説明

電子鍵盤楽器

【課題】 組み立て作業性および配線作業性が良く、且つ楽器本体の簡素化を図り、楽器全体の薄型化および小型化をも図ることができる電子鍵盤楽器を提供する。
【解決手段】 鍵盤シャーシ2上に複数の鍵4を配列し、この複数の鍵4における端部に回路基板13を配置し、この状態でねじ部材23によって回路基板13を鍵4と共に鍵盤シャーシ2に取り付けた。従って、鍵盤シャーシ2に鍵4および回路基板13を取り付けた状態で、複数の鍵4の隙間調整や回路基板13の接続配線ができると共に、製品前の検査をも行うことができる。このため、組み立て作業性および配線作業性が良いばかりか、複数の鍵4の端部を覆い隠すための楽器本体1の上部ケース3を簡素化でき、また上部ケース3の厚みを薄く形成できると共に、回路基板13を演奏者側に近づけて前後方向の長さを短くすることができるので、楽器全体の薄型化および小型化をも図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子ピアノなどの電子鍵盤楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子鍵盤楽器においては、特許文献1に記載されているように、鍵盤シャーシ上に複数の鍵を配列し、この複数の鍵の後部を覆う上部ケースの内面にボス部を設け、このボス部を鍵の後部上に押し当て、この状態で鍵盤シャーシの下側から鍵の後部を通してビスを上部ケースのボス部に螺入させて締め付けることにより、複数の鍵を上部ケースと共に鍵盤シャーシ上に取り付けるように構成されたものが知られている。この場合、上部ケースの内部には、操作スイッチなどの電子部品を搭載した回路基板が上部ケースのボス部を利用して取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−171442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の電子鍵盤楽器では、鍵盤シャーシ上に複数の鍵を配列すると共に、上部ケースの内部に回路基板を組み付け、この状態で上部ケースのボス部を鍵の後部上に押し当て、鍵盤シャーシの下側から鍵の後部を通してビスを上部ケースのボス部に螺入させることにより、複数の鍵を上部ケースと共に鍵盤シャーシ上に取り付けているので、鍵盤シャーシ上に配列された複数の鍵が位置ずれしないように組み立てることが難しいという問題がある。
【0005】
また、この電子鍵盤楽器では、組み立てた後は複数の鍵の端部が上部ケースで覆われてしまうため、組み立て後に複数の鍵間の隙間を調整することが難しいばかり、組み立て後に回路基板を電気的に接続する配線作業も面倒であるほか、修理や点検などの際に上部ケースを取り外して分解しなければならないため、修理や点検などの作業が面倒であるという問題もある。
【0006】
さらに、この電子鍵盤楽器では、上部ケース内のボス部によって上部ケース内に取り付けられる回路基板の取付位置が制約を受けるため、回路基板に搭載された操作スイッチなどの電子部品を鍵の後方の離れた位置に設けなければならず、回路基板が鍵の後方に向けて長くなり、このため楽器全体が前後方向に長くなり、楽器全体が大型化するという問題もある。
【0007】
また、この電子鍵盤楽器では、上部ケースの内面にボス部を一体に形成しているため、鍵盤シャーシに対する取付位置および複数の鍵に対する取付位置に正確に対応するように、上部ケースにボス部を形成する必要があり、上部ケースの製作に高い精度が要求されるため、上部ケースの製作が面倒で煩雑であると共に、上部ケースの樹脂成形時に上部ケースの表面にボス部によるひけが発生するほか、ボス部によって楽器全体の厚みが厚くなるなどの問題もある。
【0008】
この発明が解決しようとする課題は、組み立て作業性および配線作業性が良く、且つ楽器ケースの簡素化を図り、楽器全体の薄型化および小型化をも図ることができる電子鍵盤楽器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、上記課題を解決するために、次のような構成要素を備えている。
請求項1に記載の発明は、鍵盤シャーシと、この鍵盤シャーシ上に配列される複数の鍵と、この複数の鍵を上下方向に変位可能な状態で前記複数の鍵における端部を前記鍵盤シャーシ上に取り付けるための締結部材と、前記複数の鍵における前記端部に配置され、且つ前記締結部材によって前記鍵と共に前記鍵盤シャーシに対して取り付けられる回路基板とを備えていることを特徴とする電子鍵盤楽器である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記複数の鍵が、その端部にそれぞれ設けられて前記各鍵を上下方向に変位可能に保持する屈曲部と、この屈曲部がそれぞれ前記鍵の配列方向に並んで連結される共通連結部とを備えており、この共通連結部は、その所定箇所が前記締結部材によって前記鍵盤シャーシに取り付けられていることを特徴する請求項1に記載の電子鍵盤楽器である。
【0011】
請求項3に記載の発明は、前記共通連結部に、位置規制用の突起部が設けられており、前記鍵盤シャーシには前記突起部が嵌合する位置決め孔が設けられており、前記回路基板は前記突起部に対応する箇所にも取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の電子鍵盤楽器である。
