電子部品用ソケット
【課題】バーンインテストなどの熱によりハウジングが変形するのを防止すること。
【解決手段】電子部品(例えば、ICパッケージ)を収容するハウジング2と、このハウジング2に回動可能に軸支され、電子部品を押圧する初期位置から当該電子部品の収容領域外の位置まで移動する押圧ユニット4と、この押圧ユニット4の回動を操作する操作部材6と、この操作部材6を上記初期位置に付勢する付勢ユニット5と、ハウジング2と一体的に設けられ、付勢ユニット5における操作部材6と相対しない一端部を受ける受け面部33を有する金属製のフレーム3とを具備することを特徴とする。
【解決手段】電子部品(例えば、ICパッケージ)を収容するハウジング2と、このハウジング2に回動可能に軸支され、電子部品を押圧する初期位置から当該電子部品の収容領域外の位置まで移動する押圧ユニット4と、この押圧ユニット4の回動を操作する操作部材6と、この操作部材6を上記初期位置に付勢する付勢ユニット5と、ハウジング2と一体的に設けられ、付勢ユニット5における操作部材6と相対しない一端部を受ける受け面部33を有する金属製のフレーム3とを具備することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品用ソケットに関し、特に、バーンインボード等に搭載される電子部品用ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ICパッケージが収容されるハウジングと、このハウジングに対し上下動可能に装着され、付勢ばねにより上方側へ付勢された操作部材と、ICパッケージを押圧してパッケージ下面の各接点を対応するコンタクトに接触させる押圧部材とを備え、操作部材に対する下方側への押圧操作に応じて押圧部材をICパッケージ上から退避させる一方、操作部材に対する押圧操作の解放に応じて押圧部材でICパッケージを押圧する電子部品(ICパッケージ)用ソケットが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この電子部品用ソケットにおいては、付勢ばねがハウジングと操作部材との間に配設され、操作部材に対する付勢力が付与されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−165168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した電子部品用ソケットにおいては、付勢ばねを樹脂材料で形成されるハウジングの一部で受けていることから、バーンインテストなどにより熱を長時間掛けていると、付勢ばねとの接触部分においてハウジングが変形する恐れがある。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、バーンインテストなどの熱によりハウジングが変形するのを防止することができる電子部品用ソケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子部品用ソケットは、電子部品を収容するハウジングと、前記ハウジングに回動可能に軸支され、前記電子部品を押圧する初期位置から当該電子部品の収容領域外の位置まで移動する押圧ユニットと、前記押圧ユニットの回動を操作する操作部材と、前記操作部材を前記初期位置に付勢する付勢部材と、前記ハウジングと一体的に設けられ、前記付勢部材における前記操作部材と相対しない一端部を受ける受け面を有する金属製のフレームとを具備することを特徴とする。
【0007】
上記電子部品用ソケットによれば、金属製のフレームで付勢部材における操作部材と相対しない一端部を受けるようにしたことから、付勢部材の付勢力が直接的にハウジングに作用するのを防止できるので、バーンインテストなどにより熱を長時間掛けた場合においても、熱によりハウジングが変形するのを防止することが可能となる。
【0008】
上記電子部品用ソケットにおいて、前記付勢部材は、前記一端部を上方側に配置して前記フレームの受け面に当接させる一方、下方側に配置される他端部を用いて前記操作部材を付勢することが好ましい。この場合には、上方側に配置した一端部を固定する一方、下方側に配置した他端部で操作部材を付勢することから、操作部材に対する操作に応じて発生する力を上方側に向けて作用させることができるので、ハウジングに対する影響を低減でき、当該ハウジングの変形を効果的に防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、金属製のフレームで付勢部材における操作部材と相対しない一端部を受けるようにしたことから、付勢部材の付勢力が直接的にハウジングに作用するのを防止できるので、バーンインテストなどにより熱を長時間掛けた場合においても、熱によりハウジングが変形するのを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電子部品用ソケットの分解斜視図である。
【図2】上記実施の形態に係る電子部品用ソケットの外観を示す斜視図である。
【図3】図2に示す電子部品用ソケットから後述する操作部材を取り外した状態の斜視図である。
【図4】上記実施の形態に係る電子部品用ソケットの側断面図である。
【図5】上記実施の形態に係る電子部品用ソケットの側断面図である。
【図6】上記実施の形態に係る電子部品用ソケットの外観を示す斜視図である。
【図7】図6に示す電子部品用ソケットから操作部材を取り外した状態の斜視図である。
【図8】上記実施の形態に係る電子部品用ソケットの側断面図である。
【図9】上記実施の形態に係る電子部品用ソケットの側断面図である。
【図10】上記実施の形態に係る電子部品用ソケットの外観を示す斜視図である。
【図11】図10に示す電子部品用ソケットから操作部材を取り外した状態の斜視図である。
【図12】上記実施の形態に係る電子部品用ソケットの側断面図である。
