説明

電気伝導性ペースト組成物

電気伝導性ペースト組成物、特に太陽電池用の電気伝導性ペースト組成物は、銀粒子と、ガラス粒子と、有機媒体と、少なくとも1つの添加剤とを含有する。この添加剤は、五酸化タンタルまたは微細な電気伝導性の金属粒子、例えば金および/または白金族金属であってもよい。太陽電池の上に電気接点を形成するために使用されるとき、このようなペーストは、セルへの接点の高められた接着および改善された電子透過をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2009年11月16日出願の米国仮特許出願第61/261,508号に基づく優先権を主張する。この米国仮特許出願の開示は、参照によりその全体を本願明細書に援用したものとする。
【0002】
本願は、電気伝導性ペースト組成物、特に太陽電池用の電気伝導性ペースト組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
太陽電池は、光起電効果を使用して太陽のエネルギーを電気に変換するデバイスである。太陽の力は持続可能でありかつ非汚染性であるので、太陽の力は魅力的なエネルギー源である。従って、現在、非常に多くの研究が、低い材料コストおよび製造原価を維持しつつ、効率を高めた太陽電池を開発することに向けられている。非常に単純に言えば、太陽光の中の光子がソーラーパネルに当たると、光子はケイ素などの半導性物質によって吸収される。それらの原子から電子がたたき出され、これによって、電子がソーラーパネルの電気伝導性部分を通って流れ電気を生成することが可能になる。
【0004】
最も一般的な太陽電池は、ケイ素に、より具体的には、2つの電気接点層または電極と接続された、n型拡散層をp型ケイ素基板上へと付与することによりケイ素から作製されるp−n接合、に基づく太陽電池である。太陽電池による太陽光の反射を最小にするために、窒化ケイ素などの反射防止コーティングがこのn型拡散層に付与されて、太陽電池の中へと導かれる光の量が増やされる。例えば、銀ペーストを使用して、格子様の金属接点がこの反射防止層の上へとスクリーン印刷されて、前面電極としての役割を果たすようにしてもよい。光が入る、セルの表側または前面の上にあるこの電気接点層は、典型的には、完全な層ではなく、「フィンガーライン(finger line)」および「バスバー(bus bar)」から構成される格子パターンで存在する。なぜなら、金属格子材料は光に対して透明ではないからである。最後に、基板の裏側全体に、裏側の銀または銀/アルミニウムペースト、次いでアルミニウムペーストを付与することにより、裏面接点(rear contact)が基板に付与される。次いで、この金属ペーストを金属電極に変換するために、このデバイスは高温で焼成される。典型的な太陽電池およびその製作方法の記載は、例えば特許文献1に見出されうる。
【0005】
典型的な銀ペーストは、銀粒子と、ガラスフリット(ガラス粒子)と、ソーラーパネルへの組成物の結合を高めるための酸化ジルコニウムまたは酸化スズなどの金属酸化物添加剤と、有機媒体とを含む。得られた太陽電池の潜在能力を最大活用するために、これらの構成要素は、慎重に選択される必要がある。例えば、電荷担体がフィンガーラインを通ってバスバーに流れることができるように、銀粒子とSi表面との間の接触を最大にすることが必要である。抵抗があまりに高いと、電荷担体はブロックされる。従って、接触抵抗を最小にすることが望まれる。加えて、組成物の中のガラス粒子は、反射防止コーティング層を貫通してエッチングし、Ag粒子とSi表面と間の接触を生じる。しかしながら、このガラスは、p−n接合を貫通するほどに侵襲的であってはならない。最後に、公知の組成物は、銀層とSiウェーハとの境界における当該ガラスの絶縁効果に起因する高い接触抵抗、および接触領域での高い再結合などの他の短所を有する。従って、これらの公知の短所を克服することができる銀ペースト組成物は望ましいであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1 713 093号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の1つの実施形態に係る電気伝導性ペースト組成物は、
(a)銀粒子と、
(b)ガラスフリットと、
(c)微細な電気伝導性の、金および/または白金族金属粒子、好ましくは金、パラジウム、および白金からなる群から選択される金属粒子であって、当該金属粒子は、約1nm〜約1ミクロンの粒径を有し、かつ当該ペースト組成物の重量に基づいて約0.0001〜0.01重量%未満の量で存在する、微細な電気伝導性の金属粒子と、
