説明

電極−目的物間の接触検出用の方法

【課題】 電極−測定目的物間の接触を検出する。
【解決手段】 カテーテルは好ましくは更に組織と接触することから保護される
ことが好ましい基準電極を具備する。方法を実施するシステムは更にテスト信号を遠位の先端の及び基準の電極へ伝送するために信号発生器を具備している。組織接触は、基準電極と戻り電極との間の信号に対して先端電極と戻り電極との間の信号を比較することにより検出される。もし電極の組織との接触が検出されると切除エネルギーが遠位の先端電極に供給される。

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】
【0001】
本発明は電極の、目的物である組織との接触を検出するための方法に向けられている。本発明の方法は、心臓内の電気生理学又は電気機械的研究と連携する、或いは心臓内の切除の様な治療過程に連携する使用に特に好適である。
【従来の技術】
【0002】
その最も普通のものが心室の心拍急速(ventricular tachycardia){ブイテー(VT)}である、心臓の不整脈は死の先行原因である。大多数の患者では、ブイテーは該心腔の内面に近く位置した1mmから2mmの損傷(lesion)から発する。ブイテー用の治療の1つは該活性サイトの除去へ繋がる該損傷を位置決めするために該心臓の電気的通路(electrical pathways)をマップ化(mapping)することを含んでいる。
【0003】
その全内容が引用によりここに組み入れられる、共通に譲渡された、特許文献1、特許文献2、及び特許文献3は、該心臓内の精密な位置の関数としての局部賦活時間(local activation time)の様な心臓組織の電気的特性を検出する方法を開示している。該データは、それらの遠位の先端に電気的及び位置のセンサーを有する1つ以上のカテーテルを該心臓内に進めることにより得ている。該カテーテルの先端の精密な3次元的位置はその中に含まれた位置センサーにより確認される。該位置センサーは、電磁場の様な外部で発生された非イオン化性の場の中でその精密な位置に対応する信号を発生することにより動作する。位置情報の取得と同時に、又該カテーテルの遠位の先端に含まれた少なくとも1つの電極により電気的情報が得られる。該カテーテルに含まれたセンサーによる位置と電気的な情報の精確な検出はカテーテル電極が該組織と接触することの高度な信頼を要する。
【0004】
マップ化及び切除用電極の位置の決定するために、音響的手段を使用するシステムでは、該電極がマップ化され切除されるべき組織と接触していることを決定することが同じく重要である。例えば、その全体が引用によりここで組み入れられる、特許文献4は、心腔内に配置されるよう適合された、円周方向に離れ隔てられた、複数の柔軟な長手方向に延びるアームを有するカテーテルプローブの使用を開示している。電極は該アームにより担われ、該心臓壁と係合に入るべく動くよう適合されている。1つのアームがもう1つから区別出来るように該アームをエンコードするために超音波的に視認出来るマーカーが該アームにより担われている。その遠位の端部に超音波センサー又は変換器の様な超音波式視認手段を有する切除カテーテルが該カテーテルプローブにより担われそしてその中に摺動可能に設置されている。該切除カテーテルの遠位の端部は該カテーテルプローブのアームにより担われる該マーカーを超音波的に視認する位置に移動可能であるので、該アームは識別され、該アームの隙間は確認出来る。
【0005】
その開示がその全体で引用によりここに組み入れられる特許文献5は、3角測量の原理を使用して患者の心臓内に固定した、3次元座標システムを確立するために、1つ以上の超音波基準カテーテル(ultrasound reference catheters)を使用するシステムを開示している。該座標システムはビデオモニター上に3次元でグラフ式に示され、臨床的過程を行う必要のある位置へ、身体を通して、超音波センサー又は変換器を備えた、他の医学的デバイスをガイドする際に臨床家を助けると報告されている。該システムは、該心臓内の望ましい位置へ、電気的機能(electrical activity)測定用のマップ用カテーテルと、心臓組織の選択領域を切除するための切除用カテーテルと、を導くよう医者を助けるのに有用であると報告されている。
【0006】
これらのデータをベースとした心臓の電気的機能のマップ創生方法は、それらの全体で引用によりここに又組み入れられており、共通に譲渡された、それぞれ1998年7月24日出願と1999年7月22日出願の、特許文献6と特許文献7及び特許文献8に開示されている。臨床的設定では、心腔の電気的機能の詳細な、総合的なマップを発生するために該心臓内の100以上のサイトのデータを蓄積することが普通である。上記説明の位置センサーの使用は該心腔の機能の詳細で精確なマップを提供するのに非常に有用である。
【0007】
ポジション(position)又は位置(location)センサーを含むカテーテルは心臓表面上の点の軌道(trajectory)を決定するためにも使用される。これらの軌道は該組織の収縮性の様な機械的運動特性を推量するために使用される。その全体が引用によりここに組み入れられる特許文献9で開示される様に、局部の電気的情報を描くマップと重ね合わされた、この様な運動特性を描くマップは、該心臓内の充分な数の点で該軌道情報がサンプルされた時作られる。この様な運動特性の精確なマップは再度、該カテーテル先端が該心臓組織と接触した時該データが得られたと云う信頼を要する。
【0008】
上記説明の様に作られた詳細なマップは、該心臓の電気的機能の伝播を変え、正常な心臓のリズムを回復するために、アクション、例えば組織切除の治療のコースの上で決定するためのベースとして役立つ。心臓内の切除では、エネルギー、典型的には無線周波数{アールエフ(RF)}範囲の、エネルギーが、その遠位の先端に切除電極を有するカテーテルにより該心臓内の表面上の選択された点に供給される。切除は、該遠位の先端電極を異常な電気的機能の軌跡(locus)と接触するよう持って来ることにより、そして該遠位の先端電極と通信する外部アールエフ発生器から該遠位の先端電極を通してのアールエフ(RF)エネルギーの供給を始動することによりもたらされる。切除は該遠位の先端電極が該心臓壁と接触する時最も有効に行われる。該先端電極の該心臓壁との接触欠如(absence of contact)又は貧弱な接触(poor contact)は、血液クロット形成(blood clot formation)の付随する可能性を有する該先端電極の起こりうる汚れのみならず血液内での該アールエフエネルギーの放散へ導く。従って、マップ作成(mapping)と切除の両者は電極−組織間の接触を検出し、保証するための方法とシステムを伴うことが重要である。
【0009】
特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16、特許文献17、特許文献18、特許文献19そして特許文献20を含む、多数の参考文献が電極−組織間接触を決定する方法を報告している。多数のこれら参考文献、例えば特許文献10、特許文献12そして特許文献17は該先端電極と戻り電極の間のインピーダンスを測定することにより電極−組織間接触を決定している。特許文献17で開示されている様に、血液を通してのインピーダンスは組織を通してのインピーダンスより概して低いことは一般に知られている。従って、組織接触は、1セットの電極間のインピーダンス値を、電極が組織と接触していることが知られる時、そしてそれが血液のみと接触していることが知られる時の予め測定されたインピーダンス値と比較することにより検出されて来た。心臓内での処置中この方法を使う際の問題は組織と血液のインピーダンスが処置中変化するかも知れぬと云う事実である。更に、組織を通るインピーダンスも該組織の状態に左右される。例えば、梗塞組織(infarcted tissue)を通してのインピーダンスは健全な組織を通るインピーダンスより小さいことが知られている。
【0010】
特許文献18は、カテーテル先端電極の組織との接触を検出する方法を開示している。該特許文献18の方法は先端電極と、該カテーテル表面に沿って設置された複数の軸線方向に間を隔てられたリング電極と、を有するカテーテルを使用する。該カテーテルに沿っ
て配置された外側電極の対の間にテスト信号が印加される。各外側電極は、該電極間の組織のインピーダンスの検出用信号特性を開発するために内側電極と対にされる。該特許文献18で開示された該カテーテルと付随的方法の1つの大きな欠点は、該カテーテルの位置と向きとを決定するための唯一の仕方としてそれが組織インピーダンス測定に依存していることである。更に、該インピーダンス測定に使用される該カテーテル電極がボデイ表面と心臓内のエイーシージー(ECG)信号を集めるために又イーシージーデバイス(ECG device)と共に使用されるならば、該特許文献18のインピーダンス測定部品は該イーシージーデバイスに対し別々の接地を要し、それは該回路を複雑化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,546,951号
【特許文献2】米国出願第08/793,371号
【特許文献3】PCT出願第WO96/05768号
【特許文献4】米国特許第5,409,000号
【特許文献5】PCT出願第WO99/05971号
【特許文献6】米国出願第09/122,137号
【特許文献7】米国出願第09/357,559号
【特許文献8】欧州特許出願第974,936号
【特許文献9】米国特許第5,738,096号
【特許文献10】米国特許第5,935,079号
【特許文献11】米国特許第5,891,095号
【特許文献12】米国特許第5,836,990号
【特許文献13】米国特許第5,836,874号
