説明

電子部品

【課題】端子の実装部の厚み寸法が半田によってばらつくことをなくして、小型化、低背化した電子部品を提供することを目的とするものである。
【解決手段】端子15は、引き出し線14が突出した側面に配置するとともに引き出し線14を接続した接続部18と、接続部18を配置した側面と隣接する側面に配置するとともに接続部18に連接した連接部19、および電子部品本体13の下面に配置するとともに連接部19を介して接続部18と連接した実装部20とからなり、接続部18に、外側に隆起するとともに内側に溝21を有した凸条部22を上下方向に設け、凸条部22の溝21の中に引き出し線14の根元側を収納し、引き出し線14の端部を凸条部22から見て連接部19と反対側の接続部18に半田接続したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器に用いられる電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ノートパソコンなどの電子機器の小型化、薄型化が進む中、これらの電子機器に搭載する電子部品にも小型、低背のものが要求されている。この電子部品への小型化、低背化要求に対して、図4、図5に示すように、電子部品本体1と、電子部品本体1から引き出した回路素子の引き出し線2と、引き出し線2を半田接続した端子3とからなる電子部品において、端子3を、引き出し線2を接続する接続部4と実装基板(図示していない)に接続する実装部5とを連接部6を介して連接して形成し、接続部4と連接部6とを電子部品本体1の隣接する側面に其々配置することにより小型化、低背化した電子部品が提案されている。
【0003】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−282333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の構成では電子部品をさらに小型化、低背化すると、接続部4に引出し線2を半田接続するときに、溶融した半田が連接部6や実装部5に回り込みやすく、実装部5に回り込んだ半田の厚みによって電子部品の高さが高くなったり、連接部6に回り込んだ半田によって実装基板に半田接続した際の半田フィレットが大きくなって適切な半田接続ができない虞があり、電子部品のさらなる小型化、低背化を阻害していた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記課題を解決するために、回路素子と回路素子の外装部とからなる電子部品本体と、電子部品本体の側面から突出した回路素子の引き出し線と、金属板を加工した端子とを備え、端子は、引き出し線が突出した側面に配置するとともに引き出し線を接続した接続部と、接続部を配置した側面と隣接する側面に配置するとともに接続部に連接した連接部、および電子部品本体の下面に配置するとともに連接部を介して接続部と連接した実装部とからなり、接続部に、外側に隆起するとともに内側に溝を有した凸条部を上下方向に設け、凸条部の溝の中に引き出し線の根元側を収納し、引き出し線の端部を凸条部から見て連接部と反対側の接続部に半田接続したものである。
【発明の効果】
【0007】
上記構成により、引き出し線を接続部に半田接続した際に、接続部に形成した凸条部が壁となって溶融半田が連接部や実装部へ回りこむことを防止することができるため、実装部の厚み寸法が半田によってばらつくことがなくなり、小型化、低背化した電子部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施の形態における電子部品の上面側斜視図
【図2】本発明の一実施の形態における電子部品の下面側斜視図
【図3】図1のA部拡大図
【図4】従来の電子部品の平面図
【図5】従来の電子部品の側面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態における電子部品について回路素子にコイルを用いた例を、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は本発明の一実施の形態における電子部品の上面側斜視図、図2は同電子部品の下面側斜視図である。
【0011】
図1、図2において、本発明の一実施の形態における電子部品は、回路素子11とこの回路素子11の外装部12とからなる電子部品本体13と、電子部品本体13の側面から突出した回路素子11の引き出し線14と、この引き出し線14と半田接続した端子15とからなっている。
【0012】
この電子部品本体13は、直径が0.2mmの絶縁皮膜導線を巻回してコイル16を形成してなる回路素子11の周囲を外装部12で覆ったもので、この外装部12は、磁性体粉末と結合剤を混ぜ合わせたものに回路素子11を埋設させて圧粉成形したものである。また、電子部品本体13の形状は、上面と下面が同じ形状の角柱状であり、上面あるいは下面の一辺の長さが5.0mmの略正方形形状で高さが1.2mmの形状をしている。そして、上面あるいは下面から見て少なくとも二つの角部を面取りして電子部品本体13の側面にテーパー部17を形成している。
【0013】
また、引き出し線14は、回路素子11であるコイル16の端部を電子部品本体13のテーパー部17から突出したもので、外装部12を圧粉成形する際に、コイル16の端部を成形金型(図示していない)の外側に突出させて圧粉成形したものである。このように、テーパー部17から引き出し線14を突出させることにより、電子部品を上面から見たときに、引出し部分がテーパー部17に配置されて、電子部品の面積が余分に広くなることがなく電子部品を小型化することができる。本実施の形態では対向する一組の角部にテーパー部17を形成しているが、隣接する角部にテーパー部17を形成したり、全ての角部にテーパー部17を形成してもよい。
【0014】
