説明

電子部材および電子部材の製造方法

【課題】 配線の高精細化を達成でき、低ノイズ化、あるいは高放熱性の電子部材を提供する。更に、多層配線を比較的に簡単にできる電子部材と、その製造方法を提供する。
【解決手段】 外形加工あるいは孔開け加工され、且つ表面部が絶縁性の樹脂からなる基材をベース基材とする電子部材であって、前記絶縁性の樹脂の表面部の全面にあるいは一部に、無電解めっき層、電解めっき層からなる導電性層を設けている。特に、エッチング加工法、プレス加工法めっき加工法等により、外形加工あるいは孔開け加工された導電性の基材をベース基材とする電子部材であって、導電性の基材は、絶縁性の樹脂層により被膜され、更に、樹脂層の表面部の全面にあるいは一部に、無電解めっき層、電解めっき層からなる導電性層を設けている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置用リードフレーム、半導体装置用基板、各種接続端子部等を形成するための電子部材に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体技術の進歩と、小型化、薄型化という電子部品のマーケットトレンドにより、半導体素子の高密度化、微細化を含む半導体パケージの小型化、多端子化が益々進み、所謂、高密度実装の時代へと入ってきた。
【0003】これに伴い、半導体周辺電子部材、即ち、半導体装置用リードフレーム、半導体装置用基板などは、配線の高精化とともに、信号高速化対応、低ノイズ化、高放熱性が求められるようになってきた。しかし、電子部材そのものに構造的対策を施すことは難しく、その対応が求められていた。
【0004】一方、プリント配線基板への高密度配線を実現するものとして、ビルトアップ多層配線基板が開発されつつある。ビルトアップ法は、基材上に、一面にめっきにより形成された金属層(銅めっき層)をエッチングすることにより作成された金属配線(配線部)と絶縁層とを順次積層して、図7にその断面を示すような構造の多層配線基板を作製するもので、この方法により作製された多層配線基板をビルトアップ多層配線基板である。尚、図7中、700は多層配線基板、710は配線基板、711はベース基材、715は配線、717はスルーホール、720は1層目の絶縁樹脂層、725は配線、727はビア、730は2層目の絶縁樹脂層、735は配線、737はビアである。この方法の場合には、高精細の配線と任意の位置での金属配線間の接続が可能となる。BTレジン等からなる絶縁性のベース基材711上ないし絶縁性樹脂層720、730上への金属層(銅めっき層)からなる配線(715、725、735)およびビア727、737の形成は、通常、絶縁性の基材711上ないし絶縁性樹脂層720、730上へスパッタリング、蒸着、無電解めっき等で導通層となる金属薄膜を直接形成した後、電気めっき等により全面に厚付け金属層を形成し、次いで該金属層上にレジストを所定のパターンに形成して、該レジストを耐腐蝕マスクとしてレジストの開口部から露出した部分のみをエッチングすることにより行う。しかし、このビルトアップ法による多層基板の作製方法は、金属層のめっき形成工程、レジストのパターニング工程、エッチング工程を交互に複数回行うため、工程が複雑となる。基材上に金属配線(配線部)と、絶縁層とを1層づつ積み上げる直接プロセスのため、中間工程でトラブルが発生すると、製品の再生が困難となり、且つ、製造コストが割高となるという問題がある。
【0005】また、このビルトアップ法による多層配線基板の作製方法においては、層間絶縁膜や配線保護膜を得るのに一般印刷によるパターン形成は安価で量産的な方法であるが、この方法は、得られるパターンの精度が悪く、細線の印刷ができず、高精度、高密度のパターンの形成には適していない。この為、高精細、高密度のパターンの層間絶縁膜や配線保護膜を得るための、高精細、高密度のパターンの形成には、印刷法でなく、感光性絶縁材料(樹脂)を用いたフォトリソグラフィー法による形成が用いられるが、フォトリソグラフィー法の場合、工程が長くなり、設備も高価となり、パターン形成に長時間を要し、生産コストが高くなる。更に、現像により捨てる感光性絶縁材料の量が多く、コスト高の一因となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、高密度実装が進む中、半導体周辺部材である電子部材においては、高精細化が求められ、更に、信号高速化対応、低ノイズ化、あるいは高放熱性が求められてていたが、電子部材そのものに構造的対策を施すことは難しくその対応が求められていた。また、プリント配線への高密度実装を実現するものとして、図7に示すようなビルトアップ多層配線基板が開発されつつあるが、種々問題があり、この対応も求められていた。本発明は、これらに対応するもので、特に、半導体周辺部材である電子部材である電子部材において、低ノイズ化、あるいは高放熱性の電子部材を提供しようとするものである。また同時に、多層配線を比較的に簡単にできる電子部材を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の電子部材は、外形加工あるいは孔開け加工され、且つ表面部が絶縁性の樹脂からなる基材をベース基材とする電子部材であって、前記絶縁性の樹脂の表面部の全面にあるいは一部に、無電解めっき層、電解めっき層からなる導電性層を設けていることを特徴とするものである。
【0008】特に、本発明の電子部材は、エッチング加工法、プレス加工法、めっき加工法等により、外形加工あるいは孔開け加工された導電性の基材をベース基材とする電子部材であって、導電性の基材は、絶縁性の樹脂層により被膜され、更に、樹脂層の表面部の全面にあるいは一部に、無電解めっき層、電解めっき層からなる導電性層を設けていることを特徴とするものである。
【0009】そして、上記絶縁性の樹脂または樹脂層の、無電解めっき層と接する面は、その表面粗度をウエットブラスト処理により調整されていることを特徴とするものであり、 更に、上記において、調整された表面粗度が、中心線平均粗さRaで0.1μm〜5μmの範囲であることを特徴とするものである。そしてまた、上記において、半導体装置用リードフレーム、半導体装置用基板、各種接続端子部の1つを形成するための電子部材であることを特徴とするものである。