【特許文献14】米国特許第5,673,704号
【特許文献15】米国特許第5,662,108号
【特許文献16】米国特許第5,469,857号
【特許文献17】米国特許第5,447,529号
【特許文献18】米国特許第5,341,807号
【特許文献19】米国特許第5,078,714号
【特許文献20】カナダ特許出願第2,285,342号
【発明が解決しようとした課題と課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は電極−測定目的物間の接触を検出するための新しい方法に向けられている。本発明の方法を実施するためのシステムは近位の端部(proximal end)と遠位の端部(distal end)とを有するボデイ(body)を備えるカテーテル(catheter)を具備しており、該遠位の端部は遠位の先端(distal tip)を有する。該カテーテルは更に、該カテーテルの遠位の先端に位置付けられるのが好ましい、接触電極(contact electrode)と、位置センサー(location sensor)とを有している。本発明のための該システムは更に、基準電極(reference electrode)と接触検出回路(contact detection circuit)とを具備している。該接触検出回路は該接触電極と該基準電極とにテスト信号(test signals)を送るために信号発生器(signal
generator)を備えている。該接触検出回路は更に、該テスト信号への差動電気的応答(differential electrical response)を測定する回路を備えており、該差動電気応答は該接触電極の組織との接触を示している。
【0013】
本発明のためのシステムでは、該基準電極は該接触電極と該位置センサーとを含む該カテーテル上に位置付けられるのが好ましい。該基準電極は更に組織と接触することから保護されるのが好ましい。1実施例では、該基準電極は該電極をカバーする膜(membr
ane)により組織の接触から保護されている。該膜は該基準電極の血液との接触を可能とするが該基準電極の組織との接触は可能としない。もう1つの実施例では、該基準電極は該電極をカテーテルボデイに対し凹ませる(recessing)ことにより組織と接触することから保護している。
【0014】
本発明のためのシステムは更に戻り電極(return electrode)を具備するのが好ましいが、それは該接触電極及び基準電極への該テスト信号用のシンク(sink)として機能する。幾つかの実施例では、該戻り電極は該ボデイの内部に位置付けされるよう適合されている。例えば、該戻り電極は該接触電極と位置センサーとを有する該カテーテル上に位置付けされる。他の実施例では、該戻り電極は該ボデイの外部の皮膚(skin)との接触に適合している。該戻り電極は該接触電極と該基準電極との差動信号を測定するために専用化されてもよい。該戻り電極は分離されたアース(isolated ground)に、好ましくは心電図デバイスの分離されたアース(electrocardiogram device isolated ground)に接続されるのが好ましい。
【0015】
本発明のためのシステムで使用されるカテーテルに含まれる位置センサーは例えば、音響的、磁気的又は電磁的位置センサーの様な、当該技術で公知のどんなタイプであってもよい。好ましくは、該位置センサーは電磁的位置センサーであるのがよい。
【0016】
1実施例では、本発明のためのシステムは、近位の端部と遠位の端部と有するボデイを備えるカテーテルを具備しており、該遠位の端部は遠位の先端を有している。該カテーテルは更に、該カテーテルの遠位の先端に位置付けられた接触電極と、位置センサーとそして基準電極とを備えている。本発明の該システムは更に接触検出回路を具備している。該接触検出回路はテスト信号を該遠位の先端接触電極と該基準電極へ送るために信号発生器を備えている。該接触検出回路は更に、該テスト信号に対する差動電気的応答(differential electrical response)を測定する回路を備えており、該差動電気応答は該遠位の先端接触電極の組織との接触を示している。本発明のためのシステムは更に、該遠位の先端接触電極と該基準電極への該テスト信号用のシンクとして機能する戻り電極を具備している。該テスト信号への差動電気的応答を測定する回路は第1差動増幅器(first differential amplifier)と第2差動増幅器(second differential amplifier)とを備えている。該第1差動増幅器は該遠位の先端電極と該戻り電極との間の第1の電気的差信号(electrical difference signal)を測定するために使用される。該第2差動増幅器は該基準電極と該戻り電極との間の第2の電気的差信号を測定するために使用される。本発明の該システムは更に、該第1の電気的差信号と第2の電気的差信号との間の電気的差信号を測定するために第3の差動増幅器を備えるのが好ましい。
【0017】
該第1差動増幅器は好ましくは該遠位の先端電極と該戻り電極との間の電圧差を測定するのがよい。該第2差動増幅器は好ましくは該基準電極と該戻り電極との間の電圧差を測定するのがよい。該第3差動増幅器は好ましくは該第1増幅器と該第2増幅器との間の電圧差を測定するのがよい。該第3差動増幅器により測定される該電気的差信号は好ましくは同期検波器で整流される(rectified by a synchronous detector)のがよい。
【0018】
該第1増幅器と該第2増幅器の該利得は好ましくは、該第2増幅器の利得に対する該第1増幅器の利得の比が該基準電極面積に対する先端電極面積の比と比例するように調整されるのがよい。その様に調整されると、該第3増幅器の出力は、該先端電極と該基準電極と両者が血液内にあり、どちらの電極も組織と接触してない時はヌル信号(null s
ignal)となる。
【0019】
本発明のための該システムのこの実施例では、該遠位の先端電極は好ましくは第1の一定電流を供給され、該基準電極は第2の一定電流を供給され、そして該第1電流は該第2電流と等しいのがよい。該戻り電極は好ましくは、該第1の一定電流及び第2電流と位相が反対の第3の一定電流で駆動されるのがよい。
【0020】
もう1つの実施例では、電極−組織間接触を検出するための本発明のシステムは近位の端部と遠位の端部とを有するボデイを備えるカテーテルを具備しており、該遠位の端部は遠位の先端を有している。該カテーテルは更に、該カテーテル遠位の先端に位置付けされた接触電極と、位置センサーとそして基準電極とを備えている。本発明のシステムは更に、接触検出回路を具備している。該接触検出回路は該遠位の先端接触電極と該基準電極へテスト信号を送るための信号発生器を備えている。該接触検出回路は更に、該テスト信号に対する差動電気的応答を測定する回路を備えており、該差動電気的応答は該遠位の先端接触電極の組織との接触を示している。該システムは更に該遠位の先端接触電極と該基準電極への該テスト信号用シンクとして機能する戻り電極を備えている。該テスト信号への差動電気的応答を測定する該回路は第1抵抗素子と第2抵抗素子とを有するブリッジ回路を備えている。該第1抵抗素子と該第2抵抗素子は各々第1の側と第2の側とを有する。該第1抵抗素子の該第1の側は該第2抵抗素子の該第1の側と電気的に接続されている。該第1抵抗素子の該第2の側は基準電極と電気的に接続され、該第2抵抗素子の該第2の側は該遠位の先端接触電極と電気的に接続される。該ブリッジ回路は、該第1抵抗素子と該第2抵抗素子との間の第1入力と、該戻り電極へ電気的に接続された第2入力とを有する。該ブリッジは該第1抵抗素子と該基準電極との間の第1出力と該第2抵抗素子と該遠位の先端接触電極との間の第2出力とを有する。該ブリッジ出力は該遠位の先端接触電極の組織との接触を示すブリッジ出力電圧を測定する差動増幅器に接続されるのが好ましい。該差動増幅器の出力は同期検波器により整流されるのが好ましい。
【0021】
この実施例の1つの変型では、該第1抵抗素子は第1抵抗器であり、第2抵抗素子は第2抵抗器である。該第2抵抗器の抵抗に対する該第1抵抗器の抵抗の比は該基準電極面積に対する該遠位の先端電極面積の比に比例するのが好ましい。
【0022】
この実施例のもう1つの変型では、該第1抵抗素子は第1高出力インピーダンスバッフアー(first high output impedance buffer)で、第2抵抗素子は第2高出力インピーダンスバッフアー(second high output impedance buffer)である。該第2高出力インピーダンスバッフアーに対する第1高出力インピーダンスバッフアーの出力電流の比は基準電極面積に対する該先端電極面積の比に比例するのが好ましい。
【0023】
電極−組織間接触を検出するための本発明のためのシステムのもう1つの実施例は、近位の端部と遠位の端部とを有するボデイを備えるカテーテルを具備しており、該遠位の端部は遠位の先端を有している。該カテーテルは更に、該カテーテル遠位の先端に位置付けされた接触電極と、位置センサーとそして基準電極とを備えている。本発明の該システムは更に、接触検出回路を具備している。該接触検出回路は該遠位の先端接触電極と該基準電極へテスト信号を送るための信号発生器を備えている。該接触検出回路は更に、該テスト信号に対する差動電気的応答を測定する回路を備えており、該差動電気的応答は該遠位の先端接触電極の組織との接触を示す。該システムは更に、該遠位の先端接触電極と該基準電極への該テスト信号用シンクとして機能する戻り電極を備えている。該テスト信号に対する差動電気的応答を測定する回路は、該基準電極への電流を測定するための第1電流センサーと該遠位の先端電極への電流を測定するための第2電流センサーとを有する。該電流センサーは好ましくは変流器(current transformers)とホー
