説明

電気ケトル

【課題】電気ケトルから注出する液体の量を変えることができ、且つこの液体の量を一定に保つことができる電気ケトルを提供すること。
【解決手段】ケトル本体と蓋体28とを有する電気ケトルにおいて、蓋体28は、内部に注ぎ口とケトル本体から液体が流入される液体供給口35とを連通する液体供給路36と、液体供給口35を塞ぐ大きさの板状体からなり、板状体の略中央部から蓋体が装着される方向に向かって垂直に突起部58が形成された開閉弁57と、蓋体28の上部から一部が突出し、カム52を回動させることによって突起部58を上下動させる調節レバー49とを備え、調節レバー49を操作することにより、開閉弁57を上下方向に移動させて前記液体供給口の開放度合いの調節を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気ケトルに関し、詳しくは、電気ケトルから注出する液体の量を変えることができ、且つこの液体の量を一定に保つことができる電気ケトルに関する。
【背景技術】
【0002】
電気ケトルは、持ち運びが簡単で手軽にお湯、コーヒーなどを沸かすことができるものとして広く普及している。この電気ケトルの構成は、例えば、所定量の水などを入れて加熱する電熱部を有するケトル本体と、このケトル本体の電熱部へ電力を供給する外部電源コードが接続された給電台とを有し、この給電台にケトル本体をセットして、電源スイッチをオンすることによって、湯などを沸かすことができるようになっている。
【0003】
使用者が電気ケトルを使用する際には、電気ケトルに形成された開閉手段等を解除し、電気ケトルに形成された取っ手等を把持して電気ケトルを持上げ、傾けることで、ケトル本体内の湯等の液体を注出する。このとき、使用者はケトルの傾ける時間及び角度等を調整することにより、必要とする液体の量を調節することができる。しかし、ケトルの開閉手段等は開状態と閉状態としかないため、開閉手段等が開状態のとき使用者がケトルを傾けすぎたりすると、必要以上の液体が排出されるおそれがある。
【0004】
そのため、下記特許文献1には、ケトル本体を傾けて注湯する給湯時に、片手で容易に操作を行うことができ、さらに注湯量をも調整することができる電気ケトルの発明が記載されている。
【0005】
下記特許文献1の電気ケトルでは、本体内の水を加熱する加熱機構、当該加熱機構を始動する始動スイッチを備えるとともに、加熱完了を検知して加熱機構による加熱を停止する停止機構を備え、上部側に開口を有する本体ボディと、本体ボディの開口を閉止する蓋体とから構成され、蓋体が開口を閉止する閉止姿勢と、開口が開いた開放姿勢との間で、蓋体が本体ボディに設けられる揺動軸周りに揺動可能に構成され、蓋体に注口及び蒸気口を、本体ボディにハンドルを備えた電気ケトルであって、注口を介する湯水の本体ボディからの流出を阻止可能な弁機構を設け、弁機構が、蓋本体に設けられる弁座と、当該弁座に当接した状態で湯水の流出を阻止する弁体と、弁体を閉状態側に付勢する弁体付勢機構を備えて構成され、開閉操作部が、弁機構の閉状態を維持する待機位置と弁機構が開状態とされる操作位置との間で、移動自在に構成されるとともに、開閉操作部を待機位置に付勢する開閉操作部付勢機構を備え、開閉操作部が開閉操作部付勢機構の付勢力に抗して操作位置側へ操作された被操作状態で、弁機構が開弁される構成で、待機位置からの開閉操作部の操作量に従って、弁機構の開度が変化するとされている。
【0006】
このような構成とすることで、下記特許文献1の電気ケトルによれば、弁機構は、弁体と弁座との組み合わせとして構成され、蓋本体に対して弁体が相対移動することで、弁機構の開閉が起こる。ここで、弁体は弁体付勢機構により閉状態側に、開閉操作部は開閉操作部付勢機構により待機位置に付勢されることで、開閉操作部が操作されて始めて、弁機構の開弁が起こる。そして、待機位置からの開閉操作部の操作量に従って、弁機構の開度が変化することで、給湯量の調整を行うことができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−069016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に記載されている電気ケトルでは、給湯量の調整ができるとされているが、この調整は、開閉操作部を操作する使用者の押圧加減に応じて行われるものである。給湯量の調整を行うためには、開閉操作部の押圧加減を使用者が一定に保つ必要があり、使用者がケトルから液体を注いでいるときにこの押圧加減が変化すると、それに応じて給湯量が変化してしまうため、望んだ給湯量を得ることができないおそれがある。
【0009】