【0010】本発明の電子部材の製造方法は、外形加工あるいは孔開け加工され、且つ表面部が絶縁性の樹脂からなる基材をベース基材とする電子部材で、前記絶縁性の樹脂の表面部の全面にあるいは一部に、無電解めっき層、電解めっき層からなる導電性層を設けている電子部材を、製造するための電子部材の製造方法であって、(A)絶縁性の樹脂の表面粗度を調整するウエットブラスト処理を施す、ウエットブラスト処理工程と、(B)基材の表面部に、無電解めっきを施し、無電解めっき層を形成する無電解めっき処理工程と、(C)無電解めっき層上全面にあるいは一部に電解めっきにより電解めっき層を形成する電解めっき処理工程とを有することを特徴とするものである。
【0011】特に、本発明の電子部材の製造方法は、エッチング加工法、プレス加工法、めっき加工法等により、外形加工あるいは孔開け加工された導電性の基材をベース基材とする電子部材で、導電性の基材は、絶縁性の樹脂層により被膜され、更に、樹脂層の表面部の全面にあるいは一部に、無電解めっき層、電解めっき層からなる導電性層を設けている電子部材を、製造するための電子部材の製造方法であって、(a)エッチング加工法、プレス加工法、めっき加工法等により、外形加工あるいは孔開け加工された導電性の基材の表面部に、絶縁性の樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、(b)導電性の基材の表面部に形成された樹脂層の表面粗度を調整するウエットブラスト処理を施す、ウエットブラスト処理工程と、(c)絶縁性の樹脂層により被膜された導電性の基材の表面部に、無電解めっきを施し、無電解めっき層を形成する無電解めっき処理工程と、(d)無電解めっき層上全面にあるいは一部に電解めっきにより電解めっき層を形成する電解めっき処理工程とを有することを特徴とするものである。そして、上記において、無電解めっき処理工程の後、導電性の基材の、無電解めっき層上に所定領域を開口した耐めっき性のレジストを設けるレジストパターニング工程と、レジストの開口からな露出した無電解めっき層上に電解めっきを施す、電解めっき処理工程と、レジストを剥離するレジスト剥離工程と、露出している無電解めっき層をエッチング除去するエッチング工程とを行うことを特徴とするものである。尚、樹脂層形成工程における、絶縁性も樹脂層形成には、塗布、ラミネート、印刷、その他公知のさまざまな手法を用いることができる。そしてまた、上記において、孔開け加工された導電性の基材をベース基材とし、基材を被膜する樹脂層の表面部の一部に、無電解めっき層、電解めっき層からなる導電性層を配線とする配線部を設けている配線基板を形成するもので、無電解めっき処理工程の後、導電性の基材の、無電解めっき層上に、形成する配線部領域、導電性の基材の孔部を含む領域を開口した耐めっき性のレジストを設けるレジストパターニング工程と、レジストの開口から露出した無電解めっき層上に電解めっきを施し、基材の孔部を埋める電解めっき処理を施す電解めっき処理工程と、レジストを剥離するレジスト剥離工程と、露出している無電解めっき層をエッチング除去するエッチング工程とを行うことを特徴とするものである。また、上記において、配線基板は、孔部の無電解めっきと電解めっきからなる導電性層をビアホールとして、該配線基板同志を複数層積層するための、多層配線基板作製用の配線基板であることを特徴とするものである。また、上記において、配線基板は、配線部形成側と反対側の、孔部の無電解めっきと電解めっきからなる導電性層形成部分を外部端子とする半導体装置用配線基板であることを特徴とするものである。
【0012】そして、上記において、ウエットブラスト処理は、上記絶縁性の樹脂または上記絶縁性の樹脂層の表面粗度を、中心線平均粗さRaで0.1μm〜5μmの範囲に調整するものであることを特徴とするものである。更に、上記において、露出している無電解めっき層をエッチング除去するエッチング工程の後に、ウエットブラスト処理を施すことを特徴とするものである。
【0013】尚、ここでは、ウエットブラスト処理とは、アルミナビーズ(#150〜#1200程度)、球状シリカ砥材(粒径20μm程度)の砥粒等を、水等に混ぜ、樹脂層120の面に吹きつけて、機械的に表面粗度を調整する処理のことである。
【0014】
【作用】本発明の電子部材は、このような構成にすることにより、半導体周辺部材である電子部材等の電子部材において、高精細化を達成するとともに、更に、低ノイズ化、あるいは高放熱性の電子部材の提供を可能とするものである。あるいは、多層配線を比較的に簡単にできる電子部材の提供を可能とするものである。具体的には、エッチング加工法、プレス加工法、めっき加工法等により、外形加工あるいは孔開け加工された導電性の基材をベース基材とする電子部材であって、導電性の基材は、絶縁性の樹脂層により被膜され、更に、樹脂層の表面部の全面にあるいは一部に、無電解めっき層、電解めっき層からなる導電性層を設けていることにより、これを達成している。特に、絶縁性の樹脂の表面粗度が、中心線平均粗さRaで0.1μm〜5μmの範囲であることにより、樹脂層と無電解めっき層との密着性を実用的なものとしている。また、半導体装置用リードフレーム、半導体装置用基板、各種接続端子部の1つを形成するための電子部材の場合には有効である。
【0015】本発明の電子部材の製造方法は、このような構成にすることにより、高精細化を達成するとともに、更に、低ノイズ化、あるいは高放熱性の半導体周辺部材である電子部材等の電子部材の製造方法の提供を可能とするものである。具体的には、(a)エッチング加工法、プレス加工法、めっき加工法等により、外形加工あるいは孔開け加工された導電性の基材の表面部に、絶縁性の樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、(b)導電性の基材の表面部に形成された樹脂層の表面粗度を調整するウエットブラスト処理を施す、ウエットブラスト処理工程と、(c)絶縁性の樹脂層により被膜された導電性の基材の表面部に、無電解めっきを施し、無電解めっき層を形成する無電解めっき処理工程と、(d)無電解めっき層上全面にあるいは一部に電解めっきにより電解めっき層を形成する電解めっき処理工程とを有することにより、これを達成している。
