説明

電気デバイス用パッケージおよびそれを備えた電気装置

【課題】高弾性で、かつ、耐熱性にも優れ、さらに、薄型化にも対応可能な電気デバイス用パッケージおよびそれを備えた電気装置を提供する。
【解決手段】パッケージ5は、電気二重層コンデンサ素子10を内部に封止している。このパッケージ5を構成するシート状のパッケージ材料からなる第1および第2パッケージ部11を有する。シート状のパッケージ材料は、セルロースミクロフィブリル繊維にマトリクス材料を含浸させた繊維強化複合材料層を含む。セルロースミクロフィブリル繊維は、三次元交差構造体をなすバクテリアセルロース繊維を含むことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蓄電デバイスその他の電気デバイス(とくに電気化学デバイス)のためのパッケージ、およびこのようなパッケージを備えた電気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気二重層コンデンサおよび蓄電池に代表される電気化学デバイスを収容するパッケージの材料としては、とくに薄型に構成すべき場合に、高分子フィルムに金属や無機材料層を積層した構造の材料が適用されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−231739号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、前記のようなパッケージでは、弾性率および耐熱性が不充分であるという問題がある。
たとえば、電気二重層コンデンサの場合、その低抵抗化のためには、セパレータを挟んで配置される一対の電極間の距離の短縮を図ることが重要である。ところが、パッケージの弾性が不足していると、一対の電極を十分に押し付け合うことができず、電気二重層コンデンサの電気抵抗が高くなってしまう。この問題は、高分子フィルムまたは金属層もしくは無機材料層を厚く形成してパッケージ材料の弾性を高めることによって解決できるが、それでは装置全体が厚型化してしまう。これにより、たとえば、電気二重層コンデンサ等を携帯機器等に収容する場合に、その内部の限られた収納スペースを圧迫してしまい、ひいては機器の小型化が阻害される。
【0004】
一方、高分子フィルムは、高温環境に耐えることができず、電気部品実装のための半田リフロー時の温度(260℃程度)に晒されると、容易に溶融してしまう。そのため、前記のようなパッケージ材料を備えた電気部品には別の実装方法を適用する必要があるから、電気機器等の組立工程が複雑になっていた。
そこで、この発明の目的は、高弾性で、かつ、耐熱性にも優れ、さらに、薄型化にも対応可能な電気デバイス用パッケージおよびそれを備えた電気装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するための請求項1記載の発明は、セルロースミクロフィブリル繊維を含む、電気デバイス用パッケージである。セルロースミクロフィブリル繊維は、高強度でかつ耐熱性にも優れているため、これを電気デバイス用パッケージ材料に適用することによって、高弾性でかつ耐熱性にも優れた電気デバイス用パッケージを実現できる。また、高強度な材料であるため、薄型化しても十分な機械的強度を保持することができる。
【0006】
請求項2記載の発明は、前記セルロースミクロフィブリル繊維にマトリクス材料を含浸させた繊維強化複合材料を含む、請求項1記載の電気デバイス用パッケージである。この構成によれば、セルロースミクロフィブリル繊維にマトリクス材料を含浸させることによって、より高強度な構造のパッケージを実現できる。また、より緻密な構造となるので、外部からの水分等を遮断できる。さらに、液体の封入が必要な電気化学デバイスのためのパッケージとしての使用も可能となる。
【0007】
請求項3記載の発明は、前記セルロースミクロフィブリル繊維が、バクテリアセルロース繊維を含む、請求項1または2記載の電気デバイス用パッケージである。
バクテリアセルロースは、バクテリアが産生するセルロースである。セルロースを生産し得る典型的なバクテリアは、酢酸菌である。酢酸菌としては、アセトバクター(Acetobacter)属等が挙げられ、より具体的には、アセトバクターアセチ(Acetobacter aceti)、アセトバクターサブスピーシーズ(Acetobacter subsp.)、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum)等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0008】
このようなバクテリアを培養することにより、バクテリアからセルロースが産生される。得られた産生物は、バクテリアとこのバクテリアから産生されて該バクテリアに連なっているセルロース繊維(バクテリアセルロース繊維)とを含む。そこで、この産生物を培地から取り出し、それを水洗、またはアルカリ処理などしてバクテリアを除去することにより、バクテリアを含まない含水バクテリアセルロース繊維を得ることができる。この含水バクテリアセルロース繊維から水分を除去することにより、バクテリアセルロース繊維を得ることができる。
【0009】
バクテリアセルロース繊維は、バクテリアがセルロースを産生(排出)しながらランダムに動き回ることによりセルロースが複雑に(三次元的に)交差しているネットワーク構造となった三次元交差バクテリアセルロース構造体(請求項4参照)を形成する。この複雑な交差構造は、バクテリアが分裂してセルロースが分岐を生ずることにより、さらに複雑化した交差状態となる。
【0010】
この三次元交差バクテリアセルロース構造体は、バクテリアセルロースが三次元的な交差構造をとることにより嵩高(スカスカ)の状態ではあるが一つの構造体として扱えるようになっている物体である。このようなバクテリアセルロース構造体は、多孔質構造体となるので、マトリクス材料を含浸させることにより、繊維強化複合材料を容易に作製できる。
【0011】
また、三次元交差バクテリアセルロース構造体からなるバクテリアセルロース繊維は、形状を自己保持することができ、かつ、高強度である。しかも平面方向および厚み方向に全体的に繋がって一体化された構造となっている。そのため、薄型化しても十分な強度を保つことができる。
請求項4記載の発明は、前記バクテリアセルロース繊維が、三次元交差構造体(立体交差構造体)となっている、請求項3または4記載の電気デバイス用パッケージである。とくに、バクテリアセルロース繊維は、バクテリアセルロースを起源としたナノファイバーのネットワーク構造を成していることが好ましい。
【0012】
請求項5記載の発明は、前記バクテリアセルロース繊維が離解処理されていないものである、請求項3記載の電気デバイス用パッケージである。バクテリアセルロース繊維は、離解処理されていないことにより、三次元交差構造をとるものとなる。
請求項6記載の発明は、前記セルロースミクロフィブリル繊維が、植物繊維から分離されたセルロース繊維をミクロフィブリル化したミクロフィブリル化セルロース繊維を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気デバイス用パッケージである。このようなミクロフィブリル化セルロース繊維を用いても、十分に高強度で耐熱性の高いパッケージを実現できる。
【0013】
