説明

電子鍵盤楽器のハンマー

【課題】錘をハンマー本体にしっかりと取り付けることができ、両者によるハンマーの組立に加えて、分解も容易に行うことができる電子鍵盤楽器のハンマーを提供する。
【解決手段】左右方向の一方に開放する錘取付け部27を有するハンマー本体24と、被取付け部29を介してハンマー本体24に着脱自在に取り付けられた錘25と、を備え、ハンマー本体24の錘取付け部27は、錘25の被取付け部29と相補的な形状を有する開口部28と、被取付け部29を、開口部28を介して嵌め込まれる嵌込み位置と、嵌込み位置から左右方向と異なる方向にずれた固定位置との間で、スライド可能に収容する収容部35と、被取付け部29が固定位置に位置するときに、被取付け部29を開口部28から脱離不能に係止する係止部36b〜39bと、被取付け部29を嵌込み位置へスライド不能に保持するための保持部41、42と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ピアノなどの電子鍵盤楽器に鍵ごとに設けられ、押鍵時に鍵にタッチ重さを付与するための電子鍵盤楽器のハンマーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子ピアノのハンマーとして、特許文献1に開示されたものが知られている。このハンマーは、鍵盤を支持する鍵盤シャーシに、鍵ごとに回動自在に取り付けられており、押鍵された鍵に連動して回動することにより、その鍵に所定のタッチ重さを付与する。これにより、電子ピアノにおいて、アコースティックピアノに近似したタッチ感が得られる。
【0003】
上記のハンマーは、対応する鍵の下方に配置されており、鍵の長さ方向に沿って延びる金属製のハンマー本体と、このハンマー本体の側面に装着され、鍵盤シャーシに回動自在に支持された合成樹脂製のハンマーホルダとを備えている。ハンマー本体は、所定形状の金属板で構成されており、具体的には、前端部の側面形状が後方に開放するコ字状に形成され、後端部の側面形状が比較的大きな三角形状に形成されている。
【0004】
一方、ハンマーホルダは、所定形状の成形品で構成されており、ハンマー本体の前端部に装着されている。具体的には、このハンマーホルダは、ハンマー本体に装着された状態において、その前端部のコ字状の内側に軸受部を有するとともに、その上下においてハンマー本体に装着される装着部を有している。この装着部は、ハンマー本体の装着すべき部位の側面形状に対応するように形成された本体部と、この本体部の上下の縁部に沿うように設けられた鍔部とにより、断面コ字状に形成されており、各鍔部の本体部と反対側の端部には、ハンマー本体を、その厚さ方向に本体部とで挟み込むための複数の挟み片が設けられている。また、本体部には、装着部の内方に突出する係合部が設けられており、この係合部が、ハンマー本体の所定位置に形成された係止孔に係合することにより、ハンマー本体に対するハンマーホルダのずれやがたつきが抑制されるようになっている。
【0005】
このように構成されたハンマーホルダは、次のようにして、ハンマー本体に装着される。すなわち、ハンマーホルダの本体部を、ハンマー本体の装着すべき部位に合わせて、ハンマー本体側に押圧する。この場合、ハンマーホルダの各挟み片は、ハンマー本体の幅方向(上下方向)に押し広げられ、ハンマー本体の上下の縁部を乗り越えることにより、ハンマー本体を間にした状態で、本体部と反対側に達する。これにより、ハンマーホルダは、本体部と各挟み片とによって、ハンマー本体をその厚さ方向に挟んだ状態で、ハンマー本体に装着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−3495号公報([0029]、図1、3〜5)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、このハンマーでは、その組立時に、ハンマーホルダの各挟み片を押し広げながら、ハンマーホルダをハンマー本体に装着するので、ハンマーホルダ自体が比較的硬質の合成樹脂材料で構成されている場合には、比較的大きな押圧力が必要となる。また、上記のハンマーを備えた電子ピアノを廃棄処分する際に、ハンマーを分解し、金属製のハンマー本体と合成樹脂製のハンマーホルダとに分別する場合、両者を上記と逆の手順で分解しようとすると、その作業が非常に煩雑である。以上のように、上記のハンマーでは、ハンマー本体およびハンマーホルダによるハンマーの組立および分解作業が煩雑である。また、ハンマー本体およびハンマーホルダの製造上の不可避的な寸法誤差などにより、ハンマー本体とハンマーホルダの装着部の内面との間に隙間が生じるおそれがあり、この場合には、押鍵に伴うハンマーの回動時に、がたつきが生じたり、それによる雑音が発生したりすることがある。
