説明

電子部品

【課題】電子部品において、電子部品素体の外部電極と外部端子との接合に際し、電子部品素体に微小クラックの発生を抑えた信頼性の高い電子部品を提供する。
【解決手段】この発明にかかる電子部品である外部端子付き電子部品10は、電子部品素体である積層型セラミックコンデンサのセラミック素体12と、セラミック素体に形成される外部電極14と、端子接合用はんだ16によって外部電極と接合される外部端子18と、セラミック素体の全部と外部端子の一部とを共に被覆する外装樹脂20とから構成される。外部端子は、接合部22と接合部22から所定の方向に延ばされる延長部24とを有する。外部端子は、母材26と母材26の表面に形成される金属層28とを有し、接合部の近傍において外部端子の延長部の一部の表面が、外部端子の母材の表面に形成されている金属層を剥がすことによって凹状に加工された加工部30を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子部品に関し、特に外部端子付きの電子部品であって、たとえば、コンデンサ等の電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、外部端子であるリード線を有する電子部品においては、融点の低い共晶はんだが使用されていた。
しかし、この共晶はんだには鉛が含まれているため、この鉛の成分が、環境に悪影響を与えるとして、鉛の使用に対して規制が設けられ、鉛の含まれないはんだが求められるようになり、一部の用途を除いて鉛フリーはんだが使用されるようになっている。
【0003】
従って、現在では、端子接合用はんだも、共晶はんだからSn−Cu系などの鉛フリーはんだに移行している。なお、民生用途を中心にフローはんだ実装されることを前提にしており、車載市場を中心とした高信頼性が要求される市場では、溶接による実装や、高温下での使用を考慮し、現在も鉛入り高温はんだで外部端子を接合している。このように、鉛入り高温はんだは暫定的に規制から除外されているが、最近では鉛に対する規制がさらに厳しくなる傾向にあることから、高温はんだにおいても、早期の鉛フリー化が求められている。鉛が含まれない高温はんだとして、例えば、特許文献1に記載の高温無鉛はんだ合金が開示されている。
【0004】
また、特許文献2に記載の円板型の形状である電子部品は、電子部品素体の表面に形成される外部電極に対して、はんだによって接続される外部端子であるリード線の一部が外装樹脂により覆われている電子部品である。この電子部品において、前記リード線の一部ははんだめっき層が除去されており、この除去された部分に前記樹脂が密着していることを特徴としている。そして、リード線のはんだめっき層が除去された部分が、外装樹脂に完全には覆われておらず、はんだめっき層が除去された部分の一部(リード線の母材)が露出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−151591号公報
【特許文献2】実開昭63−61101号公報
【特許文献3】特開昭59−210632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の高温無鉛はんだ合金を用いて、例えば、特許文献3に記載の電子部品に用いられる電子部品素体の外部電極と外部端子とを接合した場合、鉛入り高温はんだに比べて、はんだが冷えて固まる際の収縮応力が増加する。そのため、外部電極と外部端子との間で、はんだが外部端子に濡れ上がることによってできるフィレットにより、外部電極端の電子部品素体に微小クラックが発生するという問題が生じる。そのため、このクラックの発生を回避するためには、外部端子の形状を工夫して、フィレットが外部電極端に達しないようにする必要があり、電子部品の製品外形寸法が大きくなってしまうという不具合があった。
【0007】
また、特許文献2に記載の電子部品は、はんだめっき層が除去された部分の一部(リード線の母材)が露出しているので、露出部のCuやFeなどの部分が酸化する場合があり、黒ずんだり、赤錆が発生したりという外観上の問題が生じる。また、リード線がCuの場合、母材のCuが部分的に露出されていると、粉体塗装の精度から、露出した部分の長さの制御が困難であり、色が違う部分の長さがばらつくことで、外観品位をさらに悪化させるという問題が生じる。
【0008】
それゆえに、この発明の主たる目的は、外部端子付き電子部品において、電子部品素体の外部電極と外部端子との接合に際し、鉛入りのはんだよりもはんだの冷えて固まる際の収縮応力が強い鉛フリー高温はんだを用いた場合でも、電子部品素体に微小クラックの発生を抑えた信頼性の高い電子部品を提供することである。また、電子部品の外観品位の低下を抑える電子部品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明にかかる電子部品は、電子部品素体と、電子部品素体の表面に形成される外部電極と、接合部と接合部から所定の方向に延ばされる延長部とを有する外部端子と、外部電極および接合部を接合するはんだと、電子部品素体、外部電極、外部端子の一部およびはんだを被覆するように形成される外装樹脂とを備える電子部品であって、外部端子は、母材と、母材の表面に形成される金属層とを有し、接合部近傍において、延長部の一部の表面が、凹状に加工されており、凹状に加工された部分が外装樹脂に完全に被覆されていることを特徴とする電子部品である。
また、この発明にかかる電子部品では、はんだが鉛フリーはんだであることが好ましい。
さらに、この発明にかかる電子部品は、凹状に加工された部分が、外部端子の全周に渡って金属層を剥がすように加工されていることが好ましい。
また、この発明にかかる電子部品は、凹状に加工された部分が、外部端子の特定の一面において金属層を剥がすように加工されていることが好ましい。
