説明

電極消耗検出システムを有するプラズマトーチ

【課題】電極の消耗を検出し、電極がある量の消耗を受けた時点で電極の使用を阻止するように設計されたプラズマトーチの提供。
【解決手段】電極30またはノズル15のいずれかが主トーチ本体12に対して移動可能になっており、この移動可能な部品が突起70を画定している。消耗ストッパ65は、トーチのノズル15から所定距離を隔てて位置決めされており、過度の消耗を受ける前には、電極30は、ノズル15と接触し、トーチ作動を開始させるためのパイロットアークを点弧させることが可能である。いったん電極の長さが消耗によって所定長さよりも短くなると、電極30の突起70が消耗ストッパ65に係合し、消耗ストッパ65が、電極30がノズル15と接触するのを妨げるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマアークトーチ、特に、所謂、ブローバック式のプラズマアークトーチに関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマトーチは、通常、金属加工片の切断またはマーキングに用いられている。一般的に、プラズマトーチは、電極を用いて、トーチ内に電気アークを生成するようになっている。高速ガスがトーチ内に流され、電気アークがこのガスをイオン化し、これによって、プラズマが生じることになる。このイオン化されたガス、すなわち、プラズマの高速流が、トーチのノズルを通って、切断される加工片に向かって送られることになる。プラズマは、電気をトーチから加工片に伝導する働きをしている。このようにして、プラズマは、加工片を加熱し、切断箇所の金属を溶融し、溶融した金属を機械的に吹き飛ばし、切断部を形成することになる。
【0003】
ブローバックトーチでは、ノズルは、一般的にトーチ本体に対して固定されており、電極は、ノズルに対して移動可能になっている。最初、電極は、ノズルと接触している。ブローバックトーチが、例えば、ユーザのトリガー操作によって作動すると、電圧差がノズルと電極との間に印加され、(空気のような)プラズマガスが、トーチを通ってノズルに流れる。このガス流れによって、電極は、ノズルとの接触から後方に噴き返され(blow back)、電極とノズルとの間にパイロットアークが生じる。同時に、ガスがノズルから流出し、アークを加工片に移行させ、トーチ作動が行われることになる。
【0004】
ブローフォワードトーチでは、電極は、一般的にトーチ本体に対して固定されており、ノズルは、電極に対して移動可能になっている。ブローバックトーチと同じように、ノズルは、最初、電極と接触している。しかし、ブローフォワードトーチが作動され、電圧差がノズルと電極との間に印加されると、プラズマガス流によって、ノズルは、電極との接触から前方に噴き出される(blow forward)。このようにして、パイロットアークが電極とノズルとの間に生じ、ガスがノズルから流出し、アークが前述したように加工片に移行することになる。
【0005】
(ブローバック式およびブローフォワード式)プラズマトーチのユーザは、多くの場合、プラズマトーチ作動中に電極が消耗すると、トーチ内で用いられていたこの電極を取り換える必要がある。過度に消耗した電極を用いると、プラズマトーチおよび加工片に損傷をもたらすことがあり、さらに重要なことは、プラズマトーチのユーザに対する安全が懸念されることもある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなことから、出願人は、電極の消耗を検出し、過度に消耗した電極の使用を阻止することができるプラズマトーチを提供することが望ましいことを見出した。以下に詳細に説明するように、出願人の努力によって、種々の課題が明らかにされ、かつ解消され、このようなプラズマトーチを考案かつ開発するに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、ユーザが電極の消耗を検出することを可能にするプラズマアークトーチ、電極、および方法が提供されている。特に、電極の消耗を検出し、電極がある量の消耗を受けた時点でその電極の使用を阻止するように設計された消耗ストッパを備えているプラズマアークトーチが提供されている。
【0008】
1つの例示的実施形態では、プラズマアークトーチは、主トーチ本体と、加工片に向かってガス流を通過させるオリフィスを画定している導電性ノズルと、を備えている。また、トーチは、主トーチ本体内に配置された電極ホルダーと、電極ホルダーに取外し可能に取り付けられて、電極ホルダーからノズルの対向面に向かって前方向に突出している電極と、を備えている。電極は、端面および軸方向長さLを画定している。長さLは,プラズマアークトーチの使用中に、電極の端面が消耗するにつれて、減少することになる。
【0009】
トーチは、主トーチ本体内に固定して取り付けられた非導電性消耗ストッパも備えている。消耗ストッパは、ノズルの対向面から所定距離Dだけ軸方向に離間している第1の係合面を画定している。電極およびノズルの一方は、電極およびノズルの他方に対して軸方向に移動可能になっており、軸方向に移動可能になっている電極およびノズルの一方は、突起を画定しており、この突起は、第2の係合面を画定している。さらに、消耗ストッパは、電極の端面が消耗する前には、電極の端面がノズルの対向面と電気的に接触しているとき、消耗ストッパの第1の係合面と突起の第2の係合面との間に軸方向隙間Cが存在するように、位置決めされている。従って、隙間Cは、プラズマアークトーチの使用中、電極の端面が消耗するにつれて、減少するようになっている。このようにして、隙間Cがゼロまで減少すると、消耗ストッパの第1の係合面が突起の第2の係合面に当接し、これによって、消耗が所定量を超えたとき、電極の端面がノズルの対向面と電気的に接触することが阻止されることになる。
【0010】
従って、いくつかの実施形態では、ノズルは、主トーチ本体に固定されており、電極は、主トーチ本体に対して軸方向に移動可能になっており、突起は、電極の外面から半径方向外方に延在している。他の実施形態では、ノズルは、主トーチ本体に対して軸方向に移動可能になっており、電極は、本体に対して固定されており、突起は、ノズルから延在している。
【0011】
