説明

電子部品の製造方法および電子部品

【課題】加熱硬化される際に未硬化の樹脂が集合体基板の中央部分に流動するのを抑制することにより、樹脂の研削を行わなくとも部品実装面を被覆するモールド層の厚みのばらつきを低減することができる技術を提供する。
【解決手段】モールド層4が、第1樹脂層6および第2樹脂層7ごとに、従来よりも少量の樹脂が集合体基板10の部品実装面2aにそれぞれ充填されることで分割して形成されるため、第1樹脂層6および第2樹脂層7それぞれが加熱硬化される際に樹脂が収縮することにより集合体基板10に反りが生じても、部品実装面2aに充填された樹脂の量は従来よりも少量であるため、未硬化の第1の樹脂および第2の樹脂が集合体基板10の中央部分に流動するのを抑制することができ、加熱硬化された樹脂の研削を行わなくとも部品実装面2aを被覆するモールド層4の厚みのばらつきを低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品の製造方法および電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、部品実装面500aに実装された半導体チップなどの部品501が、樹脂が充填されて形成されたモールド層503により被覆されて保護された電子部品が知られている。このような電子部品は、例えば、以下のようにして製造される。すなわち、部品実装面500aに部品501が実装された実装用基板が複数配列されて成る集合体基板500の上方から、ディスペンサ502により部品実装面500aに液体状の熱硬化性の樹脂が滴下されることによりモールド層503が形成されて、集合体基板500の部品実装面500aに実装された全ての部品501がモールド層503により被覆される(図3(a)参照)。
【0003】
滴下された液体状の樹脂は表面張力を有しているため、集合体基板500の部品実装面500aの全体を被覆するように樹脂が供給されると、図3(b)に示すように、モールド層503の表面は湾曲状に形成される。なお、図3(c)に示すように、集合体基板500の外枠に沿って環状のダム部材504を設け、ディスペンサ502からダム部材504で囲まれた領域に樹脂が充填されるようにしてもよい。
【0004】
次に、図3(d)に示すように、モールド層503が加熱硬化された後、集合体基板500の実装面500aからのモールド層503の高さが一定となるように、モールド層503の湾曲した表面がダイシングブレード505により研削されて平坦面が形成される。そして、集合体基板500が、ダイシング装置506により切断ラインD1〜D8で切断されることにより、個々の電子部品に分割される。なお、図3は従来の電子部品の製造方法の一例を示す図である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−186301号公報(段落0010〜0017、図2、要約書など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記した従来の電子部品の製造方法では、集合体基板500が分割されて製造された電子部品の高さを揃えるために、集合体基板500の部品実装面500aに滴下された樹脂が加熱硬化された後のモールド層503を研削する研削工程が必要であるため、電子部品を製造するための工程数が増加すると共に、研削されたモールド層503の削り屑は再利用することができず廃棄されるため、電子部品の製造コストが増大するという問題があった。
【0007】
また、部品実装面500aに滴下された樹脂が加熱硬化される際に、樹脂は徐々に収縮しながら硬化するため、樹脂が収縮するのに伴い集合体基板500に徐々に反りが生じて中央部分が凹んでお椀状になり、未硬化の樹脂は、集合体基板500の中央部分にゆっくりと流れ込みながら硬化する。そのため、上記したように、表面張力によりモールド層503の表面が湾曲状になるのに加え、樹脂が加熱硬化される際に、樹脂は集合体基板500の中央部分にゆっくりと流れ込みながら硬化するため、集合体基板500の中央部分のモールド層503の厚みは周縁部分と比較すると非常に厚く形成される。
【0008】
したがって、従来のように、研削工程においてダイシングブレード505が平行移動することにより、載置台に載置された集合体基板500の部品実装面500aに形成されたモールド層503が研削されても、研削工程後の集合体基板500の周縁部分と中央部分とではモールド層503の厚みに大きな差が生じ、集合体基板500が分割されて製造された電子部品の高さにばらつきが生じるおそれがあり、技術の改善が求められていた。
【0009】