さらに、この発明にかかる電子部品は、凹状に加工された部分が、縞状に金属層を剥がすように加工されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
この発明にかかる電子部品によれば、外部端子の接合部近傍における外部端子の母材の表面に形成されている金属層を剥がすことによって凹状に加工されているので、はんだ濡れ性が低下することから、この凹状に加工された部分で余分なフィレットの形成を抑制することができる。また、外装樹脂により、凹状に加工された部分が完全に被覆されているので、母材が保護されることから、凹状に加工された部分の酸化を防止することができる。
また、この発明にかかる電子部品では、外部電極と外部端子とを接合するはんだについて鉛フリーはんだを用いると、鉛が流出することによる環境汚染を防止することができる。
また、この発明にかかる電子部品では、凹状に加工された部分が、外部端子の全周に渡って剥がす場合であっても、特定の一面において剥がす場合であっても、縞状に剥がす場合であってもよいので、適宜、凹状に加工する方法について、生産性等を考慮した上で効率の良い方法を選択することができる。
【0011】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための形態の説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明にかかる電子部品である外部端子付き電子部品を構成するセラミック素体および外部電極の一例を示す断面図解図である。
【図2】この発明にかかる外部端子付き電子部品の一例を示す断面図解図である。
【図3】この発明にかかる外部端子付き電子部品の外部端子として丸リード線を用いた場合の延長部の一例の断面図であり、(a)は、丸リード線に金属層を1層とした場合を示し、(b)は、金属層を2層とした場合を示す。
【図4】この発明にかかる外部端子付き電子部品の外部端子として丸リード線を用いた場合の加工部の様々な加工例の断面図であり、(a)は、外周面全面に渡って金属層を除去した場合を示し、(b)は、外周面の一部の金属層のみを除去した場合を示す。
【図5】この発明にかかる外部端子付き電子部品の一例の外部端子として丸リード線を用いた場合の加工部の一例である。
【図6】この発明にかかる外部端子付き電子部品の一例の外部端子として丸リード線を用いた場合の加工部の他の例であり、(a)は、加工部の側面を示し、(b)は、加工部の加工面を示した図である。
【図7】この発明にかかる外部端子付き電子部品の一例の外部端子として丸リード線を用いた場合の加工部のさらに他の例であり、(a)は、加工部の側面を示し、(b)は、加工部の加工面を示した図である。
【図8】この発明にかかる外部端子付き電子部品の一例の外部端子として丸リード線を用いた場合の加工部のさらに他の例を示した図である。
【図9】この発明にかかる外部端子付き電子部品の図2に示す外部端子の加工部における長さ方向における様々な加工例を示した図である。
【図10】この発明にかかる外部端子付き電子部品の他の例を示す図であり、(a)は、この外部端子付き電子部品の正面図解図を示し、(b)は、その側面図解図を示す。
【図11】この実施形態にかかる外部端子付き電子部品のさらに他の例を示し、(a)は、この外部端子付き電子部品の上面図を示し、(b)は、その断面図解図を示す。
【図12】この発明にかかる外部端子付き電子部品の他の例の外部端子として板状のリードフレームの一例の断面図を示し、(a)は、外部端子の延長部における断面図であり、(b)は、外部端子の加工部の一例を示す断面図である。
【図13】図11に示す実施形態にかかる外部端子付き電子部品の他の例を示し、(a)は、この外部端子付き電子部品の上面図を示し、(b)は、その断面図解図を示す。
【図14】この発明にかかる外部端子付き電子部品のさらに他の例を示す断面図解図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明にかかる電子部品である外部端子付き電子部品についての一実施形態について説明する。図1は、電子部品素体であるセラミック素体と外部電極とにより構成されたセラミック素子の一例の断面図解図を示し、図2は、この実施形態にかかる外部端子付き電子部品の一例の断面図解図を示す。
【0014】
この実施形態にかかる外部端子付き電子部品10は、電子部品素体である積層型セラミックコンデンサのセラミック素体12(積層体)と、セラミック素体12の表面に形成される外部電極14と、端子接合用はんだ16によって外部電極14と接合される外部端子18(リード線)と、セラミック素体12、外部電極14、外部端子18の一部および端子接合用はんだ16を共に被覆する外装樹脂20とから構成される。
【0015】
また、外部端子18は、セラミック素体12に形成された外部電極14の表面において、端子接合用はんだ16によって接合される接合部22と、接合部22から所定の方向に延ばされる延長部24とを有する。外部端子18は、母材26と母材26の表面に形成される金属層28とを有し、接合部22の近傍において、外部端子18の延長部24の一部の表面が、外部端子18の母材26の表面に形成されている金属層28を剥がすことによって凹状に加工された加工部30を有する。
【0016】
この実施形態にかかる外部端子付き電子部品10に用いられるセラミック素体12は、複数の積層されたセラミック層12aから構成され、互いに対向する第1の主面および第2の主面と、互いに対向する第1の側面および第2の側面と、互いに対向する第1の端面および第2の端面とを有する。また、セラミック素体12は、複数のセラミック層12aに挟まれるように形成される内部電極12bを有する。
【0017】
