104における検知時から所定時間以前に撮像された画像がSSD等の記憶装置から読み出される(ステップS107)。そして、読み出された画像は、表示部105において表示出力される(ステップS108)。
【0039】
また、ステップS106において、ステップS105で撮像された撮像画像の明度が所定値以上である場合には、その撮像画像がSSD等の記憶装置から読み出されて(ステップS109)、表示部105において表示出力される(ステップS108)。
次に、図5に示されるフロー図について説明する。図5の処理は、電子装置1の向きが不変状態となった場合に、その時の電子装置1の向きと同じ向きであり、かつ所定値以上の明度を有する画像が表示部105に表示される場合の処理である。
【0040】
まず、撮像部101において、カメラが起動され、画像の撮影が開始される(ステップS201)。次に、検知部103において、傾きセンサや加速度センサ等110が起動される(ステップS202)。また、この後、所定時間間隔で電子装置1の向きを示す向き情報が傾きセンサ等110から撮像部101に送信される。
そして、画像保持部102において、カメラによって所定時間間隔で撮像される撮像画像が向き情報とともにSSD等の記憶装置に記憶されて保存される(ステップS203)。
【0041】
検知部103において、一定時間内において傾きセンサ等110から出力される向き情報および加速度が変化しないことによって電子装置1の向きが不変状態であることが検出されると(ステップS204)、画像出力部104において、画像保持部102が参照されて、この時の電子装置1の向きと同一もしくはほぼ同一の向きと関連付けられている画像がSSD等の記憶装置から読み出される(ステップS205)。
【0042】
そして、ステップS205において読み出された画像の明度が所定値以上である場合には(ステップS206)、この画像は表示部105において表示出力される(ステップS207)。また、ステップS206において、画像の明度が所定値未満である場合には、ステップS205の処理が繰り返される。
(まとめ)
以上説明したように、本発明によれば、電子装置が机の上に置かれたこと等によってその向きが不変となった場合に、事前に撮像された画像のうち、適切な画像を電子装置のディスプレイに表示させることが可能である。
【符号の説明】
【0043】
1 電子装置
101 撮像部
102 画像保持部
103 検知部
104 画像出力部
105 表示部
110 傾きセンサ等

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段において撮像された画像と、前記画像の撮像時における自装置の向きを示す向き情報と、を関連付けて保持する画像保持手段と、
自装置の向きが不変状態となったことを検知する検知手段と、
前記検知手段において自装置の向きが不変状態となったことが検知された場合、その時の自装置の向きに対して、その変位量が所定範囲以内である向きと関連付けられている前記画像を、自装置の表示手段に出力する画像出力手段と、
を有する電子装置。
【請求項2】
前記画像出力手段は、前記検知手段において自装置の向きが不変状態となったことが検知された場合、その時の自装置の向きに対して、その変位量が所定範囲以内である向きと関連付けられている前記画像であって、かつ、前記検知手段における検知時から所定時間以前に撮像された前記画像を、自装置の表示手段に出力することを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記画像出力手段は、前記検知手段において自装置の向きが不変状態となったことが検知された場合、その検出後、最初に前記撮像手段によって撮像された画像の明度が所定値未満である場合に、前記不変状態の検知時の自装置の向きに対して、その変位量が所定範囲以内である向きと関連付けられている前記画像であって、かつ、前記検知手段における検知時から所定時間以前に撮像された前記画像を、自装置の表示手段に出力することを特徴とする請求項2に記載の電子装置。
【請求項4】
前記画像出力手段は、前記検知手段において自装置の向きが不変状態となったことが検知された場合、その時の自装置の向きに対して、その変位量が所定範囲以内である向きと関連付けられている前記画像であって、かつ、所定値以上の明度を有する前記画像を、自装置の表示手段に出力することを特徴とする請求項1に記載の電子装置。
【請求項5】
前記撮像手段は、自装置の向きが変化している間、所定時間ごとに画像を撮像することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項6】
携帯型端末であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項7】
前記表示手段は、自装置の外観部分に設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項8】
前記表示手段における表示方向と、前記撮像手段における撮像方向とは、互いに正反対の方向であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電子装置。
【請求項9】
前記画像出力手段は、前記画像について、前記画像保持手段に保持されていた状態に対して画像加工を施し、もしくは他の画像と重畳させて、自装置の表示手段に出力することを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の電子装置
【請求項10】
電子装置において実行される画像出力方法であって、
画像を撮像する撮像ステップと、
前記撮像ステップにおいて撮像された画像と、前記画像の撮像時における前記電子装置の向きを示す向き情報と、を関連付けて保持する画像保持ステップと、
前記電子装置の向きが不変状態となったことを検知する検知ステップと、
前記検知ステップにおいて前記電子装置の向きが不変状態となったことが検知された場合、その時の前記電子装置の向きに対して、その変位量が所定範囲以内である向きと関連付けられている前記画像を、前記電子装置の表示手段に出力する画像出力ステップと、
を有する画像出力方法。
【請求項11】
前記画像出力ステップにおいて、前記画像について、前記画像保持ステップで保持された際の状態に対して画像加工を施し、もしくは他の画像と重畳させて、前記電子装置の表示手段に出力することを特徴とする請求項10に記載の画像出力方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−39224(P2012−39224A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175298(P2010−175298)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】