説明

電子部品の分類装置

【課題】電子部品の分類の効率化を図ると共に、装置全体の小型化を図ることが可能な、電子部品の分類装置を提供する。
【解決手段】本発明の電子部品の分類装置1では、ドラム状回動体41は、電子部品を収容するための複数の収容部47を有し、各収容部47内に通じる複数の導入口47aが、一方の端部で回動軸を中心とする円周上に配列する。回動制御部は、複数の導入口47aのうち、電子部品の測定結果に対応する導入口が、電子部品が排出される排出位置に位置するように、サーボモータ42を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の分類装置に関し、特には、電子部品を所定の特性の測定結果に応じて分類する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光素子などの電子部品を所定の特性の測定結果に応じて複数の容器に分類する装置が知られている。こうした装置では、測定された電子部品を分類先まで搬送する搬送器が、直線上に配列した複数の容器上を往復移動する。搬送器の往復移動は、モーターの回転運動が直線運動に変換されることによって実現される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術では、分類すべき階級の数の増加に伴って、直線上に配列する容器の数が増加すると、電子部品の搬送距離が長大化し、装置全体が肥大化するおそれがある。
【0004】
本発明は、上記実情に鑑みて為されたものであり、電子部品の分類の効率化を図ると共に、装置全体の小型化を図ることが可能な、電子部品の分類装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の電子部品の分類装置は、電子部品の所定の特性を測定する特性測定部と、回動可能に設けられた回動体と、前記回動体を回動させるアクチュエータと、前記アクチュエータを制御する回動制御部と、を備える。前記回動体は、前記電子部品を収容するための複数の収容部を有し、前記各収容部内に通じる複数の導入口が、一方の端部で回動軸を中心とする円周上に配列する。前記回動制御部は、前記複数の導入口のうち、前記電子部品の測定結果に対応する導入口が、前記電子部品が排出される排出位置に位置するように、前記アクチュエータを制御する。
【0006】
上記本発明によると、複数の収容部を有する回動体が回動することによって電子部品が分類されるので、電子部品の分類の効率化を図ることが可能である。例えば、回動体を回動させる方が、上記従来技術と比較して、電子部品の相対移動距離の短縮や相対移動速度の向上を図ることが容易である。また、複数の収容部が回動体に設けられるので、装置全体の小型化を図ることも可能である。
【0007】
また、本発明の一態様では、前記回動体は、他方の端部に、前記各収容部内に通じる複数の排出口と、前記各排出口を開閉する複数のストッパと、を有する。これによると、収容部内の電子部品を回動体の他方の端部から取り出すことが可能である。
【0008】
また、本発明の一態様では、前記収容部から排出される前記電子部品を導入可能な位置に、前記電子部品を収容するための容器を位置決めする位置決め部、を更に備える。これによると、収容部から排出される電子部品を容器に収容することが可能である。
【0009】
また、本発明の一態様では、前記回動体の前記一方の端部が、他方の端部より上方に位置する。これによると、重力を利用して電子部品を導入口から収容部内に収容することが可能である。
【0010】
また、本発明の一態様では、前記各収容部内に、前記電子部品が一列に配列する。これによると、電子部品を一列に整列した状態で収容部内から取り出すことが可能である。
【0011】
また、本発明の一態様では、前記収容部内に挿入され、前記排出口に向けて前記電子部品を押す排出動作部、を更に備える。これによると、電子部品を収容部内から取り出すことが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子部品の分類装置の概略構成を表す側面図である。
【図2】上記電子部品の分類装置に含まれる回動体ユニット及び位置決め部を表す図である。
【図3】上記電子部品の分類装置の要部拡大図である。
【図4】上記電子部品の分類装置の概略構成を表すブロック図である。
【図5】上記電子部品の分類装置に含まれる主制御部の機能構成を表すブロック図である。
【図6】上記電子部品の分類装置に含まれる主制御部の動作に用いられるテーブルの内容例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の電子部品の分類装置の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子部品の分類装置1の概略構成を表す側面図である。図2は、回動体ユニット4及び位置決め部5を表す図である。この図2は、回動体ユニット4及び位置決め部5を、これらが取り付けられる台に垂直な方向から臨んだ図である。図3は、要部拡大図である。図4は、電子部品の分類装置1の概略構成を表すブロック図である。図5は、主制御部10の機能構成を表すブロック図である。図6は、主制御部10の動作に用いられるテーブルの内容例を表す図である。
【0015】
図1及び図4に示されるように、電子部品の分類装置1は、部品搬送部2、特性測定部3、回動体ユニット4、位置決め部5及び排出動作部6を備えており、これらは、装置全体の制御を司る主制御部10に接続されている。
【0016】