(d)有機媒体と
を含む。
【0008】
本発明の第2の実施形態に係る電気伝導性ペースト組成物は、
(a)銀粒子と、
(b)ガラスフリットと、
(c)約5ミクロン未満の粒径を有する五酸化タンタル粒子と、
(d)有機媒体と
を含む。
【0009】
本発明の第3の実施形態に係る電気伝導性ペースト組成物は、
(a)銀粒子と、
(b)ガラスフリットと、
(c)微細な電気伝導性の金粒子であって、当該金粒子は、約1nm〜約1ミクロンの粒径を有し、かつ当該ペースト組成物の重量に基づいて約0.0001〜0.1重量%未満の量で存在する微細な電気伝導性の金粒子と、
(d)有機媒体と
を含む。
【0010】
本発明の第1の実施形態に係る太陽電池電極は、電気伝導性ペースト組成物を基板に付与する工程および当該ペーストを焼成して電極を形成する工程によって形成され、当該電気伝導性ペースト組成物は、
(a)銀粒子と、
(b)ガラスフリットと、
(c)金および白金族金属からなる群から選択される微細な電気伝導性の金属粒子であって、当該金属粒子は、約1nm〜約1ミクロンの粒径を有し、かつ当該ペースト組成物の重量に基づいて約0.0001〜0.01重量%未満の量で存在する微細な電気伝導性の金属粒子と、
(d)有機媒体と
を含む。
【0011】
本発明の第2の実施形態に係る太陽電池電極は、電気伝導性ペースト組成物を基板に付与する工程および当該ペーストを焼成して電極を形成する工程によって形成され、当該電気伝導性ペースト組成物は、
(a)銀粒子と、
(b)ガラスフリットと、
(c)約5ミクロン未満の粒径を有する五酸化タンタル粒子と、
(d)有機媒体と
を含む。
【0012】
本発明の第3の実施形態に係る太陽電池電極は、電気伝導性ペースト組成物を基板に付与する工程および当該ペーストを焼成して電極を形成する工程によって形成され、当該電気伝導性ペースト組成物は、
(a)銀粒子と、
(b)ガラスフリットと、
(c)微細な電気伝導性の金粒子であって、当該金粒子は、約1nm〜約1ミクロンの粒径を有し、かつ当該ペースト組成物の重量に基づいて約0.0001〜0.1重量%未満の量で存在する微細な電気伝導性の金粒子と、
(d)有機媒体と
を含む。
【0013】
上記の概要、および以下の発明を実施するための形態は、添付の図面と併せて読むと、よりよく理解されるであろう。本発明を例証するという目的のために、現時点で好ましい実施形態が図面に示される。しかしながら、本発明が、示されたまさにその配置および手段に限定されるものではないということを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の1つの実施形態に係る、曲線因子 対 添加剤濃度のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る電気伝導性ペースト組成物は、以下の4つの必須の構成要素を含む:銀粒子、ガラスフリット、少なくとも1つの微粒子添加剤、および有機媒体。この添加剤は、特定の微細金属粒子および/または五酸化タンタル(TaO)粒子を含んでもよい。以下により詳細に記載されるとおり、これらの添加剤は、高められた電子透過および基板への当該ペースト組成物のより良好な接着を提供する。このような応用例に限定されるわけではないが、このようなペーストは、太陽電池において電気接点層または電極を形成するために使用されてもよい。
【0016】
当該電気伝導性ペースト組成物の中の各構成要素は、以下でより詳細に記載される。
【0017】
銀粒子
当該銀粒子は、当該電気伝導性ペースト組成物の中の電気伝導性金属として機能する。銀の代わりにまたは銀に加えて、他の電気伝導性金属、例えば銅、ならびに銀、銅、金、パラジウム、および/または白金を含有する混合物を利用することも、本発明の範囲内にある。あるいは、これらの金属の合金も、電気伝導性金属として利用されてもよい。この銀粒子は、粉末または薄片形態で、例えば約0.3〜約10ミクロンの粒径を有する銀粉末として組成物に含まれてもよい。本願明細書中に特段の記載がない限り、本願明細書中に記載されるすべての粒径は、レーザー回折によって測定されるd50粒径である。当業者には十分理解されるとおり、d50直径は、個々の粒子の半分(重量による)が特定された直径よりも小さいというサイズを表す。このような直径は、この銀に、太陽電池を形成するときの適切な焼結挙動および反射防止層の上で当該電気伝導性ペーストの広がり、ならびに適切な接点形成および得られた太陽電池の電気伝導率をもたらす。この銀粒子は、好ましくは、当該組成物の総重量に基づき約40〜約95重量%、より好ましくは約70〜90重量%の量で、当該組成物の中に存在する。