【0008】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、ハンマー本体と錘を備えたハンマーにおいて、錘をハンマー本体にしっかりと取り付けることができ、また、両者によるハンマーの組立に加えて、分解も容易に行うことができる電子鍵盤楽器のハンマーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、押鍵された鍵と連動して回動することにより、鍵にタッチ重さを付与する電子鍵盤楽器のハンマーであって、樹脂成形品で構成され、前後方向に延びる錘取付け部を有するハンマー本体と、このハンマー本体よりも比重の大きな材料で構成され、錘取付け部に取り付けられる被取付け部を有し、被取付け部を介して前記ハンマー本体に着脱自在に取り付けられた錘と、を備え、ハンマー本体の錘取付け部は、左右方向の一方に開放し、錘の被取付け部と相補的な形状を有する開口部と、この開口部に連なり、被取付け部を、開口部を介して嵌め込まれる嵌込み位置と、この嵌込み位置から左右方向と異なる方向にずれた固定位置との間で、スライド可能に収容する収容部と、開口部の周縁部に設けられ、被取付け部が固定位置に位置するときに、被取付け部を開口部から脱離不能に係止する係止部と、被取付け部が固定位置に位置するときに、被取付け部を嵌込み位置へスライド不能に保持するための保持部と、を有していることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、樹脂成形品で構成されたハンマー本体が、前後方向に延びる錘取付け部を有する一方、ハンマー本体よりも比重の大きな材料で構成された錘が、ハンマー本体の錘取付け部に取り付けられる被取付け部を有している。また、ハンマー本体の錘取付け部は、左右方向の一方に開放し、錘の被取付け部と相補的な形状の開口部を有していて、この開口部に収容部が連なっている。この収容部は、錘の被取付け部を、開口部を介して嵌め込まれる嵌込み位置と、この嵌込み位置から左右方向と異なる方向にずれた固定位置との間でスライド可能に収容するように構成されている。
【0011】
ハンマーの組立時にはまず、錘の被取付け部を、ハンマー本体の開口部を介して、収容部に嵌め込む。そして、嵌込み位置の被取付け部を固定位置にスライドさせる。これにより、固定位置の被取付け部が、ハンマー本体の開口部の周縁部に設けられた係止部によって係止され、開口部から離脱不能な状態になる。また、この被取付け部は、保持部によって、嵌込み位置へスライド不能に保持される。以上のように、簡単な作業によって、ハンマーを容易に組み立てることができ、錘をハンマー本体にしっかりと取り付けることができる。また、ハンマーをハンマー本体と錘に分解する場合には、保持部による被取付け部の保持を解除しながら、または解除してから、固定位置の被取付け部を嵌込み位置にスライドさせる。そして、錘の被取付け部を、ハンマー本体の錘取付け部から、その開口部を介して取り外す。このように、ハンマーの分解も、容易に行うことができる。
【0012】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の電子鍵盤楽器のハンマーにおいて、保持部は、被取付け部に係合し、被取付け部が固定位置に位置するときに被取付け部の嵌込み位置へのスライドを阻止するとともに、被取付け部に嵌込み位置への所定の大きさ以上の外力が作用したときに被取付け部の嵌込み位置へのスライドを許容するフックを有していることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、保持部が、錘の被取付け部に係合するフックを有しており、このフックにより、固定位置に位置する被取付け部の嵌込み位置へのスライドが阻止されるので、被取付け部を固定位置にしっかりと保持することができる。また、上記のフックは、固定位置に位置する被取付け部に嵌込み位置への所定の大きさ以上の外力が作用したときに、被取付け部の嵌込み位置へのスライドを許容する。したがって、ハンマーを分解する場合、錘の被取付け部に対し、上記の外力を作用させながら、被取付け部を嵌込み位置にスライドさせるだけで、錘をハンマー本体から容易に取り外すことができる。
【0014】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の電子鍵盤楽器のハンマーにおいて、保持部は、収容部の内面から内方に突出し、被取付け部に係合する係合凸部を、さらに有していることを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、保持部として、請求項2のフックに加えて、収容部の内面から内方に突出する係合凸部が、錘の被取付け部に係合することにより、その被取付け部を固定位置に、よりしっかりと保持することができる。
【0016】
請求項4に係る発明は、請求項2または3に記載の電子鍵盤楽器のハンマーにおいて、収容部の内面には、被取付け部に圧接し、被取付け部のがたつきを抑制するための突起が設けられていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、ハンマー本体の収容部の内面に設けられた突起が、錘の被取付け部に圧接する。例えば、被取付け部の表面と収容部の内面とが互いに面接触するように構成されている場合、製造上の不可避的な寸法誤差などによって、両者の間に隙間が生じると、ハンマーの回動時に、錘がハンマー本体に対してがたついてしまうおそれがある。したがって、上記の構成によれば、ハンマー本体に対する錘のがたつきを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態によるハンマーを備えた電子ピアノの鍵盤装置を示す側面図であり、(a)は離鍵状態、(b)は白鍵の押鍵状態を示す。