この発明は、上記した課題に鑑みてなされたものであり、加熱硬化される際に未硬化の樹脂が集合体基板の中央部分に流動するのを抑制することにより、樹脂の研削を行わなくとも部品実装面を被覆するモールド層の厚みのばらつきを低減することができる技術を提供し、樹脂の研削を伴わずにモールド層の厚みのばらつきが低減された電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記した目的を達成するために、本発明の電子部品の製造方法は、部品実装面を被覆するモールド層を備える電子部品の製造方法において、部品実装面に部品が実装された実装用基板が複数配列されて成る集合体基板を用意する工程と、前記部品の上面が露出するように前記集合体基板の部品実装面に熱硬化性の第1の樹脂を充填して第1樹脂層を形成する第1樹脂層形成工程と、前記第1樹脂層から露出した前記部品を熱硬化性の第2の樹脂で被覆して前記第1樹脂層に第2樹脂層を積層する第2樹脂層積層工程と、前記第1樹脂層および前記第2樹脂層が設けられた前記集合体基板を前記実装用基板ごとに分割する分割工程とを備えることを特徴としている(請求項1)。
【0011】
また、前記第1樹脂層形成工程において、前記第1の樹脂として流動性の高い樹脂ペーストが前記部品実装面に充填されて前記第1樹脂層が形成され、前記第2樹脂層積層工程において、前記第1の樹脂よりも粘性の高い前記第2の樹脂により前記第2樹脂層が積層されるようにしてもよい(請求項2)。
【0012】
また、前記第2樹脂層積層工程において、前記第2の樹脂として樹脂シートにより前記第2樹脂層が積層されてもよい(請求項3)。
【0013】
また、前記第1樹脂層形成工程において、前記第1の樹脂が前記部品実装面に充填されて未硬化状態の前記第1樹脂層が形成され、前記第1樹脂層は、前記第2樹脂層積層工程において加熱されて硬化されるようにしてもよい(請求項4)。
【0014】
また、前記第1樹脂層形成工程において、前記第1の樹脂が前記部品実装面に充填された後に半硬化状態に加熱されて前記第1樹脂層が形成され、前記第2樹脂層積層工程において、半硬化状態の前記第1樹脂層が加熱されて硬化されるようにしてもよい(請求項5)。
【0015】
また、本発明の電子部品は、部品実装面に部品が実装された実装用基板と、前記部品実装面を被覆するモールド層とを備える電子部品において、前記モールド層は、前記部品の上面が露出するように前記部品実装面に設けられた第1樹脂層と、前記第1樹脂層から露出した前記部品を被覆して前記第1樹脂層に積層された第2樹脂層とにより形成されていることを特徴としている(請求項6)。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、部品実装面に部品が実装された実装用基板が複数配列されて成る集合体基板が用意され、部品の上面が露出するように集合体基板の部品実装面に熱硬化性の第1の樹脂が充填されて第1樹脂層が形成される。そして、第1樹脂層から露出した部品が熱硬化性の第2の樹脂で被覆されることにより第1樹脂層に第2樹脂層が積層されて、第1樹脂層および第2樹脂層が設けられた集合体基板が実装用基板ごとに分割されることで電子部品が製造される。したがって、モールド層が、第1樹脂層および第2樹脂層ごとに、従来よりも少量の樹脂が集合体基板の部品実装面にそれぞれ充填されることで分割して形成されるため、第1樹脂層および第2樹脂層それぞれが加熱硬化される際に樹脂が収縮することにより集合体基板に反りが生じても、部品実装面に充填された樹脂の量は従来よりも少量であるため、未硬化の第1の樹脂および第2の樹脂が集合体基板の中央部分に流動するのを抑制することができ、加熱硬化された樹脂の研削を行わなくとも部品実装面を被覆するモールド層の厚みのばらつきを低減することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、第1樹脂層形成工程において、第1の樹脂として流動性の高い樹脂ペーストが部品実装面に充填されて第1樹脂層が形成されるため、集合体基板の部品実装面に実装された複数の部品の下部や周辺部分に流動性の高い第1の樹脂が十分に充填された状態で第1樹脂層を形成することができる。また、第2樹脂層積層工程において、第1の樹脂よりも粘性の高い第2の樹脂により第2樹脂層が積層されるため、粘性の高い第2の樹脂により粘性の低い未硬化の第1の樹脂が流動するのを抑制することができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、第2樹脂層積層工程において、第2の樹脂として樹脂シートにより第2樹脂層が積層されるため、樹脂シートにより未硬化の第1の樹脂が流動するのをさらに抑制することができるため、部品実装面を被覆するモールド層の厚みがばらつくのをさらに低減することができる。