ル効果センサー(Hall effect sensors)とから選択されるのがよい。該第2電流センサーの利得に対する該第1電流センサーの利得の比は好ましくは該基準電極面積に対する該先端電極面積の比に比例するのがよい。該電流センサーは好ましくは、該遠位の先端電極の組織との接触を示す電圧を測定する差動増幅器と接続された出力を有するのがよい。該差動増幅器は好ましくは同期検波器により整流される出力を有するのがよい。
【0024】
本発明の1つの側面は電極−測定目的物間の接触を検出するための方法に向けられている。本発明の方法は近位の端部と遠位の端部とを有するボデイを備えるカテーテルを提供する過程を具備しており、該遠位の端部は遠位の先端を有している。該カテーテルは更に、組織との接触用に適合され、好ましくは該カテーテル遠位の先端に位置付けされた接触電極と、位置センサーとを備えている。本発明の方法は更に、該接触電極と該位置センサーとを有する該カテーテル上に位置付けされるのが好ましい、基準電極を提供する過程を具備している。本発明の方法は更に、該接触電極と該基準電極とにテスト信号を提供する過程と、該テスト信号に対する差動電気的応答を測定する過程とを具備しており、該差動電気的応答は該接触電極の組織との接触を示している。
【0025】
本発明の方法で使用される該カテーテル内に含まれる該位置センサーは電磁的センサーであることが好ましい。
【0026】
本発明の方法を実施する際に、該基準電極は組織と接触することから保護されるのが好ましい。1実施例では、該基準電極は、該基準電極をカバーする膜により組織と接触することから保護され、該膜は該基準電極が血液と接触することを可能にするが該基準電極の組織との接触は可能にしない。代わりに、該基準電極は該カテーテルボデイに対し凹まされていることにより組織と接触することから保護されてもよい。
【0027】
1実施例では、本発明の方法は近位の端部と遠位の端部とを有するボデイを備えるカテーテルを提供する過程を具備しており、該遠位の端部は遠位の先端を有している。該カテーテルは更に、組織との接触用に適合され、該カテーテルの遠位の先端に位置付けされた接触電極と、位置センサーとそして基準電極とを備えている。本発明の方法は更に、該遠位の先端接触電極と該基準電極とにテスト信号を提供する過程と、該テスト信号に対する差動電気的応答を測定する過程を具備しており、該差動電気的応答は該接触電極の組織との接触を示している。該テスト信号に対する該差動電気的応答の該測定は、該遠位の先端接触電極と戻り電極の間の第1の電気的差信号を測定する過程と、該基準電極と該戻り電極との間の第2の電気的差信号を測定する過程と、そして該遠位の先端接触電極の組織との接触を検出するために該第1の電気的差信号を該第2の電気的差信号と比較する過程とを具備している。
【0028】
本発明の方法のこの実施例では、該遠位の先端及び基準電極へ提供される該信号は好ましくは一定電流信号であるのがよい。
【0029】
該第1及び第2の電気的差信号の比較は好ましくは該信号を、電極−組織間接触を示す第3の電気的差信号を作るために、差動増幅器に供給する過程を具備するのがよい。該第1及び第2の電気的差信号は好ましくは、該遠位の先端電極と該基準電極とが共に血液内にあり、どちらの電極も組織と接触していない時、該差動増幅器からヌル差信号を提供するよう調整されるのが好ましい。
【0030】
もう1つの実施例では、電極−組織間接触を検出するための本発明の方法は、近位の端部と遠位の端部とを有するボデイを備えるカテーテルを提供する過程を具備しており、該遠位の端部は遠位の先端を有している。該カテーテルは更に、組織との接触用に適合され
、該カテーテルの遠位の先端に位置付けされた接触電極と、位置センサーとそして基準電極を備えている。本発明の方法は更に、該遠位の先端接触電極と該基準電極とにテスト信号を提供する過程と、該テスト信号に対する差動電気的応答を測定する過程とを具備しており、該差動電気的応答は該接触電極の組織との接触を示している。該テスト信号に対する該差動電気的応答の測定は第1抵抗素子と第2抵抗素子とを有するブリッジ回路を提供する過程を具備している。該第1抵抗素子と該第2抵抗素子は各々第1の側と第2の側を有する。該第1抵抗素子の該第1の側は該第2の抵抗素子の該第2の側に電気的に接続される。該第1抵抗素子の該第2の側は該基準電極に電気的に接続され、該第2抵抗素子の該第2の側は該遠位の先端電極に電気的に接続される。該ブリッジ回路は該第1抵抗素子と該第2抵抗素子との間の第1入力と戻り電極に電気的に接続された第2入力とを有する。該ブリッジは更に該第1抵抗素子と該基準電極との間の第1出力と該第2抵抗素子と該遠位の先端電極との間の第2出力とを有する。本発明の方法は更に、遠位の先端電極の組織との接触を検出するために該ブリッジ出力間の信号を測定する過程を具備している。該ブリッジ出力間信号は好ましくは差動増幅器で測定されるのがよく、そして該遠位の先端電極と該基準電極とが共に血液内にあり、そしてどちらの電極も組織と接触していない時は、ヌル信号を提供するよう調整されるのが好ましい。
【0031】
本発明の方法のこの実施例の1変型では、該第1抵抗素子は第1抵抗器を有しており、該第2抵抗素子は第2抵抗器を有している。もう1つの変型では、該第1抵抗素子は第1高出力インピーダンスバフアーを有し、第2抵抗素子は第2高出力インピーダンスバッフアーを有する。
【0032】
もう1つの実施例では、電極−組織間接触を検出するための本発明の方法は、近位の端部と遠位の端部とを有するボデイを備えるカテーテルを提供する過程を具備しており、該遠位の端部は遠位の先端を有している。該カテーテルは更に、組織との接触用に適合され、該カテーテルの遠位の先端に位置付けされた接触電極と、位置センサーとそして基準電極とを備えている。本発明の方法は更に、該遠位の先端接触電極と該基準電極とにテスト信号を提供する過程と、該テスト信号に対する差動電気的応答を測定する過程とを具備しており、該差動電気的応答は該接触電極の組織との接触を示している。該テスト信号に対する該差動電気的応答の測定は、第1電流センサーを用いた該基準電極への電流を測定する過程と第2電流センサーを用いた該遠位の先端電極への電流を測定する過程とを備えている。該遠位の先端接触電極の組織との接触を示す差動電圧を測定するために、該第1電流センサーと第2電流センサーとの出力は差動増幅器に接続される。該電流センサーは好ましくは変流器又はホール効果タイプであるのがよい。該電流センサーは好ましくは該遠位の先端電極の組織との接触を示す電圧を測定する差動増幅器と接続された出力を有するのがよい。該電流センサーからの信号は、該遠位の先端電極と該基準電極とが共に血液内にありどちらの電極も組織と接触していない時は該差動増幅器からヌル信号を提供するよう調整されるのが好ましい。
【0033】
もう1つの実施例では、電極−組織間接触を検出するための本発明の方法は、近位の端部と遠位の端部とを有するボデイを備えるカテーテルを提供する過程を具備しており、該遠位の端部は遠位の先端を有している。該カテーテルは更に、組織との接触用に適合され、該カテーテルの遠位の先端に位置付けされた接触電極と、位置センサーとそして基準電極を備えている。本発明の方法は更に、該遠位の先端接触電極と該基準電極とにテスト信号を提供する過程と、該テスト信号に対する差動電気的応答を測定する過程とを具備しており、該差動電気的応答は該接触電極の組織との接触を示している。該テスト信号に対する該差動電気的応答の測定は、該遠位の先端電極と戻り電極との間の第1インピーダンスを測定する過程と、該基準電極と戻り電極との間の第2インピーダンスを測定する過程とを具備している。該第1及び第2インピーダンスは、該カテーテルの遠位の先端接触電極の組織との接触を検出するため比較される。
【0034】
本発明の方法はオプションとして更に、好ましくは該カテーテルの遠位の先端に位置付けされるのがよい該接触電極からの電気的情報と、該組織上の複数の点での位置センサーからの位置情報とを集める過程を具備している。該組織の電気的マップが次いで該電気的情報と位置情報とから発生される。該マップ内の各点での電気的及び位置情報は、各点での該接触電極と該組織との間で検出される接触に従って重み付けされる。
【0035】
本発明の方法はオプションとして更に、該組織上の複数の点で、該カテーテルの遠位の先端に位置付けされるのが好ましい、該接触電極からの電気的情報と、該位置センサーからの機械的情報とを、それぞれ集める過程を具備している。該組織の電気機械的マップが次いで該電気的及び機械的情報から発生される。該マップ内の各点での該電気的及び機械的情報は、各点で該接触電極と該組織との間で検出される接触に従って重み付けされる。
【0036】
本発明の方法はオプションとして更に、該組織に接触している電極に従って、該カテーテルの遠位の先端に位置付けされるのが好ましい、接触電極へ切除エネルギーを供給する過程を具備している。
【0037】
本発明の目的は電極の組織との接触を検出するための方法を提供することである。
【0038】
本発明のもう1つの目的は、基準電極と比較した、接触電極を用いての電極−組織間接触を検出するための方法を提供することである。
【0039】
本発明のもう1つの目的は、組織と接触しない基準電極と比較した、接触電極を用いての電極−測定目的物間の接触を検出するための差動的な方法を提供することである。
【0040】
本発明のもう1つの目的は非常に精確な位置センサーを含むシステムで電極−測定目的物間の接触を検出するための方法を提供することである。
【0041】
本発明のもう1つの目的は心臓のマップ化過程で使用するための電極−測定目的物間の接触を検出するための方法を提供することである。
【0042】