請求項7記載の発明は、前記セルロースミクロフィブリル繊維を含む繊維層(好ましくは繊維強化複合材料層。たとえば、セルロース、ポリイミド、PTFEなどからなるもの。)と、他の材料層とを積層したラミネート構造を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電気デバイス用パッケージである。この構成によれば、要求される特性に応じて他の材料層を積層したラミネート構造とすることによって、多様な要求特性を実現できる。たとえば、耐湿性を改善するための保護層、透湿性を改善するための金属層、または耐薬品性を改善するための樹脂層などを前記他の材料層として繊維層に積層してもよい。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか一項に記載の電気デバイス用パッケージと、この電気デバイス用パッケージに収容された電気デバイスとを含む、電気装置である。この構成によれば、高強度で耐熱性の高いパッケージを有する電気装置を実現できる。これにより、電気装置の特性を安定化でき、また、電気装置をたとえばリフロープロセスによって実装したりすることが可能となる。また、パッケージを薄型化しても十分な機械的強度を保つことができるため、電気装置の小型化が可能になる。
【0015】
請求項9に記載されているように、前記電気デバイスは蓄電デバイスであってもよい。蓄電デバイスとしては、電池やコンデンサを挙げることができる。
とくに、請求項10に記載されているように、前記蓄電デバイスが電気二重層コンデンサ素子である場合には、その電気特性を改善および安定化することができる。
請求項11記載の発明は、前記電気二重層コンデンサ素子が、一対の電極とその間に介在されたシート状のセパレータとを備え、前記一対の電極が前記電子デバイス用パッケージによって前記セパレータの両面にそれぞれ密接させられている、請求項10記載の電気装置である。この構成によれば、高剛性のパッケージによって一対の電極間距離の短縮を図ることができ、これにより、電気二重層コンデンサ素子の低抵抗化を図ることができる。また、パッケージを薄型に形成することによって、機械的強度を保持しながら、装置全体の薄型化を図ることができる。
【0016】
請求項12記載の発明は、前記セパレータが、セルロースミクロフィブリル繊維(樹脂を含浸させたもの等ではなく、単体のものが好ましい)を含む、請求項11記載の電気装置である。この構成では、セパレータとパッケージとが同系の材料で構成されているので、それらの結合が比較的容易である。
請求項13に記載されているように、前記セパレータは、前記電気デバイス用パッケージに結合されていてもよい。これにより、パッケージと電気二重層コンデンサ素子との結合が強固になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る電気装置としての電気二重層コンデンサの構造を示す図解的な断面図であり、図2は、その図解的な斜視図である。電気二重層コンデンサ1は、電気二重層コンデンサ素子10をパッケージ5に封止して構成されている。電気二重層コンデンサ素子10は、対向配置された一対の集電体2,2と、この一対の集電体2,2の各対向面(内方の表面)に担持された一対の活性炭電極3,3と、この一対の活性炭電極3,3間に介装された多孔質のセパレータ4とを備えており、これらがパッケージ5の内部に液密に封止されている。パッケージ5の内部には電解液が充填されており、この電解液は、一対の活性炭電極3,3の間を満たしている。
【0018】
集電体2としては、たとえば、アルミニウム箔(たとえば、10μm以上の厚みのもの。一般的には、30〜50μmの厚みのもの)が用いられる。このアルミニウム箔は、エッチングによって表面に凹凸を形成して表面積を増大させた電解コンデンサ用エッチング箔であってもよい。
活性炭電極3は、分極性電極であり、一対の集電体2,2に外部から電圧を印加すると、正極側の活性炭電極3の表面には電解液中のマイナスイオンが引き寄せられ、負極側の活性炭電極3の表面には電解液中のプラスイオンが引き寄せられる。こうして、活性炭電極3と電解液との界面には極めて短い距離(約1nm)を隔てて正負の電荷が分布し、電気二重層を形成する。
【0019】
セパレータ4は、正極および負極が直接接触して短絡することを防ぐ絶縁性シート体である。セパレータ4は、電解液中のイオンの通路となる孔を有する絶縁性多孔質シート体からなり、その孔径は電気二重層コンデンサ1の電気抵抗に影響を及ぼす。一般的には、セパレータ4には、木質パルプ系の材料が用いられるが、合成繊維系(PTFEなど)の材料が用いられる場合もある。その他、後述するように、バクテリアセルロース繊維やミクロフィブリル化セルロース繊維などのセルロースミクロフィブリル繊維のシートをセパレータ4として用いることもできる。
【0020】
電解液は、セパレータ4に含浸させられ、セパレータ4の両側に活性炭電極3,3を密接させることによって、それらの間に配置されている。電解液は、イオンを運ぶ役割を担う。電解液としては、水系電解液(たとえば、硫酸水溶液)および非水系電解液(たとえば、四級アンモニウム塩の炭酸プロピレン溶液その他の有機系電解液)が一般的であるが、イオン液体(たとえば、EMI−BF4やDEME−BF4)が適用されてもよい。
【0021】
パッケージ5は、一方の集電体2の背面(活性炭電極3とは反対側の表面)に接する内表面を有する第1パッケージ部11と、他方の集電体2の背面に接する内表面を有する第2パッケージ部12とを有し、これらを縁部において互いに結合して構成されている。第1および第2パッケージ部11,12は、形状を自己保持できる剛性を有するシート状のパッケージ材料で構成されている。第1および第2パッケージ部11,12は、集電体2の背面全域に当接する第1平坦部15と、この第1平坦部15の周縁部に連設され、集電体2の縁部にほぼ沿ってセパレータ4へと向かう第1傾斜部16と、この第1傾斜部16に連なり、セパレータ4の周縁部分の表面に当接する第2平坦部17と、この第2平坦部17に連なり、セパレータ4の縁部に沿って相手側パッケージ部へと向かう第2傾斜部18と、この第2傾斜部18に連なった第3平坦部19とを有している。この実施形態では、集電体2が矩形に形成されており、それに応じて第1平坦部15が矩形に形成されている。そして、この第1平坦部15と第1傾斜部16とが四角錐台形状を形成している。さらに、第2平坦部17が矩形リング状に形成されており、この第2平坦部17と第2傾斜部18とが四角錐台形状を形成している。また、第3平坦部19が矩形リング形状を形成している。
【0022】
第1および第2パッケージ部11,12の第3平坦部19の対向面同士が互いに結合されており、これにより、パッケージ5の内部空間が液密に保持されている。また、第1および第2パッケージ部11,12の第2平坦部17,17は、セパレータ4の縁部を挟持しているとともに、このセパレータ4に結合されている。そして、第1および第2パッケージ部11,12の第1平坦部15,15は、一対の集電体2を、それらの間に介在されたセパレータ4に向けて、このセパレータ4に密接するように押し付けている。
【0023】
一対の集電体2からは、リード部2Aがそれぞれ引き出されている。これらのリード部2Aは、第1および第2パッケージ部11,12の結合部(第3平坦部19,19の間)から、異なる位置で外部に引き出されている。