一部の例では、プラズマアークトーチは、電極に電気的に接続された電源をさらに備えている。電源は、電極がノズルと電気的に接触しているときに、パイロットアークを点弧させるため、電極とノズルとの間に電圧差を印加するように構成されていてもよい。
【0012】
プラズマアークトーチは、電圧差が印加されたときに電極とノズルとの間に画定された電気回路の状態を検出するように構成されたセンサをさらに備えていてもよい。一部の例では、電源が、センサを含んでいてもよい。さらに、プラズマアークトーチは、センサに連通している指示器を備えていてもよい。指示器は、センサによって検出された電気回路の状態をユーザに指示するように、構成されていてもよい。指示器は、検出された電気回路の状態が電極とノズルとの間の電気的不連続であるとき、ユーザに通知するように構成されていてもよい。
【0013】
一部の例では、長さLは、消耗ストッパが突起に係合して電極の端面がノズルの対向面と電気的に接触するのを妨げる前に、電極がプラズマアークトーチ内において使用できる概算時間に対応している。主トーチ本体および電極ホルダーは、電極ホルダーが電極の端面の消耗前の種々の長さLを有する電極を個別に受け入れることができるように、構成されていてもよい。従って、必要に応じて、トーチ製造業者または部品配給業者は、トーチ内に取り付けられる電極として、種々の公称使用寿命を有する電極を供給することが可能となっている。
【0014】
他の実施形態では、プラズマアークトーチ内の電極の消耗を検出する方法が提供されている。ここで、プラズマアークトーチは、主トーチ本体と、導電性ノズルと、主トーチ本体内に配置された電極ホルダーと、電極ホルダーに取外し可能に取り付けられた電極と、を備えており、電極とノズルとの一方が電極とノズルとの他方に対して軸方向に移動可能になっている。本方法は、軸方向に移動可能になっている電極とノズルとの一方から延在している突起を設けるステップと、主トーチ本体内に固定して取り付けられた非導電性消耗ストッパを設けるステップと、を含んでいる。消耗ストッパは、電極の軸方向長さLがプラズマアークトーチの使用中に電極の端面の消耗によって所定の長さよりも短くなったときにのみ、突起が消耗ストッパに係合するように、位置決めされている。電圧差が電極とノズルとの間に印加され、この電圧差が印加されたときに電極とノズルとの間に画定された電気回路の状態が検出されるようになっている。
【0015】
一部の例では、検出された電気回路状態は、ユーザに指示されるようになっている。検出され、かつユーザに指示される電気回路の状態は、電極とノズルとの間の電気的不連続であってもよい。
【0016】
さらに、長さLは、消耗ストッパが突起に係合して電極の端面がノズルの対向面と電気的に接触するのを妨げる前に、電極がプラズマアークトーチ内において使用できる概算時間に対応していてもよい。
【0017】
他の実施形態では、主トーチ本体と、主トーチ本体に対して固定された導電性ノズルと、主トーチ本体に対して軸方向に移動可能になるように、主トーチ本体内に配置された電極ホルダーと、を備えているプラズマアークトーチが提供されている。トーチは、電極ホルダーに取外し可能に取り付けられた電極をさらに備えており、電極の端面は、パイロットアークを点弧させるために電極ホルダーがノズルの方に移動したとき、かつ端面の消耗が所定量よりも少ないとき、ノズルの対向面と電気的に接触するように、構成されている。電極は、外面および外面から半径方向外方に延在している突起を画定している。さらに、電極は、突起の前面と電極の端面との間に画定された軸方向長さLを有している。
【0018】
加えて、プラズマアークトーチは、主トーチ本体内に固定して取り付けられた非導電性消耗ストッパを備えている。消耗ストッパは、前記長さLがプラズマアークトーチの使用中に電極の端面の消耗によって所定長さよりも短くなったときにのみ、突起に係合するように、構成されている。消耗ストッパと電極との係合によって、電極がノズルに向かって軸方向に移動することが阻止され、これによって、電極の端面のさらに継続する消耗によって、端面とノズルとの間の電気的接触が妨げられ、パイロットアークの点弧が阻止されるようになっている。
【0019】
一部の例では、プラズマアークトーチは、電極に電気的に接続された電源を備えていてもよい。電源は、電極がノズルと電気的に接触しているときに、パイロットアークを点弧させるために、電極とノズルとの間に電圧差を印加するように、構成されていてもよい。
【0020】
プラズマアークトーチは、電圧差が印加されたときに、電極とノズルとの間に画定された電気回路の状態を検出するように構成されたセンサを備えていてもよい。一部の例では、電源が、センサを含んでいてもよい。プラズマアークトーチは、センサに連通している指示器を備えていてもよい。指示器は、センサによって検出された電気回路の状態をユーザに指示するように、構成されている。指示器は、検出された電気回路の状態が電極とノズルとの間の電気的不連続であるとき、ユーザに通知するように構成されていてもよい。
【0021】
一部の例では、長さLは、消耗ストッパが突起に係合して電極の端面がノズルの対向面と電気的に接触するのを妨げる前に、電極がプラズマアークトーチ内において使用できる概算時間に対応している。主トーチ本体および電極ホルダーは、電極ホルダーが電極の端面の消耗前の種々の長さLを有する電極を個別に受け入れることができるように、構成されていてもよい。
【0022】
他の実施形態では、主トーチ本体と、主トーチ本体に対して軸方向に移動可能になっている導電性ノズルであって、突起を画定している、導電性ノズルと、を備えているプラズマアークトーチが提供されている。トーチは、主トーチ本体内に固定して取り付けられた電極ホルダーと、電極ホルダーに取外し可能に取り付けられた電極と、をさらに備えている。電極の端面は、パイロットアークを点弧させるためにノズルが電極の方に移動したとき、かつ端面の消耗が所定量よりも少ないとき、ノズルの対向面と電気的に接触するように、構成されている。トーチは、主トーチ本体内に固定して取り付けられた非導電性消耗ストッパも備えている。消耗ストッパは、プラズマアークトーチの使用中に電極の端面が所定量の消耗を受けたときにのみ、突起に係合するように構成されている。従って、消耗ストッパと突起との係合によって、ノズルが電極に向かって軸方向に移動することが妨げられ、これによって、電極の端面のさらに継続する消耗によって、端面とノズルとの間の電気的な接触が妨げられ、パイロットアークの点弧が阻止されるようになっている。