【図2】(a)はハンマーの側面図、(b)は、ハンマー本体の錘取付け部および錘の被取付け部を、互いに分離した状態で拡大して示す側面図である。
【図3】ハンマー本体から錘を取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】ハンマーの組立手順を説明するための説明図である。
【図5】(a)は、本発明の第2実施形態によるハンマーの側面図、(b)は、ハンマー本体の錘取付け部および錘の被取付け部を、互いに分離した状態で拡大して示す側面図である。
【図6】図5のハンマーの組立手順を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態によるハンマーを備えた電子ピアノの鍵盤装置を示している。同図に示すように、この鍵盤装置1は、鍵盤シャーシ2と、この鍵盤シャーシ2に回動自在に取り付けられた白鍵3aおよび黒鍵3bから成る複数(例えば88個)の鍵3と、鍵3ごとに鍵盤シャーシ2に回動自在に取り付けられた複数のハンマー4(1つのみ図示)などを備えている。
【0020】
なお、以下の説明ではまず、図1を参照して、鍵盤装置1の構成および動作の概略を説明し、その後で、ハンマー4の構成および組立方法について詳述するものとする。
【0021】
鍵盤シャーシ2は、所定の樹脂材料(例えばABS樹脂)を射出成形することなどにより、所定形状の樹脂成形品で構成されている。鍵盤シャーシ2の前部(図1の左部)11、中央部12および後部(図1の右部)13は、互いにリブ(図示せず)で連結された状態で一体に構成され、それぞれが左右方向(図1の表裏方向)に延びる前側取付けレール14、中央取付けレール15および後側取付けレール16を介して、電子ピアノの図示しない棚板上に固定されている。なお、以下の説明では、鍵盤シャーシ2の前部11、中央部12および後部13をそれぞれ、「シャーシ前部11」、「シャーシ中央部12」および「シャーシ後部13」と称呼するものとする。
【0022】
シャーシ前部11は、上下方向に貫通する左右2つの係合孔11a(図1では1つのみ図示)を一組とし、白鍵3aごとに設けられた複数組の係合孔11aを有しており、各組の左右の係合孔11aに、対応する白鍵3aの後述する左右の上限位置規制部21が貫通した状態で係合している。また、シャーシ前部11には、係合孔11aの前側の下縁部に、フェルトなどで構成された鍵ストッパ11bが取り付けられている。離鍵状態において、白鍵3aの上限位置規制部21が鍵ストッパ11bに下方から当接することで、白鍵3aの上限位置が規制される。さらに、シャーシ前部11には、白鍵3aごとに、その横振れを防止するための複数の前側ガイド部11c(図1では1つのみ図示)が立設されている。各前側ガイド部11cは、白鍵3aの内側の横幅(左右方向の幅)とほぼ同じ幅寸法を有していて、白鍵3aの内側に下方から挿入されている。
【0023】
シャーシ中央部12は、左右方向に延びる支軸12aを有しており、この支軸12aにハンマー4が回動自在に支持されている。また、シャーシ中央部12には、シャーシ前部11との間に、各鍵3の押鍵情報を検出するための鍵スイッチ17が取り付けられている。この鍵スイッチ17は、プリント基板17aと、このプリント基板17a上に鍵3ごとに取り付けられたゴムスイッチからなるスイッチ本体17bとで構成されている。そして、この鍵スイッチ17は、プリント基板17aの後端部がシャーシ中央部12に差し込まれるとともに、プリント基板17aの前端部がシャーシ前部13にねじ止めされた状態で、鍵盤シャーシ2に取り付けられている。
【0024】
シャーシ後部13は、鍵3の後端部に設けられた後述する支点軸23を支持することにより、この支点軸23を中心として、鍵3を回動自在に支持する鍵支持部13aを有している。また、鍵支持部13aの下面後端部には、フェルトなどで構成されたハンマーストッパ13bが取り付けられている。さらに、シャーシ後部13には、鍵支持部13aの前側に、鍵3の後端部の左右両側に配置され、鍵3の横振れを防止するための左右2つの後側ガイド部13c(図1では1つのみ図示)が立設されている。
【0025】
また、シャーシ後部13とシャーシ中央部12との間には、鍵3とハンマー4の間に、ほぼ水平な平板部18が設けられている。この平板部18の前端部には、黒鍵3bごとに、その横振れを防止するための複数の前側ガイド部18a(図1では1つのみ図示)が立設されている。各前側ガイド部18aは、白鍵3aの前記前側ガイド部11cと同様、対応する黒鍵3bの内側の横幅と同じ幅寸法を有し、黒鍵3bの内側に下方から挿入されている。
【0026】
なお、平板部18には、ハンマー4ごとに、平板部18の下面から斜め下前方に突出し、弾性材料で構成された複数のレットオフ部材19(図1では1つのみ図示)が取り付けられている。このレットオフ部材19は、押鍵に伴って回動するハンマー4が、その回動中に一時的に係合することにより、鍵3のタッチ感にレットオフ感を付与するものである。
