説明

電子音楽装置および電子音楽システム

【課題】所定の機能を実行するために一連の操作手順に沿った操作が必要な場合に、次に操作すべき手順を提示することが可能となる電子音楽装置および電子音楽システムを提供する。
【解決手段】スイッチF3が押下されて、「人気操作」のタブTB3が選択されると、次の推奨操作手順の候補が人気の高い順に推奨1〜6として割り当てられたボタンAB1〜AB6が表示される。ここで割り当てられる次の推奨操作手順の候補は、ユーザの所定回数分の操作履歴に基づいて、電子音楽装置およびサーバのそれぞれに設けられた推奨操作手順データベースに登録された当該「人気操作」のカテゴリに属するシーケンス群を検索することで、実際に取得したものである。そして、ボタンAB1〜AB6のいずれかが押下操作されると、そのボタンに割り当てられた操作手順が実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一連の操作手順に沿った操作により所定の機能を実行する電子音楽装置および電子音楽システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に電子音楽装置は、一連の操作手順に沿った操作により所定の設定を実行する。たとえば、電子音楽装置上で音色の選択設定を行う場合、モードスイッチを操作して音色選択モードに移行し、カーソルスイッチを操作して複数の音色群の中から好みの音色群を選択し、同様にカーソルスイッチを操作して、選択された音色群を構成する複数の音色の中から好みの音色を選択し、設定スイッチを操作して、選択された音色を設定する。
【0003】
上記スイッチを含む各種スイッチの近傍には、当該スイッチの機能を簡単に表す文字列等が印刷されているが、文字列等ではその機能を認識できない初心者ユーザのために、その機能を音声で説明するガイダンス機能を設けた電子音楽装置もある(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
また、ワープロソフトウェア等の一般ユーザ向けアプリケーションソフトウェアは、様々な用途・ユーザを想定しているために非常に多機能である反面、多機能すぎて、個々のユーザにとって有用な機能を見つけるのが難しいという問題がある。この問題に対処するために、ソフトウェアに対するユーザの操作履歴をネットワーク経由で自動収集する仕組みを設け、多数のユーザから収集した操作履歴に対して協調フィルタリングを行うことで、個々のユーザにとって有用と思われる機能を推薦するようにしたシステムも提案されている(たとえば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−17417号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ソフトウェア機能の推薦システムのための協調フィルタリング,ソフトウェアシンポジウム2002,2002年7月17日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、所定の機能を実行するために一連の操作手順に沿った操作が必要な場合、その操作を行うユーザが、特に初心者であれば、次に操作すべき手順を提示して欲しい。
【0008】
しかし上記従来の電子音楽装置では、ユーザがスイッチを操作すると、そのスイッチに割り当てられた機能が音声で説明されるだけであるので、次に操作すべき手順は提示されない。
【0009】
また上記従来のシステムでは、ユーザの操作履歴から、そのユーザにとって有用と思われる機能を提示するものの、次に操作すべき手順は提示されない。
【0010】
本発明は、この点に着目してなされたものであり、所定の機能を実行するために一連の操作手順に沿った操作が必要な場合に、次に操作すべき手順を提示することが可能となる電子音楽装置および電子音楽システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の電子音楽装置は、楽音設定または演奏設定に関する操作を行うための操作子と、該操作子を用いてユーザが行った操作の情報を過去の操作履歴として蓄積する蓄積手段と、前記操作子を用いてユーザが行った現在の操作を含む操作手順、および前記蓄積手段に蓄積された過去の操作履歴に基づいて、ユーザが次に行うべき操作の候補を検出し、提示する提示手段とを有することを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するため、請求項2に記載の電子音楽システムは、複数台の電子音楽装置および少なくとも1台のサーバからなる電子音楽システムであって、前記複数台の電子音楽装置のそれぞれは、楽音設定または演奏設定に関する操作を行うための操作子と、該操作子を用いてユーザが行った操作の情報を前記サーバに送信する送信手段と、前記サーバが送信した次に行うべき操作の候補を受信する受信手段と、該受信手段によって受信された次に行うべき操作の候補を提示する提示手段とを有し、前記サーバは、前記電子音楽装置のそれぞれが送信した操作の情報を受信する受信手段と、該受信手段によって受信された操作の情報を過去の操作履歴として蓄積する蓄積手段と、前記受信手段によって受信された現在の操作の情報を含む操作手順であって、前記複数台の電子音楽装置のいずれかが送信したもの、および前記蓄積手段に蓄積された過去の操作履歴に基づいて、当該電子音楽装置のユーザが次に行うべき操作の候補を検出し、当該電子音楽装置に送信する送信手段とを有することを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するため、請求項3に記載の電子音楽装置は、楽音設定または演奏設定に関する操作を行うための操作子と、該操作子を用いてユーザが行うことを推奨する推奨操作手順を記憶する記憶手段と、前記操作子を用いてユーザが行った現在の操作を含む操作手順、および前記記憶手段に記憶された推奨操作手順に基づいて、ユーザが次に行うべき操作の候補を検出し、提示する提示手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、操作子を用いてユーザが行った現在の操作を含む操作手順、および蓄積手段に蓄積された過去の操作履歴に基づいて、ユーザが次に行うべき操作の候補が検出され、提示されるので、ユーザは、次にどのような操作を行えばよいかを知ることができる。その結果、ユーザが、特に初心者であっても、目的の機能を迷わずに実行することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、操作子を用いてある電子音楽装置のユーザが行った現在の操作を含む操作手順、および蓄積手段に蓄積された多くのユーザの過去の操作履歴に基づいて、当該電子音楽装置のユーザが次に行うべき操作の候補が検出され、提示されるので、請求項1の記載の発明から得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、操作子を用いてユーザが行った現在の操作を含む操作手順、および記憶手段に記憶された推奨操作手順に基づいて、ユーザが次に行うべき操作の候補が検出され、提示されるので、請求項1の記載の発明から得られる効果と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態に係る電子音楽装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1の電子音楽装置およびサーバを含む電子音楽システムの制御構成を示すブロック図である。
【図3】図1中の表示装置を構成するLCD周辺のパネル面の一部の平面図である。
【図4】「詳細表示」のタブが選択されてから「推奨UI/アプリ」のボタンが選択されたときにLCD上に表示された画面の一例を示す図である。
【図5】「詳細表示」のタブが選択されてから「操作履歴表示」のボタンが選択されたときにLCD上に表示された画面の一例を示す図である。
【図6】図1の電子音楽装置およびサーバのそれぞれの操作履歴管理部がそれぞれ実行する制御処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施の形態に係る電子音楽装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0020】