【0012】
請求項4に記載の発明は、前記共通連結部に、これと前記回路基板との間に隙間を設けるための支持突起部が設けられていることを特徴する請求項2に記載の電子鍵盤楽器である。
【0013】
請求項5に記載の発明は、前記締結部材が、前記共通連結部を前記鍵盤シャーシに取り付けるための第1ねじ部材と、前記回路基板を前記共通連結部に取り付けるための第2ねじ部材とを備えていることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載の電子鍵盤楽器である。
【0014】
請求項6に記載の発明は、前記鍵盤シャーシに、前記回路基板を支持する補助支持部が設けられていることを特徴する請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電子鍵盤楽器である。
【0015】
請求項7に記載の発明は、前記鍵盤シャーシおよび前記回路基板を収容するための下部ケースと上部ケースとを有する楽器本体を備えており、前記鍵盤シャーシは前記下部ケース内に配置されており、前記回路基板は、これに搭載された電子部品の一部が前記上部ケースから上方に露出した状態で、前記楽器本体内に配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の電子鍵盤楽器である。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、鍵盤シャーシ上に複数の鍵を配列し、この複数の鍵における端部に回路基板を配置し、この状態で締結部材によって回路基板を鍵と共に鍵盤シャーシに取り付けることができる。このため、鍵盤シャーシに鍵および回路基板を取り付けた状態で、複数の鍵間の隙間調整や回路基板の接続配線ができると共に、製品前の検査をも行うことができるので、組み立て作業性および配線作業性が良い。
【0017】
また、複数の鍵の端部を覆い隠すための楽器本体の上部ケースを簡素化できるほか、上部ケースを回路基板および鍵の端部上面に近づけることができるので、上部ケースの厚みを薄く形成できると共に、回路基板を演奏者に近づけることができるので、鍵盤シャーシおよび上部ケースの前後方向の長さを短くすることができ、これにより楽器全体の薄型化および小型化をも図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明を適用した電子鍵盤楽器の実施形態1を示した一部破断した正面図である。
【図2】図1の電子鍵盤楽器のA−A矢視における拡大断面図である。
【図3】図1における複数の鍵の要部を示し、(a)はその拡大正面図、(b)はそのB−B矢視における断面図である。
【図4】図3の複数の鍵における白鍵ユニットを示し、(a)はその白鍵ユニットの拡大正面図、(b)はそのC−C矢視における断面図である。
【図5】図3の複数の鍵における黒鍵ユニットを示し、(a)はその黒鍵ユニットの拡大正面図、(b)はそのD−D矢視における断面図である。
【図6】図2における鍵盤シャーシの鍵支持部上に鍵の共通連結部と共に回路基板を取り付けた箇所の要部を示した拡大断面図である。
【図7】この発明を適用した電子鍵盤楽器の実施形態2において複数の鍵の要部を示した拡大正面図である。
【図8】図7のE−E矢視における拡大断面図である。
【図9】図7のF−F矢視における拡大断面図である。
【図10】図7のG−G矢視における拡大断面図である。
【図11】この発明を適用した電子鍵盤楽器の実施形態3を示した拡大断面図である。
【図12】図11における複数の鍵の要部を示した拡大正面図である。
【図13】図12のH−H矢視における拡大断面図である。
【図14】図12のI−I矢視における拡大断面図である。
【図15】図12のJ−J矢視における拡大断面図である。
【図16】この発明を適用した電子鍵盤楽器の実施形態4を示した拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施形態1)
以下、図1〜図6を参照して、この発明を適用した電子鍵盤楽器の実施形態1について説明する。
この電子鍵盤楽器は、図1および図2に示すように、楽器本体1を備えている。この楽器本体1は、下ケースを兼ねる鍵盤シャーシ2と上部ケース3とを備えている。鍵盤シャーシ2は、図2に示すように、その上部に複数の鍵4が上下方向に変位可能に配列されるように構成されている。
【0020】
すなわち、鍵盤シャーシ2の前端部(図2では左端部)には、鍵4の前端面における下部を覆う前カバー部5が設けられている。この前カバー部5の後側(図2では右側)における上部下面には、鍵4の上限位置を規制する上限ストッパ6が前カバー部5とほぼ同じ高さで設けられていると共に、この上限ストッパ6の後側下部には、鍵4の下限位置を規制する下限ストッパ7が鍵盤シャーシ2の底部側に位置して設けられている。
【0021】
また、この鍵盤シャーシ2における下限ストッパ7の後側(図2では右側)には、図2に示すように、鍵4内に下側から挿入して鍵4の横振れを防ぐ鍵ガイド部8が前カバー部5と同じ高さ位置から上方に突出して設けられている。この鍵ガイド部8の後側(図2では右側)には、後述するスイッチ基板10を搭載する基板搭載部11が前カバー部5とほぼ同じ高さで設けられている。