セラミック層12aには、例えば、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、CaZrO3などの主成分からなる誘電体セラミックを用いることができる。また、これらの主成分に、Mn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの副成分を添加したものを用いてもよい。その他、PZT系セラミックなどの圧電体セラミック、スピネル系セラミックなどの半導体セラミックなどを用いることもできる。
【0018】
なお、セラミック素体12について、誘電体セラミックを用いた場合はコンデンサとして機能し、圧電体セラミックを用いた場合は圧電部品として機能し、半導体セラミックを用いた場合はサーミスタとして機能し、磁性体セラミックを用いた場合は、インダクタとして機能する。また、インダクタとして機能する場合は、内部電極12bは、コイル状の導体となる。焼成後のセラミック層12aの厚みは、0.5〜10μmであることが好ましい。
【0019】
内部電極12bは、そのセラミック素体12を構成するセラミック層12aに挟まれるように、互いに対向して配置されている。そして、一対の内部電極12bがそれぞれセラミック素体12の一対の端面に露出するように引き出される。一対の内部電極12bが特定のセラミック層12aを挟んで対向する部分により電気的特性(例えば静電容量)が発生する。
内部電極12bには、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Auなどを用いることができる。焼成後の内部電極12bの厚みは、0.3〜2.0μmであることが好ましい。
【0020】
外部電極14は、導電粉末であるCu粉末、焼結助剤・充填剤であるガラスフリット、および樹脂・溶剤により形成される外部電極用導電性ペーストをセラミック素体12の端面に塗布し、焼成することにより形成される。
外部電極14は、第1の端面および第2の端面に内部電極12bが引き出された構造を有するセラミック素体12の両端部に、その内部電極12bと導通するように形成される。外部電極14には、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag−Pd等が用いられる。外部電極14の厚みは、10〜80μmであることが好ましい。なお、外部電極14上にはめっき層が形成されていてもよい。めっき層としては、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Sn、Auなどを用いることができる。また、めっき層は複数層により形成されていてもよく、好ましくは、Niめっき、Snめっきの2層構造である。また、めっき層の厚みは、一層あたり1〜10μmであることが好ましい。加えて、下地層とめっき層との間に、応力緩和用の導電性樹脂層が形成されてもよい。
【0021】
端子接合用はんだ16は、セラミック素体12に形成される外部電極14と外部端子18の接合部22とを接合するために用いられる。端子接合用はんだ16には、例えば、Sn−Sb系、Sn−Ag−Cu系、Sn−Cu系、Sn−Bi系などの鉛フリーはんだを用いることができる。
【0022】
外部端子18は、外部端子付き電子部品10を基盤に実装するために設けられる。外部端子18は、接合部22と延長部24とにより構成される。接合部22は、端子接合用はんだ16によってセラミック素体12に形成される外部電極14と接合される。延長部24は、接合部22から所定の方向に延ばされるように形成される。
【0023】
また、外部端子18における接合部22の近傍において、凹状に加工される部分である加工部30が形成される。加工部30は、外部端子18の表面の金属層28が、厚み方向において、大部分またはすべてが除去されている。外部端子18における加工部30は、長さ方向に対して連続していることが好ましいが、効果が得られる範囲であれば縞状に分割して形成されていてもよい。なお、加工部30は、外装樹脂20により完全に覆われる。
【0024】
加工部30について、実装基板に向いたセラミック素体12の主面または側面を実装面12cとしたとき、外部端子18における加工部30の起点30aは、例えば、実装面12cよりも上方(すなわち、起点30aから、実装面12cとは反対の面の方向)にあることが好ましく、また、外部端子18における加工部30の起点30aは、例えば、セラミック素体12の実装面12c側の角部における端面側の起点14aより下方(すなわち、起点14aから、実装面12cの方向)の位置にあることが好ましい。この場合、接合面を広く取ることが可能となるため、十分な接合強度を得ることができる。さらに、外部端子18における加工部30の終点30bは、例えば、起点30aから外部端子18における延長部24の延長方向に向かって1〜2mm程度の位置にあることが好ましい。さらにまた、外部端子18がリード線の場合、例えば、加工部30の長さは、外部端子18の直径の2〜3倍であることが好ましい。
【0025】
加工部30における凹状に形成するための加工は、レーザー加工、特に、Ybファイバーレーザーを用いるレーザー加工が最も効率がよいことから好ましい。また、この凹状に形成するための加工は、例えば、切削や研削などの機械加工、または、サンドブラスト加工で行ってもよい。レーザー加工の場合は、局所的に高温になることで、金属層28を形成する金属が蒸発すると同時に、例えば、FeやCuなどの外部端子18の母材26との界面では合金化が進む。そうすると、合金化するだけで金属層28の表層の融点が上昇するため、はんだ濡れ性を低下させることができる。また、加工部30において、金属層28を形成する金属が除去されているため、はんだフィレットを形成する余分な金属を少なくすることができ、はんだフィレットを抑えることができる。その結果、はんだフィレットが冷えて固まる際の収縮応力に伴うセラミック素体12に生じる微小クラックの発生を防止することができる。さらに、表面が酸化することで、はんだ濡れ性を著しく低下させることでき、端子接合用はんだ16が接合部22から外部端子18を伝って流れたとしても、加工部30において端子接合用はんだ16をせき止めることができる。また、この端子接合用はんだ16をせき止める効果により、加工後に母材26が見えていないような状態でも、機械加工で金属層28を完全に除去したのと同等の効果が得られる場合がある。