【図13】上記実施の形態に係る電子部品用ソケットの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施の形態に係る電子部品用ソケット(以下、単に「ソケット」という)は、ICパッケージ(以下、「IC」という)などの電子部品をバーンインテストに供する場合に好適に用いられるものである。本実施の形態に係るソケットに収容され、バーンインテストに供される電子部品としてのICには、例えば、BGA(ボールグリッドアレイ)型やLGA(ランドグリッドアレイ)型のような、ほぼ球状又はパッド状の外部接点(電極)が、パッケージ下面に微細ピッチで多数配設されている。
【0012】
図1は、本実施の形態に係るソケットの分解斜視図である。図2は、本実施の形態に係るソケットの外観を示す斜視図である。図3は、図2に示すソケットから後述する操作部材を取り外した状態の斜視図である。図1〜図3に示すように、本実施の形態に係るソケット1は、ソケット本体の底面を構成するハウジング2と、このハウジング2に一体的に設けられた一対のフレーム3と、ハウジング2に回動可能に保持された一対の押圧ユニット4と、これらの押圧ユニット4に付勢力を付与する一対の付勢ユニット5と、これらの付勢ユニット5の付勢力により押圧ユニット4を介して上方側に付勢された操作部材6とを含んで構成されている。なお、図1〜図3においては、ハウジング2内に収容されたICが押圧ユニット4により押圧されている状態について示している。
【0013】
ハウジング2は、金属材料に対する機械加工により成形されており、図1に示すように、概して平板形状を有する一対の底面部21a、21bを一対の連結部22a、22bで連結した形状を有している。ICは、これらの底面部21a、21bと、連結部22a、22bとの間に形成される空間に収容され、その下面の外部接点が、ソケット1の被固定面に設けられたコンタクトと接触するように構成されている。それぞれの底面部21a、21bの外側の隅部には、上方に延出し、概してL字形状を有する一対の保持片23a、23bが立設されている。また、それぞれの底面部21a、21bの内側における連結部22a、22bの近傍には、上方に延出する一対の壁部24a、24bが立設されている。これらの壁部24a、24bの略中央には、取付孔25a、25bが形成され、押圧ユニット4を回動自在に取り付ける取付部材26a、26bが装着される。また、壁部24a、24bの上方側端面には、後述する押圧ユニット4の金属軸45が付勢ユニット5の付勢力に応じて接触しながら移動する円弧形状部27が設けられている。
【0014】
フレーム3は、金属製の板状部材にブランキング加工及び折り曲げ加工を施すことで形成され、平板形状を有する底面部31と、この底面部31の内側端部から上方側に延出するように立設された側面部32と、この側面部32の上端部の中央近傍に底面部31と対向するように設けられた受け面部33とを有し、これらの底面部31、側面部32及び受け面部33で概してコ字形状に設けられている。底面部31及び側面部32には、後述する押圧ユニット4の金属軸45が通過可能な一対のスリット34a、34bが形成されている。側面部32に形成されたスリット34a、34bの一部は、円弧形状に設けられ、概して壁部24a、24bの円弧形状部27に沿った形状とされている。受け面部33の下面には、後述する付勢ユニット5の付勢ばね51a〜51cの上端部を係止する複数(本実施形態では3つ)の係止部33a〜33cが設けられている。受け面部33には、中央に配置される係止部33bに対応する位置に開口部が形成されている。底面部31と受け面部33との間に付勢ユニット5を配設した状態において、この開口部を介して固定ピン35を挿入することにより付勢ユニット5がフレーム3に取り付けられるものとなっている。双方のフレーム3の側面部32における上端部近傍には一対の孔32a、32bが形成されている。これらの孔32a、32bには、後述する操作部材6の溝部64と係合する係合ピン36a、36bが取り付けられ、操作部材6の一定位置以上の上方側への移動を制限している。
【0015】
押圧ユニット4は、平行に配置された金属製の板状部材からなる一対のフレーム41と、これらのフレーム41の一端側(外側)にて両者を連結する連結軸42と、フレーム41の上端側にて両者を連結する連結軸43と、フレーム41の他端側(内側)にて回動可能に軸支された押圧部材44と、この押圧部材44の下端部近傍の挿入孔に挿入された金属軸45とを有している。押圧ユニット4は、フレーム41の下端側に形成された孔46に、壁部24a、24bの開口部25a、25bに取り付けられた取付部材26a、26bの一部を挿通させることで、取付部材26a、26bの中心点を回動支点としてハウジング2に回動可能に保持されている。押圧部材44は、その一端部(上端部)近傍に挿入された軸47でフレーム41に回動可能に軸支されると共に、その他端部(下端部)近傍に付勢ユニット5からの付勢力が付与される金属軸45が挿入されている。
【0016】
付勢ユニット5は、付勢部材として機能するものであり、複数(本実施形態では3つ)の付勢ばね51a〜51cと、これらの付勢ばね51a〜51cの下端部を収納する金属製のケース52と、このケース52の下方側に配置され、押圧ユニット4の金属軸45と接触する金属製のカバー53とを有している。ケース52の内底面には、付勢ばね51a〜51cの下端部を係止する複数の係止部が設けられている(図1に不図示)。付勢ばね51a〜51cは、例えば、コイルばねで構成され、上述したケース52の係止部によって下端部を係止される一方、フレーム3の受け面部33の係止部33a〜33cによって上端部を係止されている。また、ケース52には、中央に配置される係止部に対応する位置に開口部が形成されている(図1に不図示)。付勢ユニット5をフレーム3に固定するための固定ピン35は、付勢ばね51bの内部を通過すると共に、この開口部を貫通され、フレーム3の下面側で固定されるものとなっている。