本発明のもう1つの目的は心臓内の切除過程で使用するための電極−測定目的物間の接触を検出するための方法を提供することである。
【0043】
本発明のこれら及び他の目的、特徴そして利点は付属する図面と連携を取る、下記で表明される詳細な説明から更に容易に明らかになる。
【実施例】
【0044】
本発明は電極の、心腔壁(wall of a chamber of a heart)の様な組織との接触を検出するための新しい方法に向けられている。本発明は心腔の電気的特性をマップ化するため、或いは心臓内の切除の様な電気的治療過程を実行するための方法で使用するのに特に好適である。
【0045】
電極−組織間接触を検出するための本発明の方法は差動インピーダンス測定(differential impedance measurements)に基づいている。心臓壁の様な組織のインピーダンス値は血液のインピーダンスより大きくなる傾向がある。本発明の方法は、カテーテルの遠位の先端に位置付けられるのが好ましい、カテーテル接触電極と戻り電極との間の該インピーダンスを測定する。又本発明の方法は基準電極と戻り電極との間の該インピーダンスを測定する。該基準電極は該ボデイの内部にあり、好ましくは組織と接触するのを防止されるのがよい。基準電極と戻り電極間のインピーダン
スに対して接触電極と戻り電極の間のインピーダンスを同時に測定、比較することによって、本発明の方法は従来技術の接触検出方法の多くの上記列挙した制限を克服する。
【0046】
ここで使用される時、用語“組織(tissue)”は、筋肉、神経、結合組織、血管系及び骨の様な、身体内の全ての固体又は半固体細胞物質を叙述するよう意味する。血液及び、該身体内のリンパ液、細胞間流体又は身体内の他の流体の様な、他の液体物質はここで定義された“組織”の定義から除かれる。
【0047】
診断用マップ化及び治療用供給システム内に含まれ、全体を18と呼称される本発明の1実施例が図1に最も良く示されている。該システムは人体内へ、好ましくは人の心腔29(図2)内への、挿入用のカテーテル20を具備している。該カテーテル20は遠位の端部22を有するカテーテルボデイ20aを備える。該遠位の端部22は、該心臓組織の電気特性を測定するために遠位の先端26に接触電極24を有する。接触電極24は診断の目的、例えばペースマッピングのために、及び/又は治療目的、例えば欠陥心臓組織切除のために、該心臓に電気信号を送るために有用である。該心臓から電気信号を受けそして該心臓へ電気信号を送信するその機能を実行する時、接触電極24は組織と接触するよう設計されているが、接触電極24は必ずしも常に組織と接触していないことは理解されるべきである。例えば、接触電極24は、それが該心臓への血管系を通って進められる時、或いは該心腔内で1点からもう1つの点へそれが向けられる時は、組織と接触していないかも知れない。従って、該接触電極の組織との接触を検出することが本発明の方法の目的である。
【0048】
カテーテル20の遠位の端部22は更に、インピーダンスの内部基準測定を提供するために基準電極25を有する一方、該基準電極25は血液と接触するが組織とは接触しない。カテーテル20の遠位の端部22は更に位置センサー28を有するがそれは該人体内の該カテーテルの位置(position)と向き(orientation)を決定するため使用される信号を発生する。位置センサー28は好ましくはカテーテル20の遠位の先端26に隣接しているのがよい。位置センサー28、先端26そして電極24の固定した位置的なそして向きの関係があるのが好ましい。
【0049】
カテーテル20は、該遠位の端部22をそらせる様な、望ましい方向に該カテーテル20の遠位の端部22を導くために、或いはそれを望ましいように位置付け及び/又は向かせるために制御部(control)32を有するハンドル30を備えるのが好ましい。
【0050】
図1及び2に示す様に、該システム18は更にコンソール34を具備し、それはユーザーがカテーテル20の機能を観察し制御することを可能にする。コンソール34は好ましくはコンピユータ36、キーボード38そしてデイスプレー42を有するのがよい。コンピユータ36は該システムの制御と操作を可能にする、そしてカテーテルの先端電極24、基準電極25からと位置センサー28からのデータ収集を開始及び停止させる制御回路を有する。コンピユータ36は更に、カテーテル電極24と25及び位置センサー28により得られそして信号処理回路40で処理された電気的な及び又は機械的な情報と位置情報とを心腔の電気的及び電気機械的マップの再構築と可視化で使用する。
【0051】
信号処理回路40は、位置センサー28、先端電極24そして基準電極25により発生された信号を含む、カテーテル20からの信号を、典型的に受信、増幅そしてデジタル化する。回路40は更に位置センサー28と先端電極24により発生された信号から、該心腔の電気的特性のみならず該カテーテルの位置及び向きをも計算する。又回路40は身体表面心電図信号を処理する。信号処理回路40により発生されデジタル化された該信号は、該心腔の電気的及び電気機械的マップを再構築し、可視化するためにコンピユータ36により受信され使用される。又回路40は、これらのテスト信号への差動電気的信号を測
定する回路のみならず、先端電極24、基準電極25そして戻り電極48へテスト信号を送る信号発生器56(図3)を含む、接触検出回路も含んでいる。戻り電極48はケーブル49を経由して回路40に結合されそこでは戻り電極48は該テスト信号用のシンク(sink)として機能する。
【0052】
図2に示す様に患者の身体110の外部に適用される時、戻り電極48は、該戻り電極48と該身体110の間の低インピーダンスを提供するために比較的大きいことが好ましい。例えば、約130cmの面積を有し、ミネソタ州、セントポール市のスリーエムにより供給される、電気外科用患者プレートモデル1149F(Electrosurgical Patient Plate model 1149F,supplied by 3M of St.Paul,Minnesota)は本発明のシステムと方法で該戻り電極として充分に使用される。
【0053】
代わりに、回路40が既に増幅され、フイルターされそして/又はデジタル化された信号を受信するように適当な回路が該カテーテル20自身に付随してもよい。
【0054】
カテーテル20は延長ケーブル21を経由して回路40に結合され、該ケーブルはその近位の端部で回路40の嵌合レセプタクル(mating receptacle)46内に嵌合するよう適合されたコネクター44を含んでいる。ケーブル21の遠位の端部はカテーテルハンドル30に接続するレセプタクル33を有する。レセプタクル33は特定のモデルのカテーテルを受けるよう構成されるのが好ましく、そして好ましくは特定のモデルのユーザーエビデントな識別(user−evident identification)を含むのがよい。ケーブル21使用の利点の1つは、異なるハンドル構成を有するカテーテルの様な、異なるモデル及びタイプのカテーテルを同じ回路40に接続する能力である。広い種類のカテーテルを回路40に接続するために異なるケーブル21が使用出来る。別々のケーブル21を有するもう1つの利点は該ケーブル21が患者に接触することがなく、従って消毒なしに該ケーブル21を再使用することが出来る事実にある。
【0055】
回路40は該患者に接触する該システムの全ての部品をコンソール34から電気的に分離するための分離バリヤ(isolation barrier)を含んでいる。回路40からコンピユータ36へのデータ転送は絶縁変圧器(insulating transformer)、光カプラー(optocouplers)等の様なデバイスを使用してもたらされる。
【0056】
本発明のカテーテル20を用いたシステム18で使用される追加的部品が図2に略図的に図解されている。医者51は、先端電極24と位置センサー28とが腔の内側にあるように患者110の心腔29内へ、血管系内切開を通して(through incision in the vasculature)、例えば血管内接近法(intravascular approach)を用いて、カテーテル20を挿入する。本出願の譲り受け人に譲渡され、その開示がそれらの全体で引用によりここに組み入れられる、1995年1月24日出願のPCT特許出願第WO96/05768号及び米国特許第5、391、199号で説明される例示的位置センサーに従って、センサー28は、患者110に近接して操作テーブル31に固定された電磁場発生器コイル(electromagnetic field generator coils)27により発生され外部的に印加される磁場に応答して信号を発生する。センサー28により発生される信号の大きさは印加される該磁場内の該センサーの位置と向きに左右される。場発生器コイル27は信号処理回路40の1部であるドライバー回路にケーブル41を経由して接続される。回路40はケーブル43を経由してコンピユータ36(図1)に接続される。コンピユータ36は該発生器27と全体システム18の操作を制御する。
【0057】
代わりに、本発明のシステムは該カテーテル内の場発生コイルと該患者の外部のセンサーを使ってもよい。
【0058】
本発明のシステムと方法で使用される該カテーテルは、その遠位の先端の1つの接触電極と1つの基準電極とを含む様にここで説明して来たが、本発明の該システムと方法は異なる設計のカテーテルを使用してもよい。例えば、該先端電極は単極又は双極の設計(a
unipolar or a bipolar design)であってもよい。該双極の構成では、該カテーテルは該先端電極の近くのもう1つのリング電極を有する。代わりに、該カテーテルはその長さに沿って複数のリング電極を有してもよい。
【0059】