【0027】
鍵3は、所定の樹脂材料(例えばASなど)を射出成形することなどにより、前後方向に延びるとともに、下方に開放する中空状に形成されている。白鍵3aの前端部には、左右の側壁から下方に延びかつその下端部が前方に屈曲するように形成された左右一対の上限位置規制部21、21(図1では1つのみ図示)が設けられており、前記シャーシ前部11の左右の係合孔11a、11aにそれぞれ貫通した状態で係合している。また、白鍵3aは、上限位置規制部21よりも後方の所定位置に、下方に突出するアクチュエータ部22を有しており、このアクチュエータ部22が、ハンマー4の後述する係合凹部26bに収容された状態で、これに係合している。さらに、鍵3の後端部には、左右方向に延びる支点軸23が設けられている。なお、黒鍵3bについては、白鍵3aの上限位置規制部21およびアクチュエータ部22に相当する部分が、黒鍵3bの前端部の下方に一体に設けられている。
【0028】
ハンマー4は、ハンマー本体24と、このハンマー本体24に着脱自在に取り付けられた錘25とで構成されている。ハンマー本体24は、所定の樹脂材料(例えばPOM(ポリアセタール)など)を射出成形することなどにより、所定形状の樹脂成形品で構成されている。このハンマー本体24は、前後方向に延び、その前半部(図1の左半部)26の所定位置に、側面形状が下方に開放するU字状の軸受部26aを有しており、この軸受部26aが、シャーシ中央部12の支軸12aに回動自在に係合している。また、ハンマー本体24の前半部26には、軸受部26aの前方に、鍵3のアクチュエータ部22に係合する係合凹部26bが設けられている。この係合凹部26bは、上方および前方に開放しており、鍵3のアクチュエータ部22の下端が係合凹部26b内の底面に当接した状態で、アクチュエータ部22の下部を収容している。さらに、ハンマー本体24の前半部26には、係合凹部26bの下方に、鍵スイッチ17のスイッチ本体17bを押圧するためのスイッチ押圧部26cが設けられている。
【0029】
ハンマー本体24の後半部である錘取付け部27は、右方(図1の表側)に開放する開口部28を有しており、この開口部28を介して、錘25がハンマー本体24に着脱自在に取り付けられている。また、ハンマー本体24の錘取付け部27の所定位置には、上方に突出し、押鍵時に、前記レットオフ部材19に係合する係合突起27aが設けられている。
【0030】
一方、錘25は、ハンマー本体24よりも比重の大きな材料(例えば鉄などの金属)で構成され、ハンマー本体24の厚さ(図1の表裏方向の厚さ)よりも薄い金属板をプレス加工することなどによって、所定形状に形成されている。この錘25は、前後方向に延び、その前半部に、ハンマー本体24の錘取付け部27に取り付けられた被取付け部29を有している。また、錘25は、その被取付け部29から、シャーシ後部13の後端付近まで後方に延び、後端部の縦幅(上下方向の幅)が比較的大きく形成されている。
【0031】
以上のように構成された鍵盤装置1では、図1(a)に示す離鍵状態において、鍵3(同図では白鍵3a)を押鍵すると、同図(b)に示すように、鍵3が後端部の支点軸23を中心として反時計方向に回動する。これに伴い、鍵3のアクチュエータ部22が、ハンマー4の係合凹部26bを下方に押圧する。それにより、ハンマー4は、シャーシ中央部12の支軸12aを中心として反時計方向に回動しながら、スイッチ押圧部26cで鍵スイッチ17のスイッチ本体17bを上方から押圧する。なお、この場合、ハンマー4は、その後端部(錘25の後端部)がシャーシ後部13のハンマーストッパ13bに下方から当接することによって、それ以上の回動が阻止される。以上の押鍵動作により、ハンマー4の重量およびトルクに応じた所定のタッチ重さが、鍵3に付与されるとともに、鍵3の押鍵情報が鍵スイッチ17を介して検出される。
【0032】
一方、押鍵した鍵3を離鍵すると、ハンマー4が上記と逆方向に回動し、それに伴い、鍵3が、アクチュエータ部22を介して押し上げられることにより、上記と逆方向に回動する。その結果、鍵3およびハンマー4が、図1(a)に示すように、もとの離鍵状態に復帰する。なお、この場合、鍵3は、その前端部の上限位置規制部21がシャーシ前部11の鍵ストッパ11bに下方から当接することによって、それ以上の回動が阻止される。
【0033】
次に、図2〜図4を参照して、ハンマー4の構成および組立方法、より具体的には、ハンマー本体24における錘25の取付け構造、およびハンマー本体24への錘25の取付け方法について説明する。
【0034】
図2および図3に示すように、錘25が取り付けられるハンマー本体24の錘取付け部27は、前後方向に延びる所定形状の左側壁31と、この左側壁31の上縁部および下縁部にそれぞれ沿って延びるとともに右方に突出し、互いに対向する上壁32および下壁33と、これらの左側壁31、上壁32および下壁33の前端部に連なる前壁34とで構成されている。そして、これらの左側壁31、上壁32、下壁33および前壁34によって画成された前後方向に延びる収容部35に、錘25の被取付け部29が収容された状態で、錘25がハンマー本体24に取り付けられている。