【0019】
請求項4の発明よれば、第1樹脂層形成工程において、第1の樹脂が部品実装面に充填されて未硬化状態の第1樹脂層が形成されるが、第1樹脂層は樹脂シートが積層された状態で第2樹脂層積層工程において加熱されて硬化されるため、樹脂シートにより未硬化状態の第1の樹脂が流動するのを抑制することができる。
【0020】
請求項5の発明によれば、第1樹脂層形成工程において、第1の樹脂が部品実装面に充填された後に半硬化状態に加熱されて第1樹脂層が形成され、第2樹脂層積層工程において半硬化状態の第1樹脂層が加熱されて硬化されるため、第1の樹脂が流動するのを抑制することができる。
【0021】
請求項6の発明によれば、実装用基板の部品実装面を被覆するモールド層が、部品実装面に実装された部品の上面が露出するように部品実装面に設けられた第1樹脂層と、第1樹脂層から露出した部品を被覆して第1樹脂層に積層された第2樹脂層とに分割して形成されており、第1樹脂層および第2樹脂層が形成されるときの樹脂の流動が抑制されているため、樹脂の研削を伴わずにモールド層の厚みのばらつきが低減された電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る電子部品の製造方法の一実施形態を示す図であって、(a)は集合体基板の部品実装面に部品が実装された状態を示す図、(b)は第1樹脂層が形成された状態を示す図、(c)は第2樹脂層が積層された状態を示す図、(d)は集合体基板が分割されることによる電子部品の一例を示す図である。
【図2】本発明に係る電子部品の他の例を示す図である。
【図3】従来の電子部品の製造方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明に係る電子部品の製造方法の一実施形態について図1を参照して説明する。図1は本発明に係る電子部品の製造方法の一実施形態を示す図であって、(a)は集合体基板の部品実装面に部品が実装された状態を示す図、(b)は部品実装面に第1樹脂層が形成された状態を示す図、(c)は第1樹脂層に第2樹脂層が積層された状態を示す図、(d)は集合体基板が分割されることによる電子部品の一例を示す図である。
【0024】
この実施形態において製造される電子部品1は、樹脂基板、プリント基板、セラミックス基板、多層基板、フレキシブル基板などの種々の基板により形成される実装用基板2と、実装用基板2の部品実装面2aに実装された抵抗やコンデンサ、コイルなどの受動素子、半導体素子、IC、MEMS、接点端子などの複数の部品3と、エポキシ樹脂などの熱硬化性の樹脂が充填されることにより形成された、部品実装面2a(部品3)を被覆するモールド層4とを備えている。
【0025】
まず、図1(a)に示すように、部品実装面2aに高さの異なる複数の部品3が実装された実装用基板2が複数配列されて成る集合体基板10が用意される。部品3は、集合体基板10の部品実装面2aに、はんだリフローやワイヤボンド接続、バンプ実装などにより実装される。また、集合体基板10の部品実装面2aには、集合体基板10の外枠に沿って環状のダム部材5が設けられている。
【0026】
次に、図1(b)に示すように、集合体基板10の部品実装面2aのダム部材5で囲まれた領域に、第1の樹脂として流動性の高いエポキシ樹脂などの熱硬化性の樹脂ペーストが、複数の部品3のうち最も高背の部品3の上面と同じ高さとなるようにディスペンサ(図示省略)により充填された後、半硬化状態に加熱されて第1樹脂層6が形成される(第1樹脂層形成工程)。
【0027】
続いて、図1(c)に示すように、ダム部材5が集合体基板10の部品実装面2aから取り除かれた後に、第1樹脂層6から露出した部品3が、第2の樹脂としてエポキシ樹脂などの樹脂シートで被覆されて第1樹脂層6に第2樹脂層7が積層される(第2樹脂層積層工程)。なお、第1樹脂層形成工程により半硬化状態に形成された第1樹脂層6は、第2樹脂層積層工程において加熱されることにより硬化される。また、樹脂シートによる第2樹脂層7は、加熱開始時に一旦軟化して第1樹脂層6および部品3に密着し、加熱が継続されることにより硬化する。
【0028】
そして、図1(d)に示すように、第1樹脂層6および第2樹脂層7が設けられた集合体基板10が、ダイシング装置(図示省略)などにより実装用基板2ごとに分割されて電子部品1が製造される(分割工程)。
【0029】
以上のように、上記した実施形態によれば、部品実装面2aに高さの異なる複数の部品3が実装された実装用基板2が複数配列されて成る集合体基板10が用意され、複数の部品3のうちの少なくとも最も高背の部品3の上面が露出するように集合体基板10の部品実装面2aに熱硬化性の第1の樹脂が充填されて第1樹脂層6が形成される。そして、第1樹脂層6から露出した部品3が熱硬化性の第2の樹脂で被覆されることにより第1樹脂層6に第2樹脂層7が積層されて、第1樹脂層6および第2樹脂層7が設けられた集合体基板10が実装用基板2ごとに分割されることで電子部品1が製造される。
