説明

電子顕微鏡用ユーザ・インタフェース

【課題】走査型電子顕微鏡装置を操作するための使用しやすいユーザ・インタフェースを提供すること。
【解決手段】低倍率基準画像と高倍率画像とを同一スクリーン上で組み合わせて、電子顕微鏡の高倍率画像に慣れていないユーザが、サンプル上のどこで画像が得られているかを容易に判断し、その画像とサンプルの残りとの関係を理解できるようにする走査型電子顕微鏡装置を操作するためのユーザ・インタフェース。タッチ・スクリーンを介してユーザが指示を入力することにより、電子画像の視野を変えてサンプルの異なる画像を取得することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2006年6月7日出願の米国特許仮出願第60/811,621号明細書からの優先権を主張するものであり、係る出願を本願に援用する。
【0002】
本発明は走査型電子顕微鏡などの高倍率撮像装置用のユーザ・インタフェースに関する。
【背景技術】
【0003】
電子顕微鏡は光学顕微鏡に対して、分解能が高いことおよび焦点深度が深いことなどの著しい利点を提供する。走査型電子顕微鏡(SEM)では、一次電子ビームが、観察する表面を走査する微細なスポットに集束される。表面に一次ビームが衝突すると、二次電子がその表面から放出され、一次ビームからの電子が後方散乱される。この二次電子または後方散乱された電子が検出され、画像が形成され、画像の各点の輝度は、ビームがそれに対応する表面上のスポットと衝突するときに検出される電子の数によって決定される。
【0004】
電子顕微鏡は典型的には、操作するのに熟練した技術者を必要とする大型で、複雑、かつ高価な機器である。SEMデバイスは典型的には、優に100,000ドルを超え、電源用の専用の電気配線や、オペレータ領域外部の真空ポンプの通気孔を含む、特別な設備が必要となる。また、SEM画像などの高倍率画像においては、サンプルのどこで画像が得られているかを判断することおよびその画像とサンプルの他の部分との関係を理解することがユーザにとって難しくなることがある。
【0005】
SEMには操作に特有の複雑さがあるために、SEMのオペレータは典型的には、技術的な資格を有する特別の訓練された専門家である。電子顕微鏡のコストおよびそれを操作するために必要な高度な知識が、この技術を獲得するためおよび訓練されたオペレータを提供するためのリソースを有する研究および産業にその使用を制限している。特に訓練を受けたオペレータの必要性に関し、よりユーザフレンドリーなインタフェースがあれば、SEM装置の操作に専門知識がほとんどないか全くないユーザが、そういったテクノロジーをより活用できるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−3875号公報
【特許文献2】特開昭59−33744号公報
【特許文献3】特開2006−73345号公報
【特許文献4】特開2006−19280号公報
【特許文献5】特開平3−138841号公報
【特許文献6】特開2003−7243号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、走査型電子顕微鏡装置を操作するための使用しやすいユーザ・インタフェースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
係るユーザ・インタフェースはディスプレイ・モニタと、少なくとも1つの他の入力デバイス、例えばタッチ・スクリーンおよび回転式入力デバイスとを備えることが好ましい。
【0009】
係るユーザ・インタフェースは、好ましくは、試料上のどこで画像が得られているかをユーザが容易に判断し、その画像と試料の他の部分との関係を理解できるように、電子顕微鏡の高倍率画像に慣れていないユーザに少なくとも1つの画像基準を提供する。
【0010】
特に上記考察ならびに以下の図面、例示の詳細な説明および添付の特許請求の範囲を考慮すれば、本発明の多数の特徴、目的ならびに利点が当業者には明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のユーザ・インタフェースを備える電子顕微鏡システムの好適な実施形態の外観を示す図である。
【図2A】試料ホルダが光学ナビゲーション・カメラの下に位置決めされた図1のSEMアセンブリの種々の詳細を示す断面図である。
【図2B】試料ホルダが予備真空排気された真空チャンバの下に位置決めされた図2AのSEMアセンブリを示す断面図である。
【図2C】試料ホルダが走査型電子顕微鏡の下に位置決めされた図2AのSEMアセンブリを示す断面図である。
【図3】図2A乃至2CのSEMアセンブリに用いられる摺動真空シールの実施形態を示す図である。
【図4】本発明の好適な実施形態に係るユーザ・インタフェースのグラフィック部分を示すスクリーン画像であり、主スクリーンの3つの画像ウィンドウおよび選択可能な種々のボタンを示す図である。
【図5】図4のスクリーン画像を示し、より小さな光学オーバービュー・ウィンドウには光学ナビゲーション・カメラによって撮られた画像が示され、この画像を拡大したものが大きな主ビューイング・ウィンドウに示され、両画像には周囲インジケータが強調表示されていることを示す図である。
【図6】図5のスクリーン画像を示し、周囲インジケータが画像の異なる領域に移動されていることを示す図である。
【図7】図6の光学ウィンドウ上で選択された領域の同じ低倍率の電子顕微鏡像を大きな主画像ウィンドウおよびより小さな電子ビーム・オーバービュー・ウィンドウに表示したスクリーン画像を示す図である。
【図8】図7のスクリーン画像であり、主画像スクリーンが周囲インジケータによって示された領域のより高倍率の電子顕微鏡像領域を電子ビーム・オーバービュー・ウィンドウに表示していることを示す図である。
