説明

電子部品焼成用道具材

【課題】炭化ケイ素質基材の電子部品焼成用道具材において、ジルコニア表面層へのシリコンや酸素の浮上が抑制され、繰り返し使用においても、より長寿命化を図ることができる道具材を提供する。
【解決手段】炭化ケイ素基材表面の少なくとも被焼成物である電子部品が載置される部分に、ムライトを主成分とし、アルミナの総含有量が65〜95質量%であるアルミナ−シリカ質の厚さ30〜300μmの下地層が形成され、その上に、未安定ジルコニア、カルシアもしくはイットリアを安定化剤とした安定化もしくは部分安定化ジルコニア、および、Ca,Ba,SrもしくはMgのジルコン酸塩のうちの少なくともいずれか1種の皮膜からなる表面層が形成された構成からなる電子部品焼成用道具材を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミックコンデンサ(multiple-layer ceramic capacitor;以下、MLCCという)、ソフトフェライト等の電子部品の焼成や熱処理工程において使用されるセッター、棚板、匣鉢等の炭化ケイ素質道具材に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミック電子部品の焼成や熱処理は、一般に、800〜1400℃の温度範囲で行われる。このため、その焼成用道具材としては、アルミナ−シリカ質、アルミナ−シリカ−マグネシア質、マグネシア−アルミナ−ジルコニア質、炭化ケイ素質等の耐熱性に優れたセラミックスが用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、アルミナ−シリカ質、アルミナ−シリカ−マグネシア質またはマグネシア−アルミナ−ジルコニア質の基材の表面に、ムライトを主成分とし、アルミナ含有量が50〜78重量%のアルミナ−シリカ質からなる第1中間層と、アルミナ質からなる第2中間層と、ジルコニア層とを順次積層させて、耐熱衝撃性に優れた基材と難反応性に優れたジルコニア層との間に両者の熱膨張差を緩和させる中間層を介在させた構成とすることにより、道具材の亀裂や割れ、皮膜の剥離を抑制することができることが記載されている。
【特許文献1】特開2007−76935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された道具材は、シリカ質、アルミナ−シリカ質またはアルミナ−シリカ−マグネシア質の基材自体が、十分な耐クリープ性を有しているとは言えず、繰り返しの使用により、反りが生じ、使用不能になるという課題を有していた。
【0005】
このため、耐熱強度および耐クリープ性の観点からは、炭化ケイ素質の道具材の方が好ましい。炭化ケイ素質の道具材としては、例えば、炭化ケイ素基材表面に、アルミナ下地層、ジルコニア表面層が形成されたものが知られている。
本発明者らも、炭化ケイ素基材表面にシリカ層を形成し、さらに、ジルコニアまたはアルミナからなる被覆層を形成したMLCC焼成用道具材を既に提案している(特願2007−170237)。
このような機械的熱的特性に優れた炭化ケイ素を基材とした道具材は、肉薄化、長寿命化を図ることができ、また、基材表面にシリカ層を形成しておくことにより、炭化ケイ素基材の酸化反応等による炉内雰囲気への影響、被覆層の剥離、被焼成物の変色等の焼結異常等の課題も改善される。
【0006】
しかしながら、炭化ケイ素基材表面にシリカ層を形成しておくと、繰り返しの使用により、前記シリカ層からのシリコンや酸素が、ジルコニア被覆層表面に徐々に浮上し、そのうち露出する。そして、前記シリコンや酸素が、該道具材上に載置されている被焼成物と反応し、電子部品焼成における歩留まりを低下させるという不具合を招いていた。
【0007】
したがって、炭化ケイ素質の道具材においては、繰り返しの使用においても、基材の炭化ケイ素からのシリコンや酸素の浮上が抑制され、被焼成物との反応を生じることのない構成とすることが望ましい。
【0008】