【0016】特に、孔開け加工された導電性の基材をベース基材とし、且つ、基材を被膜する樹脂層の表面部の一部に、無電解めっき層、電解めっき層からなる導電性層を配線とする配線部を設けている、多層配線基板作製用の配線基板を作製するに際し、無電解めっき処理工程の後、導電性の基材の一面の、無電解めっき層上に、形成する配線部領域、導電性の基材の孔部を含む領域を開口した耐めっき性のレジストを設けるレジストパターニング工程と、レジストの開口から露出した無電解めっき層上に電解めっきを施し、基材の孔部を埋める電解めっき処理を施す電解めっき処理工程と、レジストを剥離するレジスト剥離工程と、露出している無電解めっき層をエッチング除去するエッチング工程とを行うことにより、配線間の電気的接続の信頼性に優れ、且つ、配線の高精細化、高密度化に対応できる配線基板を、従来のビルトアップ法による多層配線基板の製造よりも、簡単に作製することを可能としている。勿論、このような配線基板の形成方法は半導体装置用配線基板の製造に適用でき、二次元的に外部端子を配列させたBGAタイプ(アレイタイプ)の半導体装置の提供を可能としている。
【0017】ウエットブラスト処理は機械的研磨のような、研磨方向に沿う方向に強い力を受けず樹脂層の剥がれが発生することも無く、孔開け加工された基材の側面部を覆う樹脂層の表面部をも処理できる。特に、絶縁性の樹脂がポリイミドである場合、化学的研磨は難しく、実用的なものはなく、ウエットブラスト処理は有効である。
【0018】更に、露出している無電解めっき層をエッチング除去するエッチング工程の後に、ウエットブラスト処理を施すことにより、無電解めっきの触媒の除去を可能としている。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明の電子部材の実施の形態の第1の例の、多層配線基板作製用の配線基板を示した一部断面図で、図2は多層配線基板の作製を説明するための断面図で、図3(a)は本発明の電子部材の実施の形態の第2の例の半導体装置用の配線基板を示した断面図で、図3(b)は半導体装置の断面図で、図4は第1の例の配線基板の製造するための工程断面図で、図5は本発明の電子部材の実施の形態の第3の例のリードフレームの、インナーリード先端部の図で、図6は本発明の電子部材の実施の形態の第4の例の接続用ピンを説明するための図である。また、図8(h)は本発明の電子部材の実施の形態の第5の例の配線部材を示した一部断面図で、図8(a)〜図8(h)はその工程断面図で、図9(h)は本発明の電子部材の実施の形態の第6の例の配線部材を示した一部断面図で、図9(a)〜図9(h)はその工程断面図である。尚、図6(a)は接続端子部の断面図、図6(b)は接続端子部の上面図(下面図)、図6(c)は図6(a)のA1−A2におけるピン500の一断面図である。図1〜図6中、100、105は配線基板、110、110Bはベース基材(単に基材ともう言う)、110Aは基材、115、115Bは基材の孔部、120、120Bは樹脂層、130、130Bは導電性層、131、131Bは無電解めっき層、132、132Bは電解めっき層、135、135A、135Bは配線部、136、136Bはビアホール、137は端子部、150は絶縁性樹脂シート、170は多層配線基板、180はレジスト、185は開口、210は配線基板、211は半導体素子、212は端子部、410はインナーリード、411はワイヤボンディング面、420は樹脂層、430は配線(リード)、500はピン、505は端面、510はベース基材(基材)、520は樹脂層、530は導電性層、540は封止用樹脂である。また、図8、図9中、810はベース基材、810Aは基材、820は金属層、830はウエットブラスト、840は導電性層、841は無電解めっき層、842は電解めっき層、850はレジスト、910はベース基材、910Aは基材、920は金属層、930はウエットブラスト、940は導電性層、941は無電解めっき層、942は電解めっき層、950はレジスト、936はビアホール、937は端子部である。
【0020】本発明の電子部材の実施の形態の第1の例の配線基板を図1に基づいて説明する。図1(a)、図1(b)は、それぞれ、孔開け加工された導電性の基材110をベース基材とした、本例の多層配線基板形成用の配線基板である。図1(a)、図1(b)に示す配線基板の導電性の基材110は、絶縁性の樹脂層120により被膜され、更に、樹脂層の表面部の一部に、無電解めっき層131、電解めっき層132からなる導電性層130で配線部135(135A)を設け、且つ、基材の孔部115を無電解めっき層131、電解めっき層132からなる導電性層130で埋めるように設けられたビアホール136を備えたものである。配線部135(135A)の材質としては、導電性の面、コスト面から銅を主材とするものが用いられるのが通常で、導電性層130としては、無電解めっき層131をニッケル層、電解めっき層132を銅層を主材とし、ニッケル層、銅層からなるものが挙げられるが、これに限定はされない。ベース基材110としては、配線部135(135A)やビアホール136を形成する材質と熱膨張係数が近いものが好ましく、ステンレス材が挙げられる。ステンレス材の熱膨張係数は、ほぼ17ppmと銅に近い。絶縁性の樹脂層120としては、例えば、天然系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキッド樹脂、マレイン化油系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂等が挙げられる。特に、絶縁性、化学的安定性、強度等からポリイミド樹脂であることが好ましい。