図3は、第1および第2パッケージ部11,12に用いるパッケージ材料を構成するシート体の図解的な断面図である。パッケージ材料は、パッケージ5の内部空間に臨む最内層に配置される樹脂層21と、この樹脂層21の外側に積層された繊維強化複合材料層22と、この繊維強化複合材料層22の外側に積層された金属箔層23と、この金属箔層23の外側に積層され、最外層となる保護層24とを備えたラミネート構造のシート体である。
【0024】
樹脂層21は、たとえば、ポリイミド樹脂やPTFEからなる。これにより、パッケージ5内に収容される電解液に対する耐久性(耐薬品性)が確保されている。
繊維強化複合材料層22は、バクテリアセルロース繊維にマトリクス材料を含浸させて固めた繊維強化複合材料からなり、第1および第2パッケージ部11,12に対して十分な機械的強度を与える。具体的には、この繊維強化複合材料層22によって、第1および第2パッケージ部11,12の形状が自己保持され、かつ、外部からの衝撃に対する耐久性が確保される。さらには、繊維強化複合材料層22により、内部からの電解液の放出を遮断でき、外部からの水分の侵入を遮断する耐透過性が得られ、電解液による腐食または変形を抑制または防止する耐薬品性が得られ、外部からの腐食に耐える耐腐食性が得られる。
【0025】
金属箔層23は、たとえば、アルミニウム箔からなる。この金属箔層23によって透湿性の向上が図られている。
保護層24は、たとえば、ポリイミド樹脂やPTFEからなる。この保護層24は、耐湿性その他の特性の改善に寄与している。
繊維強化複合材料層22に含まれるバクテリアセルロース繊維は、より具体的には、バクテリアの一種である酢酸菌から産生されるセルロースミクロフィブリル繊維(たとえば、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter Xylinum)から産生されるナタデココ)である。このバクテリアセルロース繊維は、繊維径が約50nm程度のナノファイバーが三次元ネットワーク状に絡み合ったネットワーク構造体(三次元交差構造体)である。
【0026】
より詳細に説明すると、バクテリアを培養することにより、バクテリアからセルロースが産生される。得られた産生物は、バクテリアとこのバクテリアから産生されて当該バクテリアに連なっているセルロース繊維(バクテリアセルロース繊維)とを含む。そこで、この産生物を培地から取り出し、それを水洗、またはアルカリ処理などしてバクテリアを除去することにより、バクテリアを含まない含水バクテリアセルロース繊維を得ることができる。この含水バクテリアセルロース繊維から水分を除去することによりバクテリアセルロース繊維が得られる。
【0027】
培地としては、寒天状の固体培地や液体培地(培養液)が挙げられる。培養液としては、たとえば、ココナッツミルク(全窒素分0.7重量%,脂質28重量%)7重量%、ショ糖8重量%を含有し、酢酸でpHを3.0に調整した培養液(ココナッツミルク培養液)や、グルコース2重量%、バクトイーストエクストラ0.5重量%、バクトペプトン0.5重量%、リン酸水素二ナトリウム0.27重量%、クエン酸0.115重量%、硫酸マグネシウム七水和物0.1重量%とし、塩酸によりpH5.0に調整した水溶液(SH培地)等が挙げられる。
【0028】
培養方法としては、たとえば、次の方法が挙げられる。
ココナッツミルク培養液に、アセトバクター キシリナム(Acetobacter xylinum)FF−88等の酢酸菌を植菌し、たとえばFF−88であれば、30℃で5日間、静置培養を行って一次培養液を得る。得られた一次培養液のゲル分を取り除いた後、液体部分を、前記と同様の培養液に5重量%の割合で加え、30℃、10日間静置培養して、二次培養液を得る。この二次培養液には、約1重量%のセルロース繊維が含有されている。
【0029】
また、他の培養方法として、前記SH培養液を用いる方法が挙げられる。この場合、凍結乾燥保存状態の酢酸菌の菌株にSH培養液を加え、1週間静置培養する(25〜30℃)。培養液表面にバクテリアセルロースが生成するが、これらのうち、厚さが比較的厚いものを選択し、その株の培養液を少量分取して新しい培養液に加える。そして、この培養液を大型培養器に入れ、25〜30℃で7〜30日間の静地培養を行う。バクテリアセルロースは、このように、「既存の培養液の一部を新しい培養液に加え、約7〜30日間静置培養を行う」ことの繰りかえしにより得られる。
【0030】
このようにして産出させたバクテリアセルロースを培養液中から取り出し、バクテリアセルロース中に残存するバクテリアを除去する。その方法としては、水洗またはアルカリ処理などが挙げられる。バクテリアを溶解除去するためのアルカリ処理としては、培養液から取り出したバクテリアセルロースを0.01〜10重量%程度のアルカリ水溶液に1時間以上注加する方法が挙げられる。そして、アルカリ処理した場合は、アルカリ処理液からバクテリアセルロースを取り出し、十分水洗し、アルカリ処理液を除去する。
【0031】
このようにして得られた含水バクテリアセルロース(通常、含水率95〜99重量%のバクテリアセルロース)に対して、次いで、水分除去処理を行う。
この水分除去処理の方法としては、特に限定されないが、放置やコールドプレス等でまず水をある程度抜き、次いで、そのまま放置するか、またはホットプレス等で残存の水を完全に除去する方法、コールドプレス法の後、乾燥機にかけたり、自然乾燥させたりして水を除去する方法等が挙げられる。
【0032】
前記の水をある程度抜く方法としての放置は、時間をかけて水を徐々に揮散させる方法である。
前記コールドプレスとは、熱をかけずに圧を加えて、水を抜き出す方法であり、ある程度の水を絞り出すことができる。このコールドプレスにおける圧力は、0.01〜10MPaが好ましく、0.1〜3MPaがより好ましい。圧力が0.01MPaより小さいと、水の残存量が多くなる傾向があり、10MPaより大きいと、得られるバクテリアセルロースのネットワーク構造が破壊される場合がある。また、温度は特に限定されないが、操作の便宜上、常温が好ましい。
【0033】
前記の残存の水を完全に除去する方法としての放置は、時間をかけてバクテリアセルロースを乾燥させる方法である。
前記ホットプレスとは、熱を加えながら圧をかけることにより、水を抜き出す方法であり、残存の水を完全に除去することができる。このホットプレスにおける圧力は、0.01〜10MPaが好ましく、0.2〜3MPaがより好ましい。圧力が0.01MPaより小さいと、水を除去できなくなる場合があり、10MPaより大きいと、得られるバクテリアセルロースのネットワーク構造が破壊される場合がある。また、温度は100〜300℃が好ましく、110〜200℃がより好ましい。温度が100℃より低いと、水の除去に時間を要し、一方、300℃より高いと、バクテリアセルロースの分解等が生じるおそれがある。
【0034】
また、前記乾燥機による乾燥温度についても、100〜300℃が好ましく、110〜200℃がより好ましい。乾燥温度が100℃より低いと、水の除去ができなくなる場合があり、一方、300℃より高いと、セルロース繊維の分解等が生じるおそれがある。
このようにして得られるバクテリアセルロースは、その培養条件やその後の水分除去時の加圧、加熱条件等によっても異なるが、通常、嵩密度1.1〜1.3kg/m3程度、厚さ40〜60μm程度のシート状(以下「BCシート」という場合がある。)となっている。
