電子部品組み立て方法、電子部品組み立て装置
【課題】組み立て時の熱影響を低減しながらも、スタッドバンプを利用して効率的に電子部品を組み立てる。
【解決手段】常温より高い温度に基板を加熱しながら、スタッドバンプ形成装置によって基板に金属のスタッドバンプを形成し、このスタッドバンプの形成以降、基板を常温まで温度降下させない状態を維持し、チップボンダによって前板の前記スタッドバンプ上に電子部品片を配置して超音波接合するようにした。
【解決手段】常温より高い温度に基板を加熱しながら、スタッドバンプ形成装置によって基板に金属のスタッドバンプを形成し、このスタッドバンプの形成以降、基板を常温まで温度降下させない状態を維持し、チップボンダによって前板の前記スタッドバンプ上に電子部品片を配置して超音波接合するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタッドバンプを利用して電子部品を組み立てる際に利用される電子部品組み立て手法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品を組み立てる際において、電気的な接続を確保する為にスタッドバンプが広く利用されている。このスタッドバンプは、微細な金属バンプを形成する手法の一つである。例えば25ミクロン径の金ワイヤを用いて、放電加熱により金ボールを一旦形成し、超音波アシストによってこの金ボールを電子部品の電極部分に接合させ、金ワイヤを引きちぎることで、約90ミクロン径の金製のスタッドバンプを形成することができる。より細い径の金属ワイヤを用いれば、より微小なスタッドバンプを形成できる。一般的に、このスタッドバンプは、半導体チップの電極にそれぞれ形成される(特許文献1参照)。
【0003】
スタッドバンプが電極に形成された半導体チップを実装基板上に搭載する際は、いわゆるフリップチップ実装装置が用いられる。このフリップチップ実装装置では、半導体チップをハンドリングして電極及びスタッドバンプを下側に向けて、実装基板の所定位置に配置して実装基板と半導体チップが接合される(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−278454号公報
【特許文献2】特開2001−77593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の電子部品組み立て手法では、半導体チップの電極にスタッドバンプを形成しておき、その後、この半導体チップをハンドリングしながら、基板に実装していく手法となる。結果、半導体チップ上のスタッドバンプは常温状態(低温状態)となる。スタッドバンプは低温になるほどその剛性が高いため、基板と半導体チップをスタッドバンプを利用して接合する際に、基板及び半導体チップに衝撃が加わりやすいという問題があった。
【0006】
一方で、半導体チップのスタッドバンプを加熱してから基板に搭載しようとすると、このスタッドバンプに複数回の熱サイクルが作用してスタッドバンプ自体が劣化したり、半導体チップも熱影響を受けたりするという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、組み立て時の熱影響を低減しながらも、スタッドバンプを利用して効率的に電子部品を組み立てることを可能とする電子部品組み立て手法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者の鋭意研究により、上記目的は以下の手段によって達成される。
【0009】
上記目的を達成する本手段は、常温より高い温度に基板を加熱しながら、スタッドバンプ形成装置によって前記基板に金属のスタッドバンプを形成するスタッドバンプ形成工程と、前記スタッドバンプの形成以降、前記基板を常温まで温度降下させない状態を維持し、チップボンダによって前記基板の前記スタッドバンプ上に電子部品片を配置して超音波接合する電子部品片搭載工程と、を有することを特徴とする電子部品組み立て方法である。
【0010】
上記手段の電子部品組み立て方法は、前記スタッドバンプ形成工程の前に、前記基板を予め加熱する基板予熱工程を有することを特徴とすることが好ましい。
【0011】
上記手段の電子部品組み立て方法は、前記電子部品片搭載工程の後に、自然放冷と比較して緩やかな温度降下速度で前記基板を放熱する基板徐冷工程を有することを特徴とすることが好ましい。
【0012】
上記手段の電子部品組み立て方法の前記電子部品片搭載工程は、前記スタッドバンプ形成工程の後、前記基板を常温まで降下させない状態を維持できる時間範囲内で、前記スタッドバンプ形成装置から前記チップボンダまで前記基板を搬送する基板搬送工程と、前記基板の搬送後、前記基板を加熱しながら前記電子部品片を超音波接合する超音波接合工程と、を有することを特徴とすることが好ましい。
【0013】
上記手段の電子部品組み立て方法の前記電子部品搭載工程における前記基板搬送工程では、前記基板の温度変化を20度以内に抑えた状態で、前記スタッドバンプ形成装置から前記チップボンダまで前記基板を搬送することを特徴とすることが好ましい。
【0014】
上記手段の電子部品組み立て方法の前記電子部品搭載工程における前記基板搬送工程では、基板搬送装置における前記基板を保持する為の保持部を温度制御しながら前記基板をハンドリングし、前記スタッドバンプ形成装置から前記チップボンダまで前記基板を搬送することを特徴とすることが好ましい。
【0015】
上記手段の電子部品組み立て方法の前記スタッドバンプ形成工程では、前記基板を80度以上に加熱し、前記電子部品片搭載工程では、前記スタッドバンプの形成以降、前記基板を60度以下まで温度降下させない状態を維持した上で、前記スタッドバンプに前記電子部品片を超音波接合することを特徴とすることが好ましい。
【0016】
上記目的を達成する本手段は、常温より高い温度に基板を加熱する加熱プレートを有し、加熱された前記基板に金属のスタッドバンプを形成するスタッドバンプ形成装置と、前記スタッドバンプの形成以降、前記基板を常温まで温度降下させない状態を維持し、前記基板の前記スタッドバンプ上に電子部品片を配置して超音波接合するチップボンダと、を有することを特徴とする電子部品組み立て装置である。
【0017】
上記手段の電子部品組み立て装置は、前記基板を予め加熱してから前記スタッドバンプ形成装置に搬入する基板予熱装置を有することを特徴とすることが好ましい。
【0018】
上記手段の電子部品組み立て装置は、前記チップボンダから搬出される前記基板を、自然放冷と比較して緩やかな温度降下速度で前記基板を放熱する基板徐冷装置を有することを特徴とすることが好ましい。
【0019】
上記手段の電子部品組み立て装置において、前記チップボンダは、前記基板を常温まで降下させない状態で、前記スタッドバンプ形成装置から前記チップボンダまで前記基板を搬送する基板搬送装置と、前記基板を加熱するボンダ側加熱プレートを有することを特徴とすることが好ましい。
【0020】
上記手段の電子部品組み立て装置において、前記基板搬送装置は、前記基板を保持する保持部を温度制御する温度制御装置を有することを特徴とすることが好ましい。
【0021】
上記手段の電子部品組み立て装置において、前記チップボンダは、中心軸を回転軸として回転可能に支持されるターレットと、出力軸に前記ターレットが接続されるターレット駆動モータと、前記ターレットの周方向に複数設けられて、電子部品片を保持し、該電子部品片を相手側部材に溶着する部品保持ユニットと、前記ターレットと前記部品保持ユニットの間に設けられて、前記部品保持ユニットを前記ターレットに対して上下方向に移動自在に案内する部品保持ユニット案内装置と、前記部品保持ユニットの上側に設けられ、前記部品保持ユニットを押圧することによって、該部品保持ユニットを下方向に移動させる部品保持ユニット駆動装置と、を備え、前記部品保持ユニットは、前記電子部品片を吸着する吸着ノズルが設けられる超音波ホーンと、前記超音波ホーンを超音波振動可能に支持するホーン支持部材と、前記ホーン支持部材を上下方向に摺動可能に支持するケースと、を備えることを特徴とすることが好ましい。
【0022】
上記手段の電子部品組み立て装置において、前記チップボンダの前記部品保持ユニット駆動装置は、第1押下装置及び第2押下装置を備え、前記第1押下装置は、前記部品保持ユニット全体を、前記ターレットに対して下方向に押し下げるようにし、前記第2押下装置は、前記吸着ノズルを、前記部品保持ユニットの前記ケースに対して下方向に相対的に押し下げることを特徴とすることが好ましい。
【0023】
上記手段の電子部品組み立て装置において、前記チップボンダの前記部品保持ユニット駆動装置は、前記ターレットから独立した状態で設けられ、少なくとも電子部品片供給装置から前記電子部品片が供給される位置上、及び前記電子部品片を前記相手側部材に溶着する位置上に固定配置されることを特徴とすることが好ましい。
【0024】
上記手段の電子部品組み立て装置において、前記チップボンダは、前記超音波ホーンを回転させるホーン回転装置を備えることを特徴とすることが好ましい。
【0025】
上記手段の電子部品組み立て装置において、前記チップボンダの前記部品保持ユニットは、前記ホーン支持部材を上方に付勢するホーン付勢装置と、前記ホーン支持部材の上下方向の位置を検出するホーン位置検出装置と、を備えることを特徴とすることが好ましい。
【0026】
上記手段の電子部品組み立て装置において、前記チップボンダの前記部品保持ユニットにおける前記ホーン付勢装置は、前記ホーン支持部材側に固定配置されるホーン側マグネットと、前記ホーン側マグネットと対向して、前記ケース側に固定配置されるケース側マグネットと、を備え、前記ホーン側マグネット及び前記ケース側マグネットは、相互に吸着又は反発することで、前記ホーン支持部材を上方に付勢することを特徴とすることが好ましい。
【0027】
上記手段の電子部品組み立て装置において、前記チップボンダの前記超音波ホーンは、該超音波ホーンの振動方向が前記ターレットの径方向となるように設けられていることを特徴とすることが好ましい。
【0028】
上記手段の電子部品組み立て装置において、前記チップボンダの前記部品保持ユニット駆動装置は、前記部品保持ユニットの真上に対して前記ターレットの半径方向にオフセットされた状態で配置されることを特徴とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、組み立て時の熱影響を低減しながらも、スタッドバンプを利用して効率的に電子部品を組み立てることが可能となるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係る電子部品組み立て装置の全体構造を示す平面図である。
【図2】同電子部品組み立て装置のスタッドバンプ形成装置を示す側面図である。
【図3】同スタッドバンプ形成装置によるスタッドバンプ形成工程を示す拡大図である。
【図4】同電子部品組み立て装置のチップボンダの全体構造を示す正面図である。
【図5A】同チップボンダの全体構造を示す側面図である。
【図5B】同チップボンダの(a)平面図、及び(b)ターレットの開放状態を示す図である。
【図6】(a)(b)同チップボンダの部品保持ユニットを側面から見た断面図、及び部品保持ユニット駆動装置並びに部品保持ユニット案内装置の側面図である。
【図7】(a)超音波ホーンの側面図であり、(b)超音波ホーンの下面図であり、(c)超音波ホーンの振動状態を示す下面図である。
【図8】(a)は、図6(a)における矢印I方向から見たチップボンダのホーン回転装置の平面図であり、(b)同ホーン回転装置の右側面図であり、(c)は、図8(a)における矢視II−II方向から見た同ホーン回転装置の正面図である。
【図9】同チップボンダのスライダ移動装置の圧電素子によってホーン回転用スライダを移動させる状態を示す図である。
【図10】同チップボンダの部品保持ユニットにおける、マグネットを利用したホーン保持部材の位置検出方法を示す図である。
【図11】(a)〜(d)は同チップボンダの電子部品片供給装置及び基板供給装置の平面図である。
【図12】同電子部品組み立て装置によるウエハ基板の温度サイクルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0032】
図1は本発明の実施の形態に係る電子部品組み立て装置900の全体構成が示されている。この電子部品組み立て装置900は、チップボンダ100、スタッドバンプ形成装置200、基板予熱装置300、基板徐冷装置400、基板搬送装置500、基板用カセット600を備える。なお、基板用カセット600には、電子部品片が搭載されるウエハ基板610が複数枚収容されている。
【0033】
基板搬送装置500は、ウエハ基板610を基板用カセット600から取り出して、チップボンダ100、スタッドバンプ形成装置200、基板予熱装置300、基板徐冷装置400の間を図中の矢印の順番で搬送する。具体的に基板搬送装置500はウエハ搬送用ロボットであり、多段階に伸縮するアーム510の先端に保持具520が搭載されている。基板搬送装置500は、保持具520によってウエハ基板610をクランプし、アーム510を自在に伸縮及び回転させて、目標とする場所にウエハ基板610を搬送することができる。この保持具520には、温度制御ヒーター(温度制御装置)が内蔵されており、クランプする際のウエハ基板610の温度に対して、保持具520の温度が近似するように温度制御される。なお、本実施形態では、1台の基板搬送装置500によって、ウエハ基板610の全ての搬送を行う構造を示したが、本発明はこれに限定されず、複数の基板搬送装置を利用しても良い。
【0034】
基板予熱装置300は、予熱用加熱プレート310を備える。この予熱用加熱プレート310は、この上に載置されるウエハ基板610を例えば80度〜200度の範囲内、好ましくは90度〜180度の範囲内で加熱するようになっている。基板予熱装置300で予熱されたウエハ基板610は、基板搬送装置500によってスタッドバンプ形成装置200に搬送される。
【0035】
スタッドバンプ形成装置200は、図2に拡大して示されるように、キャピラリ210、ヘッド220、超音波ホーン230、Z軸テーブル240、X−Yテーブル250、ワイヤクランパ260、金ワイヤ270が巻き付けられるボビン280、加熱プレート290、放電電極295等を備えて構成される。
【0036】
キャピラリ210は、上下方向に開口が貫通する中空針構造となっており、金ワイヤ270が挿通される。このキャピラリ210は、超音波ホーン230の先端に保持されており、このキャピラリ210が超音波振動する。超音波ホーン230は、Z軸テーブル240によって上下方向に移動するヘッド220に固定されている。なお、ヘッド220内には特に図示しない超音波振動子が内蔵されており、この超音波振動子が超音波ホーン230に超音波振動を印加する。ワイヤクランパ260は、キャピラリ210の上方に配置されており、金ワイヤ270をクランプして、金ワイヤ270に所定の張力を生じさせる。ボビン280は、ワイヤクランパ260の上方に配置されており、金ワイヤ270を繰り出す構造となっている。放電電極295は、その先端がキャピラリ210と接近するように配置される。放電電極295とキャピラリ210の間に高圧電源を印加すると、両者の間で放電が起こり、その熱によってキャピラリ210の下端の金ワイヤ270が溶融してボール状になる。
【0037】
X−Yテーブル250には加熱プレート290が搭載されており、この加熱プレート290にウエハ基板610が載置される。従って、ウエハ基板610は、この加熱プレート290によって80度〜200度の範囲内における目標温度に維持される。
【0038】