【0022】
また、この鍵盤シャーシ2における基板搭載部11の後側(図2では右側)には、図2に示すように、複数の鍵4を配列させた状態で支持する鍵支持部12が前カバー部5よりも高い位置に設けられている。この鍵支持部12の後側(図2では右側)には、後述する回路基板13を補助的に支持する補助支持部14が鍵支持部12よりも少し高い位置に設けられている。
【0023】
さらに、この鍵盤シャーシ2における補助支持部14の後側(図2では右側)には、図2に示すように、上部ケース3を取り付けるためのほぼ円筒状のボス部15が前カバー部5とほぼ同じ高さで設けられている。このボス部15の後側には、上部ケースの後端部が接合する後カバー部16が前カバー部5とほぼ同じ高さで設けられている。
【0024】
ところで、この鍵盤シャーシ2上に配列される複数の鍵4は、図3〜図5に示すように、白鍵ユニット17と黒鍵ユニット18とを備えている。白鍵ユニット17は、図4(a)および図4(b)に示すように、複数の白鍵17aの各後端部に肉厚の薄い屈曲部17bがそれぞれ形成され、この各屈曲部17bが白鍵17aの配列方向に沿って連続する帯状の共通連結部17cにそれぞれ並んだ状態で連結形成された構成になっている。
【0025】
また、黒鍵ユニット18は、図5(a)および図5(b)に示すように、複数の黒鍵18aの各後端部に肉厚の薄い屈曲部18bがそれぞれ形成され、この各屈曲部18bが黒鍵18aの配列方向に沿って連続する帯状の共通連結部18cにそれぞれ並んだ状態で連結形成された構成になっている。この場合、白鍵ユニット17の共通連結部17cの所定箇所、および黒鍵ユニット18の共通連結部18cの所定箇所には、それぞれ取付孔20が互いに対応して設けられている。
【0026】
また、白鍵ユニット17の各白鍵17aおよび黒鍵ユニット18の各黒鍵18aの各下面には、図3(b)、図4(b)、および図5(b)に示すように、鍵4が押鍵された際に、鍵盤シャーシ2の基板搭載部11に設けられたスイッチ基板10のゴムスイッチ10aを押圧するスイッチ押圧部21がそれぞれ下側に突出して設けられている。この場合、ゴムスイッチ10aは、スイッチ押圧部21によって押圧されると、弾性変形して楽音を発音させるためのスイッチ信号を出力するように構成されている。
【0027】
さらに、この白鍵17aおよび黒鍵18aの各下面には、図3(b)、図4(b)、および図5(b)に示すように、それぞれストッパ片22が設けられている。このストッパ片22は、鍵4が押鍵された際に、鍵盤シャーシ2の下限ストッパ7に当接して鍵4の下限位置を規制し、また押鍵された鍵4が初期位置に復帰した際に上限ストッパ6に当接して鍵4の上限位置を規制するように構成されている。
【0028】
そして、白鍵ユニット17と黒鍵ユニット18とは、図1〜図3、および図6に示すように、白鍵ユニット17の各白鍵17a間に黒鍵ユニット18の各黒鍵18aが配置されて、白鍵ユニット17の共通連結部17cが黒鍵ユニット18の共通連結部18c上に重なり合うように構成されている。
【0029】
また、この白鍵ユニット17と黒鍵ユニット18とは、図6に示すように、その両者の各共通連結部17c、18cを重ね合わせると、各共通連結部17c、18cにそれぞれ設けられた取付孔20が互いに対応し、この状態で重なり合った共通連結部17c、18cが鍵盤シャーシ2の鍵支持部12上に配置されるように構成されている。
【0030】
さらに、この白鍵ユニット17と黒鍵ユニット18とは、図6に示すように、各共通連結部17c、18cにそれぞれ設けられて互いに対応した取付孔20にねじ部材23を上方から挿入させ、この挿入したねじ部材23を鍵盤シャーシ2の鍵支持部12に設けられたボス部12aのねじ孔12bに螺入させて締め付けることにより、鍵盤シャーシ2の鍵支持部12上に取り付けられるように構成されている。
【0031】
この場合、白鍵ユニット17と黒鍵ユニット18との各共通連結部17c、18c上には、図2および図6に示すように、回路基板13が配置されている。すなわち、この回路基板13は、鍵4の配列方向に沿って長い平板状に形成されている。この回路基板13は、その前辺部(図2では左辺部)が白鍵ユニット17と黒鍵ユニット18との各共通連結部17c、18c上に配置された状態で、ねじ部材23によって各共通連結部17c、18cと共に鍵盤シャーシ2の鍵支持部12上に取り付けられている。
【0032】
また、この回路基板13は、図2に示すように、その後辺部(図2では右辺部)が鍵盤シャーシ2の補助支持部14上に配置されてねじ部材24によって取り付けられている。この場合、回路基板13の後辺部には、ねじ部材24が挿入する取付孔13aが白鍵ユニット17と黒鍵ユニット18との各共通連結部17c、18cに設けられた各取付孔20に対応して設けられている。また、この回路基板13には、図1および図2に示すように、操作スイッチ25、表示パネル26、および発光ダイオード(LED)からなるランプ27などの各種の電子部品が搭載されている。
【0033】
この回路基板13の上方には、楽器本体1の上部ケース3が配置されている。この上部ケース3は、図1および図2に示すように、鍵4の後部および両側部を覆い隠すものである。すなわち、この上部ケース3は、その内面に設けられたボス部29が鍵盤シャーシ2のボス部15にビス30によって取り付けられることにより、上部ケース3の前部が鍵4の後部上方に位置して、上部ケース3の後端下部が鍵盤シャーシ2の後カバー部16の上部に当接し、この状態で鍵盤シャーシ2上に取り付けられるように構成されている。