【0017】
操作部材6は、例えば、絶縁性の樹脂材料で成形され、対向する一対の側面部61a、61bからなる枠状体をなし、上下方向に貫通する矩形状の貫通孔62を有している。側面部61aは、フレーム3及び付勢ユニット5に対向して配置されており、側面部61bは、押圧ユニット4の連結軸42に対向して配置されている。側面部61bの内側には、押圧ユニット4の連結軸42を上方側から押圧可能な押圧部63が設けられている。この押圧部63の内部には溝部64が形成されており、この溝部64は係合ピン36a、36bを収容可能に設けられている。この溝部64の内底面が係合ピン36a、36bと当接することにより、操作部材6が一定位置以上に上方側に移動するのを規制する役割を果たしている。
【0018】
このような構成部品を有するソケット1を組み立てると、図3に示すように、ハウジング2の壁部24a、24bに押圧ユニット4が取り付けられると共に、その底面部21a、21bにフレーム3が取り付けられる。この場合において、押圧ユニット4の金属軸45は、壁部24a、24bの内側に配置されると共に、フレーム3のスリット34a、34bを介して壁部24a、24bの付勢ユニット5側に延出した状態となっている。また、フレーム3は、底面部31がハウジング2の底面部21a、21bに重ね合わされると共に、その端部が保持片23a、23bに保持された状態でハウジング2の下面側から固定されるものとなっている。この場合、ハウジング2の製造時においては、一切のインサート成形が必要とされず、簡単にハウジング2を製造することが可能となる。
【0019】
フレーム3においては、底面部31と受け面部33との間に付勢ユニット5が装着されている。この場合において、付勢ユニット5は、壁部24a、24bの付勢ユニット5側に延出し、スリット34a、34b内に配置された金属軸45の上方側に載置された状態となっている。そして、金属軸45が上方側に移動した場合、付勢ばね51a〜51cの付勢力に抗してケース52が上方側に移動すると共に、金属軸45を下方側に押圧する付勢力を付与するように構成されている。
【0020】
操作部材6は、図2に示すように、係合ピン36a、36bを溝部64の内部に収容すると共に、押圧部63を押圧ユニット4の連結軸42の上部に載置した状態で配置されている。この場合において、付勢ユニット5は、側面部61aの内側に配置されており、ハウジング2の保持片23a、23bは、側面部61a、61bの外側であって、これらの四隅に対応する凹部に配置されている。従って、これらの構成が、操作部材6が下方側に移動した場合に操作部材6に接触することはない。
【0021】
図4及び図5は、本実施の形態に係るソケット1の側断面図である。図4においては、押圧ユニット4の押圧部材44の中央部における断面を示しており、図5においては、ハウジング2の壁部24a、24bと、フレーム3の側面部32との間の水平面における断面を示している。なお、図4及び図5においては、図1〜図3と同様に、ハウジング2内に収容されたICが押圧ユニット4により押圧されている状態について示している。
【0022】
図4に示すように、押圧ユニット4の押圧部材44は、その上端部に配置された軸47で回動可能に軸支される一方、付勢ユニット5の付勢力により金属軸45を介して下方側に付勢されており、同図に示す下面で構成される当接部としての当接面44aでICの端部近傍を押圧している。このように上端部に配置される軸47で回動可能に軸支する一方、下端部近傍に配置される金属軸45で下方側に付勢することにより、当接面44aをICの上面に水平になるように配置することが可能となる。
【0023】
壁部24a、24bの円弧形状部27は、図5に示すように、取付部材26a、26bの上方側から内側に向けて緩やかに下方側に傾斜する形状を有すると共に、ICの端部に差し掛かる位置近傍から急峻に下方側に傾斜する形状を有している。金属軸45は、付勢ユニット5の付勢力に応じて、これらの円弧形状部27に接触する位置に配置されている。操作部材6が下方側に押圧され、押圧ユニット4が回動すると、金属軸45は、これらの円弧形状部27に接触した状態で外側に移動する一方、その押圧が解除されると、円弧形状部27に接触した状態で内側に移動するものとなっている。
【0024】
付勢ユニット5の付勢力は、金属軸45から押圧部材44を介してフレーム41の一端側に配置された軸47に付与される。これにより、フレーム41が取付部材26a、26bを回動支点として回動(例えば、図5に示す左方側の押圧ユニット4においては時計回り方向に回動)し、連結軸42が上方側に移動する。これにより、連結軸42に載置された操作部材6の押圧部63が押し上げられている。このため、操作部材6に対する押圧操作が行われていない状態において、押圧部材44によりICが下方側に押圧されると共に、操作部材6が上方側に付勢された状態となっている。
【0025】
次に、本実施の形態に係るソケット1の動作について図6〜図13を用いて説明する。図6〜図9においては、図2〜図5に示すソケット1の操作部材6を僅かに押圧した状態を示し、図10〜図13においては、図2〜図5に示すソケット1の操作部材6を最下方位置まで押圧した状態を示している。図6及び図10は、本実施の形態に係るソケット1の外観を示す斜視図である。図7及び図11は、それぞれ図6及び図10に示すソケット1から操作部材6を取り外した状態の斜視図である。図8及び図9、並びに、図12及び図13は、本実施の形態に係るソケット1の側断面図である。図8及び図12においては、図4と同様に、押圧ユニット4の押圧部材44の中央部における断面を示しており、図9及び図13においては、図5と同様に、ハウジング2の壁部24a、24bと、フレーム3の側面部32との間の水平面における断面を示している。
【0026】