図3(a)に示されるように、スタッドバンプ形成装置200は、キャピラリ210の下端において金ワイヤ270を溶融することで金ボール270Aを形成した後、図3(b)のようにキャピラリ210を下降させることで、金ボール270Aをウエハ基板610に押しつける。この際、キャピラリ210を超音波振動させることで、金ボール270Aとウエハ基板610が超音波接合する。更に、図3(c)のように、金ワイヤ270をワイヤクランパ260によってクランプして、ワイヤクランパ260を上方に引き上げることで、金ボール270Aと金ワイヤ270が引きちぎられて、金のスタッドバンプ270Bが形成される。この手順によって、スタッドバンプ形成装置200は、ウエハ基板610をX−Yテーブル250で移動させながら、全域に亘って多数のスタッドバンプ270Bを順番に形成する。この間も、ウエハ基板610は、加熱プレート290によって常温より高い温度に維持されている。
【0039】
スタッドバンプ270Bの形成が完了したウエハ基板610は、基板搬送装置500によってチップボンダ100に搬送される。この搬送時間は20秒以内に短く設定されており、搬送中におけるウエハ基板610の温度低下は殆ど生じず、温度降下を20度以内に収めることが出来る。これにより、ウエハ基板610が常温になったり、60度以下になったりすることも回避できる。
【0040】
チップボンダ100は、図4及び図5Aの全体構造に示されるように、ターレット10と、ターレット駆動モータ20と、部品保持ユニット30と、ホーン回転装置40と、部品保持ユニット案内装置50と、部品保持ユニット駆動装置80と、部品保持ユニット駆動装置80及びターレット駆動モータ20が配置される駆動装置基台90と、この駆動装置基台90が保持される脚部95を備えて構成される。なお、ここでは、部品保持ユニット30の吸着ノズル33により電子部品片98を吸着する位置を供給位置Uと呼び、吸着された電子部品片98をウエハ基板610に溶着する位置を溶着位置Wと呼ぶことにする。
【0041】
トレイ96に載置された電子部品片98は、X−Yテーブルから構成される電子部品片供給装置89によりX−Y方向に移動されて供給位置Uに供給される。電子部品片98の供給位置Uでの位置決めは、上方に配置される供給位置確認カメラ92で撮影した電子部品片98の画像データに基づいて、主制御部(図示省略)が電子部品片供給装置89をX−Y方向に移動することにより行われる。
【0042】
溶着位置Wは、チップボンダ100の主軸を挟んで、電子部品片供給装置89と略反対側(ターレット10の回転移動経路に沿って180度の位相差を有する場所)に位置している。そこには、ウエハ基板610が載置される加熱プレート97と、この加熱プレート97をX−Y方向に移動させる基板供給装置88が設けられている。基板供給装置88は、加熱プレート97に載置されたウエハ基板610を位置決めする。この位置決めは、上方に配置される溶着位置確認カメラ94で撮影したウエハ基板610の画像データに基づいて、主制御部(図示省略)が基板供給装置88をX−Y方向に移動することにより行われる。
【0043】
部品保持ユニット30の回転移動経路上の供給位置Uと溶着位置Wの途中(ここでは供給位置Uから90度の位相差を有する場所)には、下側から部品保持ユニット30を撮影する吸着位置確認カメラ93が設けられている。吸着位置確認カメラ93は、吸着ノズル33に吸着保持された電子部品片98の角度を撮影して、撮影した画像データを主制御部に送信する。そして、主制御部は、その画像データに基づいて、ホーン回転装置40を動作させて、電子部品片98が所定の角度になるように吸着ノズル33を回転制御する。吸着ノズル33により吸着保持された電子部品片98の吸着状態(角度)を確認する位置を、ここでは吸着状態確認位置Vと言う。
【0044】
また、部品保持ユニット30の回転移動経路上の溶着位置Wと供給位置Uの途中(ここでは溶着位置Wから90度の位相差を有する場所)にはクリーニング装置98が設けられている。クリーニング装置98は、吸着ノズル33の先端が当接することで、この先端を自動的にクリーニングする。従って、部品保持ユニット30が、溶着位置Wや供給位置Uで、供給作業や溶着作業を行っている間に、他の部品保持ユニット30の吸着ノズル33をクリーニングしてメンテナンスを行うことが可能となる。なお、このクリーニング装置98によって吸着ノズル33をクリーニングする位置を、ここではクリーニング位置Tと言う。
【0045】
上記のように、チップボンダ100は、ターレット10を回転することにより、部品保持ユニット30に設けられた吸着ノズル33を供給位置U、吸着状態確認位置V、溶着位置W、クリーニング位置Tの順番に搬送することができるようになっている。
【0046】
ターレット10は、円盤形状、又は5角形又は6角形等の多角形形状の円板状部材である。ターレット10は、自身の中心軸を回転軸として、ターレット駆動モーター20に回転可能に同軸状態で支持される。この結果、ターレット10は、ターレット駆動モータ20の回転に連動して回転する。また、ターレット10は、上述した形状に限定されるものではなく、例えば、円筒の外周面から外側に向かって放射状に突出するように形成された複数の凸部(アーム)を有する星型又はヒトデ型等であっても好ましい。
【0047】
ターレット駆動モータ20は、DDモータ(ダイレクト・ドライブ・モータ)を用いており、ターレット10の回転方向の位置決めを高い角度精度で行う。
【0048】
図5B(a)に示されるように、このターレット駆動モータ20は、上方の駆動装置基台90に固定されている。この駆動装置基台90は、脚部95によって揺動自在に保持されている。従って、ターレット10をメンテナンスする際は、図5B(b)に示されるように、脚部95に対して駆動装置基台90を上方に揺動させることで、ターレット10の全体を上方に開放する。
【0049】
部品保持ユニット30は、ターレット10の周方向に等間隔で複数(ここでは4個)設けられるとともに、下側には、吸着ノズル33を有する超音波ホーン32を備えている。なお、この部品保持ユニット30は、ターレット10の外周において、半径方向外側に突出するように配置されている。このようにすることで、複数の部品保持ユニット30の周方向の間に空間Sを確保する。結果、供給位置Uの上方に配置される供給位置確認カメラ92は、部品保持ユニット30が存在しないタイミングを見計らって、空間Sを介して電子部品片供給装置89を上方から撮像して、電子部品片98の位置決めを行う。同様に、溶着位置Wの上方に配置される溶着位置確認カメラ94は、部品保持ユニット30が存在しないタイミングを見計らって、空間Sを介してウエハ基板610を撮像し、ウエハ基板610に形成されているスタッドバンプ270B等を検出して、電子部品片98を正しい位置に溶着するようになっている。
【0050】
なお、部品保持ユニット30をターレット10半径方向内側に配置する場合は、ターレット10に開口を形成するなどして、同様な空間Sを確保すれば良い。即ち、空間Sを確保するためにターレット10を切り欠けば良い。
【0051】
部品保持ユニット30は、吸着ノズル33で電子部品片98を吸着保持したり、超音波ホーン32の超音波振動により、吸着保持した電子部品片98をウエハ基板610に超音波溶着(超音波接合)したりする。この吸着ノズル33は、内部に吸入経路33Aが形成されており、特に図示しない真空ポンプと接続されている。真空ポンプは、吸入経路33Aを介して吸着ノズル33の先端に負圧を発生させる。これにより、吸着ノズル33が電子部品片33Aを吸着する。
【0052】
部品保持ユニット30は、図6に示されるように、ケース31と、超音波ホーン32と、ホーン支持部材34と、ホーン付勢装置36と、ホーン位置検出装置38を備えて構成される。超音波ホーン32は、超音波発振器(図示省略)により、例えば60kHz帯の周波数を有する電気信号を与えられ、機械的な振動エネルギーに変換する。
【0053】
ケース31の内部の収容空間31Aには、後述するホーン支持部材34の軸部34C、ホーン付勢装置36、ホーン位置検出装置38が収容される。更に、ケース31には摺動通路31Bが形成されており、ホーン支持部材34の軸部34Cが、スライド可能に挿通される。なお、収容空間31Aと摺動通路31Bは連通して形成され、摺動通路31には、軸部34Cを上下方向に摺動可能、且つ軸中心に回転可能に支持する支持部材35が設けられている。本実施形態では支持部材35としてボールベアリングが用いられている。この支持部材35は、摺動通路31Bにおける上下2か所に設けられている。これによって、ホーン支持部材34は、ケース31に対し、上下方向及び回転方向のどちらにも可動できる。また、収容空間31Aの下側には、ケース側マグネット36Bをケース31に固定するためのケース側マグネット固定部31Dが設けられている。
【0054】
超音波ホーン32のホーン本体部32Xは、図7(a)及び(b)に示されるように、図6の矢印I方向(上下方向)から見て、概略直方体形状で、長手方向の中心部近傍が括れた形状になっている。また、超音波ホーン32は、括れている部分の略中心に吸着ノズル33が端面から下方向に突出形成されている。ホーン本体部32Xには、長手方向及び幅方向に対象の4箇所に薄板状の連結部32Bが形成され、更にこの連結部32Bには固定部32Aが形成される。この固定部32Aは、ホーン支持部材34のホーン取付部34Aに固定される。したがって、超音波ホーン32は、ホーン支持部材34のホーン取付部34Aに対して固定部32Aのみで接続されており、その他の部分では接触していない構造となっている。特にホーン本体部32Xは、超音波振動におけるノード(節)となる部分において、薄板状の連結部32Bによって保持されるので、連結部32Bによる振動減衰は殆どなく、入力される電気信号に基づく超音波振動を確実に行うことができる。例えば、超音波発振器から所定の周波数の電気信号が超音波ホーン32に入力されると、ホーン本体部32Xは、図7(c)に示されるように、連結部32Bの弾性変形により同図の左右方向(矢印B、C方向)で、且つ吸着方向と垂直面内で連続的に振動する。なお、ホーン本体部32Xにおける連結部32Bが形成される位置は、振動モードにおいて最も振動(振幅)が少ない点が設定されている。
【0055】
また、本実施形態では、超音波ホーン32は、吸着ノズル33の近辺がくびれた形状になっており、更に、ターレット10の周方向と垂直方向に超音波振動するように配設されている。即ち、超音波ホーン32の長手方向が、ターレット10の半径方向に向くようにして配置される。この結果、吸着ノズル33におけるターレット10の周方向の前後に余裕空間が形成されるので、例えば、ターレット10の周方向に沿って、より多くの部品保持ユニット30を配置することも可能になる。また、既に述べたように、このターレット10の上方に配置される供給位置確認カメラ92や溶着位置確認カメラ94が撮像する際、超音波ホーン32が半径方向に延在すれば邪魔にならないで済む。即ち、供給位置確認カメラ92や溶着位置確認カメラ94、ターレット10によって周方向に移動する超音波ホーン32(部品保持ユニット30)が存在していない間に、そのトレイ96上の電子部品片98やウエハ基板610を画像認識する。
【0056】
図6に戻って、ホーン支持部材34は、上述した軸部34Cと、この軸部34Cの下端に連続形成されるホーン取付部34Aを有している。ホーン取付部34Aは軸部34Cに対して径方向に拡張している。また、ホーン支持部材34の上端側(第2押下装置70側)には、ターレット10の半径方向内側に向かって延在する拡張プレート34Dを備える。この拡張プレート34Dの上面が第2押下装置70に押下される受圧部34Bとなる。このように、半径方向に延在する拡張プレート34Dを配置することで、部品保持ユニット駆動装置80を半径方向にオフセットして配置することが可能となっている。また、受圧部34B(拡張プレート34D)の下側には、ホーン側マグネット固定部34Dが設けられ、ホーン付勢装置36のホーン側マグネット36Aが固定される。ホーン取付部34Aの外側面には、ホーン回転装置40と係合する概略L形状の係合部34Eが設けられている。
【0057】
ホーン付勢装置36は、ホーン側マグネット36Aと、このホーン側マグネット36Aよりも下側に配置されるケース側マグネット36Bを有して構成されている。ホーン側マグネット36Aは、環状に形成され、ホーン支持部材34の軸部34Cに挿通されるとともに、ホーン支持部材34の途中に形成されている突起に固定される。この突起がホーン側マグネット固定部となる。ケース側マグネット36Bは、環状に形成され、ホーン支持部材34の軸部34Cに対して遊びを持った状態で挿通されるとともに、ケース31の収容空間31Aに形成されたケース側マグネット固定部31Cに固定されている。ホーン側マグネット36Aとケース側マグネット36Bは、同じ磁極が互いに対向(例えば、S極とS極又はN極とN極が対向)するように配置されている。ホーン側マグネット36Aとケース側マグネット36Bは互いに反発する。この反発力により、ホーン支持部材34は、ケース31に対して、上側に付勢されて磁気浮上する。
【0058】
ホーン位置検出装置38は、ホーン側マグネット36A又はケース側マグネット36Bの磁界変化を検出して電気信号に変換する。なお、本実施形態ではホーン位置検出装置38としてホール素子が用いられている。図6において、ホーン位置検出装置38は、ホーン側マグネット36Aに近接するように、ケース31の収容空間31Aの側壁に設けられる。図10(a)に示されるように、ホーン側マグネット36Aは、上下方向にS極とN極が分極しており、磁界Bがホーン位置検出装置38側に作用する。ホーン位置検出装置38は、水平方向の磁界Xの強度変化を検出する。図10(b)のように、ホーン側マグネット36Aが上昇すると、ホーン位置検出装置38に作用する磁界Bの強さが変化するので、その位置変化を極めて素早く検出することができる。このように、ホーン位置検出装置38は、ホーン側マグネット36Aとの距離の変化に基づく磁界変動を検出して、その変化を電気信号に変換する。また、ホーン位置検出装置38は、電気信号を主制御部(図示省略)に送信する。主制御部は、ホーン位置検出装置38から受信した電気信号に基づいて、ケース31に対するホーン支持部材34の上下方向の高さ変動を検出できる。この結果、溶着時において、部品保持ユニット30全体を下降させて、電子部品片98がウエハ基板610に接触した瞬間を、極めて正確に検出することができる。
【0059】
図8を用いてホーン回転装置40について説明する。図8(a)は、図6の矢印I方向から見たホーン回転装置40の平面図であり、図8(b)は、同ホーン回転装置40の右側面図であり、図8(c)は、図8(a)における矢視II−II方向から見た同ホーン回転装置40の正面図である。
【0060】
ホーン回転装置40は、ホーン支持部材34の係合部34Eと係合するホーン回転用スライダ42を左右(図8(a)の矢印D又はE方向)にスライドさせることによって、ホーン支持部材34を回転させる。この結果、吸着ノズル33を、吸着方向に対して垂直面内で回転(図8(a)の矢印F又はG方向)させる。ホーン回転装置40は、上述したホーン回転用スライダ42と、ホーン回転用スライダ42を一方からスライド自在に支持するスライダ支持装置44と、スライダ支持装置44と連動して、ホーン回転用スライダ42を吸着方向と垂直面内でスライドさせるスライダ移動装置46と、ホーン回転用スライダ42のスライド量を検出するスライダ位置検出装置48を有して構成されている。
【0061】
ホーン回転用スライダ42は概略Cリング形状の板部材である。ホーン回転用スライダ42は、支持面42Aと被駆動面42Bを有している。支持面42Aは、スライダ支持装置44におけるベアリング44Aと接触する部位となる。
【0062】
また、ホーン回転用スライダ42の被駆動面42Bは、スライダ移動装置46の圧電素子47に形成される凸部47Aと当接する。従って、ホーン回転用スライダ42は、ベアリング44Aと凸部47Aによって挟持されていることになる。圧電素子47の凸部47Aが、ホーン回転用スライダ42の被駆動面42Bを、両者間の摩擦抵抗によってスライドさせるようになっている。