【0034】
この場合、上部ケース3には、図1および図2に示すように、回路基板13上に設けられた各種の電子部品、つまり操作スイッチ25、表示パネル26、およびランプ27を上方に露出されるための複数の開口孔31が設けられている。このため、上部ケース3は、図2に示すように、その上面が回路基板13に接近するように鍵4の後部からの高さが低く形成されている。
【0035】
次に、このような電子鍵盤楽器を組み立てる場合について説明する。
まず、図3(a)および図3(b)に示すように、白鍵ユニット17の各白鍵17a間に黒鍵ユニット18の各黒鍵18aを配置して、白鍵ユニット17の共通連結部17cを黒鍵ユニット18の共通連結部18c上に重ね合わせると共に、各共通連結部17c、18cにそれぞれ設けられた取付孔20を互いに対応させる。
【0036】
この状態で、図2に示すように、重ね合わされた共通連結部17c、18cを鍵盤シャーシ2の鍵支持部12上に配置すると共に、この共通連結部17c、18c上に回路基板13を配置する。このときには、回路基板13に設けられた取付孔13aを共通連結部17c、18cの取付孔20に対応させる。また、回路基板13には、予め、操作スイッチ25、表示パネル26、およびランプ27などの各種の電子部品を搭載しておく。
【0037】
この後、白鍵ユニット17と黒鍵ユニット18との各共通連結部17c、18cにそれぞれ設けられて互いに対応した取付孔20および回路基板13の取付孔13aに、ねじ部材23を上方から挿入させ、この挿入されたねじ部材23を鍵盤シャーシ2の鍵支持部12に設けられたボス部12aのねじ孔12bに螺入させて締め付ける。
【0038】
これにより、鍵盤シャーシ2の鍵支持部12上に白鍵ユニット17と黒鍵ユニット18との各共通連結部17c、18cおよび回路基板13が取り付けられる。また、このときには、回路基板13の後辺部を鍵盤シャーシ1の補助支持部14上にねじ部材24によって取り付ける。この状態では、上部ケース3が取り付けられていないため、複数の鍵4間の隙間調節ができると共に、スイッチ基板10と回路基板13との接続配線が容易にできるほか、出荷前の製品としての検査もできる。
【0039】
この後、上部ケース3を鍵盤シャーシ2に取り付ける。このときには、上部ケース3の前端部を鍵4の後部上に配置して、上部ケース3の各開口孔31に、回路基板13に搭載された操作スイッチ25、表示パネル26、およびランプ27を対応させて上方に露出させると共に、上部ケース3のボス部29を鍵盤シャーシ2のボス部15に対応させてビス30によって取り付ける。これにより、電子鍵盤楽器が組み立てられる。
【0040】
次に、このような電子鍵盤楽器を使用して演奏する場合について説明する。
この場合には、予め、図1に示すように、上部ケース3の上側に露出した表示パネル26を見ながら、操作スイッチ25を操作して音量や音色などの基本的な条件を設定する。この状態で、鍵盤シャーシ2上に配列された複数の鍵4を押鍵する。
【0041】
このとき、鍵4のうち、白鍵17aが押鍵操作されると、白鍵17aの後端部の屈曲部17bが屈曲し、この屈曲部17bの屈曲に応じて白鍵17aが下側に変位する。このときには、白鍵17aのスイッチ押圧部21が鍵盤シャーシ1のスイッチ基板10に設けられたゴムスイッチ10aを押圧して弾性変形させる。これにより、ゴムスイッチ10aがオン信号を出力して楽音を発音させる。
【0042】
同様に、鍵4の黒鍵18aが押鍵操作されると、黒鍵18aの後端部の屈曲部18bが屈曲し、この屈曲部18bの屈曲に応じて黒鍵18aが下側に変位する。このときには、黒鍵18aのスイッチ押圧部21が鍵盤シャーシ1のスイッチ基板10に設けられたゴムスイッチ10aを押圧して弾性変形させるので、白鍵17aと同様、ゴムスイッチ10aがオン信号を出力して楽音を発音させる。
【0043】
このように、この電子鍵盤楽器によれば、鍵盤シャーシ2上に複数の鍵4を配列し、この複数の鍵4における後端部上に回路基板13を配置し、この状態でねじ部材23によって回路基板13を鍵4と共に鍵盤シャーシ2の鍵支持部12に取り付けることができる。このため、鍵盤シャーシ1に鍵4および回路基板13を取り付けた状態で、上部ケース3を取り付ける前に、複数の鍵4間の隙間調整ができると共に、スイッチ基板10と回路基板13との接続配線ができるほか、製品前の検査をも行うことができるので、組み立て作業性および配線作業性の良いものを提供することができる。
【0044】
また、この電子鍵盤楽器では、上部ケース3を取り付ける前に、回路基板13が鍵4と共に鍵盤シャーシ2の鍵支持部12に取り付けられているので、修理や点検の際に、上部ケース3を取り外すだけで、容易に且つ簡単に修理や点検ができる。また、回路基板13が鍵4と共に鍵盤シャーシ2の鍵支持部12に取り付けられていることにより、回路基板13を演奏者側に最も近づけて配置することができると共に、回路基板13に搭載される操作スイッチ25、表示パネル26、およびランプ27などの電子部品を演奏者に近づけて操作性を向上させることができるほか、上部ケース3および鍵盤シャーシ2の前後方向の長さを短くすることができるので、楽器全体の小型化をも図ることができる。