【0018】
ガラスフリット
このガラスフリット(ガラス粒子)は、当該電気伝導性ペースト組成物中の無機結合剤として機能し、焼成の間に基板の上へ銀を堆積させるための輸送媒体として作用する。このガラス系は、基板の上へ堆積される銀のサイズおよび深さを制御するために重要である。ガラスが当該ペースト組成物に所望の特性を与えることができる限り、具体的なガラスの種類は限定されない。好ましいガラスとしては、ホウケイ酸鉛およびホウケイ酸ビスマスが挙げられるが、他の無鉛ガラス、例えばホウケイ酸亜鉛も適切であろう。このガラス粒子は、好ましくは約0.1〜約10ミクロン、より好ましくは約5ミクロン未満の粒径を有し、かつ、好ましくは、当該ペースト組成物の総重量に基づき約0.5〜約6重量%、より好ましくは約5重量%未満の量で当該組成物の中に含有される。このような量は、当該組成物に適切な接着強度および焼結特性をもたらす。
【0019】
有機媒体
具体的な有機媒体または結合剤は限定されず、当該技術分野で公知の有機媒体もしくは結合剤またはこの種の応用例のために開発されるべき有機媒体もしくは結合剤であってもよい。例えば、好ましい有機媒体は、セルロース樹脂および溶媒、例えばテルピネオールなどの溶媒の中のエチルセルロースなどを含有する。この有機媒体は、好ましくは、当該組成物の総重量に基づき約5〜約30重量%、より好ましくは約20重量%未満の量で当該電気伝導性ペースト組成物の中に存在する。
【0020】
添加剤
2つの異なる種類の添加剤が本発明に係る電気伝導性ペースト組成物の中に含まれてもよく、これらの添加剤は、単独でまたは組み合わせて含まれてもよい。
【0021】
第1の種類の本発明に係る添加剤は、微細な電気伝導性の金属粒子、好ましくは高伝導性の貴金属(noble metal)または貴金属(precious metal)の粒子を含む。好ましくは、この金属は、金および白金族の金属、例えばパラジウムおよび白金などから選択される。より好ましくは、当該添加剤は、微細な金粒子および/または白金粒子を含む。この微細金属粒子は、好ましくは約1nm〜約3ミクロン未満、より好ましくは約1nm〜約1ミクロン、さらにより好ましくは約1ミクロン未満、最も好ましくは約1〜約500nmの直径を有する。1つの好ましい実施形態では、この微細金属粒子は約100nm未満の直径を有する。しかしながら、貴金属(noble metal)または貴金属(precious metal)樹脂有機化合物、例えば金レジネート(gold resinate)などを当該ペースト組成物の中の添加剤として利用することも本発明の範囲内にある。この微細金属粒子は、好ましくは、当該ペースト組成物の総重量に基づき約0.0001重量%(1ppm)〜約5重量%、より好ましくは約0.0001〜約2重量%、さらにより好ましくは約0.0001〜約0.5重量%の量で当該電気伝導性ペースト組成物の中に含有される。好ましい実施形態では、この微細金属粒子は、約0.0001重量%〜約0.1重量%未満の、または約0.01重量%未満の量で含有される。
【0022】
この微細金属粒子は、高められた電子透過を提供するために当該組成物の中に含まれる。小さい粒径に起因して、例えば、金は、ガラス層の中に容易に分散し、このガラスを伝導性にすることを助けることが見出された。ガラスは基本的に絶縁体であり、太陽電池の電荷担体は、電荷減少を最小にするために、Ag電極とウェーハとの境界にあるガラス層を通り抜ける必要がある。しかしながら、金は良導体であり、そのため、均一に分散した金の微細粒子は、ガラスの絶縁層を通る電気トンネル効果(electrical tunneling effect)を作り出すことができる。上で説明したように、微細金属粒子および酸化タンタル粒子の両方を本発明に係る電気伝導性ペースト組成物の中に含むことも本発明の範囲内にある。
【0023】
第2の種類の添加剤は五酸化タンタル(Ta)粒子を含み、このTaは、好ましくは、当該ペースト組成物の総重量に基づき約0.1〜約5重量%、好ましくは約2重量%未満、より好ましくは約1重量%未満の量で当該電気伝導性ペースト組成物の中に存在する。この五酸化タンタル粒子は、5ミクロン未満の粒径を有することが好ましい。
【0024】
このTaは、ケイ素表面への当該電気伝導性組成物のより良好な接着をもたらす。典型的な太陽電池は、反射を防止するための粗い質感の表面を有するSiNの反射防止層を有する。通常、SiOが、この粗い質感の層の中の表面欠陥を固定するための、SiNとp−n接合との間のパッシベーション層として添加される。TaはSiOおよびSiNと反応して、このパッシベーション層の中への銀ペーストの浸透を助け、従って銀とp−n接合との間の接触を改善すると考えられる。