【図9】本発明の好適な実施形態に係るユーザ・インタフェースのアーカイブ・スクリーンのスクリーン画像を示す図である。
【図10】本発明の好適な実施形態に係るユーザ・インタフェースの設定スクリーンのスクリーン画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好適な実施形態は、走査型電子顕微鏡装置を操作するための使いやすいユーザ・インタフェースを提供する。本発明の利点は、専門的で高コストかつ高度な技術的訓練を得る必要なしに電子顕微鏡技術を利用する機会を、熟練していないユーザに提供することである。これは大学やさらには高校の化学の授業のような学術機関などの領域において電子顕微鏡をさらに一層有用で利用しやすいものにするように働く。出願人らは、「ユーザ・インタフェース」により、ユーザが電子顕微鏡と対話(interact)するのに用いるグラフィック・ディスプレイだけでなく、ユーザが電子顕微鏡と対話してそれを操作するのに用いるシステム全体を表す。
【0013】
本発明の好適な実施形態は、低倍率基準画像と高倍率基準画像とを同一スクリーン上で新規に組み合わせることを利用して、現在の画像が試料上のどこで撮影されたものかを電子顕微鏡の高倍率に慣れていないユーザが容易に判断できるようにする。また、アーカイブ・スクリーンおよび設定スクリーンなどの他のスクリーンによって、ユーザが保存された画像を比較することおよび係るシステムの設定を調節することがそれぞれ可能になる。
【0014】
本発明と共に使用するために記載されるSEMアセンブリは、教室のテーブルの上に設置することができる十分に小さい寸法のSEMデバイスを備えることが好ましい。このようなシステムは、共通の譲受人による2005年6月7日出願のBiefhoffらの「Compact Scanning Electron Microscope」と題する米国仮出願第60/811,621号明細書(以下、「Compact SEM Application」と呼ぶ)、ならびにそれに対応する2007年6月7日出願の2件のPCT国際出願明細書に記載されており、これらを参照により本願に援用するものとする。しかし、本発明のユーザ・インタフェースは、透過型電子顕微鏡、走査型透過電子顕微鏡、または集束イオン・ビーム・システムなどの荷電粒子ビームシステムを含む高倍率画像を形成する任意のシステムおよび走査型トンネル顕微鏡または原子間力顕微鏡などのスタイラス型のシステム上に実装可能である。
【0015】
図1に示すように、好適なSEMシステム100は、SEMアセンブリ102、ユーザに情報を伝えるビデオ・ディスプレイ・モニタ104、ユーザ入力用の回転式入力デバイス108、および予備真空ポンプ110を含む。ディスプレイ・モニタ104は、ユーザが特定の表示されたスクリーン上の選択可能アイコンに触れるだけで情報を入力できるように、タッチ・スクリーン106を備えるのが好ましい。ユーザ・インタフェースはマウスまたはキーボードなどの追加の入力デバイスを含むことも可能であるが、タッチ・スクリーン106および回転式入力デバイス108のみを用いたより単純なインタフェースが好ましい。
【0016】
本発明のユーザ・インタフェースは、係るシステムの使用がより一般的に理解されるように、他の状況からの多くのユーザに馴染みのある表示されたスクリーン上のコントロール部および/またはアイコンあるいはバーチャル・ボタンを使用することが好ましい。例えば、CDプレーヤーおよびDVDプレーヤーからCDおよびDVDを取り出すのに一般に用いられるボタンに類似する外観を有するタッチ・スクリーン106上のアイコンを押すことによって、試料ホルダ112をSEMアセンブリ102に挿入し、取り出すことができる。
【0017】
好適な実施形態は、回転式入力デバイス108などの外部接続された電気機械的デバイスも含む。「i−drive」とも呼ばれるこのタイプの入力デバイスは、例えば商標名POWERMATE(商標)の市販されている。回転式入力デバイス108は、例えばUSBポートを介してSEMアセンブリ102またはディスプレイ・モニタ104に接続され、ディスプレイ・スクリーン上の画像からフィーチャ(feature)を選択するのに用いられ得る。回転式入力デバイス108は、2種の入力機能、すなわち回転および(コントロール部を押すことによって操作される)エンターを有する。回転式入力デバイス108をタッチ・スクリーン106と共に用いて、システム100の大半の操作を制御することができる。ディスプレイ・スクリーン上で使用可能な機能は、タッチ・スクリーン上の機能と関連付けられたアイコンに手で触れることによって選択することも可能である。使用可能な選択肢は、通常、選択可能アイコン19の形態でディスプレイスクリーン上に表示され(図4に示すように)、回転式入力デバイスを回転させて所望の選択肢に合わせておき、回転式入力デバイスの「エンター」機能を用いるか、あるいはタッチスクリーン106を用いるかして所望の選択肢を選ぶことによって、起動後に特定の機能を調節することが可能である。
【0018】
また図2A乃至2Cを参照すると、電子顕微鏡アセンブリ102は、蝶番で取り付けられた前カバー120、内部に設けられた、CCDナビゲーション・カメラなどの光学撮像カメラ602、および走査型電子顕微鏡を含む。システム100を用いて検査されるべきサンプルはサンプルホルダ112内に装填され、次いでこのサンプルホルダが電子顕微鏡アセンブリ102に挿入される。サンプルホルダ112はサンプルまでの作動距離に対してサンプルを適切に位置決めするように、かつ(サンプルおよびSEMアセンブリへの損傷を避けるために)サンプルがサンプルホルダの最上部を越えないように、サンプル高さ調節能力を有することが好ましい。
【0019】