同図に示すように、電子音楽装置100は、音高情報を含む演奏情報を入力するための鍵盤を含む演奏操作子1と、各種情報を入力するための複数のスイッチやダイアル、ホイールを含む設定操作子2と、演奏操作子1の操作状態を検出する検出回路3と、設定操作子2の操作状態を検出する検出回路4と、装置全体の制御を司るCPU5と、該CPU5が実行する制御プログラムや各種テーブルデータ等を記憶するROM6と、演奏情報、各種入力情報および演算結果等を一時的に記憶するRAM7と、各種情報等を表示する、たとえば液晶ディスプレイ(LCD)および発光ダイオード(LED)等を備えた表示装置8と、前記制御プログラムを含む各種アプリケーション・プログラムや各種楽曲データ、各種データ等を記憶する記憶装置9と、通信ネットワーク300を介して、たとえばサーバコンピュータ(以下、「サーバ」と略して言う)200とデータの送受信を行う通信インターフェース(I/F)10と、演奏操作子1から入力された演奏情報や、前記記憶装置9に記憶されたいずれかの楽曲データを再生して得られた演奏情報等を楽音信号に変換するとともに、その楽音信号に各種効果を付与するための音源・効果回路11と、該音源・効果回路11からの楽音信号を音響に変換する、たとえば、DAC(digital-to-analog converter)やアンプ、スピーカ等のサウンドシステム12とにより構成されている。
【0021】
上記構成要素3〜11は、バス13を介して相互に接続され、通信I/F10には通信ネットワーク300が接続され、音源・効果回路11にはサウンドシステム12が接続されている。
【0022】
記憶装置9は、たとえば、フレキシブルディスク(FD)、ハードディスク(HD)、CD−ROM、DVD(digital versatile disc)、光磁気ディスク(MO)および半導体メモリなどの記憶媒体とその駆動装置である。記憶媒体は、駆動装置から着脱可能であってもよいし、記憶装置9自体が、電子音楽装置100から着脱可能であってもよい。あるいは、記憶媒体も記憶装置9も着脱不可能であってもよい。なお、記憶装置9(の記憶媒体)には、前述のように、CPU5が実行する制御プログラムも記憶でき、ROM6に制御プログラムが記憶されていない場合には、この記憶装置9に制御プログラムを記憶させておき、それをRAM7に読み込むことにより、ROM6に制御プログラムを記憶している場合と同様の動作をCPU5にさせることができる。このようにすると、制御プログラムの追加やバージョンアップ等が容易に行える。
【0023】
通信I/F10は、上述のように、たとえばLAN(local area network)やインターネット、電話回線等の通信ネットワーク300に接続されており、該通信ネットワーク300を介して、サーバ200に接続される。記憶装置9に上記各プログラムや各種パラメータが記憶されていない場合には、通信I/F10は、サーバ200からプログラムやパラメータをダウンロードするために用いられる。クライアントとなる電子音楽装置100は、通信I/F10および通信ネットワーク300を介してサーバ200へとプログラムやパラメータのダウンロードを要求するコマンドを送信する。サーバ200は、このコマンドを受け、要求されたプログラムやパラメータを、通信ネットワーク300を介して電子音楽装置100へと配信し、電子音楽装置100が通信I/F10を介して、これらプログラムやパラメータを受信して記憶装置9に蓄積することにより、ダウンロードが完了する。このように本実施の形態では、通信I/F10として、汎用ネットワークI/Fを採用しているが、これに他の種類のI/F、具体的には、MIDI(musical instrument digital interface)信号などの音楽信号を専用に送受信する音楽専用有線I/F、USB(universal serial bus)やIEEE1394などの汎用近距離有線I/F、無線LANやBluetooth(登録商標)などの汎用近距離無線I/Fを加えるようにしてもよい。
【0024】
なお本実施の形態では、電子音楽装置100を電子鍵盤楽器上に構築するようにしたが、これに限らず、鍵盤を外部接続した汎用的なPC上に構築してもよい。また鍵盤楽器の形態に限らず、弦楽器タイプや管楽器タイプ、打楽器タイプ等の形態でもよい。さらにミキサなどの音響機器上に構築するようにしてもよい。その場合には、楽音信号をミキシングするための信号処理回路やAD/DA変換回路などは必須の構成要素であるが、音源・効果回路11は必須の構成要素ではない。
【0025】
サーバ200は、電子音楽装置100の上記構成から、演奏操作子1、設定操作子2、検出回路3,4、表示装置8、音源・効果回路11およびサウンドシステム12を除き、その代わりに、文字数字入力用キーボード、マウスおよび大型ディスプレイを加えた、通常のサーバ用コンピュータ上に構築される。
【0026】
図2は、電子音楽装置100およびサーバ200を含む電子音楽システムの制御構成を示すブロック図であり、サーバ200には、他の電子音楽装置100′,100″およびコンピュータ210も接続されている。
【0027】
電子音楽装置100は、表示装置8上に各種UI(user interface)を表示し、ユーザが表示中のUIに対して入力操作を行うと、その入力操作を装置100内に取り込み、その入力操作に応じた制御処理を行うように構成されている。電子音楽装置100の電源がオンされると、表示装置8上には初期UIが表示される。初期UIには、各種アプリケーション・プログラムをそれぞれ起動するためのボタン(図示せず)が設けられ、ユーザがいずれかのボタンを押下操作すると、そのボタンに対応付けられたアプリケーション・プログラムが起動する。図示例では、第1から第3までの3種類のアプリケーション・プログラムが示されている。たとえば、第1アプリケーション・プログラムは、楽曲データを自動再生するシーケンサのプログラムであり、第2アプリケーション・プログラムは、音源・効果回路11が生成する楽音の音色を編集する音色エディタのプログラムであり、第3アプリケーション・プログラムは、自動作曲を行うプログラムである。もちろん、アプリケーション・プログラムの種類数は、この3種類に限られず、これより多くてもよいし少なくてもよく、さらにアプリケーション・プログラムの内容も、この3種類に限られない。また本実施の形態では、この3種類のアプリケーション・プログラムは、予め電子音楽装置100内、たとえば記憶装置9内に記憶されているものとするが、これに限られず、(後述するダウンローダ101を用いて)サーバ200から適宜ダウンロードするようにしてもよい。
【0028】
各アプリケーションの各機能には、複数種類のUIが設けられている。図2には、標準UI、操作手順推奨UI、カスタムUI、ウィザード(wizard)UIおよび高機能UIの5種類が例示されている。標準UIは、第1〜第3アプリケーション・プログラムに標準的に備わっているUIである。操作手順推奨UIは、次の操作手順であって推奨するもの(以下、「次の推奨操作手順」という)の候補をユーザに提示する(表示する)UIである。カスタムUIは、標準UIでは満足しないユーザが自分の好みに応じて作成したUIである。なおカスタムUIは、本実施の形態では後述するように、電子音楽装置100のユーザ以外の人が作成したものもサーバ200から取得できるようになっている。ウィザードUIは、表示される質問にユーザが答えて行くことで、目的の機能を実行できるようにしたUIである。高機能UIは、標準UIでは表示されていない(たとえば、ユーザの能力や使い勝手を考えて故意に隠されている)高度な機能を表示して選択できるようにするUIである。ただし各アプリケーションの各機能毎に、常に上記5種類のUIが設けられている訳ではなく、アプリケーションや機能によっては5種類より少ないことも多いこともあり得る。またアプリケーション・プログラムが動作していない状態で表示されるUIも、前記初期UIの他にもいくつか設けられているが、本実施の形態では、いずれかのアプリケーション・プログラムが動作している状態での制御処理を問題にしているので、アプリケーション・プログラムが動作していない状態で表示されるUIについては、これ以上説明しない。
【0029】
各UIの表示用データのうち、標準UIの表示用データは、第1〜第3アプリケーション・プログラム内に組み込まれている。そして第1〜第3アプリケーション・プログラムは、前述のように記憶装置9内に予め記憶されているので、標準UIの表示用データは、本実施の形態では電子音楽装置100内に予め記憶されている。しかしその他のUIの表示用データは、ダウンローダ101が必要に応じてサーバ200のUIデータベース202から取得して電子音楽装置100内に組み込む。もちろん、その他のUIの一部(あるいは全部)も予め記憶装置9内に記憶するようにしてもよい。なおダウンローダ101は、前記通信I/F10、RAM7、CPU5およびCPU5が実行する所定の制御プログラムによって実現される。
【0030】
UIセレクタ102は、CPU5およびCPU5が実行する所定の制御プログラムによって実現され、複数種類のUIの中からいずれかのUIを選択し、選択したUIの表示用データを表示装置8に供給することにより、当該UIを表示装置8上に表示する。UIセレクタ102によるUIの選択は、ユーザの指示に応じてなされるが、操作手順推奨UI等での推奨選択候補の提示(表示)は、ユーザの最新の入力操作から所定回数だけ過去に遡った入力操作(ただし所定回数には“0”回の場合、つまり過去に遡らず、最新の入力操作のみの場合も含まれる)までの操作履歴(以下、「所定回数分の操作履歴」という)に基づいて自動的になされる。もちろんこれに加えて、従来の電子音楽装置と同様に、各UIについて予め固定的に決められている選択候補を提示(ボタンやアイコンなどで表示)するようにしてもよい。