【0026】
また、外部端子18は、母材26と母材26の表面に形成された金属層28とを有する。外部端子18の母材26には、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Au、Fe、またはこれらの少なくとも1種を含む合金を用いることができる。
金属層28には、例えば、Ni、Cu、Ag、Cr、Sn、またはこれらの少なくとも1種以上の金属を主成分として含む合金から成ることが好ましい。金属層28は、例えば、めっき層が挙げられる。
【0027】
なお、金属層28は、母材26の表面に形成された第1の金属層28aの1層で形成されていてもよく、第1の金属層28a上に第2の金属層28bが形成されていてもよい。金属層28が1層だけ形成される場合、第1の金属層28aは、はんだ濡れ性の良い金属、例えば、Sn、Au、Ag、またはこれらの金属のうち1種以上の金属を主成分として含む合金から成ることが好ましい。金属層28が2層形成される場合、第1の金属層28aは、はんだ濡れ性の悪い金属、例えば、Ni、Fe、Cr、Cu、またはこれらの金属のうち1種以上の金属を主成分として含む合金から成ることが好ましく、第2の金属層28bは、はんだ濡れ性の良い金属、例えば、Sn、Au、Ag、またはこれらの金属のうち1種以上の金属を主成分として含む合金から成ることが好ましい。また、金属層が1層形成の場合でも2層形成の場合であっても、最外層の金属層を構成する金属としては、特に、Snが最も好ましく、具体的には、例えば、Sn−3.5Cu合金等のSn系の鉛フリーめっきが挙げられる。
このような外部端子18としては、例えば、丸リード線や板状のリードフレームを用いることができる。
【0028】
次に、図3および図4に、外部端子18の一例の断面図をそれぞれ示す。
図3は、外部端子18として丸リード線を用いた場合の延長部24の様々な加工例の断面図を示したものである。図3(a)は、丸リード線に金属層28を1層とした場合であり、図3(b)は、金属層28を2層とした場合を示す。なお、外部端子が板状のリードフレームの場合については、後述する。
【0029】
外部端子18として丸リード線を用いる場合は、直径が、例えば、0.48〜0.78mmであることが好ましい。また、丸リード線の母材26には、例えば、タフピッチ銅などの銅線や、CP線と呼ばれる銅コート鋼線が主に用いられる。いずれも鉛フリーの端子接合用はんだ16を指定した場合、金属層28として、表層にはSn系合金が施される。また、図3(b)に示すように、金属層28が2層形成される場合は、第1の金属層28aにはCuが用いられ、第2の金属層28bには、Sn系の合金が用いられる。
【0030】
図4は、外部端子18として丸リード線を用いた場合の加工部30の様々な加工例の断面図を示したものである。また、外部端子18の表面は、例えば、360°全周において凹状の加工を施こすことで、凹状に加工された加工部30は、図4(a)に示すように、外周面全周に渡って表面の金属層28を除去するのが好ましい。このように、加工部30を全周に凹状に加工することで、端子接合用はんだ16の濡れ性をより確実に低下させることができ、余分なフィレットの形成を抑制することができる。しかしながら、図4(b)に示すように、加工部30は、外周面の一部の金属層28のみを除去し、すなわち、例えば、接合するセラミック素体12の外部電極14に相対する面だけ金属層28を除去する加工をしてもよい。
【0031】
図5は、外部端子18として丸リード線を用いた場合の加工部30の一例を示したものである。また、図6および図7は、外部端子18として丸リード線を用いた場合の加工部30の一例をそれぞれ示す。図6(a)および図7(a)は、加工部30の側面を示し、図6(b)および図7(b)は、加工部30の加工面を示した図である。
凹状に加工された加工部30は、図5に示すように、円周面に沿って金属層28のみを除去する加工としてもよいが、外部端子18の強度に影響がない範囲であれば、図6および図7に示すように母材26の一部を含めて削り取るように加工することにより凹状に形成してもよい。また、例えば、外部端子18の延長部24の一部の表面において、延長部24の延びる方向と垂直方向に対して、ある特定の一面(例えば、外部端子18を外部電極14に取り付ける側の面)において加工されてもよい。また、加工面の形状は、例えば、図6に示すように楕円であってもよいし、図7に示すように長方形に加工されてもよい。
【0032】
図8は、外部端子18として丸リード線を用いた場合の加工部30の他の例を示したものである。凹状に加工された加工部30は、図8に示すように、全周に渡って金属層28が残っていても(すなわち、母材26が露出していなくても)、はんだ濡れ性を十分に低下させることができていれば、完全に除去する必要はない。図8に示す加工部30は、外部端子18の延長部24の一部の表面が、金属層28を剥がすように外部端子18の全周に渡って加工されている。例えば、第2の金属層28bが除去されていれば、第1の金属層28aが残っていてもよい。
【0033】
次に、図9は、外部端子18における加工部30における長さ方向における加工例を示したものである。図9(a)ないし図9(e)は、外部端子18における加工部30の様々な加工例の側面を示した図である。
【0034】
図9(a)は、外部端子18における延長部24の一部の表面に形成されている第1の金属層28aおよび第2の金属層28bが、外部端子18の全周に渡って完全に除去され、凹状に加工された加工部30が形成されている。