なお、上記特許文献1には、所定の開度を維持する構造が記載されているが、この所定の開度は、開度維持部が弁機構を開弁する最も大きい位置でしか維持することはできず、任意の位置、すなわち開度変更部での開度を維持することは困難である。そのため、上記特許文献1の電気ケトルでは、使用者が所望する任意の位置での給湯量を維持して注ぐことはできないものである。
【0010】
本発明は、このような従来技術が抱える課題を解決するためになされたもので、使用者が所望する液量を注出することができ、さらに、その液量を一定に維持することができる電気ケトルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、請求項1の発明は、上方が開口し、上端に注ぎ口が形成された所定量の液体が収容されるケトル本体と、前記ケトル本体の開口を覆う着脱自在な蓋体と、を有する電気ケトルにおいて、前記蓋体は、内部に前記注ぎ口と前記ケトル本体から液体が流入される液体供給口とを連通する液体供給路と、前記液体供給口に形成された前記液体供給口を塞ぐ大きさの板状体からなり、前記板状体の略中央部から前記蓋体が装着される方向に向かって垂直に突起部が形成された開閉弁と、前記蓋体の上部から一部が突出し、カムを回動させることによって前記突起部を上下動させる調節レバーと、
を備え、前記調節レバーを操作することにより、前記開閉弁を上下方向に移動させて前記液体供給口の開放度合いの調節を行わせるようにしたことを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の電気ケトルにおいて、前記カムは、回動軸からの距離がそれぞれ異なる複数の段を有する多段式カムから成ることを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1の電気ケトルにおいて、前記開閉弁は、弾性部材によって前記突起部が前記カムに向かって押圧されるように駆動されていることを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の電気ケトルにおいて、前記開閉弁の前記突起部はピストン部分を備え、前記ピストン部分は前記蓋体内に配置されたシリンダ内を摺動可能に取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に記載のケトルによれば、調節レバーが操作されるとカムを回動させてカムシャフトとして作動する突起部によって開閉弁が駆動され、この開閉弁の駆動によって液体供給口の開閉度合いを制御することができる。このように液体供給口の開閉度合いが調節レバーによって制御されるため、使用者が液体を注出させる際に電気ケトルを傾ける角度等に依存することなく、電気ケトルから必要な流量で液体を供給することができる。さらに、開閉弁の開閉は液体の供給中にも行うことができるので、液体の供給中にもケトルから液体を多段階の任意の流量で供給するように変更することができる。
【0016】
請求項2の電気ケトルによれば、調節レバーに設けられているカムに多段式カムを用いることにより、開閉弁の突起がカムの各段に当接して固定され、ケトルから液体を供給するときに調節レバーを操作することにより開閉弁を所望の流量が得られる位置に留まらせることができるので、一定の流量を保ちながら液体を供給することができる。
【0017】
請求項3のケトルによれば、開閉弁の突起部がカムに押圧されているため、カムが回転される際に確実に突起部がカムに当接し、カムの移動を効率よく伝達させることができるようになる。
【0018】
請求項4の電気ケトルによれば、開閉弁の突起部に備えられたピストン部が蓋体内のシリンダ内を上下動することができるので、突起部を通じてカムの移動を開閉弁まで無駄なく伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る電気ケトルの斜視図である。
【図2】図1の電気ケトルのケトル本体に蓋体が取り付けられた状態の縦断面図である。
【図3】図1の電気ケトルの蓋体の一部分を切除した斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る電気ケトルにおける調節レバーを説明する図である。
【図5】図5は図1の電気ケトルの蓋体部分のV−V線における断面図であり、図5Aは開閉弁が閉状態、図5Bは開閉弁が開状態であることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための電気ケトルを例示するものであって、本発明をこの電気ケトルに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
【0021】