【0021】ここで、本例の配線部材100、105の使用方法を簡単に説明しておく。本例の配線部材100、105は、図2(a)に示すように、絶縁性樹脂シート150を両者の間に挟むようにして、且つ、両者を位置合わせして、加圧して、積層して、図2(b)に示すような配線層を2層とする配線基板170を形成することができる。配線基板100の配線部135はビアホール136を介して配線基板105の配線135Aに電気的に接続される。このようにして、更に別の配線基板(配線基板100、105と同様の配線基板)を170の上およびまたは下に積層することにより、更に配線層を増やした多層の配線基板を得ることができる。このようにして、本例の配線部材は多層配線基板を作製する際に用いられる。尚、本例の配線基板においては、ビアホール136の配線部(135、135A)側でない端子137がめっきにより突出したものである。
【0022】次に、配線基板100の製造方法を図4に基づいて説明しておく。尚、これを以て、本発明の配線基板の製造方法の実施の形態の1例の説明とする。まず、ステンレス等からなる基材110A(図4(a))に所定の孔115を開け、配線基板形成用のベース基板110を得る。(図4(b))
孔115の形成方法は、エッチング加工、プレス加工、めっき加工法等の機械加工により行う。次いで、ベース基板110の表面部に、樹脂層120を形成する。(図4(c))
樹脂層120の機械的強度、安定性の面から、ポリイミド樹脂が選択される。そして、形成された樹脂層を、必要に応じて、乾燥、あるいは熱処理を施して樹脂層120を形成する。尚、樹脂層形成工程における、絶縁性も樹脂層形成には、塗布、ラミネート、印刷、その他公知のさまざまな手法が用いることができるが、必要に応じ、レジスト製版、エッチング、レーザ加工等による余分の樹脂部の除去も行なう。
【0023】次いで、樹脂層120の表面を、ウエットブラスト法により、所望の粗度に調整する。前にも述べたように、ここでは、ウエットブラスト処理とは、アルミナビーズ(#150〜#1200程度)、球状シリカ砥材(粒径20μm程度)の砥粒等を、水等に混ぜ、樹脂層120の面に吹きつけて、機械的に表面粗度を調整する処理のことである。表面粗度の調整は、無電解めっき(ニッケルめっき)をして、めっき層の十分な密着性を得るためのもので、中心線平均粗さRaで0.1μm〜5μmの範囲に調整する。無電解めっきとしては、成膜が比較的簡易で安定という理由から、無電解めっきニッケルめっきが挙げられる。
【0024】樹脂層120の表面粗度を調整した後、無電解めっき処理(ニッケルめっき)を施し、その表面部に無電解めっき層(ニッケルめっき層)を形成する。無電解めっきは、触媒にて活性化処理を行った後、所定のめっき液にて行う。
【0025】無電解めっき処理工程の後、導電性の基材の両面の、無電解めっき層上に、形成する配線部領域、導電性の基材の孔部を含む領域を開口した耐めっき性のレジスト180を設ける。(図4(e))
レジスト180としては、所望の解像性があり、耐めっき性があり、処理性の良いものであれば特に限定はされない。次いで、レジスト180の開口185から露出した無電解めっき層131上に電解めっきにより電解めっき132を形成する。(図4(f))
無電解めっきとして、無電解めっきニッケルめっきを行った場合には、例えば、電解ニッケルめっき、電解銅めっきの順に電解めっきを行う。電解銅めっき層は、導電性、コスト面から主材とするもので、電解ニッケルめっき層は、無電解ニッケルめっき層と電解銅めっきとの密着性の面から行う。尚、電解銅めっき層、電解ニッケルめっき層を形成する際の、それぞれののめっき浴、めっき条件としては、公知のものが適用できる。この後、レジスト180を剥離し、必要に応じて、洗浄、乾燥処理等を施す。(図4(g))
更に、露出している無電解ニッケルめっき層を専用の剥離液で除去し、ウエットブラスト処理を両面に行い、残留した触媒を除去して、配線基板100を得る。(図4(h))
【0026】本例では、電解めっきにより、配線部135形成側と反対側のビアホール136の端子面(端子137)を外側に突出させているが、必ずしも、電解めっきにより突出させる必要はない。半田ボール等を端子面に付けて突出させても良い。この場合、電解めっきは一面側(配線135形成側)からのみでも良く、電解めっき領域をきめるレジストの製版はベース基材110の一面側のみで、他面側を押さえ用の基材で覆っても良い。
【0027】次に、本発明の電子部材の実施の形態の第2の例として、半導体装置用の配線基板を挙げる。図3に基づいて説明する。図3(a)に示す配線基板200も、第1の例の配線基板と同様、導電性の基材110Bは、絶縁性の樹脂層120Bにより被膜され、更に、樹脂層の表面部の一部に、無電解めっき層131B、電解めっき層132Bからなる導電性層130Bで配線部135Bを設け、且つ、基材の孔部115Bを無電解めっき層131B、電解めっき層132Bからなる導電性層130Bで埋めるようにに設けられたビアホール136Bを備えたものであるが、その適用を外部端子を二次元的に配置する半導体装置用の配線基板としたものである。本例の場合、ビアホール136Bの端子部137Bは、外部回路と接続するためのもので、二次元的に配列されている。図3(b)は、図3(a)に示す配線基板を用いた半導体装置210の断面図である。図3(b)に示す半導体装置210においては、ビアホール136Bの端子部137Bは、電解めっき層132B上に半田ボールを設けている。半導体素子211は、その端子部212を介して、配線部135Bと電気的に接続されている。配線部135Bを基材110B側から、無電解ニッケルメッキ層、電解ニッケル層、電解銅めっき層、電解ニッケルめっき層、電解金めっき層とし、最表層を金めっき層とすることにより、半導体素子211の端子と金−金共晶で接合できる。場合によっては、最表層を錫層として、金−錫共晶で接合することもできる。
【0028】本例の配線基板の製造方法における電解めっきは、第1の例と同様に行うことができるが、本例の場合、第1の例のように、配線部135B形成側と反対側のビアホールの端子面を外側に突出させる必要はないので(半田ボールを付けて半導体装置の端子とするため)、電解めっき領域をきめるレジストの製版をベース基材110Bの一面側のみに施し、他面側を押さえ用の基材で覆って、一面側から行っても良い。