【0025】
電気伝導性ペースト組成物の中にさらなる添加剤を含むことも本発明の範囲内にある。例えば、単独でまたは組み合わせて、増粘剤(粘着性付与剤)、安定剤、分散剤、粘度調整剤など、化合物を含むことが望ましい場合がある。このような構成要素は当該技術分野で周知である。含まれる場合、このような構成要素の量は、所望される電気伝導性ペーストの特性に応じて、日常的な実験によって決定されてもよい。
【0026】
当該電気伝導性ペースト組成物は、当該技術分野で公知のペースト組成物または開発されるべきペースト組成物を調製するためのいずれの方法によって調製されてもよく、調製方法は限定されない。例えば、小さい金属粒子がより大きいガラス粒子に付着するように、当該ガラス粒子は、(必要に応じて、ジエチレングリコールまたはブチルカルビトールアセテートなどの液体媒体に懸濁された)微細金属粒子でコーティングされてもよい。このコーティングされたガラス粒子は、次に、当該銀粒子および有機媒体と混合されて、ペーストが形成されてもよい。あるいは、この微細金属粒子は、ジエチレングリコールまたはブチルカルビトールアセテートなどの液体媒体に懸濁されてもよい。分散された均一なペーストを作製するために、これらのペースト構成要素は、次に、例えば混合機を用いて混合され、次に、例えば三本ロール練り機に通されてもよい。当該添加剤を、粉末形態でまたは液体媒体に懸濁されて含むことは本発明の範囲内にある。
【0027】
次に、このようなペーストは、そのペーストを例えばスクリーン印刷によって基板上の反射防止層に付与し、次いでケイ素基板上に電極(電気接点)を形成するために焼成することによって太陽電池を形成するために利用されてもよい。このような製作方法は当該技術分野で周知であり、例えば欧州特許第1 713 093号明細書に記載されている。
【0028】
本発明の電気伝導性ペーストの利用によって改善された特性、より高い変換効率を有する太陽電池が提供されることが見出された。
【0029】
これより、本発明を、以下の非限定的な実施例と併せて説明する。
【実施例】
【0030】
実施例1:金添加剤レベルによる変化
市販の銀伝導性ペースト、ヘレウス・マテリアルズ・テクノロジー・エルエルシー(Heraeus Materials Technology LLC)(ペンシルベニア州、ウェスト・コンショホッケン(W.Conshohocken))から市販されているSOL953の構成要素(銀粉末、ガラス、添加剤、および有機物)と、4nmの粒径(d50)を有する金添加剤(ヘレウス(Heraeus)から市販されている)とを合わせることにより、4つの電気伝導性のペーストを調製した。液体媒体としてのブチルカルビトールアセテートに懸濁した金を、この市販のペーストの中のガラス粒子の上へとコーティングした。ペースト1〜4は異なる量の金を含有した:16ppm(ペースト1)、40ppm(ペースト2)、80ppm(ペースト3)、または160ppm(ペースト4)(すべての量は得られたペーストの総重量に基づく)。
【0031】
6種の太陽電池を以下のとおりに調製した:100Ω/□(mc)または55Ω/□(sc)の面積抵抗を有する簡単にメタライゼーションできる(ready−to−be metalized)P型多結晶性(mc)または単結晶性(sc)のソーラーウェーハの裏側に、アルミニウムペースト(RuXing 8252X)を印刷し、150℃で乾燥した。ペースト1〜4から選択される銀ペーストをウェーハの表側に付与し、印刷し、150℃で乾燥した。ペースト1は多結晶性のウェーハに付与し、ペースト2〜4は単結晶性のウェーハに付与した。次に、これらのセルを、加熱炉の中で、750〜800℃の温度で数秒間、同時焼成した。ペースト1〜4の各々を使用して複数の太陽電池を調製した。添加剤を用いずに市販のペーストを使用して、対照として2つのさらなる種類の太陽電池を調製した:単結晶性のソーラーウェーハ上の1つの対照および多結晶性のソーラーウェーハ上の1つの対照。
【0032】
得られた太陽電池をI−Vテスターを使用して試験した。I−Vテスターの中のXeアーク灯は、既知の強度を用いて太陽光を使用することを模擬し、太陽電池の前面部を照射してI−V曲線を生成した。この曲線を使用して、電気的性能比較を提供する以下のパラメータを測定した:短絡電流密度(Jsc)、短絡電流(Isc)、開回路電圧(Voc)、曲線因子(FF)、シャント抵抗(Rsh)、直列抵抗(Rs)、およびエネルギー変換効率(EFF)。比較のために曲線因子のデータを使用した:対照セルの曲線因子は「100%」とみなし、本発明のセルの曲線因子は、適切な対照セルの曲線因子に基づいて、相応に算出した。つまり、対照セルIの曲線因子を、ペースト1を使用して調製したセルについてのベースラインとして使用し、対照セルIIの曲線因子を、ペースト2〜4を使用して調製したセルについてのベースラインとして使用した。