【0035】
バクテリアセルロース繊維は、三次元交差構造をとる三次元交差バクテリアセルロース構造体を形成する。三次元交差バクテリアセルロース構造体とは、バクテリアセルロースが三次元的な交差構造をとることにより嵩高(スカスカ)の状態ではあるが一つの構造体として扱えるようになっている物体を意味し、セルロース繊維を産生するバクテリアを前述のようにして、培養液で培養することにより形成される。すなわち、三次元交差バクテリアセルロース構造体とは、バクテリアがセルロースを産生(排出)しながらランダムに動き回ることによりセルロースが複雑に(三次元的に)交差している構造となった状態の構造体である。この複雑な交差は、バクテリアが分裂してセルロースが分岐を生ずることによりさらに複雑化した交差状態となる。
【0036】
このような三次元交差バクテリアセルロース構造体は、適当な形状、即ちフィルム状、板状、ブロック状、所定の形状(たとえばレンズ状)等の形状で培養すれば、その形状に従って形成される。したがって、目的に応じて、任意の形状の三次元交差バクテリアセルロース構造体を得ることができる。
三次元交差バクテリアセルロース構造体は、その後、前述したようにバクテリアを除去するためのアルカリ処理や水等での洗浄処理が行われるが、これらの処理によっては三次元交差したバクテリアセルロースはその三次元交差が解除されることはない。また、三次元交差バクテリアセルロース構造体を圧縮する等して含有する水分を除去すること、いわゆる、脱水工程を経てもこの三次元交差状態は保たれていることが確認されている。
【0037】
バクテリアセルロース繊維は、三次元交差構造が保たれている場合に特に強度が大きく、かつ、空隙率の制御が容易であり、また、大きな表面積を確保しやすい。
たとえば、この三次元交差バクテリアセルロース構造体をさらに細くするために解離処理、解繊処理等と呼ばれる工程、即ち、乳鉢と乳棒、すり鉢、ひき臼等で三次元交差バクテリアセルロース構造体をすりつぶす工程を経た場合は、上述した三次元交差構造は破壊される。すなわち、セルロース繊維は短く引きちぎられ、その短繊維が毛玉状やフィルム状に集合(凝集)してしまい、ナノサイズ(ナノオーダー)のセルロース繊維からなる三次元交差バクテリアセルロース構造体とは全く異なる性状、形態のものとなってしまう。したがって、このような解離処理等を行うことなく、ネットワーク構造のままのバクテリアセルロース繊維を用いることが好ましい。
【0038】
繊維強化複合材料層22は、前記のようなバクテリアセルロース繊維のシート状物の1枚を単層体として、或いは複数枚を積層した積層体として、後述の如く、マトリクス材料を形成し得る含浸用液状物を含浸させて製造することができる。
マトリクス材料は、繊維強化複合材料の母材となる材料であり、有機高分子、無機高分子、有機高分子と無機高分子とのハイブリッド高分子等の1種を単独で、或いは2種以上を混合して用いることができる。
【0039】
以下に好適なマトリクス材料を例示する。むろん、繊維強化複合材料層22の母材となるマトリクス材料は以下のものに限定されるものではない。
マトリクス材料の無機高分子としては、ガラス、シリケート材料、チタネート材料などのセラミックス等が挙げられ、これらはたとえばアルコラートの脱水縮合反応により形成することができる。また、有機高分子としては、天然高分子や合成高分子が挙げられる。
【0040】
天然高分子としては、再生セルロース系高分子、たとえばセロハン、トリアセチルセルロース等が挙げられる。
合成高分子としては、ビニル系樹脂、重縮合系樹脂、重付加系樹脂、付加縮合系樹脂、開環重合系樹脂等が挙げられる。
前記ビニル系樹脂としては、ポリオレフィン、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル系樹脂等の汎用樹脂や、ビニル重合によって得られるエンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチック等が挙げられる。これらは、各樹脂内において、構成される各単量体の単独重合体や共重合体であっても良い。
【0041】
前記ポリオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、スチレン、ブタジエン、ブテン、イソプレン、クロロプレン、イソブチレン、イソプレン等の単独重合体または共重合体、あるいはノルボルネン骨格を有する環状ポリオレフィン等が挙げられる。
前記塩化ビニル系樹脂としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン等の単独重合体または共重合体が挙げられる。
【0042】
前記酢酸ビニル系樹脂とは、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルの加水分解体であるポリビニルアルコール、酢酸ビニルに、ホルムアルデヒドやn−ブチルアルデヒドを反応させたポリビニルアセタール、ポリビニルアルコールやブチルアルデヒド等を反応させたポリビニルブチラール等が挙げられる。
前記フッ素樹脂としては、テトラクロロエチレン、ヘキフロロプロピレン、クロロトリフロロエチレン、フッ化ビリニデン、フッ化ビニル、ペルフルオロアルキルビニルエーテル等の単独重合体または共重合体が挙げられる。
【0043】
前記(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド類等の単独重合体または共重合体が挙げられる。なお、この明細書において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味する。ここで、(メタ)アクリル酸としては、アクリル酸またはメタクリル酸が挙げられる。また、(メタ)アクリロニトリルとしては、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸系単量体、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等が挙げられる。シクロアルキル基を有する(メタ)アクリル酸系単量体としては、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ブトキシエチル等が挙げられる。(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−オクチル(メタ)アクリルアミド等のN置換(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
【0044】
前記重縮合系樹脂としては、アミド系樹脂やポリカーボネート等が挙げられる。
前記アミド系樹脂としては、6,6−ナイロン、6−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン、4,6−ナイロン、6,10−ナイロン、6,12−ナイロン等の脂肪族アミド系樹脂や、フェニレンジアミン等の芳香族ジアミンと塩化テレフタロイルや塩化イソフタロイル等の芳香族ジカルボン酸またはその誘導体からなる芳香族ポリアミド等が挙げられる。
【0045】
前記ポリカーボネートとは、ビスフェノールAやその誘導体であるビスフェノール類と、ホスゲンまたはフェニルジカーボネートとの反応物をいう。