【0029】次に、本発明の電子部材の実施の形態の第3の例を図5に挙げて説明する。本例は、エッチング加工あるいはプレス加工により外形加工されたリードフレームに対して、その表面部に絶縁性の樹脂層420を設けた、更に、リードの樹脂層420の一部に配線430を設けたものである。図5(a)はインナーリード先端部の上面を示したもので、図5(b)はその一断面を示したものであり、411、431はワイヤボンディング部である。このようにすることにより、リードの本数を増やすことができ(多ピンと同等)、各リード(インナーリード410)は、樹脂層に覆われ、ノイズの影響が受けにくい。本例の製造は、外形加工後に、第1の例と、同様に、樹脂層430を形成し、この上に無電解めっき層を形成した後、レジスト製版を行い、電解めっきを施すことにより、配線層430、樹脂層420を形成出来る。各部の材質については、第1の例、第2の例と同様なものが使用できる。ワイヤボンディング部411の露出はレーザ照射により行うことができる。
【0030】次に、本発明の電子部材の実施の形態の第4の例を図6に挙げて説明する。本例は、エッチング加工あるいはプレス加工により外形加工した断面が四角状のピン500の端面505を、接続端子とするもので、ピン500は、その断面を図6(c)に示すように、基材510の表面部に樹脂層520を設け、更に、その表面を無電解めっき層と電解めっき層をこの順に設けて形成された導電性層530で覆っているものである。図6(a)に示すように、ピン500は封止用樹脂540等により固定され、その端面側を端子部として、所定の接続用端子として用いられる。この作製は、例えば、ピン500を多数、エッチングして外形加工した後、これを束ね、ピン部分全体を樹脂封止し、更に両側を切断まては研磨することにより作製できる。尚、形状はこれに限定はされない。ピン500の端面505の配列は、図6(b)のように二次元的に配列される。各部の材質については、第1の例、第2の例と同様なものが使用できる。
【0031】次に、本発明の電子部材の実施の形態の第5の例の配線部材を図8(h)に挙げて説明する。本例の配線部材は、外形加工、孔開け加工された絶縁性の樹脂層からなる基材をベース基材810とする電子部材で、ベース基材810の一方面に無電解めっき層841、電解めっき層842からなる導電性層840の配線を設け、更に、ベース基材810の他方面にエッチング形成された金属層820からなる配線を設け、且つ、導電性層840の配線と、エッチング形成された金属層820とを絶縁性の樹脂層の貫通孔部に設けられた導電性層840を介して接続しているものである。本例の配線部材は、半導体装置用基板や、各種インターポーザ等として使用することができる。本例の場合も、絶縁性の樹脂層としては、例えば、天然系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキッド樹脂、マレイン化油系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂等が挙げられるが、特に、絶縁性、化学的安定性、強度等からポリイミド樹脂であることが好ましい。金属層820としては、導電性、コストの面から、銅単層あるいは銅を主体とするものが好ましいがこれに限定はされない。
【0032】次いで、本例の配線部材の製造方法の1例を図8に基づいて簡単に説明する。先ず、絶縁性の基材810Aの一面に金属層820を配設した積層材を用意し(図8(a))、フォトリソ技術を用いたエッチング加工により、絶縁性の基材810Aに所定の外形加工、孔開け加工を施し、ベース基材810を形成する。(図8(b))
次いで、ベース基材810側表面部にウエットブラスト処理を施した(図8(c))後、ベース基材810側表面部に無電解めっきを施し、無電解めっき層841を形成する。(図8(d))
次いで、無電解めっき層841上に形成する配線形状に合せた開口を有するレジスト850を形成した(図8(e))後、無電解めっき層841を給電層として、レジストの開口部に電解めっきを施し、電解めっき層842を形成する。(図8(f))
次いで、レジスト850を除去した(図8(g))後、ソフトエッチングにより、配線840を傷めないように、露出した無電解めっき層841のみを除去し、目的とする配線部材を形成する。(図8(h))
【0033】次に、本発明の電子部材の実施の形態の第6の例の配線部材を図9(h)に挙げて説明する。本例の配線部材は、外形加工、孔開け加工された絶縁性の樹脂からなる基材をベース基材910とする電子部材で、ベース基材910の両面に無電解めっき層941を設け、更にベース基材910の一面側に電解めっき層942からなる導電性層940の配線を設け、且つ、電解めっき層942にてベース基材910の貫通孔部を充填し、配線形成側とは反対側に突き出る電解めっき層942からなる端子部947を設けたものである。本例の配線部材は、エリアアレイタイプの半導体装置用基板や、各種インターポーザ、多層基板用部材等として使用することができる。本例の場合も、絶縁性の樹脂としては、例えば、天然系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アルキッド樹脂、マレイン化油系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂等が挙げられるが、特に、絶縁性、化学的安定性、強度等からポリイミド樹脂であることが好ましい。
【0034】次いで、本例の配線部材の製造方法の1例を図9に基づいて簡単に説明する。先ず、絶縁性の基材910Aを用意し(図9(a))、フォトリソ技術を用いたエッチング加工により、絶縁性の基材910Aに所定の外形加工、孔開け加工を施し、ベース基材910を形成する。(図9(b))
次いで、ベース基材910の両表面部にウエットブラスト処理930を施した(図9(c))後、ベース基材910の両表面部に無電解めっきを施し、無電解めっき層941を形成する。(図9(d))
尚、図9(c)では、ウエットブラスト処理930をベース基材910の片面側から施す図を示してあるが、ベース基材910の向きを替え両面にウエットブラスト処理930を施す。次いで、無電解めっき層941上に形成する配線形状、端子形状に合せた開口を有するレジスト950を形成した(図9(e))後、無電解めっき層941を給電層として、レジストの開口部に電解めっきを施し、電解めっき層942を形成する。(図9(f))
