説明

電子部品

【課題】小型化及び薄型化を図っても、ケースにおける反りの発生を抑えることができる電子部品を提供する。
【解決手段】ケース11のベース11Aの底面に、略十字形状であって、周縁部近傍80aの高さが他の部分より高いスタンドオフ用の突設部80を形成した。これにより、ケース11の小型化及び薄型化を図っても反りの発生を抑えることができる。また、突設部80の周縁部近傍80aの高さを他の部分より高くして、電磁継電器10を回路基板に実装した際に該回路基板と点接触するようにした。これにより、回路基板に安定して実装することができる。また、突設部80の一部が4つの端子18の各々の間に位置するように、突設部80を形成した。これにより、電磁継電器10の端子間の縁面距離を大きくすることができ、端子間の短絡の発生を低く抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通電コイルを有する電磁石の吸引力、及び可動接点が端部に配設されたヒンジバネの弾性復帰力により、可動接点が固定接点に接触、離間することで開閉動作を行う電磁継電器等の電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電磁継電器には、コイルボビンと、コイルボビンの貫通孔に挿通された鉄心と、コイルボビンに巻回された通電コイルと、ヒンジバネによって揺動自在に支承され、通電コイルに通電することにより鉄心の一端に磁気吸着されて揺動する接極子と、接極子が揺動することにより固定接点に対して接触あるいは離間する可動接点と、可動接点に接触可能な位置に固定された固定接点とを備えたもの(例えば、特許文献1)や、略同様の構成であるものの、コイルボビンを使用せず、鉄心をインサート成形して通電コイルを巻回させたもの(例えば、特許文献2)がある。いずれも通電コイルに電流を流すことによって、接極子が鉄心の端部に吸着され、これにより接極子に連動して可動接点が固定接点に接触して通電状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−267388号公報
【特許文献2】特開平8−306294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電磁継電器等の電子部品を使用する電子機器の小型化及び薄型化に伴い、電子部品の小型化及び薄型化が要求されている。しかしながら、電磁継電器のように樹脂パッケージでできている電子部品の場合、小型化及び薄型化を図ると、樹脂パッケージの肉厚も薄くなり、反りが発生する虞がある。そして、樹脂パッケージに反りが発生すると、部分的に若干の高さの変化が生じ、内部にある各種部品に影響を与えて、最悪の場合、動作不具合が発生する。
【0005】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、小型化及び薄型化を図っても、樹脂パッケージにおける反りの発生を抑えることができる電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子部品は、樹脂パッケージから複数の端子が導出された電子部品において、前記樹脂パッケージの底面に、略十字形状であって、周縁部近傍の高さが他の部分より高いスタンドオフ用の突設部を形成した。
【0007】
上記構成によれば、樹脂パッケージの底面に略十字形状の突設部を形成したので、樹脂パッケージの小型化及び薄型化を図っても反りの発生を抑えることができる。また、突設部の周縁部近傍の高さを他の部分より高くしたことで、電子部品を回路基板に実装した際に該回路基板と点接触することから、回路基板に安定して実装することができる。
【0008】
また、上記構成において、前記突設部の一部が前記複数の端子の各々の間に位置するように、前記突設部を形成するのが望ましい。
【0009】
上記構成によれば、電子部品の端子間の縁面距離(絶縁距離)を大きくできるので、端子間の短絡(ショート)の発生を低く抑えることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、樹脂パッケージの底面に、略十字形状であって、周縁部近傍の高さが他の部分より高いスタンドオフ用の突設部を形成したので、樹脂パッケージの小型化及び薄型化を図っても反りの発生を抑えることができる。また、突設部の周縁部近傍の高さを他の部分より高くしたことで、この電子部品を回路基板に実装した際に該回路基板と点接触することから、回路基板に安定して実装することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電子部品としての電磁継電器の内部構造を示す斜視図
【図2】図1の電磁継電器の外観を示す斜視図
【図3】図1の電磁継電器のケースの裏面側を示す平面図
【図4】図1の電磁継電器の鉄心とコイルボビンを示す斜視図
【図5】図1の電磁継電器のコイルボビンとヒンジバネを示す斜視図
【図6】図1の電磁継電器のヒンジバネと接極子を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施の形態に係る電子部品としての電磁継電器の内部構造を示す斜視図、図2は図1の電磁継電器の外観を示す斜視図、図3は図1の電磁継電器のケースの裏面側を示す平面図、図4は図1の電磁継電器の鉄心とコイルボビンを示す斜視図、図5は図1の電磁継電器のコイルボビンとヒンジバネを示す斜視図、図6は図1の電磁継電器のヒンジバネと接極子を示す斜視図である。