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、炭化ケイ素質基材の電子部品焼成用道具材において、ジルコニア表面層へのシリコンや酸素の浮上が抑制され、繰り返し使用においても、より長寿命化を図ることができる道具材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電子部品焼成用道具材は、炭化ケイ素基材表面の少なくとも被焼成物である電子部品が載置される部分に、ムライトを主成分とし、アルミナの総含有量が65〜95質量%であるアルミナ−シリカ質の厚さ30〜300μmの下地層が形成され、その上に、未安定ジルコニア、カルシアもしくはイットリアを安定化剤とした安定化もしくは部分安定化ジルコニア、および、Ca,Ba,SrもしくはMgのジルコン酸塩のうちの少なくともいずれか1種の皮膜からなる表面層が形成されていることを特徴とする。
上記のような層構成を備えた道具材によれば、炭化ケイ素基材からのシリコンや酸素のジルコニア質表面層への浮上が抑制され、繰り返し使用においても、より長寿命化を図ることができる。
【0010】
前記炭化ケイ素基材は、表面にシリカ層が形成されているものであってもよい。
このシリカ層により、基材の炭化ケイ素の酸化が抑制され、前記下地層による効果と併せて、被焼成物の変色等の焼結異常等の防止効果および表面層のクラックや剥離を抑制する効果をより向上させることができる。
【0011】
また、前記下地層と表面層との間に、アルミナ層またはアルミナの総含有量が95質量%以上であるアルミナとムライトの混合層からなる中間層が少なくとも1層形成されていることが好ましい。
前記中間層により、炭化ケイ素基材とジルコニア質表面層の熱膨張差により生じる応力をより緩和することができ、表面層の剥離防止効果の向上が図られる。
【0012】
さらに、前記皮膜はプラズマ溶射膜であることが好ましい。
プラズマ溶射法によれば、密着性に優れ、剥離しにくく、また、緻密かつ比表面積が小さく、被焼成物との難反応性にも優れた皮膜が得られる。
【発明の効果】
【0013】
上述したとおり、本発明によれば、炭化ケイ素質基材の電子部品焼成用道具材において、ジルコニア質表面層へのシリコンや酸素の浮上が抑制され、繰り返し使用においても、より長寿命化を図ることができる。
したがって、本発明に係る電子部品焼成用道具材を用いれば、被焼成物の変色等の焼結異常等が抑制され、セラミック電子部品の生産効率の向上、さらに、生産コストの低減化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明をより詳細に説明する。
本発明に係る電子部品焼成用道具材は、炭化ケイ素基材表面の少なくとも被焼成物である電子部品が載置される部分に、アルミナ−シリカ質の下地層、その上に、ジルコニア質の皮膜からなる表面層が形成されているものである。
すなわち、本発明は、炭化ケイ素を基材とする焼成用道具材において、前記基材表面にアルミナ−シリカ質の下地層を形成し、その上に、チタン酸バリウムを主成分とするMLCC等の電子部品との難反応性に優れたジルコニア質の表面層を備えた構成としたものである。
【0015】
前記アルミナ−シリカ質の下地層は、ムライトを主成分とし、アルミナの総含有量が65〜95質量%となるように構成される。
このような下地層を形成することにより、炭化ケイ素基材からのシリコンや酸素の浮上を抑制することができる。
【0016】
ムライトの組成は3Al23・2SiO2であり、アルミナ含有量の理論値は71.8質量%であるが、市販のムライト原料のアルミナ含有量は65〜85質量%である。
したがって、前記下地層は、ムライト単独で構成されていてもよく、あるいはまた、ムライトとアルミナとの混合層として形成されていてもよい。
【0017】
混合層とする場合には、上記のように、市販のムライト原料の組成にバラツキがあるため、主成分とするムライトの配合量を規定することは困難であり、本発明においては、アルミナの総含有量を基準として、配合量を定め、65〜95質量%の範囲内となるようにする。ムライトの配合量の目安としては、30質量%以上である。
ムライトの配合量が少なすぎて、下地層のアルミナの総含有量が95質量%を超える場合は、シリカ成分が少なすぎるため、ジルコニア質表面層へのシリコンや酸素の浮上を抑制する効果が十分に得られない。
【0018】
また、下地層を上記のような混合層とする場合、基材側から表面層側に向かって、アルミナ配合比が増加していくように、ムライトとアルミナとの配合比を変化させて、複数層形成してもよい。