本発明のシステムと方法がここまで電磁的センサーを参照して説明されたが、3次元位置情報と、オプションとして、向き情報を提供する何等かの他の位置センサーが本発明の実施に使用されてもい。有用でもある図解すべきセンサーには音響センサー及び磁気センサーが含まれる。例えば、その開示がそれらの全体で引用によりここで組み入れられる米国特許第5,409,000号及びPCT出願第WO99/05971号で開示されたタイプの音響センサーは本発明のシステムと方法に従って使用されてもよい。
【0060】
米国特許第5,391,199号で開示された様に、心臓の電気的機能のマップ化はカテーテル20の該遠位の先端26を該心臓内のサイトに位置付け、該サイトの位置及び電気的情報を検出し、データ点を創るために該サイトの検出された位置及び電気的情報を処理し、そして該心臓の電気的通路(electrical pathways)のマップを創るためにこれらの過程を充分な数の回数繰り返すことにより実行される。該腔の電気的機能の精確なマップ用に、該先端電極24が各サイトで該心臓壁に接触している時位置及び電気的データが検出されるのが好ましい。
【0061】
心腔の最終電気的マップから異常な電気的通路に責任のある病変(lesion)を識別すると、該異常な通路は該病変サイトの心臓内の表面を切除することにより治療される。図2に示す様に、切除は、切除電源53から回路40とケーブル21を経由してカテーテル20の遠位の端部22の先端電極24まで該サイトへアールエフエネルギー(RF energy)を供給することにより典型的に実行される。切除は先端電極24が該心臓壁に接触している時最も有効に行われる。先端電極24の該心臓壁との接触欠如(absence of contact)又は貧弱な接触(poor contact)は起こりうる先端電極の汚れのみならず血液内への該アールエフエネルギーの放散へと導く。従ってマップ化と切除の両者は電極−組織間接触を検出するための方法とシステムに伴われることが重要である。
【0062】
図1のシステムと連携した電極−組織間接触を検出するための回路の1実施例が図3に示されている。カテーテル20の遠位の端部22が長手方向の断面図で示されている。先端電極24、基準電極25そして位置センサー28はそれぞれ線50、52そして54によりカテーテルハンドル30に接続され、該ハンドルから信号処理回路40へ電気的接続がなされている。回路40に含まれた信号発生器56は、好ましくは約10kHzから約100kHzの周波数範囲で、高周波交番電流(high frequency alternating current){エイシー(AC)}信号を、それぞれ高主力インピーダンスバッフアー58と60を経由して遠位の先端接触電極24と基準電極25へ送る。約50kHzの信号周波数が最も好ましい。遠位の先端電極24への電流は基準電極25への電流と等しい。又戻り電極48も信号発生器56によりドライブされる。戻り電極48への該信号はインバーター62により最初に位相反転され(inverted in phase)、高出力インピーダンスバッフアー64により調節される(conditioned)。先端電極24、基準電極25そして戻り電極48をドライブする信号電流は心臓組織を刺激(stimulate)するレベルの下にあるべきである。50kH
zで、一般に受け入れられている安全基準は該電流が0.5ミリアンペア超えるべきでないと命じている{例えば、シーイーアイアイイーシー601、1医療電気機器パート1−安全のための一般的要求、ビューローセントラルデラコミッションエレクトロテクニークインタナショナーレ、ジェノバスイツランド、1988(CEI IEC 601−1,Medical Electrical Equipment Part 1−General Requirement for Safety,Bureau Cental
de la Commission Electrotechnique Internationale,Geneva Switzerland,1988)}。第1差動増幅器66は差信号、特定すると遠位の先端電極24と戻り電極48間の電圧を測定する。第2差動増幅器68は基準電極25と戻り電極48の間の電圧を測定するため使用される。差動増幅器66と68からの信号は更にそれぞれ増幅器70と72により増幅される。増幅器70と72の出力は、今度は、差動増幅器74に供給される。差動増幅器74からの差動出力信号は更に増幅器76により増幅される。増幅器76からの増幅された信号は次いで同期検波器78へ送られるが、それは該エイシー(AC)信号を直流{デーシー(DC)}信号に変え、そして又外部ノイズに対する該システムの感度を下げる。該同期検波器78からの信号は次いで信号処理回路40により使用される。
【0063】
該先端及び基準電極は共に共通の媒体内、すなわち血液内にあり、そしてどちらの電極も組織に接触していない時は、共通の戻り電極に対して該先端及び基準電極で測定された電圧はそれぞれの電極の面積に反比例する。従って、増幅器70と72の利得の比が先端電極24と基準電極25の面積の比に比例するように調節されるのが好ましい。これらの条件下で、すなわち遠位の先端電極24と基準電極25が共に血液中にあり、組織に接触していない時、そして該増幅器利得が上記説明のように調節された時、増幅器70と72を出る信号は等しい電圧であり、差動増幅器74と増幅器76の出力はゼロボルトのヌル信号である。先端電極24が、血液より高いインピーダンスを有する心臓壁の様な組織と接触させられた時、そして基準電極25が該血液中にあり、該組織と接触しない時、先端電極24と戻り電極48の間の電圧は基準電極25と戻り電極48の間の電圧を超え、差動増幅器4と増幅器76からのゼロでない電圧信号となる。先端電極24が組織に接触する時カテーテル先端電極24と戻り電極48の間のインピーダンスの変化を検出する、このゼロでない信号は、組織接触を示す可聴(audible)又は可視(visible)信号を提供するために信号処理回路40のシステム電子機器により使用される。
【0064】
組織接触は種々の技術で信号を送られる。組織接触の信号を送る1つの形式は、例えば、計器パネル上のライト又はエルイーデー(LED)の点灯である。代わりに、組織接触は、他のシステムパラメーターと共に、メーターにより信号を出されてもよく、例えばコンピユータモニター上に表示されてもよい。
【0065】
本発明のシステムの本実施例に対し多数の変型が想定される。例えば、上記説明の実施例では、基準電極25は遠位の先端電極24と位置センサー28を有するマップ化/切除カテーテル22上に位置付けられる。代わりに、基準電極25は血管系内に含まれる別のカテーテル上に位置付けられてもよい。図15Aは本発明のシステムと方法で使用するための代わりの設計のカテーテル20の略図を示す。図15Aのカテーテル20は基準電極を含まない。本発明のシステムと方法での使用では、基準電極は第2カテーテル(図示せず)を備えている。同様に、戻り電極48は該遠位の先端電極24と位置センサー28とを含む該カテーテル20上に組み入れられてもよく、その場合戻り電極48は使用中該身体内にある。図15Bは、基準電極25と戻り電極48の両者を組み入れた代わりの設計のカテーテル20の略図を示す。
【0066】
代わりに、切除中電極温度をモニターするためそして切除中の該電極への切除エネルギー供給の制御のために、カテーテル20は遠位の先端電極24に熱電対を装備されてもよ
い。
【0067】
図3に示すシステムは信号発生器56によりドライブされる戻り電極48を示す。代わりに、戻り電極48は、例えば、心電図(electrocardiogram){イーシージー(ECG)}デバイスの分離されたアース(ground)に接続されてもよい。右脚イーシージー(right leg ECG)電極は多くのイーシージーデバイスで典型的に分離されたアースに接続され、本発明のシステムと方法の戻り電極として満足して機能した。
【0068】
電極−組織間接触を検出するための回路の追加的実施例が図5と図6に図解されている。これらの実施例の回路は、信号発生器90がブリッジ回路94の第1入力92に接続された図4に示す回路を最初に考慮することにより最も良く理解される。ブリッジ回路94の第2入力96は抵抗器98を経由して分離されたアースに接続される。ブリッジ94は第1抵抗器(R1)100、第2抵抗器(R2)102、第3抵抗器(R3)104と第4抵抗器(R4)106から成る。該回路の出力電圧を測定するために第1のブリッジ出力108と第2ブリッジ出力110は差動増幅器112に接続される。差動増幅器112からの信号は更に増幅器114内で増幅され、そこから同期検波器116へ渡される。
【0069】
図4のブリッジ回路について、下記の関係が充たされる時、
R1/R2=R3/R4
出力点108と110の間の該ブリッジの出力電圧はゼロに等しいことは良く知られている。
【0070】
図5は本発明の方法で電極−測定目的物間の接触を検出するため使用されるブリッジ回路の1実施例を図解している。該システムは図3を参照して説明されたと同じカテーテルを使用する。図5に示す実施例では、第3の抵抗器R3(図4の104)は基準電極25から戻り電極48への信号通路により置き換えられ、第4の抵抗器R4(図4の106)は遠位の先端接触電極24から戻り電極48への信号通路により置き換えられた。図4の抵抗器98は皮膚から外部戻り電極48への信号通路により置き換えられる。戻り電極48は好ましくは、例えば、イーシージーデバイス分離アースへの様な、分離されたアースへ接続されるのがよい。明確化の目的で、位置センサー28は図5、6、そして7のカテーテルでは示されてない。
【0071】