【0014】
図1、図2及び図3において、電磁継電器10は、ケース11と、ケース11内に収納された鉄心12と、鉄心12を覆うとともに通電コイル14が巻回されたコイルボビン13と、コイルボビン13に接続されたヒンジバネ15と、ヒンジバネ15に設けられた接極子16と、接極子16に連結された接点機構17とを備えている。
【0015】
ケース11は、プラスチックなどの樹脂材を略矩形体状(すなわち、箱体状)に形成されており、上記各種部品を収容するベース11Aと、ベース11Aに蓋をする蓋体11Bとから構成される。ケース11は小型且つ薄い肉厚で形成されている。ベース11Aの底面11Aaには、略十字形状であって、周縁部近傍80aの高さが他の部分より高いスタンドオフ用の突設部80が形成されている。この突設部80は、肉厚の薄いベース11Aにおける反りの発生を抑えるものであり、ベース11Aと同程度か、あるいはベース11Aよりも肉厚に形成されている。また、突設部80の周縁部近傍80aの高さを他の部分より高くすることで、電磁継電器10が回路基板(図示略)に実装された際に、該回路基板に点接触させることができ、回路基板に安定して実装することができる。また、本実施の形態では、突設部80を、その一部が4つの端子18の各々の間に位置するように形成して、電磁継電器10の端子間の縁面距離(絶縁距離)L1〜L4(図3参照)を大きくとっている。端子間の縁面距離を大きくとることで、端子間の短絡(ショート)の発生を低く抑えることができる。
【0016】
図4において、鉄心12は、直線状に延出された鉄心本体25と、鉄心本体25の一端部25aに設けられた(張り出された)第1鉄心継鉄26と、鉄心本体25の他端部25bに設けられた(張り出された)第2鉄心継鉄27とを有する。鉄心12は、鉄心本体25、第1鉄心継鉄26及び第2鉄心継鉄27で略I字状に形成されている。
【0017】
また、図4において、コイルボビン13は、直線状に延出されたボビン本体31と、ボビン本体31の一端部31aに設けられた第1ボビン端部32と、ボビン本体31の他端部31bに設けられた第2ボビン端部33とを有する。コイルボビン13内に鉄心本体25が収納されることで、鉄心本体25がコイルボビン13で覆われる。このとき、第1ボビン端部32側に第1鉄心継鉄26が配置され、第2ボビン端部33側に第2鉄心継鉄27が配置される。第2ボビン端部33は、ボビン本体31の延出方向に沿わせて一対の係止面35,36(係止面35は図4を、係止面36は図5をそれぞれ参照)が形成されている。一対の係止面35,36のうち、一方の係止面35には嵌合突部37が設けられており、他方の係止面36には溝部38が設けられている。
【0018】
嵌合突部37は、係止面35から外側に向けて膨出された台形状に形成されている。係止面36の溝部38は、横方向が第2ボビン端部33の鉄心挿入側の端面から第2ボビン端部33の略中央まで延び、縦方向が係止面36の短手方向の略中央から第2ボビン端部33の底面の一部分にまで延びる形状に形成されている。また、溝部38の深さはヒンジバネ15の厚みより長くなっている。
【0019】
図5及び図6において、ヒンジバネ15は、コイルボビン13における第2ボビン端部(すなわち、第2鉄心継鉄27側の端部)33に対して接続される弾性変形可能な板バネであり、第2ボビン端部33に沿う第1面部材41と、第1面部材41に連結されて接極子16(図6参照)に沿う第2面部材42と、第1面部材41に連結された第3面部材43及び第4面部材44とを有する。
【0020】
第1面部材41は、コイルボビン13における通電コイル14の巻軸線14a(図1参照)に対して交差する面に沿う板バネ部位である。第2面部材42は、接極子16における通電コイル14の巻軸線14aに対して略並行な面に沿うとともに第1面部材41の厚み方向に沿って延びる板部位である。第1面部材41及び第2面部材42は、角部48で略直交する方向に折り曲げられることで略L字状に形成されている。
【0021】
第3面部材43は、第1面部材41及び第2面部材42に対して交差する面に沿うように、第1面部材41の一方の辺から折り曲げられた折曲片である。第3面部材43は、その先端部43aがコイルボビン13から離れる方向に折り曲げられており、その基端部43bが斜め下方に折り曲げられている。また、第3面部材43には第2ボビン端部33に設けられた嵌合突部37に嵌合可能な嵌合穴45が形成されている。第4面部材44は、第1面部材41及び第2面部材42に対して交差する面に沿うように、第1面部材41の他方の辺から折り曲げられた折曲片である。第4面部材44は、その先端部44aがコイルボビン13から離れる方向に折り曲げられている。
【0022】
第3面部材43及び第4面部材44は、互いに厚み方向に沿って第2ボビン端部33を挟持可能な距離分だけ離間配置されている。第3面部材43と第4面部材44との間には、第2鉄心継鉄27の嵌合部27a(図4参照)が挿通する四角形状の挿通口49が形成されている。
【0023】
