説明

電気コネクタ付光電気複合ケーブル

【課題】コネクタ部分の大型化を招くことなく、汎用性及び経済性に優れた電気コネクタ付光電気複合ケーブルを提供する。
【解決手段】電気コネクタ付光電気複合ケーブル11は、第一,第二コネクタ12,13から離れた位置に、電気光変換モジュール41を収容する第一中継部21及び光電気変換モジュール43を収容する第二中継部23を備える。第一コネクタ12と第一中継部21との間及び第二コネクタ13と第二中継部23との間が第一,第二電気ケーブル22,24であり、第一,第二中継部21,23の間が光電気複合ケーブル25である。光ファイバ心線33の両端に電気光変換モジュール41または光電気変換モジュール43に着脱可能な光コネクタ71が設けられている。電気光変換モジュール41は、第一中継部21内における位置が調整可能であり、光電気変換モジュール43は、第二中継部23内における位置が調整可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線及び光ファイバを有する電気コネクタ付光電気複合ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
細径同軸ケーブルと光ファイバを組み合わせた光電気複合ケーブルに用いるコネクタとして、光ファイバが接続されている光電変換モジュールを端末の中継接続体に表面実装することが知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−238728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
医療機器、携帯端末、小型ビデオカメラ、パーソナルコンピュータまたはPDA(Personal Digital Assistant)等の電子機器において、機能のさらなる高度化に伴い高速通信が要求されている。これに対応して光ファイバを使用した通信が望まれている。また、医療用途などでは、カメラ自体の小型化に伴い、それに接続するコネクタの小型化が要求されている。
ところが、特許文献1のように光電変換モジュールをコネクタ等の端末部分に載せると、コネクタが嵩張ってしまう。コネクタが嵩張ると取り扱い性がよくない他、機器への取付位置が制限される。
また、光電変換モジュールを搭載するための専用のコネクタが必要となり、接続される機器側でもこのコネクタに対応した専用のレセプタクルが必要となり、コストアップを招いてしまう。
【0005】
本発明の目的は、コネクタ部分の大型化を招くことなく、汎用性及び経済性に優れた電気コネクタ付光電気複合ケーブルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決することのできる本発明の電気コネクタ付光電気複合ケーブルは、
当該ケーブルの一端に電気コネクタである第一コネクタを有し、当該ケーブルの他端に電気コネクタである第二コネクタを有し、
前記第一コネクタから離れた位置に、電気信号を光信号に変換する電気光変換モジュールを収容する第一中継部を備え、前記第一コネクタと前記第一中継部との間が複数の電線からなる第一電気ケーブルであり、
前記第二コネクタと前記第一中継部との間に、光信号を電気信号に変換する光電気変換モジュールを収容する第二中継部を備え、前記第二コネクタと前記第二中継部との間が複数の電線からなる第二電気ケーブルであり、
前記第一中継部と前記第二中継部との間が光ファイバと電気信号を伝える信号電線とを含む光電気複合ケーブルであり、前記光ファイバの両端に前記電気光変換モジュールまたは前記光電気変換モジュールに着脱可能な光コネクタが設けられ、前記光ファイバの一端の前記光コネクタが前記電気光変換モジュールに接続され、前記光ファイバの他端の前記光コネクタが前記光電気変換モジュールに接続され、
前記電気光変換素子に電気信号を伝える第一電線の一端が前記第一コネクタに接続され、前記第一電線の他端が前記電気光変換モジュールに接続され、光信号が変換された電気信号を伝える第二電線の一端が前記光電気変換モジュールに接続され、前記第二電線の他端が前記第二コネクタに接続され、
前記光電気複合ケーブルに含まれる前記信号電線が前記第一コネクタ及び前記第二コネクタに直接または他の配線部材を介して接続され、
前記電気光変換モジュールは、前記第一中継部内における位置が調整可能であり、前記光電気変換モジュールは、前記第二中継部内における位置が調整可能であることを特徴とする。
【0007】