図2〜図5に示すソケット1の状態から操作部材6を僅かに押圧すると、図6〜図9に示すように、操作部材6の押圧部63が下方側に移動し、その下方側に配置されている押圧ユニット4の連結軸42が押し下げられる。この場合、押圧ユニット4は、取付部材26a、26bの中心点を回動支点として回動(例えば、図5に示す左方側の押圧ユニット4においては時計回り方向に回動)し、他端側にある軸47が上方側に移動する。これに伴い、軸47に回動可能に軸支された押圧部材44が持ち上げられる。この場合において、押圧部材44の下端部に挿入されている金属軸45は、付勢ユニット5からの付勢力を付与されていることから、押圧部材44は、付勢ユニット5の付勢ばね51a〜51cの付勢力に抗して上方側に移動し、その当接面44aがICの表面から離間した状態となる(図8参照)。
【0027】
このように押圧ユニット4が回動した場合において、押圧部材44には下方側に付勢する付勢力が加わった状態となっている。上述のように、押圧部材44に挿入される金属軸45は、ハウジング2に設けられた壁部24a、24bの上端に設けられた円弧形状部27に接触する位置に配置されていることから、図9に示すように、押圧部材44は、金属軸45を円弧形状部27に接触させながら、押圧ユニット4の回動に応じて外側(側面部61b側)に移動する(図9参照)。
【0028】
図6〜図9に示すソケット1の状態から最下方位置まで操作部材6を押圧すると、図10〜図13に示すように、操作部材6の押圧部63の下方移動に応じて、更に押圧ユニット4の連結軸42が押し下げられる。これに連動して押圧ユニット4が更に回動し、軸47に軸支された押圧部材44が最上方位置まで持ち上げられる。最上方位置まで持ち上げられると、押圧部材44は、ICの上方側領域よりも外側の位置まで退避し、ハウジング2に対するICの装着経路が開放された状態となる(図12参照)。ICの着脱は、このように押圧部材44を退避させ、装着経路が開放された状態で行われる。なお、この場合においても、押圧部材44は、金属軸45を円弧形状部27に接触させながら、押圧ユニット4の回動に応じて外側(側面部61b側)に移動している(図13参照)。
【0029】
そして、このような操作部材6に対する押圧操作が解放されると、押圧ユニット4(押圧部材44)は、金属軸45に付与された付勢ユニット5の付勢力に応じて図2〜図5に示す状態に復帰するように回動する。この場合において、押圧部材44は、金属軸45を円弧形状部27に接触させながら、押圧ユニット4の回動に応じて内側(IC側)に移動する。上述のように、円弧形状部27は、取付部材26a、26bの上方側から内側に向けて緩やかに下方側に傾斜する形状を有すると共に、ICの端部に差し掛かる位置近傍から急峻に下方側に傾斜する形状を有することから、押圧ユニット4の回動に伴って押圧部材44の当接面44aをICの表面と水平にすることができ、均等な力でICを下方側に押圧することができ、ICの表面に接触痕等が発生するのを防止することが可能となる。
【0030】
このように本実施の形態に係るソケット1においては、押圧ユニット4を押圧する付勢ユニット5の付勢ばね51a〜51cの上端部を、金属製のフレーム3の受け面部33で受けるようにしたことから、付勢ばね51a〜51cの付勢力が直接的にハウジング2に作用するのを防止できるので、バーンインテストなどにより熱を長時間掛けた場合においても、熱によりハウジング2が変形するのを防止することが可能となる。
【0031】
特に、本実施の形態に係るソケット1においては、付勢ばね51a〜51cの上端部をフレーム3の受け面部33に当接させて固定する一方、その下端部を用いて押圧ユニット4を介して操作部材6を付勢するようにしている。これにより、操作部材6に対する押圧操作(押し下げ操作)に応じて発生する力を上方側に向けて作用させることができるので、ハウジング2に対する影響を低減でき、当該ハウジング2の変形を効果的に防止することが可能となる。
【0032】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0033】
例えば、上記実施の形態においては、フレーム3をハウジング2の底面部21a、21bに固定する場合について説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、ハウジング2を製造する際にこのようなフレーム3をインサート成形するようにしても良い。また、上記実施の携帯においては、金属軸45を押圧部材44の挿入孔に挿入する場合について説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、押圧部材44を製造する際にこのような金属軸45をインサート成形するようにしても良いし、金属軸45に相当する部材を押圧部材44に備えるようにしても良い。
【符号の説明】
【0034】
1 電子部品用ソケット(ソケット)
2 ハウジング
21a、21b 底面部
22a、22b 連結部
23a、23b 保持片
24a、24b 壁部
25a、25b 取付孔
26a、26b 取付部材
27 円弧形状部
3 フレーム
31 底面部
32 側面部
32a、32b 孔
33 受け面部
33a〜33c 係止部
34a、34b スリット
35 固定ピン
36a、36b 係合ピン
4 押圧ユニット
41 フレーム
42、43 連結軸
44 押圧部材
44a 当接面
45 金属軸
46 孔
47 軸
5 付勢ユニット
51a〜51c 付勢ばね
52 ケース
53 カバー
6 操作部材
61a、61b 側面部
62 貫通孔
63 押圧部
64 溝部