図2A乃至2Cは本発明(共に出願中の上記で参照した「Compact SEM Application」に記載のSEMデバイスなど)と共に使用するのに適したサンプルホルダがSEMアセンブリ内に装填された後のステップの順序を示している。オペレータが、検査すべきサンプルを電子顕微鏡アセンブリ102外部のサンプルホルダ112内に設置し、次いで、サンプルホルダが電子顕微鏡アセンブリ102の前部に装填される。一実施形態では、ユーザがカバー120(図1)を上に摺動して、サンプルホルダ受取用の容器を露出させ、サンプルホルダが装填されたらカバー120を閉じる。このカバーを閉じれば、図2Aに示すように、サンプルホルダは光学カメラ602の下に自動的に移動される。
【0020】
ナビゲーション・カメラとも呼ばれる光学カメラ602は、真空チャンバの外部に位置決めされることが好ましい。倍率は典型的には、10倍〜最大100倍である。光学カメラ602は上下に動いてサンプルに焦点を合わせることができる。動作は電動モータによるものであることが好ましく、または手動であってもよい。このカメラは約8mm×8mmの視野を有する。このカメラからの多数の画像を共に並べたり貼り合わせたりして、サンプルのより大きな部分の画像を形成することができる。このタイリング(tiling)またはステッチング処理(stetching)は、電動モータによってサンプルをカメラの下の蛇行パターンの異なる位置に自動的に移動させて各位置がサンプルの一部をカバーする状態で、自動的に行うことができる。各位置では、画像が取り込まれ、画像の全部が組み合わされてサンプル全体の光学オーバービューが生成される。
【0021】
あるいは、ユーザがカメラの移動を制御して有用な画像のみを生成することができる。手動モードでは、ユーザはタッチ・スクリーン上のナビゲーション矢印29(図4)に触れることによってサンプルをカメラの下に動かすこともできるし、画像上のあるポイントを押すことによって、触れたポイントが視野の中心に来るように画像を再センタリングすることもできる。任意には、モニタ104に表示された隣接する画像を調節して、歪みまたは位置決めの不正確さから生じた画像と画像の連続性を確保することができる。
【0022】
図2Aに示すように、サンプルホルダ112は剛性摺動プレート605に対して適所に保持される。好適な実施形態は、電子ビーム・カラムの底部上のベース・プレート611と、摺動プレート605の上面に設けられ、摺動プレート605に取り付けられた可撓性プレート603との間の摺動真空シールを使用する。摺動真空シールは図3に関して以下で詳細に説明される。サンプルホルダ112が電子顕微鏡アセンブリ102内に装填されるとき、サンプルホルダは摺動プレート605の貫通穴609内を上昇する。サンプルホルダ(図3に示す)の側部周囲の放射状可撓性シール702が、サンプルホルダ112と摺動プレート605との間に気密封止を形成する。次いで、摺動プレート605は可撓性シート603と一緒に、ベース・プレート611に対して摺動しながらサンプルホルダ112との気密封止を維持し、例えば、ベース・プレートを通して開口部608の下に、およびSEMの電子カラム103(図2A乃至2Cに示されるカラムの下方の対物レンズ部のみを示す)の下に サンプルを移動させることができるか、または観察中にサンプルの位置を調節することができる。
【0023】
ベース・プレート611は、真空ポンプに接続された約1Lの容積を有する好ましくは少なくとも2つの真空バッファ604および606と連続している予備真空排気穴612も備える。真空バッファ604および606は典型的にはサンプルが挿入される前に真空排気される。図2Bでは、サンプルホルダ112が電子撮像のために電子カラム103の方に移動されると、サンプルホルダはサンプルホルダ内の空気の大半を除去する予備真空排気された真空バッファ604および606を通過することによって部分的に真空排気される。圧力はサンプルホルダの容積および真空バッファの容積の比にほぼ調和してサンプルホルダ内で低減される。予備真空排気チャンバの容積はサンプルホルダの容積よりも非常に大きいので、圧力はサンプルホルダ内で大きく低減され、これによりサンプルホルダをその最終圧まで下げて電子ビーム画像を形成するのに必要な時間は非常に短縮される。
【0024】
図2Cでは、撮像のためにサンプルホルダがSEMの電子カラム103の下に位置決めされると、取外し可能なサンプルホルダの壁は真空チャンバ壁の一部を形成する。すなわち、取外し可能なサンプルホルダ112の壁はSEMの下の真空容積の一部を画定する。典型的なSEMのように、ステージが置かれると共にサンプルが装填されるサンプル真空チャンバの容積がない。このことが真空排気を必要とする容積を低減し、これにより撮像を開始できる前に必要な時間が大幅に低減される。好適な実施形態では、サンプルホルダが電子カラムの下に位置決めされた後に撮像を直ちに開始するために、サンプルホルダは真空バッファによって十分に真空排気される。
【0025】
図3は摺動真空シールの好適な実施形態における各コンポーネント間の位置関係を示す。サンプル容器112周囲の溝704内の可撓性シール702は、剛性摺動プレート605に取り付けられ剛性摺動プレート605に対してOリング716によってシールされたフランジ付きシリンダ712の円筒部分710の内部をシールする。可撓性ステンレス鋼プレート603は(クリップ722を用いて)摺動プレート605にクリップ止めされており、摺動プレート605と一緒に移動する。また図2A乃至2Cを参照すると、SEMの電子カラム103の軸740の下の適所にサンプル容器112を移動するために、摺動プレート605は電子ビーム・カラム102のベース・プレート611に取り付けられたグレーシャー(glacier)層610に沿って摺動する。ばね(図示せず)を剛性摺動プレート605の止まり穴726に挿入し、可撓性シート603をグレーシャー層610に対して押圧して、グレーシャー層周囲の穴(例えば、サンプル容器112を真空バッファ604および606に接続する穴612および電子ビームが通過する穴(グレーシャープレート貫通穴601、摺動プレート貫通穴609、および可撓性プレート貫通穴730))周囲により良い真空シールを保証することができる。可撓性シール720は剛性摺動プレート605に対して可撓性プレート603をシールする。剛性プレートと顕微鏡ベースとの間に可撓性プレートを用いれば、剛性プレートを摺動させるのに必要な摺動摩擦力が低減され、摺動力はより安定する。プレート611の底部上のグレーシャー層610を用いれば、摩擦が低減され、粒子の発生が抑えられる。