【0031】
現在表示中のUI、たとえばあるアプリケーションのある機能の標準UIに対してユーザが入力操作を行うと、その入力操作は操作履歴管理部103に供給される。操作履歴管理部103は、RAM7、CPU5およびCPU5が実行する所定の制御プログラムによって実現され、ユーザの所定回数分の操作履歴に基づいて自身の推奨操作手順データベース104およびサーバ200の推奨操作手順データベース204を検索することで、次の推奨操作手順の候補をいくつか取得して、当該標準UIに対応する操作手順推奨UIに供給する。ただし操作履歴管理部103は、サーバ200の推奨操作手順データベース204から次の推奨操作手順を取得するときには、サーバ200内に設けられた操作履歴管理部203を介して行う。具体的には、ユーザの入力操作(厳密には、図6を用いて後述するように、当該入力操作を示す「操作種類データ」である。以下同様)は、操作履歴管理部103に供給されるとともに、操作履歴管理部103から通信I/F10を介してサーバ200側の操作履歴管理部203にも送信される。操作履歴管理部203は、この入力操作を含む所定回数分の操作履歴に基づいてサーバ200内の推奨操作手順データベース204を検索することで、次の推奨操作手順の候補をいくつか取得し、取得した候補をサーバ200側の通信I/F(図示せず)を介して電子音楽装置100側の操作履歴管理部103に送信する。操作履歴管理部103は、自身で推奨操作手順データベース104から取得した次の推奨操作手順の候補と、操作履歴管理部203から送信されて来た次の推奨操作手順の候補とを混合し、混合された次の推奨操作手順の候補を当該標準UIに対応する操作手順推奨UIに供給する。そしてユーザがその操作手順推奨UIの表示を指示すると、UIセレクタ102は、その操作手順推奨UIの表示データを選択して、表示装置8に供給する。これにより、混合された次の推奨操作手順の候補が表示装置8上に提示される。
【0032】
なお、次の推奨操作手順の候補は、常に推奨操作手順データベース104および推奨操作手順データベース204の双方から取得されるとは限らず、場合によってはいずれか一方から取得される。つまり、電子音楽装置100はサーバ200と接続されていない場合があり、その場合には当然ながら、次の推奨操作手順の候補はサーバ200の推奨操作手順データベース204から取得されない。また、データベースに登録されているデータが不足していることなどにより、次の推奨操作手順の候補を検索できない場合もあり、この場合にも、次の推奨操作手順の候補はそのデータベースから取得されない。
【0033】
推奨操作手順データベース104には、各アプリケーションの各機能毎に操作手順のシーケンスが登録される。具体的には、
(A)シーケンサ
(I)楽曲の記録
(i)1:入力方法の選択画面の表示操作;2:ステップ入力の選択操作;3:入力画面の選択操作;4:テンポ設定操作
(ii)1:入力方法の選択画面の表示操作;2:ステップ入力の選択操作;3:テンポ設定操作;4:入力画面の選択操作
(iii)1:入力方法の選択画面の表示操作;2:リアルタイム入力の選択操作;3:メトロノーム音のオン/オフの選択操作;4:入力画面の選択操作
(II)楽曲の再生
(i)1:選曲画面の表示操作;2:選曲操作;3:再生指示操作
(ii)1:選曲画面の表示操作;2:選曲操作;3:テンポ変更操作;4:再生指示操作
(iii)1:選曲画面の表示操作;2:選曲操作;3:譜面表示操作;4:再生指示操作
(B)音色エディタ
(I)楽音波形の選択
(i)1:音色選択画面の表示操作;2:音色に対応する波形の選択操作;3:決定操作;4:エンベロープの設定画面の表示操作
(ii)1:音色選択画面の表示操作;2:音色に対応する波形の選択操作;3:決定操作;4:フィルタ設定画面の表示操作
(iii)1:音色選択画面の表示操作;2:音色を構成するエレメントの表示操作;3:エレメントによって指示される波形の変更操作;4:決定操作;5:リリース部設定画面の表示操作;6:決定操作;7:フィルタ設定画面の表示操作
(II)エンベロープの設定
(i)1:エンベロープ設定画面の表示操作;2:アタック部設定画面の表示操作;3:ディケイ部設定画面の表示操作;4:サスティン部設定画面の表示操作;5:リリース部設定画面の表示操作;6:決定操作;7:フィルタ設定画面の表示操作
(ii)1:エンベロープ設定画面の表示操作;2:アタック部設定画面の表示操作;3:ディケイ部設定画面の表示操作;4:リリース部設定画面の表示操作;5:決定操作;6:フィルタ設定画面の表示操作
(iii)1:エンベロープ設定画面の表示操作;2:アタック部設定画面の表示操作;3:リリース部設定画面の表示操作;4:決定操作;7:フィルタ設定画面の表示操作
(III)フィルタの選択
(i)1:フィルタ選択画面の表示操作;2:フィルタの選択操作;3:決定操作;4:エンベロープの設定画面の表示操作
(ii)1:フィルタ選択画面の表示操作;2:フィルタの選択操作;3:決定操作;4:音色選択画面の表示操作
(C)自動作曲
(I)作曲
(i)1:リズムパート作曲用画面の表示操作;2:記録操作;3:メロディパート作曲用画面の表示操作;4:記録操作
(ii)1:リズムパート作曲用画面の表示操作;2:記録操作;3:メロディパート作曲用画面の表示操作;4:試聴操作;5:記録操作
(iii)1:メロディパート作曲用画面の表示操作;2:記録操作;3:リズムパート作曲用画面の表示操作;4:記録操作
(iv)1:リズムパート作曲用画面の表示操作;2:メロディパート作曲用画面の表示操作;3:記録操作
(II)再生(試聴)
(i)1:作曲した曲の表示操作;2:選曲操作;3:再生指示操作
のように登録される。ただし、(A)〜(C)は各アプリケーション(前記第1〜第3アプリケーション・プログラム)を示し、(I)〜(III)は各機能を示し、(i)〜(iv)は操作手順の各シーケンスを示し、整数値は操作の順番を示している。
【0034】
このように各アプリケーションの各機能に対応付けて、操作手順のシーケンスを複数(単数の場合あるいは存在しない場合もあり得る)含むシーケンス群が登録されるが、さらにこのようなシーケンス群は、当該各機能毎に設けられる複数のカテゴリのそれぞれについて登録される。もちろん、同じアプリケーションの同じ機能であっても、カテゴリが異なれば通常、登録されるシーケンス群の内容は異なっている。ここで複数のカテゴリとは、本実施の形態では「あなたの操作」、「メーカ推奨操作」、「人気操作」、「新着操作」および「旧モデル操作」の5種類である。「あなたの操作」のカテゴリには、電子音楽装置100のユーザが行った過去の操作手順のシーケンス(操作履歴)が登録される。「メーカ推奨操作」のカテゴリには、電子音楽装置100のメーカが想定している典型的な操作手順のシーケンスが登録される。「人気操作」のカテゴリには、電子音楽装置100と同種の電子音楽装置(前記他の電子音楽装置100′および100″は、本実施の形態では電子音楽装置100と同種の電子音楽装置を想定しているので、この電子音楽装置100′,100″も含まれる)を使用している多くのユーザが行った過去の操作手順のシーケンス(操作履歴)が収集されて登録される。「新着操作」のカテゴリには、今までの操作とは異なる新たな操作が、たとえばアプリケーション・プログラムのバージョンアップなどで追加された場合に、その新たな操作を含む操作手順のシーケンスが登録される。「旧モデル操作」のカテゴリには、たとえば電子音楽装置100が発売されたばかりで、「人気操作」のカテゴリなどに操作手順のシーケンスが蓄積されていない場合に、先行して発売済みの旧モデルについての操作手順のシーケンスのうち、利用可能なもの(たとえば、電子音楽装置100にも搭載されている機能に関する操作手順のシーケンス)が登録される。
【0035】
上記5種類のカテゴリのうち「あなたの操作」および「メーカ推奨操作」の各カテゴリは、電子音楽装置100の推奨操作手順データベース104内に設けられ、残りの「人気操作」、「新着操作」および「旧モデル操作」の各カテゴリは、サーバ200の推奨操作手順データベース204内に設けられている。なお「メーカ推奨操作」のカテゴリは、推奨操作手順データベース104内ではなく、推奨操作手順データベース204内に設けられるとしてもよいし、推奨操作手順データベース104内に加えて、推奨操作手順データベース204内にも設けられるとしてもよい。
【0036】