本発明の実施形態に係る電気ケトル10は、図1及び図2に示すように、上方が開口し底部に加熱手段としての加熱ヒータ17が配置され、所定量の水などの液体が収容されるケトル本体11と、このケトル本体11が載置され、ケトル本体11の加熱ヒータ17に給電する給電台60と、ケトル本体11の上部開口12を覆い、着脱機構や開閉機構等が設けられた着脱自在な蓋体28と、ケトル本体11の側壁部に使用者が把持可能な取っ手部23とが設けられた構成となっている。なお、本実施形態では、加熱ヒータ17への給電のために給電台60が設けられた場合について説明するが、これに限らずケトル本体11内に給電可能な構成を設けるようにしてもよい。
【0022】
図1及び図2に示すように、ケトル本体11は、上部開口12及び下部開口13を有し、所定の直径で形成された筒状体のフレーム14と、このフレーム14の外周側壁15面に外方へ突出し、把持可能な例えば「コの字」型の取っ手部23とを備え、耐熱性を有する樹脂成型体で形成されている。このケトル本体11は、上部開口12側には蓋体28が着脱自在に装着され、下部開口13側には中央が開口された底蓋16により閉塞されている。この底蓋16には加熱ヒータ17が本体側給電器18とともに装着され、加熱ヒータ17上には液体が収容される容器19が設置されている。この容器19は、蓋体28が装着されることにより、液密になるように形成されている。
【0023】
ケトル本体11には、上部開口12近傍の内壁にあって、取っ手部23が形成されている部分に取っ手部23に内蔵された蒸気センサー24に通じる開孔21が形成されている。この取っ手部23は、ケトル本体11と一体に形成された取っ手部材27と、この取っ手部材27を覆う取っ手カバー25とで構成され、取っ手部23内は中空に形成されている。そして、この中空部内に、蒸気センサー24の検出値を入力して加熱ヒータ17を制御する不図示の制御手段が収納されており、蒸気センサー24と制御手段とは、図示しないリード線で接続されている。また、この取っ手部23には、取っ手カバー25の外側に加熱ヒータ17への通電をオン・オフする電源スイッチ26が配設されている。
【0024】
さらに、取っ手部23は、蒸気センサー24からの検出値を入力して加熱ヒータ17を制御する制御手段(図示省略)が収容されている。この制御手段は、マイクロコンピュータ及びメモリなどを有し、メモリには、蒸気温度が所定値になったときに、加熱ヒータ17への通電を停止させる基準値(例えば85℃)が記憶されている。このように基準値を設定しておくことにより、制御手段は、検知された蒸気温度が基準値に達したときに、加熱ヒータ17への加熱を停止させる制御を行うので、液体を所望の温度(例えば沸騰温度)に加熱することができ、また、液体が沸騰し続けることを抑制することができる。
【0025】
次に、ケトル本体11が載置される給電台60について説明する。給電台60は、図1に示すように、中央に開口62を有し上面にケトル本体が設置される浅底の給電台座61と、給電台座61内に設けられ、給電台座61の中央の開口62から突出する給電器スタンド63と、不図示の電気コネクタとで構成されている。給電台座61は、ケトル本体11の直径と略同じ直径の略円形状に形成された底部と、この底部の周囲から立設した背低の側壁部とを有し上方が開口した浅底の容器からなり、樹脂成型体で形成されている。電気コネクタは給電台60の略中心部に固定されている。この電気コネクタには、リード線が接続されて、このリード線の先端にプラグコネクタが接続されている。そして、給電台60の給電器スタンド63とケトル本体11の本体側給電器18とが電気的に接続され、通電されることで、ケトル本体11の加熱ヒータ17を加熱することができる。
【0026】
次に、図1〜図3を参照して蓋体について説明する。蓋体28は、図2及び図3に示すように、中板29と、この中板29の周囲の上下方向にそれぞれ延在された所定高さを有する外周壁30と、外周壁30の上方に装着される上蓋31と、外周壁30の下方に装着される複数個の孔が形成された内蓋32とで形成されている。なお、図3においては中板29の半分が切除されている。外周壁30には、ケトル本体11の容器19内の液体を注ぎ口20へと注水するための注水口33と、この注水口33の反対側に、ケトル本体11内で発生した蒸気を取っ手部23内の蒸気センサー24に導くための蒸気口34が形成されている。また、蓋体には、開閉機構48の調節レバー49、着脱機構46の一対のつまみ部材37a、37bが形成され、上蓋からこれらを操作できるように上蓋の一部が開口されている。さらに、ケトル本体11に形成された注ぎ口20を覆うように形成された注口蓋38が上蓋31の注ぎ口20と対応する部分と蓋体28の中板29の注ぎ口20に対応する部分とが延在されて形成されている。また、蓋体28の注ぎ口20と近接する部分には、容器19内の液体を注ぎ口20へと導く液体供給路36とこの液体供給路36と容器19とを接続する液体供給口35が形成されているが、詳細については後述する。
