電子電話帳システム
【課題】本発明は,電子電話帳システムに登録された内線番号の更新処理を軽減するための方法とそのデータの活用方法に関するものである。従来技術では,内線番号を更新するためには,端末上で内線番号の更新画面を表示し,自ら番号を入力する必要があり,内線番号の更新漏れや誤入力が起きる問題があった。
【解決手段】上記課題を解決するために,ICカード1に格納されたカード情報を利用する。ICカードリーダを有する固定電話機2と,内線番号の登録更新処理を自動化した電子電話帳システム4より構成された電子電話帳システムにより解決する。
【解決手段】上記課題を解決するために,ICカード1に格納されたカード情報を利用する。ICカードリーダを有する固定電話機2と,内線番号の登録更新処理を自動化した電子電話帳システム4より構成された電子電話帳システムにより解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ネットワーク上の電子電話帳システムに登録された内線電話番号を常に最新の状態で維持するためのシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子電話帳システムは,個人番号などの個人識別子やメールアドレス,内線番号など各従業員に属する情報をネットワーク上で管理している。社員は,電子電話帳システムで管理されている属性情報を更新するために,端末上から専用のプログラムを起動し,手動で新しい属性情報を入力する必要がある。
【0003】
更に,属性情報を変更すると,社員が個人のPC端末や携帯移動端末(PHSや携帯電話など)に所持している電話帳データを合わせて更新する必要がある。
【0004】
特許文献1では,自らの属性情報を更新する時,自らのPC端末上で事前に設定しておいた連絡先に更新内容を通知することで,この問題を解決している。更新内容を受け取った側のPC端末および携帯移動端末側は,通知内容に従い,自らの電話帳データに登録された,該当ユーザの属性情報を更新する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-141998
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術では,部署異動や席替えなどで内線番号が変更となった際,各社員がPC端末上で専用のプログラムを立ち上げ,内線番号を手動で入力する必要がある。このため,入力ミスや更新漏れが生じ,他の社員が電子電話帳システムを検索しても,古い内線番号や誤った内線番号が表示され,正しい情報を入手できないという問題がある。その解決策として個人に携帯移動端末を所持させることが考えられるが,携帯移動端末の紛失や不正通話による情報漏えいの恐れがある。また,特に社員数が多い企業での携帯移動端末の運用管理にはコストが掛かるという課題もある。
【0007】
本発明は,ユーザ認証および各ユーザによる内線番号入力の処理を省き,電子電話帳システムに登録されたデータを常に最新で正確な状態に維持することを目的とする。
【0008】
また,更新後の内線番号を個人が管理している電話帳データに反映する際,特許文献1では,事前に設定する通知先の漏れなどにより,個人が管理している電話帳データの更新が行われず,古いデータが残存する可能性があるという課題が考えられる。
【0009】
そこで、本発明では,更に,個人で管理している電話帳データに関しても,常に有効な内線番号を利用可能にすることを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために,固定電話機にICカードリーダを設置し,ICカードに登録された個人識別子を用いて,電子電話帳システムに登録された個人の内線番号を更新するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に依れば,利用者は,PC端末上の専用プログラムから電子電話帳システムに内線番号を入力することなく,固定電話機にICカードをかざすだけで内線番号を更新することができる。また,内線番号を更新するためにPC端末を用いる必要がないため,打合せなどで事業所内を移動する際,行く先々の固定電話機の番号を一時的な内線番号に設定することが可能となるため,社員個人に携帯移動端末を配布する必要がなくなり,コスト・セキュリティ両面で効果が期待できる。
【0012】
本発明は更に,ダイヤル時にICカードによる認証を義務付けることで,従来,監視が難しかった外線番号の発信履歴管理を,ユーザに負担をかけずに実現できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施方法の全体構成を示した説明図である。
【図2】図1で示した構成の各要素を詳細な機能に分解した図である。
【図3】電子電話帳システムに一時的に内線番号を設定する際のフローである。
【図4】電子電話帳システムに恒久的に内線番号を設定する際のフローである。
【図5】図3および図4で更新した電子電話帳システムの使用例のフローである。
【図6】電子電話帳システムの管理する電子電話帳データの構造例である。
【図7】個人で管理する電話帳データを用いた,システムの応用例を表したフローである。(個人電話帳の格納先にシステムを使用する場合)
【図8】個人で管理する電話帳データを用いた,システムの応用例を表したフローである。(個人電話帳の格納先に固定電話機を使用する場合)
【図9】個人の電話帳データを管理する電話帳データの構造例である。
【図10】外線発信時に通話履歴を登録する履歴管理システムのフローである。
【図11】履歴管理システムが管理する発信履歴管理データの構造例である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0014】
以下,本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は,本発明における一実施例であるリアルタイム更新が可能な電子電話帳システムの構成を示すものである。ICカードリーダを有する固定電話機2と電子電話帳システム4と個人電子電話帳システム6と履歴管理システム8とクライアント10は,ネットワーク11を介して接続されている。固定電話機2とクライアント10は複数あってもよい。
【0015】
本実施例では,個人識別番号などの個人情報を格納したICカード1と,接続装置12でネットワーク11に接続されたICカードリーダを有する固定電話機2と,ネットワーク11を介して接続している電子電話帳システム4と個人電子電話帳システム6と履歴管理システム8とクライアント10で実現されており,固定電話機2には電話帳データ蓄積部3が割り当てられ,電子電話帳システム4には電子電話帳データ蓄積部5が割り当てられ,個人電子電話帳システム6には個人電子電話帳データ蓄積部7が割り当てられ,履歴管理システム8には発信履歴管理データ蓄積部9が割り当てられている。本実施例では,ネットワークで接続された複数のサーバに電子電話帳システムや電子電話帳データ蓄積部などの要素を割り当てることにより,実現した例を示したが,複数要素を1台のサーバに割り付けてもよい。
【0016】
図2は図1で示した構成の各要素を更に詳細化したものである。各構成要素について説明する。
【0017】