「あなたの操作」のカテゴリには、前述のようにユーザが実際に行った入力操作が登録されるので、操作履歴管理部103は、供給されたユーザの入力操作を推奨操作手順データベース104に供給し、その入力操作を、当該アプリケーションおよび機能のシーケンス群のうち、「あなたの操作」のカテゴリに属するシーケンス群に登録する。ただしこの登録では、所定の操作範囲(たとえば、各アプリケーションにおいて1つの機能が選択されてから次の機能が選択されるまでの範囲)内に含まれる複数の入力操作を一度に登録することが望ましいので、操作履歴管理部103は、当該操作範囲の先頭に相当する入力操作がなされてからその末尾に相当する入力操作がなされるまで、入力操作の度にその入力操作を操作履歴ファイル(図6を用いて後述)に追加保存して行き、当該操作範囲の末尾に相当する入力操作が行われた時点で、その操作履歴ファイル、つまり操作手順のシーケンスを対応するシーケンス群に登録する。そしてこのとき、既に登録されている操作手順のシーケンスと同じ操作手順のシーケンスを重ねて推奨操作手順データベース104に登録しようとする場合があるが、その場合には操作履歴管理部103は、当該操作手順のシーケンスを実際に重複登録せずに、当該操作手順のシーケンスに対応付けて、重複登録しようとする回数をカウントするカウンタ(カウント領域)を設け、重複登録しようとする度にそのカウンタを“1”ずつインクリメントする。これにより操作履歴管理部103は、ユーザがどの操作手順のシーケンスを多く実行したかを、各カウンタのカウント値から簡単に知ることができる。
【0037】
「メーカ推奨操作」のカテゴリには、前述のようにメーカが想定している典型的な操作手順のシーケンス複数からなるシーケンス群が、各アプリケーションの各機能毎に1つずつ登録される。電子音楽装置100の出荷時に「メーカ推奨操作」が確定していれば、その「メーカ推奨操作」手順のシーケンスを推奨操作手順データベース104に登録した後出荷すればよいし、出荷時に「メーカ推奨操作」が確定していなければ、確定したときに適宜その「メーカ推奨操作」手順のシーケンスを、サーバ200を介してコンピュータ210(後述するように、電子音楽装置100のメーカが所有するものである)から取得し、推奨操作手順データベース104に登録すればよい。
【0038】
サーバ200の推奨操作手順データベース204には、前述のように各アプリケーションの各機能毎に「人気操作」、「新着操作」および「旧モデル操作」の各カテゴリが設けられ、そのカテゴリ毎に1つのシーケンス群が登録される。推奨操作手順データベース204に登録されるデータのフォーマットは、本実施の形態では、推奨操作手順データベース104に登録されるデータのそれと同じとしている。両フォーマットを同じにしたのは、説明の都合上に過ぎず、それ以上の理由はないので、各フォーマットを異ならせるようにしてもよい。このように各フォーマットを異ならせてもよいのは、推奨操作手順データベース104は操作履歴管理部103によって管理され、推奨操作手順データベース204は操作履歴管理部203によって管理されているというように、各データベース104,204が独立して個別に管理されているからである。
【0039】
「人気操作」のカテゴリには、前述のように多くのユーザが行った過去の操作手順のシーケンス複数からなるシーケンス群が、各アプリケーションの各機能毎に1つずつ登録される。操作履歴管理部203は、操作履歴管理部103から入力操作を受信すると、その入力操作を、当該アプリケーションおよび機能のシーケンス群のうち、「人気操作」のカテゴリに属するシーケンス群に登録する。ただしここでの登録は、前記「あなたの操作」のカテゴリにおける登録と同様に、所定の操作範囲内の複数の入力操作が一度に登録される。これと同様にして、他の電子音楽装置100′,100″のユーザが当該他の電子音楽装置100′,100″に対して行った入力操作のシーケンスも、操作履歴管理部203によって、当該「人気操作」のカテゴリに属するシーケンス群に登録される。このとき、「あなたの操作」のカテゴリに操作手順のシーケンスを登録する場合と同様に、既に登録されている操作手順のシーケンスと同じ操作手順のシーケンスを重ねて推奨操作手順データベース204に登録しようとする場合があるが、その場合には操作履歴管理部203は、当該操作手順のシーケンスを実際に重複登録せずに、当該操作手順のシーケンスに対応付けて、重複登録しようとする回数をカウントするカウンタ(カウント領域)を設け、重複登録しようとする度にそのカウンタを“1”ずつインクリメントする。これにより操作履歴管理部203は、どの操作手順のシーケンスが人気があるかを、各カウンタのカウント値から簡単に知ることができる。
【0040】
「新着操作」および「旧モデル操作」の各カテゴリに属する各シーケンス群には、前記コンピュータ210から送信(アップロード)されたものが登録される。コンピュータ210は、本実施の形態では電子音楽装置100,100′,100″のメーカが所有するものであり、アプリケーション・プログラムのバージョンが更新されたり、新たなアプリケーション・プログラムが電子音楽装置100,100′,100″に導入されたりしたときには、「新着操作」手順のシーケンスをサーバ200に送信する一方、モデルチェンジした新製品が発売されたり、サーバ200側から要求されたりしたときには、「旧モデル操作」手順のシーケンスをサーバ200に送信する。操作履歴管理部203は、コンピュータ210から「新着操作」手順のシーケンスを受信すると、それを当該アプリケーションおよび機能のシーケンス群のうち、「新着操作」のカテゴリに属するシーケンス群に登録し、「旧モデル操作」手順のシーケンスを受信すると、それを当該アプリケーションおよび機能のシーケンス群のうち、「旧モデル操作」のカテゴリに属するシーケンス群に登録する。
【0041】
なお前述のように、推奨操作手順データベース204内に「メーカ推奨操作」のカテゴリが設けられることがあるが、このときに新たな「メーカ推奨操作」が出現した場合、コンピュータ210は、その「メーカ推奨操作」手順のシーケンスをサーバ200に送信するので、これに応じて操作履歴管理部203は、その「メーカ推奨操作」手順のシーケンスを受信して、当該アプリケーションおよび機能のシーケンス群のうち、「メーカ推奨操作」のカテゴリに属するシーケンス群に登録する。
【0042】
さらに本実施の形態では、操作履歴管理部203は、ユーザが操作を失敗したことを各アプリケーションの各機能毎に判定するので、上記3種類(あるいは4種類)のカテゴリに「失敗操作」のカテゴリを追加し、この「失敗操作」のカテゴリに、主な失敗操作のシーケンスをいくつか収集して生成したシーケンス群を登録しておく。失敗操作のシーケンスとしては、たとえば、ある機能を実行するまでに、その機能を実行に至らせる操作とは外れた操作を繰り返したり、「戻る」操作や「取消し」操作を繰り返したりするような操作手順のシーケンスが挙げられる。
【0043】
前記第1〜第3のアプリケーション・プログラムのそれぞれには、ヘルパ・アプリケーション・プログラムを組み込むことができるように構成されている。ヘルパ・アプリケーション・プログラムには、初心のユーザを対象にして、その入力操作を支援するためのものや、熟練のユーザを対象にして、当該アプリケーションに標準的に備わっている機能を高機能化するためのものがある。たとえば、アプリケーション・プログラムとして前記(B)の音色エディタが選択され、その機能として前記(II)のエンベロープの設定が選択され、エンベロープのアタック部が設定されている状態であるとして、ヘルパ・アプリケーション・プログラムが組み込まれていないときには、ユーザは、アタック部の形状を決定する数値を直接入力したり、アップ/ダウンボタンを用いてその数値を増加/減少させたりしなければならないのに対して、ヘルパ・アプリケーション・プログラムが組み込まれたときには、アタック部の形状がグラフィカルに表示され、ユーザはドラッグ操作によってその形状を変更するだけで、その変更後の形状がそのまま設定されるようになる。ヘルパ・アプリケーション・プログラムは、本実施の形態では各アプリケーションの各機能毎に設けられ、サーバ200上に構築されているヘルパ・アプリケーション・データベース201に登録されている。
【0044】
取扱説明書/Q&Aデータベース205は、電子音楽装置100,100′,100″を含む各種電子音楽装置の取扱説明書や、ユーザが入力操作に迷ったときなどに提示する各種Q&A(問答集)を登録する。
【0045】
UIカスタマイザ105は、RAM7、CPU5およびCPU5が実行する所定の制御プログラムによって実現され、ユーザが前記カスタムUIを電子音楽装置100上で作成するときに使用される。UIカスタマイザ105によって作成されたカスタムUIの表示用データは、アップローダ106を介してサーバ200にアップロードされて、前記UIデータベース202に登録される。なおアップローダ106は、通信I/F10、RAM7、CPU5およびCPU5が実行する所定の制御プログラムによって実現される。
【0046】
UIデータベース202は、前述のように「標準UI」以外のUI、つまり「操作手順推奨UI」、「カスタムUI」、「ウィザードUI」および「高機能UI」の各表示用データを登録する。
【0047】
図3は、前記表示装置8を構成するLCD8a周辺のパネル面の一部を示す平面図である。
【0048】