本発明の電気コネクタ付光電気複合ケーブルにおいて、前記第一中継部は、前記電気光変換モジュールを搭載した第一基板を備え、前記第二中継部は、前記光電気変換モジュールを搭載した第二基板を備え、
前記第一基板は、前記第一中継部の固定部にねじによって固定され、前記第二基板は、前記第二中継部の固定部にねじによって固定され、
前記第一基板及び前記第二基板は、前記ねじが挿通される長孔形状の固定用孔を有し、前記固定用孔は、その長孔形状の長軸が前記光ファイバの長手方向に沿うように形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電気コネクタ付光電気複合ケーブルによれば、両端のコネクタを電気コネクタとし、電気光変換素子を有する第一中継部及び光電気変換素子を有する第二中継部を設けることにより、コネクタの大型化を招くことがない。そして、光ファイバによる通信の高速化を図り、機能のさらなる高度化に伴う高速通信に対応することができる。特に、小型化と高機能化が要求されている医療機器用途に好適である。また、光電変換モジュールを搭載した専用のコネクタを用いないので、コネクタの受け側も電気コネクタを用いることができ、汎用性を有し経済性に優れたものとすることができる。
【0009】
また、光コネクタが接続される電気光変換モジュール及び光電気変換モジュールの位置を調整することにより、第一中継部及び第二中継部内の光ファイバの長さのばらつきを吸収することができる。これにより、第一中継部及び第二中継部内で光ファイバを隙間なくかつ弛みなく配線することができ、電気光変換モジュール及び光電気変換モジュールと光コネクタとの接続不良、光伝送効率の低下などの不具合を防止し、接続の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る電気コネクタ付光電気複合ケーブルの使用状態を示す概略構成図である。
【図2】電気コネクタ付光電気複合ケーブルの構成を説明する構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る電気コネクタ付光電気複合ケーブルの端部の斜視図である。
【図4】光電気複合ケーブルの内部構造を示す概略断面図である。
【図5】第一中継部の内部構造を示すケースの一部を取り除いた状態の斜視図である。
【図6】第一中継部の内部構造を示す垂直方向の概略断面図である。
【図7】第一中継部の内部構造を示す水平方向の概略断面図である。
【図8】第一中継基板及び第二中継基板の斜視図である。
【図9】第一中継基板及び第二中継基板の一部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る電気コネクタ付光電気複合ケーブルの実施の形態の例を、図面を参照して説明する。
図1及び図2に示すように、電気コネクタ付光電気複合ケーブル11は、その一端に、第一コネクタ12を有し、他端に第二コネクタ13を有している。第一コネクタ12は、ビデオカメラ14のレセプタクルに接続され、第二コネクタ13は、コントローラユニット15のレセプタクルに接続される。
ビデオカメラ14で撮影された画像の画像信号が、電気コネクタ付光電気複合ケーブル11を介してコントローラユニット15へ送信され、さらに、このコントローラユニット15に接続されたディスプレイ16へ送信され、ディスプレイ16に表示される。
【0012】
図3に示すように、第一コネクタ12及び第二コネクタ13は、一般的に用いられる電気コネクタからなるものであり、その先端部には、複数の接続端子17が設けられている。これらの接続端子17がビデオカメラ14またはコントローラユニット15のレセプタクルの雌端子に接続される。
【0013】
電気コネクタ付光電気複合ケーブル11には、第一コネクタ12から離れた位置に、第一中継部21を備えており、第一コネクタ12と第一中継部21との間に複数の電線からなる第一電気ケーブル22が設けられている。
第二コネクタ13と第一中継部21との間には、第二中継部23を備えており、第二コネクタ13と第二中継部23との間に複数の電線からなる第二電気ケーブル24が設けられている。
第一中継部21と第二中継部23との間には、光電気複合ケーブル25が設けられている。
【0014】
図4に示すように、光電気複合ケーブル25は、中心に光ファイバ収容部31を有し、この光ファイバ収容部31の周囲に電線収容部32を有している。光ファイバ収容部31には、1本または複数本の光ファイバ心線33が収容され、電線収容部32には、複数本の電線34が収容されている。