【0023】
プラズマアークトーチは、電極に電気的に接続された電源と、センサと、をさらに備えていてもよい。電源は、電極がノズルと電気的に接触しているときに、パイロットアークを点弧させるために、電極とノズルとの間に電圧差を印加するように、構成されていてもよい。センサは、電圧差が印加されたときに、電極とノズルとの間に画定された電気回路の状態を検出するように構成されていてもよい。
【0024】
他の実施形態では、ブローバック式プラズマアークトーチに用いられる電極が提供されている。電極は、プラズマアークトーチのノズルに対して軸方向に移動することができ、プラズマアークトーチ内にパイロットアークを点弧させるように、構成されている。電極は、端面と、軸方向長さLと、外面とを画定しており、かつ外面から半径方向外方に延在している突起をさらに画定している。突起は、プラズマアークトーチの使用中に端面の消耗によって長さLが所定長さよりも短くなったとき、プラズマアークトーチ内に配置された非導電性消耗ストッパに係合するように構成されており、突起と消耗ストッパとの係合によって、電極がノズルに向かって軸方向に移動することが妨げられ、これによって、端面のさらに継続する消耗によって、パイロットアークの点弧が阻止されるようになっている。
【0025】
一部の例では、電極は、一端に孔を画定している電極ブランクと、孔内に嵌合されるように構成された放射要素であって、電極の端面が電極ブランクの一部および放射要素の一部を含んでいる放射要素と、を備えている。
【0026】
従って、以下にさらに詳細に説明するように、ユーザが電極の消耗を検出することを可能にするプラズマアークトーチおよび方法が提供されることになる。
【0027】
本発明を一般的な用語によって説明してきたが、以下、添付の図面について説明する。なお、これらの図面は、必ずしも尺度通りに描かれてはいない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の例示的な実施形態による加工片にトーチ作動を行っているプラズマトーチの概略図である。
【図2】本発明の例示的な実施形態によるブローバック式プラズマトーチの断面図である。
【図2A】電極の消耗前のプラズマアークトーチの電極であって、伸長位置にある電極を示す図1の線2A−2Aに沿った図2の詳細図である。
【図2B】電極の消耗前の後退位置にある電極を示す図2Bと同様の図である。
【図3】電極がいくらか消耗している状態(電極の突起が消耗ストッパに係合していない状態)を示す図2Aと同様の図である。
【図4】図3と比較して電極がさらに消耗している状態(電極の突起が消耗ストッパに係合している状態)を示す図2Aと同様の図である。
【図5】電極が過度に消耗している状態(電極の突起が消耗ストッパに係合しており、電極がもはやノズルと電気的に接触することができない状態)を示す図2Aと同様の図である。
【図6】本発明の他の例示的な実施形態によるブローフォワード式プラズマトーチの断面図である。
【図7】本発明の他の例示的な実施形態による電源、センサ、および指示器を備えているプラズマトーチの概略図である。
【図8】図1のプラズマトーチの電極ホルダーの詳細な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、全ての実施形態ではないが、いくつかの実施形態が示されている添付の図面を参照して、本発明の実施形態をさらに十分に説明する。実際、本発明は、多くの異なる形態で実施されてもよく、ここに記載されている実施形態に制限されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、この開示内容が適用される法的要件を満たすように提示されている。全体を通して、同様の参照番号は、同様の要素を指すものとする。
【0030】
本発明の実施形態によるブローバック式プラズマトーチ10が、図1および図2に示されている。トーチ10は、主トーチ本体12と、トーチ10の作動端14において本体12に対して固定された導電性ノズル15と、を備えている。以下に詳細に説明するように、ノズル15は、高速流のプラズマガス20を切断またはマーキングされる加工片25に向かって導くように、構成されている。このようにして、トーチ10内に点弧された電気アークが、プラズマガス20によって加工片25に伝導され、加工片を加熱し、金属を溶融し、切断部またはマーキング部をもたらすことになる。
【0031】
図2Aを参照すると、プラズマトーチ10は、電極ホルダー35に取外し可能に取り付けられた電極30を備えている。例えば、電極ホルダー35は、雌ネジ孔37を画定しているとよい。雌ネジ孔37は、電極30の遠位端16において(すなわち、トーチ10の作動端14から最も遠い電極の端において)、電極30の外面31に形成された雄ネジ部39を受け入れるように、構成されている。従って、必要に応じて、使用済みの電極を取外し、新しい電極に取り換えることができる。
【0032】
電極30は、電極ブランク32および放射要素34を備えているとよい。電極ブランク32は、銅、銅合金、銀、または銀合金のような消耗材料から作製されているとよい。さらに、電極ブランク32は、電極の近位端17において(すなわち、トーチの作動端14に最も近い電極の端において)、孔40を画定しているとよい。孔40は、放射要素34を受け入れるように構成されているとよい。放射要素34は、消耗材料、例えば、ハフニウム、ハフニウム合金、ジルコニウム、ジルコニウム合金、または当技術分野において知られている適切な特性を有する他の材料から作製されているとよい。一部の例では、放射要素34は、円形ロッド状とされ、ブランク32の孔40内に圧入、ロウ付け、または他の方法によって埋設されているとよい。放射要素34およびブランク32は、放射要素34およびブランク32の両方を含む端面42を電極30の近位端17に形成するように、同心に配置されているとよい。
【0033】