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品用ソケットに関し、特に、バーンインボード等に搭載される電子部品用ソケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ICパッケージが収容されるハウジングと、このハウジングに対し上下動可能に装着され、付勢ばねにより上方側へ付勢された操作部材と、ICパッケージを押圧してパッケージ下面の各接点を対応するコンタクトに接触させる押圧部材とを備え、操作部材に対する下方側への押圧操作に応じて押圧部材をICパッケージ上から退避させる一方、操作部材に対する押圧操作の解放に応じて押圧部材でICパッケージを押圧する電子部品(ICパッケージ)用ソケットが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この電子部品用ソケットにおいては、付勢ばねがハウジングと操作部材との間に配設され、操作部材に対する付勢力が付与されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−165168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した電子部品用ソケットにおいては、付勢ばねを樹脂材料で形成されるハウジングの一部で受けていることから、バーンインテストなどにより熱を長時間掛けていると、付勢ばねとの接触部分においてハウジングが変形する恐れがある。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、バーンインテストなどの熱によりハウジングが変形するのを防止することができる電子部品用ソケットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子部品用ソケットは、電子部品を収容するハウジングと、前記ハウジングに回動可能に軸支され、前記電子部品を押圧する初期位置から当該電子部品の収容領域外の位置まで移動する押圧ユニットと、前記押圧ユニットの回動を操作する操作部材と、前記操作部材を前記初期位置に付勢する付勢部材と、前記ハウジングと一体的に設けられ、前記付勢部材における前記操作部材と相対しない一端部を受ける受け面を有する金属製のフレームとを具備することを特徴とする。
【0007】
上記電子部品用ソケットによれば、金属製のフレームで付勢部材における操作部材と相対しない一端部を受けるようにしたことから、付勢部材の付勢力が直接的にハウジングに作用するのを防止できるので、バーンインテストなどにより熱を長時間掛けた場合においても、熱によりハウジングが変形するのを防止することが可能となる。
【0008】
上記電子部品用ソケットにおいて、前記付勢部材は、前記一端部を上方側に配置して前記フレームの受け面に当接させる一方、下方側に配置される他端部を用いて前記操作部材を付勢することが好ましい。この場合には、上方側に配置した一端部を固定する一方、下方側に配置した他端部で操作部材を付勢することから、操作部材に対する操作に応じて発生する力を上方側に向けて作用させることができるので、ハウジングに対する影響を低減でき、当該ハウジングの変形を効果的に防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、金属製のフレームで付勢部材における操作部材と相対しない一端部を受けるようにしたことから、付勢部材の付勢力が直接的にハウジングに作用するのを防止できるので、バーンインテストなどにより熱を長時間掛けた場合においても、熱によりハウジングが変形するのを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電子部品用ソケットの分解斜視図である。
【図2】上記実施の形態に係る電子部品用ソケットの外観を示す斜視図である。
【図3】図2に示す電子部品用ソケットから後述する操作部材を取り外した状態の斜視図である。
【図4】上記実施の形態に係る電子部品用ソケットの側断面図である。
【図5】上記実施の形態に係る電子部品用ソケットの側断面図である。
【図6】上記実施の形態に係る電子部品用ソケットの外観を示す斜視図である。
【図7】図6に示す電子部品用ソケットから操作部材を取り外した状態の斜視図である。
【図8】上記実施の形態に係る電子部品用ソケットの側断面図である。
【図9】上記実施の形態に係る電子部品用ソケットの側断面図である。
【図10】上記実施の形態に係る電子部品用ソケットの外観を示す斜視図である。
【図11】図10に示す電子部品用ソケットから操作部材を取り外した状態の斜視図である。
【図12】上記実施の形態に係る電子部品用ソケットの側断面図である。
【図13】上記実施の形態に係る電子部品用ソケットの側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本実施の形態に係る電子部品用ソケット(以下、単に「ソケット」という)は、ICパッケージ(以下、「IC」という)などの電子部品をバーンインテストに供する場合に好適に用いられるものである。本実施の形態に係るソケットに収容され、バーンインテストに供される電子部品としてのICには、例えば、BGA(ボールグリッドアレイ)型やLGA(ランドグリッドアレイ)型のような、ほぼ球状又はパッド状の外部接点(電極)が、パッケージ下面に微細ピッチで多数配設されている。
【0012】
図1は、本実施の形態に係るソケットの分解斜視図である。図2は、本実施の形態に係るソケットの外観を示す斜視図である。図3は、図2に示すソケットから後述する操作部材を取り外した状態の斜視図である。図1〜図3に示すように、本実施の形態に係るソケット1は、ソケット本体の底面を構成するハウジング2と、このハウジング2に一体的に設けられた一対のフレーム3と、ハウジング2に回動可能に保持された一対の押圧ユニット4と、これらの押圧ユニット4に付勢力を付与する一対の付勢ユニット5と、これらの付勢ユニット5の付勢力により押圧ユニット4を介して上方側に付勢された操作部材6とを含んで構成されている。なお、図1〜図3においては、ハウジング2内に収容されたICが押圧ユニット4により押圧されている状態について示している。
【0013】