前記重付加系樹脂としては、エステル系樹脂、Uポリマー、液晶ポリマー、ポリエーテルケトン類、ポリエーテルエーテルケトン、不飽和ポリエステル、アルキド樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン等が挙げられる。
【0046】
前記エステル系樹脂としては、芳香族ポリエステル、脂肪族ポリエステル、不飽和ポリエステル等が挙げられる。前記芳香族ポリエステルとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール等の後述するジオール類とテレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸との共重合体が挙げられる。前記脂肪族ポリエステルとしては、後述するジオール類とコハク酸、吉草酸等の脂肪族ジカルボン酸との共重合体や、グリコール酸や乳酸等のヒドロキシカルボン酸の単独重合体または共重合体、上述するジオール類、前記脂肪族ジカルボン酸および前記ヒドロキシカルボン酸の共重合体等が挙げられる。前記不飽和ポリエステルとしては、後述するジオール類、無水マレイン酸等の不飽和ジカルボン酸、および必要に応じてスチレン等のビニル単量体との共重合体が挙げられる。
【0047】
前記Uポリマーとしては、ビスフェノールAやその誘導体であるビスフェノール類、テレフタル酸およびイソフタル酸等からなる共重合体が挙げられる。
前記液晶ポリマーとしては、p−ヒドロキシ安息香酸と、テレフタル酸、p,p’−ジオキシジフェノール、p−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、ポリテレフタル酸エチレン等との共重合体をいう。
【0048】
前記ポリエーテルケトンとしては、4,4’−ジフルオロベンゾフェノンや4,4’−ジヒドロベンゾフェノン等の単独重合体や共重合体が挙げられる。
前記ポリエーテルエーテルケトンとしては、4,4’−ジフルオロベンゾフェノンとハイドロキノン等の共重合体が挙げられる。
前記アルキド樹脂としては、ステアリン酸、パルチミン酸等の高級脂肪酸と無水フタル酸等の二塩基酸、およびグリセリン等のポリオール等からなる共重合体が挙げられる。
【0049】
前記ポリスルホンとしては、4,4’−ジクロロジフェニルスルホンやビスフェノールA等の共重合体が挙げられる。
前記ポリフェニルレンスルフィドとしては、p−ジクロロベンゼンや硫化ナトリウム等の共重合体が挙げられる。
前記ポリエーテルスルホンとしては、4−クロロ−4’−ヒドロキシジフェニルスルホンの重合体が挙げられる。
【0050】
前記ポリイミド系樹脂としては、無水ポリメリト酸や4,4’-ジアミノジフェニルエーテル等の共重合体であるピロメリト酸型ポリイミド、無水塩化トリメリト酸やp−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミンや、後述するジイソシアネート化合物等からなる共重合体であるトリメリト酸型ポリイミド、ビフェニルテトラカルボン酸、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミン等からなるビフェニル型ポリイミド、ベンゾフェノンテトラカルボン酸や4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等からなるベンゾフェノン型ポリイミド、ビスマレイイミドや4,4’−ジアミノジフェニルメタン等からなるビスマレイイミド型ポリイミド等が挙げられる。
【0051】
前記重付加系樹脂としては、ウレタン樹脂等が挙げられる。
前記ウレタン樹脂は、ジイソシアネート類とジオール類との共重合体である。前記ジイソシアネート類としては、ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート等が挙げられる。また、前記ジオール類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等の比較的低分子量のジオールや、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール等が挙げられる。
【0052】
前記付加縮合系樹脂としては、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。
前記フェノール樹脂としては、フェノール、クレゾール、レゾルシノール、フェニルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等の単独重合体または共重合体が挙げられる。
【0053】
前記尿素樹脂やメラミン樹脂は、ホルムアルデヒドや尿素、メラミン等の共重合体である。
前記開環重合系樹脂としては、ポリアルキレンオキシド、ポリアセタール、エポキシ樹脂等が挙げられる。前記ポリアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド等の単独重合体または共重合体が挙げられる。前記ポリアセタールとしては、トリオキサン、ホルムアルデヒド、エチレンオキシド等の共重合体が挙げられる。前記エポキシ樹脂とは、エチレングリコール等の多価アルコールとエピクロロヒドリンとからなる脂肪族系エポキシ樹脂、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとからなる脂肪族系エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0054】
これらのマトリクス材料は、1種単独で用いても良く、2種以上を混合して用いてもよい。
次に、繊維強化複合材料の製造方法について説明する。
繊維強化複合材料を製造するには、上述のようなマトリクス材料を形成し得る含浸用液状物を、前記繊維に含浸させ、次いでこの含浸用液状物を硬化させる。
【0055】
ここで、含浸用液状物としては、流動状のマトリクス材料、流動状のマトリクス材料の原料、マトリクス材料を流動化させた流動化物、マトリクス材料の原料を流動化させた流動化物、マトリクス材料の溶液、およびマトリクス材料の原料の溶液から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
前記流動状のマトリクス材料としては、マトリクス材料そのものが流動状であるもの等をいう。また、前記流動状のマトリクス材料の原料としては、たとえば、プレポリマーやオリゴマー等の重合中間体等が挙げられる。
【0056】
さらに、前記マトリクス材料を流動化させた流動化物としては、たとえば、熱可塑性のマトリクス材料を加熱溶融させた状態のもの等が挙げられる。
さらに、前記マトリクス材料の原料を流動化させた流動化物としては、たとえば、プレポリマーやオリゴマー等の重合中間体が固形状の場合、これらを加熱溶融させた状態のもの等が挙げられる。
【0057】
また、前記マトリクス材料の溶液やマトリクス材料の原料の溶液とは、マトリクス材料やマトリクス材料の原料を溶媒等に溶解させた溶液が挙げられる。この溶媒は、溶解対象のマトリクス材料やマトリクス材料の原料に合わせて適宜決定されるが、後工程でこれを除去するに当たり、蒸発除去する場合、前記マトリクス材料やマトリクス材料の原料の分解を生じさせない程度の温度以下の沸点を有する溶媒が好ましい。
【0058】