【0026】
本願に参照により援用するPersoonらの2007年4月27日出願の「Slider Bearing for use with an Apparatus Comprising a Vacuum Chamber」に対するPCT国際出願第PCT/US2007/010006号明細書に記載されているように、剛性摺動プレート605の穴の端部は摩擦を低減するように曲線状になっている。この湾曲は可動部品間のヘルツ接触圧が粒子発生を最小化するようなものであることが好ましい。
【0027】
いくつかの実施形態では、このシステムはサンプルホルダ112内のサンプルの高さを光学カメラの焦点に基づいて自動的に決定し、次いで、それに応じて電子ビームの焦点を調節することができる。光学カメラ602は既知の焦点距離を有しているので、サンプルの焦点が合っているとき、サンプルとカメラとの間の距離を決定することができる。この距離を用いて、SEMの焦点を調節するためにサンプルの高さが決定される。サンプルホルダ112の高さ設定は、SEMを自動的に調節することのできるシステム・コントローラへ自動的に通信されてもよい。次いで、SEMは任意の作動距離または倍率のための連続的な範囲にわたって自動的に調節される。実際のサンプル位置の設定は、高いサンプル位置と低いサンプル位置との設定の間で補間することによって決定される。焦点はサンプルホルダ内のサンプル設置高さに基づいて大まかに設定した後、自動または手動で「高精度調整」することができる。別の実施形態は、サンプルホルダ内の予備設定された2つの高さ調節値(広い視野と狭い視野の調整値)を用いる。対物レンズの作動距離のための調節は、予備設定された2つの作動距離のどちらが選択されるかに応じて行われる。
【0028】
主画像スクリーン
サンプルをSEMの高倍率で撮像するとき、経験の少ないオペレータにとって、画像が取得されているサンプル上の場所を判断し、その画像とサンプルの残りとの関係を理解することは困難な場合がある。図4〜8に示すように、ユーザ・インタフェースのグラフィック部分の好適な主画像スクリーン13は、ユーザが拡大された画像を関連付けるのを支援するためにディスプレイ上に残っている3つの「画像ウィンドウ」を含む。アクティブ画像ウィンドウ14と呼ぶ1つのウィンドウは現在のイメージを示す。以下で説明するように、現在の画像は実行中の現在の操作に応じて、サンプルが光学ナビゲーション・カメラ602の下にあるときに撮られた画像、サンプルがSEMの電子カラム103の下にあるときにSEMによって形成された画像、または記憶媒体から呼び出された画像であり得る。
【0029】
光学オーバービュー・ウィンドウ15と呼ぶ別の画像ウィンドウは、光学ナビゲーション・カメラ602からの画像を示す。この画像は典型的には、サンプルホルダが真空排気される前およびサンプルがSEMの下に移動される前に取得され、格納されるが、必要に応じて、電子ビームからナビゲーション・カメラへサンプルを戻してもよい。上記のように、光学オーバービュー・ウィンドウ15内の画像は単一画像を形成するために並置された光学ナビゲーション・カメラの複数の視野から形成されてもよいし、この画像は光学ナビゲーション・カメラの単一の視野からのものでもよい。
【0030】
電子ビーム・オーバービュー・ウィンドウ16と呼ぶ残りの画像ウィンドウは、比較的に低倍率の電子ビーム画像を示す。電子ビーム・オーバービュー・ウィンドウ16内の画像は、特定の作動距離のために、使用可能な最低倍率で取得されることが好ましい。最初に電子ビームを用いてサンプルを撮像するとき、ライブ・ウィンドウ内の画像と電子ビーム・オーバービュー・ウィンドウとは同じになる。アクティブ画像の倍率を上げると、比較的低倍率の元の画像は電子ビーム・オーバービュー・ウィンドウ内に残って、オペレータに追加の基準を提供する。次いで、電子ビーム・オーバービュー・ウィンドウを更新すると、SEMシステムは使用可能な最低倍率になり、サンプルを再度撮像し、次いで、アクティブ画像のための増大された元の倍率に戻る。
【0031】
主ビューイング・スクリーン13は、例えば現在の画像のデータ、時間、倍率、および縮尺を示す主ビューイング・ウィンドウ13の下方部分にデータバー33を含んでもよい。データバー33は電子ビーム・オーバービュー・ウィンドウ16上に含まれてもよい。アクティブ・ビューイング・ウィンドウ14の4つの辺にあるナビゲーション矢印29は、ユーザが画像を移動させてサンプルの異なる部分を示すことを可能にする。当業者には理解されるように、ユーザは現在の画像の任意の部分に触れて、触れた位置の画像を再度中央に移動させることができるし、あるいはマウスまたは類似の入力デバイスが採用されている場合には、「クリックまたはドラッグ」することによってそうすることも可能である。上記のように、タッチ・スクリーン106は、ユーザが表示モニタ104に触れるだけで所望の機能を起動することを可能にする。この場合、ユーザは光学オーバービュー・ウィンドウ15内に表示中の画像を押し下げ、それを所望の位置までドラッグし、最後に、ドラッグを止めてウィンドウ14内の所望の場所にその画像を設定してもよい。この程度までスタイラスを用いてもよいし、ユーザは指を用いるだけでもよい。