もし該先端電極24と基準電極25が共に血液中にあり、そしてもし両電極が同じ面積を有するならば、先端電極24から戻り電極48へのインピーダンスは基準電極25から戻り電極48へのインピーダンスと等しい。これらの条件下で、そしてもし抵抗器R1、100の抵抗が抵抗器R2、102の抵抗に等しければ、該ブリッジはヌル出力電圧を有する。血液より高いインピーダンスを有する組織との先端電極24の接触は先端電極24から戻り電極48への該インピーダンスを基準電極25から戻り電極48への該インピーダンスを超えて増加させ、差動増幅器112、増幅器114そして同期検波器116からのゼロでない電圧信号となる。
【0072】
抵抗器R1とR2が等しい抵抗を有し、遠位の先端電極24と基準電極25が等しくない表面面積を有する場合、該回路の個別脚部に沿ったインピーダンスはそれぞれの電極の面積に反比例する。この条件では、該ブリッジは、先端電極24と基準電極25の両者が血液中にありどちらの電極も組織と接触してない時、ヌル出力電圧を持たない。遠位の先端電極24と基準電極25が共に血液中にありどちらの電極も組織と接触してない時、好ましくは、抵抗器100と102の抵抗が、差動増幅器112からヌル信号を作るように調節されるのがよい。この調節は、抵抗器102に対する抵抗器100の抵抗の比が基準電極25の面積に対する先端電極24の面積の比に比例する時、達成される。
【0073】
接触検出方法のより大きい感度のために、抵抗器100と102のインピーダンスが基準電極25から戻り電極48へと該遠位の先端電極24から基準電極25へのインピーダンスに少なくとも等しいか又はより大きいことが好ましい。好ましくは、抵抗器100と102のインピーダンスは、基準電極25と戻り電極48間の及び先端電極24と戻り電極48間の該インピーダンスの少なくとも約10倍、そしてより好ましくは少なくとも約100倍とすべきである。
【0074】
図6は本発明の方法で組織接触を検出するために使用されるブリッジ回路のもう1つの実施例を示す。この実施例では、図5の抵抗器100と102は高出力インピーダンスバッフアー120と122により置き換えられる。バッフアー120と122は信号発生器90からの一定電圧信号を一定電流信号に変換する。図5に示される回路に於ける様に、もし該先端電極24と該基準電極25の両者が血液中にありもし両電極が同じ表面面積を有するならば、該先端電極24から戻り電極48へのインピーダンスは該基準電極25から戻り電極48へのインピーダンスに等しくなる。これらの条件下でそしてもしバッフアー120の出力電流がバッフアー122の出力電流に等しいならば、該ブリッジはヌル出力電圧を有する。血液より高いインピーダンスを有する組織との先端電極24の接触は該先端電極24から戻り電極48へのインピーダンスに該基準電極25から戻り電極48へのインピーダンスを超えて増加させ、差動増幅器112、増幅器114そして同期検波器116からのゼロでない電圧信号となる。
【0075】
図5の回路に於ける様に、遠位の先端電極24と基準電極25が等しくない表面面積を有する場合、該先端電極24から戻り電極48へのインピーダンスと基準電極25から戻り電極48へのインピーダンスは、先端電極24と基準電極25が共通の媒体内にある時は、該それぞれの電極の面積に反比例する。高出力インピーダンスバッフアー120と122の出力電流は個別のバッフアーの変換関数の関数(a function of the conversion functions of the individual buffers)である。該遠位の先端電極24と該基準電極25が共に血液中にありどちらの電極も組織と接触しない時は、好ましくは、バッフアー120と122の変換関数は差動増幅器112からヌル信号を作るように調節されるのがよい。この調節はバッフアー122からの出力電流に対するバッフアー120からの出力電流の比が基準電極25の面積に対する先端電極24の面積の比に比例する時、達成される。
【0076】
該先端電極24と該基準電極25に一定電流を供給するために、そしてこの電流が電極−組織接触に影響されないように、バッフアー120と122のインピーダンスは、先端電極24と戻り電極48間と基準電極25と戻り電極48の間に示された身体インピーダンス(body impedances)の少なくとも約1000倍であるのが好ましい。
【0077】
図7は電極−組織間接触を検出するための回路のなおもう1つの実施例を描いている。図7に示す実施例では、高周波信号がカテーテルの遠位の先端接触電極24と基準電極25に直接供給される。電流センサー130と132はそれぞれ基準電極25と先端電極24への電流をモニターする。電流センサーは当該技術で公知の如何なるタイプであってもよい。例えば、変流器(current transformer)とホール効果センサー(Hall effect sensors)が本発明のシステムと方法の実施で使用されてもよい。基準電極25と先端電極24への相対電流を測定するために電流センサー130と132の出力電圧信号が差動増幅器112へ供給される。差動増幅器112からの出力信号は更に増幅器114により増幅され同期検波器116へ送信される。
【0078】
前記説明の実施例に於ける様に、もし先端電極24と基準電極25が共に血液内にある
なら、もしどちらの電極も組織と接触してないなら、そして両電極が同じ表面面積を有するなら、該先端電極24から戻り電極48へのインピーダンスは該基準電極25から戻り電極48へのインピーダンスに等しい。これらの条件下では、電流センサー130で測定される電流は電流センサー132で測定される電流と等しく、差動増幅器112はヌル電圧を作る。血液より高いインピーダンスを有する組織との先端電極24の接触は該先端電極24から戻り電極48へのインピーダンスに該基準電極25から戻り電極48へのインピーダンスを超えて増加させ、それは、今度は、基準電極25に対して遠位の先端電極24へのより低い電流となる。基準電極25に対しての先端電極24への電流の減少は差動増幅器112、増幅器114そして同期検波器116からのゼロでない電圧信号となる。
【0079】
前記説明の実施例に於ける様に、該遠位の先端電極24と基準電極25が等しくない表面面積を有する場合、該先端電極24から戻り電極48へのインピーダンス及び該基準電極25から戻り電極48へのインピーダンス、そして従って電流センサー130と132の出力電圧は、先端電極24と基準電極25が共に共通の媒体内にあり、どちらの電極も組織に接触していない時は、該それぞれの電極面積に反比例する。該遠位の先端電極24と該基準電極25の両者が血液内にありどちらの電極も組織に接触していない時は、好ましくはセンサー130と132の出力電圧は差動増幅器112からヌル信号を作るように調節されるのがよい。この調節は、センサー132の利得に対するセンサー130の利得の比が基準電極25の面積に対する先端電極24の面積の比に比例する時、達成される。
【0080】
基準電極25は好ましくは組織と接触することから保護されるのがよい。基準電極25を組織と接触することから保護する1つの仕方は基準電極25を多孔質(porous)の又は半透過性(semi−permeable)の膜(membrane)150でカバーすることである(図8)。基準電極25をカバーするスリーブの形の、該膜150は該基準電極25の血液との接触を可能にするが組織との接触を防止する。該カテーテルボデイ20aは、ポリウレタン(polyurethane)、ポリエーテルイミド(polyetherimide)又はポリエーテルエーテルケトン(polyetherether ketone){ピーイーイーケー(PEEK)}の様な非導電性、非毒性の材料製である。代わりに、図8、9に示す様に、該基準電極25はカテーテルボデイ20a上のチャンネル155内に含まれることにより組織との接触から保護されてもよい。
【0081】
本発明の方法は血管系の切開を通してカテーテル20を体内に導入することにより使われてもよい。次いでカテーテル20は関心のある組織内へ又はそれに近付くよう、例えば、心腔内へ進められる。操作では、電極−組織間接触を検出する本発明のシステムと方法は、間欠的、又は、好ましくは連続的な仕方で使われてもよい。例えば、電気生理学的マップ化過程中連続的に使用され、本発明の方法は、先端電極24を用いて心臓内心電図を記録する間、使用されてもよい。イーシージー信号は典型的に約0.05Hzから約500Hzの周波数範囲である。対照的に、信号発生器56又は90により先端電極24へ送られる接触テスト用信号は典型的に約10kHzから約100kHzの周波数範囲にある。心電図情報は適当なバンドパスフイルターを使用することにより接触テスト信号から減結合(decoupled)されてもよい。
【0082】
本発明の方法はそれらの全体で引用によりここに組み入れられる、共通に譲渡された米国特許第5,546,951号、米国特許出願第08/793,371号、及びPCT出願第WO96/05768号に開示されている様に、心腔の電気的マップを創る際に使用されてもよい。又それらは、その全体で引用によりここで組み入れられる米国特許第5,738,096号で開示されている様に、心腔の機械的又は電気機械的マップの発生で使用されてもよい。例えば、心腔の電気的又は電気機械的マップの発生用に、電気生理学の研究に連携して使用され、先端電極が組織と接触したと決定されないならば位置及び電気的情報が取得されないようにデータ取得が制御されてもよい。代わりに、もし該先端電極
が組織と接触しない条件下でデータの幾つかが取得されたことが決定されたならば、この様なデータは最終の電気的又は電気機械的マップ内でより低い重み(或いは、極限では、重みなし)を与えられてもよい。同様に、心臓内の切除過程で、切除エネルギーが該先端電極の組織との接触が検出された時のみ該先端電極に供給されるように、該切除電源が該接触検出システムでインターロックされてもよい。
【0083】