【0015】
光ファイバ収容部31に収容される光ファイバ心線33は、コアとクラッドからなるガラスファイバを樹脂で被覆したものである。電線収容部32に収容される電線34としては、例えば、ツイストペアケーブル、同軸ケーブルあるいは絶縁ケーブルなどがあり、例えば、AWG(American Wire Gauge)の規格によるAWG20〜46程度のケーブルである。
この光電気複合ケーブル25は、電線収容部32の周囲に、押え巻35及びシールド層36が順に設けられ、最外周が外被37によって覆われている。
【0016】
第一電気ケーブル22及び第二電気ケーブル24は、光ファイバを含まず、例えば、AWG20〜46程度の同軸ケーブルなどのツイストペアケーブル、同軸ケーブルあるいは絶縁ケーブルなどが収容されている。第一電気ケーブル22及び第二電気ケーブル24も、電線収容部の周囲に押え巻及びシールド層が順に設けられ、最外周が外被によって覆われている。なお、これらの第一電気ケーブル22及び第二電気ケーブル24は、高周波信号の劣化を考慮し、最大で30cm程度とするのが好ましい。
【0017】
次に、第一中継部21及び第二中継部23の構造について説明する。
図2及び図5に示すように、第一中継部21は、両端にブーツ40aを有する円筒状の半割り構造のケース40を有している。
図5から図7に示すように、第一中継部21のケース40内には、電気光変換素子41aを有する電気光変換モジュール41が搭載された第一基板42が収容されている。第一中継部21には、一端側に第一電気ケーブル22が固定され、他端側に光電気複合ケーブル25が固定されている。光電気複合ケーブル25の光ファイバ心線33には、その端部に、光コネクタ71が接続されており、この光コネクタ71は、第一基板42に搭載された電気光変換モジュール41に着脱可能とされている。そして、この光コネクタ71を電気光変換モジュール41に接続すると、光ファイバ心線33と電気光変換素子41aとの間での光通信が可能となる。
【0018】
第一電気ケーブル22の端部には金属製のかしめリング73が加締められており、光電気複合ケーブル25の端部には金属製のかしめリング74が加締められている。これらのかしめリング73,74が、それぞれケース40の端部に係止されている。これにより、第一中継部21のケース40に対する第一電気ケーブル22及び光電気複合ケーブル25の移動が規制されて十分な耐引張性が確保されている。ケース40にかしめリング74が係止されていることにより、光電気複合ケーブル25から引き出された光ファイバ心線33の先端に取り付けられた光コネクタ71のケース40内の位置が決まる。
【0019】
光電気複合ケーブル25は、ケース40内の端部において、外被37が除去されてシールド層36が折り返される。第一電気ケーブル22も、ケース40内の端部において、外被が除去されてシールド層が折り返される。ケース40は金属で構成されるか、または内面が金属メッキされている。金属で構成されたケース40に、またはケース40の金属メッキ部分に、第一電気ケーブル22のシールド層と光電気複合ケーブル25のシールド層36とが接続され、両シールド層がケース40を介して電気的に接続されることになる。なお、それぞれシールド層の折り返し部分を金属製のかしめリング73,74で加締めて、かしめリング73,74をケース40に導通させても良い。
【0020】
第一中継部21のケース40は、ねじ孔を有する固定部82を備えており、第一基板42は、固定部82に、ねじ83によって固定されている。第一基板42は、ねじ83が挿通される固定用孔84を有している。これらの固定用孔84は、長孔形状を有し、その長軸が、光電気複合ケーブル25の光ファイバ心線33の長手方向(図6,図7の左右方向)に沿うように形成されている。これにより、第一基板42は、ケース40の固定部82への固定位置が、ねじ83が挿通された固定用孔84の長軸方向(図7中矢印A方向)へ調整可能である。つまり、この第一基板42は、第一中継部21内における位置が調整可能である。この固定用孔84を長孔形状にしたことによる第一基板42の位置調整可能な寸法は、固定用孔84の長軸方向の寸法によって設定されるもので、例えば、1mm〜9mm程度の位置調整を可能とするのが好ましい。固定用孔の長さはねじの径+1mm〜9mmの長さとなる。
【0021】
図3に示すように、第二中継部23は、第一中継部21と同様に、両端にブーツ40aを有する円筒状の半割り構造のケース40を有している。