また、図9(b)および図9(c)は、例えば、延長部24の一部の表面が、延長部24の延びる方向と垂直方向に対して、外部端子18の母材26の表面に形成されている金属層28を剥がすことによって横縞状に加工された加工部30が形成されている。その際、図9(b)に示すように、凹状に加工された加工部30における縞状の間隔は、等間隔であってもよく、図9(c)に示すように、等間隔でなくてもよい。
【0035】
また、図9(d)に示すように、例えば、延長部24の一部の表面が、延長部24の延びる方向と平行方向に対して、外部端子18の母材26の表面に形成されている金属層28を剥がすことによって縦縞状に加工された加工部30が形成されてもよい。
さらに、図9(e)に示すように、例えば、延長部24の一部の表面が、外部端子18の母材26の表面に形成されている金属層28を剥がすことによって格子状に加工された加工部30が形成されてもよい。
【0036】
すなわち、図9(b)ないし図9(e)に示すように、長さ方向においても、断面方向と同様に、はんだ濡れ性を十分に低下させられることができる場合は、金属層28を完全に除去しなくてもよい。特に、レーザーを用いた加工では、図9(b)ないし図9(e)に示すような縞状もしくは格子状の加工痕が残りやすい。このように、部分的に金属層28が残っていても、加工時に局所的に高温になるため、残った金属層28は母材26と合金化し、濡れ性が低下する。また、高温になる事で表面の酸化も促進され、著しくはんだ濡れ性を低下させることができる。はんだフィレット抑制が目的であるので、外部端子18上での端子接合用はんだ16の連続性を切ることができればよい。また、縞状に未加工の部位が残っていてもよい。
【0037】
なお、図3ないし図9に示す加工部30における、これら、断面方向、および、長さ方向の加工例は一部であり、加工部30の形状は、加工方法によって様々に変化する。加工部30の加工方法は、生産性を考慮した上で効率の良い方法を選択すればよく、これらの複合であってもよい。なお、加工部30において、凹状に加工する際にバリが生じて、加工部30の一部に凸となる部分があっても、はんだフィレットの形成を抑制することができる。
【0038】
外装樹脂20は、電子部品素体であるセラミック素体12、外部電極14および外部端子18の一部を保護するために用いられる。外装樹脂20は、例えば、液状や粉状のシリコーン系やエポキシ系などの樹脂を塗装して形成されている。エンジニアリングプラスチックをインジェクションモールド法やトランスファーモールド法などによりモールドしてもよい。
【0039】
この実施形態にかかる外部端子付き電子部品10によれば、外部端子18、例えば、リード線において凹状に加工された加工部30において、表面の金属層18の大部分、または全てが剥がされていることによって、はんだ濡れ性が大幅に低下する。これにより、溶融はんだによるフロー接合(外部電極14が形成されたセラミック素体12を外部端子18で挟み、はんだ槽に浸漬)においても、溶融はんだによるリフロー接合(外部端子18をはんだ槽に浸漬してはんだを付着させた後、セラミック素体12を挟んで加熱してはんだを再溶融させる)においても、またはクリームはんだによるリフロー接合においても、外部端子18に端子接合用はんだ16が濡れない部分があることで余分なフィレットの形成を抑制できる。なお、凹状に加工された加工部30において、表面の金属層28は完全に取り除くことが望ましいが、はんだ濡れ性が十分に低下していれば、多少残っていても特に問題はない。また、余分なはんだフィレットを抑制することで、はんだが冷えて固まる際の収縮応力によりセラミック素体12にクラックが入ることを防止することができ、電子部品の製品外形寸法を一切変えることなく端子接合用はんだ16の鉛フリー化が可能となる。
【0040】
また、この実施形態にかかる外部端子付き電子部品10によれば、外部電極14と外部端子18との接合時に、接合に用いる端子接合用はんだ16に外部端子18の表層の金属層28を形成する金属が必要以上に溶け込むことも防止でき、金属層28を形成する金属(例えば、Sn)の濃度が増すことによる端子接合用はんだ16の融点低下を最低限に抑えられる。さらに、接合に必要な端子接合用はんだ16の使用量が抑えられ、より低コスト化できる。
【0041】
また、従来の外部端子付き電子部品を実装基板にはんだ実装する際、実装用の低融点はんだ(例えば、Sn−Cu系、Sn−Ag−Cu系、Sn−Bi系など)が、外部端子の表面の金属層を形成する金属を溶かしながら外部端子の表面を伝い、外部端子の接合部まで浸入することがある。実装用はんだが接合部まで到達すると、Snが急速に熱拡散を起こし、融点が高い端子接合用はんだを溶かしてしまうという不具合に至る。しかしながら、本実施形態にかかる外部端子付き電子部品10によれば、外部端子18の金属層28を凹状に除去し、加工部30を形成しておくことで、はんだフィレットを形成する余分な金属を除去することができるため、はんだフィレットの形成を抑制することが可能となる。また、外部端子18が、凹状に加工されていることで、端子接合用はんだ16が接合部22から外部端子18を伝って流れ出たとしても実装用はんだを加工部30においてせき止めることができる。
【0042】
さらに、この実施形態にかかる外部端子付き電子部品10によれば、この外部端子付き電子部品10を基板にリフロー実装する場合、端子接合用はんだ16が半溶融して体積膨張しても、外部端子18の表面の金属層28が除去されている部分において、外部端子18の母材26と外装樹脂20とが密着していることから、上記のせき止め効果に加えて、溶融した外部端子18の表面の金属が外装樹脂20の外に流れ出ることを防ぐことができ、いわゆるはんだ涙を防止することができる。加えて、外部端子18の凹状に加工された加工部30は、外装樹脂20に完全に覆われているため、外観上は目に触れることはない。従って、加工部30は外気に直接触れることがないため、腐食を抑制することができる。