同図に示すように、LCD8aの下側には、前記設定操作子2に含まれるファンクション・スイッチF1〜F6(以下、「スイッチF1〜F6」と略して言う)とサブファンクション・スイッチSF1〜SF6(以下、「スイッチSF1〜SF6」と略して言う)が1行ずつ並んで設けられている。主として、スイッチF1〜F6は、基本的な機能を指定するために用いられ、スイッチSF1〜SF6は、スイッチF1〜F6で指定された基本的な機能内の細かい機能を指定するために用いられる。
【0049】
LCD8a上には、ユーザの入力操作に応じた各種表示を行うための表示領域DAと、上記基本的な機能が割り当てられるタブTB1〜TB6と、上記基本的な機能内の細かい機能が割り当てられるボタンAB1〜AB6とが表示されている。タブTB1〜TB6のそれぞれは、スイッチF1〜F6のうちの対応するものをユーザが押下することで選択され、ボタンAB1〜AB6のそれぞれは、スイッチSF1〜SF6のうちの対応するものをユーザが押下することで選択される。
【0050】
図3には、ユーザが操作手順推奨UIの表示を指示した後、スイッチF3を押下したことで、タブTB3に割り当てられている「人気操作」が指定され、その結果、ボタンAB1〜AB6のそれぞれに次の推奨操作手順の候補が推奨順に割り当てられた状態が描かれている。
【0051】
以上のように構成された電子音楽装置100およびサーバ200が実行する制御処理を、まずその概要を図3〜図5を参照して説明し、次に図6を参照して詳細に説明する。
【0052】
ユーザが、たとえば、アプリケーション・プログラムとして前記(A)のシーケンサを選択し、その機能として前記(II)の楽曲の再生を選択すると、図3の表示領域DAには、前回選曲された楽曲の名称(楽曲が選曲されていない場合には、デフォルトの楽曲の名称あるいは楽曲が選曲されていない旨)および再生の開始/停止/一時停止/巻き戻し/早送りを指示するための再生制御ボタン(図示せず)に加えて、選曲画面を表示するための選曲ボタン(図示せず)が表示される。ただしこの時点では、表示領域DAの下側には、ボタンAB1〜AB6とタブTB1〜TB6は表示されず、その代わりに、操作手順推奨UIの表示を指示するための操作手順推奨ボタン(図示せず)が表示される。この状態でユーザが、たとえば設定操作子2に含まれるカーソルスイッチ(図示せず)を操作して選曲ボタンを選択し、設定操作子2に含まれる決定スイッチ(図示せず)を押下すると、つまり「1:選曲画面の表示操作」を行うと、表示領域DAには、選曲可能な楽曲の名称の一覧が表示される。そしてユーザが、この名称一覧から好みの名称を選択して「2:選曲操作」を行うと、表示領域DAの表示状態は、この名称一覧が表示される前の状態、つまり楽曲の名称、再生制御ボタン、選曲ボタンおよび操作手順推奨ボタンが表示された状態(ただし楽曲の名称は、「2:選曲操作」によって選曲された曲の名称に変更される)に戻る。
【0053】
次にユーザが上記操作手順推奨ボタンを押下操作すると、表示領域DAの下側には、「あなたの操作」、「メーカ推奨操作」、「人気操作」、「新着操作」、「旧モデル操作」および「詳細表示」をそれぞれ選択するためのタブTB1〜TB6が表示される。ただしこの時点では、ボタンAB1〜AB6は表示されていない。
【0054】
次にユーザがスイッチF3を押下することで、「人気操作」のタブTB3を選択すると、図3に示すように、次の推奨操作手順の候補が人気の高い順に推奨1〜6として割り当てられたボタンAB1〜AB6が表示される。ここで割り当てられる次の推奨操作手順の候補は、ユーザの所定回数(≠0とする)分の操作履歴、つまり「1:選曲画面の表示操作」および「2:選曲操作」に基づいて、推奨操作手順データベース104および204に登録された当該「人気操作」のカテゴリに属するシーケンス群を検索することで、実際に取得したものである。そしてユーザが、ボタンAB1〜AB6のいずれかを押下操作すると、そのボタンに割り当てられた操作手順が実行される。
【0055】
一方、「あなたの操作」のタブTB1が選択されると、推奨操作手順データベース104に登録された当該「あなたの操作」のカテゴリに属するシーケンス群を検索して取得された次の推奨操作手順の候補が、操作回数の多い順に推奨1〜6として割り当てられたボタンAB1〜AB6が表示される。また、「メーカ推奨操作」のタブTB2が選択されると、推奨操作手順データベース204に登録された当該「メーカ推奨操作」のカテゴリに属するシーケンス群を検索して取得された次の推奨操作手順の候補が、メーカの推奨順に推奨1〜6として割り当てられたボタンAB1〜AB6が表示される。さらに、「新着操作」のタブTB4が選択されると、推奨操作手順データベース204に登録された当該「新着操作」のカテゴリに属するシーケンス群を検索して取得された次の推奨操作手順の候補が、新着順に推奨1〜6として割り当てられたボタンAB1〜AB6が表示される。またさらに、「旧モデル操作」のタブTB5が選択されると、推奨操作手順データベース204に登録された当該「旧モデル操作」のカテゴリに属するシーケンス群を検索して取得された次の推奨操作手順の候補が、メーカの推奨順に推奨1〜6として割り当てられたボタンAB1〜AB6が表示される。
【0056】
このように本実施の形態では、ユーザの操作履歴に基づいて次の推奨操作手順の候補を提示するようにしたので、ユーザは、次にどのような操作を行えばよいかを知ることができる。その結果、ユーザが、特に初心者であっても、目的の機能を迷わずに実行することができる。
【0057】
次にユーザがスイッチF6を押下することで、「詳細表示」のタブTB6を選択すると、つまり、他のタブが選択されていた状態から「詳細表示」のタブTB6が選択される状態に切り替わると、ボタンAB1〜AB6にそれぞれ「操作履歴表示」、「推奨UI/アプリ」、「取扱説明表示」、「Q&A表示」、「推奨結果『○』送信」および「推奨結果『×』送信」の各機能が割り当てられて表示されるだけで、表示領域DAには特に何も表示されない。この表示状態からユーザがスイッチSF2を押下することで、「推奨UI/アプリ」のボタンAB2を選択すると、表示領域DAには、推奨UI/アプリ提示画面が表示される。
【0058】
図4は、LCD8a上に表示された推奨UI/アプリ提示画面の一例を示す図であり、同図(a)は、ユーザが意図した操作に失敗したと判定されているときに表示された画面を示し、同図(b)は、ユーザが意図した操作に失敗していないと判定されているときに表示された画面を示している。
【0059】
ユーザが「推奨UI/アプリ」のボタンAB2を選択したときに、サーバ200によってその操作履歴から自身の意図した操作に失敗したと判定されていると、図4(a)に示すように表示領域DA上には、操作に失敗した旨のメッセージとともに推奨するUIまたはアプリケーションを導入するためのボタンDA1およびDA2が表示される。そしてユーザがボタンDA1を選択することで、ウィザードUIの導入を指示すると、操作履歴管理部103は、UIセレクタ102を介して当該ウィザードUIを選択し、たとえば表示領域DA上に表示させる。ウィザードUIの表示用データは、ウィザードUIの導入を指示するためのボタンDA1が表示される時点で既に、ダウンローダ101を介してサーバ200側から電子音楽装置100内にダウンロードされ、たとえば前記RAM7内に格納されているので、UIセレクタ102は、そのウィザードUIの表示用データを表示装置8に供給するだけで、当該ウィザードUIをLCD8aの表示領域DAに表示することができる。一方、ユーザがボタンDA2を選択することで、ヘルパ・アプリケーション・プログラムの導入を指示すると、操作履歴管理部103は、そのヘルパ・アプリケーション・プログラムを記憶装置9から読み出して、当該アプリケーション・プログラムに組み込む。ヘルパ・アプリケーション・プログラムも、ウィザードUIと同様に、ヘルパ・アプリケーション・プログラムを導入するためのボタンDA2が表示される時点で既に、ダウンローダ101を介してサーバ200側から電子音楽装置100内にダウンロードされ、記憶装置9内に格納されている。なお、ここで提示されるUIやヘルパ・アプリケーションは、ユーザの操作が失敗と判定されたときのものであるので、ウィザードUIは、ユーザの入力操作を簡単にするためのものであり、ヘルパ・アプリケーション・プログラムは、ユーザの入力操作を自動化あるいは簡単化するためのものである。
【0060】
次にユーザが「取扱説明表示」のボタンAB3あるいは「Q&A表示」のボタンAB4を選択すると、操作履歴管理部103は、表示対象の取扱説明書あるいはQ&Aの表示用データを記憶装置9から読み出して、表示装置8に供給する。取扱説明書およびQ&Aの表示用データも、ウィザードUIと同様に、「取扱説明表示」のボタンAB3および「Q&A表示」のボタンAB4が表示される時点で既に、ダウンローダ101を介してサーバ200側から電子音楽装置100内にダウンロードされ、記憶装置9内に格納されている。このとき表示される取扱説明は、なぜ失敗したかをユーザに理解させるのに適したものであり、このとき表示されるQ&Aは、うまく行かない理由と、どうしたらうまく行くかなどの問いに答えるものである。