第二中継部23の内部構造は、第一中継部21と略同様であるが第一中継部21とは軸方向に反転した構造であり、電気光変換モジュール41の代わりに光電気変換モジュール43が搭載されている。第二中継部23のケース40内には、光電気変換素子を有する光電気変換モジュール43が搭載された第二基板44が収容されている。第二中継部23には、一端側に第二電気ケーブル24が固定され、他端側に光電気複合ケーブル25が固定されている。光電気複合ケーブル25の光ファイバ心線33には、その端部に、光コネクタ71が接続されており、この光コネクタ71は、第二基板44に搭載された光電気変換モジュール43に着脱可能とされている。そして、この光コネクタ71を光電気変換モジュール43に接続すると、光ファイバ心線33と光電気変換素子との間での光通信が可能とされる。
【0022】
第一中継部21と同様に、第二電気ケーブル24の端部には金属製のかしめリングが加締められており、光電気複合ケーブル25の端部には金属製のかしめリングが加締められている。これらのかしめリングが、それぞれケース40の端部に係止されている。これにより、第二中継部23のケース40に対する第二電気ケーブル24及び光電気複合ケーブル25の移動が規制されて十分な耐引張性が確保されている。ケース40にかしめリングが係止されていることにより、光電気複合ケーブルから引き出された光ファイバ心線33の先端に取り付けられた光コネクタ71のケース40内の位置が決まる。
【0023】
光電気複合ケーブル25は、第二中継部23のケース40内の端部において、外被37が除去されてシールド層36が折り返される。第二電気ケーブル24も、第二中継部23ケース40内の端部において、外被が除去されてシールド層が折り返される。金属で構成されたケース40に、またはケース40の金属メッキ部分に、第二電気ケーブル24のシールド層と光電気複合ケーブル25のシールド層36とが接続され、両シールド層がケース40を介して電気的に接続されることになる。なお、それぞれシールド層の折り返し部分をかしめリング73,74で加締めて、かしめリング73,74をケース40に導通させても良い。
【0024】
第二中継部23のケース40も、第一中継部21と同様に、ねじ孔を有する固定部を備えており、第二基板44は、固定部に、ねじによって固定されている。第二基板44は、第一基板42と同様に、ねじが挿通される長孔形状の固定用孔を有している。第二基板44の固定用孔もその長軸が光ファイバ心線33の長手方向に沿うものであり、第一中継部21の第一基板42と同様に、第二基板44も、ケース40の固定部への固定位置が光ファイバ心線33の長手方向に沿う方向へ調整可能である。
【0025】
本実施形態の電気コネクタ付光電気複合ケーブル11は、中間に第一中継部21および第二中継部23があるが、ケーブル全体のシールド層は電気的に接続されたものである。そして、第一電気ケーブル22のシールド層は第一コネクタ12のシェルまたはグランド端子に接続される。コネクタが機器に接続されるとコネクタのシェルやグランド端子が機器の接地回路に接続されて接地される。第二電気ケーブル24のシールド層は第二コネクタ13のシェルまたはグランド端子に接続される。コネクタが機器に接続されるとコネクタのシェルやグランド端子が機器の接地回路に接続されて接地される。
【0026】
電気光変換素子41aとしては、電気信号を光信号に変換するためのVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser)が用いられる。光電気変換素子としては、光信号を電気信号に変換するためのPD(Photo Diode)が用いられる。
電気光変換素子41a及び光電気変換素子は、複数の電極が一体成型された構造の基板やフェルールに、バンプまたはワイヤーボンドによって導通接続され、これにより、電気光変換モジュール41及び光電気変換モジュール43が構成されている。そして、これらの基板やフェルールに、光ファイバ心線33の端部に取り付けられた光コネクタ71を接続することにより、光ファイバ心線33と電気光変換素子41aまたは光電気変換素子との間での光信号の送受信が可能となっている。
また、第一基板42には、電気光変換素子41aを駆動させるドライバICが実装されており、第二基板44には、光電気変換素子からの信号を増幅させるトランスインピーダンスアンプ(TIA)が実装されている。
【0027】