【0033】
ペースト1〜4を使用して調製したセル、ならびに比較のセルについての電気性能データを、下記の表1にまとめ、図1にグラフトして示す。非常に低い添加剤レベル、16〜150ppmの金、が良好な効果をもたらしたということが理解できる。さらに、より高い量の金は、改善された性能を生じた。
【0034】
実施例2:添加剤の供給源による変化
2つのペースト(「ペーストA」および「ペーストB」)を、実施例1に記載したようにして調製した。ペーストBは、40ppmの、4nmのd50粒径を有する金を含有し、この金は、実施例1に記載したように懸濁液の形態で加えた。ペーストAは、40ppmの、金(同じくヘレウス(Heraeus)から市販されている)を含有し、この金は、粉末形態で加えられ、100nmのd50を有していた。単結晶性の(sc)シリコンウェーハを使用して、実施例1に記載したようにして太陽電池を調製した。得られた太陽電池、および対照として市販のSOL953ペーストを使用して調製したセルを、実施例1に記載したようにして分析した。ペーストA、B、および対照を使用して調製したセルについての電気性能データ、ならびに各ペーストについての平均値を表2にまとめる。本発明のペーストAおよびBの両方が、比較のペーストに対して、より高い曲線因子、より高い効率、およびより低い直列抵抗といった、より優れた結果を示したことが理解できる。さらに、4nmの粒径を有する金添加剤を含有するペーストBは、金が100nmの粒径を有するペーストAよりも優れていた。
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
上記の実施形態の幅広い独創的な技術思想から逸脱せずに、上記の実施形態に変更を加えることができるということは、当業者には分かるであろう。それゆえ、本発明は開示された特定の実施形態に限定されず、改変物を、添付の特許請求の範囲によって画定される本発明の趣旨および範囲の中に包含することが意図されているということが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気伝導性ペースト組成物であって、
(a)銀粒子と、
(b)ガラスフリットと、
(c)金および白金族金属からなる群から選択される微細な電気伝導性の金属粒子であって、前記金属粒子は、約1nm〜約1ミクロンの粒径を有し、かつ前記ペースト組成物の重量に基づいて約0.0001〜0.01重量%未満の量で存在する微細な電気伝導性の金属粒子と、
(d)有機媒体と
を含む、電気伝導性ペースト組成物。
【請求項2】
前記金属粒子は、金、パラジウム、および白金からなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
約40〜約95%の銀粒子と、約0.5〜約6%のガラスフリットと、約0.0001〜0.01重量%未満の微細金属粒子と、約5〜約30%の有機媒体とを含む(すべての百分率は、前記組成物の総重量に基づく重量%である)、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
約0.1〜約5重量%の五酸化タンタル粒子をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記五酸化タンタル粒子は約5ミクロン未満の粒径を有する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記微細金属粒子は約1nm〜約500nmの粒径を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記微細金属粒子は金を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記微細金属粒子は金属有機化合物の形態にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
電気伝導性ペースト組成物であって、
(a)銀粒子と、
(b)ガラスフリットと、
(c)約5ミクロン未満の粒径を有する五酸化タンタル粒子と、
(d)有機媒体と
を含む、電気伝導性ペースト組成物。
【請求項10】