このような含浸用液状物を、繊維の集合体、好ましくは前述のBCシートの単層体、またはBCシートを複数枚積層した積層体に含浸させて、繊維間に含浸用液状物を十分に浸透させる。この含浸工程は、その一部または全部を、圧を変化させた状態で行うのが好ましい。この圧を変化させる方法としては、減圧または加圧が挙げられる。減圧または加圧とした場合、繊維間に存在する空気を前記含浸用液状物と置き換えることが容易となり、気泡の残存を防止することができる。
【0059】
前記の減圧条件としては、0.133kPa(1mmHg)〜93.3kPa(700mmHg)が好ましい。減圧条件が93.3kPa(700mmHg)より大きいと、空気の除去が不十分となり、繊維間に空気が残存する場合が生じることがある。一方、減圧条件は0.133kPa(1mmHg)より低くてもよいが、減圧設備が過大となりすぎる傾向がある。
【0060】
減圧条件下における含浸工程の処理温度は、0℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましい。この温度が0℃より低いと、空気の除去が不十分となり、繊維間に空気が残存する場合が生じることがある。なお、温度の上限は、たとえば含浸用液状物に溶媒を用いた場合、その溶媒の沸点(当該減圧条件下での沸点)が好ましい。この温度より高くなると、溶媒の揮散が激しくなり、かえって、気泡が残存しやすくなる傾向がある。
【0061】
前記の加圧条件としては、1.1〜10MPaが好ましい。加圧条件が1.1MPaより低いと、空気の除去が不十分となり、繊維間に空気が残存する場合が生じることがある。一方、加圧条件は10MPaより高くてもよいが、加圧設備が過大となりすぎる傾向がある。
加圧条件下における含浸工程の処理温度は、0〜300℃が好ましく、10〜100℃がより好ましい。この温度が0℃より低いと、空気の除去が不十分となり、繊維間に空気が残存する場合が生じることがある。一方、300℃より高いと、マトリクス材料が変性するおそれがある。
【0062】
繊維に含浸させた含浸用液状物を硬化させるには、当該含浸用液状物の硬化方法に従って行えば良く、たとえば、含浸用液状物が流動状のマトリクス材料の場合は、架橋反応、鎖延長反応等が挙げられる。また、含浸用液状物が流動状のマトリクス材料の原料の場合は、重合反応、架橋反応、鎖延長反応等が挙げられる。
また、含浸用液状物がマトリクス材料を流動化させた流動化物の場合は、冷却等が挙げられる。また、含浸用液状物がマトリクス材料の原料を流動化させた流動化物の場合は、冷却等と、重合反応、架橋反応、鎖延長反応等の組合せが挙げられる。
【0063】
また、含浸用液状物がマトリクス材料の溶液の場合は、溶液中の溶媒の蒸発や風乾等による除去等が挙げられる。さらに、含浸用液状物がマトリクス材料の原料の溶液の場合は、溶液中の溶媒の除去等と、重合反応、架橋反応、鎖延長反応等との組合せが挙げられる。なお、前記蒸発除去には、常圧下における蒸発除去だけでなく、減圧下における蒸発除去も含まれる。
【0064】
このような繊維強化複合材料は、曲げ強度が、好ましくは30MPa以上であり、より好ましくは100MPa以上である。曲げ強度が30MPaより小さいと、十分な強度が得られず、構造材料等、力の加わる用途への使用に影響を与えることがある。曲げ強度の上限については、通常600MPa程度であるが、繊維の配向を調整するなどの改良手法により、1GPa、さらには1.5GPa程度の高い曲げ強度を実現することも期待される。
【0065】
一対の活性炭電極3,3をセパレータ4に十分に密接させて、電気二重層コンデンサ素子10の低抵抗化を実現するには、パッケージ5を構成する繊維強化複合材料が十分な剛性を有することが好ましい。バクテリアセルロース繊維は、単体でも、30GPa程度の弾性率を持ち、前記のような繊維強化複合材料とした場合には、120GPa〜140GPa程度の弾性率を容易に達成することができる。この弾性率は、アルミニウムよりも高く、銅と同程度である。このような高弾性率の繊維強化複合材料で構成したパッケージ5は、活性炭電極3,3に対して、セパレータ4へと向かう力を常時加えることができ、電極間距離の短縮に寄与し、ひいては電気二重層コンデンサの低抵抗化に寄与する。
【0066】
パッケージ5の第1および第2パッケージ部11,12を構成するシート体の構成層である繊維強化複合材料層22の作製に際しては、まず、第1および第2パッケージ部11,12の形状に成形されたバクテリアセルロース繊維が作製される。バクテリアセルロース繊維の成形は、前述のとおり、たとえば、第1および第2パッケージ部11,12の形状に対応した形状の培地でバクテリアを培養することによって行える。また、含水バクテリアセルロース繊維から水分を抜くためのプレス時に、第1および第2パッケージ部11,12の形状に成形するようにしてもよい。こうして得られたバクテリアセルロース繊維に対して前述のマトリクス材料を含浸させて固めることにより、繊維強化複合材料層22が得られる。
【0067】
この繊維強化複合材料層22に対して、一方側に樹脂層21を接着し、他方側に金属箔層23および保護層24を順に接着することによって、図3に示すラミネート構造のシート体からなる第1および第2パッケージ部11,12が得られる。
一方、活性炭電極3,3は、粒状活性炭(活性炭粉末)をバインダー(PTFE等の結着剤)および導電補助剤(カーボンブラック等)とともに成形して構成することができる。また、活性炭電極3は、前述のようなバクテリアセルロース繊維(ただしマトリクス材料を含浸させていない単体のもの)を不活性ガス雰囲気中または真空中で熱処理(炭化処理)して得られる炭化物シート(活性炭シート)で構成することもできる。バクテリアセルロース繊維は、前述のような三次元ネットワーク構造を有する多孔質構造体であるので、これを炭化処理することにより、大きな表面積を有する電極材料となる。しかも、三次元交差バクテリアセルロース構造体からなるバクテリアセルロース繊維は、形状を自己保持することができ、かつ、高強度である。さらに、平面方向および厚み方向に全体的に繋がって一体化された構造となっている。そのため、薄型化しても十分な強度を保つことができる。また、結着剤や導電補助剤といった添加物を必要としないので、電極内部の接触抵抗が著しく低い。そのため、低抵抗な薄型電極を容易に作製できる。また、添加物が不要なことから、微粒子が流出したりするおそれもなく、安定な電気特性を維持することができる。とくに、微粒子の流出による電極間短絡の問題を回避できる。さらには、含水バクテリアセルロース繊維から水分を除去する際の圧力を調整することによって、空隙率を制御できることから、容量および電気抵抗の制御が容易であるという利点もある。
【0068】
このような活性炭シートを用いる場合、活性炭電極3と集電体2との結合は、次のようにして行うことができる。第1の方法は、導電性接着剤を用いた結合である。第2の方法は、アンカー効果を利用した貼り合わせである。すなわち、集電体としてのAl箔などと活性炭シートとを重ね合わせ、圧延ローラ等で加圧することにより、両者を結合させる方法である。第3の方法は、活性炭シート上への金属の蒸着である。すなわち、活性炭シートは、取り扱いに堪える十分な強度を有していることから、これを真空蒸着炉やスパッタ処理室に入れて、表面に金属を蒸着することができる。こうして活性炭シートの表面に形成された蒸着膜を集電体として用いることができる。蒸着法は、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング等の物理蒸着法(PVD法)であってもよいし、化学蒸着法(CVD法)であってもよい。また、無電解メッキや電解メッキ等のメッキ法等によって活性炭シートの表面に集電体を付着させて形成することもできる。