図10Cそして図11は本発明の方法で使用するための該カテーテル20の代替えの遠位の端部の実施例を示す。カテーテル20は遠位の先端電極組立体162を有する遠位の端部160を備えている。遠位の先端電極組立体162は遠位の先端166に複数の個別の遠位の先端電極164を有する。電極組立体162内の各個別の遠位の先端電極164は非導電体168により他の個別の遠位の先端電極から電気的に絶縁されており、該非導電体は例えばポリウレタンの様な材料からなってもよい。各個別の遠位の先端電極164はリードボア孔(lead bore hole)170を有するが、その中では該制御及びデータ取得回路との通信用にリードが半田付けされる。かくして、この実施例では、4つの個別の遠位の先端電極との接続のために該カテーテル20は4本のリードを有している(4本のリードの2本、172と174が図9Dで示されている)。又カテーテル20の遠位の端部160は、リード186を経由して信号処理回路40と通信する基準電極184のみならず、リード182を経由して信号処理回路40に接続された位置センサー180も備えている。
【0084】
図10Aから図11までで示す実施例では、電極組立体162は4つの別個の象限に4つの個別の遠位の先端電極164を備えている。代わりに、カテーテルの遠位の先端166の電極組立体は4つより少ない又は多い個別の遠位の先端電極を備えてもよい。
【0085】
図10Aから図11の該カテーテルは図3から7に示す接触測定回路の何れかと共に使用されてもよい。図12に示す様に、システム20は、心腔の電気的機能をマップ化するため、そして図10A−図11に示すタイプの多電極カテーテルと図3−7に示すタイプの接触検出回路とを使用して治療の切除を行うため、使用される。システム200は4つのチャンネル202、204、206そして208から成る。各チャンネルはリード224、226、228そして230を経由してカテーテル20の遠位の端部160上の該個別の遠位の先端電極164の1つと通信している。第1モードで操作すると、制御器210はマルチプレクサー212にチャンネル202から208までスイッチするよう命令し、接触検出回路214により該個別の先端電極164の各々と該戻り電極48の間の差動インピーダンス測定(differential impedance measurements)を可能にする。マルチプレクサー212を経由した該個別先端電極164との通信に加えて、接触検出回路214はリード225を経由して基準電極184と、リード227を経由して戻り電極48と通信する。接触検出回路214は図3から7に示す回路の何れかを含んでいる。接触検出回路214に付随する信号発生器はマルチプレクサー212を通して該遠位の先端電極164の各々へ接触検出信号をシーケンシャルに送る。差動信号が該個別の先端電極164の各々と該戻り電極48の間で測定され、これらの差動信号は基準電極184と該戻り電極48との間の差動信号と接触検出回路214により比較される。各個別先端電極164による組織接触の検出は上記説明の様に達成される。第2モードで操作すると、制御器210はマルチプレクサー216に、スイッチ用回路を選択的に閉じ、切除エネルギーが切除電源218から第1モードで組織と接触すべきと決定された電極164へ流れることを可能にするよう命令する。かくして、該システム200は各選択された先端電極164で、すなわち組織と接触している先端電極164でのみ選択的に切除を行う。
【0086】
又システム200は、各遠位の先端電極164からの心電図のモニターと記録を可能にするために心電図{イーシージー(ECG)}モニター及び記録回路220を含んでいる
。又イーシージー回路220は外部の体表面リード(external body surface leads)222からの外部体接触エレクトログラム(external
body contact electrograms)をモニター及び記録するための用意を備えている。
【0087】
図13は本発明のシステムと方法で使用するためのセグメント化された(segmented)遠位の先端電極236を含むカテーテル20の遠位の端部232のもう1つの代替えの実施例を示す。図10A−図11のカテーテルに於ける様に、該カテーテルの遠位の先端236はカテーテルの遠位の先端236の円周付近に等角度で隔てられた4つの個別の遠位の先端電極234を有する。各電極234は遠位の端部232の該遠位の先端に配置された部分と該カテーテルの遠位の端部232のボデイ20aの長手軸線に沿うよう向けられた長手方向に延びる部分とを有する。各遠位の先端電極234はポリウレタンの様な絶縁材料により他の電極から電気的に絶縁されている。各遠位の先端電極234は約1.0mm幅で約2から約8mmの長さで、リード(図示せず)を経由して信号処理回路40に接続されている。加えてカテーテル20の遠位の端部232は基準電極184を有する。各遠位の先端電極234は上記説明の仕方でインピーダンス測定に基づいて選択的に組織を切除する。
【0088】
図14は本発明の方法で使用されるカテーテル20のもう1つの実施例の遠位の端部240を示す。該カテーテル20の遠位の端部240は遠位の先端245の先端電極244と遠位の先端245から長手方向に隔てられたリング電極246、248そして250を有する。リング電極246、248そして250は各々長さが約3から約6mmであり、約2mmの電極間離間距離を有する絶縁面積により分離されている。カテーテル242は更に前記説明のタイプの位置センサーを含むのが好ましい(図示されてない)。図14のカテーテル20は前記説明の心臓のマップ化及び切除で図12のシステム200と共に使用されてもよい。カテーテル242は、最初は電極244、246、248そして250の各々の組織との接触を検出することにより、次いで選択的切除を提供するために組織と接触していると決定された電極の各々へアールエフエネルギーを同時に又はシーケンシャルに供給することにより、心臓組織内に“ブロックの線(line of block)”を発生するのに特に有用である。
【0089】
図14のカテーテルの実施例20は3つのリング電極を有して示されている。代わりにカテーテル20の遠位の端部240は3つより少ないか又は多いリング電極を有してもよい。システム200のチャンネルの数は該システムと連携して使用される該カテーテル上に含まれる電極の数と少なくとも等しくすべきである。
【0090】
図10A−図11、13そして14で示される該多数電極の実施例での該電極の各々は、電極温度のモニターと該選択的切除中の該電極へのエネルギー供給の制御とのために熱電対を装備されるのがよい。
【0091】
上記説明の好ましい実施例は例として引用されており、本発明の全範囲は述べられる請求項によってのみ限定されることは評価される所である。
【0092】
本発明の特徴及び態様を示せば以下の通りである。
【0093】
1.電極の組織との接触を検出するための方法に於いて、前記方法が
a)カテーテルを提供する過程を具備しており、該カテーテルが
i)近位の端部と遠位の端部とを有するボデイを備えており、前記遠位の端部は遠位の先端を有しており、該カテーテルは又
ii)組織との接触用に適合された接触電極と、そして
iii)前記遠位の端部の位置を決定するための位置センサーとを有しており、前記方法は又
b)基準電極を提供する過程と、
c)前記接触電極と前記基準電極とにテスト信号を提供する過程と、そして
d)前記テスト信号に対する差動電気的応答を測定する過程とを具備しており、前記差動電気的応答は前記接触電極の組織との接触を示していることを特徴とする電極の組織との接触を検出する方法。
【0094】
2.上記1の方法に於いて、前記接触電極は前記カテーテルの遠位の先端に位置付けされていることを特徴とする方法。
【0095】
3.上記2の方法に於いて、前記基準電極は前記カテーテル上に位置付けされていることを特徴とする方法。
【0096】
4.上記1の方法に於いて、前記位置センサーは電磁的位置センサーであることを特徴とする方法。
【0097】
5.上記1の方法に於いて、前記基準電極が組織と接触することから保護されていることを特徴とする方法。
【0098】
6.上記5の方法に於いて、前記基準電極は前記電極をカバーする膜により保護されており、前記膜は前記基準電極の血液との接触を可能にするが前記基準電極の組織との接触を可能にしないことを特徴とする方法。
【0099】
7.上記5の方法に於いて、前記基準電極は前記カテーテルボデイに対し凹まされていることを特徴とする方法。
【0100】
8.上記3の方法に於いて、前記テスト信号に対する差動電気的応答を測定する過程が
a)前記遠位の先端電極と戻り電極の間の第1の電気的差信号と前記基準電極と前記戻り電極との間の第2の電気的差信号とを測定する過程と、
b)前記遠位の先端電極の組織との接触を検出するために前記第1の電気的差信号を前記第2の電気的差信号と比較する過程とを備えることを特徴とする方法。
【0101】
9.上記8の方法に於いて、前記遠位の先端と基準電極とに提供される前記テスト信号は一定電流信号であることを特徴とする方法。
【0102】
10.上記8の方法に於いて、前記第1の電気的差信号を前記第2の電気的差信号と比較する過程は、前記遠位の先端電極の組織との接触を示す第3の電気的差信号を作るために、前記第1の電気的差信号と前記第2の電気的差信号とを差動増幅器に供給する過程を有していることを特徴とする方法。
【0103】
11.上記10の方法に於いて、前記第1と前記第2の電気的差信号は、前記遠位の先端電極と前記基準電極との両者が血液内にありどちらの電極も組織と接触していない時、前記差動増幅器からヌル差信号を提供するよう調節されることを特徴とする方法。
【0104】
12.上記8の方法に於いて、前記位置センサーは電磁的位置センサーであることを特徴とする方法。
【0105】
13.上記3の方法に於いて、前記テスト信号に対する差動電気的応答を測定する過程が、