次いで、レジスト950を除去した(図9(g))後、ソフトッチングにより、配線940、端子937を傷めないように、露出した無電解めっき層941のみを除去し、目的とする配線部材を形成する。(図9(h))
【0035】
【実施例】(実施例1)実施例1は、図1に示す、多層配線基板作製用の配線基板100、105を、図4に示す製造方法により作製したものである。ここでは、配線基板100の作製のみを図1、図4に基づいて説明する。厚さ0.1mmのステンレス基材110A(図4(a))を、エッチング加工にて、所定の形状に、且つ所定の位置に所望の貫通孔(115)を設けたベース基板110を用意しておく。(図4(b))
エッチング加工は、重クロム酸カリウムを感光剤とするカゼインレジストを用い、ステンレス基材110Aの両面を覆った後、これを所定のパターン版を用い、高圧水銀灯で所定の領域のみ露光し、現像し、硬膜処理、乾燥等を経て、所定形状のレジストパターンを形成した後、レジストの開口部に、塩化第二鉄溶液(41ボーメ)を吹き付けて、外形加工と孔開け加工を行ったものである。次いで、洗浄処理等を経て、ベース基板110の表面に、厚さ12μmのポリイミドフィルム(カネッカ製、アピカリ)に4μmの厚みでポリイミドワニス(三井化学製、PAA)を塗布したフィルムをベース基板にラミネートした。さらに、両面にポリイミドワニスをコーティング、乾燥したのち、余分な樹脂を取り除くために、ドライフィルムを両面に設け、製版を行い、熱アルカリでウェットエッチングを行なった。
【0036】次いで、以下のウエットブラスト処理条件により、ウエットブラスト処理を行い、樹脂層120の表面を中心線平均粗さRaが1μmとなるように調整した。
(ウエットブラスト処理条件)
使用砥材 アルミナビーズ #1000砥材濃度 20%ポンプ圧力 2.0kg/cm2エアー圧力 2.0kg/cm2処理速度 15mm/sec投射距離 20mm投射角度 90°
【0037】洗浄処理を施した後、表面粗度を調整された樹脂層120の表面部に以下■〜■のようにして、無電解ニッケルめっきを行い厚さ0.3μmのニッケル層を得た。(図4(d))
■ センシタイザーS−10X、5%水溶液(上村工業製)、浸漬3分■ アクチベータA−10X、5%水溶液(上村工業製)、浸漬3分■ 無電解Niめっき、NPR−4(上村工業製)、80°C、浸漬1分
【0038】次いで、耐めっき性のレジスト、PMER AR−900(東京応化株式会社製)を用い、レジスト製版をベース基板の両面に施し、所定の形状に開口部185を有するレジストパターン180を得た。(図4(e))
配線部を形成するための領域と、ビアホールとその端子を形成するための領域のみを開口185とした。製版条件は以下の通りであった。
■ 塗布 ディップコート、膜厚15μm■ プリベーク 85°C、30分■ 露光 200カウント■ 現像 5分■ リンス 5分
【0039】次いで、レジストパターンの開口から露出した無電解めっき層(ニッケルめっき層)131上に、下記のめっき条件にて、電解ニッケルめっきを施し、1μmの厚さの電解めっき層を形成し、更にその上に、下記の条件にて、電解銅めっきを施し、10μmの厚さの銅めっき層を形成し、無電解めっき層131と電解めっき層132とからなる導電性層130を得た。(図4(f))
(ニッケルめっき条件)
・ニッケルめっき浴組成 硫酸ニッケル 280g/l 塩化ニッケル 45g/l 硫酸 34g/l pH 2.2〜5.5 温度 50°C 電流密度 5分間 5A/dm2 (硫酸銅めっき浴の組成)
CuSo4 ・5H2 O 200g/l H2 So4 50g/l HCl 0.15ml/l (Clとして60ppm)
電流密度 12分間 4A/dm2
【0040】この後、レジスト180を所定の剥離液(アセトン)にて剥離して、洗浄処理等を施した。(図4(g))
【0041】次いで、無電解ニッケルめっき層をニムデンリップC−11により剥離した後、両面、0.5Kg/cm2 のエアー圧で、ウエットブラスト処理を行い、表面に吸着している、触媒層を除去した。再度、無電解めっきを施し、触媒の残留の有無を確認したところ、残留は見られなかった。配線のピール強度を(アークテック社製、BT2400)により、500μm/secの速度で90°剥離させたところ、平均6g/100μmの引張強度が得られた。
【0042】次いで、露出した無電解ニッケルめっき層を、エッチング液で除去し、所望の配線基板100を得た(図4(h))
同様にして、所望の配線基板105も得た。
【0043】更に、得られた配線基板100、105を絶縁シート(プリプレグ)を用い、図2(a)に示すように重ね、位置合わせした後、真空型加熱加圧プレスを用いて、170°C、40Kg/cm2 (樹脂圧)でプレスし積層体化して、多層配線基板170を得た。(図2(b))
配線135と配線135Aとの接続を確認したが、特に異常は見られず、所望の多層配線基板170が得られた。
【0044】(実施例2〜実施例5)実施例1において、無電解ニッケルめっきを行うためのウエットブラスト条件を変えて、種々の樹脂層の粗さを得て、無電解めっきを行い配線を形成した結果、以下の表1のようになった。尚、ウエットブラスト条件と、これに対応する樹脂層の粗さ以外は、実施例1のように行った。ウエットブラスト液は実施例1と同じものを使用した。ピール強度の測定も実施例1と同様に行った。
【0045】
【表1】


【0046】これより、ウエットブラスト処理により、樹脂層の中心線平均粗さ0.1〜5μmの範囲に制御することにより、配線基板への配線形成が可能であることが分かった。
【0047】尚、参考として、市販のユーピレックスを用いて、ウエットブラスト処理を同様にして行い、その表面粗さと、ピール強度を確認した結果、表2に示すようになった。ウエットブラスト液は実施例1と同じものを使用した。ピール強度の測定も実施例1と同様に行った。
【0048】
【表2】


【0049】これより、ユーピレックスを配線用基板に塗布して用いた場合にも、その上への配線形成は、上記実施例1と同様可能と判断される。