ICカードリーダを有する固定電話機2は,カードリーダ機能101と一時番号更新依頼機能102と恒久番号更新依頼機能103と内線番号検索依頼機能104と電話帳ロード機能105と電話帳検索機能106と電話帳登録編集機能107と外線発信履歴登録機能108と電話帳データ蓄積部3よりなる。
【0018】
カードリーダ機能101がICカードから個人識別番号を読み取り,読み取った個人識別番号に関して,一時番号更新依頼機能102および恒久番号更新依頼機能103は,内線番号の更新を電子電話帳システム4に依頼する。内線番号検索依頼機能104は,電話帳データ5に登録されている個人識別番号の内線番号の検索を電子電話帳システム4に依頼するための機能である。ネットワーク11上の各システムまたは固定電話機2で管理された電話帳データは,電話帳検索機能106により発見され,固定電話機2は対象の電話帳データを電話帳ロード機能105により入手する。固定電話機2の有する電話帳データ蓄積部3で管理される各ユーザの電話帳データは,電話帳登録編集機能107により,新規作成したり,電話帳に他のユーザの個人識別番号を登録・変更・削除したり,電話帳データ自体を消去したりできる。外線発信履歴登録機能108は,外線番号を発信する際に,発信履歴を履歴管理システム8に送付するための機能である。
【0019】
電話帳データ蓄積部3は,ユーザが固定電話機2に登録した電話帳データを管理するテーブルで,登録される電話帳データの詳細図を後述する図9に示す。
【0020】
電子電話帳システム4は,認証機能201とユーザ情報検索機能202と内線番号更新機能203と内線番号検索機能204と登録番号解除機能205と電子電話帳データ蓄積部5よりなる。認証機能201は,他のシステムよりユーザ認証を依頼された際に,個人識別番号を元にユーザ認証を行う。主な既存の技術には,LDAP(Lightweight Directory Access Protocol)サーバなどがある。ユーザ情報検索機能202は,クライアント10から内線番号の検索要求があった場合や,固定電話機2から特定ユーザの外線発信可否について問合せを受けた場合など,特検索対象ユーザの属性情報を検索し,検索結果をブラウザなどに表示させたり,固定電話機2に外線発信の可不可を回答するための機能である。内線番号更新機能203は,固定電話機2からの要求を受けて,電子電話帳データ蓄積部5に管理している対象ユーザの内線番号を更新する。内線番号検索機能204は,固定電話2や他のシステムからの要求に応じて,検索対象ユーザの個人識別番号を元に氏名や内線番号などユーザの属性情報を検索し,要求元のシステムに返す役割を持つ。登録番号解除機能205は,電子電話帳データ蓄積部5により管理されている各ユーザの一時内線番号を削除するための機能である。内線番号更新機能203により変更された一時内線番号の情報が一定時間経過しても変更されない場合,登録番号解除機能205によって強制的に解除することにより,一時内線番号の更新漏れを是正し,電子電話帳の登録データの正確さを確保する事ができる。電子電話帳データ蓄積部5は,個人識別番号や所属や内線番号やメールアドレスなど個人の属性情報を管理するテーブルで,詳細図を後述する図6に示す。
【0021】
個人電子電話帳システム6は,個人電話帳検索機能301と個人電話帳登録編集機能302と内線番号検索依頼機能303と個人電話帳データ蓄積部7よりなる。個人電話帳検索機能301は,固定電話機2やクライアント10などからの要求に従い,個人電話帳データ蓄積部7に管理されている各ユーザの個人電話帳を検索し,検索結果を提供する機能である。各ユーザの電話帳データは,個人電話帳登録編集機能302により,新規作成したり,電話帳への登録ユーザを追加・変更・削除したり,電話帳データ自体を消去したりできる。内線番号検索依頼機能303は,電話帳データに登録されている個人識別番号の内線番号を電子電話帳システム4に依頼するための機能である。
【0022】
個人電話帳データ蓄積部7は,ユーザが個人電子電話帳システム6に登録した電話帳を管理するテーブルで,登録される電話帳の詳細図を後述する図9に示す。
【0023】
履歴管理システム8は,履歴登録機能401と履歴検索機能402と発信履歴管理データ蓄積部9よりなる。履歴登録機能401は,固定電話機2や電子電話帳システム4からの要求に従い,発信履歴管理データ蓄積部9に外線発信履歴を登録する。登録した履歴は,履歴検索機能402により検索できる。発信履歴管理データ蓄積部9は,ユーザが外線発信した履歴を履歴管理システム8が管理するテーブルで,詳細図を後述する図11に示す。
【0024】
クライアント10は,入出力手段501よりなる。入出力手段501により,クライアント10は,電子電話帳システム4で,個人を識別するための識別子である個人識別子をキーに他のユーザの属性情報を検索したり,個人電子電話帳システム6が管理する個人電子電話帳データを利用,編集したりできる。個人識別子の一例として,本発明では個人識別番号を用いる。
【0025】
図3は,電子電話帳システム4に一時的に内線番号を設定する際の流れを示す。ユーザが固定電話機2にICカード1をかざすと(ステップ1001),固定電話機2の一時番号更新依頼機能102が起動する(ステップ1002)。一時番号更新依頼機能102はカードリーダ機能101を呼び出し,カードリーダ機能101がICカード1から個人識別番号などのカード情報を読み取り,一時番号更新依頼機能102に返す(ステップ1003)。一時番号更新依頼機能102は,受け取ったカード情報を電子電話帳システム4に送付し(ステップ1004),電子電話帳システム4の認証機能201は受け取ったカード情報を用いてユーザ認証を行う(ステップ1005)。固定電話機2の一時番号更新依頼機能102は,電子電話帳システム4から受け取った認証結果が認証失敗だった場合(ステップ1006でN),固定電話機2のディスプレイに対応するエラーメッセージを表示する(ステップ1007)。認証に成功した場合(ステップ1006でY)は,一時番号更新依頼機能102が,認証したユーザの一時内線番号を,固定電話機2が有する固定内線番号に変更するよう電子電話帳システム4に依頼する(ステップ1008)。電子電話帳システム4では,内線番号登録機能204が起動して処理を受け取り,電子電話帳データ蓄積部に管理されているユーザの一時内線番号と新たに変更を依頼された内線番号を比較する(ステップ1009)。一時内線番号のデータがNullまたは変更依頼された内線番号と一致していなければ(ステップ1010でN),変更を依頼された内線番号を,ユーザの一時内線番号として登録し,一時番号更新日時を更新して,処理を固定電話機2に返す(ステップ1011)。固定電話機2は,更新処理が完了したことをディスプレイに表示してユーザに通知する(ステップ1012)。一方,一時内線番号のデータと,変更依頼された内線番号が一致した場合には(ステップ1010でY),内線番号登録機能204が登録番号解除機能205を呼び出し,一時内線番号と一時番号更新日時のデータを削除して処理を固定電話機2に返す(ステップ1013)。固定電話機2は,削除処理が完了したことをディスプレイに表示してユーザに通知する(ステップ1014)。
【0026】