電極ホルダー35は、本体12に対して軸方向に移動可能になるように、主トーチ本体12内に配置されている。電極30は、電極ホルダーからノズル15の対向面45に向かって前方向に(すなわち、トーチ10の作動端14の方向に)突出するように、電極ホルダー35に取外し可能に取り付けられているとよい。例えば、図2Aにおいて、電極ホルダー35は、A軸に沿って移動可能である。従って、電極ブランク32が図示されているように電極ホルダー35に取り付けられているとき、電極ホルダー35の軸方向の移動によって、電極30をトーチ10の作動端14に向かう方またはトーチ10の作動端14から離れる方に移動させることが可能となる。
【0034】
これに関連して、トーチ作動の開始前に、電極ホルダー35および電極30は、典型的には、例えば、バネ(図示せず)によって、ノズル15の方に付勢されており、これによって、電極30は、伸展位置にある。(図2Aに示されている)伸展位置において、電極30の端面42は、ノズル15の対向面45と電気的に接触することになる。図2を参照すると、トリガー11が作動したとき、電源(図示せず)を用いて、電極30とノズル15との間に電圧差を印加し、これらの間に電流を通流させることができる。ほぼ同時に、空気のようなプラズマガスが、ダクト13を通って第1のチャンバ19内に流れ、このガスの力が電極ホルダー35の付勢力を上回り、電極ホルダー35および電極30をノズル15から離れる方に移動させることになる。
【0035】
電極ホルダー35が、図2Bに示されている後退位置に向かって作動端14から離れる方向に移動すると、電極30の端面42とノズル15の対向面45との間に間隙Gが生じ、パイロットアーク50が、ノズル15と電極30との間で間隙Gを横切って生成されることになる。さらに具体的には、パイロットアーク50は、図2Bに示されているように、放射要素34からノズル15の対向面45に向かって延びることになる。
【0036】
ガスは、第1のチャンバ19から、主トーチ本体12内の一連の通路を通って、第2のチャンバ21(すなわち、図2Bに示されている電極30とノズル15との間の間隙Gによって生じた空間)に流れることになる。ノズル15は、加工片に向かってガス流を通過させるオリフィス55を画定している。従って、プラズマガスは、ノズルオリフィス55を通してアークを外に「噴出(blow)」させ、これによって、アークが加工片に達することが可能となる。電源は、アークがノズルから加工片に移行したときのインピーダンスの変化を検知し、その結果、ノズルとの接続を遮断し、加工片に接続されるように構成されているとよい。この点から、電源は、加工片に流れる電流を切断用の作動レベルに調整するように、設計されていてもよい。
【0037】
トーチ作動が進行すると、電極30の面42が侵食され、図3〜図5に示されているように、空洞60を生じることがある。電極30の侵食によって、放射要素34を越えてトーチ10の作動端14に向かって延びているブランク32の部分(例えば、部分61)に加熱が生じ、これによって、米国特許第6,191,381号明細書に記載されているように、ブランク32の亀裂および二重アーキング(double arcing)が生じることがある。なお、この特許の内容は、参照することによって、ここに含まれるものとする。従って、ノズル15および/または電極30は、著しい損傷を被ることになる。その結果、多くの場合、ユーザは、最悪の故障を回避するために、実際に必要とされるよりも頻繁に電極30を取り換える必要がある。
【0038】
図6に示されているトーチ100のようなブローフォワード式プラズマアークトーチでは、ノズル15が主トーチ本体12に対して軸方向に移動可能になっており、電極ホルダー35および電極30は、本体12に対して固定されている。従って、トーチ作動を開始するために、ノズル15は、最初、例えば、バネ(図示せず)によって、電極30の端面42に接触しており、電極30とノズル15との間に電圧差が印加されると、プラズマガス流によって、ノズル15が電極30から離れる方に移動し、これによって、間隙をもたらし、この間隙を横切って、パイロットアークが点弧することになる。
【0039】
従って、ここに述べるプラズマトーチ10,100の実施形態は、電極30を最大限に活用し、同時に電極が過度の消耗を受けた時期を検出するために用いられるようになっており、これによって、電極を破損前に取り換えることができる。これに関連して、ブローバック式プラズマトーチ10は、非導電性消耗ストッパ65を備えている。この消耗ストッパ65は、電極の近位端17がある量の消耗を受けたとき、電極30の前方向の移動を制限するように、構成されている。同様に、ブローフォワード式プラズマアークトーチ100は、非導電性消耗ストッパ65を備えている。この消耗ストッパ65は、電極が十分に消耗したとき、ノズル15の後方向の移動を制限するように、構成されている。従って、以下の説明の大半は、図2〜図5に示されているトーチ10のようなブローバック式プラズマアークトーチに基づいているが、実施形態は、以下に説明するように、図6に示されているトーチ100のようなブローフォワード式プラズマアークトーチにも適用可能である。
【0040】
図2Aのブローバック式プラズマアークトーチを再び参照すると、電極30は、外面31から半径方向外方に延在している突起70を画定しているとよい。突起70は、電極30の周囲の一部または全体を取り巻いていてもよいし、または、複数のタブまたは複数の延長部から成っていてもよく、これらは、以下に述べるように、同じ効果をもたらすことになる。
【0041】
電極30は、軸方向長さLを画定している。例えば、図2Aでは、長さLは、突起70の前面72と電極30の端面42との間に画定されている。前述したように、プラズマアークトーチ10の使用中に電極30の端面42が消耗すると、長さLは、減少することになる。従って、後に続く各トーチ作動を開始するには、電極30の端面42とノズル15の対向面45との間に必要とされる電気的な接触をもたらし、パイロットアークを点弧させるために、電極ホルダー35を前回のトーチ作動を開始するのに必要とされた位置よりも前方の位置に移動させる必要がある。
【0042】