【0063】
スライダ支持装置44は、ボールベアリングなどのベアリング44Aと、板ばね44Bと、押えネジ44Cと、板ばね固定台44Dと、軸台44Eと、保持軸44Fと、台座41を有して構成される。
【0064】
台座41は、方形の筒状に構成されており、内部にスライダ移動装置46の圧電素子47が収容される。この台座41には、2個の軸台44E、44Eが設けられている。この軸台44E、44Eには、保持軸44Fが離反可能な状態で保持される構造となっている。保持軸44Fにはベアリング44Aが設けられる。
【0065】
板ばね固定台44Dは、台座41の略中央に設けられる。板ばね44Bは、2本の押えネジ44C、44Cにより板ばね固定台44Dに固定される。板ばね44Bの弾性力によって、保持軸44Fが、軸台44E側に押さえ付けられる。
【0066】
詳細に、保持軸44Fは、軸台44Eに対して図8(c)の上下方向に移動可能に設けられている。板ばね44Bによって保持軸44Fを軸台44E側に押さえ付けることによって、ベアリング44Aがホーン回転用スライダ42側に付勢される。この結果、ホーン回転用スライダ42は、スライダ移動装置46の凸部47Aとベアリング44Aで挟み込まれる。この結果、凸部47Aが移動しない限り、ホーン回転用スライダ42はスライドができない状態となる。なお、板ばね44B、押さえネジ44C、板ばね固定台44Dによって、いわゆる押圧装置を構成する。
【0067】
スライダ移動装置46は、台座41側に振動可能に支持される圧電素子47を備える。この圧電素子47は、詳細には一対の圧電素子片47Bが内蔵されており、各圧電素子片47Bに対して、相互に90度位相ずらした周期電圧を加えるようになっている。
【0068】
圧電素子47には、ホーン回転用スライダ42方向に突出する凸部47Aが設けられている。上述の2つの圧電素子片47Bに対して、90度の位相差を有する電圧を印加すると、図9に示されるように、この凸部47Aが楕円軌道に沿って高速で回転運動する。この回転方向は、適宜反転させることができる。この凸部47Aの楕円軌道を利用すれば、ホーン回転用スライダ42を図9の左右両方向に移動させることができる。
【0069】
以上の結果、周期的に変化するプラス電圧又はマイナス電圧を圧電素子47に連続的に入力することで、ホーン回転用スライダ42をスライドさせて、吸着ノズル33を所定の角度だけ回転させることができる。
【0070】
なお、図8に示されるように、ホーン回転装置40は、マグネット48Aとホール素子48Bを有して構成されるスライダ位置検出装置48を備えている。マグネット48Aはホーン回転用スライダ42側に設けられており、ホール素子48Bは台座41側に設けられている。マグネット48Aとホール素子48Bは対向しており、ホーン回転用スライダ42が左右方向に移動した場合、マグネット48Aとホール素子48Bの距離が変化してホール素子48B周囲の磁界も変動する。ホール素子48Bでは、この磁界変動を検出して電気信号に変換して主制御部(図示省略)に送信する。主制御部では、ホール素子48Bから受信した電気信号に基づいて、ホーン回転用スライダ42のスライド位置を検出する。主制御部は、検出した位置情報に基づいて、ホーン回転用スライダ42を左右方向に移動させるように制御する。なお、ホール素子49Bや圧電素子47を動作させるための電源や回路などは、台座41に固定されている基板ボックス49に内装されている。
【0071】
図6に戻って、部品保持ユニット案内装置50は、ターレット10と部品保持ユニット30の間に設けられている。この部品保持ユニット案内装置50は、ターレット10外周において上下方向に配設されるレール52と、レール52に対してスライド可能に係合するスライド本体54と、このスライド本体54に固定されるテーブル56と、このテーブル56を常に上方に付勢する部品保持ユニット上方付勢装置58を有して構成される直動装置である。
【0072】
テーブル56は、L型の板状部材であり、L型の1面には、部品保持ユニット30のケース31が固定され、他の面には、第1押下装置60に押下げられる受圧部56Aが形成される。したがって、第1押下装置60の押圧部材68がテーブル56の受圧部56Aを押し下げると、テーブル56とともに部品保持ユニット30全体が下方向に案内される。
【0073】
部品保持ユニット上方付勢装置58は、このテーブル56をターレット10に対して、上方向に常に付勢する装置である。詳細に、部品保持ユニット上方付勢装置58は、ターレット10の上面に固定される外筒58Aと、ターレット10とテーブル56の間に配置される圧縮ばね58Cと、この圧縮ばね58Cを保持する軸部材58Bを有して構成されている。軸部材58Bの上端はテーブル56側に固定されており、同下端は、外筒58Aの内部にスライド可能に挿入される。また、圧縮ばね58Cは、一端ターレット10に当接され、他端はテーブル56に当接されて、圧縮状態で配設されている。したがって、圧縮ばね58Cは、テーブル56を上方向に付勢させる。これにより、部品保持ユニット30は、部品保持ユニット駆動装置80からの外力が付与されない限り、常に上方側で静止するようになっている。
【0074】
部品保持ユニット駆動装置80は、第1押下装置60、及び第2押下装置70を有して構成されている。なお、部品保持ユニット駆動装置80は、駆動装置基台90に搭載されている。この部品保持ユニット駆動装置80は、吸着位置Uと、溶着位置Wの上方において、半径方向にオフレットした状態でそれぞれ配置される。なお、本実施形態では、部品保持ユニット駆動装置80が半径方向内側にオフセット配置されることで、部品保持ユニット30の真上の空間が開放される。この結果、例えば、供給位置確認カメラ92の撮像方向に対して、部品保持ユニット駆動装置80が干渉することを回避できる。
【0075】
第1押下装置60は、モータ62と、カム64と、第2押下装置案内機構66と、押圧部材68を有して構成されている。
【0076】
第2押下装置案内機構66は、レール66Aと、スライド本体66Bと、テーブル66Cと、カム受け部材66Dを有して構成される直動装置である。レール66Aは、駆動装置基台90のレール取付部90Aに上下方向に設けられる。レール66Aには、スライド本体66Bがスライド可能に係合される。スライド本体66Bにはテーブル66Cが固定されている。また、テーブル66Cには、第2押下装置70、カム受け部材66D、及び押圧部材68が固定されている。
【0077】
カム64は、モータ62の出力軸62Aに固定された扁平のカムであり、1回転の任意の位置でカム受け部材66Dに当接して、カム受け部材66Dを押し下げる。したがって、第1押下装置60は、カム受け部材66Dを押し下げることで、テーブル66Cを押し下げる。
【0078】
押圧部材68は、テーブル66Cの下側に突出するように設けられた棒状部材である。この押圧部材68は、部品保持ユニット案内装置50のテーブル56に形成された受圧部56Aを押し下げる。したがって、押圧部材68は、テーブル56とともに部品保持ユニット30全体を押し下げることができる。
【0079】
第2押下装置70は、第1押下装置60のテーブル66Cに固定された基台76と、基台76に固定されるボイスコイルモータ74を有して構成される。ボイスコイルモータ74は、入力された電圧に応じて、予め設定されている圧力(付勢力)で、先端側に設けられた出力軸72を移動させることが出来る。ボイスコイルモータ74の出力軸72は、部品保持ユニット30に設けられたホーン支持部材34の受圧部34Bの上に配置されている。したがって、ボイスコイルモータ74は、出力軸72を下降することによって、ホーン支持部材34の拡張プレート34D(受圧部34B)を任意の力で押圧できるようになっている。なお既に述べたように、拡張プレート34Dは半径方向内側に拡張されているので、この結果、ボイスコイルモータ74を半径方向内側にオフセット配置することができる。
【0080】
図6(a)に示されるように、部品保持ユニット駆動装置80は、第1押圧装置60によって部品保持ユニット30全体を押し下げる。そして、電子部品片98がウエハ基板610に当接した瞬間、ホーン保持部材34は、ケース31に対して上方に相対移動する。ホーン保持部材34がケース31に対して上方に相対移動すると、ホーン位置検出装置38は、その移動を極めて素早く検出して、電気信号を主制御部(図示省略)へ送信し、第1押圧装置60を停止する。なお、本実施形態では、ホーン保持部材34が、磁力(ホーン側マグネット36Aとケース側マグネット36Bの反発力)によって磁気浮上していることから、ホーン保持部材34に対して極めて小さい外力が付加される場合でも、ケース31に対して素早く相対移動できる。従って、マグネットによる磁気浮上と、このマグネットを磁気を利用した位置検出によって、極めてコンパクトな構成としながらも、ウエハ基板610及びスタッドバンプ270Bへの衝撃を緩和することが出来る。
【0081】
ホーン位置検出装置38によってホーン保持部材34の相対移動が検知された後、第2押下装置70のボイスコイルモータ74の出力軸72下降させる。ボイスコイルモータ74の出力軸72により、ホーン支持部材34の受圧部34Bに所定の押圧力を加える。この押圧力としては、例えば、最初は0からスタートして線形的に力を増大して最終的には4ニュートン[N]になるように印加する。これにより、ホーン支持部材34に固定された吸着ノズル33に所定の押圧力が付与され、所定の圧力で電子部品片98をスタッドバンプ270Bに押しつけることができる。この押圧力の増大に連動して、超音波振動の振幅も0から線形的に増大させるようにすることで、安定的に電子部品片98とスタッドバンプ270Bが溶着する。なお、ボイスコイルモータ74によるホーン支持部材34の押圧力は、ボイスコイルモータ74に入力する電圧により任意に設定することができる。
【0082】
<溶接動作>
【0083】
次に、図11を参照して、チップボンダ100による、電子部品片98の搭載工程の動作について説明する。なお、この図11では、チップボンダ100において、部品保持ユニット30を6個備えるようにした場合を例示する。
【0084】
なお、図11(a)において、供給位置Uにある部品保持ユニットを部品保持ユニット30Aと定義し、これを基準に時計回りに部品保持ユニット30B〜30Fと定義する。供給位置Uに対して60度進んだ位置が吸着状態確認位置Vとなっており、更に120度進んだ位置が溶着位置Wとなる。更に60度進んだ位置がクリーニング位置Tとなる。
【0085】
まず、電子部品片供給装置89は、電子部品片98を所定の供給位置Uに移動させる。この時、主制御部(図示省略)は、供給位置確認カメラ92により、電子部品片供給装置89により供給された電子部品片98の位置を撮影し、撮影した画像データに基づいて、電子部品片98が所定の位置に供給されたか否かを判定する。主制御部は、電子部品片98が所定の供給位置Uからずれていると判定した場合、電子部品片供給装置89を制御し、電子部品片98を所定の供給位置Uに移動させる。なお、供給位置確認カメラ92による電子部品片98の撮像は、上方に部品保持ユニット30B〜30Fが存在していないタイミングを計って実行される。
【0086】
図11(a)に示されるように、チップボンダ100は、部品保持ユニット30Aの吸着ノズル33によって、供給位置Uに供給される電子部品片98を吸着保持する。吸着保持完了後、更に、ターレット10を60度回転させて、部品保持ユニット30Aの電子部品片98を吸着状態確認位置Vに搬送する(図11(b)参照)。そして、主制御部は、吸着状態確認位置Vに搬送された電子部品片98の吸着角度を吸着位置確認カメラ93により下側から撮影する。主制御部は、撮影した画像データに基づいて、電子部品片98が所定の角度とずれているか否かを判定する。主制御部(図示省略)は、電子部品片98の保持角度が所定の角度からずれていると判定した場合、ホーン回転装置40を駆動し、吸着ノズル33を回転させて電子部品片98の角度を調整する。
【0087】
なお、この時、チップボンダ100は、電子部品片供給装置89により供給位置Uに供給された次の電子部品片98を、部品保持ユニット30Bの吸着ノズル33により吸着保持する。
【0088】
チップボンダ100は、ターレット10をさらに120度回転させて、部品保持ユニット30Aの吸着ノズル33に吸着保持された電子部品片98を、基板供給装置88によって溶着位置Wに供給されたウエハ基板610の真上に搬送する(図11(c)参照)。主制御部は、溶着位置確認カメラ94により、基板供給装置88により供給されたウエハ基板610のスタッドバンプ270Bの位置を撮影し、撮影した画像データに基づいて、スタッドバンプ270Bが所定の溶着位置Wに配置されているか否かを判定する。主制御部は、スタッドバンプ270Bが所定の溶着位置Wからずれていると判定した場合、基板供給装置88を制御し、ウエハ基板610を移動させる。なお、溶着位置確認カメラ94によるスタッドバンプ270Bの撮像は、上方に部品保持ユニット30B〜30Fが存在していないタイミングを計って実行される。この状態で、部品保持ユニット30Aの電子部品片98とスタッドバンプ270Bを超音波接合する。
【0089】
なお、この時、前述と同様に、主制御部は、吸着状態確認位置Vにおいて、吸着位置確認カメラ93で、部品保持ユニット30Cの電子部品片98を撮影することにより、電子部品片98の角度を検査及び調整する。また、部品保持ユニット30Dでは、電子部品片供給装置89により供給位置Uに供給された電子部品片98を吸着する。
【0090】
その後チップボンダ100は、図11(d)に示されるように、ターレット10をさらに60度回転させて、超音波溶着作業が完了した部品保持ユニット30Aをクリーニング位置Tに搬送する。このクリーニング位置Tでは必要に応じて吸着ノズル33の先端を研磨等によってクリーニングする。吸着ノズル33の先端は、超音波溶着によって偏って摩耗しやすいため、所定回数の溶着作業を行うと平滑度が悪化する。従って、このように定期的にクリーニングすることで、先端を常に水平に維持する。なお、このクリーニング作業は、毎回実行しても良いが、予め設定した周期で実行することが好ましい。なお、部品保持ユニット30Aの吸着ノズル33をクリーニングしている最中でも、部品保持ユニット30Bは、溶着位置Wにおいて電子部品片98をウエハ基板610に超音波溶着することができる。
【0091】
その後、チップボンダ100は、部品保持ユニット30B〜30Fについて、上記と同様の動作を繰り返し行い、電子部品片98のウエハ基板610への超音波溶着を行う。
【0092】
チップボンダ100において、ウエハ基板610の全てのスタッドバンプ270Bに対して電子部品片98を超音波接合した後、このウエハ基板610は、基板搬送装置500によって基板徐冷装置400に搬送される。この基板徐冷装置400は、徐冷用加熱プレート410を備える。この徐冷用加熱プレート410は、この上に載置されるウエハ基板610に熱を加えながら、自然放冷と比較して遅い冷却速度で温度を下げる。これによりウエハ基板610を冷ます際の急激な温度低下を抑制する。基板徐冷装置400で徐冷されて常温になったウエハ基板610は、基板搬送装置500によって、基板用カセット600に回収される。
【0093】
次に、この電子部品組み立て装置900による電子部品の組み立て方法について、図12のウエハ基板610の温度サイクルを参照して説明する。
【0094】