【0043】
続いて、本発明にかかる外部端子付き電子部品10の製造方法の一実施形態について説明する。
まず、セラミックグリーンシート、内部電極用導電性ペーストおよび外部電極用導電性ペーストを準備する。セラミックグリーンシートや各種導電性ペーストには、バインダ樹脂および溶剤が含まれるが、公知のバインダ樹脂や有機溶剤を用いることができる。また、外部電極用導電性ペーストには、ガラス成分が含まれることが多い。
そして、セラミックグリーンシート上に、例えば、スクリーン印刷などにより所定のパターンで内部電極用導電性ペーストを印刷し、セラミックグリーンシートには、内部電極のパターンが形成される。それから、内部電極のパターンが印刷されたセラミックグリーンシートが所定枚数積層され、その上下に内部電極のパターンが印刷されていない外層用のセラミックグリーンシートが所定枚数積層され、マザー積層体が作製される。このマザー積層体は、必要に応じて、静水圧プレスなどの手段により積層方向に圧着される。
その後、生のマザー積層体が所定のサイズにカットされ、生の積層体が切り出される。このとき、バレル研磨などにより積層体のコーナー部や稜部に丸みをつけてもよい。
続いて、切り出された生の積層体が焼成され、積層体であるセラミック素体が生成される。なお、焼成温度は、セラミックの材料や内部電極の材料に依存するが、900〜1300℃であることが好ましい。
そして、セラミック素体の両端部に外部電極用導電性ペーストをディップ工法によって塗布し、焼き付け、外部端子電極の下地層を形成する。焼き付け温度は、700〜900℃であることが好ましい。また、必要に応じて、下地層表面にめっきを施す。なお、ディップ工法とは、外部電極用導電性ペースト中にセラミック素体を浸漬させることにより、そのセラミック素体に外部電極を形成する塗布方法のことである。
【0044】
続いて、本発明にかかる外部端子付き電子部品の製造方法における外部端子の取り付け工程について、説明する。
まず、外部端子に対し、上述したように適宜凹状の加工を施し、加工部を形成する。そして、電子部品素体であるセラミック素体の外部電極に端子接合用はんだを用いて外部端子を取り付ける。続いて、セラミック素体、外部電極およびその外部電極と接触している外部端子部分、および外部端子の凹状に加工された部分である加工部のすべてを被覆するように外装樹脂が施される。
【0045】
次に、本発明にかかる電子部品である外部端子付き電子部品についての他の実施形態について説明する。図10は、この実施形態にかかる外部端子付き電子部品の一例を示す。図10(a)は、実施形態にかかる外部端子付き電子部品の正面図解図を示し、図10(b)は、その側面図解図を示す。
【0046】
この実施形態における外部端子付き電子部品110は、電子部品素体である円板型セラミックコンデンサのセラミック素体112と、セラミック素体112の端面表面に形成される外部電極としての端面電極114と、端子接合用はんだ16によって端面電極114と接合される外部端子18(リード線)と、セラミック素体112、端面電極114、外部端子18の一部および端子接合用はんだ16を共に被覆する外装樹脂20とから構成される。
【0047】
また、外部端子18は、セラミック素体112に形成された端面電極114の表面において、端子接合用はんだ16によって接合される接合部22と、接合部22から所定の方向に延ばされる延長部22とを有する。外部端子18は、母材26と母材26の表面に形成される金属層28とを有し、接合部22の近傍において、外部端子18における延長部24の一部の表面が、外部端子18の母材26の表面に形成されている金属層28を剥がすことによって凹状に加工された加工部30を有する。
【0048】
この実施形態にかかる外部端子付き電子部品110に用いられるセラミック素体112は、単板のセラミック板からなり円板型(ディスク型)に形成されている。そして、端面電極114が、セラミック素体112の両端面に形成されている。
【0049】
また、外部端子18は、接合部22と延長部24とにより構成される。接合部22は、端子接合用はんだ16によってセラミック素体112に形成される端面電極114と接合される。延長部24は、接合部22から所定の方向に延ばされるように形成される。そして、外部端子18は、外部端子18における接合部22の近傍において、セラミック素体112から離れるように曲げ加工が施されている。この実施形態では、外部端子18が加工部30の途中で、基盤側に曲げ加工が施されている。
なお、外部端子付き電子部品110に形成される外部端子18は、図2に示す外部端子付き電子部品10の外部端子18と同じ材料で構成されており、加工部30の形状は、図3ないし図9に示すように、生産性等を考慮した上で効率の良い方法を選択すればよい。
【0050】
次に、本発明にかかる電子部品である外部端子付き電子部品についてのさらに他の実施形態について説明する。図11は、この実施形態にかかる外部端子付き電子部品の一例を示す。図11(a)は、この実施形態にかかる外部端子付き電子部品の上面図を示し、図11(b)は、その断面図解図を示す。
【0051】
図11(a),(b)に示されるこの実施形態にかかる外部端子付き電子部品210は、電子部品素体である円板型セラミックコンデンサのセラミック素体212と、セラミック素体212の端面表面に形成される外部電極としての端面電極214a,214bと、端子接合用はんだ16によって端面電極214a,214bと接合される外部端子218a,218b(リードフレーム)と、セラミック素体212、端面電極214a,214b、外部端子218a,218bの一部および端子接合用はんだ16を共に被覆する外装樹脂20とから構成される。
【0052】