図4は,電子電話帳システム4に恒久的に内線番号を設定する際の流れを示す。ユーザが特定のダイヤル操作をすると(ステップ2001),固定電話機2の恒久番号更新依頼機能103が起動する(ステップ2002)。ダイヤル操作に続いてユーザが固定電話機2にICカード1をかざすと(ステップ2003),恒久番号更新依頼機能103はカードリーダ機能101を呼び出し,カードリーダ機能101がICカード1から個人識別番号などのカード情報を読み取り,恒久番号更新依頼機能103に返す(ステップ2004)。恒久番号更新依頼機能103は,受け取ったカード情報を電子電話帳システム4に送付し(ステップ2005),電子電話帳システム4の認証機能201は受け取ったカード情報を用いてユーザ認証を行う(ステップ2006)。固定電話機2の恒久番号更新依頼機能103は,電子電話帳システム4から受け取った認証結果が認証失敗だった場合(ステップ2007でN),固定電話機2のディスプレイに対応するエラーメッセージを表示する(ステップ,2008)。認証に成功した場合(ステップ2007でY)は,恒久番号更新依頼機能103が,認証したユーザの恒久内線番号を,固定電話機2が有する固定内線番号に変更するよう電子電話帳システム4に依頼する(ステップ2009)。電子電話帳システム4では,内線番号登録機能204が起動して処理を受け取り,変更を依頼された内線番号を,ユーザの恒久内線番号として登録して,処理を固定電話機2に返す(ステップ2010)。固定電話機2は,更新処理が完了したことをディスプレイに表示してユーザに通知する(ステップ2011)。
【0027】
図5は,図3および図4で更新した内線電話番号データの使用例として,クライアント10から電子電話帳システム4に対して,あるユーザの属性情報を検索する場合の流れを示す。ユーザがクライアント10の入出力手段501を利用して検索条件を入力する(ステップ3001)。クライアント10はブラウザや専用アプリケーションなど既存の技術を介して,電子電話帳システム4に対してユーザ検索を依頼する(ステップ3002)。電子電話帳システム4のユーザ情報検索機能202が,電子電話帳データ蓄積部5から該当するユーザの属性情報を検索する(ステップ3003)。検索した結果,該当するユーザが存在しなければ(ステップ3004でN),処理をクライアント10に返し,クライアント10は入出力手段501を介してエラーメッセージを表示させる(ステップ3005)。該当するユーザが存在した場合ステップ3004でY),ユーザ情報検索機能202は,検索の結果入手した検索対象ユーザの属性情報のうち,一時内線番号が登録されているかを確認する(ステップ3006)。存在する場合は(ステップ3006でY),結果出力の内線番号欄に一時内線番号を設定する(ステップ3007)し,存在しない場合にはステップ3006でN),結果出力の内線番号欄に恒久内線番号を設定して(ステップ3008),その他の属性情報と合わせて出力結果をクライアント10に返す。クライアント10は,受け取った出力結果を入出力画面501により表示する(ステップ3009)。
【0028】
図6は,電子電話帳データ蓄積部5に管理されている,各ユーザの属性情報の例である。データ項目としては,個人を識別するために組織から付与されたユニークな番号である個人識別番号,氏名,所属,恒久内線番号,一時内線番号,一時番号更新日時,外線番号発信可否,発信先制限などが考えられる。このうち,恒久内線番号は,検索時の初期値として自席の内線番号を登録しておくための項目である。一時内線番号は,打合せなどで席を離れる際に一時的に内線番号の検索結果を変更したい場合に設定する。一時番号更新日時には,一時内線番号を設定したが解除するのを忘れてしまった場合に古いデータが継続して残らないよう,一定時間経過に自動解除するために一時内線番号を設定した日時を記録する。外線番号発信可否および発信先制限には,そのユーザが外線発信を許可されているか,許可されている場合の発信先に関する制限について設定する。外線発信時のユーザ認証で使用することにより,不要な外線番号発信を未然に防止し,組織としてのセキュリティを向上させる事ができる。同データを用いたシステムの応用例を,実施例4として後述する。本実施例では,ユーザ認証の機能を電子電話帳システム4に持たせたが,これをその他のディレクトリサーバなどに持たせてもよい。
【実施例2】
【0029】
図7では,個人で管理する電話帳データを用いたシステムの応用例として,個人電話帳の格納先に個人電話帳システム6を使用する際の流れを示す。ユーザが特定のダイヤル操作をすると(ステップ5001),固定電話機2の電話帳ロード機能105が起動する(ステップ5002)。ダイヤル操作に続いてユーザが固定電話機2にICカード1をかざすと(ステップ5003),電話帳ロード機能105はカードリーダ機能101を呼び出し,カードリーダ機能101がICカード1から個人識別番号などのカード情報を読み取り,電話帳ロード機能105に返す(ステップ5004)。電話帳ロード機能105は,受け取ったカード情報を電子電話帳システム4に送付し(ステップ5005),電子電話帳システム4の認証機能201は受け取ったカード情報を用いてユーザ認証を行う(ステップ5006)。固定電話機2の電話帳ロード機能105は,電子電話帳システム4から受け取った認証結果が認証失敗だった場合(ステップ5007でN),固定電話機2のディスプレイに対応するエラーメッセージを表示する(ステップ5008)。認証に成功した場合は(ステップ5007でY),電話帳ロード機能105が個人電子電話帳システム6に対し,個人電話帳データ蓄積部7で管理している認証ユーザの個人電話帳を検索し,電話帳に登録されている個人識別番号の氏名と内線番号のリストを送付するよう依頼する(ステップ5009)。個人電子電話帳システム6では,個人電話帳検索機能301が起動して処理を受け取り,個人電話帳データ蓄積部7に管理されている認証ユーザ所有の個人電話帳を検索する(ステップ5010)。検索した個人電話帳に登録されている個人識別番号の内線番号検索を,内線番号検索依頼機能303が電子電話帳システム4に対して依頼する(ステップ5011)。電子電話帳システム4では,内線番号検索機能204が起動して処理を受け取り,電子電話帳データ蓄積部5に管理されている各ユーザの属性情報から,個人電話帳に登録されている個人識別番号に対応する一時内線番号をそれぞれ検索する(ステップ5012)。
【0030】
検索の結果,一時内線番号が登録されていれば(ステップ5013でY)内線番号に一時内線番号を設定し(ステップ5014),登録されていなければ(ステップ5013でN)内線番号に恒久内線番号を設定して(ステップ5013,5015),氏名と内線番号のリストを個人電子電話帳システム6に送付する(ステップ5016)。個人電子電話帳システム6は,受け取った氏名と内線番号のリストを固定電話機2に送付する(ステップ5017)。固定電話機2は,受け取ったリストをディスプレイに表示する(5018)。ユーザは,固定電話機2に表示されたリストから,該当するユーザを選択し,番号を発信する。(ステップ5019)。
【0031】
本実施例では,ユーザ認証の機能を電子電話帳システム4に持たせたが,これを個人電子電話帳システム6や,その他のディレクトリサーバなどに持たせてもよい。その際は,ユーザ認証するためのデータを,該当するシステムに持たせる必要がある。
【0032】
また,個人電話帳の検索結果として,氏名と内線番号以外に,所属などの属性情報を含めてもよい。
【実施例3】
【0033】
図8は,個人で管理する電話帳データを用いたシステムの応用例として,個人電話帳の格納先に固定電話機2を使用する際の流れである。
【0034】
ステップ6001からステップ6008までの処理は,実施例2のステップ5001からステップ5008と同一であるため省略する。