【0045】
さらに、この電子鍵盤楽器では、複数の鍵4の後端部を覆い隠すための楽器本体1の上部ケース3に、操作スイッチ25、表示パネル26、およびランプ27を上方に露出させるための複数の開口孔31を設けるだけで良いので、上部ケース3の簡素化を図ることができると共に、上部ケース3の内面(図2では下面)を回路基板13に接近させることができるので、上部ケース3の高さを黒鍵18aの高さとほぼ同じ高さにすることができ、これにより上部ケース3の厚みを薄くして、楽器全体の薄型化をも図ることができる。
【0046】
この場合、複数の鍵4は、白鍵ユニット17と黒鍵ユニット18とを備えており、白鍵ユニット17は、白鍵17aの後端部にそれぞれ屈曲部17bを設け、この屈曲部17bを鍵の配列方向に沿って連続する共通連結部17cに並べた状態で連結し、また黒鍵ユニット18は、黒鍵18aの端部にそれぞれ屈曲部18bを設け、この屈曲部18bを鍵の配列方向に沿って連続する共通連結部18cに並べた状態で連結した構成であるから、白鍵17aの間に黒鍵18aを配置させて共通連結部17c、18cを重ね合わせることにより、複数の鍵4を一度に配列することができる。
【0047】
また、共通連結部17c、18cは、その両者を互いに重ね合わせて、鍵盤シャーシ2の鍵支持部12上に配置した状態で、共通連結部17c、18cの所定箇所をねじ部材23によって鍵盤シャーシ2上に取り付けているので、複数の鍵4を鍵盤シャーシ2上に配置させた状態で、一度に鍵盤シャーシ2に取り付けることができ、これにより鍵4の取付作業性を向上させることができる。
【0048】
また、鍵盤シャーシ2には、回路基板13を支持する補助支持部14が設けられていることにより、鍵盤シャーシ2の鍵支持部12にねじ部材23によって鍵4と共に取り付けられた回路基板13を補助支持部14にも取り付けることができ、これにより回路基板13が前後方向に長く形成されていても、回路基板13を安定した状態で鍵盤シャーシ2に確実に且つ強固に固定することができる。
【0049】
(実施形態2)
次に、図7〜図10を参照して、この発明を適用した電子鍵盤楽器の実施形態2について説明する。なお、図1〜図6に示された実施形態1と同一部分には同一符号を付して説明する。
この電子鍵盤楽器は、図7および図10に示すように、複数の鍵4の共通連結部17c、18cの一方に位置規制用の突起部36を設けると共に、鍵盤シャーシ2の鍵支持部12に位置決め孔35を設け、この位置決め孔35に位置規制用の突起部36を挿入させることにより、鍵盤シャーシ2に対して複数の鍵4を位置決めした構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0050】
すなわち、位置決め孔35は、図9および図10に示すように、鍵盤シャーシ2の鍵支持部12における所定箇所、つまり鍵支持部12に設けられたボス部12aから離れた箇所に設けられている。また、複数の鍵4の共通連結部17c、18cのうち、上側に位置する白鍵ユニット17の共通連結部17cには、位置規制用の突起部36が下側に突出して設けられている。
【0051】
この突起部36は、図9および図10に示すように、その下側に配置された黒鍵ユニット18の共通連結部18cに設けられた挿入孔37に挿入されて黒鍵ユニット18の共通連結部18cの下側に突出し、この突出した下端部が鍵盤シャーシ2の鍵支持部12に設けられた位置決め孔35に嵌合するように構成されている。また、この突起部36には、ねじ部材38が螺合するねじ孔39が設けられている。
【0052】
この場合、回路基板13には、共通連結部17c、18cに設けられた取付孔20に対応する取付孔13aと、白鍵ユニット17の共通連結部1cに設けられた突起部36のねじ孔39に対応する取付孔13bとが設けられている。これにより、回路基板13は、実施形態1と同様、ねじ部材23によって共通連結部17c、18cと共に鍵盤シャーシ2の鍵支持部12上に取り付けられると共に、ねじ部材38によって白鍵ユニット17の共通連結部17c上に取り付けられるように構成されている。
【0053】
次に、このような電子鍵盤楽器を組み立てる場合について説明する。
まず、図7に示すように、白鍵ユニット17の各白鍵17a間に黒鍵ユニット18の各黒鍵18aを配置して、白鍵ユニット17の共通連結部17cを黒鍵ユニット18の共通連結部18c上に重ね合わせる。
【0054】
このときには、図9および図10に示すように、白鍵ユニット17の共通連結部17cに設けられた突起部36を黒鍵ユニット18の共通連結部18cに設けられた挿入孔37に挿入させる。これにより、白鍵ユニット17の共通連結部17cと黒鍵ユニット18の共通連結部18cとが相互に位置規制され、各共通連結部17c、18cにそれぞれ設けられた取付孔20が互いに対応する。
【0055】
この状態で、図8〜図10に示すように、重ね合わされた共通連結部17c、18cを鍵盤シャーシ2の鍵支持部12上に配置する。このときには、図9および図10に示すように、白鍵ユニット17の共通連結部17cに設けられた突起部36が、黒鍵ユニット18の共通連結部18cに設けられた挿入孔37に挿入されて下側に突出しているので、この突出した突起部36の下端部を鍵盤シャーシ2の鍵支持部12に設けられた位置決め孔35に嵌着させる。これにより、白鍵ユニット17と黒鍵ユニット18との各共通連結部17c、18cが鍵盤シャーシ2の鍵支持部12に位置決めされる。