ハウジング2は、金属材料に対する機械加工により成形されており、図1に示すように、概して平板形状を有する一対の底面部21a、21bを一対の連結部22a、22bで連結した形状を有している。ICは、これらの底面部21a、21bと、連結部22a、22bとの間に形成される空間に収容され、その下面の外部接点が、ソケット1の被固定面に設けられたコンタクトと接触するように構成されている。それぞれの底面部21a、21bの外側の隅部には、上方に延出し、概してL字形状を有する一対の保持片23a、23bが立設されている。また、それぞれの底面部21a、21bの内側における連結部22a、22bの近傍には、上方に延出する一対の壁部24a、24bが立設されている。これらの壁部24a、24bの略中央には、取付孔25a、25bが形成され、押圧ユニット4を回動自在に取り付ける取付部材26a、26bが装着される。また、壁部24a、24bの上方側端面には、後述する押圧ユニット4の金属軸45が付勢ユニット5の付勢力に応じて接触しながら移動する円弧形状部27が設けられている。
【0014】
フレーム3は、金属製の板状部材にブランキング加工及び折り曲げ加工を施すことで形成され、平板形状を有する底面部31と、この底面部31の内側端部から上方側に延出するように立設された側面部32と、この側面部32の上端部の中央近傍に底面部31と対向するように設けられた受け面部33とを有し、これらの底面部31、側面部32及び受け面部33で概してコ字形状に設けられている。底面部31及び側面部32には、後述する押圧ユニット4の金属軸45が通過可能な一対のスリット34a、34bが形成されている。側面部32に形成されたスリット34a、34bの一部は、円弧形状に設けられ、概して壁部24a、24bの円弧形状部27に沿った形状とされている。受け面部33の下面には、後述する付勢ユニット5の付勢ばね51a〜51cの上端部を係止する複数(本実施形態では3つ)の係止部33a〜33cが設けられている。受け面部33には、中央に配置される係止部33bに対応する位置に開口部が形成されている。底面部31と受け面部33との間に付勢ユニット5を配設した状態において、この開口部を介して固定ピン35を挿入することにより付勢ユニット5がフレーム3に取り付けられるものとなっている。双方のフレーム3の側面部32における上端部近傍には一対の孔32a、32bが形成されている。これらの孔32a、32bには、後述する操作部材6の溝部64と係合する係合ピン36a、36bが取り付けられ、操作部材6の一定位置以上の上方側への移動を制限している。
【0015】
押圧ユニット4は、平行に配置された金属製の板状部材からなる一対のフレーム41と、これらのフレーム41の一端側(外側)にて両者を連結する連結軸42と、フレーム41の上端側にて両者を連結する連結軸43と、フレーム41の他端側(内側)にて回動可能に軸支された押圧部材44と、この押圧部材44の下端部近傍の挿入孔に挿入された金属軸45とを有している。押圧ユニット4は、フレーム41の下端側に形成された孔46に、壁部24a、24bの開口部25a、25bに取り付けられた取付部材26a、26bの一部を挿通させることで、取付部材26a、26bの中心点を回動支点としてハウジング2に回動可能に保持されている。押圧部材44は、その一端部(上端部)近傍に挿入された軸47でフレーム41に回動可能に軸支されると共に、その他端部(下端部)近傍に付勢ユニット5からの付勢力が付与される金属軸45が挿入されている。
【0016】
付勢ユニット5は、付勢部材として機能するものであり、複数(本実施形態では3つ)の付勢ばね51a〜51cと、これらの付勢ばね51a〜51cの下端部を収納する金属製のケース52と、このケース52の下方側に配置され、押圧ユニット4の金属軸45と接触する金属製のカバー53とを有している。ケース52の内底面には、付勢ばね51a〜51cの下端部を係止する複数の係止部が設けられている(図1に不図示)。付勢ばね51a〜51cは、例えば、コイルばねで構成され、上述したケース52の係止部によって下端部を係止される一方、フレーム3の受け面部33の係止部33a〜33cによって上端部を係止されている。また、ケース52には、中央に配置される係止部に対応する位置に開口部が形成されている(図1に不図示)。付勢ユニット5をフレーム3に固定するための固定ピン35は、付勢ばね51bの内部を通過すると共に、この開口部を貫通され、フレーム3の下面側で固定されるものとなっている。
【0017】
操作部材6は、例えば、絶縁性の樹脂材料で成形され、対向する一対の側面部61a、61bからなる枠状体をなし、上下方向に貫通する矩形状の貫通孔62を有している。側面部61aは、フレーム3及び付勢ユニット5に対向して配置されており、側面部61bは、押圧ユニット4の連結軸42に対向して配置されている。側面部61bの内側には、押圧ユニット4の連結軸42を上方側から押圧可能な押圧部63が設けられている。この押圧部63の内部には溝部64が形成されており、この溝部64は係合ピン36a、36bを収容可能に設けられている。この溝部64の内底面が係合ピン36a、36bと当接することにより、操作部材6が一定位置以上に上方側に移動するのを規制する役割を果たしている。
【0018】
このような構成部品を有するソケット1を組み立てると、図3に示すように、ハウジング2の壁部24a、24bに押圧ユニット4が取り付けられると共に、その底面部21a、21bにフレーム3が取り付けられる。この場合において、押圧ユニット4の金属軸45は、壁部24a、24bの内側に配置されると共に、フレーム3のスリット34a、34bを介して壁部24a、24bの付勢ユニット5側に延出した状態となっている。また、フレーム3は、底面部31がハウジング2の底面部21a、21bに重ね合わされると共に、その端部が保持片23a、23bに保持された状態でハウジング2の下面側から固定されるものとなっている。この場合、ハウジング2の製造時においては、一切のインサート成形が必要とされず、簡単にハウジング2を製造することが可能となる。
【0019】