炭化ケイ素、ムライト、アルミナ、ジルコニアの熱膨張係数(単位:×10-6/℃)は、それぞれ、4.4、5.2、8.0、9.5である。すなわち、ムライトとアルミナの熱膨張係数は、炭化ケイ素基材とジルコニア質表面層の熱膨張係数の間にある。
したがって、下地層において、ムライトとアルミナの配合比を変化させ、複数層からなる熱膨張係数の傾斜層を形成することにより、炭化ケイ素基材とジルコニア質表面層の熱膨張差により生じる応力を緩和することができる。
【0019】
前記下地層の厚さは30〜300μmであることが好ましい。
前記厚さが30μm未満である場合、上記のようなジルコニア質表面層へのシリコンや酸素の浮上を抑制する効果が十分に得られない。
一方、前記厚さが300μmを超えても、上記効果のそれ以上の向上は見られず、また、厚すぎると、道具材全体の肉薄化の妨げとなり、高重量、高コスト等のデメリットが大きい。
前記下地層の厚さは、より好ましくは、50〜300μmである。
【0020】
さらに、前記下地層の上には、アルミナ層またはアルミナの総含有量が95質量%以上であるアルミナとムライトの混合層からなる中間層が形成されていることが好ましい。
このように、前記下地層と表面層との中間の熱膨張係数を有する中間層を形成することにより、複数層からなる熱膨張係数の傾斜層が形成されることとなり、炭化ケイ素基材とジルコニア質表面層の熱膨張差により生じる応力をより一層緩和することができ、表面層の剥離防止効果の向上が図られる。
この中間層は、1層のみでも、あるいはまた、アルミナとムライトの配合比を変化させた複数層の熱膨張係数の傾斜層として形成してもよい。
【0021】
前記下地層または中間層の形成方法は、特に限定されるものではないが、基材表面に、所定の配合のアルミナ−シリカ質またはアルミナスラリーをスプレーコート等で塗布した後、高温で焼き付ける方法、プラズマ溶射等の溶射法により皮膜を形成する方法等が実用的で好ましい。
【0022】
前記下地層または中間層の上に形成されるジルコニア質の皮膜からなる表面層は、未安定ジルコニア、カルシアもしくはイットリアを安定化剤とした安定化もしくは部分安定化ジルコニアにより形成されることが好ましい。
このようなジルコニア質の皮膜は、電子部品焼成用道具材の表面層に要求される被焼成物との難反応性、剥離や脱落を生じにくい耐久性等の特性の観点から、好適な材質である。
【0023】
また、前記表面層は、被焼成物の種類、材質や用途等によっては、反応性および耐久性の観点から、Ca,Ba,SrもしくはMgのジルコン酸塩、すなわち、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸マグネシウムのうちのいずれかにより形成されていてもよい。
【0024】
前記表面層の厚さは、道具材の形状、下地層の材質等によって異なるが、50μm以上であることが好ましい。
前記厚さが50μm未満では、上記のような難反応性、高耐久性等の十分な効果が得られない。
一方、前記表面層は厚いほど、その断熱効果により基材および下地層を保護することができるが、厚すぎると、道具材の重量が増加し、肉薄化、軽量化に反し、また、剥離しやすくなる。
外径100〜500mm四方、肉厚3〜20mm程度の標準的なサイズの焼成用容器の場合には、前記表面層の厚さは100〜600μmであることが、より好ましい。
【0025】
前記表面層の形成方法としては、前記下地層と同様に、ススラリーを塗布した後に高温で焼き付ける方法、溶射法等を用いることができるが、本発明においては、アンカー効果を利用した物理的な密着が可能であり、剥離しにくいことから、特に、プラズマ溶射等の溶射法が好ましい。
溶射法は、緻密かつ比表面積が小さく、被焼成物との難反応性に優れた皮膜が得られるという利点も有している。
特に、水プラズマ溶射法により形成した皮膜は、表面粗さが大きく、被焼成物との接触面積が小さく、被焼成物と反応しにくいため好ましい。また、弾性率が低く、膨張および収縮に伴う熱応力の発生が小さく、応力が分散され、膨張自体が緩和される等の効果が得られることから、難剥離性の点でも有利である。
【0026】