約40〜約95%の銀粒子と、約0.5〜約6%のガラスフリットと、約0.1〜約2%の五酸化タンタル粒子と、約5〜約30%の有機媒体とを含む(すべての百分率は、前記組成物の総重量に基づく重量%である)、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
約0.0001〜約5重量%の、金および白金族金属からなる群から選択される微細な電気伝導性の金属粒子をさらに含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記微細金属粒子は、約1nm〜約1ミクロンの粒径を有する、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記金属粒子は、金、パラジウム、および白金からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項11に記載の組成物。
【請求項14】
前記微細金属粒子は金属有機化合物の形態にある、請求項11に記載の組成物。
【請求項15】
電気伝導性ペースト組成物であって、
(a)銀粒子と、
(b)ガラスフリットと、
(c)微細な電気伝導性の金粒子であって、前記金粒子は、約1nm〜約1ミクロンの粒径を有し、かつ前記ペースト組成物の重量に基づいて約0.0001〜0.1重量%未満の量で存在する微細な電気伝導性の金粒子と、
(d)有機媒体と
とを含む、電気伝導性ペースト組成物。
【請求項16】
約40〜約95%の銀粒子と、約0.5〜約6%のガラスフリットと、約0.0001〜0.1重量%未満の金と、および約5〜約30%の有機媒体とを含む(すべての百分率は、前記組成物の総重量に基づく重量%である)、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
約0.1〜約5重量%の五酸化タンタル粒子をさらに含む、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
前記五酸化タンタル粒子は約5ミクロン未満の粒径を有する、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記金粒子は約1nm〜約500nmの粒径を有する、請求項15に記載の組成物。
【請求項20】
前記金粒子は金属有機化合物の形態にある、請求項15に記載の組成物。
【請求項21】
電気伝導性ペースト組成物を基板に付与する工程および前記ペーストを焼成して電極を形成する工程によって形成される太陽電池電極であって、前記電気伝導性ペースト組成物は、
(a)銀粒子と、
(b)ガラスフリットと、
(c)金および白金族金属からなる群から選択される微細な電気伝導性の金属粒子であって、前記金属粒子は、約1nm〜約1ミクロンの粒径を有し、かつ前記ペースト組成物の重量に基づいて約0.0001〜0.01重量%未満の量で存在する微細な電気伝導性の金属粒子と、
(d)有機媒体と
を含む、太陽電池電極。
【請求項22】
電気伝導性ペースト組成物を基板に付与する工程および前記ペーストを焼成して電極を形成する工程によって形成される太陽電池電極であって、前記電気伝導性ペースト組成物は、
(a)銀粒子と、
(b)ガラスフリットと、
(c)約5ミクロン未満の粒径を有する五酸化タンタル粒子と、
(d)有機媒体と
を含む、太陽電池電極。
【請求項23】
電気伝導性ペースト組成物を基板に付与する工程および前記ペーストを焼成して電極を形成する工程によって形成される太陽電池電極であって、前記電気伝導性ペースト組成物は、
(a)銀粒子と、
(b)ガラスフリットと、
(c)微細な電気伝導性の金粒子であって、前記金粒子は、約1nm〜約1ミクロンの粒径を有し、かつ前記ペースト組成物の重量に基づいて約0.0001〜0.1重量%未満の量で存在する微細な電気伝導性の金粒子と、
(d)有機媒体と
を含む、太陽電池電極。

【図1】
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【公表番号】特表2013−511132(P2013−511132A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539049(P2012−539049)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/056651
【国際公開番号】WO2011/060341
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(512127176)ヘレウス プレシャス メタルズ ノース アメリカ コンショホーケン エルエルシー (2)
【Fターム(参考)】