【0069】
こうして、活性炭シートからなる活性炭電極3と集電体2とを一体化した後に、打ち抜き機などで打ち抜いて、一対の電極が成形される。こうして得られた一対の電極は、活性炭電極3,3を対向させた状態で配置し、それらの間にセパレータ4を挟み込む。これにより、電気二重層コンデンサ素子10が得られる。
セパレータ4には、前述のようなバクテリアセルロース繊維(ただし、マトリクス材料を含浸させていない多孔質構造体のもの)のシートを適用してもよい。むろん、セパレータ4に適用されるバクテリアセルロース繊維には炭化処理その他の導電化処理は行わず、電気絶縁性を有するバクテリアセルロースシートの状態で用いられる。このようなセパレータは、薄型かつ高強度に形成することができ、かつ、水分除去時の圧縮の度合いを調整することによって、孔径を自由に制御できる。その結果、一対の集電体2,2間の距離を一層低減でき、かつ、電解質イオンを自由に移動させることができるので、低抵抗な電気二重層コンデンサを実現できる。
【0070】
また、バクテリアセルロース繊維からなるセパレータ4は、同系材料からなる第1および第2パッケージ部11,12に対して接合しやすいという利点もある。すなわち、たとえば熱圧着によってセパレータ4と第1および第2パッケージ部11,12との接合が可能であり、しかも、同系の材料からなるため熱膨張差が少ないので剥がれ難い接合とすることができる。熱圧着による接合は、たとえば、セパレータ4の周縁部表面に長鎖疎水基(たとえば、プロピオニル基やブチリル基)などを導入することによって熱流動性を付与する前処理を行い、その後に、セパレータ4の周縁部と第1および第2パッケージ部11,12とを熱圧着するようにして行うことができる。そのほか、セパレータ4の周縁部表面に熱可塑性樹脂をグラフトし、これをホットメルトして第1および第2パッケージ部11,12に圧着した後に、当該熱可塑性樹脂を常温に冷却して固化させるようにしてもよい。また、セパレータ4の周縁部表面を接着効果のある官能基で化学修飾したうえで、圧着してもよい。より具体的には、たとえば、セパレータ4の周縁部表面をアセトンによって溶かしてニトロ化して硝酸セルロースを形成する前処理を行ったうえで、セパレータ4の周縁部と第1および第2パッケージ部11,12の対応部とを圧着することにより、これらを接合できる。
【0071】
このようにして、電気二重層コンデンサ素子10は、第1および第2パッケージ部11,12間に挟み込まれ、セパレータ4の周縁部は、第1および第2パッケージ部11,12の第2平坦部17,17間に挟み込まれて、これらに接着される。
一方、第1および第2パッケージ部11,12の周縁部である第3平坦部19,19は、互いに貼り合わされて結合される。たとえば、第2平坦部17に対する第1平坦部15の高さを予め調整しておくことにより、第1および第2パッケージ部11,12を結合したときに、第1および第2パッケージ部11,12が対応する集電体2,2に対して押し付け力を継続的に付与する状態とすることができる。
【0072】
第1および第2パッケージ部11,12間の接合は、接着剤によって行うことができるほか、セパレータ4と第1および第2パッケージ部11,12との間の接合の場合と同様にして行うことができる。たとえば、第1および第2パッケージ部11,12の一方または両方の周縁部内表面に熱可塑性樹脂をグラフトし、これをホットメルトして第1および第2パッケージ部11,12を互いに圧着した後に、当該熱可塑性樹脂を常温に冷却して固化させるようにしてもよい。また、第1および第2パッケージ部11,12の一方または両方の周縁部内表面において樹脂層21を除去して繊維強化複合材料層22を露出させ、その表面に長鎖疎水基などを導入することによって熱流動性を付与する前処理を行い、その後に、第1および第2パッケージ部11,12の周縁部同士を熱圧着するようにしてもよい。さらに、第1および第2パッケージ部11,12の周縁部内表面において樹脂層21を除去して繊維強化複合材料層22を露出させ、それらの表面のセルロース側鎖に熱硬化性モノマーを導入する前処理を行い、第1および第2パッケージ部11,12の周縁部同士を熱圧着し、熱硬化性モノマーを重合・架橋させることにより第1および第2パッケージ部11,12同士を接合してもよい。また、第1および第2パッケージ部11,12の一方または両方の周縁部内表面において樹脂層21を除去して繊維強化複合材料層22を露出させ、その表面を接着効果のある官能基で化学修飾(たとえばアセトンで溶かしてニトロ化し、硝酸セルロースを形成する処理)したうえで、第1および第2パッケージ部11,12の周縁部同士を圧着することにより、これらを接合できる。
【0073】
第1および第2パッケージ部11,12間の接合は、これらのパッケージ部11,12およびセパレータ4の接合と同じ方法で行うことが好ましい。この場合、第1および第2パッケージ部11,12間の接合と、パッケージ部11,12およびセパレータ4の接合を同じ工程で行うことにより、組立工程を簡単にすることができる。
第1および第2パッケージ部11,12を貼り合わせる際には、所定位置から集電体2,2のリード部2A,2Aが外部に引き出された状態とされる。また、第1および第2パッケージ部11,12を結合させてできるパッケージ5のいずれかの位置に、電解液注入口を形成しておき、この電解液注入口から、電解液が注入され、パッケージ5内が電解液で満たされる。その後、電解液注入口をヒートシーラーなどで封止することにより、電気二重層コンデンサ1が完成する。
【0074】
電解液注入時には、第1および第2パッケージ部11,12を両側から加圧して活性炭電極3,3間の距離をできる限り短縮しておくことにより、より低抵抗化な電気二重層コンデンサ1を実現できる。
電解液として非水系電解液(有機系電解液など)を用いる場合には、電極を予め乾燥させて水分の除去を図るとともに、真空中などのように水分の極端に少ない環境下で作業を行うことが好ましい。
【0075】
以上のようにこの実施形態によれば、バクテリアセルロース繊維にマトリクス材料を含浸させた繊維強化複合材料を用いて高弾性のパッケージ5を実現しているので、機械的強度が高いうえ、集電体2,2間の距離の短縮を図ることができる。これにより、耐衝撃性能が高く、かつ、電気抵抗の低い電気二重層コンデンサ1を実現できる。また、前述のような繊維強化複合材料は、実質的に融点を持たず、300℃を超えても重量変化が見られない。そのため、一般的なリフロー温度(260℃)に耐えることができる十分な耐熱性を有している。したがって、このような繊維強化複合材料を適用したパッケージ5を有する電気二重層コンデンサ1は、リフロープロセスによる実装が可能であり、これにより、電気二重層コンデンサ1を用いる機器の組立が容易になる。さらに、前述のような繊維強化複合材料を適用したパッケージ5は、電解液に対する耐久性をも有しており、かつ、天然セルロースを起源としているため廃棄処理時に環境にかける負荷が少なく、環境に優しいという特徴も有することになる。
【0076】
この発明の他の実施形態では、海草やホヤの被嚢、植物細胞壁等に、叩解・粉砕等の処理、高温高圧水蒸気処理、リン酸塩等を用いた処理等を施したセルロースミクロフィブリル繊維が用いられる。