まず、基板予熱工程として、基板予熱装置300によってウエハ基板610を予め加熱して、常温から温度を上昇させる。この結果、図12の温度サイクルA−Bに示されるように、ウエハ基板610の目標とする温度まで加熱される。予熱を行っている間は、このウエハ基板610よりも先行する他のウエハ基板610が、スタッドバンプ形成工程(後述)に存在しているので、組み立てのサイクルタイムを短くしながらも、比較的ゆっくりとした温度上昇速度で予熱することができる。温度変化を穏やかにすることで、ウエハ基板610の全体の温度分布を常に均一にすることが可能となる。例えばリチウムタンタレート素材などの焦電体材料のウエハ基板は、温度分布が不均一になったり、全体の温度変化速度が大きかったり、部分的に大きな温度差が生じたりすると、その熱膨張の違いや、焦電効果による表面電荷変動によって割れてしまう。ガラス基板でも同様である。そこで本実施形態のようにゆっくりと予熱することで、ウエハ基板610の破損を抑制する。結果、例えばウエハ基板を1mm以下、更には0.4mm以下の厚さとすることも可能になる。従って、この基板予熱工程によってゆっくりと加熱すれば、組み立て工程の歩留まりを高めることができる。なお、ウエハ基板610の目標温度は80度以上であることが好ましい。
【0095】
予熱が完了したら、スタッドバンプ形成工程として、ウエハ基板610をスタッドバンプ形成装置200に移動させて、目標温度(常温より高い温度)にウエハ基板610を加熱維持しながら、複数のスタッドバンプ270Bを全域に亘って順次形成する。従って、図12の温度サイクルB−Cに示されるように、スタッドバンプ形成工程の間、ウエハ基板610は目標温度に維持される。スタッドバンプ形成工程が完了したら、電子部品片搭載工程に移行する。
【0096】
電子部品片搭載工程は、詳細には基板搬送工程と超音波接合工程を有する。基板搬送工程では、スタッドバンプ形成工程の後、このウエハ基板610を常温まで降下させない状態を維持できる時間範囲内で、スタッドバンプ形成装置200からチップボンダ100までウエハ基板610を搬送する。この際、温度降下量を最小限に維持することが好ましい事から、出来る限り素早く搬送することが大切になる。望ましくはウエハ基板610が60度以下にならないように、より好ましくは80度以下にならないように搬送する。特に図示しないが、搬送中の温度低下を高精度に抑制する為には、基板搬送装置500にも加熱プレートを設置しておくことも可能である。超音波接合工程では、ウエハ基板610の搬送完了後、ウエハ基板610を加熱しながら、スタッドバンプ270Bと電子部品片98の電極を位置決めして両者を超音波接合する。
【0097】
即ち、この電子部品片搭載工程では、スタッドバンプ形成装置200のウエハ基板610を、温度降下を20度以内に抑制した状態で素早く、チップボンダ100に搬送し、このウエハ基板610の加熱を継続することで常温まで温度降下させない状態を維持し、チップボンダ100で電子部品片98を搭載する。従って、図12の温度サイクルC−Dに示されるように、電子部品片搭載工程においてもウエハ基板610が目標温度に維持されていることから、スタッドバンプ270Bに温度変化によるストレスが発生しない状態のまま、電子部品片98を超音波接合できる。結果、超音波接合時において、ウエハ基板610に加わる外力を緩和できる。また、
【0098】
電子部品片搭載工程の完了後は、基板徐冷工程に移行し、基板徐冷装置400によって自然放冷と比較して緩やかな温度降下速度でウエハ基板610を放熱させる。結果、図12の温度サイクルD−Eに示されるように、ウエハ基板610の温度が低下する。既に述べたように、ウエハ基板610の温度変化を穏やかにすることで、ウエハ基板610の全体の温度分布を常に均一にすることが可能となり、ウエハ基板610の破損を抑制する。
【0099】
以上、本実施形態の電子部品組み立て装置900によれば、スタッドバンプ形成工程から電子部品片搭載工程の間まで、ウエハ基板610が常温になることを抑制することで、ウエハ基板610及びスタッドバンプ270Bに対して、複数回の熱サイクルが付与されることを防止する。結果、ウエハ基板610及びスタッドバンプ270Bにかかる熱ストレスを小さくできるので、電子部品の品質を向上させることが可能になる。更に、ウエハ基板610を搬送する基板搬送装置500は、ウエハ基板610を保持する保持具520に温度制御ヒーター(温度制御装置)が搭載されており、保持具520とウエハ基板610が接触する際に両者の温度差を小さくすることで、ウエハ基板610が局所的に冷却されて破損することを抑制することができる。
【0100】
例えば、常温状態を含む複数回の熱サイクルをウエハ基板610に印加すると、ウエハ基板610の表面に形成されている金属配線(スタッドバンプ270Bを形成するためのベース電極)などが劣化しやすくなったり、温度変化によってウエハ基板610が破損する確率が上がってしまう。また、スタッドバンプ形成工程が完了したウエハ基板610をしばらく常温で放置すると、スタッドバンプ270Bの表面に酸化被膜が形成されてしまい、その後の超音波接合の品質が低下しやすい。品質を高めようとすると、電子部品片搭載工程の前に、酸化したスタッドバンプ270Bをプラズマ処理して、この酸化被膜を除去するという酸化被膜除去工程が要求される可能性もある。
【0101】
一方、本実施形態の電子部品組み立て装置900では、スタッドバンプ270Bの表面に酸化被膜が形成される前に、直接、電子部品片98を超音波接合するので、酸化被膜除去工程を省略することが出来、生産性を飛躍的に高めることが可能となる。
【0102】
更にこの電子部品組み立て装置900では、チップボンダ100がターレット構造になっており、ターレット10の周方向に複数の超音波ノズル33が配置された構造となっている。この結果、電子部品片98の供給や、電子部品片98をウエハ基板610に搭載する作業を極めて高速で行うことができる。結果、スタッドバンプ形成装置200からチップボンダ100に、ウエハ基板610を直接搬送しても、両者の動作サイクルタイムの差が小さくなるので、組み立て作業を効率化することができる。
【0103】
また、電子部品片98の吸着作業や溶着作業等を行っている最中に、チップボンダ100のクリーニング位置Tにおいて吸着ノズル33のメンテナンスを行うことも可能となっている。結果、チップボンダ100の可動停止時間を小さくできるので、スタッドバンプ形成装置200とチップボンダ100の間で連続作業させても、稼働効率の低下を抑制できる。
【0104】
また、このチップボンダ100は、供給位置Uと溶着位置Wの上側に、部品保持ユニット駆動装置80を、ターレット10から独立して固定配置している。したがって、部品保持ユニット駆動装置80を、全ての部品保持ユニット30に対応させて1つずつ設ける必要はなくなり、ターレット10の重量を軽くすることができる。この結果、ターレット10のイナーシャを小さくできるので、ターレットの回転程度を向上させることができる。
【0105】
更に、チップボンダ100のホーン付勢部材36は、ホーン側マグネット36Aとケース側マグネット36Bの反発力又は吸引力でホーン支持部材34を上方向に磁気浮上させている。この結果、バネ等で保持する場合と比較して、ホーン支持部材34を小さい外力で素早く移動させることが可能となる。従って、電子部品片98をスタッドバンプ270Bに接触させる際に、ウエハ基板610に作用する衝撃を吸収することが可能となる。ウエハ基板610側にスタッドバンプ270Bをまとめて形成しておき、そこに電子部品片98を連続的に搭載する手法の場合、本実施形態のチップボンダ100の上記磁気浮上構造によって、ウエハ基板610に作用する衝撃を極めて小さくすることは、電子部品の品質向上に大きく貢献する。
【0106】
とりわけこのチップボンダ100は、ホール素子を備えるホーン位置検出装置38を用いて、ケース31に対するホーン支持部材34の位置を高精度で検出する。結果、吸着ノズル33に吸着保持される電子部品片98がスタッドバンプ270Bの先端に接触した瞬間を、高精度且つ素早く検出できる。
【0107】
また、超音波ホーン32は、ターレット10の半径方向に超音波振動するように配置されている。したがって、ターレット10上において周方向の空間効率が高められるので、超音波ホーン32の配置数を増やすことが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明の電子部品組み立て方法等は、電子部品を組み立てる様々な工程に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0109】
10 ターレット
20 ターレット駆動モータ
30 部品保持ユニット
40 ホーン回転装置
50 部品保持ユニット案内装置
60 第1押下装置
70 第2押下装置
80 部品保持ユニット駆動装置
98 電子部品片
100 チップボンダ
200 スタッドバンプ形成装置
210 キャピラリ
220 ヘッド
230 超音波ホーン
240 Z軸テーブル
250 X−Yテーブル
260 ワイヤクランパ
270 金ワイヤ
300 基板予熱装置
400 基板徐冷装置
500 基板搬送装置
600 基板用カセット
610 ウエハ基板
U 供給位置
V 吸着状態確認位置
W 溶着位置
T クリーニング位置
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタッドバンプを利用して電子部品を組み立てる際に利用される電子部品組み立て手法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品を組み立てる際において、電気的な接続を確保する為にスタッドバンプが広く利用されている。このスタッドバンプは、微細な金属バンプを形成する手法の一つである。例えば25ミクロン径の金ワイヤを用いて、放電加熱により金ボールを一旦形成し、超音波アシストによってこの金ボールを電子部品の電極部分に接合させ、金ワイヤを引きちぎることで、約90ミクロン径の金製のスタッドバンプを形成することができる。より細い径の金属ワイヤを用いれば、より微小なスタッドバンプを形成できる。一般的に、このスタッドバンプは、半導体チップの電極にそれぞれ形成される(特許文献1参照)。
【0003】
スタッドバンプが電極に形成された半導体チップを実装基板上に搭載する際は、いわゆるフリップチップ実装装置が用いられる。このフリップチップ実装装置では、半導体チップをハンドリングして電極及びスタッドバンプを下側に向けて、実装基板の所定位置に配置して実装基板と半導体チップが接合される(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−278454号公報
【特許文献2】特開2001−77593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の電子部品組み立て手法では、半導体チップの電極にスタッドバンプを形成しておき、その後、この半導体チップをハンドリングしながら、基板に実装していく手法となる。結果、半導体チップ上のスタッドバンプは常温状態(低温状態)となる。スタッドバンプは低温になるほどその剛性が高いため、基板と半導体チップをスタッドバンプを利用して接合する際に、基板及び半導体チップに衝撃が加わりやすいという問題があった。
【0006】
一方で、半導体チップのスタッドバンプを加熱してから基板に搭載しようとすると、このスタッドバンプに複数回の熱サイクルが作用してスタッドバンプ自体が劣化したり、半導体チップも熱影響を受けたりするという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、組み立て時の熱影響を低減しながらも、スタッドバンプを利用して効率的に電子部品を組み立てることを可能とする電子部品組み立て手法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者の鋭意研究により、上記目的は以下の手段によって達成される。
【0009】
上記目的を達成する本手段は、常温より高い温度に基板を加熱しながら、スタッドバンプ形成装置によって前記基板に金属のスタッドバンプを形成するスタッドバンプ形成工程と、前記スタッドバンプの形成以降、前記基板を常温まで温度降下させない状態を維持し、チップボンダによって前記基板の前記スタッドバンプ上に電子部品片を配置して超音波接合する電子部品片搭載工程と、を有することを特徴とする電子部品組み立て方法である。
【0010】
上記手段の電子部品組み立て方法は、前記スタッドバンプ形成工程の前に、前記基板を予め加熱する基板予熱工程を有することを特徴とすることが好ましい。
【0011】
上記手段の電子部品組み立て方法は、前記電子部品片搭載工程の後に、自然放冷と比較して緩やかな温度降下速度で前記基板を放熱する基板徐冷工程を有することを特徴とすることが好ましい。
【0012】
上記手段の電子部品組み立て方法の前記電子部品片搭載工程は、前記スタッドバンプ形成工程の後、前記基板を常温まで降下させない状態を維持できる時間範囲内で、前記スタッドバンプ形成装置から前記チップボンダまで前記基板を搬送する基板搬送工程と、前記基板の搬送後、前記基板を加熱しながら前記電子部品片を超音波接合する超音波接合工程と、を有することを特徴とすることが好ましい。
【0013】
上記手段の電子部品組み立て方法の前記電子部品搭載工程における前記基板搬送工程では、前記基板の温度変化を20度以内に抑えた状態で、前記スタッドバンプ形成装置から前記チップボンダまで前記基板を搬送することを特徴とすることが好ましい。
【0014】
上記手段の電子部品組み立て方法の前記電子部品搭載工程における前記基板搬送工程では、基板搬送装置における前記基板を保持する為の保持部を温度制御しながら前記基板をハンドリングし、前記スタッドバンプ形成装置から前記チップボンダまで前記基板を搬送することを特徴とすることが好ましい。
【0015】
上記手段の電子部品組み立て方法の前記スタッドバンプ形成工程では、前記基板を80度以上に加熱し、前記電子部品片搭載工程では、前記スタッドバンプの形成以降、前記基板を60度以下まで温度降下させない状態を維持した上で、前記スタッドバンプに前記電子部品片を超音波接合することを特徴とすることが好ましい。
【0016】
上記目的を達成する本手段は、常温より高い温度に基板を加熱する加熱プレートを有し、加熱された前記基板に金属のスタッドバンプを形成するスタッドバンプ形成装置と、前記スタッドバンプの形成以降、前記基板を常温まで温度降下させない状態を維持し、前記基板の前記スタッドバンプ上に電子部品片を配置して超音波接合するチップボンダと、を有することを特徴とする電子部品組み立て装置である。
【0017】
上記手段の電子部品組み立て装置は、前記基板を予め加熱してから前記スタッドバンプ形成装置に搬入する基板予熱装置を有することを特徴とすることが好ましい。
【0018】
上記手段の電子部品組み立て装置は、前記チップボンダから搬出される前記基板を、自然放冷と比較して緩やかな温度降下速度で前記基板を放熱する基板徐冷装置を有することを特徴とすることが好ましい。
【0019】
上記手段の電子部品組み立て装置において、前記チップボンダは、前記基板を常温まで降下させない状態で、前記スタッドバンプ形成装置から前記チップボンダまで前記基板を搬送する基板搬送装置と、前記基板を加熱するボンダ側加熱プレートを有することを特徴とすることが好ましい。
【0020】
上記手段の電子部品組み立て装置において、前記基板搬送装置は、前記基板を保持する保持部を温度制御する温度制御装置を有することを特徴とすることが好ましい。
【0021】
上記手段の電子部品組み立て装置において、前記チップボンダは、中心軸を回転軸として回転可能に支持されるターレットと、出力軸に前記ターレットが接続されるターレット駆動モータと、前記ターレットの周方向に複数設けられて、電子部品片を保持し、該電子部品片を相手側部材に溶着する部品保持ユニットと、前記ターレットと前記部品保持ユニットの間に設けられて、前記部品保持ユニットを前記ターレットに対して上下方向に移動自在に案内する部品保持ユニット案内装置と、前記部品保持ユニットの上側に設けられ、前記部品保持ユニットを押圧することによって、該部品保持ユニットを下方向に移動させる部品保持ユニット駆動装置と、を備え、前記部品保持ユニットは、前記電子部品片を吸着する吸着ノズルが設けられる超音波ホーンと、前記超音波ホーンを超音波振動可能に支持するホーン支持部材と、前記ホーン支持部材を上下方向に摺動可能に支持するケースと、を備えることを特徴とすることが好ましい。