部品搬送部2は、円盤状の間欠回転盤21と、間欠回転盤21の縁部に所定間隔ごとに取り付けられた複数の部品載置部23とを有している。間欠回転盤21は、部品載置部23が配列する角度ごとに間欠回転する。部品載置部23は、間欠回転盤21の外方に向けて折れ曲がった略逆L字状に構成され、その先端部上には、不図示の部品供給部から供給される電子部品としての発光素子(LED)が載置される。
【0017】
特性測定部3は、部品載置部23上に載置された発光素子99に開口部が近接するように配置された積分球32と、この発光素子99に通電するプローブ34と、これら積分球32及びプローブ34を利用して、発光素子99の輝度等の発光特性を測定するLEDテスタ36とを有している。LEDテスタ36は、発光特性の測定結果を主制御部10に送信する。
【0018】
回動体ユニット4は、図1及び図2に示されるように、回動軸が斜めに倒れた姿勢で回動可能に支持されたドラム状回動体41と、このドラム状回動体41を回転させるアクチュエータとしてのサーボモータ42と、ドラム状回動体41とサーボモータ42の間に介在する減速機43と、ドラム状回動体41の外周面に取り付けられた複数の収容部47とを有している。
【0019】
複数の収容部47が取り付けられたドラム状回動体41は、発光特性が測定された発光素子99を分類するためのものであり、各収容部47には、発光特性の階級ごとに分類された発光素子99が一時的に収容される。各収容部47は、棒状で中空の形状を有しており、ドラム状回動体41の外周面上に回動軸と平行に配置されている。各収容部47の内部は、1つの発光素子99が通過可能な程度の断面形状を有し、導入された発光素子99が一列に配列する。また、各収容部47の、回動軸から離れた側には、長手方向に延びるスリット47cが形成されている。なお、図1及び図2では、一部の収容部47のみが図示されている。本実施形態では、収容部47の総数が例えば64である。
【0020】
各収容部47の開放された上端は、発光素子99が導入される導入口47aである。これら導入口47aは、ドラム状回動体41の上方側の端面の縁部で、回動軸を中心とする円周上に配列している。このうち、最上に位置する収容部47の導入口47aは、管状の中継部72の下端側の口と近接対向している。この中継部72は、部品搬送部2の部品載置部23付近から延びており、部品載置部23上の発光素子99は、不図示のピック&プレース装置やエア噴射装置などによって中継部72内に導入され、下端側の口から排出される。このため、中継部72の下端側の口の位置が、発光素子99が排出される「排出位置」となる。
【0021】
各収容部47の開放された下端は、発光素子99が排出される排出口47bである。これら排出口47bは、ドラム状回動体41の下方側の端面の縁部に設けられたストッパ49によって開閉可能である。ストッパ49は、図3に示されるように、収容部47の下端部に挿入される挿入部49aと、この挿入部49aの基端側に設けられた鍔部49bと、挿入部49a及び鍔部49bを収容部47に向けて付勢するバネ等からなる付勢部49cとを有している。挿入部49aが収容部47の下端部に挿入されることによって、排出口47bから発光素子99の排出が制限される。この状態が、排出口47bの閉状態である。
【0022】
また、最上に位置する収容部47に設けられたストッパ49と近接する位置には、減速機43の筐体等に固定されて非回動の付勢解除部45が設けられている。付勢解除部45は、主制御部10からの指令に応じてドラム状回動体41の径方向に移動可能な鉤部45bを有しており、この鉤部45bは、回動軸側に移動する際に、ストッパ49の鍔部49bに引っ掛かり、挿入部49a及び鍔部49bを付勢部49cの付勢力に抗して移動させる。これにより、最上に位置する収容部47では、下端部から挿入部49aが抜出されて、排出口47bから発光素子99の排出が可能となる。この状態が、排出口47bの開状態である。
【0023】
また、最上に位置する収容部47の排出口47bの下流側には、管状の中継部74が設けられており、更にその下流側には、収容部47と同様の形状の容器97が位置決めされる。これら中継部74及び容器97は、最上に位置する収容部47と同じ角度で一直線上に並べられ、排出口47bから排出される発光素子99は、中継部74内を通り抜けて容器97内に滑り落ちる。こうした容器97は、位置決め部5によって位置決めされる。具体的には、位置決め部5は、複数の容器97が並列した状態で載置される、これらの並列方向に移動可能な載置台52を有しており、主制御部10からの指令に応じて、各容器97を中継部74の下流側に順次位置決めする。
【0024】
また、最上に位置する収容部47の排出口47bから発光素子99が排出される際、この収容部47内の発光素子99は、排出動作部6によって排出口47bに向けて移動される。具体的には、排出動作部6は、最上に位置する収容部47内にスリット47cから挿入可能、かつドラム状回動体41の回動軸方向に沿って移動可能な鉤部61を有している。この鉤部61は、主制御部10からの指令に応じて、収容部47内の最上に位置する発光素子99を下流側に押すことで、収容部47内の全ての発光素子99を排出口47bに向かわせる。
【0025】
主制御部10は、CPU(中央演算装置)及びその作業領域であるRAM等を含んだコンピュータ又はPLC(プログラマブルコントローラ)として構成されている。また、主制御部10は、CPUの動作に必要なプログラム及びデータを記憶する記憶装置を含んでいる。この主制御部10は、特性測定部3から得られる測定結果に応じて、発光素子99を割当てる収容部47を決定し、発光素子99がその収容部47に収容されるようにドラム状回動体41を回動させる。