なお、プラズマ溶射法による皮膜は、プラズマアーク中で皮膜材料が一旦溶解した後、吹き付けられることにより形成されるが、溶射の条件によっては、プラズマアークが還元雰囲気であるために酸素欠陥が生じたり、急冷凝固するために不安定な結晶構造で皮膜が形成されたりする場合がある。
このような場合には、表面層が活性化され、被焼成物と反応しやすくなるため、該道具材は、使用前に、実際の使用温度またはそれよりもやや高温で熱処理することが好ましい。この熱処理により、表面層を安定な皮膜として形成することができる。
一般に、セラミック電子部品の焼成温度は、800〜1400℃程度であるため、前記熱処理は、1000〜1500℃程度で行うことが好ましい。
【0027】
また、炭化ケイ素基材は、特に限定されるものではないが、例えば、以下のような方法により作製したものを用いることが好ましい。
まず、炭化ケイ素粉末原料に、焼結後の残炭率が5.0重量%未満となる量の有機バインダを添加して混合し、混合物を得る。この混合物に、水を加えて混練し、成形して得られた多孔質成形体を、1500〜2400℃で焼結させることにより、炭化ケイ素基材を作製することができる。
【0028】
なお、本発明においては、表面にシリカ層が形成された炭化ケイ素基材を用いてもよく、この場合は、例えば、上記により得られた焼結体を酸素濃度が2%以上の酸素雰囲気下、1350〜1650℃で1〜6時間焼成したものを基材として用いることができる。
このシリカ層により、基材の炭化ケイ素の酸化が抑制され、下地層による効果と併せて、被焼成物の変色等の焼結異常等の防止効果の向上が図られ、また、炭化ケイ素基材と下地層との界面での物理特性の変化が防止され、表面層のクラックや剥離の発生を抑制する効果をより向上させることができる。
【0029】
前記炭化ケイ素粉末原料は、通常、この種の炭化ケイ素系セラミックスの製造に用いられている炭化ケイ素粉末を用いることができる。例えば、純度約90%以上、平均粒径0.1〜200μm程度の市販品を用いることができるが、被焼成物との反応防止の観点から、純度95%以上の高純度のものが好ましく、より好ましくは、純度99%以上である。また、粉末粒径は、均質でなくてもよく、微粒品(平均粒径0.5〜10μm)と粗粒品(平均粒径20〜200μm)との混合粉末であってもよい。
【0030】
また、前記有機バインダとしては、一般に用いられているものでよく、具体的には、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、フェノール・フルフラール樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂、ポリフェニレン等の芳香族系樹脂バインダ、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリル系樹脂等の脂肪族系樹脂バインダ、シリコーン樹脂、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、タールピッチ等の各種有機バインダが挙げられる。
前記有機バインダの添加量は、焼結後の残炭率が5.0重量%未満となるようにする。
残炭率が5.0重量%を超えると、酸化量が多くなり、酸化処理に時間がかかる。
【0031】
前記成形方法としては、プレス、ラバープレス、押出、スリップキャスト等の通常の方法を用いることができ、これらの方法により、所望の形状に成形することができる。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例に基づきさらに具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により制限されるものではない。
[実施例1]
まず、炭化ケイ素粉末原料に、焼結後の残炭率が5.0重量%未満となる量のメチルセルロース系バインダを添加して混合し、混合物を得た。
前記混合物に、水を加えて混練し、プレス成形により、多孔質成形体を得た。
前記多孔質成形体を2300℃で焼結させ、150mm×150mm×厚さ3mmの炭化ケイ素基材を作製した。
この基材の表面に、水プラズマ溶射により、ムライト(アルミナ−シリカ質)下地層を厚さ100μmで形成し、さらに、その上に、ジルコニアに対して8%のイットリアを添加した部分安定化ジルコニアの皮膜からなる表面層を厚さ100μmで形成し、セッターを作製した。