【0022】
上記手段の電子部品組み立て装置において、前記チップボンダの前記部品保持ユニット駆動装置は、第1押下装置及び第2押下装置を備え、前記第1押下装置は、前記部品保持ユニット全体を、前記ターレットに対して下方向に押し下げるようにし、前記第2押下装置は、前記吸着ノズルを、前記部品保持ユニットの前記ケースに対して下方向に相対的に押し下げることを特徴とすることが好ましい。
【0023】
上記手段の電子部品組み立て装置において、前記チップボンダの前記部品保持ユニット駆動装置は、前記ターレットから独立した状態で設けられ、少なくとも電子部品片供給装置から前記電子部品片が供給される位置上、及び前記電子部品片を前記相手側部材に溶着する位置上に固定配置されることを特徴とすることが好ましい。
【0024】
上記手段の電子部品組み立て装置において、前記チップボンダは、前記超音波ホーンを回転させるホーン回転装置を備えることを特徴とすることが好ましい。
【0025】
上記手段の電子部品組み立て装置において、前記チップボンダの前記部品保持ユニットは、前記ホーン支持部材を上方に付勢するホーン付勢装置と、前記ホーン支持部材の上下方向の位置を検出するホーン位置検出装置と、を備えることを特徴とすることが好ましい。
【0026】
上記手段の電子部品組み立て装置において、前記チップボンダの前記部品保持ユニットにおける前記ホーン付勢装置は、前記ホーン支持部材側に固定配置されるホーン側マグネットと、前記ホーン側マグネットと対向して、前記ケース側に固定配置されるケース側マグネットと、を備え、前記ホーン側マグネット及び前記ケース側マグネットは、相互に吸着又は反発することで、前記ホーン支持部材を上方に付勢することを特徴とすることが好ましい。
【0027】
上記手段の電子部品組み立て装置において、前記チップボンダの前記超音波ホーンは、該超音波ホーンの振動方向が前記ターレットの径方向となるように設けられていることを特徴とすることが好ましい。
【0028】
上記手段の電子部品組み立て装置において、前記チップボンダの前記部品保持ユニット駆動装置は、前記部品保持ユニットの真上に対して前記ターレットの半径方向にオフセットされた状態で配置されることを特徴とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、組み立て時の熱影響を低減しながらも、スタッドバンプを利用して効率的に電子部品を組み立てることが可能となるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係る電子部品組み立て装置の全体構造を示す平面図である。
【図2】同電子部品組み立て装置のスタッドバンプ形成装置を示す側面図である。
【図3】同スタッドバンプ形成装置によるスタッドバンプ形成工程を示す拡大図である。
【図4】同電子部品組み立て装置のチップボンダの全体構造を示す正面図である。
【図5A】同チップボンダの全体構造を示す側面図である。
【図5B】同チップボンダの(a)平面図、及び(b)ターレットの開放状態を示す図である。
【図6】(a)(b)同チップボンダの部品保持ユニットを側面から見た断面図、及び部品保持ユニット駆動装置並びに部品保持ユニット案内装置の側面図である。
【図7】(a)超音波ホーンの側面図であり、(b)超音波ホーンの下面図であり、(c)超音波ホーンの振動状態を示す下面図である。
【図8】(a)は、図6(a)における矢印I方向から見たチップボンダのホーン回転装置の平面図であり、(b)同ホーン回転装置の右側面図であり、(c)は、図8(a)における矢視II−II方向から見た同ホーン回転装置の正面図である。
【図9】同チップボンダのスライダ移動装置の圧電素子によってホーン回転用スライダを移動させる状態を示す図である。
【図10】同チップボンダの部品保持ユニットにおける、マグネットを利用したホーン保持部材の位置検出方法を示す図である。
【図11】(a)〜(d)は同チップボンダの電子部品片供給装置及び基板供給装置の平面図である。
【図12】同電子部品組み立て装置によるウエハ基板の温度サイクルを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0032】
図1は本発明の実施の形態に係る電子部品組み立て装置900の全体構成が示されている。この電子部品組み立て装置900は、チップボンダ100、スタッドバンプ形成装置200、基板予熱装置300、基板徐冷装置400、基板搬送装置500、基板用カセット600を備える。なお、基板用カセット600には、電子部品片が搭載されるウエハ基板610が複数枚収容されている。
【0033】
基板搬送装置500は、ウエハ基板610を基板用カセット600から取り出して、チップボンダ100、スタッドバンプ形成装置200、基板予熱装置300、基板徐冷装置400の間を図中の矢印の順番で搬送する。具体的に基板搬送装置500はウエハ搬送用ロボットであり、多段階に伸縮するアーム510の先端に保持具520が搭載されている。基板搬送装置500は、保持具520によってウエハ基板610をクランプし、アーム510を自在に伸縮及び回転させて、目標とする場所にウエハ基板610を搬送することができる。この保持具520には、温度制御ヒーター(温度制御装置)が内蔵されており、クランプする際のウエハ基板610の温度に対して、保持具520の温度が近似するように温度制御される。なお、本実施形態では、1台の基板搬送装置500によって、ウエハ基板610の全ての搬送を行う構造を示したが、本発明はこれに限定されず、複数の基板搬送装置を利用しても良い。
【0034】
基板予熱装置300は、予熱用加熱プレート310を備える。この予熱用加熱プレート310は、この上に載置されるウエハ基板610を例えば80度〜200度の範囲内、好ましくは90度〜180度の範囲内で加熱するようになっている。基板予熱装置300で予熱されたウエハ基板610は、基板搬送装置500によってスタッドバンプ形成装置200に搬送される。
【0035】
スタッドバンプ形成装置200は、図2に拡大して示されるように、キャピラリ210、ヘッド220、超音波ホーン230、Z軸テーブル240、X−Yテーブル250、ワイヤクランパ260、金ワイヤ270が巻き付けられるボビン280、加熱プレート290、放電電極295等を備えて構成される。
【0036】
キャピラリ210は、上下方向に開口が貫通する中空針構造となっており、金ワイヤ270が挿通される。このキャピラリ210は、超音波ホーン230の先端に保持されており、このキャピラリ210が超音波振動する。超音波ホーン230は、Z軸テーブル240によって上下方向に移動するヘッド220に固定されている。なお、ヘッド220内には特に図示しない超音波振動子が内蔵されており、この超音波振動子が超音波ホーン230に超音波振動を印加する。ワイヤクランパ260は、キャピラリ210の上方に配置されており、金ワイヤ270をクランプして、金ワイヤ270に所定の張力を生じさせる。ボビン280は、ワイヤクランパ260の上方に配置されており、金ワイヤ270を繰り出す構造となっている。放電電極295は、その先端がキャピラリ210と接近するように配置される。放電電極295とキャピラリ210の間に高圧電源を印加すると、両者の間で放電が起こり、その熱によってキャピラリ210の下端の金ワイヤ270が溶融してボール状になる。
【0037】
X−Yテーブル250には加熱プレート290が搭載されており、この加熱プレート290にウエハ基板610が載置される。従って、ウエハ基板610は、この加熱プレート290によって80度〜200度の範囲内における目標温度に維持される。
【0038】
図3(a)に示されるように、スタッドバンプ形成装置200は、キャピラリ210の下端において金ワイヤ270を溶融することで金ボール270Aを形成した後、図3(b)のようにキャピラリ210を下降させることで、金ボール270Aをウエハ基板610に押しつける。この際、キャピラリ210を超音波振動させることで、金ボール270Aとウエハ基板610が超音波接合する。更に、図3(c)のように、金ワイヤ270をワイヤクランパ260によってクランプして、ワイヤクランパ260を上方に引き上げることで、金ボール270Aと金ワイヤ270が引きちぎられて、金のスタッドバンプ270Bが形成される。この手順によって、スタッドバンプ形成装置200は、ウエハ基板610をX−Yテーブル250で移動させながら、全域に亘って多数のスタッドバンプ270Bを順番に形成する。この間も、ウエハ基板610は、加熱プレート290によって常温より高い温度に維持されている。
【0039】
スタッドバンプ270Bの形成が完了したウエハ基板610は、基板搬送装置500によってチップボンダ100に搬送される。この搬送時間は20秒以内に短く設定されており、搬送中におけるウエハ基板610の温度低下は殆ど生じず、温度降下を20度以内に収めることが出来る。これにより、ウエハ基板610が常温になったり、60度以下になったりすることも回避できる。
【0040】
チップボンダ100は、図4及び図5Aの全体構造に示されるように、ターレット10と、ターレット駆動モータ20と、部品保持ユニット30と、ホーン回転装置40と、部品保持ユニット案内装置50と、部品保持ユニット駆動装置80と、部品保持ユニット駆動装置80及びターレット駆動モータ20が配置される駆動装置基台90と、この駆動装置基台90が保持される脚部95を備えて構成される。なお、ここでは、部品保持ユニット30の吸着ノズル33により電子部品片98を吸着する位置を供給位置Uと呼び、吸着された電子部品片98をウエハ基板610に溶着する位置を溶着位置Wと呼ぶことにする。
【0041】
トレイ96に載置された電子部品片98は、X−Yテーブルから構成される電子部品片供給装置89によりX−Y方向に移動されて供給位置Uに供給される。電子部品片98の供給位置Uでの位置決めは、上方に配置される供給位置確認カメラ92で撮影した電子部品片98の画像データに基づいて、主制御部(図示省略)が電子部品片供給装置89をX−Y方向に移動することにより行われる。
【0042】
溶着位置Wは、チップボンダ100の主軸を挟んで、電子部品片供給装置89と略反対側(ターレット10の回転移動経路に沿って180度の位相差を有する場所)に位置している。そこには、ウエハ基板610が載置される加熱プレート97と、この加熱プレート97をX−Y方向に移動させる基板供給装置88が設けられている。基板供給装置88は、加熱プレート97に載置されたウエハ基板610を位置決めする。この位置決めは、上方に配置される溶着位置確認カメラ94で撮影したウエハ基板610の画像データに基づいて、主制御部(図示省略)が基板供給装置88をX−Y方向に移動することにより行われる。
【0043】
部品保持ユニット30の回転移動経路上の供給位置Uと溶着位置Wの途中(ここでは供給位置Uから90度の位相差を有する場所)には、下側から部品保持ユニット30を撮影する吸着位置確認カメラ93が設けられている。吸着位置確認カメラ93は、吸着ノズル33に吸着保持された電子部品片98の角度を撮影して、撮影した画像データを主制御部に送信する。そして、主制御部は、その画像データに基づいて、ホーン回転装置40を動作させて、電子部品片98が所定の角度になるように吸着ノズル33を回転制御する。吸着ノズル33により吸着保持された電子部品片98の吸着状態(角度)を確認する位置を、ここでは吸着状態確認位置Vと言う。
【0044】
また、部品保持ユニット30の回転移動経路上の溶着位置Wと供給位置Uの途中(ここでは溶着位置Wから90度の位相差を有する場所)にはクリーニング装置98が設けられている。クリーニング装置98は、吸着ノズル33の先端が当接することで、この先端を自動的にクリーニングする。従って、部品保持ユニット30が、溶着位置Wや供給位置Uで、供給作業や溶着作業を行っている間に、他の部品保持ユニット30の吸着ノズル33をクリーニングしてメンテナンスを行うことが可能となる。なお、このクリーニング装置98によって吸着ノズル33をクリーニングする位置を、ここではクリーニング位置Tと言う。
【0045】
上記のように、チップボンダ100は、ターレット10を回転することにより、部品保持ユニット30に設けられた吸着ノズル33を供給位置U、吸着状態確認位置V、溶着位置W、クリーニング位置Tの順番に搬送することができるようになっている。
【0046】
ターレット10は、円盤形状、又は5角形又は6角形等の多角形形状の円板状部材である。ターレット10は、自身の中心軸を回転軸として、ターレット駆動モーター20に回転可能に同軸状態で支持される。この結果、ターレット10は、ターレット駆動モータ20の回転に連動して回転する。また、ターレット10は、上述した形状に限定されるものではなく、例えば、円筒の外周面から外側に向かって放射状に突出するように形成された複数の凸部(アーム)を有する星型又はヒトデ型等であっても好ましい。
【0047】
ターレット駆動モータ20は、DDモータ(ダイレクト・ドライブ・モータ)を用いており、ターレット10の回転方向の位置決めを高い角度精度で行う。
【0048】
図5B(a)に示されるように、このターレット駆動モータ20は、上方の駆動装置基台90に固定されている。この駆動装置基台90は、脚部95によって揺動自在に保持されている。従って、ターレット10をメンテナンスする際は、図5B(b)に示されるように、脚部95に対して駆動装置基台90を上方に揺動させることで、ターレット10の全体を上方に開放する。
【0049】
部品保持ユニット30は、ターレット10の周方向に等間隔で複数(ここでは4個)設けられるとともに、下側には、吸着ノズル33を有する超音波ホーン32を備えている。なお、この部品保持ユニット30は、ターレット10の外周において、半径方向外側に突出するように配置されている。このようにすることで、複数の部品保持ユニット30の周方向の間に空間Sを確保する。結果、供給位置Uの上方に配置される供給位置確認カメラ92は、部品保持ユニット30が存在しないタイミングを見計らって、空間Sを介して電子部品片供給装置89を上方から撮像して、電子部品片98の位置決めを行う。同様に、溶着位置Wの上方に配置される溶着位置確認カメラ94は、部品保持ユニット30が存在しないタイミングを見計らって、空間Sを介してウエハ基板610を撮像し、ウエハ基板610に形成されているスタッドバンプ270B等を検出して、電子部品片98を正しい位置に溶着するようになっている。
【0050】
なお、部品保持ユニット30をターレット10半径方向内側に配置する場合は、ターレット10に開口を形成するなどして、同様な空間Sを確保すれば良い。即ち、空間Sを確保するためにターレット10を切り欠けば良い。
【0051】
部品保持ユニット30は、吸着ノズル33で電子部品片98を吸着保持したり、超音波ホーン32の超音波振動により、吸着保持した電子部品片98をウエハ基板610に超音波溶着(超音波接合)したりする。この吸着ノズル33は、内部に吸入経路33Aが形成されており、特に図示しない真空ポンプと接続されている。真空ポンプは、吸入経路33Aを介して吸着ノズル33の先端に負圧を発生させる。これにより、吸着ノズル33が電子部品片33Aを吸着する。
【0052】
部品保持ユニット30は、図6に示されるように、ケース31と、超音波ホーン32と、ホーン支持部材34と、ホーン付勢装置36と、ホーン位置検出装置38を備えて構成される。超音波ホーン32は、超音波発振器(図示省略)により、例えば60kHz帯の周波数を有する電気信号を与えられ、機械的な振動エネルギーに変換する。
【0053】