【0061】
一方、ユーザが「推奨UI/アプリ」のボタンAB2を選択したときに、サーバ200によってその操作履歴から自身の意図した操作に成功していると判定されていると、図4(b)に示すように表示領域DA上には、その判定結果の内容を示すメッセージとともに推奨するUIまたはアプリケーションを導入するためのボタンDA1〜DA3が表示される。ボタンDA1〜DA3およびボタンAB3,AB4を選択したときの処理は、上記失敗時の対応する処理と同様であるので、その説明は省略する。ただし、ここで提示されるUIやヘルパ・アプリケーションなどは、ユーザの操作が成功と判定されたときのものであるので、UIは、電子音楽装置100の高機能化を目的にした高機能UIやカスタムUIであり、ヘルパ・アプリケーション・プログラムは、電子音楽装置100を高機能化するためのものであり、取扱説明やQ&Aは、電子音楽装置100についてのさらに高度な使い方をユーザに提案するものである。
【0062】
次にユーザがスイッチSF1を押下することで、「操作履歴表示」のボタンAB1を選択すると、図5に示すように操作履歴とこの操作履歴に基づいた判定結果(サーバ200から送信されて来た判定結果)が表示される。
【0063】
このように本実施の形態では、ユーザの操作履歴に基づいてユーザが意図した操作に失敗したかどうかを判定するようにし、ユーザが意図した操作に失敗したと判定されたときには、その操作を成功に導くためのUI、アプリケーション、取扱説明あるいはQ&Aを提供するようにしたので、それ以降の失敗操作を減少させることが期待できる一方、ユーザが意図した操作に成功したと判定されたときには、そのユーザに適していると推測されるUI、アプリケーション、取扱説明あるいはQ&Aを推奨し、それらをユーザの意思で選択的に導入することができるようにしたので、ユーザ毎に適した電子音楽装置を構築することが可能となる。
【0064】
次に、この制御処理を詳細に説明する。
【0065】
図6は、電子音楽装置100およびサーバ200の操作履歴管理部103および203がそれぞれ実行する制御処理の手順を示すフローチャートである。
【0066】
本制御処理のうち、電子音楽装置100側の操作履歴管理部103が実行する制御処理には、サーバ200とネット接続されずに電子音楽装置100が単体で行う処理(ステップS101,S102およびS108の一部)と、サーバ200とネット接続されて、電子音楽装置100がサーバ200と協働して行う処理(ステップS104〜S108)とが含まれている。そしてサーバ200の操作履歴管理部203が実行する制御処理は、操作履歴管理部103による制御処理に応じてなされる処理のみが記載されている。つまりサーバ200の操作履歴管理部203が単独で行う処理は記載されていない。また電子音楽装置100側の操作履歴管理部103が実行する制御処理は、前記第1〜第3アプリケーション・プログラムのうちのいずれかが選択され、さらにそのアプリケーション・プログラムのうちのいずれかの機能が選択された状態で、ユーザが入力操作を行ってから表示可能なUIを作成するまで(ただし、作成されたUIの表示は行っていない)の制御処理を示している。
【0067】
ユーザがLCD8a上に表示中のUI、つまりあるアプリケーションのある機能における標準UIに対して何らかの入力操作を行うと、操作履歴管理部103は、まず操作履歴ファイルに当該入力操作の種類を示す操作種類データを追加保存する。操作履歴ファイルは、前記所定の操作範囲内の操作履歴、つまり前記推奨操作手順データベース104の「あなたの操作」のカテゴリに登録する際の操作手順のシーケンスを保存するためのものであり、たとえば前記RAM7の所定位置に設けられた操作履歴ファイル格納領域に一時的に生成される。操作履歴ファイルには、ユーザが入力操作を行う度に、その入力操作に対応する操作種類データが入力順に保存される。ただし操作履歴ファイルが生成されていない状態で、上記操作種類データの追加保存を行おうとする場合には、操作履歴ファイルを新たに生成した上で、その新規操作履歴ファイルに当該操作種類データを保存する。そして所定の操作範囲の末尾に相当する入力操作がなされると、操作履歴管理部103は、当該入力操作に応じた操作種類データを操作履歴ファイルに追加保存した後、その操作履歴ファイルを、推奨操作手順データベース104に登録された当該アプリケーションおよび機能のシーケンス群のうち、「あなたの操作」のカテゴリに属するシーケンス群に追加登録する(ステップS101)。つまり、入力操作が所定の操作範囲内の操作であっても、その操作範囲の末尾に相当する操作でない限り、その入力操作に対応する操作種類データは操作履歴ファイルに追加保存されるだけで、推奨操作手順データベース104には追加登録されない。図6のステップS101のブロック内に記載されている「適宜」は、この意味である。
【0068】
次に操作履歴管理部103は、操作履歴ファイルの内容に基づいて推奨操作手順データベース104から次の推奨操作手順の候補を検索して取得する(ステップS102)。次の推奨操作手順の候補の検索は、ユーザの所定回数分の操作履歴と、推奨操作手順データベース104に登録されている当該アプリケーションおよび機能のシーケンス群のうち、各カテゴリ(本実施の形態では、「あなたの操作」および「メーカ推奨操作」の各カテゴリ)に属するシーケンス群に含まれる各操作手順のシーケンスとを比較して行われる。このとき、「所定回数」が操作履歴ファイル内に保存されている操作種類データの個数より多い場合と少ない場合とがある。多い場合(所定回数≧保存中の操作種類データの個数)には、操作履歴ファイル内の操作種類データをすべて用いて、次の推奨操作手順の候補を検索すればよいが、少ない場合(所定回数<保存中の操作種類データの個数)には、操作履歴ファイル内の操作種類データのうち、新しいものから順に所定回数に相当する個数分を抽出し、抽出した個数分の操作種類データを用いて、次の推奨操作手順の候補を検索する必要がある。ステップS102の処理内の「操作履歴ファイルの内容に基づいて」とは、この意味である。
【0069】
次の推奨操作手順の候補の検索に際して行われる上記「比較」では、ユーザの操作履歴に完全に一致する(部分を含む)操作手順のシーケンスに加えて、ユーザの操作履歴に類似する(部分を含む)操作手順のシーケンスを見つけ出すようにしている。その理由は、「完全に一致する」ものだけで十分な数の操作手順のシーケンスを得ようとすると、推奨操作手順データベース104に登録すべき操作手順のシーケンスの数が膨大になり、これにより、推奨操作手順データベース104が構築される記憶装置9として、非常に大きな記憶容量のものを採用しなければならなくなって、製造コストが増大するからである。
【0070】
ユーザの現在の操作状態が、たとえば前記制御処理の概要で説明した状態、つまり、アプリケーション・プログラムとして前記(A)のシーケンサを選択し、その機能として前記(II)の楽曲の再生を選択し、「1:選曲画面の表示操作」を行った後、「2:選曲操作」を行った状態であるとして、「人気操作」のカテゴリに属するシーケンス群から次の推奨操作手順の候補を取得する場合、操作履歴管理部103は、ユーザの現在の操作、つまり「2:選曲操作」を含む所定回数(≠0とする)分の操作履歴、つまり「1:選曲画面の表示操作」および「2:選曲操作」に基づいて推奨操作手順データベース104を検索することで、次の推奨操作手順の候補を取得する。推奨操作手順データベース104に登録されたシーケンス群のうち、アプリケーションが(A)シーケンサであり、機能が(II)楽曲の再生であり、カテゴリが「人気操作」であるシーケンス群には(ただし前記具体例は、どのカテゴリに属しているか明示されていなかったが、どのカテゴリに属していたとしても、各シーケンス群に含まれる各シーケンスのデータフォーマットは同じとしているので、前記具体例が「人気操作」のカテゴリに属するものであると見なしても構わない)、「1:選曲画面の表示操作」および「2:選曲操作」に続く操作手順として、「3:再生指示操作」(前記(i)のシーケンス内の操作)、「3:テンポ変更操作」(前記(ii)のシーケンス内の操作)および「3:譜面表示操作」(前記(iii)のシーケンス内の操作)が登録されているので、操作履歴管理部103は、この3種類の操作手順を次の推奨操作手順の候補として取得する。この場合、ユーザの操作履歴と当該シーケンス群に含まれる操作手順のシーケンスからでは、「類似する」ものを検索することはできず、さらに「完全に一致する」ものだけである程度の数の候補が取得されているので、「類似する」ものの検索は行われていない。
【0071】