【0050】(実施例6)実施例6は、実施例1における樹脂層の形成に代え、以下のようにして、ベース基材の表面に絶縁性の樹脂層を形成したものである。他の各処理は実施例1と同じである。下記のポリイミドワニスを、ベース基材の両面からスクリーン印刷し、温度250℃で60分間熱処理して、ベース基材の表裏を覆い、所定の貫通孔部を埋めるように、ポリイミド層からなる絶縁性の樹脂層を形成し、更に、前記所定の貫通孔部をレーザ光(YAGレーザ光)にて、孔部壁面を絶縁性の樹脂層が覆うようにして、且つ孔開けして、図4(c)に示すようにベース基材の表面に絶縁性の樹脂層を形成した。尚、ウエットブラストによる絶縁性の樹脂層の中心線平均粗さはRa=0. 2μmとした。その他については実施例1と同様に各処理を行なった。
ポリイミド印刷ワニス セントラル硝子製 FPP−3010作製された配線部材については、実施例1と同様、良好なピール強度判定(配線状態○)が得られた。
【0051】(実施例7)実施例7は、図8(h)に示す配線部材を作製した例で、厚さ25μmのポリイミドフィルムの一面に、厚さ18μmの銅箔を積層した基材(株式会社東レ製、銅貼りポリイミドフィルム)を用い、配線部材を形成したものである。図8に基づいて説明する。先ず、上記ポリイミドフィルムからなる絶縁性の基材810Aの一面に銅層からなる金属層820を配設した積層基材を用意し(図8(a))、その絶縁性の基材810Aに対し、レジスト製版によるエッチング加工を行い、所定の外形加工、孔開け加工を施し、ベース基材810を形成した。(図8(b))
レジストとしては、AX−110−40(旭化成株式会社製)を用い、エッチング液としては、熱アルカリ(80℃、5%水酸化ナトリウム)を用いた。次いで、実施例1と同様に、ベース基材810側表面部にウエットブラスト処理を施した(図8(c))後、ベース基材810側表面部に無電解めっきを施し、無電解めっき層841を形成した。(図8(d))
本例では、ウエットブラストによる絶縁性の樹脂層の中心線平均粗さRaは0. 15μmとした。無電解めっき条件は実施例1と同じとした。次いで、形成する配線に合せた開口を有するレジスト850(PMER AR−900(東京応化株式会社製)を厚さ20μmに無電解めっき層上に形成した(図8(e))後、電解めっきを行い、無電解メッキ層841上に電解めっき層842を形成した。(図8(f))
電解めっきも実施例1と同様に行い、1μmの厚さの電解ニッケルめっき層を下引きとし、その上に、10μmの厚さの電解銅めっき層を形成した。尚、実施3例では、レジスト850の塗布は実施例1と同様にディッピングにて行い、金属層820表面はレジスト850で覆ったまま電解めっきを行なった。次いで、レジスト850を所定液で剥離除去した後、耐エッチング性のレジストとして、ドライフィルムレジストAX110、30μm厚(旭化成工業製)をその両面に配設し、金属層820側を形成する配線にあわせた開口を有するレジストとし、反対側(電解めっき層842側)を覆った状態として、塩化第二鉄液でエッチングを行い、レジストの下記項から露出している金属層を除去し、配線を形成した。(図8(g))
次いで、耐エッチング性のレジストを所定液で除去し、目的とする配線部材を得た。(図8(h))
作製された配線部材の電解めっき層842を含む配線については、実施例1と同様、良好なピール強度判定(配線状態○)が得られた。
【0052】(実施例8)実施例8は、図9(h)に示す配線部材を作製した例で、厚さ25μmのポリイミドフィルム(カネカ製、アピカル)の両面に三井化学製、PAAを4μmの厚みで、それぞれ塗布し、250℃、60分乾燥した基材910Aを用い、配線部材を形成したものである。図9に基づいて説明する。先ず、上記絶縁性の基材910Aを用意し(図9(a))、実施例7と同様にして、その絶縁性の基材910Aに対し、レジスト製版によるエッチング加工を行い、所定の外形加工、孔開け加工を施し、ベース基材810を形成した。(図9(b))
図9(b)が図4(c)に対応するもので、以下、実施例1と同様にして、各処理を行い、図9(h)に示す配線部材を形成した。ウエットブラスト処理によるベース基材910の表面を中心線平均粗さRaは実施例とほぼ同じ約1μmとなった。作製された配線部材については、実施例1と同様、良好なピール強度判定(配線状態○)が得られた。
【0053】
【発明の効果】本発明は、上記のように、第1には、半導体周辺部材である電子部材において、配線の高精細化を可能とするとともに、低ノイズ化、あるいは高放熱性の電子部材の提供を可能とした。そして、第2には、多層配線を比較的に簡単にできる電子部材の提供を可能とした。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子部材の実施の形態の第1の例の、多層配線基板作製用の配線基板示した一部断面図
【図2】多層配線基板の作製を説明するための断面図
【図3】図3(a)は本発明の電子部材の実施の形態の第2の例の半導体装置用の配線基板を示した断面図で、図3(b)は半導体装置の断面図である。
【図4】第1の例の配線基板の製造するための工程断面図
【図5】本発明の電子部材の実施の形態の第3の例のリードフレームの、インナーリード先端部の図
【図6】本発明の電子部材の実施の形態の第4の例の接続用ピンを説明するための図
【図7】ビルトアップ基板の一部断面図
【図8】図8(h)は本発明の電子部材の実施の形態の第7の例の配線部材を示した一部断面図で、図8(a)〜図8(h)はその工程断面図である。
【図9】図9(h)は本発明の電子部材の実施の形態の第8の例の配線部材を示した一部断面図で、図9(a)〜図9(h)はその工程断面図である。
【符号の説明】
100、105 配線基板
110、110B ベース基材(単に基材ともう言う)
110A 基材
115、115B 基材の孔部
120、120B 樹脂層
130、130B 導電性層
131、131B 無電解めっき層
132、132B 電解めっき層
135、135A、135B 配線部
136、136B ビアホール
137、137B 端子部
150 絶縁性樹脂シート
170 多層配線基板
180 レジスト
185 開口
210 配線基板
211 半導体素子
212 端子部
410 インナーリード
411 ワイヤボンディング面
420 樹脂層
430 配線(リード)
500 ピン
505 端面