フレーム3においては、底面部31と受け面部33との間に付勢ユニット5が装着されている。この場合において、付勢ユニット5は、壁部24a、24bの付勢ユニット5側に延出し、スリット34a、34b内に配置された金属軸45の上方側に載置された状態となっている。そして、金属軸45が上方側に移動した場合、付勢ばね51a〜51cの付勢力に抗してケース52が上方側に移動すると共に、金属軸45を下方側に押圧する付勢力を付与するように構成されている。
【0020】
操作部材6は、図2に示すように、係合ピン36a、36bを溝部64の内部に収容すると共に、押圧部63を押圧ユニット4の連結軸42の上部に載置した状態で配置されている。この場合において、付勢ユニット5は、側面部61aの内側に配置されており、ハウジング2の保持片23a、23bは、側面部61a、61bの外側であって、これらの四隅に対応する凹部に配置されている。従って、これらの構成が、操作部材6が下方側に移動した場合に操作部材6に接触することはない。
【0021】
図4及び図5は、本実施の形態に係るソケット1の側断面図である。図4においては、押圧ユニット4の押圧部材44の中央部における断面を示しており、図5においては、ハウジング2の壁部24a、24bと、フレーム3の側面部32との間の水平面における断面を示している。なお、図4及び図5においては、図1〜図3と同様に、ハウジング2内に収容されたICが押圧ユニット4により押圧されている状態について示している。
【0022】
図4に示すように、押圧ユニット4の押圧部材44は、その上端部に配置された軸47で回動可能に軸支される一方、付勢ユニット5の付勢力により金属軸45を介して下方側に付勢されており、同図に示す下面で構成される当接部としての当接面44aでICの端部近傍を押圧している。このように上端部に配置される軸47で回動可能に軸支する一方、下端部近傍に配置される金属軸45で下方側に付勢することにより、当接面44aをICの上面に水平になるように配置することが可能となる。
【0023】
壁部24a、24bの円弧形状部27は、図5に示すように、取付部材26a、26bの上方側から内側に向けて緩やかに下方側に傾斜する形状を有すると共に、ICの端部に差し掛かる位置近傍から急峻に下方側に傾斜する形状を有している。金属軸45は、付勢ユニット5の付勢力に応じて、これらの円弧形状部27に接触する位置に配置されている。操作部材6が下方側に押圧され、押圧ユニット4が回動すると、金属軸45は、これらの円弧形状部27に接触した状態で外側に移動する一方、その押圧が解除されると、円弧形状部27に接触した状態で内側に移動するものとなっている。
【0024】
付勢ユニット5の付勢力は、金属軸45から押圧部材44を介してフレーム41の一端側に配置された軸47に付与される。これにより、フレーム41が取付部材26a、26bを回動支点として回動(例えば、図5に示す左方側の押圧ユニット4においては時計回り方向に回動)し、連結軸42が上方側に移動する。これにより、連結軸42に載置された操作部材6の押圧部63が押し上げられている。このため、操作部材6に対する押圧操作が行われていない状態において、押圧部材44によりICが下方側に押圧されると共に、操作部材6が上方側に付勢された状態となっている。
【0025】
次に、本実施の形態に係るソケット1の動作について図6〜図13を用いて説明する。図6〜図9においては、図2〜図5に示すソケット1の操作部材6を僅かに押圧した状態を示し、図10〜図13においては、図2〜図5に示すソケット1の操作部材6を最下方位置まで押圧した状態を示している。図6及び図10は、本実施の形態に係るソケット1の外観を示す斜視図である。図7及び図11は、それぞれ図6及び図10に示すソケット1から操作部材6を取り外した状態の斜視図である。図8及び図9、並びに、図12及び図13は、本実施の形態に係るソケット1の側断面図である。図8及び図12においては、図4と同様に、押圧ユニット4の押圧部材44の中央部における断面を示しており、図9及び図13においては、図5と同様に、ハウジング2の壁部24a、24bと、フレーム3の側面部32との間の水平面における断面を示している。
【0026】
図2〜図5に示すソケット1の状態から操作部材6を僅かに押圧すると、図6〜図9に示すように、操作部材6の押圧部63が下方側に移動し、その下方側に配置されている押圧ユニット4の連結軸42が押し下げられる。この場合、押圧ユニット4は、取付部材26a、26bの中心点を回動支点として回動(例えば、図5に示す左方側の押圧ユニット4においては時計回り方向に回動)し、他端側にある軸47が上方側に移動する。これに伴い、軸47に回動可能に軸支された押圧部材44が持ち上げられる。この場合において、押圧部材44の下端部に挿入されている金属軸45は、付勢ユニット5からの付勢力を付与されていることから、押圧部材44は、付勢ユニット5の付勢ばね51a〜51cの付勢力に抗して上方側に移動し、その当接面44aがICの表面から離間した状態となる(図8参照)。
【0027】
このように押圧ユニット4が回動した場合において、押圧部材44には下方側に付勢する付勢力が加わった状態となっている。上述のように、押圧部材44に挿入される金属軸45は、ハウジング2に設けられた壁部24a、24bの上端に設けられた円弧形状部27に接触する位置に配置されていることから、図9に示すように、押圧部材44は、金属軸45を円弧形状部27に接触させながら、押圧ユニット4の回動に応じて外側(側面部61b側)に移動する(図9参照)。
【0028】
図6〜図9に示すソケット1の状態から最下方位置まで操作部材6を押圧すると、図10〜図13に示すように、操作部材6の押圧部63の下方移動に応じて、更に押圧ユニット4の連結軸42が押し下げられる。これに連動して押圧ユニット4が更に回動し、軸47に軸支された押圧部材44が最上方位置まで持ち上げられる。最上方位置まで持ち上げられると、押圧部材44は、ICの上方側領域よりも外側の位置まで退避し、ハウジング2に対するICの装着経路が開放された状態となる(図12参照)。ICの着脱は、このように押圧部材44を退避させ、装着経路が開放された状態で行われる。なお、この場合においても、押圧部材44は、金属軸45を円弧形状部27に接触させながら、押圧ユニット4の回動に応じて外側(側面部61b側)に移動している(図13参照)。