前記叩解・粉砕等の処理は、リグニン等を除去した植物細胞壁や海草やホヤの被嚢に、直接、力を加え、叩解や粉砕を行って繊維をバラバラにし、セルロース繊維を得る処理法である。
【0077】
より具体的には、パルプ等を高圧ホモジナイザーで処理して平均繊維径0.1〜10μm程度にミクロフィブリル化したミクロフィブリル化セルロース繊維を0.1〜3重量%程度の水懸濁液とし、さらにグラインダー等で繰り返し磨砕ないし融砕処理して平均繊維径10〜100nm程度のナノオーダーのミクロフィブリル化セルロース繊維を得ることができる。このナノオーダーのミクロフィブリル化セルロース繊維を0.01〜1重量%程度の水懸濁液とし、これを濾過(抄紙処理)することにより、シート化する。
【0078】
また、前記高温高圧水蒸気処理は、リグニン等を除去した植物細胞壁や海草やホヤの被嚢を高温高圧水蒸気に曝すことによって繊維をバラバラにし、セルロース繊維を得る処理法である。
また、リン酸塩等を用いた処理とは、海草やホヤの被嚢、植物細胞壁等の表面をリン酸エステル化することにより、セルロース繊維間の結合力を弱め、次いで、リファイナー処理を行うことにより、繊維をバラバラにし、セルロース繊維を得る処理法である。たとえば、リグニン等を除去した植物細胞壁や、海草やホヤの被嚢を50重量%の尿素と32重量%のリン酸を含む溶液に浸漬し、60℃で溶液をセルロース繊維間に十分に染み込ませた後、180℃で加熱してリン酸化を進める。これを水洗した後、3重量%の塩酸水溶液中、60℃で2時間、加水分解処理をして、再度水洗を行う。その後、3重量%の炭酸ナトリウム水溶液中において、室温で20分間程処理することで、リン酸化を完了させる。そして、この処理物をリファイナーで解繊することにより、セルロース繊維が得られる。
【0079】
このようにして得られるセルロースミクロフィブリル繊維は、そのままの状態で前述のセパレータ4として用いることができ、マトリクス材料を含浸させて固めることにより前述のパッケージ5の材料として用いることができ、また、炭化処理を施すことによって前述の活性炭電極3として用いることができる。
以上、この発明の一実施形態について説明したが、この発明は、さらに他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、パッケージ5を構成する第1および第2パッケージ部11,12を、繊維強化複合材料層22を含むラミネート構造のシート体で構成しているが、繊維強化複合材料層単体のシート体で第1および第2パッケージ部11,12を構成してもよい。
【0080】
また、前述の実施形態では、シート状の第1および第2パッケージ部11,12を周縁部で接合してパッケージ5を形成しているが、たとえば、第1および第2パッケージ部11,12の周縁部の一部または全部が結合された状態(たとえば袋状)のバクテリアセルロース繊維を作製し、これにマトリクス材料を含浸させて繊維強化複合材料を含むパッケージを形成するようにしてもよい。
【0081】
また、第1および第2パッケージ部11,12に適用される繊維強化複合材料層としては、バクテリアセルロース繊維シートとミクロフィブリル化セルロース繊維シートとの積層物にマトリクス材料を含浸させた構造を適用してもよいし、バクテリアセルロース繊維シートにマトリクス材料を含浸させた第1繊維強化複合材料層とミクロフィブリル化セルロース繊維シートにマトリクス材料を含浸させた第2繊維強化複合材料層との積層構造物を適用してもよい。
【0082】
さらに、前述の実施形態では、電気化学デバイスの一例として電気二重層コンデンサ素子を例に挙げたが、この発明は、二次電池等の蓄電デバイスをはじめとして、その他にも、半導体素子などの電気デバイスをパッケージに収納して構成される電気装置に対して広く適用が可能である。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】この発明の一実施形態に係る電気装置としての電気二重層コンデンサの構造を示す図解的な断面図である。
【図2】図1の電気二重層コンデンサの図解的な斜視図である。
【図3】パッケージ材料を構成するシート体の図解的な断面図である。
【符号の説明】
【0084】
1 電気二重層コンデンサ
2 集電体
3 活性炭電極
4 セパレータ
5 パッケージ
10 電気二重層コンデンサ素子
11 第1パッケージ部
12 第2パッケージ部
15 第1平坦部
16 第1傾斜部
17 第2平坦部
18 第2傾斜部
19 第3平坦部
21 樹脂層
22 繊維強化複合材料層
23 金属箔層
24 保護層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロースミクロフィブリル繊維を含む、電気デバイス用パッケージ。
【請求項2】
前記セルロースミクロフィブリル繊維にマトリクス材料を含浸させた繊維強化複合材料を含む、請求項1記載の電気デバイス用パッケージ。
【請求項3】
前記セルロースミクロフィブリル繊維が、バクテリアセルロース繊維を含む、請求項1または2記載の電気デバイス用パッケージ。
【請求項4】
前記バクテリアセルロース繊維が、三次元交差構造体となっている、請求項3記載の電気デバイス用パッケージ。
【請求項5】
前記バクテリアセルロース繊維が離解処理されていないものである、請求項3または4記載の電気デバイス用パッケージ。
【請求項6】
前記セルロースミクロフィブリル繊維が、植物繊維から分離されたセルロース繊維をミクロフィブリル化したミクロフィブリル化セルロース繊維を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気デバイス用パッケージ。
【請求項7】
前記セルロースミクロフィブリル繊維を含む繊維層と、他の材料層とを積層したラミネート構造を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電気デバイス用パッケージ。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の電気デバイス用パッケージと、
この電気デバイス用パッケージに収容された電気デバイスとを含む、電気装置。
【請求項9】
前記電気デバイスが蓄電デバイスである、請求項8記載の電気装置。
【請求項10】
前記蓄電デバイスが電気二重層コンデンサ素子である、請求項9記載の電気装置。
【請求項11】
前記電気二重層コンデンサ素子が、一対の電極とその間に介在されたシート状のセパレータとを備え、前記一対の電極が前記電気デバイス用パッケージによって前記セパレータの両面にそれぞれ密接させられている、請求項10記載の電気装置。
【請求項12】
前記セパレータが、セルロースミクロフィブリル繊維を含む、請求項11記載の電気装置。
【請求項13】
前記セパレータが、前記電気デバイス用パッケージに結合されている、請求項11または12記載の電気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−34556(P2008−34556A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−205168(P2006−205168)
【出願日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】