【0030】
したがって、モールド層4が、第1樹脂層6および第2樹脂層7ごとに、従来よりも少量の樹脂が集合体基板10の部品実装面2aにそれぞれ充填されることで分割して形成されるため、第1樹脂層6および第2樹脂層7それぞれが加熱硬化される際に樹脂が収縮することにより集合体基板10に反りが生じても、部品実装面2aに充填された樹脂の量は従来よりも少量であるため、未硬化の第1の樹脂および第2の樹脂が集合体基板10の中央部分に流動するのを抑制することができ、加熱硬化された樹脂の研削を行わなくとも部品実装面2aを被覆するモールド層4の厚みのばらつきを低減することができる。
【0031】
また、モールド層4を研削する工程が必要ないため、電子部品1の製造時間の短縮を図ることができると共に、モールド層4の削り屑を廃棄する必要がないため、電子部品1の製造コストの低減を図ることができる。
【0032】
また、第1樹脂層形成工程において、第1の樹脂として流動性の高い樹脂ペーストが部品実装面2aに充填されて第1樹脂層6が形成されるため、集合体基板10の部品実装面2aに実装された複数の部品3の下部や周辺部分に流動性の高い第1の樹脂が十分に充填されて隙間の無い状態で第1樹脂層6を形成することができる。
【0033】
また、第2樹脂層積層工程において、第2の樹脂として樹脂シートにより第2樹脂層7が積層されるため、樹脂シートにより未硬化の第1の樹脂が流動するのをさらに抑制することができるため、部品実装面2aを被覆するモールド層4の厚みがばらつくのをさらに低減することができる。
【0034】
また、従来のように、モールド層4を研削することにより電子部品1の高さを揃える場合には、モールド層4の削りすぎにより部品実装面2aに実装された部品3が露出するおそれがあるため、モールド層4の研削は部品3を被覆する樹脂の厚みに余裕を持たせた状態で行う必要があり、電子部品1の低背化の妨げとなっていた。しかしながら、樹脂シートで第1樹脂層6から露出する部品3を被覆して第2樹脂層7を第1樹脂層6に積層することで、第2樹脂層7である樹脂シートの厚みで確実に部品実装面2aに実装される部品3を被覆することができるので、樹脂シートの厚みを薄くすることで電子部品1の低背化を図ることができる。
【0035】
また、第1樹脂層形成工程において、第1の樹脂が部品実装面2aに充填された後に半硬化状態に加熱されて第1樹脂層6が形成され、第2樹脂層積層工程において半硬化状態の第1樹脂層6が加熱されて硬化されるため、第1の樹脂が流動するのをさらに抑制することができる。
【0036】
また、この実施形態によれば、実装用基板2の部品実装面2aを被覆するモールド層4が、部品実装面2aに実装された高さの異なる複数の部品3のうちの少なくとも最も高背の部品3の上面が露出するように部品実装面2aに設けられた第1樹脂層6と、第1樹脂層6から露出した部品3を被覆して第1樹脂層6に積層された第2樹脂層7とに分割して形成されており、第1樹脂層6および第2樹脂層7が形成されるときの樹脂の流動が抑制されているため、樹脂の研削を伴わずにモールド層4の厚みのばらつきが低減された電子部品1を製造することができる。
【0037】
また、最も高背の部品3とほぼ同じ高さまで第1樹脂層6を形成することにより、最も高背の部品3の上面と第1樹脂層6の表面をほぼ同じ高さにすることができるため、第2樹脂層7として樹脂シートを使用した場合、2つの樹脂層6,7間に隙間を作ることなくモールド層4を形成することができる。
【0038】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上記したもの以外に種々の変更を行なうことが可能であり、例えば、図3に示すように、第1樹脂層6を、部品実装面2aに実装された高さの異なる複数の部品3のうち最も高背の部品3の上面よりも低くなるように第1の樹脂を充填して形成してもよい。
【0039】
このように構成すると、電子部品1の実装用基板2の中央部分よりも周縁部分の高さが低くなるようにモールド層4が形成されるため、電子部品1をテーピングしたり、吸着移動したり、マザー基板に実装したりする際に、搬送装置や実装装置、マザー基板に実装されている他の電子部品に衝突することを防止することができるので、電子部品1が割れたり欠けたりするのを防止することができる。また、第1の樹脂層6は、高さの異なる複数の部品3の上面が露出するように形成してもよい。なお、図2は電子部品の他の例を示す図である。
【0040】