【0029】
そして、このような操作部材6に対する押圧操作が解放されると、押圧ユニット4(押圧部材44)は、金属軸45に付与された付勢ユニット5の付勢力に応じて図2〜図5に示す状態に復帰するように回動する。この場合において、押圧部材44は、金属軸45を円弧形状部27に接触させながら、押圧ユニット4の回動に応じて内側(IC側)に移動する。上述のように、円弧形状部27は、取付部材26a、26bの上方側から内側に向けて緩やかに下方側に傾斜する形状を有すると共に、ICの端部に差し掛かる位置近傍から急峻に下方側に傾斜する形状を有することから、押圧ユニット4の回動に伴って押圧部材44の当接面44aをICの表面と水平にすることができ、均等な力でICを下方側に押圧することができ、ICの表面に接触痕等が発生するのを防止することが可能となる。
【0030】
このように本実施の形態に係るソケット1においては、押圧ユニット4を押圧する付勢ユニット5の付勢ばね51a〜51cの上端部を、金属製のフレーム3の受け面部33で受けるようにしたことから、付勢ばね51a〜51cの付勢力が直接的にハウジング2に作用するのを防止できるので、バーンインテストなどにより熱を長時間掛けた場合においても、熱によりハウジング2が変形するのを防止することが可能となる。
【0031】
特に、本実施の形態に係るソケット1においては、付勢ばね51a〜51cの上端部をフレーム3の受け面部33に当接させて固定する一方、その下端部を用いて押圧ユニット4を介して操作部材6を付勢するようにしている。これにより、操作部材6に対する押圧操作(押し下げ操作)に応じて発生する力を上方側に向けて作用させることができるので、ハウジング2に対する影響を低減でき、当該ハウジング2の変形を効果的に防止することが可能となる。
【0032】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0033】
例えば、上記実施の形態においては、フレーム3をハウジング2の底面部21a、21bに固定する場合について説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、ハウジング2を製造する際にこのようなフレーム3をインサート成形するようにしても良い。また、上記実施の携帯においては、金属軸45を押圧部材44の挿入孔に挿入する場合について説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、押圧部材44を製造する際にこのような金属軸45をインサート成形するようにしても良いし、金属軸45に相当する部材を押圧部材44に備えるようにしても良い。
【符号の説明】
【0034】
1 電子部品用ソケット(ソケット)
2 ハウジング
21a、21b 底面部
22a、22b 連結部
23a、23b 保持片
24a、24b 壁部
25a、25b 取付孔
26a、26b 取付部材
27 円弧形状部
3 フレーム
31 底面部
32 側面部
32a、32b 孔
33 受け面部
33a〜33c 係止部
34a、34b スリット
35 固定ピン
36a、36b 係合ピン
4 押圧ユニット
41 フレーム
42、43 連結軸
44 押圧部材
44a 当接面
45 金属軸
46 孔
47 軸
5 付勢ユニット
51a〜51c 付勢ばね
52 ケース
53 カバー
6 操作部材
61a、61b 側面部
62 貫通孔
63 押圧部
64 溝部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を収容するハウジングと、前記ハウジングに回動可能に軸支され、前記電子部品を押圧する初期位置から当該電子部品の収容領域外の位置まで移動する押圧ユニットと、前記押圧ユニットの回動を操作する操作部材と、前記操作部材を前記初期位置に付勢する付勢部材と、前記ハウジングと一体的に設けられ、前記付勢部材における前記操作部材と相対しない一端部を受ける受け面を有する金属製のフレームとを具備することを特徴とする電子部品用ソケット。
【請求項2】
前記付勢部材は、前記一端部を上方側に配置して前記フレームの受け面に当接させる一方、下方側に配置される他端部を用いて前記操作部材を付勢することを特徴とする請求項1記載の電子部品用ソケット。
【請求項1】
電子部品を収容するハウジングと、前記ハウジングに回動可能に軸支され、前記電子部品を押圧する初期位置から当該電子部品の収容領域外の位置まで移動する押圧ユニットと、前記押圧ユニットの回動を操作する操作部材と、前記操作部材を前記初期位置に付勢する付勢部材と、前記ハウジングと一体的に設けられ、前記付勢部材における前記操作部材と相対しない一端部を受ける受け面を有する金属製のフレームとを具備することを特徴とする電子部品用ソケット。
【請求項2】
前記付勢部材は、前記一端部を上方側に配置して前記フレームの受け面に当接させる一方、下方側に配置される他端部を用いて前記操作部材を付勢することを特徴とする請求項1記載の電子部品用ソケット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−210482(P2010−210482A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−57883(P2009−57883)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
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