【0035】
電子電話帳システム4の認証機能201で認証に成功した場合は(ステップ6007でY),固定電話機2a上の電話帳ロード機能105が,ダイヤル操作内で指定された固定電話機2bに対して,電話帳データ蓄積部3bで管理している認証ユーザ所有の個人電話帳を検索して電話帳に登録されている個人識別番号の氏名と内線番号のリストを送付するよう依頼する(ステップ6009)。依頼を受けた固定電話機2bでは,電話帳検索機能106が起動して処理を受け取り,電話帳データ蓄積部3bに管理されている認証ユーザ所有の個人電話帳を検索する(ステップ6010)。検索した個人電話帳に登録されている個人識別番号の内線番号検索を,内線番号検索依頼機能104が電子電話帳システム2に対して依頼する(ステップ6011)。
【0036】
ステップ6012からステップ6015までの電子電話帳システム4で行われる処理についても,実施例2のステップ5012からステップ5015までの処理と同等であることから,説明は省略する。
【0037】
電子電話帳システム4の内線番号検索機能204は,検索の結果として,氏名と内線番号のリストを固定電話機2に送付する(ステップ6016)。固定電話機2bは,受け取った氏名と内線番号のリストを,検索の依頼元である固定電話機2aに送付する(ステップ6017)。依頼元である固定電話機2aは,受け取ったリストをディスプレイに表示する(ステップ6018)。ユーザは,固定電話機2aに表示されたリストから,該当するユーザを選択し,番号を発信する。(ステップ6018)。本実施例では,ユーザ認証の機能を電子電話帳システム4に持たせたが,これをその他のディレクトリサーバなどに持たせてもよい。その際は,ユーザ認証するためのデータを,該当するシステムに持たせる必要がある。
【0038】
また,個人電話帳の検索結果として,氏名と内線番号以外に,所属などの属性情報を含めてもよい。図9は,実施例2と実施例3で述べた,個人電話帳データ蓄積部7および電話帳データ蓄積部3に管理されている,各ユーザが所有する個人電話帳データの一例である。データ項目としては,個人電話帳の所有者の個人識別番号と,登録対象のユーザの個人識別番号のリストがある。内線番号を直に登録してしまうと,リアルタイムに変化する電子電話帳システム4上の一時内線番号の情報を利用できなくなってしまうため,保持するのは不変である個人識別番号とし,内線番号はその都度検索して入手する仕組みをとる。
【実施例4】
【0039】
図10では,システムの応用例として,固定電話機2の外線発信履歴を管理する仕組みについて示す。ユーザが特定のダイヤル操作をすると(ステップ8001),固定電話機2の外線発信履歴登録機能108が起動する(ステップ8002)。ダイヤル操作に続いてユーザが固定電話機2にICカード1をかざすと(ステップ8003),外線発信履歴登録機能108はカードリーダ機能101を呼び出し,カードリーダ機能101がICカード1から個人識別番号などのカード情報を読み取り,外線発信履歴登録機能108に返す(ステップ8004)。外線発信履歴登録機能108は,受け取ったカード情報を電子電話帳システム4に送付し(ステップ8005),電子電話帳システム4の認証機能201は受け取ったカード情報を用いてユーザ認証を行う(ステップ8006)。固定電話機2の外線発信履歴登録機能108は,電子電話帳システム4から受け取った認証結果が認証失敗だった場合(ステップ8007でN),固定電話機2のディスプレイに対応するエラーメッセージを表示する(ステップ8008)。認証に成功した場合は(ステップ8007でY),外線発信履歴登録機能108が,発信したい外線番号を入力するよう指示するメッセージを固定電話機2のディスプレイに表示する(ステップ8009)。ユーザが指示に従って外線番号を入力すると(ステップ8010),外線発信履歴登録機能108が,認証したユーザが入力された外線番号を発信可能か,電子電話帳システム4に問合せる(ステップ8011)。問合せを受けた電子電話帳システム4は,ユーザ情報検索機能202を起動し,電子電話帳データ蓄積部5から認証したユーザの情報を検索する(ステップ8012)。検索の結果,発信が許可されていない場合(ステップ8013でN),ユーザ情報検索機能202は履歴管理システム8の履歴登録機能401に処理を渡し,履歴登録機能401が,発信履歴管理データ蓄積部9に発信履歴を記録して(ステップ8014),更に固定電話機2のディスプレイに番号発信が許可されていないなど対応するエラーメッセージを表示する(ステップ8015)。発信が許可されている場合は(ステップ8013でY),電子電話帳システム4のユーザ情報検索機能202が,固定電話機2に処理を戻す(ステップ8013)。固定電話機2は,入力された外線番号を発信すると同時に,外線発信履歴登録機能108が,通話開始時刻として現在時刻を内部に記憶する(ステップ8016)。ユーザが通話を開始し(ステップ8017),受話器をフックに下ろしたら(ステップ8018),待機していた外線発信履歴登録機能108が,記憶していた通話開始時刻と,通話を終了した現在時刻,および自分の内線番号と発信先外線番号などの通話履歴情報を,履歴管理システム8に通知する(ステップ8019)。通話履歴情報を受け取った履歴管理システム8では,履歴登録機能401が起動し,発信履歴管理データ蓄積部9に通話履歴情報を記録し,固定電話機2に登録完了を通知する(ステップ8020)。固定電話機2は,通話履歴情報をディスプレイに表示して,処理を終了する(ステップ8021)。
【0040】
図11は,実施例4で述べた発信履歴管理データ蓄積部9で管理されている,通話履歴情報データの例である。データ項目としては,発信者の個人識別番号と,発信した内線電話機2固定の内線番号,発信できたかどうかの履歴,発信先外線番号,発信開始時間と終了時間などがある。これらのデータを管理することにより,電話を利用する際のモラル向上に役立てることができると考える。本実施例では,ユーザの認証および外線発信の可不可を判断する機能を電子電話帳システム4に持たせたが,これを履歴管理システム8や,その他のディレクトリサーバなどに持たせてもよい。その際は,ユーザ認証や外線発信の可不可を判断するためのデータを,該当するシステムに持たせる必要がある。また,本実施例では管理対象を外線番号のみに制限したが,管理対象を内線番号に拡大してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 ICカード
2 固定電話機
3 電話帳データ蓄積部
4 計算機(電子電話帳システム)
5 電子電話帳データ蓄積部
6 計算機(個人電子電話帳システム)
7 個人電子電話帳データ蓄積部
8 計算機(履歴管理システム)
9 発信履歴管理データ蓄積部
10 計算機(クライアント)
11 ネットワーク
12 接続装置
【技術分野】
【0001】
本発明は,ネットワーク上の電子電話帳システムに登録された内線電話番号を常に最新の状態で維持するためのシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子電話帳システムは,個人番号などの個人識別子やメールアドレス,内線番号など各従業員に属する情報をネットワーク上で管理している。社員は,電子電話帳システムで管理されている属性情報を更新するために,端末上から専用のプログラムを起動し,手動で新しい属性情報を入力する必要がある。
【0003】