そして、端子15は、厚み寸法が0.1mmのリン青銅板を加工し、表面に半田めっきを施したものを電子部品本体13に接着剤で固定したものであり、接続部18と連接部19および実装部20とからなっている。まず、接続部18は引き出し線14を半田接続する部分であり、引き出し線14を突出させた電子部品本体13のテーパー部17に配置するとともに引き出し線14を接続部18の表面に配置して半田接続したものである。また、連接部19は、接続部18を配置したテーパー部17と隣接する側面に配置するとともに接続部18と連接させて形成している。そして、実装部20は実装基板(図示していない)と半田接続する部分であり電子部品本体13の下面に配置するとともに連接部19を介して接続部18と連接して形成したものである。
【0015】
さらに、接続部18には、引き出し線14と対応する位置で且つ接続部18の上端から下端までの上下方向に、外側に隆起するとともに内側に溝21を形成した直線上の凸条部22を設けている。この凸条部22は、内側に形成した溝21の幅寸法と深さ寸法を引き出し線14の径寸法より大きくして、引き出し線14を収納可能に形成している。
【0016】
また、凸条部22の上端には、連接部19とは反対側が開放したスリット23を形成しており、このスリット23の開口部分の幅寸法と接続部18の上端からの開口深さの寸法を引き出し線14の径寸法より大きくして、引き出し線14を挿通可能にして形成している。
【0017】
次に、この端子15を電子部品本体13に取り付けて引き出し線14と接続した状態について説明する。
【0018】
図3に示すように、引き出し線14を一旦上方向に折り曲げて、引き出し線14の根元側を凸条部22の溝21にはめ込んで収納し、そして引き出し線14の端部側を、スリット23を挿通させて下方向へ折り返し、凸条部22から見て連接部19と反対側の接続部18に配置して半田24(破線で示した部分)で接続したものである。
【0019】
このようにすることにより、引き出し線14を接続部18に半田接続した部分と連接部19との間に隆起した凸条部22が位置することとなり、この凸条部22が壁となって半田接続するときの溶融した半田24が連接部19や実装部20に回りこむことを防止することができる。
【0020】
特に、凸条部22の内側に溝21を形成しているので、半田接続の際に半田量が多くなっても溶融した半田24が溝21の内側に回り込んで半田溜まりとなるために、連接部19や実装部20側に回り込むことをより防止することができる。この場合、溝21の幅寸法と深さ寸法は、引き出し線14の径寸法よりも0.1〜0.2mm程度大きくしておくことが望ましい。こうすることにより、引き出し線14を溝21に収納しやすくするだけでなく、毛細管現象により溝21の内壁と引き出し線14の隙間に溶融した半田24を回り込みやすくすることができる。
【0021】
さらに、本実施の形態のように凸条部22にスリット23を設けることにより、スリット23を形成しない場合に比べて、より溶融した半田24を凸条部22の溝21の内側へ回り込みやすくすることができる。
【0022】
また、従来の電子部品の構成では、電子部品をさらに小型化、低背化すると、溶融した半田が連接部6や実装部5へ回りこむことを避けるために、引き出し線2と接続部4との半田接続面積を小さくして半田量を減らす必要があり、接続信頼性が低下する虞がある。しかし、本願発明では、一旦上方向に折り曲げた引出し線14を下方向へ折り返して接続部18に半田接続しているので、接続部18の上下の幅寸法一杯まで半田接続面積を大きくすることができる。特にスリット23を設けることにより、接続部18の上下の幅寸法をより大きく形成することができるので、半田接続面積をより大きくして接続信頼性を向上することが可能となる。
【0023】
これにより結果として、連接部19や実装部20に半田24が回り込むことがなくなり、実装部20の半田の厚み寸法がばらついて電子部品の高さ寸法が大きくなったり、電子部品を実装基板に実装した際の半田フィレットが大きくなることを防止することができ、さらには引き出し線14と接続部18の接続信頼性を向上した小型、低背の電子部品を得ることができる。
【0024】
なお、本実施の形態ではスリット23を凸条部22の上端側に設けたが、下端側に設けてもよく、引き出し線14を一旦下方向に折り曲げて、引き出し線14の根元側を凸条部22の溝21に収納し、そして引き出し線14の端部側を、スリット23を挿通させて上方向へ折り返し、凸条部22から見て連接部19とは反対側の接続部18に配置して半田接続しても同様の作用効果を得ることができる。
【0025】
また、本実施の形態では回路素子にコイルを用いたもので説明したが、回路素子に抵抗やコンデンサなどを用いても同様の作用効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明に係る電子部品は、実装部の半田の厚み寸法がばらついて電子部品の高さ寸法が大きくなることのない小型化、低背化した電子部品を得ることができるため、産業上有用である。
【符号の説明】
【0027】
11 回路素子
12 外装部
13 電子部品本体
14 引き出し線
15 端子
16 コイル
17 テーパー部
18 接続部
19 連接部
20 実装部
21 溝
22 凸条部
23 スリット
24 半田

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路素子と前記回路素子の外装部とからなる電子部品本体と、前記電子部品本体の側面から突出した前記回路素子の引き出し線と、金属板を加工した端子とを備え、前記端子は、前記引き出し線が突出した側面に配置するとともに前記引き出し線を接続した接続部と、前記接続部を配置した側面と隣接する側面に配置するとともに前記接続部に連接した連接部、および前記電子部品本体の下面に配置するとともに前記連接部を介して前記接続部と連接した実装部とからなり、前記接続部に、外側に隆起するとともに内側に溝を有した凸条部を上下方向に設け、前記凸条部の溝の中に前記引き出し線の根元側を収納し、前記引き出し線の端部を前記凸条部から見て前記連接部と反対側の前記接続部に半田接続した電子部品。
【請求項2】
凸条部の接続部側とは反対側に、引き出し線の径寸法より広い幅のスリットを形成した請求項1記載の電子部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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