例えば、図2A、図3および図4は、電極30が次第に多くの消耗を受けるにつれ、「接触位置」(すなわち、端面42がノズル15の対向面45と接触したときの主トーチ本体12に対する電極30の位置)がいかにトーチ10の作動端14のより近くに移動しているかを示している。例えば、図2Aでは、電極30は、比較的わずかの消耗しか受けておらず、電極30の相対的な接触位置は、基準点P1によって示されている。それに続くトーチ作動を示している図3および図4では、電極30は、次第に多くの消耗を受けており、電極30の相対的な接触位置は、それぞれ、基準点P2,P3によって示されている。従って、これらの図面に示されているように、図4における電極30の短くなった長さLにより、基準点P3は、先の接触位置を示す基準点P1,P2よりも、トーチ10の作動端14のより近くに位置している。
【0043】
図2Aおよび図3〜図5を参照すると、消耗ストッパ65は、主トーチ本体12内に固定して取り付けられており、第1の係合面66(例えば、後面)を画定している。この第1の係合面66は、所定距離Dだけ、ノズル15の対向面45から軸方向に離間している。これに関連して、消耗ストッパ65は、高温プラスチックまたはセラミック材料など、どのような非導電性材料から作製されていてもよく、突起70よりも端面42に近い電極30の部分を包囲する環状空間を有しているとよい。消耗ストッパ65の内径は、電極30の外面31と消耗ストッパ65との間に空間をもたらすために、電極30の包囲された部分の直径よりも大きくなっているとよく、これによって、突起70および消耗ストッパ65が互いに係合していないとき、電極30の自由な軸方向運動が可能になる。同時に、消耗ストッパ65の内径は、突起70の位置において測定された電極30の直径よりも小さくなっているとよく、これによって、突起および消耗ストッパが互いに係合したとき、突起70に当接することになる。代替的に、消耗ストッパ65は、電極30を包囲しているが電極30の全周にわたって延在していない1つまたは複数の導電部分から構成されていてもよい。これらの消耗ストッパ部分は、以下に述べるように、電極30の突起70と相互作用することになる。
【0044】
一部の例では、消耗ストッパ65は、トーチ本体12の一部であってもよいし、またはトーチ作動の開始を容易にするように主トーチ本体と相互作用するようになっていてもよい。例えば、消耗ストッパ65は、プラズマガスを第1のチャンバ19から第2のチャンバ21に通流させることを可能にする通路を含むスワールバッフルであってもよい。スワールバッフルは、例えば、ガス流を集束させ、ガスを「旋回流(swirl)」として第2のチャンバ21に流入させ、アークがノズルおよび/または加工片から逸れないように拘束するために、(例えば、アークの周囲にガス「シース(sheath)」を生成するために)、用いることができる。
【0045】
いずれにしても、消耗ストッパ65は、例えば、図2Aに示されているように、電極30の端面42が消耗する前では、電極長さLが距離Dを超えているように、位置決めされている。電極30の端面42がノズル15の作動面45と電気的に接触しているとき、消耗ストッパ65の第1の係合面66(例えば、後面)と第2の係合面72(例えば、突起の前面)との間に、軸方向隙間Cが画定されている。従って、電極30の端面42がプラズマアークトーチ10の使用中に消耗すると、図2A、図3および図4に示されているように、隙間Cが減少することになる。
【0046】
図4を参照すると、隙間Cが略ゼロに減少したとき(すなわち、無視できる隙間になったとき)、突起70の第2の係合面72が消耗ストッパ65の第1の係合面66に当接することになる。この時点で、電極30の長さLは、図4に示されているように、端面42とノズル15の対向面45との間の接触をもたらすのに十分なものになっている。しかし、電極30がさらに消耗すると、消耗ストッパ65は、図5に示されているように、電極30の端面42がノズル15の対向面45と電気的に接触するのを妨げることになる。換言すると、いったん消耗ストッパ65が突起70に係合すると、電極30と消耗ストッパ65との係合によって、(例えば、減少した電極長さLを補償するために)電極30がノズル15に向かって軸方向に移動することができなくなる。その結果、図5に示されているように、いったん突起70が消耗ストッパ65に係合した後、電極30の端面42がさらに継続して消耗すると、端面42とノズル15との間の電気的な接触が妨げられ、パイロットアーク50の点弧が阻止されることになる。結果的に、電極30とノズル15との電気的な接触は、端面42の消耗が所定量よりも少ないときにのみ生じ、電極30がある量の消耗を受けたとき、パイロットアーク50の点弧が阻止されることになる。
【0047】
前述したように、これまでに説明した実施形態の態様は、図6に示されているようなブローフォワード式プラズマアークトーチ100にも適用可能である。図6において、消耗ストッパ65は、主トーチ本体12内に固定して取り付けられており、第1の係合面66(この場合、消耗ストッパの前面)を画定している。第1の係合面66は、所定距離Dだけ、ノズル15の対向面45から軸方向に離間している。この場合、突起70は、ノズル15によって画定されている。例えば、突起70は、ノズルの半径方向延長部であるとよい。この半径方向延長部は、電極の端面42が消耗するにつれて、移動して消耗ストッパ65と係合するように、構成されている。このようにして、いったん消耗ストッパの第1の係合面66と突起70の第2の係面面72(この場合、突起の前面)との間に画定された隙間Cが略ゼロに減少した後、図2Aのブローバック式プラズマアークトーチ10を参照して前述したように、電極30がさらに消耗を受けると、ノズル15の対向面45は、もはや電極30の端面42に接触することができない。
【0048】
プラズマアークトーチ10,100のいずれの方式においても、いくつかの実施形態では、プラズマアークトーチ10,100は、図7に示されているように、電極30に電気的に接続された電源80を備えている。電源80は、前述したように、電極30がノズル15と電気的に接触したときに、電極30とノズル15との間に電圧差を印加し、パイロットアーク50を点弧させるように、構成されているとよい。換言すると、電極30の端面42がノズル15の対向面45と接触しているとき、電気回路81が成立し、電極30とノズル15との間に電圧差を印加することによって、電流がこれらの2つの導体間に流れることになる。従って、例えば、図2Bに示されているように、電極30がノズル15から離れる方に移動すると、電流が、2つの導体間に生じた間隙Gを横切ってパイロットアーク50を生成することになる。