なお、この実施形態にかかる外部端子付き電子部品210に用いられるセラミック素体212は、外部端子付き電子部品110に用いられるセラミック素体112と同様であり、すなわち、単板のセラミック板からなり円板型(ディスク型)に形成されている。そして、端面電極214a,214bが、セラミック素体212の両端面に形成されている。
【0053】
外部端子218a,218bには、例えば、板状のリードフレームが用いられる。外部端子218a,218bは、セラミック素体212の端面電極214a,214bの表面において、端子接合用はんだ16によって接合される接合部222と、接合部222から所定の方向に延ばされる延長部224とを有する。外部端子218a,218bは、母材226と母材226の表面に形成される金属層228とを有し、接合部222の近傍において、外部端子218a,218bにおける延長部224の一部の表面が、外部端子218a,218bの母材226の表面に形成されている金属層228を剥がすことによって凹状に加工された加工部230を有する。
【0054】
実装基板に向いたセラミック素体212の主面または側面を実装面としたとき、実装面側のセラミック素体212の端面電極214aに接合されている外部端子218aは、加工部230の近傍で、下方(実装面の方向)に曲げ加工が施され、所定の間隔を隔てて、再度、セラミック素体212と水平方向に曲げ加工が施されている。
実装基板に向いたセラミック素体212の主面または側面を実装面としたとき、実装面に対して反対側のセラミック素体212の端面電極214bに接合されている外部端子218bは、加工部230近傍で、下方(実装面の方向)に曲げ加工が施され、電子部品の厚みの分の長さを隔てて、セラミック素体212と水平方向に曲げ加工が施され、所定の距離を隔てて、再度、下方(実装面の方向)に曲げ加工が施されており、更に、所定の間隔を隔てて、セラミック素体212と水平方向に曲げ加工が施されている。
外部端子218a,218bの加工部230における加工の長さは、例えば接合部222a,222bの近傍において0.5〜2mmの長さで加工することが好ましい。
【0055】
次に、図12に、外部端子218bの一例の断面図を示す。図12(a)は、外部端子218bにおける延長部224における断面図であり、図12(b)は、外部端子218bの加工部230の加工例を示す断面図である。
外部端子218a,218bとして板状のリードフレームを用いる場合は、例えば、外部端子218a,218bの表面の4面全面を加工することが好ましいが、図12(b)に示すように、少なくともセラミック素体12の端面電極214a,214bに相対する側だけでも加工されていればよい。外部端子218a,218bの厚みは、例えば、0.15から0.2mmであることが好ましい。また、板状のリードフレームの母材226には、例えば、タフピッチ銅、黄銅、りん青銅、ベリリウム銅などの銅系の合金、ならびにFe−Ni合金およびステンレスなどの鉄系の合金を用いることが好ましい。さらに、板状のリードフレームには、金属層228は、第1の金属層228aには、下地としてNiめっき、第2の金属層228bには、表層としてSnめっきを施したものが用いられる。
【0056】
さらに、図13は、本発明にかかる電子部品である外部端子付き電子部品についての図11に記載の実施形態の他の例である外部端子付き電子部品の一例を示す。図13(a)は、この実施形態にかかる外部端子付き電子部品の上面図を示し、図13(b)は、その断面図解図を示す。
【0057】
また、図13(a),(b)に示す、外部端子付き電子部品310は、電子部品素体である円板型セラミックコンデンサのセラミック素体312と、セラミック素体312の端面表面に形成される端面電極314a,314bと、端子接合用はんだ16によって端面電極314a,314bと接合される外部端子318a,318b(リードフレーム)と、セラミック素体312、端面電極314a,314b、外部端子318a,318bの一部および端子接合用はんだ16を共に被覆する外装樹脂20とから構成される。
【0058】
なお、この実施形態にかかる外部端子付き電子部品310に用いられるセラミック素体312は、外部端子付き電子部品110に用いられるセラミック素体112と同様であり、すなわち、単板のセラミック板からなり円板型(ディスク型)に形成されている。そして、外部電極として端面電極314a,314bが、セラミック素体212の両端面に形成されている。
【0059】
外部端子318a,318bには、例えば、板状のリードフレームが用いられる。外部端子318a,318bは、セラミック素体312の端面電極314a,314bの表面において、端子接合用はんだ16によって接合される接合部322と、接合部322から所定の方向に延ばされる延長部324とを有する。外部端子318a,318bは、母材と母材の表面に形成される金属層とを有し、接合部322の近傍において、外部端子318a,318bの延長部324の一部の表面が、外部端子318a,318bの母材の表面に形成されている金属層を剥がすことによって凹状に加工された加工部330を有する。
なお、外部端子318a,318bは、図11に示す外部端子付き電子部品210と同じ材料で構成されている。
【0060】
また、この実施形態にかかる外部電極端子付き電子部品310に形成される外装樹脂20は、外部端子付き電子部品210と同様に、セラミック素体312、端面電極314a,314b、外部端子318a,318bおよび端子接合用はんだ16を共に被覆されるように形成されており、外部端子318a,318bに形成される加工部330は、完全に被覆されている。しかしながら、外部端子付き電子部品310に形成される外装樹脂20は、セラミック素体312や外部端子318a,318bに対して密着するように覆っている点が、外部端子付き電子部品210の外装樹脂20と相違している。
【0061】
次に、本発明にかかる電子部品である外部端子付き電子部品についてのさらに他の実施形態について説明する。図14は、この実施形態にかかる外部端子付き電子部品の一例の断面図解図を示す。