一方、ユーザが、アプリケーション・プログラムとして前記(A)のシーケンサを選択し、その機能として前記(I)の楽曲の記録を選択し、「1:入力方法の選択画面の表示操作」を行った後、「2:リアルタイム入力の選択操作」を行った状態であるとして、「人気操作」のカテゴリに属するシーケンス群から次の推奨操作手順の候補を取得する場合、操作履歴管理部103は、ユーザの現在の操作、つまり「2:リアルタイム入力の選択操作」を含む所定回数(≠0とする)分の操作履歴、つまり「1:入力方法の選択画面の表示操作」および「2:リアルタイム入力の選択操作」に基づいて推奨操作手順データベース104を検索することで、次の推奨操作手順の候補を取得する。推奨操作手順データベース104に登録されたシーケンス群のうち、アプリケーションが(A)シーケンサであり、機能が(I)楽曲の記録であり、カテゴリが「人気操作」であるシーケンス群には、「1:入力方法の選択画面の表示操作」および「2:リアルタイム入力の選択操作」に続く操作手順として、「3:メトロノーム音のオン/オフの選択操作」(前記(iii)のシーケンス内の操作)のみが登録されているので、ユーザの操作履歴に完全に一致する操作手順のシーケンスを検索した場合、操作履歴管理部103は、この「3:メトロノーム音のオン/オフの選択操作」のみを次の推奨操作手順の候補として取得し、これを1つだけ提示することになり、ユーザの選択の自由度が狭くなる。そこで、「2:リアルタイム入力の選択操作」と「2:ステップ入力の選択操作」とは類似する操作であるとして、「2:ステップ入力の選択操作」に続く操作、つまり「3:入力画面の選択操作」(前記(i)のシーケンス内の操作)および「3:テンポ設定操作」(前記(ii)のシーケンス内の操作)も次の推奨操作手順の候補として取得することにする。この結果、3種類の操作手順が次の推奨操作手順の候補として提示される。
【0072】
次に操作履歴管理部103は、電子音楽装置100がサーバ200とネット接続されているかどうかを判別し(ステップS103)、ネット接続されていないときには、つまり、電子音楽装置100が単体で動作しているときには、前記ステップS102で取得された次の推奨操作手順の候補を前記操作手順推奨UIに供給する(ステップS103→S108)。操作手順推奨UIは、タブ毎に設けられたページによって構成されている。そして前記ステップS102の処理では、次の推奨操作手順の候補として、「あなたの操作」および「メーカ推奨操作」の各タブTB1およびTB2にそれぞれ対応するものが取得されるので(本実施の形態では、タブTB1〜TB5とカテゴリとは対応付けられている)、取得された次の推奨操作手順の候補は、操作手順推奨UIのうち、対応するタブについてのページに供給される。したがって、現在LCD8a上に表示中のUIが、あるアプリケーションのある機能の標準UIであるとして、ユーザが前記操作手順推奨ボタンを押下操作し、当該標準UIに対応する操作手順推奨UIを表示させた後、「あなたの操作」のタブTB1を押下操作したときには、次の推奨操作手順の候補が推奨1〜6としてボタンAB1〜AB6に割り当てられた操作手順推奨UI(のページ)が、前記UIセレクタ102によって選択されて、LCD8a上に表示される。このように、操作手順推奨UI(の各ページ)への次の推奨操作手順の候補の供給は、ユーザによってタブが選択されているかどうかに拘わらず、ユーザの所定回数分の操作履歴と推奨操作手順データベース104内に設けられたカテゴリに基づいて自動的になされる。これは、タブが選択されてからそのタブに対応する次の推奨操作手順の候補を取得していたのでは、タブを選択してから次の推奨操作手順の候補がボタンAB1〜AB6に表示されるまでの間にかなりのタイムラグが生じてしまい、ユーザに違和感を生じさせるからである。
【0073】
なお前記ステップS108の処理で、取得された次の推奨操作手順の候補の個数が、それが割り当てられるボタンAB1〜AB6の個数より多い場合と少ない場合がある。多い場合(候補の個数>ボタンの個数)には、人気の高いものから6個だけを採用して残りを不採用としたり、ボタンAB1〜AB6を推奨1〜6用と推奨7〜12用のいずれにも切り換え可能に構成し、推奨1〜6に割り当てられない候補を推奨7〜12に割り当てるようにしたりすればよい。一方、少ない場合(候補の個数≦ボタンの個数)には、ボタンAB1〜AB6のうち、候補の割り当てられる個数分だけ表示するようにすればよい。
【0074】
また、図6のステップS108のブロック内に記載されているカッコ書きは、ネット接続された場合に追加される処理を示している。したがって、電子音楽装置100が単体で動作している場合には、このカッコ書きの処理は実行されない。
【0075】
一方、前記ステップS103の判別の結果、ネット接続されているときには、操作履歴管理部103は、前記ステップS101の操作種類データをサーバ200に送信する(ステップS103→S104)。サーバ200の操作履歴管理部203は、操作履歴管理部103から送信されて来た操作種類データを受信すると、前記ステップS101の処理と同様にして、受信した操作種類データを操作履歴ファイルに追加保存するとともに、その操作履歴ファイルを推奨操作手順データベース204に適宜追加保存する(ステップS201)。ただしここでの操作履歴ファイルは、操作履歴管理部203によって生成されるものであって、同じ名称であっても、操作履歴管理部103によって生成される操作履歴ファイルではない。つまり、操作履歴管理部103が操作履歴管理部203に送信するものは、操作履歴管理部103が生成した操作履歴ファイルそのものではなく、操作種類データである。
【0076】
次に操作履歴管理部203は、前記ステップS102の処理と同様にして、操作履歴ファイルの内容に基づいて推奨操作手順データベース204から次の推奨操作手順の候補を検索して取得する(ステップS202)。このように操作履歴管理部103が推奨操作手順データベース104に対して行う処理(ステップS101,S102の処理)と操作履歴管理部203が推奨操作手順データベース204に対して行う処理(ステップS201,S202の処理)をほぼ同様に構成できるのは、前述のように本実施の形態では、推奨操作手順データベース204に登録されるデータのフォーマットと推奨操作手順データベース104に登録されるデータのフォーマットを同一に構成したからである。しかし前述のように、両データベース104,204にそれぞれ登録される各データのフォーマットを一致させることは、説明を簡単化するためのものであって、本発明にとって必須のものではないので、各データのフォーマットを異ならせるようにしてもよい。この場合には、各データのフォーマットの違いを吸収するために所定の変換を行うようにすればよい。
【0077】
ただしステップS102およびS202の各処理は、前者の処理が「あなたの操作」および「メーカ推奨操作」のカテゴリに属するシーケンス群を検索対象としているのに対して、後者の処理が「人気操作」、「新着操作」および「旧モデル操作」(さらに「メーカ推奨操作」が追加されることもある)のカテゴリに属するシーケンス群を検索対象としている点で異なっている。
【0078】
次に操作履歴管理部203は、操作履歴ファイルの内容から、ユーザが自分の意図通りの操作を行っているかどうかを判別する(ステップS203)。推奨操作手順データベース204には、前述のように各アプリケーションの各機能毎に「失敗操作」のカテゴリが設けられ、その「失敗操作」のカテゴリに属するシーケンス群には、「失敗操作」手順のシーケンスが複数登録されているので、操作履歴管理部203は、操作履歴ファイルの内容と当該複数の「失敗操作」手順のシーケンスとを比較することで、ユーザの操作が失敗であるか成功であるかを判定することができる。
【0079】
次に操作履歴管理部203は、判定されたユーザの操作の成功/失敗を考慮し、前記ステップS202で取得した次の推奨操作手順の候補に関連する推奨UI、推奨アプリケーションおよび取扱説明/Q&AデータをそれぞれUIデータベース202、ヘルパ・アプリケーション・データベース201および取扱説明書/Q&Aデータベース205から取得する(ステップS204)。そして操作履歴管理部203は、前記ステップS202で取得した次の推奨操作手順の候補を電子音楽装置100に送信する(ステップS205)とともに、前記ステップS204で取得した推奨UI、推奨アプリケーションおよび取扱説明/Q&Aデータを電子音楽装置100に送信する(ステップS206)。
【0080】
これに応じて操作履歴管理部103は、サーバ200から次の推奨操作手順の候補を取得し(ステップS105)、サーバ200から取得した次の推奨操作手順の候補と前記ステップS102で取得した電子音楽装置100内の次の推奨操作手順の候補を混合する(ステップS106)とともに、サーバ200から推奨UI、推奨アプリケーションおよび取扱説明/Q&Aデータを取得する(ステップS107)。
【0081】
次に操作履歴管理部103は、前記ステップS106で混合された次の推奨操作手順の候補と前記ステップS107で取得された推奨UI、推奨アプリケーションおよび取扱説明/Q&Aデータを操作手順推奨UIに供給する(ステップS108)。