【0027】
中板29と外周壁30との間には、容器19内で発生した蒸気の通り道となる蒸気導通口44が形成された蒸気弁室39が設けられている。また、蓋体28の内部には中板29を天井とした蒸気通路40が形成され、この蒸気通路40は蓋体28に形成された蒸気口34と蒸気放出口42に連通している。蒸気通路40は、図2に示すように、容器19内で発生した蒸気を導通させる部分であり、蒸気を外部に排出させるとともに、蒸気センサー24に導くためのものである。
【0028】
蒸気通路40は、蓋体28の内部に形成された中板29を天井部41として、液漏れ抑止機構43が設けられる部材43aを底面とし、蓋体28の外周壁30を側面として形成されている。また、蒸気通路40は、ケトル本体11の取っ手部23内に設けられた蒸気センサー24に蒸気が導かれるように、蓋体28の蒸気口34に連通するとともに、上蓋31に設けられた蒸気放出口42にも連通している。容器19内の液体を沸かす場合、液体供給口35は開閉弁57によって閉じられている。そして、容器19内の液体が沸騰し、蒸気が発生してくると、蒸気は、蒸気弁室39を通り蒸気導通口44から蒸気通路40へ導かれる。その後、蒸気の一部が蓋体28の蒸気口34及び、ケトル本体11の開孔21を通過し、蒸気センサー24に到達し、蒸気温度が検出される。一方、他の蒸気は、上蓋31に設けられた蒸気放出口42から外気に放出される。
【0029】
調節レバー49は、上蓋31に設けられた開口47から突出する操作片50と、開閉弁57と接触する多段カム状のカム52を有する開閉弁押動部51とで構成されている。開閉弁押動部51においては、操作片50を中央に有し開口47に面する上部は円弧形状をなしており、カム52と上部との境界にはカムの回動を所定の角度内に制限する固定片53が設けられている。カム52は多段カム状となっており、略中央部に中板29に固定される回動軸54が設けられ、開閉弁57の突起部58の先端を押圧する凹部55a〜55d、突起部の移動を制限する凸部56a〜56cが設けられている。
【0030】
開閉弁57は、蓋体28の中板29に設けられた液体供給口35を塞ぐことができる大きさで形成され、この開閉弁57の略中央部には開閉弁押動部51と接触する突起部58が形成されている。開閉弁57は中板29の下部にあって、内蓋32に設けられた凹部に固定されたばね59によって中板29方向へ押圧される力を受けている。突起部58の大部分は中板29に設けられたシリンダ部45に摺動可能に取り付けられたピストン部58aとなっている。突起部58の上端は、カム52の凹部に当接される押圧部58bとなっており、中蓋の上部に突出している。ピストン部58aにはパッキンが設けられ、開閉弁57が開いた場合にも液体がシリンダ部45を通じて開口47から外部に流出しないようにされている。
【0031】
次に、図4及び図5を参照して、本実施形態における開閉機構48の動作について説明する。図4Aに示すように、開閉弁押動部51のカム52には例えば4個の凹部55a〜55dと3個の凸部56a〜56cが設けられており、凹部55a〜55dの回動軸54からの距離d1〜d4がそれぞれ異なっている。図4Bに示すように、操作片50が最も右側にある状態(閉位置)では、押圧部58bが最も右側の凹部55aに位置している。この凹部55aの回動軸からの距離d1は最も短いため、開閉弁57が最も高い位置にある。この状態では、図5Aに示すように、ばね59の弾性力により開閉弁57は中板29に押圧され、開閉弁57によって液体供給口35が閉じられた状態(閉状態)となっている。
【0032】
この位置から操作片50が図の左方向(開方向)に所定角度操作されると、回動軸54を中心とした多段カムの回動により、押圧部58bが一旦押し下げられて凸部56aを乗り越え、一つ左に位置する凹部55bに当接する(図4C参照)。この位置で調節レバー49の操作を止めると、凹部55bの回動軸54からの距離d2は最も短い距離d1よりも長くなっているため、開閉弁57は図4bの状態と比較して下方に留まり、その結果開閉弁57が液体供給口35から離れて液体供給口35が開放され、液体供給路36が容器19と連通する。また、この開閉弁57が下方に移動することで、ばね59が押し縮められる。なお、開閉弁57がばね59の弾性力によって凹部55bを押圧しているため、この状態で使用者が操作片50から手を離しても、押圧部58bは左右の凸部を乗り越えることができずに調節レバー49はこの位置に固定されることとなり、開閉弁57もこの開放度合いを維持することができる。
【0033】