図5では、第一基板42の面とケース40の半割り面とが直交する形態を示しているが、直交せずに平行になる形態として、第一基板42の一面(電気光変換モジュール41等が実装された面)が、半割り構造のケース40の一方により覆われる配置とするのが好ましい。このように配置すると、半割り構造の片方のケース40の上に第一基板42を載置した状態で固定用孔84の長軸方向へ位置を調整して固定しやすい。固定した後にもう一つのケース40を上蓋のように第一基板42に被せてケース40を合わせて第一中継部21とする。こうすると第一中継部21の組み立て作業性や、電気光変換モジュール41等を実装する作業性がよい。
第二中継部23についても同様である。第二基板44の一面(光電気変換モジュール43等が実装された面)が、半割り構造のケース40の一方により覆われる配置とするのが好ましい。こうすると第二中継部23の組み立て作業性や、光電気変換モジュール43等を実装する作業性がよい。
【0028】
図2に示すように、第一中継部21では、第一電気ケーブル22の電線からなる第一電線51が第一基板42の回路パターン(図示省略)に接続されており、この回路パターンを介して電気光変換モジュール41に接続されている。
第二中継部23では、第二電気ケーブル24の電線からなる第二電線52が第二基板44の回路パターン(図示省略)に接続されており、この回路パターンを介して光電気変換モジュール43に接続されている。
【0029】
また、光電気複合ケーブル25に含まれる電線34からなる信号電線53は、第一中継部21及び第二中継部23に通され、第一コネクタ12及び第二コネクタ13に接続されている。これらの信号電線53は、図6に示すように第一基板42については電気光変換モジュール41が実装されない側、第二基板44については光電気変換モジュール43が実装されない側に通されることが好ましい。こうすることで、第一中継部21または第二中継部23が振動しても、信号電線53が基板上の電気光変換モジュール41などの光学素子等にぶつかってダメージを与えるおそれがない。
【0030】
また、第一電気ケーブル22には、第一給電線55が含まれている。この第一給電線55の一端は第一コネクタ12に接続され、他端は第二コネクタ13に接続されている。これにより、コントローラユニット15から第一給電線55を介してビデオカメラ14への給電が行われる。
【0031】
また、光電気複合ケーブル25には、第二給電線56が含まれている。この第二給電線56の一端は第一中継部21の第一基板42上の電気光変換モジュール41につながる回路に接続され、他端は第二コネクタ13に接続されている。これにより、コントローラユニット15から第二給電線56を介して電気光変換モジュール41への給電が行われる。
【0032】
また、第二電気ケーブル24には、第三給電線57が含まれている。この第三給電線57の一端は第二中継部23の第二基板44上の光電気変換モジュール43につながる回路に接続され、他端は第二コネクタ13に接続されている。これにより、コントローラユニット15から第三給電線57を介して光電気変換モジュール43への給電が行われる。
【0033】
このように構成された電気コネクタ付光電気複合ケーブル11では、ビデオカメラ14からの電気信号の一部が第一電気ケーブル22の第一電線51によって第一中継部21の電気光変換モジュール41に送信され、この電気光変換モジュール41で光信号に変換される。この光信号は、光電気複合ケーブル25の光ファイバ心線33を通り、第二中継部22の光電気変換モジュール43で電気信号に変換され、第二電気ケーブル24の第二電線52によってコントローラユニット15に送信される。また、ビデオカメラ14からの電気信号の一部は、信号電線53によって直接コントローラユニット15へ伝送される。
これにより、コントローラユニット15に接続されたディスプレイ16には、ビデオカメラ14にて撮影された画像が表示される。
【0034】
上記の電気コネクタ付光電気複合ケーブル11によれば、電気光変換モジュール41を有する第一中継部21及び光電気変換モジュール43を有する第二中継部23を設けることにより、ケーブル両端の接続部を電気コネクタである第一コネクタ12及び第二コネクタ13とすることができる。そのため、第一コネクタ12及び第二コネクタ13の大型化を招くことなく、光ファイバ心線33による通信の高速化を図り、機能のさらなる高度化に伴う高速通信に対応することができる。特に、小型化及び高機能化が要求されている医療機器用途に好適である。また、第一コネクタ12及び第二コネクタ13を汎用の電気コネクタとすることができるので、ビデオカメラ14及びコントローラユニット15のレセプタクルも電気コネクタに対応した汎用のものを使用できる。電気コネクタ付光電気複合ケーブル11を使用することでレセプタクルを汎用のものにできるので、接続する機器のレセプタクルの変更を必要とせず、経済性にも優れる。