ケース31の内部の収容空間31Aには、後述するホーン支持部材34の軸部34C、ホーン付勢装置36、ホーン位置検出装置38が収容される。更に、ケース31には摺動通路31Bが形成されており、ホーン支持部材34の軸部34Cが、スライド可能に挿通される。なお、収容空間31Aと摺動通路31Bは連通して形成され、摺動通路31には、軸部34Cを上下方向に摺動可能、且つ軸中心に回転可能に支持する支持部材35が設けられている。本実施形態では支持部材35としてボールベアリングが用いられている。この支持部材35は、摺動通路31Bにおける上下2か所に設けられている。これによって、ホーン支持部材34は、ケース31に対し、上下方向及び回転方向のどちらにも可動できる。また、収容空間31Aの下側には、ケース側マグネット36Bをケース31に固定するためのケース側マグネット固定部31Dが設けられている。
【0054】
超音波ホーン32のホーン本体部32Xは、図7(a)及び(b)に示されるように、図6の矢印I方向(上下方向)から見て、概略直方体形状で、長手方向の中心部近傍が括れた形状になっている。また、超音波ホーン32は、括れている部分の略中心に吸着ノズル33が端面から下方向に突出形成されている。ホーン本体部32Xには、長手方向及び幅方向に対象の4箇所に薄板状の連結部32Bが形成され、更にこの連結部32Bには固定部32Aが形成される。この固定部32Aは、ホーン支持部材34のホーン取付部34Aに固定される。したがって、超音波ホーン32は、ホーン支持部材34のホーン取付部34Aに対して固定部32Aのみで接続されており、その他の部分では接触していない構造となっている。特にホーン本体部32Xは、超音波振動におけるノード(節)となる部分において、薄板状の連結部32Bによって保持されるので、連結部32Bによる振動減衰は殆どなく、入力される電気信号に基づく超音波振動を確実に行うことができる。例えば、超音波発振器から所定の周波数の電気信号が超音波ホーン32に入力されると、ホーン本体部32Xは、図7(c)に示されるように、連結部32Bの弾性変形により同図の左右方向(矢印B、C方向)で、且つ吸着方向と垂直面内で連続的に振動する。なお、ホーン本体部32Xにおける連結部32Bが形成される位置は、振動モードにおいて最も振動(振幅)が少ない点が設定されている。
【0055】
また、本実施形態では、超音波ホーン32は、吸着ノズル33の近辺がくびれた形状になっており、更に、ターレット10の周方向と垂直方向に超音波振動するように配設されている。即ち、超音波ホーン32の長手方向が、ターレット10の半径方向に向くようにして配置される。この結果、吸着ノズル33におけるターレット10の周方向の前後に余裕空間が形成されるので、例えば、ターレット10の周方向に沿って、より多くの部品保持ユニット30を配置することも可能になる。また、既に述べたように、このターレット10の上方に配置される供給位置確認カメラ92や溶着位置確認カメラ94が撮像する際、超音波ホーン32が半径方向に延在すれば邪魔にならないで済む。即ち、供給位置確認カメラ92や溶着位置確認カメラ94、ターレット10によって周方向に移動する超音波ホーン32(部品保持ユニット30)が存在していない間に、そのトレイ96上の電子部品片98やウエハ基板610を画像認識する。
【0056】
図6に戻って、ホーン支持部材34は、上述した軸部34Cと、この軸部34Cの下端に連続形成されるホーン取付部34Aを有している。ホーン取付部34Aは軸部34Cに対して径方向に拡張している。また、ホーン支持部材34の上端側(第2押下装置70側)には、ターレット10の半径方向内側に向かって延在する拡張プレート34Dを備える。この拡張プレート34Dの上面が第2押下装置70に押下される受圧部34Bとなる。このように、半径方向に延在する拡張プレート34Dを配置することで、部品保持ユニット駆動装置80を半径方向にオフセットして配置することが可能となっている。また、受圧部34B(拡張プレート34D)の下側には、ホーン側マグネット固定部34Dが設けられ、ホーン付勢装置36のホーン側マグネット36Aが固定される。ホーン取付部34Aの外側面には、ホーン回転装置40と係合する概略L形状の係合部34Eが設けられている。
【0057】
ホーン付勢装置36は、ホーン側マグネット36Aと、このホーン側マグネット36Aよりも下側に配置されるケース側マグネット36Bを有して構成されている。ホーン側マグネット36Aは、環状に形成され、ホーン支持部材34の軸部34Cに挿通されるとともに、ホーン支持部材34の途中に形成されている突起に固定される。この突起がホーン側マグネット固定部となる。ケース側マグネット36Bは、環状に形成され、ホーン支持部材34の軸部34Cに対して遊びを持った状態で挿通されるとともに、ケース31の収容空間31Aに形成されたケース側マグネット固定部31Cに固定されている。ホーン側マグネット36Aとケース側マグネット36Bは、同じ磁極が互いに対向(例えば、S極とS極又はN極とN極が対向)するように配置されている。ホーン側マグネット36Aとケース側マグネット36Bは互いに反発する。この反発力により、ホーン支持部材34は、ケース31に対して、上側に付勢されて磁気浮上する。
【0058】
ホーン位置検出装置38は、ホーン側マグネット36A又はケース側マグネット36Bの磁界変化を検出して電気信号に変換する。なお、本実施形態ではホーン位置検出装置38としてホール素子が用いられている。図6において、ホーン位置検出装置38は、ホーン側マグネット36Aに近接するように、ケース31の収容空間31Aの側壁に設けられる。図10(a)に示されるように、ホーン側マグネット36Aは、上下方向にS極とN極が分極しており、磁界Bがホーン位置検出装置38側に作用する。ホーン位置検出装置38は、水平方向の磁界Xの強度変化を検出する。図10(b)のように、ホーン側マグネット36Aが上昇すると、ホーン位置検出装置38に作用する磁界Bの強さが変化するので、その位置変化を極めて素早く検出することができる。このように、ホーン位置検出装置38は、ホーン側マグネット36Aとの距離の変化に基づく磁界変動を検出して、その変化を電気信号に変換する。また、ホーン位置検出装置38は、電気信号を主制御部(図示省略)に送信する。主制御部は、ホーン位置検出装置38から受信した電気信号に基づいて、ケース31に対するホーン支持部材34の上下方向の高さ変動を検出できる。この結果、溶着時において、部品保持ユニット30全体を下降させて、電子部品片98がウエハ基板610に接触した瞬間を、極めて正確に検出することができる。
【0059】
図8を用いてホーン回転装置40について説明する。図8(a)は、図6の矢印I方向から見たホーン回転装置40の平面図であり、図8(b)は、同ホーン回転装置40の右側面図であり、図8(c)は、図8(a)における矢視II−II方向から見た同ホーン回転装置40の正面図である。
【0060】
ホーン回転装置40は、ホーン支持部材34の係合部34Eと係合するホーン回転用スライダ42を左右(図8(a)の矢印D又はE方向)にスライドさせることによって、ホーン支持部材34を回転させる。この結果、吸着ノズル33を、吸着方向に対して垂直面内で回転(図8(a)の矢印F又はG方向)させる。ホーン回転装置40は、上述したホーン回転用スライダ42と、ホーン回転用スライダ42を一方からスライド自在に支持するスライダ支持装置44と、スライダ支持装置44と連動して、ホーン回転用スライダ42を吸着方向と垂直面内でスライドさせるスライダ移動装置46と、ホーン回転用スライダ42のスライド量を検出するスライダ位置検出装置48を有して構成されている。
【0061】
ホーン回転用スライダ42は概略Cリング形状の板部材である。ホーン回転用スライダ42は、支持面42Aと被駆動面42Bを有している。支持面42Aは、スライダ支持装置44におけるベアリング44Aと接触する部位となる。
【0062】
また、ホーン回転用スライダ42の被駆動面42Bは、スライダ移動装置46の圧電素子47に形成される凸部47Aと当接する。従って、ホーン回転用スライダ42は、ベアリング44Aと凸部47Aによって挟持されていることになる。圧電素子47の凸部47Aが、ホーン回転用スライダ42の被駆動面42Bを、両者間の摩擦抵抗によってスライドさせるようになっている。
【0063】
スライダ支持装置44は、ボールベアリングなどのベアリング44Aと、板ばね44Bと、押えネジ44Cと、板ばね固定台44Dと、軸台44Eと、保持軸44Fと、台座41を有して構成される。
【0064】
台座41は、方形の筒状に構成されており、内部にスライダ移動装置46の圧電素子47が収容される。この台座41には、2個の軸台44E、44Eが設けられている。この軸台44E、44Eには、保持軸44Fが離反可能な状態で保持される構造となっている。保持軸44Fにはベアリング44Aが設けられる。
【0065】
板ばね固定台44Dは、台座41の略中央に設けられる。板ばね44Bは、2本の押えネジ44C、44Cにより板ばね固定台44Dに固定される。板ばね44Bの弾性力によって、保持軸44Fが、軸台44E側に押さえ付けられる。
【0066】
詳細に、保持軸44Fは、軸台44Eに対して図8(c)の上下方向に移動可能に設けられている。板ばね44Bによって保持軸44Fを軸台44E側に押さえ付けることによって、ベアリング44Aがホーン回転用スライダ42側に付勢される。この結果、ホーン回転用スライダ42は、スライダ移動装置46の凸部47Aとベアリング44Aで挟み込まれる。この結果、凸部47Aが移動しない限り、ホーン回転用スライダ42はスライドができない状態となる。なお、板ばね44B、押さえネジ44C、板ばね固定台44Dによって、いわゆる押圧装置を構成する。
【0067】
スライダ移動装置46は、台座41側に振動可能に支持される圧電素子47を備える。この圧電素子47は、詳細には一対の圧電素子片47Bが内蔵されており、各圧電素子片47Bに対して、相互に90度位相ずらした周期電圧を加えるようになっている。
【0068】
圧電素子47には、ホーン回転用スライダ42方向に突出する凸部47Aが設けられている。上述の2つの圧電素子片47Bに対して、90度の位相差を有する電圧を印加すると、図9に示されるように、この凸部47Aが楕円軌道に沿って高速で回転運動する。この回転方向は、適宜反転させることができる。この凸部47Aの楕円軌道を利用すれば、ホーン回転用スライダ42を図9の左右両方向に移動させることができる。
【0069】
以上の結果、周期的に変化するプラス電圧又はマイナス電圧を圧電素子47に連続的に入力することで、ホーン回転用スライダ42をスライドさせて、吸着ノズル33を所定の角度だけ回転させることができる。
【0070】
なお、図8に示されるように、ホーン回転装置40は、マグネット48Aとホール素子48Bを有して構成されるスライダ位置検出装置48を備えている。マグネット48Aはホーン回転用スライダ42側に設けられており、ホール素子48Bは台座41側に設けられている。マグネット48Aとホール素子48Bは対向しており、ホーン回転用スライダ42が左右方向に移動した場合、マグネット48Aとホール素子48Bの距離が変化してホール素子48B周囲の磁界も変動する。ホール素子48Bでは、この磁界変動を検出して電気信号に変換して主制御部(図示省略)に送信する。主制御部では、ホール素子48Bから受信した電気信号に基づいて、ホーン回転用スライダ42のスライド位置を検出する。主制御部は、検出した位置情報に基づいて、ホーン回転用スライダ42を左右方向に移動させるように制御する。なお、ホール素子49Bや圧電素子47を動作させるための電源や回路などは、台座41に固定されている基板ボックス49に内装されている。
【0071】
図6に戻って、部品保持ユニット案内装置50は、ターレット10と部品保持ユニット30の間に設けられている。この部品保持ユニット案内装置50は、ターレット10外周において上下方向に配設されるレール52と、レール52に対してスライド可能に係合するスライド本体54と、このスライド本体54に固定されるテーブル56と、このテーブル56を常に上方に付勢する部品保持ユニット上方付勢装置58を有して構成される直動装置である。
【0072】
テーブル56は、L型の板状部材であり、L型の1面には、部品保持ユニット30のケース31が固定され、他の面には、第1押下装置60に押下げられる受圧部56Aが形成される。したがって、第1押下装置60の押圧部材68がテーブル56の受圧部56Aを押し下げると、テーブル56とともに部品保持ユニット30全体が下方向に案内される。
【0073】
部品保持ユニット上方付勢装置58は、このテーブル56をターレット10に対して、上方向に常に付勢する装置である。詳細に、部品保持ユニット上方付勢装置58は、ターレット10の上面に固定される外筒58Aと、ターレット10とテーブル56の間に配置される圧縮ばね58Cと、この圧縮ばね58Cを保持する軸部材58Bを有して構成されている。軸部材58Bの上端はテーブル56側に固定されており、同下端は、外筒58Aの内部にスライド可能に挿入される。また、圧縮ばね58Cは、一端ターレット10に当接され、他端はテーブル56に当接されて、圧縮状態で配設されている。したがって、圧縮ばね58Cは、テーブル56を上方向に付勢させる。これにより、部品保持ユニット30は、部品保持ユニット駆動装置80からの外力が付与されない限り、常に上方側で静止するようになっている。
【0074】
部品保持ユニット駆動装置80は、第1押下装置60、及び第2押下装置70を有して構成されている。なお、部品保持ユニット駆動装置80は、駆動装置基台90に搭載されている。この部品保持ユニット駆動装置80は、吸着位置Uと、溶着位置Wの上方において、半径方向にオフレットした状態でそれぞれ配置される。なお、本実施形態では、部品保持ユニット駆動装置80が半径方向内側にオフセット配置されることで、部品保持ユニット30の真上の空間が開放される。この結果、例えば、供給位置確認カメラ92の撮像方向に対して、部品保持ユニット駆動装置80が干渉することを回避できる。
【0075】
第1押下装置60は、モータ62と、カム64と、第2押下装置案内機構66と、押圧部材68を有して構成されている。
【0076】
第2押下装置案内機構66は、レール66Aと、スライド本体66Bと、テーブル66Cと、カム受け部材66Dを有して構成される直動装置である。レール66Aは、駆動装置基台90のレール取付部90Aに上下方向に設けられる。レール66Aには、スライド本体66Bがスライド可能に係合される。スライド本体66Bにはテーブル66Cが固定されている。また、テーブル66Cには、第2押下装置70、カム受け部材66D、及び押圧部材68が固定されている。
【0077】
カム64は、モータ62の出力軸62Aに固定された扁平のカムであり、1回転の任意の位置でカム受け部材66Dに当接して、カム受け部材66Dを押し下げる。したがって、第1押下装置60は、カム受け部材66Dを押し下げることで、テーブル66Cを押し下げる。
【0078】
押圧部材68は、テーブル66Cの下側に突出するように設けられた棒状部材である。この押圧部材68は、部品保持ユニット案内装置50のテーブル56に形成された受圧部56Aを押し下げる。したがって、押圧部材68は、テーブル56とともに部品保持ユニット30全体を押し下げることができる。
【0079】
第2押下装置70は、第1押下装置60のテーブル66Cに固定された基台76と、基台76に固定されるボイスコイルモータ74を有して構成される。ボイスコイルモータ74は、入力された電圧に応じて、予め設定されている圧力(付勢力)で、先端側に設けられた出力軸72を移動させることが出来る。ボイスコイルモータ74の出力軸72は、部品保持ユニット30に設けられたホーン支持部材34の受圧部34Bの上に配置されている。したがって、ボイスコイルモータ74は、出力軸72を下降することによって、ホーン支持部材34の拡張プレート34D(受圧部34B)を任意の力で押圧できるようになっている。なお既に述べたように、拡張プレート34Dは半径方向内側に拡張されているので、この結果、ボイスコイルモータ74を半径方向内側にオフセット配置することができる。