a)第1抵抗素子と第2抵抗素子と備えるブリッジ回路を提供する過程を備えており、前記抵抗素子は各々第1の側と第2の側とを有しており、前記第1抵抗素子の前記第1の側は前記第2抵抗素子の前記第1の側と接続されており、前記第1抵抗素子の第2の側は前記基準電極と接続されており、前記第2抵抗素子の前記第2の側は前記遠位の先端電極と接続されており、前記ブリッジは前記第1抵抗素子と前記第2抵抗素子の間の第1入力と前記戻り電極に接続された第2入力と、前記第1抵抗素子と前記基準電極の間の第1出力と前記第2抵抗素子と前記遠位の先端電極の間の第2出力とを有しており、そして前記測定する過程は又、
b)前記遠位の先端電極の組織との接触を検出するために前記ブリッジ出力間の信号を測定する過程を備えていることを特徴とする方法。
【0106】
14.上記13の方法に於いて、前記第1抵抗素子は第1抵抗器を有しており、前記第2抵抗素子は第2抵抗器を有していることを特徴とする方法。
【0107】
15.上記13の方法に於いて、前記第1抵抗素子は第1の高出力インピーダンスバッフアーを有しており、前記第2抵抗素子は第2の高出力インピーダンスバッフアーを有することを特徴とする方法。
【0108】
16.上記13の方法に於いて、前記ブリッジ出力間の前記信号が差動増幅器により測定されることを特徴とする方法。
【0109】
17.上記16の方法に於いて、前記ブリッジ出力間の前記信号は、前記遠位の先端電極と前記基準電極との両者が血液内にあり、どちらの電極も組織と接触してない時、前記差動増幅器からヌル信号を提供するよう調節されていることを特徴とする方法。
【0110】
18.上記13の方法に於いて、前記位置センサーは電磁的センサーであることを特徴とする方法。
【0111】
19.上記3の方法に於いて、前記テスト信号に対する差動電気的応答を測定する過程が、第1電流センサーで前記基準電極への電流を測定する過程と第2電流センサーで前記遠位の先端電極への電流を測定する過程とを備えており、前記第1電流センサーと前記第2電流センサーとは差動増幅器に接続された出力を有しており、前記増幅器は前記遠位の先端電極の組織との接触を示す電圧を測定することを特徴とする方法。
【0112】
20.上記19の方法に於いて、前記電流センサーは変流器とホール効果センサーから選択されることを特徴とする方法。
【0113】
21.上記19の方法に於いて、前記電流センサーは出力信号を有しており、前記信号は、前記遠位の先端電極と前記基準電極との両者が血液内にありどちらの電極も組織と接触していない時、前記差動増幅器からヌル信号を提供するよう調節されることを特徴とする方法。
【0114】
22.上記19の方法に於いて、前記位置センサーは電磁的位置センサーであることを特徴とする方法。
【0115】
23.上記3の方法に於いて、前記テスト信号に対する差動電気的応答を測定する過程は
a)前記遠位の先端電極と戻り電極との間の第1インピーダンスと前記基準電極と前記戻り電極の間の第2インピーダンスとを測定する過程と、
b)前記カテーテルの遠位の先端電極の組織との接触を検出するために前記第1及び前
記第2インピーダンスを比較する過程とを備えることを特徴とする方法。
【0116】
24.上記23の方法に於いて、前記位置センサーは電磁的位置センサーであることを特徴とする方法。
【0117】
25.上記3の方法が更に
e)前記組織上の複数の点で前記遠位の先端電極からの電気的情報と前記位置センサーからの位置情報とを収集する過程と、
f)前記電気的及び位置情報から前記組織の電気的マップを発生する過程とを具備しており、前記点の各々での前記電気的及び位置情報は前記点での前記遠位の先端電極と前記組織の間で検出されつつある接触に従って前記マップ内で重み付けされることを特徴とする方法。
【0118】
26.上記3の方法が更に、
e)前記組織上の複数の点で前記遠位の先端電極からの電気的情報と前記位置センサーからの機械的情報とを収集する過程と、
f)前記電気的及び機械的情報から前記組織の電気機械的マップを発生する過程とを具備しており、前記点の各々での前記電気的及び機械的情報は前記点での前記遠位の先端電極と前記組織の間で検出されつつある接触に従って前記マップ内で重み付けされることを特徴とする方法。
【0119】
27.上記3の方法が更に、前記遠位の先端電極が組織と接触していることに従って前記遠位の先端電極に切除エネルギーを供給する過程を具備することを特徴とする方法。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明の方法を組み込む心臓診断及び治療システムの要素を示す略図的図解である。
【図2】患者に使用中の図1のシステムで使用される追加的部品を示す略図的図解である。
【図3】電極−組織間接触を検出するために使用される回路の1実施例を示す略図的線図である。
【図4】電極−組織間接触を検出するために使用されるブリッジ回路を示す略図的線図である。
【図5】図4のブリッジ回路の1実施例を示す略図的線図である。
【図6】図4のブリッジ回路のもう1つの実施例を示す略図的線図である。
【図7】電極−組織間接触を検出するためのもう1つの回路を示す略図的線図である。
【図8】該基準電極が、膜でカバーされることにより組織と接触することから保護されるカテーテルの遠位の端部の断面図である。
【図9】該基準電極が、該カテーテルボデイ内で凹まされることにより組織と接触することから保護されるカテーテルの遠位の端部の断面図である。
【図10】本発明の方法で使用するためのスプリットチップ設計(split−tip design)を有するカテーテルの遠位の端部の平面図A、Aのカテーテルの該遠位の先端の端面図B、及びAのカテーテルの電極組立体の近位の端部の端面図Cである。
【図11】図10Aのカテーテルの遠位の端部の長手方向断面図である。
【図12】心腔の電気的機能をマップ化するためのそして該腔内のサイトの切除のためのシステムを示す略図的線図である。
【図13】本発明の方法を実施する際に使用するための代替えのスプリットーチップカテーテル設計を有するカテーテルの遠位の端部の斜視図である。
【図14】本発明の方法で使用するためのカテーテルのもう1つの実施例の遠位の端部の断面図である。
【図15】本発明の方法で使用するための代替えの設計のカテーテルの略図A、及び本発明の方法で使用するためのもう1つの設計のカテーテルの略図Bである。
【符号の説明】
【0121】
18 診断用マップ化及び治療用供給システム
20 カテーテル
20a カテーテルボデイ
21 延長ケーブル
22 遠位の端部
24 接触電極
25 基準電極
26 遠位の先端
27 電磁場発生コイル
28 位置センサー
29 心腔
30 ハンドル
31 操作テーブル
32 制御部
33 レセプタクル
34 コンソール
36 コンピユータ
38 キーボード
40 信号処理回路
41,43 ケーブル
46 嵌合レセプタクル
48 戻り電極
49 ケーブル
51 医者
50,52,54 線
53 切除電源
56 信号発生器
58,60,64 高出力インピーダンスバッフアー
62 インバーター
66 第1差動増幅器
68 第2差動増幅器
70,72,76 増幅器
74 差動増幅器
78 同期検波器
90 信号発生器
92 第1入力
94 ブリッジ回路
96 第2入力
98 抵抗器
100 第1抵抗器
102 第2抵抗器
104 第3抵抗器
106 第4抵抗器
108 第1ブリッジ出力
110 身体又は第2ブリッジ出力
112 差動増幅器
114 増幅器
116 同期検波器
120,122 高出力インピーダンスバッフアー
130,132 電流センサー
150 半透過性膜
155 チャンネル
160 遠位の端部
162 遠位の先端電極組立体
164 遠位の先端電極
166 遠位の先端
168 非導電体
170 リードボア孔
172,174 リード
180 位置センサー
182,186 リード
184 基準電極
200 システム
202,204,206,208 チャンネル
210 制御器
212,216 マルチプレクサー
214 接触検出回路
218 切除電源
220 心電図記録回路
222 体表面リード
224,225,226,227,228,230 リード
232,240 遠位の端部
234 遠位の先端電極
236,245 遠位の先端
242 カテーテル
244,246,248,250 リング電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極の、目的物との接触を検出するための方法に於いて、前記方法が
a)カテーテルを提供する過程を具備しており、該カテーテルが
i)近位の端部と遠位の端部とを有するボデイを備えており、前記遠位の端部は遠位の先端を有しており、該カテーテルは又
ii)目的物との接触用に適合された接触電極と、そして
iii)前記遠位の端部の位置を決定するための位置センサーとを有しており、前記方法は又
b)基準電極を提供する過程と、
c)前記接触電極と前記基準電極とにテスト信号を提供する過程と、そして
d)前記テスト信号に対する差動電気的応答を測定する過程とを具備しており、前記差動電気的応答は前記接触電極の、目的物との接触を示していることを特徴とする電極の、目的物との接触を検出する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2011−152430(P2011−152430A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−48869(P2011−48869)
【出願日】平成23年3月7日(2011.3.7)
【分割の表示】特願2001−206416(P2001−206416)の分割
【原出願日】平成13年7月6日(2001.7.6)
【出願人】(508080229)バイオセンス・ウエブスター・インコーポレーテツド (79)
【Fターム(参考)】