【0035】
上壁32および下壁33は、ほぼ一定の所定厚さを有しており、それぞれ前後2つずつ、前後方向の幅が比較的大きな凸部を有している。具体的には、上壁32は、互いに前後方向に間隔を隔てて、上方に突出する前側凸部36および後側凸部37を有する一方、下壁33は、下方に突出する前側凸部38および後側凸部39を有している。上壁32の前側凸部36は、錘取付け部27の前壁34から後方に所定距離、離れた位置に設けられる一方、下壁33の前側凸部38は、前壁34から連なるように設けられている。つまり、これらの前側凸部36および38は、互いに前後方向にずれた位置に設けられている。また、上壁32および下壁33の後側凸部37および39は、互いに上下対称な位置に設けられている。
【0036】
錘取付け部27の収容部35には、上記の上壁32および下壁33の前側凸部36、38および後側凸部37、39により、内方に開放する凹部が形成されている。具体的には、図2(b)に示すように、収容部35の上部には、上壁32の前側凸部36および後側凸部37にそれぞれ対応する前側凹部36aおよび後側凹部37aが形成される一方、収容部35の下部には、下壁33の前側凸部38および後側凸部39にそれぞれ対応する前側凹部38aおよび後側凹部39aが形成されている。
【0037】
また、上壁32および下壁33の前側凸部36、38および後側凸部37、39の前端部にはそれぞれ、錘25の抜け止め用の係止部が設けられている。具体的には、図2(b)および図3に示すように、上壁32の前側凸部36および後側凸部37の前端部には、収容部35の開放側の端部に、収容部35の内方に若干突出する係止部36bおよび37bがそれぞれ設けられる一方、下壁33の前側凸部38および後側凸部39の前端部には、上記係止部36bおよび37bと同様の係止部38bおよび39bがそれぞれ設けられている。
【0038】
上壁32および下壁33の後端部には、ハンマー本体24に取り付けられた錘25が後方にスライドするのを阻止するための上下一対のフック41、41が設けられている。各フック41は、左側壁31の後端よりも後方に所定長さ延びるフック片41aと、フック片41aの後端部に設けられ、内方に突出する鉤状のフック本体41bとで構成されている。なお、各フック41のフック片41aは、それよりも前側の上壁32や下壁33の厚さよりも薄く形成されており、上下方向において若干の可撓性を有している。
【0039】
また、錘取付け部27の収容部35の内面には、ハンマー本体24に錘25が取り付けられたときに、錘25の被取付け部29に圧接することにより、収容部35における被取付け部29のがたつきを抑制するための突起が設けられている。具体的には、図2(b)に示すように、左側壁31には、その内面に互いに前後方向に間隔を隔てて配置され、内方に若干突出する前後2つの突起31a、31aが設けられている。また、上壁32には、前側凸部36と後側凸部37の間の内面に、互いに前後方向に間隔を隔てて配置され、左右方向に延びかつ内方に若干突出する前後2つの突起32a、32aが設けられている。これと同様に、下壁33には、前側凸部38と後側凸部39の間の内面に、前後2つの突起33a、33aが設けられている。さらに、前壁34には、上壁32や下壁33の突起32a、33aと同様の突起34aが、内面の上下方向の中央に設けられている。
【0040】
さらに、上壁32および下壁33の内面には、前記一対のフック41、41と協働して、ハンマー本体24に取り付けられた錘25の後方へのスライドを阻止するための上下一対の係合凸部42、42が設けられている。両係合凸部42、42は、互いに上下対称に形成されており、上側の係合凸部42は、上壁32の前後の突起32a、32a間のほぼ中央に設けられ、一方、下側の係合凸部42は、下壁33の前後の突起33a、33a間において、上側の係合凸部42と上下対称に設けられている。また、各係合凸部42は、上壁32や下壁33の内面に対し、傾斜角度が比較的大きい前側傾斜面と、傾斜角度が比較的小さい後側傾斜面とにより、側面形状が楔状に形成されている。
【0041】
以上のように構成されたハンマー本体24の錘取付け部27では、上壁32、下壁33および前壁34によって、前記開口部28の周縁部が構成され、この開口部28に収容部35が連なっている。
【0042】
錘25の被取付け部29は、ハンマー本体24の錘取付け部27の開口部28に対し、相補的な形状を有している。具体的には、図2(b)に示すように、被取付け部29の上部には、錘取付け部27における上壁32側の前側凹部36aおよび後側凹部37aにそれぞれ対応する前側凸部51および後側凸部52が形成されている。また、被取付け部29の上部には、上壁32の内面の係合凸部42に対応し、側面形状が上方に開放するV字状の係合凹部53が形成されており、加えて、この係合凹部53の直ぐ後ろ側に、上方に開放するコ字状の係止凹部54が形成されている。さらに、被取付け部29の上部の後端部には、上壁32の後端部のフック本体41bに対応し、側面形状が上方に開放するレ字状の係合凹部55が形成されており、加えて、この係合凹部55の直ぐ後ろ側に、フック係止部56が形成されている。