【0082】
ステップS106およびS108の処理では、「あなたの操作」および「メーカ推奨操作」の各カテゴリについて、操作履歴管理部103により取得された次の推奨操作手順の候補と、「人気操作」、「新着操作」および「旧モデル操作」の各カテゴリについて、操作履歴管理部203により取得された次の推奨操作手順の候補とが混合され、混合された次の推奨操作手順の候補が、操作手順推奨UIのうち、対応するタブについてのページに供給される。
【0083】
またステップS107およびS108の処理では、サーバ200から取得した推奨UI、推奨アプリケーションおよび取扱説明/Q&Aデータ、つまり実データは、RAM7あるいは記憶装置9に格納され、各データの名称および格納位置などの情報が、操作手順推奨UIのうち、「詳細表示」のタブについてのページに供給される。これにより、ユーザが図3の「詳細表示」のタブTB6を選択し、さらに図4の「推奨UI/アプリ」のボタンAB2を選択すると、前記ステップS203の処理によって失敗と判定されている場合には、図4(a)の画面が表示され、成功と判定されている場合には、図4(b)の画面が表示される。なお操作手順推奨UIには、失敗時の「詳細表示」用ページと成功時の「詳細表示」用ページの2種類のページが設けられている訳ではなくて、「詳細表示」用ページは1種類のみで、サーバ200から送信されて来た推奨UIおよび推奨アプリケーションの情報が「詳細表示」用ページに供給されたときに、「詳細表示」用ページが失敗時と成功時のいずれかに決まる。
【0084】
このように本実施の形態では、「詳細表示」用ページがLCD8a上に表示された時点で既に、導入可能なUIおよびアプリケーションの実データも、RAM7あるいは記憶装置9内に格納されている。つまり、ユーザが当該UIおよびアプリケーションを導入する意思がない場合にも、その情報だけでなく実データまでも電子音楽装置100内にダウンロードされている。これは、ユーザが導入を指示してから実際に導入されるまでのタイムラグを低減させるためであるが、このタイムラグは、前記図3の操作手順推奨UIにおいて、タブTB1〜TB5のいずれかが選択されてから次の推奨操作手順の候補がボタンAB1〜AB6に表示されるまでの間に生じるタイムラグとは異なり、ユーザにそれほど違和感を生じさせないので、上記実データは、ユーザが導入を指示してからサーバ200にダウンロード要求を行うようにしてもよい。
【0085】
また「詳細表示」用ページには、図4および図5に示すように、「推奨結果『○』送信」および「推奨結果『×』送信」が割り当てられたボタンAB5およびAB6が表示される。ユーザがボタンAB5あるいはAB6を押下操作すると、操作履歴管理部103は、推奨結果が良かったか悪かったかをサーバ200に報告する。これに応じてサーバ200は、受信した推奨結果の評価に基づいて、推奨する操作手順の提示の仕方を調整する。たとえば、評価の高かった操作手順については、提示され易くし、評価の低かった操作手順については、提示され難くする。
【0086】
なお本実施の形態では、電子音楽装置100単体でなされる制御処理は、サーバ200と協働してなされる制御処理と比較して、かなり制限されているが、これは、製造コストを低減させるために電子音楽装置100の処理能力および記憶容量を制限しているからである。したがって、電子音楽装置100の処理能力および記憶容量を制限しなくてもよいのであれば、サーバ200と協働してなされる制御処理をすべて、電子音楽装置100内に取り込むようにしてもよい。
【0087】
また本実施の形態では、各アプリケーションの各機能を基本制御単位として、制御処理を行うようにしたが、これに限らず、複数の機能に亘って共通の制御処理を行うようにしてもよいし、機能をより細かく分解し、分解された各機能に対して制御処理を行うようにしてもよい。たとえば、操作手順推奨UIとして、アプリケーション毎に1種類だけ設け、その操作手順推奨UIに供給する情報を変更することで、各機能用の操作手順推奨UIを生成するようにする。
【0088】
さらにUIカスタマイザ105は、前述のようにカスタムUIを作成するためのものであるが、これにより、ユーザ独自のデザインのUI、使い勝手や趣味性の高いUIなどを作成することができる。作成されたカスタムUIの表示用データは、前述のようにアップローダ106によってサーバ200にアップロードされて、UIデータベース202に登録される。他の電子音楽装置100′,100″にも、これと同様のUIカスタマイザおよびアップローダが設けられている場合、他の電子音楽装置100′,100″の各ユーザが作成したカスタムUIの表示用データもサーバ200にアップロードされて、UIデータベース202に登録される。このようにUIデータベース202には、様々なユーザによって作成された様々なカスタムUIの表示用データが登録される。したがって、前記4(b)のボタンDA2で提示されるカスタムUIには、電子音楽装置100のユーザが作成したものだけでなく、他のユーザが作成したものも含まれる。
【0089】
また前記5種類のUIにメーカ提供のUIを追加するようにしてもよい。具体的には、ターゲットユーザを明確にしたUI、販売地域に特化したUI、ユーザ個別の問題に対応したUIなどを挙げることができる。
【0090】
なお、上述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0091】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードおよび該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0092】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、たとえば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。また、通信ネットワークを介してサーバコンピュータからプログラムコードが供給されるようにしてもよい。
【0093】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0094】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0095】
1…演奏操作子(操作子),2…設定操作子(操作子),5…CPU(提示手段、送信手段、受信手段),8…表示装置(提示手段),9…記憶装置(蓄積手段、記憶手段),10…通信I/F(送信手段、受信手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
楽音設定または演奏設定に関する操作を行うための操作子と、
該操作子を用いてユーザが行った操作の情報を過去の操作履歴として蓄積する蓄積手段と、
前記操作子を用いてユーザが行った現在の操作を含む操作手順、および前記蓄積手段に蓄積された過去の操作履歴に基づいて、ユーザが次に行うべき操作の候補を検出し、提示する提示手段と
を有することを特徴とする電子音楽装置。
【請求項2】
複数台の電子音楽装置および少なくとも1台のサーバからなる電子音楽システムであって、
前記複数台の電子音楽装置のそれぞれは、
楽音設定または演奏設定に関する操作を行うための操作子と、
該操作子を用いてユーザが行った操作の情報を前記サーバに送信する送信手段と、
前記サーバが送信した次に行うべき操作の候補を受信する受信手段と、
該受信手段によって受信された次に行うべき操作の候補を提示する提示手段と
を有し、
前記サーバは、
前記電子音楽装置のそれぞれが送信した操作の情報を受信する受信手段と、
該受信手段によって受信された操作の情報を過去の操作履歴として蓄積する蓄積手段と、
前記受信手段によって受信された現在の操作の情報を含む操作手順であって、前記複数台の電子音楽装置のいずれかが送信したもの、および前記蓄積手段に蓄積された過去の操作履歴に基づいて、当該電子音楽装置のユーザが次に行うべき操作の候補を検出し、当該電子音楽装置に送信する送信手段と
を有することを特徴とする電子音楽システム。
【請求項3】
楽音設定または演奏設定に関する操作を行うための操作子と、
該操作子を用いてユーザが行うことを推奨する推奨操作手順を記憶する記憶手段と、
前記操作子を用いてユーザが行った現在の操作を含む操作手順、および前記記憶手段に記憶された推奨操作手順に基づいて、ユーザが次に行うべき操作の候補を検出し、提示する提示手段と
を有することを特徴とする電子音楽装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−164629(P2010−164629A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4706(P2009−4706)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】