510 ベース基材(基材)
520 樹脂層
530 導電性層
540 封止用樹脂
810 ベース基材
810A 基材
820 金属層
830 ウエットブラスト
840 導電性層
841 無電解めっき層
842 電解めっき層
850 レジスト
910 ベース基材
910A 基材
920 金属層
930 ウエットブラスト
940 導電性層
941 無電解めっき層
942 電解めっき層
950 レジスト
936 ビアホール
937 端子部

【特許請求の範囲】
【請求項1】 外形加工あるいは孔開け加工され、且つ表面部が絶縁性の樹脂からなる基材をベース基材とする電子部材であって、前記絶縁性の樹脂の表面部の全面にあるいは一部に、無電解めっき層、電解めっき層からなる導電性層を設けていることを特徴とする電子部材。
【請求項2】 エッチング加工法、プレス加工法、めっき加工法等により、外形加工あるいは孔開け加工された導電性の基材をベース基材とする電子部材であって、導電性の基材は、絶縁性の樹脂層により被膜され、更に、樹脂層の表面部の全面にあるいは一部に、無電解めっき層、電解めっき層からなる導電性層を設けていることを特徴とする電子部材。
【請求項3】 請求項1の絶縁性の樹脂、あるいは請求項2における絶縁性の樹脂層の、無電解めっき層と接する面は、その表面粗度をウエットブラスト処理により調整されていることを特徴とする電子部材。
【請求項4】 請求項3において、調整された表面粗度が、中心線平均粗さRaで0.1μm〜5μmの範囲であることを特徴とする電子部材。
【請求項5】 請求項1ないし4において、半導体装置用リードフレーム、半導体装置用基板、各種接続端子部の1つを形成するための電子部材であることを特徴とする電子部材。
【請求項6】 外形加工あるいは孔開け加工され、且つ表面部が絶縁性の樹脂からなる基材をベース基材とする電子部材で、前記絶縁性の樹脂の表面部の全面にあるいは一部に、無電解めっき層、電解めっき層からなる導電性層を設けている電子部材を、製造するための電子部材の製造方法であって、(A)絶縁性の樹脂の表面粗度を調整するウエットブラスト処理を施す、ウエットブラスト処理工程と、(B)基材の表面部に、無電解めっきを施し、無電解めっき層を形成する無電解めっき処理工程と、(C)無電解めっき層上全面にあるいは一部に電解めっきにより電解めっき層を形成する電解めっき処理工程とを有することを特徴とする電子部材の製造方法。
【請求項7】 エッチング加工法、プレス加工法、めっき加工法等により、外形加工あるいは孔開け加工された導電性の基材をベース基材とする電子部材で、導電性の基材は、絶縁性の樹脂層により被膜され、更に、樹脂層の表面部の全面にあるいは一部に、無電解めっき層、電解めっき層からなる導電性層を設けている電子部材を、製造するための電子部材の製造方法であって、(a)エッチング加工法、プレス加工法、めっき加工法等により、外形加工あるいは孔開け加工された導電性の基材の表面部に、絶縁性の樹脂層を形成する樹脂層形成工程と、(b)導電性の基材の表面部に形成された樹脂層の表面粗度を調整するウエットブラスト処理を施す、ウエットブラスト処理工程と、(c)絶縁性の樹脂層により被膜された導電性の基材の表面部に、無電解めっきを施し、無電解めっき層を形成する無電解めっき処理工程と、(d)無電解めっき層上全面にあるいは一部に電解めっきにより電解めっき層を形成する電解めっき処理工程とを有することを特徴とする電子部材の製造方法。
【請求項8】 請求項6ないし7において、無電解めっき処理工程の後、導電性の基材の、無電解めっき層上に所定領域を開口した耐めっき性のレジストを設けるレジストパターニング工程と、レジストの開口から露出した無電解めっき層上に電解めっきを施す、電解めっき処理工程と、レジストを剥離するレジスト剥離工程と、露出している無電解めっき層をエッチング除去するエッチング工程とを行うことを特徴とする電子部材の製造方法。
【請求項9】 請求項8において、孔開け加工された導電性の基材をベース基材とし、基材を被膜する樹脂層の表面部の一部に、無電解めっき層、電解めっき層からなる導電性層を配線とする配線部を設けている配線基板を形成するもので、無電解めっき処理工程の後、導電性の基材の、無電解めっき層上に、形成する配線部領域、導電性の基材の孔部を含む領域を開口した耐めっき性のレジストを設けるレジストパターニング工程と、レジストの開口から露出した無電解めっき層上に電解めっきを施し、基材の孔部を埋める電解めっき処理を施す電解めっき処理工程と、レジストを剥離するレジスト剥離工程と、露出している無電解めっき層をエッチング除去するエッチング工程とを行うことを特徴とする電子部材の製造方法。
【請求項10】 請求項9において、配線基板は、孔部の無電解めっきと電解めっきからなる導電性層をビアホールとして、該配線基板同志を複数層積層するための、多層配線基板作製用の配線基板であることを特徴とする電子部材の製造方法。
【請求項11】 請求項9において、配線基板は、配線部形成側と反対側の、孔部の無電解めっきと電解めっきからなる導電性層形成部分を外部端子とする半導体装置用配線基板であることを特徴とする電子部材の製造方法。
【請求項12】 請求項6ないし11において、ウエットブラスト処理は、請求項6あるいは8の絶縁性の樹脂、あるいは請求項7ないし11における絶縁性の樹脂層の表面粗度を、中心線平均粗さRaで0.1μm〜5μmの範囲に調整するものであることを特徴とする電子部材の製造方法。
【請求項13】 請求項8ないし12において、露出している無電解めっき層をエッチング除去するエッチング工程の後に、更に、ウエットブラスト処理を施すことを特徴とする電子部材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2001−85567(P2001−85567A)
【公開日】平成13年3月30日(2001.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−208458(P2000−208458)
【出願日】平成12年7月10日(2000.7.10)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)