更に,属性情報を変更すると,社員が個人のPC端末や携帯移動端末(PHSや携帯電話など)に所持している電話帳データを合わせて更新する必要がある。
【0004】
特許文献1では,自らの属性情報を更新する時,自らのPC端末上で事前に設定しておいた連絡先に更新内容を通知することで,この問題を解決している。更新内容を受け取った側のPC端末および携帯移動端末側は,通知内容に従い,自らの電話帳データに登録された,該当ユーザの属性情報を更新する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-141998
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の技術では,部署異動や席替えなどで内線番号が変更となった際,各社員がPC端末上で専用のプログラムを立ち上げ,内線番号を手動で入力する必要がある。このため,入力ミスや更新漏れが生じ,他の社員が電子電話帳システムを検索しても,古い内線番号や誤った内線番号が表示され,正しい情報を入手できないという問題がある。その解決策として個人に携帯移動端末を所持させることが考えられるが,携帯移動端末の紛失や不正通話による情報漏えいの恐れがある。また,特に社員数が多い企業での携帯移動端末の運用管理にはコストが掛かるという課題もある。
【0007】
本発明は,ユーザ認証および各ユーザによる内線番号入力の処理を省き,電子電話帳システムに登録されたデータを常に最新で正確な状態に維持することを目的とする。
【0008】
また,更新後の内線番号を個人が管理している電話帳データに反映する際,特許文献1では,事前に設定する通知先の漏れなどにより,個人が管理している電話帳データの更新が行われず,古いデータが残存する可能性があるという課題が考えられる。
【0009】
そこで、本発明では,更に,個人で管理している電話帳データに関しても,常に有効な内線番号を利用可能にすることを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために,固定電話機にICカードリーダを設置し,ICカードに登録された個人識別子を用いて,電子電話帳システムに登録された個人の内線番号を更新するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明に依れば,利用者は,PC端末上の専用プログラムから電子電話帳システムに内線番号を入力することなく,固定電話機にICカードをかざすだけで内線番号を更新することができる。また,内線番号を更新するためにPC端末を用いる必要がないため,打合せなどで事業所内を移動する際,行く先々の固定電話機の番号を一時的な内線番号に設定することが可能となるため,社員個人に携帯移動端末を配布する必要がなくなり,コスト・セキュリティ両面で効果が期待できる。
【0012】
本発明は更に,ダイヤル時にICカードによる認証を義務付けることで,従来,監視が難しかった外線番号の発信履歴管理を,ユーザに負担をかけずに実現できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施方法の全体構成を示した説明図である。
【図2】図1で示した構成の各要素を詳細な機能に分解した図である。
【図3】電子電話帳システムに一時的に内線番号を設定する際のフローである。
【図4】電子電話帳システムに恒久的に内線番号を設定する際のフローである。
【図5】図3および図4で更新した電子電話帳システムの使用例のフローである。
【図6】電子電話帳システムの管理する電子電話帳データの構造例である。
【図7】個人で管理する電話帳データを用いた,システムの応用例を表したフローである。(個人電話帳の格納先にシステムを使用する場合)
【図8】個人で管理する電話帳データを用いた,システムの応用例を表したフローである。(個人電話帳の格納先に固定電話機を使用する場合)
【図9】個人の電話帳データを管理する電話帳データの構造例である。
【図10】外線発信時に通話履歴を登録する履歴管理システムのフローである。
【図11】履歴管理システムが管理する発信履歴管理データの構造例である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0014】
以下,本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は,本発明における一実施例であるリアルタイム更新が可能な電子電話帳システムの構成を示すものである。ICカードリーダを有する固定電話機2と電子電話帳システム4と個人電子電話帳システム6と履歴管理システム8とクライアント10は,ネットワーク11を介して接続されている。固定電話機2とクライアント10は複数あってもよい。
【0015】
本実施例では,個人識別番号などの個人情報を格納したICカード1と,接続装置12でネットワーク11に接続されたICカードリーダを有する固定電話機2と,ネットワーク11を介して接続している電子電話帳システム4と個人電子電話帳システム6と履歴管理システム8とクライアント10で実現されており,固定電話機2には電話帳データ蓄積部3が割り当てられ,電子電話帳システム4には電子電話帳データ蓄積部5が割り当てられ,個人電子電話帳システム6には個人電子電話帳データ蓄積部7が割り当てられ,履歴管理システム8には発信履歴管理データ蓄積部9が割り当てられている。本実施例では,ネットワークで接続された複数のサーバに電子電話帳システムや電子電話帳データ蓄積部などの要素を割り当てることにより,実現した例を示したが,複数要素を1台のサーバに割り付けてもよい。
【0016】
図2は図1で示した構成の各要素を更に詳細化したものである。各構成要素について説明する。
【0017】
ICカードリーダを有する固定電話機2は,カードリーダ機能101と一時番号更新依頼機能102と恒久番号更新依頼機能103と内線番号検索依頼機能104と電話帳ロード機能105と電話帳検索機能106と電話帳登録編集機能107と外線発信履歴登録機能108と電話帳データ蓄積部3よりなる。
【0018】
カードリーダ機能101がICカードから個人識別番号を読み取り,読み取った個人識別番号に関して,一時番号更新依頼機能102および恒久番号更新依頼機能103は,内線番号の更新を電子電話帳システム4に依頼する。内線番号検索依頼機能104は,電話帳データ5に登録されている個人識別番号の内線番号の検索を電子電話帳システム4に依頼するための機能である。ネットワーク11上の各システムまたは固定電話機2で管理された電話帳データは,電話帳検索機能106により発見され,固定電話機2は対象の電話帳データを電話帳ロード機能105により入手する。固定電話機2の有する電話帳データ蓄積部3で管理される各ユーザの電話帳データは,電話帳登録編集機能107により,新規作成したり,電話帳に他のユーザの個人識別番号を登録・変更・削除したり,電話帳データ自体を消去したりできる。外線発信履歴登録機能108は,外線番号を発信する際に,発信履歴を履歴管理システム8に送付するための機能である。
【0019】
電話帳データ蓄積部3は,ユーザが固定電話機2に登録した電話帳データを管理するテーブルで,登録される電話帳データの詳細図を後述する図9に示す。
【0020】