【0049】
従って、いくつかの実施形態では、トーチ10,100は、センサ85をさらに備えているとよい。センサ85は、電圧差が印加されたとき、電極30とノズル15との間に画定された電気回路81の状態を検出するように、構成されている。センサ85は、図7に示されているように、電源80の内外に含まれているとよい。代替的に、センサ85は、電源80から物理的に離れてかつ別個に配置され、電源80または回路81の他の部分に連通するようになっていてもよい。
【0050】
このように、センサ85は、電源80,電極30,およびノズル15によって画定された回路81の電気的状態を検出することが可能である。例えば、電圧差が回路81に印加されて、電流が流れているとき、センサ85は、成立した回路を検出することが可能である。一方、もし電圧差が電極30とノズル15との間に印加されても、電流が流れていない場合、センサ85は、センサ85とノズル15および/または電気回路81の他の部分との間の電気的不連続の状態を検出することになる。
【0051】
プラズマアークトーチ10,100は、センサ85に連通している指示器90をさらに備えていてもよい。指示器90は、センサ85によって検出された電気回路81の状態をユーザに指示するように、構成されているとよい。指示器90は、例えば、電気的不連続が検出されたときに点灯する光源またはLEDのような視覚指示器であるとよい。従って、ユーザは、指示器の点灯を見て、故障状態が存在していることを知ることになる。一部の例では、指示器90は、電気的不連続が検出されたときに音を発するポケットベルまたは音声器のような聴覚指示器であってもよいし、または電気回路の状態をユーザに知らせるどのような他の形式の指示器またはそれらの組合せであってもよい。指示器90は、図7に示されているトーチ10,100の一部、例えば、トーチに含まれる光源であってもよいし、またはトーチ10,100から遠く離れた個所、例えば、指示器パネル上またはユーザがアクセス可能な別の装置上に配置されていてもよい。
【0052】
従って、電圧差が最初に印加されたとき、もし電極30がノズル15に接触していないなら、(例えば、図5に示されている)間隙Gが回路81の断線部として作用していることになり、電流が回路81内に流れることができない。図5に示されているように、軸方向長さLが距離Dよりも短くなる程度まで、電極30の端面42が消耗すると、消耗ストッパ65によって端面42がノズル15の対向面45と接触することができない状況が生じることになる。この場合、センサ85は、電圧差が印加されたときに電気的不連続を検出し、指示器90に信号を送給し、これによって、指示器90が、例えば、表示灯を点灯することによって、ユーザに電気回路81の状態を指示することになる。従って、光源または他の指示器は、電極30が、さらに使用した場合にはトーチ10,100または加工片を損傷させる程度まで消耗している可能性があることを、ユーザに知らせることになる。その結果、ユーザは、電極30を取り換えることになるだろう。電極30の取換えによって、トーチが作動状態に戻らない場合、ユーザは、電気的不連続の原因を究明するために、他の診断を選択的に行うとよい。
【0053】
ブローバック式プラズマアークトーチのいくつかの実施形態では、電極30の長さLは、消耗ストッパ65が突起70に係合して電極30の端面42がノズルの対向面45と電気的に接触するのを妨げる前に、電極がプラズマアークトーチ10,100内において使用できる概算時間に対応している。換言すれば、電極30を形成している材料および特定のアークトーチ10,100を作動させるのに用いられる電流レベルにおける予想される消耗率に基づいて、電極30の継続的な使用時間を予想することができる。例えば、長さL1を有する特定の形式の電極がある条件下(例えば、あるレベルの電流で作動する条件下)で60分間の連続的な使用に耐えることが予想可能である。この場合、長さL1よりも大きい長さL2を有している同一材料から作製されている他の電極は、同様の条件下で90分間の連続的な使用に耐えることが予想されることになる。
【0054】
従って、プラズマアークトーチ10,100は、種々の寸法の電極30を受け入れるように構成されていてもよく、これによって、ユーザは、所定のトーチ作動に適する予想継続時間を有する電極を選択することが可能となる。これに関して、図2Aおよび図6を参照すると、主トーチ本体12および電極ホルダー35は、電極30の端面42の消耗前の種々の長さLを有する電極30を個別に受け入れるように、構成されていてもよい(すなわち、そのように寸法決めされ、かつ形作られていてもよい)。
【0055】
例えば、図8を参照すると、主トーチ本体12は、電極30の長さLに依存して、電極30が消耗する前の突起70の前面72と消耗ストッパ65の後面66との間に画定された軸方向隙間Cに対して種々の寸法が可能となるように、構成されていてもよい。すなわち、消耗前におけるより短い長さL1を有する電極30は、消耗前におけるより長い長さL2を有する電極と比較して、より小さい隙間(およびより短い公称使用時間)をもたらすことになる。しかし、主トーチ本体12は、両方の寸法の電極を受け入れるように構成されていてもよい。その結果、ユーザは、行われる特定のトーチ作動に適する予想継続時間を有する電極を選択する選択肢を有することになる。
【0056】
前述の説明および関連する図面に現れている示唆の利得を受ける本発明が属する当技術分野の熟練者であれば、ここに述べた本発明の多くの修正形態および他の実施形態が思い浮かぶことだろう。従って、本発明は、開示されている特定の実施形態に制限されないこと、および修正形態および他の実施形態は、添付の請求項の範囲内に含まれることが意図されていることを理解されたい。ここでは、特定の用語が用いられているが、それらの用語は、包括的かつ叙述的な意味でのみ用いられており、制限する目的で用いられているものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主トーチ本体と、