【0032】
光学ナビゲーション・カメラ602または走査型電子顕微鏡から画像を取得するためのスイッチ・アイコン23(図5)、サンプルホルダをSEMアセンブリ102の装填ベイに装填し、取り外すための排出アイコン26、サンプル全体の光学オーバービューを取得するためのオーバービュー・アイコン22、および画像をリムーバブル(取外し可能)な媒体に保存するための種々のデジタル画像アイコン34など、種々の選択可能アイコン19(図4)がウィンドウの端に沿って位置決めされている。図4に示したアイコンの多くは、そのアイコンが選択的に表す命令または特徴を表現するテキストを含む。しかし、図5〜9に示すように、そういったアイコンは、代替として、例えば「デジタル・ファイルへの保存」機能を表すカメラ・アイコンなどのそれらの各機能を表すために、画像またはグラフィック表示を使用し得る。サンプルを装填/取り外すための選択可能アイコンは、例えば、ナビゲーション・カメラの領域内またはSEMの領域内にサンプルホルダを装填/取り外すためにCDプレイヤーで用いられるものと同様のアイコンによって提供されてもよい。排出アイコン26を押せば、システムからサンプルホルダが取り出され、他の選択可能アイコンも同様に働く。
【0033】
選択可能アイコン19は回転式入力デバイス108または他の機械式入力デバイスと一緒に用いることができる。例えば、ユーザが倍率アイコン27を押すとき、例えば、回転式入力デバイス108のコントロールを回すと、倍率が大きくなったり、小さくなったりする。回転式入力デバイス108を押すと、粗い倍率から微細な倍率コントロールへとコントロールが変えられる。コントロールが「微細」の場合、「F」(図示せず)が倍率アイコン27に現れて微細コントロールが作動中であることを示す。粗いものから微細なものおよび反対方向への切り替えは、回転式入力デバイス・コントロール108を押すか、スクリーン13上の倍率アイコン27に触れることによって行うことができる。コントロールはコントラスト/輝度ボタン31、焦点ボタン28、および回転ボタン25について同様である。コントラスト/輝度アイコン31に関し、回転式入力デバイス108を1回押すと、回転式入力デバイス108上の回転コントロールが輝度コントロールと関連付けられ、次に回転式入力デバイス108を押せば、回転コントロールはコントラスト・コントロールと関連付けられる。以下でさらに詳細に説明するように、ユーザが自動制御のためのこれらの機能を(図10に示すような)設定スクリーンの下で設定しいている場合、コントラストおよび輝度は自動的に制御することもできる。
【0034】
デジタル画像アイコン34は対応するウィンドウに表示された画像を格納するように機能する。この画像は典型的には本システムに差し込んだUSBメモリ・スティックに保存される。好適な一実施形態では、本システムはユーザがアクセス可能なメモリを有さず、画像はすべてリムーバブルな可能媒体に保存される。別の実施形態では、本システムはインターネットに接続され、画像をウェブ・アドレスに保存することもできるし、電子メールを介して送信することもできる。リムーバブル可能メモリを使用すれば、学生が本システムを使用し、それらの画像を保存し、それらの画像を運んだり、インターネットで送信することができる学術的環境において特に有用になる。
【0035】
経験の少ないユーザがSEMを簡単に操作できるようにこれらの異なる画像ウィンドウを使用することについて、図5乃至9を参照してここで説明する。好適な実施形態では、サンプルがSEMに装填されると、サンプルは光学撮像位置(図2Aに示す)まで自動的に運ばれる。次いで、光学ナビゲーション・カメラが起動され、図5に示すように、サンプル(この例ではボールペンの先端)の光学画像が光学オーバービュー・ウィンドウ15に表示される。さらに拡大された光学画像が主ビューイング・ウィンドウ14に表示される。
【0036】
図5は2つの矩形の周囲インジケータ(大きな周囲インジケータ43およびこの大きなインジケータ内側の小さな周囲インジケータ44)の使用を示す。周囲インジケータ43を実線で示し、小さなインジケータ44を点線で示している。撮像されるべきサンプルの領域を示すために、両インジケータは光学画像の上に重ねて表示されている。大きいインジケータ43は主ビューイング・ウィンドウ14に見られる拡大された画像全体の大まかな周囲を示すように働く。小さいインジケータ44は電子ビームによって撮像されるサンプルの領域を示す。カラー・ディスプレイ・モニタを用いる場合、周囲インジケータは画像に対して強調されたように容易に目立つ色付であることが好ましい。ユーザが光学オーバービュー・ウィンドウ15から画像上に強調された周囲インジケータを参照することによって、画像のどの領域が実際には拡大された主ビューイング・ウィンドウ14内にあるのかを特定できるように、周囲インジケータも基準インジケータとして機能することを当業者であれば容易に理解する。周囲インジケータは例えば、十字形または円形など、他の形状であってもよい。
【0037】
2つの画像が表示されると、SEMで検査されるべきサンプルの部分を光学視野の中央に移動することができる。これは、例えば、タッチ・スクリーン・ディスプレイ上のいずれかの画像の特定の点に触れて、その点を自動的に中央に位置させるか、あるいは、例えば、スクリーン上にある方向矢印29を用いるか、キーボード(図示せず)を用いることにより、サンプルを移動させるための命令を入力することによって、実現することができる。図6はボールペンの先端を中央に移動した後のユーザ・インタフェース・スクリーンを示す。
【0038】