電子電話帳システム4は,認証機能201とユーザ情報検索機能202と内線番号更新機能203と内線番号検索機能204と登録番号解除機能205と電子電話帳データ蓄積部5よりなる。認証機能201は,他のシステムよりユーザ認証を依頼された際に,個人識別番号を元にユーザ認証を行う。主な既存の技術には,LDAP(Lightweight Directory Access Protocol)サーバなどがある。ユーザ情報検索機能202は,クライアント10から内線番号の検索要求があった場合や,固定電話機2から特定ユーザの外線発信可否について問合せを受けた場合など,特検索対象ユーザの属性情報を検索し,検索結果をブラウザなどに表示させたり,固定電話機2に外線発信の可不可を回答するための機能である。内線番号更新機能203は,固定電話機2からの要求を受けて,電子電話帳データ蓄積部5に管理している対象ユーザの内線番号を更新する。内線番号検索機能204は,固定電話2や他のシステムからの要求に応じて,検索対象ユーザの個人識別番号を元に氏名や内線番号などユーザの属性情報を検索し,要求元のシステムに返す役割を持つ。登録番号解除機能205は,電子電話帳データ蓄積部5により管理されている各ユーザの一時内線番号を削除するための機能である。内線番号更新機能203により変更された一時内線番号の情報が一定時間経過しても変更されない場合,登録番号解除機能205によって強制的に解除することにより,一時内線番号の更新漏れを是正し,電子電話帳の登録データの正確さを確保する事ができる。電子電話帳データ蓄積部5は,個人識別番号や所属や内線番号やメールアドレスなど個人の属性情報を管理するテーブルで,詳細図を後述する図6に示す。
【0021】
個人電子電話帳システム6は,個人電話帳検索機能301と個人電話帳登録編集機能302と内線番号検索依頼機能303と個人電話帳データ蓄積部7よりなる。個人電話帳検索機能301は,固定電話機2やクライアント10などからの要求に従い,個人電話帳データ蓄積部7に管理されている各ユーザの個人電話帳を検索し,検索結果を提供する機能である。各ユーザの電話帳データは,個人電話帳登録編集機能302により,新規作成したり,電話帳への登録ユーザを追加・変更・削除したり,電話帳データ自体を消去したりできる。内線番号検索依頼機能303は,電話帳データに登録されている個人識別番号の内線番号を電子電話帳システム4に依頼するための機能である。
【0022】
個人電話帳データ蓄積部7は,ユーザが個人電子電話帳システム6に登録した電話帳を管理するテーブルで,登録される電話帳の詳細図を後述する図9に示す。
【0023】
履歴管理システム8は,履歴登録機能401と履歴検索機能402と発信履歴管理データ蓄積部9よりなる。履歴登録機能401は,固定電話機2や電子電話帳システム4からの要求に従い,発信履歴管理データ蓄積部9に外線発信履歴を登録する。登録した履歴は,履歴検索機能402により検索できる。発信履歴管理データ蓄積部9は,ユーザが外線発信した履歴を履歴管理システム8が管理するテーブルで,詳細図を後述する図11に示す。
【0024】
クライアント10は,入出力手段501よりなる。入出力手段501により,クライアント10は,電子電話帳システム4で,個人を識別するための識別子である個人識別子をキーに他のユーザの属性情報を検索したり,個人電子電話帳システム6が管理する個人電子電話帳データを利用,編集したりできる。個人識別子の一例として,本発明では個人識別番号を用いる。
【0025】
図3は,電子電話帳システム4に一時的に内線番号を設定する際の流れを示す。ユーザが固定電話機2にICカード1をかざすと(ステップ1001),固定電話機2の一時番号更新依頼機能102が起動する(ステップ1002)。一時番号更新依頼機能102はカードリーダ機能101を呼び出し,カードリーダ機能101がICカード1から個人識別番号などのカード情報を読み取り,一時番号更新依頼機能102に返す(ステップ1003)。一時番号更新依頼機能102は,受け取ったカード情報を電子電話帳システム4に送付し(ステップ1004),電子電話帳システム4の認証機能201は受け取ったカード情報を用いてユーザ認証を行う(ステップ1005)。固定電話機2の一時番号更新依頼機能102は,電子電話帳システム4から受け取った認証結果が認証失敗だった場合(ステップ1006でN),固定電話機2のディスプレイに対応するエラーメッセージを表示する(ステップ1007)。認証に成功した場合(ステップ1006でY)は,一時番号更新依頼機能102が,認証したユーザの一時内線番号を,固定電話機2が有する固定内線番号に変更するよう電子電話帳システム4に依頼する(ステップ1008)。電子電話帳システム4では,内線番号登録機能204が起動して処理を受け取り,電子電話帳データ蓄積部に管理されているユーザの一時内線番号と新たに変更を依頼された内線番号を比較する(ステップ1009)。一時内線番号のデータがNullまたは変更依頼された内線番号と一致していなければ(ステップ1010でN),変更を依頼された内線番号を,ユーザの一時内線番号として登録し,一時番号更新日時を更新して,処理を固定電話機2に返す(ステップ1011)。固定電話機2は,更新処理が完了したことをディスプレイに表示してユーザに通知する(ステップ1012)。一方,一時内線番号のデータと,変更依頼された内線番号が一致した場合には(ステップ1010でY),内線番号登録機能204が登録番号解除機能205を呼び出し,一時内線番号と一時番号更新日時のデータを削除して処理を固定電話機2に返す(ステップ1013)。固定電話機2は,削除処理が完了したことをディスプレイに表示してユーザに通知する(ステップ1014)。
【0026】
図4は,電子電話帳システム4に恒久的に内線番号を設定する際の流れを示す。ユーザが特定のダイヤル操作をすると(ステップ2001),固定電話機2の恒久番号更新依頼機能103が起動する(ステップ2002)。ダイヤル操作に続いてユーザが固定電話機2にICカード1をかざすと(ステップ2003),恒久番号更新依頼機能103はカードリーダ機能101を呼び出し,カードリーダ機能101がICカード1から個人識別番号などのカード情報を読み取り,恒久番号更新依頼機能103に返す(ステップ2004)。恒久番号更新依頼機能103は,受け取ったカード情報を電子電話帳システム4に送付し(ステップ2005),電子電話帳システム4の認証機能201は受け取ったカード情報を用いてユーザ認証を行う(ステップ2006)。固定電話機2の恒久番号更新依頼機能103は,電子電話帳システム4から受け取った認証結果が認証失敗だった場合(ステップ2007でN),固定電話機2のディスプレイに対応するエラーメッセージを表示する(ステップ,2008)。認証に成功した場合(ステップ2007でY)は,恒久番号更新依頼機能103が,認証したユーザの恒久内線番号を,固定電話機2が有する固定内線番号に変更するよう電子電話帳システム4に依頼する(ステップ2009)。電子電話帳システム4では,内線番号登録機能204が起動して処理を受け取り,変更を依頼された内線番号を,ユーザの恒久内線番号として登録して,処理を固定電話機2に返す(ステップ2010)。固定電話機2は,更新処理が完了したことをディスプレイに表示してユーザに通知する(ステップ2011)。
【0027】