【0035】
また、1本の光ファイバ心線33に、電気光変換素子を介して2本の第一電線51を接続するとともに光電気変換素子を介して2本の第二電線52を接続し、2本の第一電線51及び2本の第二電線52を一組として一つの信号を差動伝送することもできる。
【0036】
第一中継部21及び第二中継部23のケース40内における光コネクタ71の位置は、光電気複合ケーブル25の端部から引き出された光ファイバ心線33の引出し長さ及び光電気複合ケーブル25をケース40に係止させるかしめリング74のかしめ位置によって決定される。光コネクタ71の実際の位置は、設計値に対してばらつきが生じることがある。
【0037】
このような状態において、第一中継部21及び第二中継部23のケース40内の第一基板42及び第二基板44の固定位置が一意的に決まっていると、光ファイバ心線33が短い場合では、電気光変換モジュール41または光電気変換モジュール43に対して光コネクタ71が接続できない状態となったり、電気光変換モジュール41または光電気変換モジュール43と光コネクタ71との端面間に隙間が発生し、光伝送効率の低下を招いてしまう。このため、光ファイバ心線33の引出し長さは、余裕を持たせるために長めにすることが望まれるが、光ファイバ心線33の引出し長さを長くしすぎると、ケース40内で光ファイバ心線33が余ってしまい、電気光変換モジュール41または光電気変換モジュール43に光コネクタ71を接続した際に、ケース40内において光ファイバ心線33に弛みが生じる。このような場合、光ファイバ心線33が撓んで歪が発生し、光伝送効率の低下が生じたり、甚だしい場合には光ファイバ心線33の破断の確率が高まってしまう。
【0038】
本実施形態に係る電気コネクタ付光電気複合ケーブル11では、光コネクタ71が接続される電気光変換モジュール41及び光電気変換モジュール43の位置を調整することにより、第一中継部21及び第二中継部23内の光ファイバ心線33の長さのばらつきを吸収することができる。これにより、第一中継部21及び第二中継部23内で光ファイバ心線33を弛みなく配線することができ、電気光変換モジュール41及び光電気変換モジュール43と光コネクタ71との接続不良、光伝送効率の低下あるいは光ファイバ心線33の破断などの不具合を防止し、接続の信頼性を高めることができる。
【0039】
なお、上記実施形態では、光電気複合ケーブル25に含まれる信号電線53の一端が第一コネクタ12に直接接続され、他端が第二コネクタ13に直接接続されたものを例示して説明したが、信号電線53の接続形態としては、上記の構造に限定されない。
【0040】
例えば、第一電気ケーブル22に含まれる電線であって電気光変換モジュール41につながる回路に接続されない電線34aの一端を第一コネクタ12に接続し、この電線34aの他端を第一中継部21で光電気複合ケーブル25の信号電線53に接続しても良い。また、信号電線53の一端を、第二電気ケーブル24に含まれる電線であって光電気変換モジュール43につながる回路に接続されない電線34bの一端に第二中継部23で接続し、この電線34bの他端を第二コネクタ13に接続しても良い。
【0041】
この場合、図8に示すように、第一中継基板61及び第二中継基板62を用いることが好ましい。例えば、第一電気ケーブル22の電線34a及び光電気複合ケーブル25の信号電線53を、それぞれ第一中継基板61に接続して互いに導通させる。また、第二電気ケーブル24の電線34b及び光電気複合ケーブル25の信号電線53を、それぞれ第二中継基板62に接続して互いに導通させる。
【0042】
第一中継基板61及び第二中継基板62としては、例えば、フレキシブルプリント配線板(FPC)を用いることができ、それぞれ第一中継部21及び第二中継部23のケース40内に収納される。第一中継基板61及び第二中継基板62には、幅方向に配列された接続端子63が設けられ、電線34a,34b及び信号電線53の導体が、例えば、パルスヒートによって一括して半田付けされ、さらに、その接続箇所に絶縁フィルム64が貼り付けられて絶縁されている。また、図9に示すように、第一中継基板61及び第二中継基板62の電線34a,34b及び信号電線53が接続される接続端子63は、配線方向に長くすることが好ましい。このようにすると、接続端子63の長さ寸法の範囲で電線34a,34bまたは信号電線53を接続させることが可能となり、電線34a,34bまたは信号電線53の余長や端部の位置のばらつきを許容することができる。また、第一中継基板61及び第二中継基板62を端子配列方向に折り畳んでケース40内に収納してもよい。