観察されるべきサンプルの部分が中央に移動された後、SEMを用いてサンプルを撮像することができる。電子撮像は、例えば、図6に示す「スイッチ」アイコン23を用いて光学撮像から電子撮像に切り替えることによって選択可能である。スイッチ・ボタン23は、例えば、テキストによって示すか、または大小の形状を示すアイコンによって示すことが可能であり、その中に十字を有する各アイコンが利用可能であってもよい。この例では、小さい形状は光学カメラ602を表し、大きな形状は電子顕微鏡を表す。このボタンを押すと、サンプルが光学カメラ位置(図2Aに示す)と電子顕微鏡位置(図2Bに示す)との間で移動する。このボタン上の矢印を用いれば、ボタンを押したときにサンプルがどこに移動するかを示すことができる。
【0039】
図7では、SEM93によって生成された画像が主ビューイング・ウィンドウ14および電子ビーム・オーバービュー・ウィンドウ16に示されている。図7の例では、この画像はまず、可能な最低倍率で表示される。次いで、主ビューイング・ウィンドウ14に表示された画像は、例えば、倍率ボタン27を選択し、次いで、スクリーン上の倍率スライダを操作し(図示せず)、回転式入力デバイス108を回すか、所望の倍率を直接することによって、必要に応じて拡大することができる。
【0040】
次いで、拡大された画像が図8に示すように主ビューイング・ウィンドウ14に示される。光学オーバービュー・ウィンドウ15内の画像は典型的には、サンプルが光学カメラを出てSEMの下に移動した後、変わらない。電子ビーム・オーバービュー・ウィンドウ16内の画像は典型的には、大き過ぎてサンプル全体を示すことができない倍率である。サンプルをSEMの下に移動すると、主ビューイング・ウィンドウ14は電子ビーム・オーバービュー・ウィンドウ16内の画像の外にあるサンプルの一部を示すことがある。その場合、電子ビーム・オーバービュー・ウィンドウ16内の画像を自動または手動で変えて、主ビューイング・ウィンドウ14内に示された部分の拡張集合であるサンプルの一部分のオーバービューを示すことができる。例えば、ユーザが主スクリーン14上の電子ビーム・オーバービュー・ウィンドウ16近傍の更新アイコン29を押すと、主ビューイング・ウィンドウ14と同じスポットに中心がある新しい低倍率の電子ビーム画像が得られる。例えば、主ビューイング・ウィンドウ14内の画像が電子ビーム・オーバービュー・ウィンドウ16内の画像の外部のサンプル上のある点に相当するように、主ビューイング・ウィンドウ14内の画像が移動されている場合には、新しい画像が取得され得る。この低倍率画像はビーム偏向を増大させることによって得ることができる。この低倍率画像は、例えば400μmの視野を有してもよく、サンプルを1mm移動する場合、別の低倍率画像を取得する必要がある。
【0041】
上記のように、色付きの矩形または十字など、光学オーバービュー・ウィンドウ15上の周囲インジケータは、電子ビーム・オーバービュー・ウィンドウ16内の画像の場所を示す。同様に、電子ビーム・オーバービュー・ウィンドウ画像上の周囲インジケータ45は、電子ビーム・オーバービュー・ウィンドウ画像上の主ビューイング・ウィンドウ14内の画像の位置および好ましくは相対サイズを示す。例えば、主ビューイング・ウィンドウ14の倍率を大きくすると、電子ビーム・オーバービュー・ウィンドウ16上の周囲インジケータは主ビューイング・ウィンドウ14内の高倍率画像に示される小さな領域に相当するように小さくなる。
【0042】
上記のような周囲インジケータを用いれば、ユーザは、主ビューイング・ウィンドウ14内のサンプルのどの場所を高倍率で見ているかを容易に判断することができ、これにより、高倍率画像に慣れていないユーザにも状況が把握できる。
【0043】
主画像スクリーンに加えて、図4〜9に示すユーザ・インタフェースの好適な実施形態は、ユーザが他の2つのスクリーン、つまりアーカイブ・スクリーン17および設定スクリーン18にアクセスできるようにする(あるいは、この2つの追加のスクリーンのいずれかから主画像スクリーンに戻ることでできるようにする)タブ12も含む。
【0044】
アーカイブ・スクリーン
図9に示すように、アーカイブ・スクリーン17はリムーバブルな記憶媒体に格納された画像をユーザに閲覧および操作させる。アーカイブ・スクリーン17は主スクリーン13に類似するものであり、アクティブ画像ウィンドウ136と比較および操作のための保存された画像のサムネイル・ギャラリ131とを含む。主スクリーン13で用いられるのと同様に、データバー33がアーカイブ・スクリーン17上に含まれ得る。コントロールすなわち選択可能アイコン19はデジタル・カメラ・メモリのものと同様であり、ヘルプ・ファイル35にアクセスし、サンプル26を排出し、画像36を削除し、選択された画像を他の画像37と比較するために画像を保持し、ズーミング134、画像ギャラリの閲覧133のためのアイコンを含む。サムネイル・ギャラリ131をスクロールするためのスクロール・バー132も含まれる。ユーザはデジタル・カメラまたは写真編集ソフトウェアで使用可能な他の画像操作を実行することができる。
【0045】
設定スクリーン
図10に示すように、設定スクリーン18はユーザが設定可能なある種の機能を提供する。例えば、ユーザはどの検出器構成を使用するかを選択して、電子ビーム画像を形成することができる。「高速(fast)」走査設定は画像更新時間を高速にするが、画像の分解能は低くなる。「品質(quality)」走査設定は画像の更新時間は遅くなるが、分解能は高品質になる。設定スクリーンを使用すれば、ユーザは生の画像を「高速」モードで観察する一方で「品質」モードでその画像を保存することを選択し、USBメモリ・スティックまたは他のリムーバブルな記憶媒体を削除およびフォーマットすることができる。データおよび時間を設定することができ、画像のためにラベルを生成することができる。ユーザはどの形式で画像ファイルを保存するか、つまりTIFFか、JPEGか、またはBMP形式かを選択することができる。ユーザは輝度およびコントラストを自動的に調節するかどうか、およびどれぐらいの頻度で調節するかも設定することができる。例えば、輝度およびコントラストは画像が移動されるときはいつでも調節されてもよいし、定期的に調節されてもよい。非点収差補正はユーザ設定において一旦調節されるとその後、典型的には安定し、追加の調節を必要としない。少なくとも1つのユーザ・プロファイルを選択して、処理時間および操作時間を速くするために特定のユーザの設定を格納することができる。