図5は,図3および図4で更新した内線電話番号データの使用例として,クライアント10から電子電話帳システム4に対して,あるユーザの属性情報を検索する場合の流れを示す。ユーザがクライアント10の入出力手段501を利用して検索条件を入力する(ステップ3001)。クライアント10はブラウザや専用アプリケーションなど既存の技術を介して,電子電話帳システム4に対してユーザ検索を依頼する(ステップ3002)。電子電話帳システム4のユーザ情報検索機能202が,電子電話帳データ蓄積部5から該当するユーザの属性情報を検索する(ステップ3003)。検索した結果,該当するユーザが存在しなければ(ステップ3004でN),処理をクライアント10に返し,クライアント10は入出力手段501を介してエラーメッセージを表示させる(ステップ3005)。該当するユーザが存在した場合ステップ3004でY),ユーザ情報検索機能202は,検索の結果入手した検索対象ユーザの属性情報のうち,一時内線番号が登録されているかを確認する(ステップ3006)。存在する場合は(ステップ3006でY),結果出力の内線番号欄に一時内線番号を設定する(ステップ3007)し,存在しない場合にはステップ3006でN),結果出力の内線番号欄に恒久内線番号を設定して(ステップ3008),その他の属性情報と合わせて出力結果をクライアント10に返す。クライアント10は,受け取った出力結果を入出力画面501により表示する(ステップ3009)。
【0028】
図6は,電子電話帳データ蓄積部5に管理されている,各ユーザの属性情報の例である。データ項目としては,個人を識別するために組織から付与されたユニークな番号である個人識別番号,氏名,所属,恒久内線番号,一時内線番号,一時番号更新日時,外線番号発信可否,発信先制限などが考えられる。このうち,恒久内線番号は,検索時の初期値として自席の内線番号を登録しておくための項目である。一時内線番号は,打合せなどで席を離れる際に一時的に内線番号の検索結果を変更したい場合に設定する。一時番号更新日時には,一時内線番号を設定したが解除するのを忘れてしまった場合に古いデータが継続して残らないよう,一定時間経過に自動解除するために一時内線番号を設定した日時を記録する。外線番号発信可否および発信先制限には,そのユーザが外線発信を許可されているか,許可されている場合の発信先に関する制限について設定する。外線発信時のユーザ認証で使用することにより,不要な外線番号発信を未然に防止し,組織としてのセキュリティを向上させる事ができる。同データを用いたシステムの応用例を,実施例4として後述する。本実施例では,ユーザ認証の機能を電子電話帳システム4に持たせたが,これをその他のディレクトリサーバなどに持たせてもよい。
【実施例2】
【0029】
図7では,個人で管理する電話帳データを用いたシステムの応用例として,個人電話帳の格納先に個人電話帳システム6を使用する際の流れを示す。ユーザが特定のダイヤル操作をすると(ステップ5001),固定電話機2の電話帳ロード機能105が起動する(ステップ5002)。ダイヤル操作に続いてユーザが固定電話機2にICカード1をかざすと(ステップ5003),電話帳ロード機能105はカードリーダ機能101を呼び出し,カードリーダ機能101がICカード1から個人識別番号などのカード情報を読み取り,電話帳ロード機能105に返す(ステップ5004)。電話帳ロード機能105は,受け取ったカード情報を電子電話帳システム4に送付し(ステップ5005),電子電話帳システム4の認証機能201は受け取ったカード情報を用いてユーザ認証を行う(ステップ5006)。固定電話機2の電話帳ロード機能105は,電子電話帳システム4から受け取った認証結果が認証失敗だった場合(ステップ5007でN),固定電話機2のディスプレイに対応するエラーメッセージを表示する(ステップ5008)。認証に成功した場合は(ステップ5007でY),電話帳ロード機能105が個人電子電話帳システム6に対し,個人電話帳データ蓄積部7で管理している認証ユーザの個人電話帳を検索し,電話帳に登録されている個人識別番号の氏名と内線番号のリストを送付するよう依頼する(ステップ5009)。個人電子電話帳システム6では,個人電話帳検索機能301が起動して処理を受け取り,個人電話帳データ蓄積部7に管理されている認証ユーザ所有の個人電話帳を検索する(ステップ5010)。検索した個人電話帳に登録されている個人識別番号の内線番号検索を,内線番号検索依頼機能303が電子電話帳システム4に対して依頼する(ステップ5011)。電子電話帳システム4では,内線番号検索機能204が起動して処理を受け取り,電子電話帳データ蓄積部5に管理されている各ユーザの属性情報から,個人電話帳に登録されている個人識別番号に対応する一時内線番号をそれぞれ検索する(ステップ5012)。
【0030】
検索の結果,一時内線番号が登録されていれば(ステップ5013でY)内線番号に一時内線番号を設定し(ステップ5014),登録されていなければ(ステップ5013でN)内線番号に恒久内線番号を設定して(ステップ5013,5015),氏名と内線番号のリストを個人電子電話帳システム6に送付する(ステップ5016)。個人電子電話帳システム6は,受け取った氏名と内線番号のリストを固定電話機2に送付する(ステップ5017)。固定電話機2は,受け取ったリストをディスプレイに表示する(5018)。ユーザは,固定電話機2に表示されたリストから,該当するユーザを選択し,番号を発信する。(ステップ5019)。
【0031】
本実施例では,ユーザ認証の機能を電子電話帳システム4に持たせたが,これを個人電子電話帳システム6や,その他のディレクトリサーバなどに持たせてもよい。その際は,ユーザ認証するためのデータを,該当するシステムに持たせる必要がある。
【0032】
また,個人電話帳の検索結果として,氏名と内線番号以外に,所属などの属性情報を含めてもよい。
【実施例3】
【0033】
図8は,個人で管理する電話帳データを用いたシステムの応用例として,個人電話帳の格納先に固定電話機2を使用する際の流れである。
【0034】
ステップ6001からステップ6008までの処理は,実施例2のステップ5001からステップ5008と同一であるため省略する。
【0035】
電子電話帳システム4の認証機能201で認証に成功した場合は(ステップ6007でY),固定電話機2a上の電話帳ロード機能105が,ダイヤル操作内で指定された固定電話機2bに対して,電話帳データ蓄積部3bで管理している認証ユーザ所有の個人電話帳を検索して電話帳に登録されている個人識別番号の氏名と内線番号のリストを送付するよう依頼する(ステップ6009)。依頼を受けた固定電話機2bでは,電話帳検索機能106が起動して処理を受け取り,電話帳データ蓄積部3bに管理されている認証ユーザ所有の個人電話帳を検索する(ステップ6010)。検索した個人電話帳に登録されている個人識別番号の内線番号検索を,内線番号検索依頼機能104が電子電話帳システム2に対して依頼する(ステップ6011)。
【0036】
ステップ6012からステップ6015までの電子電話帳システム4で行われる処理についても,実施例2のステップ5012からステップ5015までの処理と同等であることから,説明は省略する。
【0037】
電子電話帳システム4の内線番号検索機能204は,検索の結果として,氏名と内線番号のリストを固定電話機2に送付する(ステップ6016)。固定電話機2bは,受け取った氏名と内線番号のリストを,検索の依頼元である固定電話機2aに送付する(ステップ6017)。依頼元である固定電話機2aは,受け取ったリストをディスプレイに表示する(ステップ6018)。ユーザは,固定電話機2aに表示されたリストから,該当するユーザを選択し,番号を発信する。(ステップ6018)。本実施例では,ユーザ認証の機能を電子電話帳システム4に持たせたが,これをその他のディレクトリサーバなどに持たせてもよい。その際は,ユーザ認証するためのデータを,該当するシステムに持たせる必要がある。