【0056】
この後、位置決めされた共通連結部17c、18c上に回路基板13を配置する。このときには、図9および図10に示すように、回路基板13に設けられた取付孔13aを共通連結部17c、18cの取付孔20に対応させると共に、回路基板13に設けられた取付孔13bを白鍵ユニット17の共通連結部17cに設けられた突起部36のねじ孔39に対応させる。
【0057】
この状態で、図7〜図10に示すように、ねじ部材23によって回路基板13を共通連結部17c、18cと共に鍵盤シャーシ2の鍵支持部12上に取り付けると共に、ねじ部材38によって回路基板13を共通連結部17c、18c上に取り付ける。これにより、鍵盤シャーシ2の鍵支持部12上に白鍵ユニット17と黒鍵ユニット18との各共通連結部17c、18cおよび回路基板134が取り付けられる。
【0058】
このように、この電子鍵盤楽器によれば、実施形態1と同様の作用効果があるほか、複数の鍵4の共通連結部17c、18cのうち、上側に位置する白鍵ユニット17の共通連結部17cに位置規制用の突起部36を設け、この位置規制用の突起部36によって複数の鍵4の共通連結部17c、18cを位置決めすると共に、この共通連結部17c、18c上に回路基板13を精度良く確実に取り付けることができる。
【0059】
すなわち、上側に位置する白鍵ユニット17の共通連結部17cに位置規制用の突起部36が下側に突出して設けられているので、この突起部36を黒鍵ユニット18の共通連結部18cに設けられた挿入孔37に挿入させることにより、白鍵ユニット17と黒鍵ユニット18とを精度良く組み合わせることができる。
【0060】
この場合、鍵盤シャーシ2の鍵支持部12には、位置決め孔35が設けられていることにより、この鍵支持部12の位置決め孔35に白鍵ユニット17の位置規制用の突起部36を嵌着させることにより、鍵盤シャーシ2の鍵支持部12上に白鍵ユニット17と黒鍵ユニット18とを正確に取り付けることができ、これにより白鍵ユニット17と黒鍵ユニット18との共通連結部17c、18c上に回路基板13を正確に且つ強固に取り付けることができる。
【0061】
なお、上述した実施形態2では、白鍵ユニット17の共通連結部17cに突起部36を設け、この突起部36を黒鍵ユニット18の共通連結部18cに設けられた挿入孔37に挿入させて下側に突出させ、この突出した突起部36を鍵盤シャーシ2の鍵支持部12に設けられた位置決め孔35に嵌合させるように構成した場合について述べたが、これに限らず、例えば黒鍵ユニット18の共通連結部18cに位置規制用の突起部36を設けた構成にしても良い。
【0062】
この場合にも、黒鍵ユニット18の突起部36は、鍵盤シャーシ2の鍵支持部12に設けられた位置決め孔35に嵌合するように構成すれば良く、また黒鍵ユニット18の突起部36には、ねじ孔39を設けておけば良い。さらに、白鍵ユニット17の共通連結部17cには、ねじ部材38が挿入する挿入孔を突起部36のねじ孔39に対応させて設けておけば良い。このような構成でも、実施形態2と同様の作用効果がある。
【0063】
(実施形態3)
次に、図11〜図15を参照して、この発明を適用した電子鍵盤楽器の実施形態3について説明する。この場合にも、図1〜図6に示された実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明する。
この電子鍵盤楽器は、図11および図15に示すように、鍵盤シャーシ2の鍵支持部12に鍵4の共通連結部17c、18cを第1ねじ部材40で取り付け、この共通連結部17c、18cに回路基板13を第2ねじ部材41で取り付けた構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0064】
この場合、複数の鍵4の共通連結部17c、18cのうち、上側に位置する白鍵ユニット17の共通連結部17cの所定箇所には、図11〜図13に示すように、第1ねじ部材40が挿入する取付孔20が設けられている。また、この白鍵ユニット17の共通連結部17cの他の所定箇所には、図12〜図15に示すように、回路基板13を支持する支持突起部42が上方に突出して設けられている。
【0065】
この支持突起部42は、図13〜図15に示すように、その高さが第1ねじ部材40の頭部40aと同じか、それよりも少し高く形成されている。また、この支持突起部42には、第2ねじ部材41が螺合するねじ穴43が設けられている。一方、白鍵ユニット17の下側に配置された黒鍵ユニット18の共通連結部18cには、図11〜図13、および図15に示すように、第1ねじ部材40が挿入する取付孔20が鍵盤シャーシ2の鍵支持部12に設けられたボス部12aのねじ孔12bに対応して設けられている。
【0066】
これにより、白鍵ユニット17と黒鍵ユニット18との各共通連結部17c、18cは、実施形態1と同様、その両者が重ね合わされて各取付孔20が上下に対応した状態で鍵盤シャーシ2の鍵支持部12上に配置され、この状態で第1ねじ部材40が取付孔20に挿入されて鍵支持部12のボス部12aのねじ孔12bに螺入して締め付けられることにより、図13に示すように、鍵盤シャーシ2上に取り付けられるように構成されている。