【0046】
単純なユーザ・インタフェースを維持するために、典型的にはビームのエネルギーおよび電流は工場で予備設定されており、ユーザが調節することができない。組み立て中、ウェーネルト・キャップおよびフィラメントがアノード上の中央に位置するように機械的に整列させるなど、標準的なセット・アップ機能が実行される。
【0047】
好適な実施形態では、本SEMシステムを制御および最適化するためのより進歩した選択肢が使用可能であるが、経験の少ないオペレータがアクセスするのを防止するためにパスワードによって保護されている。例えば、ソースの傾きを調節して電子ビーム照明強度を最適化することができる。非点収差補正制御により、電子画像の輪郭のシャープネスの調節が可能となる。また、ステージの位置および回転を較正して、観察中のサンプルの部分が光学撮像モードおよび電子撮像モードの両方で同じになることを保証することができる。
【0048】
本発明の好適な実施形態は、サンプルを保持するサンプルホルダと、サンプルの第1の領域の第1の倍率の光学画像を記録する光学カメラであって、光学画像が記録されている間に、サンプルが真空領域の外部のサンプルホルダ内に位置決めされる光学カメラと、サンプルがサンプルホルダ内に位置決めされている間に、サンプルの第2の領域の第2の倍率で電子画像を形成する電子顕微鏡であって、第2の倍率が第1の倍率よりも大きく、第2の領域が第1の領域の一部である電子顕微鏡と、ユーザが電子画像のサンプル上の位置を判断できるように、電子画像の位置と第1の領域の光学画像上に示されている第2の領域とを(好ましくは同時に)表示するディスプレイとを備える電子顕微鏡システムを有している。
【0049】
また、本発明の好適な別の実施形態は、ディスプレイが第3の領域の電子オーバービュー画像をさらに表示し、電子オーバービュー画像が第2の倍率未満で第1の倍率より大きい倍率を有し、第3の領域が前記第1の領域の一部であって第2の領域よりも大きく、第2の領域が第3の領域の表示上で示された電子顕微鏡システムを有している。
【0050】
また、本発明の好適な別の実施形態は、電子顕微鏡を操作する方法であって、サンプルホルダ内のサンプルを光学カメラの視野内に移動するステップと、真空外部のサンプルの一部の光学画像を取得し、格納するステップと、サンプルを電子顕微鏡内に移動するステップと、光学画像の倍率よりも大きい倍率を有する、サンプルの電子画像を取得するステップと、サンプルの電子画像および格納された光学画像をディスプレイ・スクリーン上に表示するステップであって、格納された光学画像の表示がサンプルの電子画像の格納された光学画像の位置を示すインジケータを含んでいる、ステップと、電子画像の視野を変えてサンプルの異なる画像を取得するステップと、電子画像の新しい視野を反映させるように光学画像上のインジケータを自動的に調節するステップであって、これによりサンプル上の電子画像の位置をユーザに表示する、ステップとを含む方法を提供する。
【0051】
上記の本発明には幅広い用途があり、上記実施形態に記載し、示した多数の利点を提供することができる。実施形態は特定の用途に応じて大きく変わるものであり、全ての実施の形態は全ての利点を必ずしも提供するものではなく、本発明によって達成される全ての目的に合致するものでもない。例えば、上記説明の多くは卓上型SEMと一緒にユーザ・インタフェースを用いることに向けられたものであるが、あらゆる適した電子顕微鏡または他の高倍率撮像装置にも本発明を適用することが考えられる。
【0052】
本発明の好適な方法または装置は多くの新規な態様を有しており、異なる目的のために本発明を異なる方法または異なる装置で実現することができるので、全ての態様が全ての実施形態に存在している必要があるというわけではない。また、上記実施形態の態様の多くは個別に特許可能でありうる。
【0053】
本発明およびその利点を詳細に示してきたが、特許請求の範囲に定めた本発明の精神および範囲から逸脱しないで、本明細書に記載された実施形態に種々の変更、置換および代替を加えることが可能であることを理解されたい。また、本願の範囲は、明細書に記載の処理、機械、製造、材料組成、手段、方法およびステップの特定の実施形態に限定されるものではない。当業者には本発明の開示から容易に理解されるように、既存のまたは将来開発される、実質的に同じ機能を果たすか、あるいは本願明細書に示された対応する実施形態と実質的に同様の結果が得られるプロセス、機械、製造、材料組成、手段および方法またはステップは、本発明に従って使用することができる。したがって、そのような処理、機械、製造、材料組成、手段、方法、またはステップは、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0054】
100 SEMシステム
102 SEMアセンブリ
104 ビデオ・ディスプレイ・モニタ
106 タッチ・スクリーン
108 回転式入力デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを保持するサンプルホルダ(112)と、
前記サンプルの第1の領域の第1の倍率の光学画像を記録する光学カメラであって、前記光学画像が記録されている間に、前記サンプルが真空領域の外部の前記サンプルホルダ内に位置決めされる、光学カメラ(602)と、