【0043】
一方、被取付け部29の下部には、錘取付け部27における下壁33側の前側凹部38aおよび後側凹部39aにそれぞれ対応する前側凸部61および後側凸部62が形成されており、これらの凸部61、62のうちの後者62が、前記後側凸部52と上下対称に形成されている。また、被取付け部29の下部には、下壁33の内面の係合凸部42に対応し、前記係合凹部53および係止凹部54とそれぞれ上下対称の係合凹部63および係止凹部64が形成されている。さらに、被取付け部29の下部の後端部には、下壁33のフック本体41bに対応し、前記係合凹部55およびフック係止部56とそれぞれ上下対称の係合凹部65およびフック係止部66が形成されている。
【0044】
次に、図4を参照して、ハンマー本体24への錘25の取付け方法について説明する。まず、同図(a)に示すように、上記のように構成されたハンマー本体24および錘25を準備し、同図(b)に示すように、ハンマー本体24の開口部28を介して、錘25の被取付け部29を、錘取付け部27の収容部35に嵌め込む(嵌込み位置)。この場合、被取付け部29の前端は、ハンマー本体24の前壁34との間に所定距離の隙間を存した状態になる。またこの場合、錘取付け部27の上壁32および下壁33の各突起32a、33aは、被取付け部29の上下の端面によって若干押し潰された状態になり、これに圧接する。これにより、被取付け部29は、その上下方向に不動に保持される。
【0045】
なお、上述した収容部35への被取付け部29の嵌め込みの際には、錘25の表裏を間違えることなく、適正に嵌め込むことができる。これは、被取付け部29の後側凸部52および62が上下対称であるものの、前側凸部51および61が上下非対称に形成されているため、錘25の表裏が適正な場合にのみ、被取付け部29が開口部28を介して収容部35に嵌め込み可能になるからである。
【0046】
次いで、ハンマー本体24および錘25の一方を固定し、錘取付け部27の前壁34と被取付け部29の前端とが互いに接近するよう、ハンマー本体24および錘25の他方をスライドさせる。例えば、図4(b)において、ハンマー本体24を固定した場合には、錘25を前方(同図の左方)にスライドさせる。この場合、錘取付け部27の上下のフック41、41は、被取付け部29の後端部によって押し広げられることで、フック片41a、41aが互いに反対方向に若干撓み、フック本体41b、41bが、被取付け部29の上下の係合凹部55、65の後壁を乗り越えて、上下のフック係止部56、66に係止される。これにより、同図(c)に示すように、錘25の被取付け部29は、前記嵌込み位置から前方にずれた固定位置に保持され、ハンマー4の組立が終了する。
【0047】
このハンマー4では、錘25の被取付け部29における上下の前側凸部51、61および後側凸部52、62の前端部がそれぞれ、ハンマー本体24の錘取付け部27における左側壁31と、上下の前側凹部36a、38aの係止部36b、38bおよび後側凹部37a、39aの係止部37b、39bとの間に挟持される。その結果、被取付け部29は、前側凸部51、61および後側凸部52、62の4箇所において、錘取付け部27の4つの係止部36b、37b、38bおよび39bにより、開口部28から離脱不能な状態になる。またこの場合、錘取付け部27の左側壁31の各突起31aは、被取付け部29の左側面によって若干押し潰された状態になり、これに圧接する。これにより、被取付け部29は、その厚さ方向に不動に保持される。
【0048】
また、このハンマー4では、前述したように、錘取付け部27の上下のフック本体41b、41bがそれぞれ、被取付け部29のフック係止部56、66に係止され、加えて、錘取付け部27の上下の係合凸部42、42がそれぞれ、被取付け部29の上下の係止凹部54、64に係止される。その結果、固定位置に位置する被取付け部29は、嵌込み位置へのスライドが不能な状態になる。またこの場合、錘取付け部27の前壁34の突起34aは、被取付け部29の前端面によって若干押し潰された状態になり、これに圧接する。これにより、被取付け部29は、その長さ方向(図4の左右方向)に不動に保持される。
【0049】
以上のように、本実施形態によれば、錘25の被取付け部29が、ハンマー本体24の錘取付け部27に対し、上下方向、厚さ方向および長さ方向に不動に保持されるので、錘25がハンマー本体24に、がたつきなくしっかりと取り付けられたハンマー4を得ることができる。また、ハンマー4の組立時には、ハンマー本体24に対し、その錘取付け部27の開口部28を介して、錘25の被取付け部29を収容部35に嵌め込み、スライドさせるという比較的簡単な作業で、ハンマー4を容易に組み立てることができる。
【0050】
なお、上記ハンマー4を備えた電子ピアノを廃棄処分する際に、ハンマー4を分解し、樹脂製のハンマー本体24と金属製の錘25とに分別する場合、前述したハンマー4の組立と逆の手順により、錘25をハンマー本体24から比較的容易に取り外すことができる。具体的には、錘25の被取付け部29を、嵌込み位置側にスライドさせるよう、被取付け部29に所定の大きさの外力を作用させると、錘取付け部27のフック41、41および係合凸部42、42による被取付け部29との係合が解除され、被取付け部29が嵌込み位置にスライドする。そして、錘取付け部27の収容部35から、その開口部28を介して、被取付け部29を取り外す。このように、ハンマー4の分解も、容易に行うことができる。