【0067】
この場合、回路基板13には、図14に示すように、白鍵ユニット17の共通連結部17cに設けられた支持突起部42のねじ穴43に対応して取付孔13cが設けられている。これにより、回路基板13は、図13〜図15に示すように、白鍵ユニット17の共通連結部17cに設けられた支持突起部42上に配置されて、回路基板13の取付孔13cが支持突起部42のねじ穴43に対応するように構成されている。
【0068】
また、この回路基板13は、図14および図15に示すように、白鍵ユニット17の共通連結部17cに設けられた支持突起部42上に配置されて、回路基板13の取付孔13cと支持突起部42のねじ穴43とが対応した状態で、第2ねじ部材が回路基板13の取付孔13cを通して共通連結部17cの支持突起部42に設けられたねじ穴43に螺着することにより、白鍵ユニット17の共通連結部17cに設けられた支持突起部42上に取り付けられるように構成されている。
【0069】
次に、このような電子鍵盤楽器を組み立てる場合について説明する。
まず、図12に示すように、白鍵ユニット17の各白鍵17a間に黒鍵ユニット18の各黒鍵18aを配置して、白鍵ユニット17の共通連結部17cを黒鍵ユニット18の共通連結部18c上に重ね合わせる。これにより、実施形態1とほぼ同様に、白鍵ユニット17の共通連結部17cと黒鍵ユニット18の共通連結部18cとにそれぞれ設けられた取付孔20が互いに対応する。
【0070】
この状態で、図13に示すように、重ね合わされた共通連結部17c、18cを鍵盤シャーシ2の鍵支持部12上に配置して、共通連結部17c、18cの各取付孔20を鍵支持部12に設けられたボス部12aのねじ孔12bに対応させる。この状態で、第1ねじ部材40を共通連結部17c、18cの各取付孔20に挿入させて鍵支持部12のボス部12aのねじ孔12bに螺入させて締め付けることにより、共通連結部17c、18cが鍵盤シャーシ2の鍵支持部12上に取り付けられる。
【0071】
この後、図14に示すように、白鍵ユニット17の共通連結部17cに設けられた支持突起部42上に回路基板13を配置して、回路基板13の取付孔13cを支持突起部42のねじ穴43に対応させる。この状態で、第2ねじ部材41を回路基板13の取付孔13cに挿入させて共通連結部17cの支持突起部42に設けられたねじ穴43に螺入して締め付ける。これにより、図13〜図15に示すように、回路基板13が白鍵ユニット17の共通連結部17cに設けられた支持突起部42上に取り付けられる。
【0072】
このように、この電子鍵盤楽器によれば、複数の鍵4の共通連結部17c、18cのうち、上側に位置する白鍵ユニット17の共通連結部17cに、これと回路基板13との間に隙間を設けるための支持突起部42を設けたことにより、この支持突起部42上に回路基板13を配置することができる。このため、複数の鍵4の共通連結部17c、18cを鍵盤シャーシ2の鍵支持部12上に第1ねじ部材40によって取り付けても、その第1ねじ部材40の頭部40aが邪魔になることなく、回路基板13を複数の鍵4の共通連結部17c、18c上に配置することができる。
【0073】
このため、回路基板13を演奏者側に最も近づけて配置することできるので、上部ケース3および鍵盤シャーシ2の前後方向の長さを最も短くすることができ、これにより楽器全体の更なる小型化を図ることができると共に、共通連結部17cと回路基板13との間に隙間が設けられていることにより、回路基板13の下面にも電子部品を良好に且つ十分に設けることができる。
【0074】
また、この電子鍵盤楽器では、複数の鍵4の共通連結部17c、18cを重ね合わせて鍵盤シャーシ2の鍵支持部12上に第1ねじ部材40で取り付けた後に、この共通連結部17c、18c上に回路基板13を配置して第2ねじ部材41によって取り付けることができるので、実施形態1と同様、組み立て作業性および配線作業性が良く、且つ楽器本体の簡素化を図り、楽器全体の薄型化をも図ることができる。
【0075】
(実施形態4)
次に、図16を参照して、この発明を適用した電子鍵盤楽器の実施形態4について説明する。この場合にも、図1〜図6に示された実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明する。
この電子鍵盤楽器は、図16に示すように、複数の鍵4を搭載した鍵盤シャーシ50を楽器本体51内に配置した構成であり、これ以外は実施形態1とほぼ同じ構成になっている。
【0076】
すなわち、この楽器本体51は、図16に示すように、下部ケース52と上部ケース3とを備えている。下部ケース52は、鍵盤シャーシ50が配置される底板部53と、鍵盤シャーシ50上に配置された複数の鍵4の前端下部を覆う前カバー部54と、鍵盤シャーシ50の後端部を覆う後カバー部55と、鍵盤シャーシ50の両側部を塞ぐ側板部56とを備えている。上部ケース3は、実施形態1と同様、複数の鍵4の後部、およびその後部側の回路基板13を覆って下部ケース52の後カバー部55上にビス30によって取り付けられるように構成されている。
【0077】