【0062】
この実施形態にかかる外部端子付き電子部品410は、図14に示すように、電子部品素体であるセラミック素体412a,412bと外部電極414とにより構成されたセラミック素子を2個並列で接合する場合の一例である。
なお、本実施形態にかかる外部端子付き電子部品410に用いられるセラミック素体412a,412bは、外部端子付き電子部品10に用いられるセラミック素体12と同様である。そして、外部電極414は、セラミック素体412a,412bの両端部に、その内部電極と導通するように形成される。
【0063】
この実施形態にかかる外部端子付き電子部品410のように、セラミック素体412a,412bと外部電極414とにより構成されたセラミック素子が複数個並列に接合されている場合、外部端子418は、複数個のセラミック素体412a,412bに形成される外部電極414の境界近傍において、外部端子418の延長部の一部が凹状に加工されることで、加工部430,432が形成される。
【0064】
ここで、加工部430について、実装基板に向いたセラミック素体412aの主面または側面を実装面412c1としたとき、外部端子418における加工部430の起点430aは、例えば、上部に搭載されているセラミック素体412aの実装面412c1側の角部における端面側の起点414aより下方(すなわち、起点414aから、実装面412c1の方向)の位置にあることが好ましく、起点414aと実装面412c1との間の位置にあることが好ましい。
また、加工部430について、実装基板に向いたセラミック素体412bの主面または側面を実装面412c2としたとき、外部端子418における加工部430の終点430bは、下部に搭載されているセラミック素体412bの実装面412c2と反対側の面の角部における端面側の起点414bより上方(すなわち、起点414bから、実装面412c1の方向)の位置にあることが好ましく、起点414bと実装面412c1との間の位置にあることが好ましい。
このように、外部端子418において、凹状に加工される加工部430,432と2ヶ所設けることで、加工部320付近における余分なはんだフィレットの形成を抑制するだけでなく、セラミック素体412aとセラミック素体412bとの間にもはんだフィレットが入り込まないようにすることができる。
なお、外部端子付き電子部品410に形成される外部端子418は、図2に示す外部端子付き電子部品10に形成される外部端子18と同じ材料で構成されており、加工部430,432の形状は、図3ないし図9に示すように、生産性等を考慮した上で効率の良い方法を選択すればよい。
【0065】
本発明にかかる外部端子付き電子部品によれば、外部端子、例えば、リード線において凹状に加工された加工部において、表面の金属層の大部分、または全てが剥がされていることによって、はんだ濡れ性が大幅に低下することから、外部端子に端子接合用はんだが濡れない部分があることで余分なフィレットの形成を抑制できる。
【0066】
さらに、本発明にかかる外部端子付き電子部品によれば、外装樹脂により、凹状に加工された部分である加工部が完全に被覆されているので、母材が保護されることから、加工部において露出される母材部分の酸化を防止することができる。
【符号の説明】
【0067】
10,110,210,310,410 外部端子付き電子部品
12,112,212,312,412a,412b セラミック素体
12a セラミック層
12b 内部電極
12c,412c1,412c2 実装面
14,414 外部電極
14a,414a,414b 起点
16 端子接合用はんだ
18,218a,218b,318a,318b,418 外部端子
20 外装樹脂
22,222,322,422 接合部
24,224,324 延長部
26,226 母材
28 金属層
28a,228a 第1の金属層
28b,228b 第2の金属層
30,230,330,430,432 加工部
30a,430a 起点
30b,430b 終点
114,214a,214b,314a,314b 端面電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品素体と、
前記電子部品素体の表面に形成される外部電極と、
接合部と、前記接合部から所定の方向に延ばされる延長部とを有する外部端子と、
前記外部電極および前記接合部を接合するはんだと、
前記電子部品素体、前記外部電極、前記外部端子の一部および前記はんだを被覆するように形成される外装樹脂と、
を備える電子部品であって、
前記外部端子は、
母材と、前記母材の表面に形成される金属層とを有し、
前記接合部近傍において、前記延長部の一部の表面が、凹状に加工されており、前記凹状に加工された部分が前記外装樹脂に完全に被覆されていることを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記はんだは、鉛フリーはんだであることを特徴とする、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記凹状に加工された部分は、前記外部端子の全周に渡って前記金属層を剥がすように加工されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記凹状に加工された部分は、前記外部端子の特定の一面において前記金属層を剥がすように加工されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の電子部品。
【請求項5】
前記凹状に加工された部分は、縞状に前記金属層を剥がすように加工されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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