【0080】
図6(a)に示されるように、部品保持ユニット駆動装置80は、第1押圧装置60によって部品保持ユニット30全体を押し下げる。そして、電子部品片98がウエハ基板610に当接した瞬間、ホーン保持部材34は、ケース31に対して上方に相対移動する。ホーン保持部材34がケース31に対して上方に相対移動すると、ホーン位置検出装置38は、その移動を極めて素早く検出して、電気信号を主制御部(図示省略)へ送信し、第1押圧装置60を停止する。なお、本実施形態では、ホーン保持部材34が、磁力(ホーン側マグネット36Aとケース側マグネット36Bの反発力)によって磁気浮上していることから、ホーン保持部材34に対して極めて小さい外力が付加される場合でも、ケース31に対して素早く相対移動できる。従って、マグネットによる磁気浮上と、このマグネットを磁気を利用した位置検出によって、極めてコンパクトな構成としながらも、ウエハ基板610及びスタッドバンプ270Bへの衝撃を緩和することが出来る。
【0081】
ホーン位置検出装置38によってホーン保持部材34の相対移動が検知された後、第2押下装置70のボイスコイルモータ74の出力軸72下降させる。ボイスコイルモータ74の出力軸72により、ホーン支持部材34の受圧部34Bに所定の押圧力を加える。この押圧力としては、例えば、最初は0からスタートして線形的に力を増大して最終的には4ニュートン[N]になるように印加する。これにより、ホーン支持部材34に固定された吸着ノズル33に所定の押圧力が付与され、所定の圧力で電子部品片98をスタッドバンプ270Bに押しつけることができる。この押圧力の増大に連動して、超音波振動の振幅も0から線形的に増大させるようにすることで、安定的に電子部品片98とスタッドバンプ270Bが溶着する。なお、ボイスコイルモータ74によるホーン支持部材34の押圧力は、ボイスコイルモータ74に入力する電圧により任意に設定することができる。
【0082】
<溶接動作>
【0083】
次に、図11を参照して、チップボンダ100による、電子部品片98の搭載工程の動作について説明する。なお、この図11では、チップボンダ100において、部品保持ユニット30を6個備えるようにした場合を例示する。
【0084】
なお、図11(a)において、供給位置Uにある部品保持ユニットを部品保持ユニット30Aと定義し、これを基準に時計回りに部品保持ユニット30B〜30Fと定義する。供給位置Uに対して60度進んだ位置が吸着状態確認位置Vとなっており、更に120度進んだ位置が溶着位置Wとなる。更に60度進んだ位置がクリーニング位置Tとなる。
【0085】
まず、電子部品片供給装置89は、電子部品片98を所定の供給位置Uに移動させる。この時、主制御部(図示省略)は、供給位置確認カメラ92により、電子部品片供給装置89により供給された電子部品片98の位置を撮影し、撮影した画像データに基づいて、電子部品片98が所定の位置に供給されたか否かを判定する。主制御部は、電子部品片98が所定の供給位置Uからずれていると判定した場合、電子部品片供給装置89を制御し、電子部品片98を所定の供給位置Uに移動させる。なお、供給位置確認カメラ92による電子部品片98の撮像は、上方に部品保持ユニット30B〜30Fが存在していないタイミングを計って実行される。
【0086】
図11(a)に示されるように、チップボンダ100は、部品保持ユニット30Aの吸着ノズル33によって、供給位置Uに供給される電子部品片98を吸着保持する。吸着保持完了後、更に、ターレット10を60度回転させて、部品保持ユニット30Aの電子部品片98を吸着状態確認位置Vに搬送する(図11(b)参照)。そして、主制御部は、吸着状態確認位置Vに搬送された電子部品片98の吸着角度を吸着位置確認カメラ93により下側から撮影する。主制御部は、撮影した画像データに基づいて、電子部品片98が所定の角度とずれているか否かを判定する。主制御部(図示省略)は、電子部品片98の保持角度が所定の角度からずれていると判定した場合、ホーン回転装置40を駆動し、吸着ノズル33を回転させて電子部品片98の角度を調整する。
【0087】
なお、この時、チップボンダ100は、電子部品片供給装置89により供給位置Uに供給された次の電子部品片98を、部品保持ユニット30Bの吸着ノズル33により吸着保持する。
【0088】
チップボンダ100は、ターレット10をさらに120度回転させて、部品保持ユニット30Aの吸着ノズル33に吸着保持された電子部品片98を、基板供給装置88によって溶着位置Wに供給されたウエハ基板610の真上に搬送する(図11(c)参照)。主制御部は、溶着位置確認カメラ94により、基板供給装置88により供給されたウエハ基板610のスタッドバンプ270Bの位置を撮影し、撮影した画像データに基づいて、スタッドバンプ270Bが所定の溶着位置Wに配置されているか否かを判定する。主制御部は、スタッドバンプ270Bが所定の溶着位置Wからずれていると判定した場合、基板供給装置88を制御し、ウエハ基板610を移動させる。なお、溶着位置確認カメラ94によるスタッドバンプ270Bの撮像は、上方に部品保持ユニット30B〜30Fが存在していないタイミングを計って実行される。この状態で、部品保持ユニット30Aの電子部品片98とスタッドバンプ270Bを超音波接合する。
【0089】
なお、この時、前述と同様に、主制御部は、吸着状態確認位置Vにおいて、吸着位置確認カメラ93で、部品保持ユニット30Cの電子部品片98を撮影することにより、電子部品片98の角度を検査及び調整する。また、部品保持ユニット30Dでは、電子部品片供給装置89により供給位置Uに供給された電子部品片98を吸着する。
【0090】
その後チップボンダ100は、図11(d)に示されるように、ターレット10をさらに60度回転させて、超音波溶着作業が完了した部品保持ユニット30Aをクリーニング位置Tに搬送する。このクリーニング位置Tでは必要に応じて吸着ノズル33の先端を研磨等によってクリーニングする。吸着ノズル33の先端は、超音波溶着によって偏って摩耗しやすいため、所定回数の溶着作業を行うと平滑度が悪化する。従って、このように定期的にクリーニングすることで、先端を常に水平に維持する。なお、このクリーニング作業は、毎回実行しても良いが、予め設定した周期で実行することが好ましい。なお、部品保持ユニット30Aの吸着ノズル33をクリーニングしている最中でも、部品保持ユニット30Bは、溶着位置Wにおいて電子部品片98をウエハ基板610に超音波溶着することができる。
【0091】
その後、チップボンダ100は、部品保持ユニット30B〜30Fについて、上記と同様の動作を繰り返し行い、電子部品片98のウエハ基板610への超音波溶着を行う。
【0092】
チップボンダ100において、ウエハ基板610の全てのスタッドバンプ270Bに対して電子部品片98を超音波接合した後、このウエハ基板610は、基板搬送装置500によって基板徐冷装置400に搬送される。この基板徐冷装置400は、徐冷用加熱プレート410を備える。この徐冷用加熱プレート410は、この上に載置されるウエハ基板610に熱を加えながら、自然放冷と比較して遅い冷却速度で温度を下げる。これによりウエハ基板610を冷ます際の急激な温度低下を抑制する。基板徐冷装置400で徐冷されて常温になったウエハ基板610は、基板搬送装置500によって、基板用カセット600に回収される。
【0093】
次に、この電子部品組み立て装置900による電子部品の組み立て方法について、図12のウエハ基板610の温度サイクルを参照して説明する。
【0094】
まず、基板予熱工程として、基板予熱装置300によってウエハ基板610を予め加熱して、常温から温度を上昇させる。この結果、図12の温度サイクルA−Bに示されるように、ウエハ基板610の目標とする温度まで加熱される。予熱を行っている間は、このウエハ基板610よりも先行する他のウエハ基板610が、スタッドバンプ形成工程(後述)に存在しているので、組み立てのサイクルタイムを短くしながらも、比較的ゆっくりとした温度上昇速度で予熱することができる。温度変化を穏やかにすることで、ウエハ基板610の全体の温度分布を常に均一にすることが可能となる。例えばリチウムタンタレート素材などの焦電体材料のウエハ基板は、温度分布が不均一になったり、全体の温度変化速度が大きかったり、部分的に大きな温度差が生じたりすると、その熱膨張の違いや、焦電効果による表面電荷変動によって割れてしまう。ガラス基板でも同様である。そこで本実施形態のようにゆっくりと予熱することで、ウエハ基板610の破損を抑制する。結果、例えばウエハ基板を1mm以下、更には0.4mm以下の厚さとすることも可能になる。従って、この基板予熱工程によってゆっくりと加熱すれば、組み立て工程の歩留まりを高めることができる。なお、ウエハ基板610の目標温度は80度以上であることが好ましい。
【0095】
予熱が完了したら、スタッドバンプ形成工程として、ウエハ基板610をスタッドバンプ形成装置200に移動させて、目標温度(常温より高い温度)にウエハ基板610を加熱維持しながら、複数のスタッドバンプ270Bを全域に亘って順次形成する。従って、図12の温度サイクルB−Cに示されるように、スタッドバンプ形成工程の間、ウエハ基板610は目標温度に維持される。スタッドバンプ形成工程が完了したら、電子部品片搭載工程に移行する。
【0096】
電子部品片搭載工程は、詳細には基板搬送工程と超音波接合工程を有する。基板搬送工程では、スタッドバンプ形成工程の後、このウエハ基板610を常温まで降下させない状態を維持できる時間範囲内で、スタッドバンプ形成装置200からチップボンダ100までウエハ基板610を搬送する。この際、温度降下量を最小限に維持することが好ましい事から、出来る限り素早く搬送することが大切になる。望ましくはウエハ基板610が60度以下にならないように、より好ましくは80度以下にならないように搬送する。特に図示しないが、搬送中の温度低下を高精度に抑制する為には、基板搬送装置500にも加熱プレートを設置しておくことも可能である。超音波接合工程では、ウエハ基板610の搬送完了後、ウエハ基板610を加熱しながら、スタッドバンプ270Bと電子部品片98の電極を位置決めして両者を超音波接合する。
【0097】
即ち、この電子部品片搭載工程では、スタッドバンプ形成装置200のウエハ基板610を、温度降下を20度以内に抑制した状態で素早く、チップボンダ100に搬送し、このウエハ基板610の加熱を継続することで常温まで温度降下させない状態を維持し、チップボンダ100で電子部品片98を搭載する。従って、図12の温度サイクルC−Dに示されるように、電子部品片搭載工程においてもウエハ基板610が目標温度に維持されていることから、スタッドバンプ270Bに温度変化によるストレスが発生しない状態のまま、電子部品片98を超音波接合できる。結果、超音波接合時において、ウエハ基板610に加わる外力を緩和できる。また、
【0098】
電子部品片搭載工程の完了後は、基板徐冷工程に移行し、基板徐冷装置400によって自然放冷と比較して緩やかな温度降下速度でウエハ基板610を放熱させる。結果、図12の温度サイクルD−Eに示されるように、ウエハ基板610の温度が低下する。既に述べたように、ウエハ基板610の温度変化を穏やかにすることで、ウエハ基板610の全体の温度分布を常に均一にすることが可能となり、ウエハ基板610の破損を抑制する。
【0099】
以上、本実施形態の電子部品組み立て装置900によれば、スタッドバンプ形成工程から電子部品片搭載工程の間まで、ウエハ基板610が常温になることを抑制することで、ウエハ基板610及びスタッドバンプ270Bに対して、複数回の熱サイクルが付与されることを防止する。結果、ウエハ基板610及びスタッドバンプ270Bにかかる熱ストレスを小さくできるので、電子部品の品質を向上させることが可能になる。更に、ウエハ基板610を搬送する基板搬送装置500は、ウエハ基板610を保持する保持具520に温度制御ヒーター(温度制御装置)が搭載されており、保持具520とウエハ基板610が接触する際に両者の温度差を小さくすることで、ウエハ基板610が局所的に冷却されて破損することを抑制することができる。
【0100】
例えば、常温状態を含む複数回の熱サイクルをウエハ基板610に印加すると、ウエハ基板610の表面に形成されている金属配線(スタッドバンプ270Bを形成するためのベース電極)などが劣化しやすくなったり、温度変化によってウエハ基板610が破損する確率が上がってしまう。また、スタッドバンプ形成工程が完了したウエハ基板610をしばらく常温で放置すると、スタッドバンプ270Bの表面に酸化被膜が形成されてしまい、その後の超音波接合の品質が低下しやすい。品質を高めようとすると、電子部品片搭載工程の前に、酸化したスタッドバンプ270Bをプラズマ処理して、この酸化被膜を除去するという酸化被膜除去工程が要求される可能性もある。
【0101】
一方、本実施形態の電子部品組み立て装置900では、スタッドバンプ270Bの表面に酸化被膜が形成される前に、直接、電子部品片98を超音波接合するので、酸化被膜除去工程を省略することが出来、生産性を飛躍的に高めることが可能となる。
【0102】
更にこの電子部品組み立て装置900では、チップボンダ100がターレット構造になっており、ターレット10の周方向に複数の超音波ノズル33が配置された構造となっている。この結果、電子部品片98の供給や、電子部品片98をウエハ基板610に搭載する作業を極めて高速で行うことができる。結果、スタッドバンプ形成装置200からチップボンダ100に、ウエハ基板610を直接搬送しても、両者の動作サイクルタイムの差が小さくなるので、組み立て作業を効率化することができる。
【0103】
また、電子部品片98の吸着作業や溶着作業等を行っている最中に、チップボンダ100のクリーニング位置Tにおいて吸着ノズル33のメンテナンスを行うことも可能となっている。結果、チップボンダ100の可動停止時間を小さくできるので、スタッドバンプ形成装置200とチップボンダ100の間で連続作業させても、稼働効率の低下を抑制できる。
【0104】
また、このチップボンダ100は、供給位置Uと溶着位置Wの上側に、部品保持ユニット駆動装置80を、ターレット10から独立して固定配置している。したがって、部品保持ユニット駆動装置80を、全ての部品保持ユニット30に対応させて1つずつ設ける必要はなくなり、ターレット10の重量を軽くすることができる。この結果、ターレット10のイナーシャを小さくできるので、ターレットの回転程度を向上させることができる。
【0105】
更に、チップボンダ100のホーン付勢部材36は、ホーン側マグネット36Aとケース側マグネット36Bの反発力又は吸引力でホーン支持部材34を上方向に磁気浮上させている。この結果、バネ等で保持する場合と比較して、ホーン支持部材34を小さい外力で素早く移動させることが可能となる。従って、電子部品片98をスタッドバンプ270Bに接触させる際に、ウエハ基板610に作用する衝撃を吸収することが可能となる。ウエハ基板610側にスタッドバンプ270Bをまとめて形成しておき、そこに電子部品片98を連続的に搭載する手法の場合、本実施形態のチップボンダ100の上記磁気浮上構造によって、ウエハ基板610に作用する衝撃を極めて小さくすることは、電子部品の品質向上に大きく貢献する。
【0106】
とりわけこのチップボンダ100は、ホール素子を備えるホーン位置検出装置38を用いて、ケース31に対するホーン支持部材34の位置を高精度で検出する。結果、吸着ノズル33に吸着保持される電子部品片98がスタッドバンプ270Bの先端に接触した瞬間を、高精度且つ素早く検出できる。
【0107】