【0033】
上記により作製したセッターから、150mm×50mmの試料を切り出し、この試料について、以下の方法により、セラミック電子部品の焼成試験を行った。
前記試料上に、直径4mm×高さ3mmのチタン酸バリウム成形体を載置し、窒素および水素(99:1)の混合ウェットガスを流入し、酸素分圧10-19〜10-21atmの弱還元雰囲気に調整された電気炉にセットし、600℃−1350℃間でのヒートサイクルを繰り返した。
このヒートサイクルを30回繰り返した後、チタン酸バリウム成形体を載置していたセッター試料表面の4箇所(直径20m)について、蛍光X線分析により、シリカ量を測定し、平均値を求めた。
【0034】
[実施例2〜7、比較例1〜5]
実施例1と同様の基材に、表1の実施例2〜7、比較例1〜5のそれぞれに示す下地層、中間層、表面層の構成でセッターを作製し、各セッターから切り出した試料について、実施例1と同様にして、セラミック電子部品の焼成試験を行った。
【0035】
上記実施例および比較例の試験結果を表1にまとめて示す。
【0036】
【表1】

【0037】
表1に示した結果から、ムライト下地層を形成することにより、ヒートサイクル後の表面のシリカ量が低減することが認められた。
また、アルミナ下地層を形成した場合(比較例2,3)、該下地層を厚くすることにより、前記シリカ量の多少の低減効果は認められるが、ムライト下地層の方が、前記シリカ量の低減効果が大きいことが認められた。
【0038】
また、ムライト下地層の厚さは、50〜250μmの範囲内の場合(実施例1〜4)には、ヒートサイクル後の表面のシリカ量に大差はなく、厚さの影響は見られず、セラミック電子部品の焼成に問題のないレベルであった。
一方、前記厚さが20μm以下の場合(比較例4)は、ヒートサイクル後の表面のシリカ量が多くなり、下地層により基材からのシリコンや酸素の浮上を抑制する十分な効果は得られなかった。
【0039】
また、ムライトとアルミナの混合層により下地層を形成した場合(実施例6,7、比較例5)、ムライトの混合比が大きい、すなわち、アルミナ含有量が少ないほど、ヒートサイクル後の表面のシリカ量の低減効果が大きく、アルミナ含有量が93質量%以下の場合(実施例6)、セラミック電子部品の焼成に問題のないレベルであることが認められた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化ケイ素基材表面の少なくとも被焼成物である電子部品が載置される部分に、ムライトを主成分とし、アルミナの総含有量が65〜95質量%であるアルミナ−シリカ質の厚さ30〜300μmの下地層が形成され、その上に、未安定ジルコニア、カルシアもしくはイットリアを安定化剤とした安定化もしくは部分安定化ジルコニア、および、Ca,Ba,SrもしくはMgのジルコン酸塩のうちの少なくともいずれか1種の皮膜からなる表面層が形成されていることを特徴とする電子部品焼成用道具材。
【請求項2】
前記炭化ケイ素基材が、表面にシリカ層が形成されているものであることを特徴とする請求項1記載の電子部品焼成用道具材。
【請求項3】
前記下地層と表面層との間に、アルミナ層またはアルミナの総含有量が95質量%以上であるアルミナとムライトの混合層からなる中間層が少なくとも1層形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の電子部品焼成用道具材。
【請求項4】
前記被膜がプラズマ溶射膜であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子部品焼成用道具材。

【公開番号】特開2009−234817(P2009−234817A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−79904(P2008−79904)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(507182807)コバレントマテリアル株式会社 (506)
【出願人】(390001801)大阪富士工業株式会社 (12)
【Fターム(参考)】