【0043】
なお、光電気複合ケーブル25の信号電線53を、第一電気ケーブル22または第二電気ケーブル24に含まれる電線34a,34bに対して直接接続しても良い。この場合、接続する電線34a,34b及び信号電線53の導体を露出させて半田付けして接続し、その接続箇所に絶縁性の熱収縮チューブを被せるか、絶縁フィルムを巻き付けて絶縁させる。
【0044】
また、第一給電線55及び第二給電線56は、第一中継部21または第二中継部23に収納された第一中継基板61または第二中継基板62などの他の配線部材を介して接続されていても良い。
【符号の説明】
【0045】
11:電気コネクタ付光電気複合ケーブル、12:第一コネクタ、13:第二コネクタ、21:第一中継部、22:第一電気ケーブル、23:第二中継部、24:第二電気ケーブル、25:光電気複合ケーブル、33:光ファイバ心線(光ファイバ)、34,34a,34b:電線、41:電気光変換モジュール、42:第一基板、43:光電気変換モジュール、44:第二基板、51:第一電線、52:第二電線、53:信号電線、55:第一給電線、56:第二給電線、57:第三給電線、71:光コネクタ、82:固定部、83:ねじ、84:固定用孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気コネクタ付光電気複合ケーブルであって、
当該ケーブルの一端に電気コネクタである第一コネクタを有し、当該ケーブルの他端に電気コネクタである第二コネクタを有し、
前記第一コネクタから離れた位置に、電気信号を光信号に変換する電気光変換モジュールを収容する第一中継部を備え、前記第一コネクタと前記第一中継部との間が複数の電線からなる第一電気ケーブルであり、
前記第二コネクタと前記第一中継部との間に、光信号を電気信号に変換する光電気変換モジュールを収容する第二中継部を備え、前記第二コネクタと前記第二中継部との間が複数の電線からなる第二電気ケーブルであり、
前記第一中継部と前記第二中継部との間が光ファイバと電気信号を伝える信号電線とを含む光電気複合ケーブルであり、前記光ファイバの両端に前記電気光変換モジュールまたは前記光電気変換モジュールに着脱可能な光コネクタが設けられ、前記光ファイバの一端の前記光コネクタが前記電気光変換モジュールに接続され、前記光ファイバの他端の前記光コネクタが前記光電気変換モジュールに接続され、
前記電気光変換素子に電気信号を伝える第一電線の一端が前記第一コネクタに接続され、前記第一電線の他端が前記電気光変換モジュールに接続され、光信号が変換された電気信号を伝える第二電線の一端が前記光電気変換モジュールに接続され、前記第二電線の他端が前記第二コネクタに接続され、
前記光電気複合ケーブルに含まれる前記信号電線が前記第一コネクタ及び前記第二コネクタに直接または他の配線部材を介して接続され、
前記電気光変換モジュールは、前記第一中継部内における位置が調整可能であり、前記光電気変換モジュールは、前記第二中継部内における位置が調整可能であることを特徴とする電気コネクタ付光電気複合ケーブル。
【請求項2】
請求項1に記載の電気コネクタ付光電気複合ケーブルであって、
前記第一中継部は、前記電気光変換モジュールを搭載した第一基板を備え、前記第二中継部は、前記光電気変換モジュールを搭載した第二基板を備え、
前記第一基板は、前記第一中継部の固定部にねじによって固定され、前記第二基板は、前記第二中継部の固定部にねじによって固定され、
前記第一基板及び前記第二基板は、前記ねじが挿通される長孔形状の固定用孔を有し、前記固定用孔は、その長孔形状の長軸が前記光ファイバの長手方向に沿うように形成されていることを特徴とする電気コネクタ付光電気複合ケーブル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−20158(P2013−20158A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154438(P2011−154438)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】