また、第2樹脂層積層工程において、樹脂シートを用いずに、第1の樹脂よりも粘性の高い第2の樹脂により第2樹脂層7を形成してもよく、このように構成すると、粘性の高い第2の樹脂により粘性の低い未硬化の第1の樹脂が流動するのを抑制することができる。
【0041】
また、第1樹脂層形成工程において、第1の樹脂が部品実装面2aに充填されて未硬化状態の第1樹脂層6が形成され、第1樹脂層6が、第1樹脂層6に樹脂シートにより第2樹脂層7が積層される第2樹脂層積層工程において加熱されて硬化されるようにしてもよく、このように構成しても、第1樹脂層6は樹脂シートが積層された状態で加熱されて硬化されるため、樹脂シートにより未硬化状態の第1の樹脂が流動するのを抑制することができる。
【0042】
また、第1の樹脂および第2の樹脂の線膨張係数はほぼ同じであることが望ましく、このようにすると、第1樹脂層6および第2樹脂層7の加熱硬化時の収縮量がほぼ同じとなるため、第1樹脂層6および第2樹脂層7が応力により分離するのを防止することができる。また、第1の樹脂および第2の樹脂は、硬化温度が150℃程度である熱硬化性の樹脂を採用するとよい。
【0043】
また、部品実装面2aに実装される部品の数は1つでもよく、この場合、当該部品の上面が露出するように第1の樹脂層6を形成すればよい。また、部品実装面2aに同じ高さの複数の部品が実装されている場合には、各部品の上面が露出するように第1の樹脂層6を形成すればよい。また、第1の樹脂層6および第2の樹脂層7をほぼ同じ粘性を有する樹脂を用いて形成してもよい。
【0044】
そして、本発明は、種々の電子部品の製造方法に適用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 電子部品
2 実装用基板
2a 部品実装面
3 部品
4 モールド層
6 第1樹脂層
7 第2樹脂層
10 集合体基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品実装面を被覆するモールド層を備える電子部品の製造方法において、
部品実装面に部品が実装された実装用基板が複数配列されて成る集合体基板を用意する工程と、
前記部品の上面が露出するように前記集合体基板の部品実装面に熱硬化性の第1の樹脂を充填して第1樹脂層を形成する第1樹脂層形成工程と、
前記第1樹脂層から露出した前記部品を熱硬化性の第2の樹脂で被覆して前記第1樹脂層に第2樹脂層を積層する第2樹脂層積層工程と、
前記第1樹脂層および前記第2樹脂層が設けられた前記集合体基板を前記実装用基板ごとに分割する分割工程と
を備えることを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項2】
前記第1樹脂層形成工程において、前記第1の樹脂として流動性の高い樹脂ペーストが前記部品実装面に充填されて前記第1樹脂層が形成され、
前記第2樹脂層積層工程において、前記第1の樹脂よりも粘性の高い前記第2の樹脂により前記第2樹脂層が積層されることを特徴とする請求項1に記載の電子部品の製造方法。
【請求項3】
前記第2樹脂層積層工程において、前記第2の樹脂として樹脂シートにより前記第2樹脂層が積層されることを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品の製造方法。
【請求項4】
前記第1樹脂層形成工程において、前記第1の樹脂が前記部品実装面に充填されて未硬化状態の前記第1樹脂層が形成され、前記第1樹脂層は、前記第2樹脂層積層工程において加熱されて硬化されることを特徴とする請求項3に記載の電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記第1樹脂層形成工程において、前記第1の樹脂が前記部品実装面に充填された後に半硬化状態に加熱されて前記第1樹脂層が形成され、前記第2樹脂層積層工程において、半硬化状態の前記第1樹脂層が加熱されて硬化されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電子部品の製造方法。
【請求項6】
部品実装面に部品が実装された実装用基板と、前記部品実装面を被覆するモールド層とを備える電子部品において、
前記モールド層は、
前記部品の上面が露出するように前記部品実装面に設けられた第1樹脂層と、
前記第1樹脂層から露出した前記部品を被覆して前記第1樹脂層に積層された第2樹脂層とにより形成されている
ことを特徴とする電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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