【0051】
次に、図5および図6を参照して、本発明の第2実施形態によるハンマー71の構成および組立方法について説明する。なお、以下の説明では、前述した第1実施形態のハンマー4と同様の構成部分については適宜、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略し、ハンマー4との相違点を中心に説明するものとする。
【0052】
図5に示すように、ハンマー71は、樹脂成形品のハンマー本体72と、金属製の錘73と、錘73の抜け止め用の錘止め部材74とで構成されている。ハンマー本体72の錘取付け部27における上壁32および下壁33にはそれぞれ、第1実施形態のハンマー本体24の錘取付け部27よりも1つ多い3つずつの凸部を有している。具体的には、上壁32には、前側凸部36および後側凸部37に加えて、両凸部36、37の間に、中央凸部75が設けられている。一方、下壁33には、前側凸部38および後側凸部39に加えて、上記中央凸部75と上下対称の中央凸部76が設けられている。
【0053】
また、上記の6つの凸部36〜39、75および76により、錘取付け部27の収容部35には、内方に開放する凹部が形成されている。具体的には、収容部35の上部には、上壁32の前側凸部36、後側凸部37および中央凸部75にそれぞれ対応する前側凹部36a、後側凹部37aおよび中央凹部75aが形成される一方、収容部35の下部には、下壁33の前側凸部38、後側凸部39および中央凸部76にそれぞれ対応する前側凹部38a、後側凹部39aおよび中央凹部76aが形成されている。
【0054】
さらに、上壁32および下壁33の前側凸部36、38、後側凸部37、39、および中央凸部75、76には、第1実施形態のハンマー本体24とは逆に、それぞれの後端部に、錘73の被取付け部29の抜け止め用の係止部が設けられている。具体的には、上壁32の前側凸部36、後側凸部37および中央凸部75の後端部には、収容部35の開放側の端部に、係止部36b、37bおよび75bがそれぞれ設けられる一方、下壁33の前側凸部38、後側凸部39および中央凸部76の後端部に、係止部38b、39bおよび76bがそれぞれ設けられている。
【0055】
また、錘取付け部27の左側壁31には、その前端部に、錘止め部材74が着脱自在に取り付けられる取付け孔72aが形成されている。
【0056】
一方、錘73の被取付け部29は、ハンマー本体72の錘取付け部27の開口部28に対し、相補的な形状を有している。具体的には、被取付け部29の上部には、上壁32側の前側凹部36a、後側凹部37aおよび中央凹部75aにそれぞれ対応する前側凸部51、後側凸部52および中央凸部81が形成されている。一方、被取付け部29の下部には、下壁33側の前側凹部38a、後側凹部39aおよび中央凹部76aにそれぞれ対応する前側凸部61、後側凸部62および中央凸部82が形成されている。これらの凸部61、62、82は、互いに同じサイズに形成されるとともに、中央および後側の2つの凸部82および62が、上側の中央凸部81および後側凸部52と上下対称に形成されている。また、被取付け部29の上側の前側凸部51は、下側の前側凸部61よりも、前後方向の幅が大きく、前方に突出するように形成されている。
【0057】
錘止め部材74は、ハンマー本体72と同様の樹脂材料から成る樹脂成形品で構成されている。また、この錘止め部材74は、比較的小さなブロック状に形成されており、錘取付け部27の左側壁31の前記取付け孔72aに圧入される突起(図示せず)を有している。
【0058】
次に、図6を参照して、ハンマー本体72への錘73の取付け方法について説明する。まず、同図(a)に示すように、ハンマー本体72、錘73および錘止め部材74を準備し、前記第1実施形態と同様、同図(b)に示すように、ハンマー本体72の開口部28を介して、錘73の被取付け部29を、錘取付け部27の収容部35に嵌め込む(嵌込み位置)。この場合、被取付け部29の前端は、錘取付け部27の前壁34に近接する。
【0059】
次いで、ハンマー本体72および錘73の一方を固定し、第1実施形態とは逆に、錘取付け部27前壁34と被取付け部29の前端とが互いに離れるよう、ハンマー本体72および錘73の他方をスライドさせる。例えば、図6(b)において、ハンマー本体72を固定した場合には、錘73を後方(同図の右方)へスライドさせる。これにより、錘取付け部27の取付け孔72aが開口部28を介して外部に臨む。そして、錘止め部材74を、錘取付け部27の前壁34と被取付け部29の前端との間に挿入するとともに、取付け孔72aに圧入する。これにより、同図(c)に示すように、錘73の被取付け部29は、前記嵌込み位置から後方にずれた固定位置に保持され、ハンマー71の組立が終了する。
【0060】