加工片に向かってガス流を通過させるオリフィスを画定している導電性ノズルと、
前記主トーチ本体内に配置された電極ホルダーと、
前記電極ホルダーに取外し可能に取り付けられており、前記電極ホルダーから前記ノズルの対向面に向かって前方向に突出している電極であって、前記電極は、端面および軸方向長さLを画定しており、前記長さLは、前記プラズマアークトーチの使用中に、前記電極の前記端面が消耗するにつれて減少することになる、電極と、
前記主トーチ本体内に固定して取り付けられた非導電性消耗ストッパであって、前記ノズルの前記対向面から所定の軸方向距離Dだけ軸方向に離間している第1の係合面を画定している、消耗ストッパと、
を備えており、
前記電極および前記ノズルの一方は、前記電極および前記ノズルの他方に対して、軸方向に移動可能になっており、軸方向に移動可能になっている前記電極および前記ノズルの前記一方は、突起を画定しており、前記突起は、第2の係合面を画定しており、
前記消耗ストッパは、前記電極の前記端面が消耗する前には、前記電極の前記端面が前記ノズルの前記対向面と電気的に接触しているとき、前記消耗ストッパの前記第1の係合面と前記突起の前記第2の係合面との間に軸方向隙間Cが存在するように、位置決めされており、前記隙間Cは、前記プラズマアークトーチの使用中、前記電極の前記端面が消耗するにつれて減少するようになっており、
前記隙間Cがゼロまで減少し、前記消耗ストッパの前記第1の係合面が前記突起の前記第2の係合面に当接すると、これによって、前記消耗が所定量を超えたとき、前記電極の前記端面が前記ノズルの前記対向面と電気的に接触することが妨げられるようになっていることを特徴とする、プラズマアークトーチ。
【請求項2】
前記ノズルは、前記主トーチ本体に対して固定されており、前記電極は、前記主トーチ本体に対して軸方向に移動可能になっており、前記突起は、前記電極の外面から半径方向外方に延在していることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマアークトーチ。
【請求項3】
前記ノズルは、前記主トーチ本体に対して軸方向に移動可能になっており、前記電極は、前記本体に対して固定されており、前記突起は、前記ノズルから延在していることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマアークトーチ。
【請求項4】
前記電極に電気的に接続された電源をさらに備えており、前記電源は、前記電極が前記ノズルに電気的に接触しているときに、パイロットアークを点弧させるために、前記電極と前記ノズルとの間に電圧差を印加するように構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマアークトーチ。
【請求項5】
前記電圧差が印加されたときに、前記電極と前記ノズルとの間に画定された電気回路の状態を検出するように構成されたセンサをさらに備えていることを特徴とする、請求項4に記載のプラズマアークトーチ。
【請求項6】
前記電源が、前記センサを含んでいることを特徴とする、請求項5に記載のプラズマアークトーチ。
【請求項7】
前記センサに連通している指示器をさらに備えており、前記指示器は、前記センサによって検出された前記電気回路の状態をユーザに指示するように構成されていることを特徴とする、請求項5に記載のプラズマアークトーチ。
【請求項8】
前記指示器は、検出された前記電気回路の状態が前記電極と前記ノズルとの間の電気的不連続であるとき、ユーザに通知するように構成されていることを特徴とする、請求項7に記載のプラズマアークトーチ。
【請求項9】
前記長さLは、前記消耗ストッパが前記突起に係合して前記電極の前記端面が前記ノズルの前記対向面と電気的に接触するのを妨げる前に、前記電極が前記プラズマアークトーチ内において使用できる概算時間に対応していることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマアークトーチ。
【請求項10】
前記主トーチ本体および前記電極ホルダーは、前記電気ホルダーが前記電極の前記端面の消耗前の種々の長さLを有する電極を個別に受け入れることができるように、構成されていることを特徴とする、請求項1に記載のプラズマアークトーチ。
【請求項11】
プラズマアークトーチ内の電極の消耗を検出する方法であって、前記プラズマアークトーチは、主トーチ本体と、導電性ノズルと、前記主トーチ本体内に配置された電極ホルダーと、前記電極ホルダーに取外し可能に取り付けられた電極と、を備えており、前記電極および前記ノズルの一方が前記電極および前記ノズルの他方に対して軸方向に移動可能になっている方法において、
軸方向に移動可能になっている前記電極および前記ノズルの前記一方から延在している突起を設けるステップと、
前記主トーチ本体内に固定して取り付けられた非導電性消耗ストッパを設けるステップであって、前記消耗ストッパは、前記電極の軸方向長さLが前記プラズマアークトーチの使用中に前記電極の端面の消耗によって所定長さよりも短くなったときにのみ、前記突起が前記消耗ストッパに係合するように位置決めされている、ステップと、
前記電極と前記ノズルとの間に電圧差を印加するステップと、
前記電圧差が印加されたときに前記電極と前記ノズルとの間に画定された電気回路の状態を検出するステップと、
を含んでいることを特徴とする、方法。
【請求項12】
前記検出された電気回路の状態をユーザに指示するステップをさらに含んでいることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
検出された前記電気回路の状態が前記電極と前記ノズルとの間の電気的不連続であることをユーザに指示するステップをさらに含んでいることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記長さLは、前記消耗ストッパが前記突起に係合して前記電極の前記端面が前記ノズルの前記対向面と電気的に接触するのを妨げる前に、前記電極が前記プラズマアークトーチ内において使用できる概算時間に対応していることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