前記サンプルが前記サンプルホルダ内に位置決めされている間に、前記サンプルの第2の領域の第2の倍率で電子画像を形成する電子顕微鏡であって、前記第2の倍率が前記第1の倍率よりも大きく、前記第2の領域が前記第1の領域の一部である、電子顕微鏡(102)と、
ユーザが前記電子画像の前記サンプル上の位置を判断できるように、前記電子画像の位置と前記第1の領域の光学画像上に示されている前記第2の領域の表示(43、44)とを示すディスプレイ(104)とを備え、
前記ディスプレイは、タッチ・スクリーン・ディスプレイ(106)を備え、前記電子オーバービュー画像のある位置に触れると、この触れた位置の前記電子画像が中心にくるディスプレイであって、
前記第1の領域の光学画像および前記第1の領域の光学画像上に表示される前記第2の領域の前記電子画像の位置が同時に表示される、電子顕微鏡システム。
【請求項2】
前記第1の領域に対応する前記光学画像は、並べられた複数の光学画像を組み合わせて生成される、請求項1に記載の電子顕微鏡システム。
【請求項3】
画像を格納する取外し可能な記憶媒体をさらに備える、請求項1に記載の電子顕微鏡システム。
【請求項4】
前記画像を格納する前記取外し可能な記憶媒体が、USBフラッシュ・ドライブまたはCD、またはDVDを備える、請求項3に記載の電子顕微鏡システム。
【請求項5】
前記画像は、全て前記取り外し可能な記憶媒体に格納される、請求項1に記載の電子顕微鏡システム。
【請求項6】
ユーザ入力がタッチ・スクリーンと回転式入力デバイス(108)とを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の電
子顕微鏡システム。
【請求項7】
撮像のために前記サンプルが前記対物レンズの下に位置決めされる前に、前記サンプル周囲から空気を除去するための少なくとも1つの真空バッファ領域をさらに含む、請求項1〜6のいずれかに記載の電子顕微鏡システム。
【請求項8】
前記電子ビーム・エネルギがユーザによって調節不可能である、請求項1〜7のいずれかに記載の電子顕微鏡システム。
【請求項9】
前記サンプルに焦点を合わせるために、前記電子顕微鏡が、前記光学カメラの焦点調節によって決定された焦点面に自動的に合焦される、請求項1〜8のいずれかに記載の電子顕微鏡システム。
【請求項10】
電子顕微鏡(102)を操作する方法であって、
サンプルホルダ(112)内のサンプルを光学カメラ(602)の視野内に移動するステップと、
真空外部のサンプルの一部の光学画像を取得し、格納するステップと、
前記サンプルを電子顕微鏡(102)内に移動するステップと、
前記光学画像の倍率よりも大きい倍率を有する、前記サンプルの電子画像を取得するステップと、
前記サンプルの前記電子画像および前記格納された光学画像をディスプレイ・スクリーン(104)上に表示するステップであって、前記格納された光学画像の表示が前記サンプルの前記電子画像の前記格納された光学画像における位置を示すインジケータ(43、44)を含んでいる、ステップと、
タッチ・スクリーンを介してユーザが指示を入力することにより前記電子画像の視野を変えて前記サンプルの異なる画像を取得するステップと、
前記電子画像の新しい視野を反映させるように前記光学画像上のインジケータを自動的に調節するステップであって、これにより前記サンプル上の電子画像の位置をユーザに表示する、ステップとを含む方法。
【請求項11】
前記電子顕微鏡によって形成され、前記光学画像の倍率よりも大きくかつ前記電子画像の倍率よりも小さい倍率を有する、前記サンプルの電子オーバービュー画像を表示するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記電子顕微鏡の視野を変えるステップが、前記倍率を変えるステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
サンプルの一部の光学画像を取得および格納するステップが、前記サンプルの隣接する領域の多数の画像を取得し、並べられたこれら多数の画像を組み合わせて、前記光学カメラの視野よりも大きい前記サンプルのある領域の画像を提供するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項14】
前記サンプルの電子画像を取得するステップが、前記サンプルが撮像のために前記対物レンズの下に位置決めされる前に前記サンプルの周囲から空気を除去するために、前記サンプルを真空領域と接触させるステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記サンプルの電子画像を取得するステップが、前記サンプルを大気環境から前記電子顕微鏡内へと移動して30秒以内に行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記サンプルに焦点を合わせるために、前記電子顕微鏡を前記光学カメラの焦点調節によって決定された焦点面に自動的に合焦するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−33760(P2013−33760A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−248422(P2012−248422)
【出願日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【分割の表示】特願2009−514538(P2009−514538)の分割
【原出願日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(501419107)エフ・イ−・アイ・カンパニー (78)
【Fターム(参考)】