鍵盤シャーシ50は、実施形態1の鍵盤シャーシ2とほぼ同じ構成であり、図16に示すように、下部ケース52の底板部53上に配置された状態で、複数のビス57によって取り付けられている。この場合、鍵盤シャーシ50は、実施形態1の鍵盤シャーシ2における前カバー部5および後カバー部16が設けられていない以外は、実施形態1と同じ構成になっている。また、複数の鍵4の共通連結部17c、18c上には、実施形態1と同様に、回路基板13が取り付けられている。
【0078】
このような電子鍵盤楽器によれば、実施形態1と同様に、鍵盤シャーシ50の鍵盤支持部12上に複数の鍵4の共通連結部17c、18cをねじ部材23によって取り付ける際に、回路基板13を取り付けることができ、この状態で複数の鍵4間の隙間調整ができると共に、スイッチ基板10と回路基板13との接続配線ができるほか、製品前の検査をも行うことができる。
【0079】
このため、この電子鍵盤楽器では、鍵盤シャーシ50の鍵盤支持部12上に複数の鍵4の共通連結部17c、18cと共に回路基板13をねじ部材23によって取り付けた状態で、この鍵盤シャーシ50を楽器本体51の下部ケース52内に組み込むことができると共に、複数の鍵4の端部および回路基板13を覆って上部ケース3を設けることができるので、実施形態1と同様、組み立て作業性および配線作業性の向上を図ることができる。
【0080】
この場合にも、上部ケース3には、操作スイッチ25、表示パネル26、およびランプ27が挿入して上方に露出する開口孔31を設けるだけで良いので、上部ケース3の簡素化を図ることができると共に、上部ケース3の上面を回路基板13に接近させることができるので、上部ケース3の高さを黒鍵18aの高さとほぼ同じ高さにすることができ、これにより上部ケース3の厚みを薄くして、楽器全体の薄型化をも図ることができる。
【符号の説明】
【0081】
1、51 楽器本体
2、50 鍵盤シャーシ
3 上部ケース
4 鍵
10 スイッチ基板
12 鍵支持部
12a ボス部
13 回路基板
13a、13b、13c 回路基板の取付孔
14 補助支持部
17 白鍵ユニット
17a 白鍵
17b 屈曲部
17c 共通連結部
18 黒鍵ユニット
18a 黒鍵
18b 屈曲部
18c 共通連結部
20 共通連結部の取付孔
23、38 ねじ部材
35 位置決め孔
36 位置規制用の突起部
37 挿入孔
40 第1ねじ部材
41 第2ねじ部材
42 支持突起部
43 ねじ穴
52 下部ケース


【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵盤シャーシと、
この鍵盤シャーシ上に配列される複数の鍵と、
この複数の鍵を上下方向に変位可能な状態で前記複数の鍵における端部を前記鍵盤シャーシ上に取り付けるための締結部材と、
前記複数の鍵における前記端部に配置され、且つ前記締結部材によって前記鍵と共に前記鍵盤シャーシに対して取り付けられる回路基板と
を備えていることを特徴とする電子鍵盤楽器。
【請求項2】
前記複数の鍵は、その端部にそれぞれ設けられて前記各鍵をそれぞれ上下方向に変位可能に保持する屈曲部と、この屈曲部がそれぞれ前記鍵の配列方向に並んで連結される共通連結部とを備えており、
この共通連結部は、その所定箇所が前記締結部材によって前記鍵盤シャーシ上に取り付けられていることを特徴する請求項1に記載の電子鍵盤楽器。
【請求項3】
前記共通連結部には位置規制用の突起部が設けられており、前記鍵盤シャーシには前記突起部が嵌合する位置決め孔が設けられており、前記回路基板は前記突起部に対応する箇所にも取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の電子鍵盤楽器。
【請求項4】
前記共通連結部には、これと前記回路基板との間に隙間を設けるための支持突起部が設けられていることを特徴する請求項2に記載の電子鍵盤楽器。
【請求項5】
前記締結部材は、前記共通連結部を前記鍵盤シャーシに取り付けるための第1ねじ部材と、前記回路基板を前記共通連結部に取り付けるための第2ねじ部材とを備えていることを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載の電子鍵盤楽器。
【請求項6】
前記鍵盤シャーシには、前記回路基板を支持する補助支持部が設けられていることを特徴する請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電子鍵盤楽器。
【請求項7】
前記鍵盤シャーシおよび前記回路基板を収容するための下部ケースと上部ケースとを有する楽器本体を備えており、
前記鍵盤シャーシは前記下部ケース内に配置されており、前記回路基板は、これに搭載された電子部品の一部が前記上部ケースから上方に露出した状態で、前記楽器本体内に配置されていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の電子鍵盤楽器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−43595(P2011−43595A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190741(P2009−190741)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】