【0038】
また,個人電話帳の検索結果として,氏名と内線番号以外に,所属などの属性情報を含めてもよい。図9は,実施例2と実施例3で述べた,個人電話帳データ蓄積部7および電話帳データ蓄積部3に管理されている,各ユーザが所有する個人電話帳データの一例である。データ項目としては,個人電話帳の所有者の個人識別番号と,登録対象のユーザの個人識別番号のリストがある。内線番号を直に登録してしまうと,リアルタイムに変化する電子電話帳システム4上の一時内線番号の情報を利用できなくなってしまうため,保持するのは不変である個人識別番号とし,内線番号はその都度検索して入手する仕組みをとる。
【実施例4】
【0039】
図10では,システムの応用例として,固定電話機2の外線発信履歴を管理する仕組みについて示す。ユーザが特定のダイヤル操作をすると(ステップ8001),固定電話機2の外線発信履歴登録機能108が起動する(ステップ8002)。ダイヤル操作に続いてユーザが固定電話機2にICカード1をかざすと(ステップ8003),外線発信履歴登録機能108はカードリーダ機能101を呼び出し,カードリーダ機能101がICカード1から個人識別番号などのカード情報を読み取り,外線発信履歴登録機能108に返す(ステップ8004)。外線発信履歴登録機能108は,受け取ったカード情報を電子電話帳システム4に送付し(ステップ8005),電子電話帳システム4の認証機能201は受け取ったカード情報を用いてユーザ認証を行う(ステップ8006)。固定電話機2の外線発信履歴登録機能108は,電子電話帳システム4から受け取った認証結果が認証失敗だった場合(ステップ8007でN),固定電話機2のディスプレイに対応するエラーメッセージを表示する(ステップ8008)。認証に成功した場合は(ステップ8007でY),外線発信履歴登録機能108が,発信したい外線番号を入力するよう指示するメッセージを固定電話機2のディスプレイに表示する(ステップ8009)。ユーザが指示に従って外線番号を入力すると(ステップ8010),外線発信履歴登録機能108が,認証したユーザが入力された外線番号を発信可能か,電子電話帳システム4に問合せる(ステップ8011)。問合せを受けた電子電話帳システム4は,ユーザ情報検索機能202を起動し,電子電話帳データ蓄積部5から認証したユーザの情報を検索する(ステップ8012)。検索の結果,発信が許可されていない場合(ステップ8013でN),ユーザ情報検索機能202は履歴管理システム8の履歴登録機能401に処理を渡し,履歴登録機能401が,発信履歴管理データ蓄積部9に発信履歴を記録して(ステップ8014),更に固定電話機2のディスプレイに番号発信が許可されていないなど対応するエラーメッセージを表示する(ステップ8015)。発信が許可されている場合は(ステップ8013でY),電子電話帳システム4のユーザ情報検索機能202が,固定電話機2に処理を戻す(ステップ8013)。固定電話機2は,入力された外線番号を発信すると同時に,外線発信履歴登録機能108が,通話開始時刻として現在時刻を内部に記憶する(ステップ8016)。ユーザが通話を開始し(ステップ8017),受話器をフックに下ろしたら(ステップ8018),待機していた外線発信履歴登録機能108が,記憶していた通話開始時刻と,通話を終了した現在時刻,および自分の内線番号と発信先外線番号などの通話履歴情報を,履歴管理システム8に通知する(ステップ8019)。通話履歴情報を受け取った履歴管理システム8では,履歴登録機能401が起動し,発信履歴管理データ蓄積部9に通話履歴情報を記録し,固定電話機2に登録完了を通知する(ステップ8020)。固定電話機2は,通話履歴情報をディスプレイに表示して,処理を終了する(ステップ8021)。
【0040】
図11は,実施例4で述べた発信履歴管理データ蓄積部9で管理されている,通話履歴情報データの例である。データ項目としては,発信者の個人識別番号と,発信した内線電話機2固定の内線番号,発信できたかどうかの履歴,発信先外線番号,発信開始時間と終了時間などがある。これらのデータを管理することにより,電話を利用する際のモラル向上に役立てることができると考える。本実施例では,ユーザの認証および外線発信の可不可を判断する機能を電子電話帳システム4に持たせたが,これを履歴管理システム8や,その他のディレクトリサーバなどに持たせてもよい。その際は,ユーザ認証や外線発信の可不可を判断するためのデータを,該当するシステムに持たせる必要がある。また,本実施例では管理対象を外線番号のみに制限したが,管理対象を内線番号に拡大してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 ICカード
2 固定電話機
3 電話帳データ蓄積部
4 計算機(電子電話帳システム)
5 電子電話帳データ蓄積部
6 計算機(個人電子電話帳システム)
7 個人電子電話帳データ蓄積部
8 計算機(履歴管理システム)
9 発信履歴管理データ蓄積部
10 計算機(クライアント)
11 ネットワーク
12 接続装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ICカードリーダを有する固定電話機から,ICカードに登録された個人識別番号と固定電話機固有の内線番号を受け取って,前記個人識別番号に対応した内線番号を更新することを特徴とする電子電話帳システム。
【請求項2】
請求項1記載において、ユーザが内線電話機を利用する場面に応じて,一時的な内線番号と恒久的な内線番号を使い分けて登録することを特徴とする電子電話帳システム。
【請求項3】
請求項1記載において、前記固定電話機以外の機器に保存されている電話帳データを,前記固定電話機にダウンロードすることを特徴とする電子電話帳システム。
【請求項4】
請求項1記載において、前記固定電話機での通話時,発信者や発信先番号を制御し,かつ,履歴を管理することを特徴とした電子電話帳システム。
【請求項1】
ICカードリーダを有する固定電話機から,ICカードに登録された個人識別番号と固定電話機固有の内線番号を受け取って,前記個人識別番号に対応した内線番号を更新することを特徴とする電子電話帳システム。
【請求項2】
請求項1記載において、ユーザが内線電話機を利用する場面に応じて,一時的な内線番号と恒久的な内線番号を使い分けて登録することを特徴とする電子電話帳システム。
【請求項3】
請求項1記載において、前記固定電話機以外の機器に保存されている電話帳データを,前記固定電話機にダウンロードすることを特徴とする電子電話帳システム。
【請求項4】
請求項1記載において、前記固定電話機での通話時,発信者や発信先番号を制御し,かつ,履歴を管理することを特徴とした電子電話帳システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−135125(P2011−135125A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−289964(P2009−289964)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]