主トーチ本体と、
前記主トーチ本体に対して固定された導電性ノズルと、
前記主トーチ本体に対して軸方向に移動可能になるように、前記主トーチ本体内に配置された電極ホルダーと、
前記電極ホルダーに取外し可能に取り付けられた電極であって、前記電極の端面は、パイロットアークを点弧させるために前記電極ホルダーが前記ノズルの方に移動したとき、かつ前記端面の消耗が所定量よりも少ないとき、前記ノズルの対向面と電気的に接触するように構成されており、前記電極は、外面および前記外面から半径方向外方に延在している突起を画定しており、かつ前記突起の前面と前記電極の前記端面との間に画定された軸方向長さLを有している、電極と、
前記主トーチ本体内に固定して取り付けられた非導電性消耗ストッパであって、前記長さLが前記プラズマアークトーチの使用中に前記電極の前記端面の消耗によって所定長さよりも短くなったときにのみ、前記突起に係合するように構成されている、消耗ストッパと、
を備えており、
前記消耗ストッパと前記電極との係合によって、前記電極が前記ノズルに向かって軸方向に移動することが妨げられ、これによって、前記電極の前記端面のさらに継続する消耗によって、前記端面と前記ノズルとの間の電気的接触が妨げられ、前記パイロットアークの点弧が阻止されるようになっていることを特徴とする、プラズマアークトーチ。
【請求項16】
前記電極に電気的に接続された電源をさらに備えており、前記電源は、前記電極が前記ノズルと電気的に接触しているときに、前記パイロットアークを点弧させるために、前記電極と前記ノズルとの間に電圧差を印加するように構成されていることを特徴とする、請求項15に記載のプラズマアークトーチ。
【請求項17】
前記電圧差が印加されたときに、前記電極と前記ノズルとの間に画定された電気回路の状態を検出するように構成されたセンサをさらに備えていることを特徴とする、請求項16に記載のプラズマアークトーチ。
【請求項18】
前記電源が、前記センサを含んでいることを特徴とする、請求項17に記載のプラズマアークトーチ。
【請求項19】
前記センサに連通している指示器をさらに備えており、前記指示器は、前記センサによって検出された前記電気回路の状態をユーザに指示するように構成されていることを特徴とする、請求項17に記載のプラズマアークトーチ。
【請求項20】
前記指示器は、検出された前記電気回路の状態が前記電極と前記ノズルとの間の電気的不連続であるとき、ユーザに通知するように構成されていることを特徴とする、請求項19に記載のプラズマアークトーチ。
【請求項21】
前記長さLは、前記消耗ストッパが前記突起に係合して前記電極の前記端面が前記ノズルの前記対向面と電気的に接触するのを妨げる前に、前記電極が前記プラズマアークトーチ内において使用できる概算時間に対応していることを特徴とする、請求項15に記載のプラズマアークトーチ。
【請求項22】
前記主トーチ本体および前記電極ホルダーは、前記電気ホルダーが前記電極の前記端面の消耗前の種々の長さLを有する電極を個別に受け入れることができるように、構成されていることを特徴とする、請求項15に記載のプラズマアークトーチ。
【請求項23】
主トーチ本体と、
前記主トーチ本体に対して軸方向に移動可能になっている導電性ノズルであって、突起を画定している、導電性ノズルと、
前記主トーチ本体内に固定して取り付けられた電極ホルダーと、
前記電極ホルダーに取外し可能に取り付けられた電極であって、前記電極の端面は、パイロットアークを点弧させるために前記ノズルが前記電極の方に移動したとき、かつ前記端面の消耗が所定量よりも少ないとき、前記ノズルの対向面と電気的に接触するように構成されている、電極と、
前記主トーチ本体内に固定して取り付けられた導電性消耗ストッパであって、前記プラズマアークトーチの使用中に前記電極の前記端面が所定量の消耗を受けたときにのみ、前記突起に係合するように構成されている、消耗ストッパと、
を備えており、
前記消耗ストッパと前記突起との係合によって、前記ノズルが前記電極に向かって軸方向に移動することが妨げられ、これによって、前記電極の前記端面のさらに継続する消耗によって、前記端面と前記ノズルとの間の電気的な接触が妨げられ、前記パイロットアークの点弧が阻止されるようになっていることを特徴とする、プラズマアークトーチ。
【請求項24】
前記電極に電気的に接続された電源と、センサと、をさらに備えており、前記電源は、前記電極が前記ノズルと電気的に接触しているときに、前記パイロットアークを点弧させるために、前記電極と前記ノズルとの間に電圧差を印加するように構成されており、前記センサは、前記電圧差が印加されたときに、前記電極と前記ノズルとの間に画定された電気回路の状態を検出するように構成されていることを特徴とする、請求項23に記載のプラズマアークトーチ。
【請求項25】
ノズルを備えているブローバック式プラズマアークトーチに用いられる電極であって、前記プラズマアークトーチのノズルに対して軸方向に移動することができ、前記プラズマアークトーチ内にパイロットアークを点弧させるように構成されている、電極において、
前記電極は、端面と、軸方向長さLと、外面と、を画定しており、
前記電極は、前記外面から半径方向外方に延在している突起を画定しており、前記突起は、前記プラズマアークトーチの使用中に前記端面の消耗によって前記長さLが所定長さよりも短くなったとき、前記プラズマアークトーチ内に配置された導電性消耗ストッパに係合するように構成されており、前記突起と前記消耗ストッパとの係合によって、前記電極が前記ノズルに向かって軸方向に移動することが妨げられ、これによって、前記端面のさらに継続する消耗によって、前記パイロットアークの点弧が阻止されるようになっている、ことを特徴とする、電極。
【請求項26】
前記電極は、
一端に孔を画定している電極ブランクと、
前記孔内に嵌合されるように構成された放射要素であって、前記電極の前記端面が、前記電極ブランクの一部および前記放射要素の一部を含んでいる、放射要素と、
を備えていることを特徴とする、請求項25に記載の電極。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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