このハンマー71では、錘73の被取付け部29における上下の前側凸部51、61、後側凸部52、62および中央凸部81、82の後端部がそれぞれ、ハンマー本体72の錘取付け部27における左側壁31と、上下の係止部36b、37b、37b、38b、75bおよび76bとの間に挟持される。その結果、被取付け部29は、開口部28から離脱不能な状態になるとともに、厚さ方向に不動に保持される。加えて、錘止め部材74が、いわば楔として機能することにより、固定位置に位置する被取付け部29は、嵌込み位置へのスライドが不能な状態になるとともに、長さ方向に不動に保持される。
【0061】
以上のように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様、錘73がハンマー本体72に、がたつきなくしっかりと取り付けられたハンマー71を得ることができる。また、ハンマー71の組立時には錘止め部材74を取付け作業が必要である一方、ハンマー71の分解時には錘止め部材74の取外し作業が必要であるものの、ハンマー71の組立および分解を比較的容易に行うことができる。
【0062】
なお、本発明は、説明した上記実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。実施形態では、電子ピアノに適用されたハンマー4、71について説明したが、本発明は、他の電子鍵盤楽器のハンマーにも、もちろん適用することができる。
【0063】
また、実施形態では、ハンマー4、71の組立時に、錘25、73の被取付け部29を、ハンマー本体24、72の錘取付け部27の収容部35に嵌め込んだ後、被取付け部29を収容部35に対して前後方向にスライドさせることによって、被取付け部29を開口部28から離脱不能な状態としたが、本発明はこれに限定されるものではなく、被取付け部29の嵌め込み方向である左右方向と異なる方向に、スライドさせるように、錘およびハンマー本体を構成することも可能である。また、実施形態で示したハンマー4、71の細部の構成などは、あくまで例示であり、本発明の趣旨の範囲内で適宜、変更することができる。
【符号の説明】
【0064】
1 鍵盤装置
3 鍵
4 ハンマー
24 ハンマー本体
25 錘
27 錘取付け部
28 開口部
29 被取付け部
31a 突起
32a 突起
33a 突起
34a 突起
35 収容部
36b 係止部
37b 係止部
38b 係止部
39b 係止部
41 フック(保持部)
42 係合凸部(保持部)
71 ハンマー
72 ハンマー本体
73 錘
74 錘止め部材(保持部)
75b 係止部
76b 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押鍵された鍵と連動して回動することにより、当該鍵にタッチ重さを付与する電子鍵盤楽器のハンマーであって、
樹脂成形品で構成され、前後方向に延びる錘取付け部を有するハンマー本体と、
このハンマー本体よりも比重の大きな材料で構成され、前記錘取付け部に取り付けられる被取付け部を有し、当該被取付け部を介して前記ハンマー本体に着脱自在に取り付けられた錘と、を備え、
前記ハンマー本体の前記錘取付け部は、
左右方向の一方に開放し、前記錘の前記被取付け部と相補的な形状を有する開口部と、
この開口部に連なり、前記被取付け部を、当該開口部を介して嵌め込まれる嵌込み位置と、この嵌込み位置から左右方向と異なる方向にずれた固定位置との間で、スライド可能に収容する収容部と、
前記開口部の周縁部に設けられ、前記被取付け部が前記固定位置に位置するときに、当該被取付け部を前記開口部から脱離不能に係止する係止部と、
前記被取付け部が前記固定位置に位置するときに、当該被取付け部を前記嵌込み位置へスライド不能に保持するための保持部と、
を有していることを特徴とする電子鍵盤楽器のハンマー。
【請求項2】
前記保持部は、前記被取付け部に係合し、当該被取付け部が前記固定位置に位置するときに当該被取付け部の前記嵌込み位置へのスライドを阻止するとともに、当該被取付け部に前記嵌込み位置への所定の大きさ以上の外力が作用したときに当該被取付け部の前記嵌込み位置へのスライドを許容するフックを有していることを特徴とする請求項1に記載の電子鍵盤楽器のハンマー。
【請求項3】
前記保持部は、前記収容部の内面から内方に突出し、前記被取付け部に係合する係合凸部を、さらに有していることを特徴とする請求項2に記載の電子鍵盤楽器のハンマー。
【請求項4】
前記収容部の内面には、前記被取付け部に圧接し、当該被取付け部のがたつきを抑制するための突起が設けられていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電子鍵盤楽器のハンマー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−22472(P2011−22472A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−169036(P2009−169036)
【出願日】平成21年7月17日(2009.7.17)
【出願人】(000001410)株式会社河合楽器製作所 (563)
【Fターム(参考)】