操作片50をさらに左方向に所定角度操作することにより、押圧部58bが一旦押し下げられて凸部56bを乗り越え、凹部55cに当接する。このとき凹部55cの回動軸54からの距離d3はさらに大きくなる(図4D参照)ため、開閉弁57がより下方に留まることにより、液体供給口35の開放度合いが大きくなる。同様に、操作片50がさらに左方向に所定角度操作され、押圧部58bが最も左の凹部55dに位置する状態では、回動軸54と凹部55dとの距離d4は最も大きくなるため、開閉弁57は最も下方に位置し(図4E及び図5B参照)、液体供給口35の開放度合いが最も大きくなり(全開状態)、最大の液量を注出することができる。
【0034】
使用者が容器19内の液体を注ぐときには、調節レバー49を開方向の任意の段階へと移動させることで、開閉弁押動部51のカム52の任意の凹部が開閉弁57の突起部58を押し下げ、開閉弁57もそれに伴い下方へ移動し、液体供給口35が任意の大きさで開く(図5B参照)。このとき、開閉弁57の突起部58に備えられたピストン部58aが蓋体のシリンダ45内を移動することとなり、突起部58を通じてカム52の移動を開閉弁57まで無駄なく伝達することができる。
【0035】
この状態でケトル本体11を注ぎ口20方向へ傾けることにより、ケトル本体の傾けられる角度によらず、一定の流量で液体が液体供給路36へと流れることができる。また、使用後は、開閉機構48の調節レバー49を注ぐときに移動させた方向とは反対側の端部である閉位置に移動させ、開閉弁押動部51を移動させカム52の凹部55aに開閉弁57の突起部58を当接させることで、開閉弁57と内蓋32との間に設けられ、押し縮められたばね59の弾性力により、開閉弁57が上方へ移動し、液体供給口35を閉じることができる(図5A参照)。
【0036】
このように、液体供給口35の開放度合いが調節レバー49によって調節されるため、使用者が液体を注出させる際に電気ケトルを傾ける角度等に依存することなく、電気ケトルから必要な流量で液体を供給することができる。また、開閉弁の開閉は液体の供給中にも行うことができるので、液体の供給中にもケトルから液体を多段階の任意の流量で供給するように変更することができる。さらに、調節レバーに多段カムを使用したことにより、ばね59の弾性力と凸部によって押圧部58bが固定されるため、機械的に開閉弁を最適な開放度合いに留まらせることができ、一定の流量を保ちながら液体を供給することができる。
【符号の説明】
【0037】
10…ケトル
11…ケトル本体
15…外周側壁
19…容器
20…注ぎ口
21…開孔
23…取っ手部
24…蒸気センサー
26…電源スイッチ
28…蓋体
29…中板
30…外周壁
31…上蓋
32…内蓋
33…注水口
34…蒸気口
35…液体供給口
36…液体供給路
38…注口蓋
39…蒸気弁室
40…蒸気通路
41…天井部
42…蒸気放出口
43…液漏れ抑止機構
44…蒸気導通口
46…着脱機構
48…開閉機構
49…調節レバー
50…操作片
51…開閉弁押動部
52…カム
54…回動軸
57…開閉弁
58…突起部
59…ばね
60…給電台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開口し、上端に注ぎ口が形成された所定量の液体が収容されるケトル本体と、前記ケトル本体の開口を覆う着脱自在な蓋体と、を有する電気ケトルにおいて、
前記蓋体は、内部に前記注ぎ口と前記ケトル本体から液体が流入される液体供給口とを連通する液体供給路と、前記液体供給口に形成された前記液体供給口を塞ぐ大きさの板状体からなり、前記板状体の略中央部から前記蓋体が装着される方向に向かって垂直に突起部が形成された開閉弁と、前記蓋体の上部から一部が突出し、カムを回動させることによって前記突起部を上下動させる調節レバーと、を備え、
前記調節レバーを操作することにより、前記開閉弁を上下方向に移動させて前記液体供給口の開放度合いの調節を行わせるようにしたことを特徴とする電気ケトル。
【請求項2】
前記カムは、回動軸からの距離がそれぞれ異なる複数の段を有する多段式カムから成ることを特徴とする請求項1に記載の電気ケトル。
【請求項3】
前記開閉弁は、弾性部材によって前記突起部が前記カムに向かって押圧されるように駆動されていることを特徴とする請求項1に記載の電気ケトル。
【請求項4】
前記開閉弁の前記突起部はピストン部分を備え、前記ピストン部分は前記蓋体内に配置されたシリンダ内を摺動可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の電気ケトル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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