第3面部材43が第2ボビン端部33の一対の係止面35,36のうち、一方の係止面35に嵌合され、第4面部材44が第2ボビン端部33の他方の係止面36の溝部38に嵌合されることで、第3面部材43及び第4面部材44で一対の係止面35,36を挟持する。また、第3面部材43の嵌合穴45が一方の係止面35の嵌合突部37に嵌合されることで、第3面部材43及び第4面部材44が一対の係止面35,36に係止される。また、第3面部材43と第4面部材44の間の挿通口49に第2鉄心継鉄27の嵌合部27aが挿通される。
【0024】
図6において、接極子16は、一対の突起55,56が第2面部材42の一対の取付孔50,51に挿通され、挿通された一対の突起55,56がカシメられることで第2面部材42に取り付けられる。接極子16が第2面部材42に取り付けられることで、第2ボビン端部33に対してヒンジバネ15を介して接続される。接極子16は、弾性変形可能なヒンジバネ15を支点として第1鉄心継鉄26に対して近接離反可能に支持される。具体的には、接極子16は、非通電状態においてヒンジバネ15の付勢力で第1鉄心継鉄26に対して離反状態に保持され、通電状態においてヒンジバネ15の付勢力に抗して第1鉄心継鉄26に対して近接状態に保持される。接極子16の先端部16aが接点機構17(具体的には、連結ロッド60)に連結されている。
【0025】
このような構成の電磁継電器10において、通電コイル14を非通電状態にすることで、接極子16がヒンジバネ15の付勢力で第1鉄心継鉄26に対して非接触状態に保持される。これにより、接点機構17は、連結ロッド60を介して可動接点65が固定接点66に対して離反状態に保持される。
【0026】
また、通電コイル14を通電状態にすることで、接極子16がヒンジバネ15の付勢力に抗して第1鉄心継鉄26に対して近接状態に保持される。これにより、接点機構17は、連結ロッド60を介して可動接点65が固定接点66に対して接触状態に保持される。可動接点65が固定接点66に対して接触状態に保持されることで、可動接点65及び固定接点66が電気的に導通され、これらを通じて信号が出力される。
【0027】
以上説明したように、本実施の形態の電磁継電器10によれば、ケース11のベース11Aの底面に、略十字形状であって、周縁部近傍80aの高さが他の部分より高いスタンドオフ用の突設部80を形成したので、ケース11の小型化及び薄型化を図っても反りの発生を抑えることができる。また、突設部80の周縁部近傍80aの高さを他の部分より高くして、電磁継電器10を回路基板に実装した際に該回路基板と点接触するようにしたので、回路基板に安定して実装することができる。
【0028】
また、突設部80の一部が4つの端子18の各々の間に位置するように、突設部80を形成したので、電磁継電器10の端子間の縁面距離(絶縁距離)を大きくすることができ、端子間の短絡の発生を低く抑えることができる。
【0029】
なお、本発明に係る電子部品は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、適宜変更、改良などが可能である。例えば、前述した実施の形態では、突設部80を略十字形状にしたが、例えば×字状にしてもよい。また、高さを高くした周縁部近傍80aの形状を四角形としたが、例えば半球形であってもよい。このように、突設部80の形状は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【0030】
また、本発明は、電磁継電器に限定されるものではなく、平面状の部分を有し、その平面から端子が導出されている構造の電子部品の全てに適用可能である。
【符号の説明】
【0031】
10 電磁継電器
11 ケース
11A ベース
11B 蓋体
11Aa 底面
12 鉄心
13 コイルボビン
14 通電コイル
14a 巻軸線
15 ヒンジバネ
16 接極子
16a 先端部
17 接点機構
18 端子
25 鉄心本体
26 第1鉄心継鉄
27 第2鉄心継鉄
27a 嵌合部
31 ボビン本体
32 第1ボビン端部
33 第2ボビン端部
35,36 係止面
37 嵌合突部
38 溝部
41 第1面部材
42 第2面部材
43 第3面部材
43a 先端部
44 第4面部材
45 嵌合穴
48 角部
49 挿通口
50,51 取付孔
55,56 突起
60 連結ロッド
65 可動接点
66 固定接点
80 突設部
80a 周縁部近傍

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂パッケージから複数の端子が導出された電子部品において、
前記樹脂パッケージの底面に、略十字形状であって、周縁部近傍の高さが他の部分より高いスタンドオフ用の突設部を形成した電子部品。
【請求項2】
前記突設部の一部が前記複数の端子の各々の間に位置するように、前記突設部を形成した請求項1に記載の電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−29264(P2011−29264A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171224(P2009−171224)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】