【0026】
図5は、主制御部10の機能構成例を表す機能ブロック図である。主制御部10は、CPUが記憶装置に格納されたプログラムを実行することにより、階級判定部11、割当処理部12及び回動制御部13を機能的に実現する。
【0027】
階級判定部11は、LEDテスタ36から得られる測定結果を基に、発光素子99の発光特性が予め定められた複数の階級の何れに該当するかを判定する。階級の数は、例えば64であり、ドラム状回動体41に取り付けられた収容部47の数と同じである。
【0028】
割当処理部12は、判定された階級を基に、テーブル保持部15に保持されたテーブルを参照して、ドラム状回動体41に取り付けられた複数の収容部47の中から、発光素子99を割当てる収容部47を決定する。このテーブルでは、図6に示されるように、発光特性の階級と収容部47の位置とが対応付けられている。
【0029】
回動制御部13は、発光素子99の割当て先として決定された収容部47が最上に位置するように、サーボモータ42を駆動してドラム状回動体41を回動させる。すなわち、回動制御部13は、発光素子99の割当て先として決定された収容部47の導入口47aを、発光素子99が排出される中継部72の下端側の口と近接対向するように位置決めする。このとき、回動制御部13は、ドラム状回動体41の正逆2つの回動方向のうち、回動距離が短い方を選択する。
【0030】
以上により、特性測定部3によって発光特性が測定されて、部品載置部23上から中継部72内に導入された発光素子99は、ドラム状回動体41に取り付けられた複数の収容部47のうち、測定結果に対応する収容部47内に収容される。
【0031】
また、主制御部10は、各収容部47に割当てた発光素子99の数を計数しておき、何れかの収容部47に割当てられた発光素子99の数が所定数に達すると、当該収容部47が最上に位置した状態で、付勢解除部45を駆動して、当該収容部47の排出口47bを開放すると共に、排出動作部6を駆動して、当該収容部47内の発光素子99を排出口47bから排出させる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が当業者にとって可能であるのはもちろんである。
【0033】
例えば、上記実施形態では、排出動作部6を設けていたが、これに限られず、発光素子99は重力によって収容部47内を滑り落ちて排出口47bに向かうので、排出動作部6を省略してもよい。
【0034】
また、上記実施形態では、1つの回動体ユニット4を設けていたが、これに限られず、分類すべき階級数が多い場合等には、複数の回動体ユニット4を設け、その上流に振り分ける機構を設けてもよい。
【0035】
また、上記実施形態では、ドラム状回動体41の外周面に沿って収容部47が配列していたが、これに限られず、導入口47aが回動軸を中心とする円周上に配列していれば、収容部47の位置が径方向に異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 電子部品の分類装置、2 部品搬送部、3 特性測定部、4 回動体ユニット、5 位置決め部、6 排出動作部、10 主制御部、11 階級判定部、12 割当処理部、13 回動制御部、15 テーブル保持部、21 間欠回転盤、23 部品載置部、32 積分球、34 プローブ、36 LEDテスタ、41 ドラム状回動体、42 サーボモータ、43 減速機、45 付勢解除部、45b 鉤部、47 収容部、47a 導入口、47b 排出口、47c スリット、49 ストッパ、49a 挿入部、49b 鍔部、49c 付勢部、52 載置台、61 鉤部、72 中継部、74 中継部、97 容器、99 発光素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の所定の特性を測定する特性測定部と、
回動可能に設けられ、前記電子部品を収容するための複数の収容部を有し、前記各収容部内に通じる複数の導入口が、一方の端部で回動軸を中心とする円周上に配列する回動体と、
前記回動体を回動させるアクチュエータと、
前記複数の導入口のうち、前記電子部品の測定結果に対応する導入口が、前記電子部品が排出される排出位置に位置するように、前記アクチュエータを制御する回動制御部と、
を備えることを特徴とする電子部品の分類装置。
【請求項2】
前記回動体は、他方の端部に、前記各収容部内に通じる複数の排出口と、前記各排出口を開閉する複数のストッパと、を有する、
請求項1に記載の電子部品の分類装置。
【請求項3】
前記収容部から排出される前記電子部品を導入可能な位置に、前記電子部品を収容するための容器を位置決めする位置決め部、を更に備える、
請求項2に記載の電子部品の分類装置。
【請求項4】
前記回動体の前記一方の端部が、他方の端部より上方に位置する、
請求項1に記載の電子部品の分類装置。
【請求項5】
前記各収容部内に、前記電子部品が一列に配列する、
請求項1に記載の電子部品の分類装置。
【請求項6】
前記収容部内に挿入され、前記排出口に向けて前記電子部品を押す排出動作部、を更に備える、
請求項2に記載の電子部品の分類装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−53167(P2011−53167A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204277(P2009−204277)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(597007178)日本ガーター株式会社 (8)
【Fターム(参考)】