また、超音波ホーン32は、ターレット10の半径方向に超音波振動するように配置されている。したがって、ターレット10上において周方向の空間効率が高められるので、超音波ホーン32の配置数を増やすことが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明の電子部品組み立て方法等は、電子部品を組み立てる様々な工程に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0109】
10 ターレット
20 ターレット駆動モータ
30 部品保持ユニット
40 ホーン回転装置
50 部品保持ユニット案内装置
60 第1押下装置
70 第2押下装置
80 部品保持ユニット駆動装置
98 電子部品片
100 チップボンダ
200 スタッドバンプ形成装置
210 キャピラリ
220 ヘッド
230 超音波ホーン
240 Z軸テーブル
250 X−Yテーブル
260 ワイヤクランパ
270 金ワイヤ
300 基板予熱装置
400 基板徐冷装置
500 基板搬送装置
600 基板用カセット
610 ウエハ基板
U 供給位置
V 吸着状態確認位置
W 溶着位置
T クリーニング位置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
常温より高い温度に基板を加熱しながら、スタッドバンプ形成装置によって前記基板に金属のスタッドバンプを形成するスタッドバンプ形成工程と、
前記スタッドバンプの形成以降、前記基板を常温まで温度降下させない状態を維持し、チップボンダによって前記基板の前記スタッドバンプ上に電子部品片を配置して超音波接合する電子部品片搭載工程と、
を有することを特徴とする電子部品組み立て方法。
【請求項2】
前記スタッドバンプ形成工程の前に、前記基板を予め加熱する基板予熱工程を有することを特徴とする、
請求項1に記載の電子部品組み立て方法。
【請求項3】
前記電子部品片搭載工程の後に、自然放冷と比較して緩やかな温度降下速度で前記基板を放熱する基板徐冷工程を有することを特徴とする、
請求項1又は2に記載の電子部品組み立て方法。
【請求項4】
前記電子部品片搭載工程は、
前記スタッドバンプ形成工程の後、前記基板を常温まで降下させない状態を維持できる時間範囲内で、前記スタッドバンプ形成装置から前記チップボンダまで前記基板を搬送する基板搬送工程と、
前記基板の搬送後、前記基板を加熱しながら前記電子部品片を超音波接合する超音波接合工程と、を有することを特徴とする、
請求項1乃至3のいずれかに記載の電子部品組み立て方法。
【請求項5】
前記電子部品搭載工程における前記基板搬送工程では、前記基板の温度変化を20度以内に抑えた状態で、前記スタッドバンプ形成装置から前記チップボンダまで前記基板を搬送することを特徴とする、
請求項4に記載の部品組み立て方法。
【請求項6】
前記電子部品搭載工程における前記基板搬送工程では、基板搬送装置における前記基板を保持する為の保持部を温度制御しながら前記基板をハンドリングし、前記スタッドバンプ形成装置から前記チップボンダまで前記基板を搬送することを特徴とする、
請求項4又は5に記載の部品組み立て方法。
【請求項7】
前記スタッドバンプ形成工程では、前記基板を80度以上に加熱し、
前記電子部品片搭載工程では、前記スタッドバンプの形成以降、前記基板を60度以下まで温度降下させない状態を維持した上で、前記スタッドバンプに前記電子部品片を超音波接合することを特徴とする、
請求項1乃至6のいずれかに記載の電子部品組み立て方法。
【請求項8】
常温より高い温度に基板を加熱する加熱プレートを有し、加熱された前記基板に金属のスタッドバンプを形成するスタッドバンプ形成装置と、
前記スタッドバンプの形成以降、前記基板を常温まで温度降下させない状態を維持し、前記基板の前記スタッドバンプ上に電子部品片を配置して超音波接合するチップボンダと、
を有することを特徴とする電子部品組み立て装置。
【請求項9】
前記基板を予め加熱してから前記スタッドバンプ形成装置に搬入する基板予熱装置を有することを特徴とする、
請求項8に記載の電子部品組み立て装置。
【請求項10】
前記チップボンダから搬出される前記基板を、自然放冷と比較して緩やかな温度降下速度で前記基板を放熱する基板徐冷装置を有することを特徴とする、
請求項8又は9に記載の電子部品組み立て装置。
【請求項11】
前記チップボンダは、
前記基板を常温まで降下させない状態で、前記スタッドバンプ形成装置から前記チップボンダまで前記基板を搬送する基板搬送装置と、
前記基板を加熱するボンダ側加熱プレートを有することを特徴とする、
請求項8乃至10のいずれかに記載の電子部品組み立て装置。
【請求項12】
前記基板搬送装置は、前記基板を保持する保持部を温度制御する温度制御装置を有することを特徴とする、
請求項11に記載の電子部品組み立て装置。
【請求項13】
前記チップボンダは、
中心軸を回転軸として回転可能に支持されるターレットと、
出力軸に前記ターレットが接続されるターレット駆動モータと、
前記ターレットの周方向に複数設けられて、電子部品片を保持し、該電子部品片を相手側部材に溶着する部品保持ユニットと、
前記ターレットと前記部品保持ユニットの間に設けられて、前記部品保持ユニットを前記ターレットに対して上下方向に移動自在に案内する部品保持ユニット案内装置と、
前記部品保持ユニットの上側に設けられ、前記部品保持ユニットを押圧することによって、該部品保持ユニットを下方向に移動させる部品保持ユニット駆動装置と、
を備え、
前記部品保持ユニットは、
前記電子部品片を吸着する吸着ノズルが設けられる超音波ホーンと、
前記超音波ホーンを超音波振動可能に支持するホーン支持部材と、
前記ホーン支持部材を上下方向に摺動可能に支持するケースと、
を備えることを特徴とする、
請求項8乃至12に記載の電子部品組み立て装置。
【請求項14】
前記チップボンダの前記部品保持ユニット駆動装置は、第1押下装置及び第2押下装置を備え、
前記第1押下装置は、前記部品保持ユニット全体を、前記ターレットに対して下方向に押し下げるようにし、
前記第2押下装置は、前記吸着ノズルを、前記部品保持ユニットの前記ケースに対して下方向に相対的に押し下げることを特徴とする、
請求項13に記載の電子部品組み立て装置。
【請求項15】
前記チップボンダの前記部品保持ユニット駆動装置は、前記ターレットから独立した状態で設けられ、少なくとも電子部品片供給装置から前記電子部品片が供給される位置上、及び前記電子部品片を前記相手側部材に溶着する位置上に固定配置されることを特徴とする、
請求項13又は14に記載の電子部品組み立て装置。
【請求項16】
前記チップボンダは、
前記超音波ホーンを回転させるホーン回転装置を備えることを特徴とする、
請求項13乃至15のいずれかに記載の電子部品組み立て装置。
【請求項17】
前記チップボンダの前記部品保持ユニットは、
前記ホーン支持部材を上方に付勢するホーン付勢装置と、
前記ホーン支持部材の上下方向の位置を検出するホーン位置検出装置と、
を備えることを特徴とする、
請求項13乃至16のいずれか記載の電子部品組み立て装置。
【請求項18】
前記チップボンダの前記部品保持ユニットにおける前記ホーン付勢装置は、
前記ホーン支持部材側に固定配置されるホーン側マグネットと、
前記ホーン側マグネットと対向して、前記ケース側に固定配置されるケース側マグネットと、を備え、
前記ホーン側マグネット及び前記ケース側マグネットは、相互に吸着又は反発することで、前記ホーン支持部材を上方に付勢することを特徴とする、
請求項17に記載の電子部品組み立て装置。
【請求項19】
前記チップボンダの前記超音波ホーンは、該超音波ホーンの振動方向が前記ターレットの径方向となるように設けられていることを特徴とする、
請求項13乃至18のいずれかに記載の電子部品組み立て装置。
【請求項20】
前記チップボンダの前記部品保持ユニット駆動装置は、前記部品保持ユニットの真上に対して前記ターレットの半径方向にオフセットされた状態で配置されることを特徴とする、
請求項13乃至19のいずれかに記載の電子部品組み立て装置。
【請求項1】
常温より高い温度に基板を加熱しながら、スタッドバンプ形成装置によって前記基板に金属のスタッドバンプを形成するスタッドバンプ形成工程と、
前記スタッドバンプの形成以降、前記基板を常温まで温度降下させない状態を維持し、チップボンダによって前記基板の前記スタッドバンプ上に電子部品片を配置して超音波接合する電子部品片搭載工程と、
を有することを特徴とする電子部品組み立て方法。
【請求項2】
前記スタッドバンプ形成工程の前に、前記基板を予め加熱する基板予熱工程を有することを特徴とする、
請求項1に記載の電子部品組み立て方法。
【請求項3】
前記電子部品片搭載工程の後に、自然放冷と比較して緩やかな温度降下速度で前記基板を放熱する基板徐冷工程を有することを特徴とする、
請求項1又は2に記載の電子部品組み立て方法。
【請求項4】
前記電子部品片搭載工程は、
前記スタッドバンプ形成工程の後、前記基板を常温まで降下させない状態を維持できる時間範囲内で、前記スタッドバンプ形成装置から前記チップボンダまで前記基板を搬送する基板搬送工程と、
前記基板の搬送後、前記基板を加熱しながら前記電子部品片を超音波接合する超音波接合工程と、を有することを特徴とする、
請求項1乃至3のいずれかに記載の電子部品組み立て方法。
【請求項5】
前記電子部品搭載工程における前記基板搬送工程では、前記基板の温度変化を20度以内に抑えた状態で、前記スタッドバンプ形成装置から前記チップボンダまで前記基板を搬送することを特徴とする、
請求項4に記載の部品組み立て方法。
【請求項6】
前記電子部品搭載工程における前記基板搬送工程では、基板搬送装置における前記基板を保持する為の保持部を温度制御しながら前記基板をハンドリングし、前記スタッドバンプ形成装置から前記チップボンダまで前記基板を搬送することを特徴とする、
請求項4又は5に記載の部品組み立て方法。
【請求項7】
前記スタッドバンプ形成工程では、前記基板を80度以上に加熱し、
前記電子部品片搭載工程では、前記スタッドバンプの形成以降、前記基板を60度以下まで温度降下させない状態を維持した上で、前記スタッドバンプに前記電子部品片を超音波接合することを特徴とする、
請求項1乃至6のいずれかに記載の電子部品組み立て方法。
【請求項8】
常温より高い温度に基板を加熱する加熱プレートを有し、加熱された前記基板に金属のスタッドバンプを形成するスタッドバンプ形成装置と、
前記スタッドバンプの形成以降、前記基板を常温まで温度降下させない状態を維持し、前記基板の前記スタッドバンプ上に電子部品片を配置して超音波接合するチップボンダと、
を有することを特徴とする電子部品組み立て装置。
【請求項9】
前記基板を予め加熱してから前記スタッドバンプ形成装置に搬入する基板予熱装置を有することを特徴とする、
請求項8に記載の電子部品組み立て装置。
【請求項10】
前記チップボンダから搬出される前記基板を、自然放冷と比較して緩やかな温度降下速度で前記基板を放熱する基板徐冷装置を有することを特徴とする、
請求項8又は9に記載の電子部品組み立て装置。
【請求項11】
前記チップボンダは、
前記基板を常温まで降下させない状態で、前記スタッドバンプ形成装置から前記チップボンダまで前記基板を搬送する基板搬送装置と、
前記基板を加熱するボンダ側加熱プレートを有することを特徴とする、
請求項8乃至10のいずれかに記載の電子部品組み立て装置。
【請求項12】
前記基板搬送装置は、前記基板を保持する保持部を温度制御する温度制御装置を有することを特徴とする、
請求項11に記載の電子部品組み立て装置。
【請求項13】
前記チップボンダは、
中心軸を回転軸として回転可能に支持されるターレットと、
出力軸に前記ターレットが接続されるターレット駆動モータと、
前記ターレットの周方向に複数設けられて、電子部品片を保持し、該電子部品片を相手側部材に溶着する部品保持ユニットと、
前記ターレットと前記部品保持ユニットの間に設けられて、前記部品保持ユニットを前記ターレットに対して上下方向に移動自在に案内する部品保持ユニット案内装置と、
前記部品保持ユニットの上側に設けられ、前記部品保持ユニットを押圧することによって、該部品保持ユニットを下方向に移動させる部品保持ユニット駆動装置と、
を備え、
前記部品保持ユニットは、
前記電子部品片を吸着する吸着ノズルが設けられる超音波ホーンと、
前記超音波ホーンを超音波振動可能に支持するホーン支持部材と、
前記ホーン支持部材を上下方向に摺動可能に支持するケースと、
を備えることを特徴とする、
請求項8乃至12に記載の電子部品組み立て装置。
【請求項14】
前記チップボンダの前記部品保持ユニット駆動装置は、第1押下装置及び第2押下装置を備え、
前記第1押下装置は、前記部品保持ユニット全体を、前記ターレットに対して下方向に押し下げるようにし、
前記第2押下装置は、前記吸着ノズルを、前記部品保持ユニットの前記ケースに対して下方向に相対的に押し下げることを特徴とする、
請求項13に記載の電子部品組み立て装置。
【請求項15】
前記チップボンダの前記部品保持ユニット駆動装置は、前記ターレットから独立した状態で設けられ、少なくとも電子部品片供給装置から前記電子部品片が供給される位置上、及び前記電子部品片を前記相手側部材に溶着する位置上に固定配置されることを特徴とする、
請求項13又は14に記載の電子部品組み立て装置。
【請求項16】
前記チップボンダは、
前記超音波ホーンを回転させるホーン回転装置を備えることを特徴とする、
請求項13乃至15のいずれかに記載の電子部品組み立て装置。
【請求項17】
前記チップボンダの前記部品保持ユニットは、
前記ホーン支持部材を上方に付勢するホーン付勢装置と、
前記ホーン支持部材の上下方向の位置を検出するホーン位置検出装置と、
を備えることを特徴とする、
請求項13乃至16のいずれか記載の電子部品組み立て装置。
【請求項18】
前記チップボンダの前記部品保持ユニットにおける前記ホーン付勢装置は、
前記ホーン支持部材側に固定配置されるホーン側マグネットと、
前記ホーン側マグネットと対向して、前記ケース側に固定配置されるケース側マグネットと、を備え、
前記ホーン側マグネット及び前記ケース側マグネットは、相互に吸着又は反発することで、前記ホーン支持部材を上方に付勢することを特徴とする、
請求項17に記載の電子部品組み立て装置。
【請求項19】
前記チップボンダの前記超音波ホーンは、該超音波ホーンの振動方向が前記ターレットの径方向となるように設けられていることを特徴とする、
請求項13乃至18のいずれかに記載の電子部品組み立て装置。
【請求項20】
前記チップボンダの前記部品保持ユニット駆動装置は、前記部品保持ユニットの真上に対して前記ターレットの半径方向にオフセットされた状態で配置されることを特徴とする、
請求項13乃至19のいずれかに記載の電子部品組み立て装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−178515(P2012−178515A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41594(P2011−41594)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【特許番号】特許第4932040号(P4932040)
【特許公報発行日】平成24年5月16日(2012.5.16)
【出願人】(501410137)アキム株式会社 (49)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【特許番号】特許第4932040号(P4932040)
【特許公報発行日】平成24年5月16日(2012.5.16)
【出願人】(501410137)アキム株式会社 (49)
【Fターム(参考)】
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